JP2007136870A - 画像形成要素および画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、リン酸(メタ)アクリレートモノマーを光重合性感光層に用いても、露光感度が高く、経時的安定性に優れる画像形成要素を提供することである。
【解決手段】基体と、前記基体の表面に設けられた感光性組成物からなる感光層とを有する画像形成要素であって、前記感光性組成物が、(メタ)アクリロイル基を持つ中和されたリン酸エステル化合物を含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線(UV)、可視光線、および赤外線(IR)により露光することができるネガ型画像形成要素に関する。詳細には、本発明は、画像形成要素の感光性組成物が、(メタ)アクリロイル基を持つ中和されたリン酸エステル化合物を含む画像形成要素に関する。さらに、本発明は、前記画像形成要素を、赤外線レーザーで画像露光した後、次いで印刷機上にて湿し水および/または印刷インキを用いて非画像部を除去する画像形成方法(一般に、機上現像と言われる。)に関する。
印刷版原版の分野における最新の開発では、レーザーまたはレーザーダイオードを用いて画像様露光することができる放射線感受性組成物を取り扱っている。このタイプの露光では、レーザーをコンピュータにより制御できるので、中間情報キャリアとしてのフィルムを必要としない。
光照射の光源としては、例えば488nmアルゴンイオンレーザー、532nmYAGレーザー、近赤外または赤外領域に最大強度を有する高出力半導体レーザー等を用いるCTPシステムが実用化されている。特に、波長760nm〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザーおよび半導体レーザーは、そのシステムに用いる印刷版原版が明室での取り扱いが可能である利点を有し、また、高出力かつ小型のものが容易に入手できるようになってきている。
このような印刷版原版を作成するために用いられる放射線感受性組成物には2つのタイプがある。ネガ型印刷版原版の場合、画像様露光した後に露光領域が硬化するような感光性組成物を使用する。現像工程では、非露光領域のみが基体から除去される。ポジ型印刷版の場合、非露光領域よりも露光された領域のほうが現像剤でより速く溶解するような放射感受性組成物を使用する。このプロセスは光可溶化と呼ばれる。
感光性組成物に、リン酸(メタ)アクリレートモノマーを用いることができることは、従来から知られている。例えば、特開昭50-100120号公報は、ビニルポリマー、多官能性ビニルモノマーおよびモノ-、ジ-(メタ)アクリロイルアルキルホスフェートを含んで成るコーティング組成物を開示する。このコーティング組成物は自動車用塗料である。この公報にはこの(メタ)アクリロイルアルキルホスフェートを中和することは記載されていない。
特開昭58-004138号公報は、光重合性不飽和結合を有するリン酸化合物およびインダゾール並びに/またはフタラゾン化合物を有する光硬化性組成物を開示する。この光重合性不飽和結合を有するリン酸化合物は中和されておらず、この光硬化性組成物は良好な接着性得るためにインダゾールおよび/またはフタラゾン化合物を含有しなければならない。この光硬化性組成物は電気回路のプリント配線に適用される。
特開平10-312055号公報は、(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステル化合物および顔料を含有する光重合性印刷版を開示する。(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステル化合物を中和することは、この公報には記載されていない。
特開平11-212253号公報は、(a)エチレン性不飽和二重結合を有する付加重合可能な化合物、(b)増感色素および(c)重合開始剤、さらに(d)陰イオン性親水基含有化合物を含有することを特徴とする感光性組成物を開示する。イオン性親水基含有化合物としてリン酸エステルを用いることが記載されているが、リン酸エステルを中和することは記載されていない。
特開平11-265069号公報は、保護層を有する光重合性印刷版をレーザー露光後、ケイ酸塩現像液で現像し、その後のUV光による全面露光することを記載する。光重合性感光層が、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を持つリン酸エステル化合物を含有してもよいことが記載されているが、このリン酸エステル化合物を中和することは記載されていない。
特開平11-030858号公報は、(A)付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有単量体、(B)光重合開始剤、および(C)高分子結合剤を含有する感光性組成物を有する感光性平版印刷版を開示する。この付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有単量体(A)は、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を持つリン酸エステル化合物を含有することが記載されているが、このリン酸エステル化合物を中和することは記載されていない。
特開2000-235254号公報は、光重合性印刷版の画像部と基体との密着性を改善するために、リン酸系化合物を有する中間層を用いることを開示する。このリン酸系化合物は不飽和二重結合を有することができるが、このリン酸系化合物を感光性層に用いることは記載されていない。
特開2000-255177号公報は、アルミニウム板支持体の表面に光重合性組成物の層が形成された感光性平版印刷版であって、該アルミニウム板支持体がベーマイトを有し、硫酸陽極酸化処理されている感光性平版印刷版を開示し、該光重合性組成物はアクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシアルキル基含有ホスフェート化合物を有する。しかし、このホスフェート化合物は中和されていない。
特開2000-305262号公報は、エチレン性不飽和二重結合化合物、赤外吸収色素および重合開始剤を含有してなる感光性組成物において、赤外吸収色素がフタロシアニン化合物であり、且つエチレン性不飽和二重結合化合物が少なくとも(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有アミン化合物または/および(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ホスフェート化合物を含有することを特徴とする感光性組成物を有する感光性印刷版を記載する。しかし、この版のホスフェート化合物も中和されていない。
特開2000-98602号公報は、シアニン色素、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ホスフェート化合物からなるエチレン性不飽和化合物、ハロメチル基含有トリアジンおよび/またはホウ素塩開始剤を含む光重合性平版印刷版を開示する。このエチレン性不飽和化合物はオキシアルキル基を分子構造中に含んでいる。このエチレン性不飽和化合物は中和されていない。
特開2002-214780号公報は、光重合性感光層の酸価が25〜34であり、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するホスフェート類を有する感光性平版印刷版を記載する。このホスフェート類は中和されていない。
特開2002-244287号公報は、基体上に、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を有するホスフェート類、光重合開始系、および高分子結合剤を含有する光重合性感光層を有する感光性平版印刷版を記載する。このホスフェート類は中和されていない。
上述したように、リン酸(メタ)アクリレートモノマーを光重合性感光層に用いて基体との接着性を高めた感光性印刷版が従来用いられているが、これらの感光性組成物は不安定なため製品の経時安定性が劣り、また露光感度が悪いことが分かっている。特に、この感光性組成物は、オニウム塩化合物またはホウ素塩化合物等のイオン系開始剤に対しては経時安定性が著しく劣る。
特開昭50-100120号公報 特開昭58-004138号公報 特開平10-312055号公報 特開平11-212253号公報 特開平11-265069号公報 特開平11-030858号公報 特開2000-235254号公報 特開2000-255177号公報 特開2000-305262号公報 特開2000-98602号公報 特開2002-214780号公報 特開2002-244287号公報
本発明は、リン酸(メタ)アクリレートモノマーを光重合性感光層に用いても、露光感度が高く、経時的安定性に優れる画像形成要素を提供しようとするものである。特に、オニウム塩化合物またはホウ素塩化合物等のイオン系開始剤と一緒に用いても良好な画像を提供する画像形成要素を提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記画像形成要素を感光性平版印刷原版として用いて、赤外線レーザーで画像露光した後、次いで印刷機上にて湿し水および/または印刷インキを用いて非画像部を除去する画像形成方法を提供することを目的とする。
本発明の別の目的は、基体と、前記基体の表面に設けられた感光性組成物からなる層とを有する画像形成性要素であって、
前記感光性組成物が、(メタ)アクリロイル基を持つ中和されたリン酸エステル化合物を含むことを特徴とする画像形成要素によって達成される。
本発明によれば、基板との密着性が高い感光性層を有する画像形成要素が提供される。また、本発明によれば、オニウム塩化合物またはホウ素塩化合物等のイオン系開始剤と一緒に用いて経時的に安定で、保存寿命の長い画像形成要素が提供される。さらに、本発明によれば、赤外線レーザーで画像露光した後、次いで印刷機上にて湿し水および/または印刷インキを用いて非画像部を除去して画像を形成しうる方法が提供される。本発明の画像形成要素は、平版印刷用の原版として特に好ましい。
本発明の感光性組成物は、重合性化合物として(メタ)アクリロイル基を持つ中和されたリン酸エステル化合物を含む。本発明に用いる(メタ)アクリロイル基を持つ中和されたリン酸エステル化合物を含む感光層は、活性化光線の照射を受けた場合に、光重合開始剤の作用により付加重合し硬化する。画像露光した画像形成要素は適当な現像液等で処理することにより未露光部が除去されて、ネガ画像を形成する。
本発明に用いることができる(メタ)アクリロイル基を持つリン酸エステル化合物は、構造式中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルであり、具体的には、次式の構造を有するリン酸(メタ)アクリレートモノマーである。
Figure 2007136870
(式中、R1は、水素原子またはメチル基、
R2は、水素原子またはメチル基
nは、1から6の整数である)
リン酸メタクリレート構造をとる場合、分子構造中にPEG(ポリエチレングリコール)鎖、PPG(ポリプロピレングリコール)鎖等のポリアルキレングリコール鎖が存在することも、印刷機上での良好な現像性の向上のために好ましい。上記構造式に含まれる化合物には、例えば以下のものを挙げることができる。これらはいずれも、ユニケミカル株式会社から販売されている。
Figure 2007136870
Figure 2007136870
Figure 2007136870
本発明では、これらのリン酸(メタ)アクリレートモノマーを塩基を用いて中和する。中和の方法としては、リン酸(メタ)アクリレートモノマーに対し、モル換算で1当量から2当量の塩基を加えて行う。ここで中和に用いることができる塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、有機アミンなどが例としてあげられるが、そのうち特にアルカリ金属水酸化物およびヒドロキシルアルキルアミンが好ましい。アルカリ金属水酸化物には、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウム等が含まれる。ヒドロキシルアルキルアミンには、例えば、メチルヒドロキシルアミン、エチルヒドロキシルアミン、およびトリエタノールアミン等が含まれる。
中和されるリン酸(メタ)アクリレートモノマーの比率は、感光性組成物からなる層を構成する全固形分に対して5〜20質量%である。5質量%未満では基体に対する接着性が劣り、さらに経時変化によって非画線部にインキ汚れを生じる。中和される比率が20質量%を超えると画像形成領域の機械的強度が弱くなる。
本発明の感光性組成物中に、重合性化合物として、リン酸(メタ)アクリレートモノマー以外の重合性化合物を併せて含むことが望ましい。例えば、モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの混合物の形態で使用されることができる。
モノマーまたはオリゴマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸)及びそのエステル類、アミド類があげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との置換反応物も好適である。また、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することもできる。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであるラジカル重合性化合物の具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドであるラジカル重合性化合物の具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものをあげる事ができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、CH2=C(R1)COOCH2CH(R2)OH(ただし、R1及びR2は、それぞれ独立して、H又はCH3を示す)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
さらに、特開昭63−277653、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するラジカル重合性化合物類を用いてもよい。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等もあげることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
ポリマー型の少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物としては、上記のモノマーまたはオリゴマーの重合体の他に、例えば、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。
本発明の重合性化合物は、紫外線(UV)、可視光線、および赤外線(IR)等の放射線に露光した後に、感光性組成物が湿式現像剤、もしくは湿し水/印刷インキに対して不溶になるように、該感光性組成物中に十分な量で存在する。具体的には、感光性組成物の全成分の5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜70質量%の範囲である。
本発明の感光性組成物は、上述した重合性化合物と、開始フリーラジカルを発生させるための光重合開始剤とを含むことが好ましい。光重合開始剤としては、上述した重合性化合物の重合を開始させることができるものであればいずれも用いることができる。約300〜1400nmのスペクトル範囲に対応する紫外線、可視光線、および/または赤外線のスペクトル範囲内の電磁放射に対して活性な光開始剤を使用することができる。そのような光開始剤系には、例えば米国特許第4,997,745号明細書に記載されているような、単独で存在するまたは光増感剤と共に在るトリクロロメチルトリアジン;米国特許第5,546,258号明細書に記載されているような、ジアリールヨードニウム塩および光増感剤;例えば米国特許第5,599,650号明細書に記載されているような、トリクロロメチルトリアジンと共に在る可視光活性化のための分光増感剤;米国特許第5,942,372号明細書に記載されているような、アニリノ−N,N−2酢酸などのポリカルボン酸共開始剤と、ジアリールヨードニウム塩やチタノセン、ハロアルキルトリアジン、ヘキサアリールビスイミジゾール、ホウ酸塩、およびアルコキシまたはアシルオキシ基により置換される複素環式窒素原子を含有する光酸化剤などの2次共開始剤と共に在る、紫外線および可視光活性化のための3-ケトクマリン;米国特許第5,368,990号明細書に記載されているような、シアニン色素、ジアリールヨードニウム塩、および芳香環に直接結合しているN、O、またはS基にメチレン基を介して結合されたカルボン酸基を有する共開始剤;米国特許第5,496,903号明細書に記載されているような、トリクロロメチルトリアジンおよび有機ホウ素塩と共に在る、赤外線活性のためのシアニン色素;米国特許第6,309,792号明細書に記載されているような、赤外線吸収剤、トリクロロメチルトリアジンおよびアジニウム化合物を含む開始フリーラジカルを生成することが可能な化合物、芳香環に直接結合しているN、O、S基にメチレン基を介して結合されたカルボン酸基を有するポリカルボン酸共開始剤が含まれる。
本発明においては、光重合開始剤として、ホウ素塩化合物またはオニウム塩化合物を、中和されたリン酸(メタ)アクリレートモノマーと組み合わせて好適に用いることができる。これらのイオン系開始剤は、従来のリン酸(メタ)アクリレートと一緒に用いると、そのイオン形態が経時的にリン酸によって破壊され、印刷版原版を不安定にし、保存寿命を短くするという問題があった。本発明の中和されたリン酸(メタ)アクリレートモノマーを用いるとそのような問題点は解決される。これらの光重合開始剤は単独でもまたそれぞれ2種以上組み合わせて用いてもよい。
ホウ素塩化合物は、赤外線吸収剤と併用することで重合開始剤としての機能を発現する。ホウ素塩化合物としては、下記式(1)で表される4級ホウ素アニオンのアンモニウム塩が好適である。
Figure 2007136870
(式中、R4,R5,R6およびR7は、それぞれ独立してアルキル基、アリール基、アルカリール基、アリル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂環式基、または飽和もしくは不飽和複素環式基を示し、R1,R2,R3およびR4のうち少なくとも1つは炭素数1〜8個のアルキル基である。また、R8,R9,R10およびR11は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基、アルカリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂環式基、または飽和もしくは不飽和複素環式基を示す。)
これらの中でも、効率よく重合機能を発揮できることから、テトラn-ブチルアンモニウムトリフェニルホウ素、テトラn-ブチルアンモニウムトリナフチルホウ素、テトラnーブチルアンモニウムトリ(p-t-ブチルフェニル)ホウ素、テトラメチルアンモニウムn-ブチルトリフェニルホウ素、テトラメチルアンモニウムn-ブチルトリナフチルホウ素、テトラメチルアンモニウムn-オクチルトリフェニルホウ素、テトラメチルアンモニウムn-オクチルトリナフチルホウ素、テトラエチルアンモニウムn-ブチルトリフェニルホウ素、テトラエチルアンモニウムn-ブチルトリナフチルホウ素、トリメチルハイドロゲンアンモニウムn-ブチルトリフェニルホウ素、トリエチルハイドロゲンアンモニウムn-ブチルトリフェニルホウ素、テトラハイドロゲンアンモニウムn-ブチルトリフェニルホウ素、テトラメチルアンモニウムテトラn-ブチルホウ素、テトラエチルアンモニウムテトラn-ブチルホウ素などが好ましく用いられる。
上記のホウ素塩化合物は、赤外線吸収剤と併用することで、赤外線の照射によってラジカルを発生させ、重合開始剤としての機能を発現することができる。
ホウ素塩化合物の含有量は、感光層の固形分に対して、0.1〜15質量%の範囲が好ましく、0.5〜7質量%の範囲が特に好ましい。ホウ素塩化合物の含有量が0.1質量%未満では、重合反応が不十分となり、硬化が不足して、得られるネガ型感光性平版印刷版の画像部が弱くなり、ホウ素塩化合物の含有量が15質量%を超えると、重合反応が効率的に起こらない。また必要に応じて、2種以上の(B)ホウ素塩化合物を併用してもよい。
オニウム塩化合物は、分子中に1個以上のオニウムイオン原子を有するカチオンと、アニオンとからなる塩である。オニウム塩におけるオニウムイオン原子としては、スルホニウムにおけるS+、ヨードニウムのI+、アンモニウムにおけるN+、ホスホニウムにおけるP+原子、ジアゾニウムのN2 +などを挙げることができる。中でも、好ましいオニウムイオン原子としては、S+、I+、N2 +を拳げることができる。オニウム塩化合物の構造としては、トリフェニルスルホニウム、ジフェニルヨードニウム、ジフェニルジアゾニウム、およびそれら化合物のベンゼン環にアルキル基、アリール基等を導入した誘導体、およびその化合物のベンゼン環にアルキル基、アリール基等を導入した誘導体を拳げることができる。
オニウム塩化合物のアニオンとしては、ハロゲン陰イオン、ClO4 -、PF6 -、BF4 -、SbF6 -、CH3SO3 -、CF3SO3 -、C65SO3 -、CH364SO3 -、HOC64SO3 -、ClC64SO3 -、ホウ素陰イオンなどを挙げることができる。
オニウム塩化合物としては、感度、保存安定性の点から、分子中にS+を有するオニウム塩と、分子中にI+を有するオニウム塩とを組み合わせたものも好ましい。また、オニウム塩としては、感度、保存安定性の点から、1分子中に2個以上のオニウムイオン原子を有する多価オニウム塩も好ましい。ここで、カチオン中の2個以上のオニウムイオン原子は、共有結合により連結されている。多価オニウム塩の中でも、1分子中に2種以上のオニウムイオン原子を有するものが好ましく、1分子中にS+およびI+を有するものもより好ましい。
オニウム塩化合物の含有量は、感光層の固形分に対して、0.1〜15質量%の範囲が好ましく、0.5〜7質量%の範囲が特に好ましい。オニウム塩化合物の含有量が0.1質量%未満では、重合反応が不十分となり、得られるネガ型感光性平版印刷版の感度、耐剛性が不十分となるおそれがあり、オニウム塩化合物の含有量が15質量%を超えると、得られるネガ型感光性平版印刷版の現像性が悪くなる。また必要に応じて、2種以上のオニウム塩化合物を併用してもよい。また、多価オニウム塩化合物と、一価のオニウム塩化合物とを併用してもよい。
また、光重合開始剤にはメルガプト-3-トリアゾール等のメルカプト化合物、アミン化合物等の任意の促進剤を加えてもよい。
好ましい光開始剤系には、紫外線、可視光線、または赤外線吸収剤と、開始フリーラジカルを生成することができる電子受容体と、電子および/または水素原子を供与することができかつ/または開始フリーラジカルを形成することができる共開始剤が含まれる。放射線吸収剤の量は、放射線露光した後に、感光性組成物が湿式現像剤、もしくは湿し水/印刷インキに対して不溶になるのに要する量である。放射線吸収剤の濃度は、約0.05〜3モルl-1cm-1、好ましくは約0.1〜1.5モルl-1cm-1、より好ましくは0.3〜1.0モルl-1cm-1の範囲内のモル吸収率が得られるような範囲内であることが好ましい。
光/熱活性化に好ましい赤外線吸収剤は、スクアリリウム色素、クロコネート色素、トリアリールアミン色素、チアゾリウム色素、インドリウム色素、オキサキゾリウム色素、シアニンおよびメロシアニン色素、ポリアニリン色素、ポリピロール色素、ポリチオフェン色素、カルコゲノピリロアリーリデンおよびビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン色素、オキシインドリジン色素、ピリリウム色素、およびフタロシアニン顔料である。その他の有用な種類には、アズレニウムおよびキサンテン色素、ならびにカーボンブラック、金属炭化物、ホウ化物、窒化物、炭窒化物、およびブロンズ構造の酸化物が含まれる。
これらの中でも、赤外線吸収剤としては、光重合開始剤に効率よく重合機能を発揮させることから、下記式で表される近赤外線吸収性陽イオン色素が好ましい。
Figure 2007136870
(式中、D+は近赤外線領域に吸収を持つ陽イオン色素を示し、A-はアニオンを示す。)
近赤外線領域に吸収を持つ陽イオン色素としては、近赤外線領域に吸収を持つシアニン系色素、トリアリールメタン系色素、アミニウム系色素、ジインモニウム系、色素等を拳げることができる。近赤外線領域に吸収を持つ陽イオン色素の具体例としては、以下に示すものを拳げることができる。
Figure 2007136870
Figure 2007136870
アニオンとしては、ハロゲン陰イオン、ClO4 -、PF6 -、BF4 -、SbF6 -、CH3SO3 -、CF3SO3 -、C65SO3 -、CH364SO3 -、HOC64SO3 -、ClC64SO3 -、および前記4級ホウ素アニオン上記式(1)で表されるホウ素陰イオンなどが挙げられる。ホウ素陰イオンとしては、トリフェニルn−ブチルホウ素陰イオン、トリナフチルn−ブチルホウ素陰イオンが好ましい。
赤外線吸収剤として色素を使用する場合、色素の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、0.5〜15質量%の範囲が好ましく、1〜10質量%の範囲が特に好ましい。色素の含有量が0.5質量%未満では、赤外線の吸収が不十分であり、色素の含有量が15質量%を超えると、赤外線の吸収が実質的に飽和に達して添加の効果が上がらない傾向にあるので好ましくない。
バインダー樹脂としては、アルカリ現像液を使用する場合は、アルカリ水に可溶性または膨潤性である有機高分子重合体が好適に使用される。アルカリ水に可溶性または膨潤性である有機高分子重合体としては、種々のものを挙げることができる。が、主鎖または側鎖にアルカリ可溶性基(酸基)を有するものが好ましい。酸基としてはpKa0〜12以下の酸基が好ましく、特にカルボン酸基、フェノール性水酸基、スルホンアミド基、N-スルホニルカルバモイル基、N-アシルカルバモイル基などに代表される活性アミノ、イミノ基がより好ましい。この様な有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59-44615号、特公昭54-34327号、特公昭58-12577号、特公昭54-25957号、特開昭54-92723号、特開昭59-53836号、特開昭59-71048号の各公報に記載されているもの、即ちメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等や、側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたもの、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、並びに、硬化皮膜の強度を上げ得るアルコール可溶性ポリアミドや2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等を拳げることができる。これらの中で、〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体および〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体が特に好ましい。更には、特公平7-120040号、特公平7-120041号、特公平7-120042号、特公平8-12424号、特開昭63-287944号、特開昭63-287947号、特開平1-271741号、特開平11-352691号の各公報に記載のポリウレタン樹脂も本発明の用途に使用することができる。
これら高分子重合体は、側鎖にラジカル反応性基を導入することによりバインダー樹脂から形成される皮膜の強度を向上させることができる。付加重合反応することができる官能基としては、エチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が拳げられ、また光照射によりラジカルになることができる官能基としては、メルカプト基、チオール基、ハロゲン原子、トリアジン構造、オニウム塩構造等が、又極性基としてカルボキシル基、イミド基等を挙げることができる。上記付加重合反応することができる官能基としては、アクリル基、メタクリル基、アリル基、スチリル基等のエチレン性不飽和結合基が特に好ましいが、アミノ基、ヒドロキシ基、ホスホン酸基、リン酸基、ガルバモイル基、イソシアネート基、ウレイド基、ウレイレン基、スルフォン酸基、アンモニオ基から選ばれる官能基も使用することができる。
感光性平版印刷版の現像性を維持するためには、使用されるバインダー樹脂は適当な分子量、酸価を有することが好ましく、重量平均分子量で5000〜30万、酸価20〜200(KOHmg/g-resin)の高分子重合体が特に好ましい。これらのバインダー樹脂を、感光層中に任意な量で含有させることができるが、90質量%を超える場合には、当該層を用いて形成される画像の強度等の点で好ましい結果を与えない場合がある。好ましい量は10〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%である。また前記した光重合性化合物とバインダー樹脂の使用割合は、質量比で1/9〜9/1の範囲とするのが好ましく、より好ましくは2/8〜8/2であり、最も好ましくは3/7〜7/3である。
画像形成後に現像処理を行なうことなく、そのまま印刷機に装着し、シリンダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによって、印刷用原版の非画像部を除去する機上現像タイプや、画像形成後に中性の現像液を使用して現像するタイプの高分子重合体の場合は、側鎖にアルキレンオキシド鎖を有するグラフトポリマー、主鎖にアルキレンオキシド鎖を有するフロックコポリマーが好適に使用される。アルキレンオキシド鎖としては、ポリオキシエチレン単位、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン単位が好ましい。例えば、ポリエチレングリコールモノメタクリレートとその他の不飽和基含有化合物との共重合体を拳げることができる。
ここで、好適に使用されるグラフトポリマーとしては、高分子重合体の側鎖に親水性のアルキレンオキシド鎖、疎水性の基を兼ね備えたものを拳げることができる。疎水性の基としては、シアノ基、フェニル基、アミド基、置換フェニル基、アルキルエステル基、置換アルキルエステル基等を拳げることができる。この置換フェニル基は、芳香環の水素が、他のアルキル基、やヘテロ原子、ヘテロ原子を起点にした修飾基、複数の芳香環が縮合したものも含まれる。また、置換アルキル基とは、それ自体で環を形成しても良い。アルキルエステル基の構造は下記式で表されるものである。
Figure 2007136870
(上式中、Rとしては、置換基を有してもよいアルキル、シクロアルキル基となる。該側鎖はカルボニル基(C=O)を介してバインダー主鎖に結合している。)
ここでのポリアルキレンオキシド鎖とは、ポリアルキレンオキサイドセグメントを有するものを示す。一般的に、その大部分がポリアルキレンオキサイドセグメントからなっており、連結基および末端基を有することもできる。また、ポリアルキレンオキサイドセグメントとは、アルキレンオキシド構成単位のブロックを含むオリゴマー、もしくはポリマーのことを表す。
アルキレンオキシド構成単位とは、具体的には(C1-C6)アルキレンオキシド基であって、より具体的には、(C1-C3)アルキレンオキシド基を拳げることができる。よって、ポリアルキレンオキシドセグメントは、-(CH2-O-),-(CH2CH2-O-),-(CH(CH3)-O-),-(CH2CH2CH2-O-),-(CH(CH3)CH2-O-),-(CH2CH(CH3)-O-)、またはこれらの組み合わせのように、1〜3の炭素原子を有する直鎖もしくは側鎖のアルキレンオキサイド基をあげることができる。これらの中でも、-(CH2CH2-O-)構成単位を有することがより好ましい。
アルキレンオキシド単位の数平均分子量は、100〜10万が好ましく、さらに500〜1万の高分子重合体が特に好ましい。
ポリアルキレンオキサイド鎖として、具体的には以下のものが用いられる。
-C(=O)O-((CH2xO)y-R,
ここで、xは1〜3を、yは5〜180を、Rは末端基を示す。Rに制限はないが、水素原子、1〜6の炭素原子を有するアルキル基を用いることが好ましい。アルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、neo-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1、1-ジメチルブチル基、2、2-ジメチルブチル基、シクロペンチル基、またシクロヘキシル基が用いられる。
ポリアルキレンオキサイド鎖として、以下が用いられることが好ましい。
-C(=O)O-(CH2CH2O)y-CH3
ここで、yは12〜200であり、より好ましくは25〜75である。さらに好ましくは、yは40〜50である。
また、共重合成分としては、シアノ基含有モノマー、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、ヒドロキシスチレン、アクリル酸、メタクリル酸を挙げることができる。好ましくは、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレンおよびその誘導体、メタクリル酸メチル、またはメタクリル酸アリルの誘導体を挙げることができる。
バインダー樹脂の具体例の一つとして、以下に示すようなモノマーおよび/またはマクロマーの共重合成分により構成されるものを挙げることができる。
共重合成分A)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、またはその混合物。
共重合成分B)ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレートあるいはポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレートのようなアクリル酸あるいはメタクリル酸のポリ(アルキレングリコール)エステル。
共重合成分C)必要であれば、スチレンやメタクリルアミドなどのようなモノマー、あるいはモノマーの混合物。
共重合成分A)としては、組成中の20%〜95%が好ましく、50%〜90%が更に好ましい。共重合成分B)としては、組成中の1%〜40%が好ましく、4%〜30%が更に好ましい。共重合成分C)としては、組成中の4%〜40%が好ましく、6%〜30%が更に好ましい。
共重合成分B)のマクロマーBは、例えば、ポリエチレングリコールモノメタクリレートおよびポリプロピレングリコールメチルエーテル・メタクリレート、ポリエチレングリコールエチルエーテルメタクリレート、ポリエチレングリコールブチルエーテルメタクリレート、ポリプロピレングリコールヘキシルエーテルメタクリレート、ポリプロピレングリコールオクチルエーテルメタクリレート、ポリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールエチルエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロビレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメチルエーテルメタクリルレート、ポリプロピレングリコールエチルエーテルメタクリレート、ポリプロピレングリコールブチルエーテルメタクリレート、ポリエチレングリコール/プロピレングリコールメチルエーテルメタクリレート、ポリ(ビニルアルコール)モノメタクリレート、ポリビニルアルコールモノアクリレートあるいはそれらの混合物を挙げることができる。
モノマーBとしては、一般にポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)メチルエーテルメタクリレートあるいはそれらの混合物を用いることができる。
モノマーCとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸メチルのようなメタクリル酸エステル、メタクリル酸アリル、ヒドロキシエチルメタクリレート、スチレン、ヒドロキシスチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、あるいはこれらの組み合わせを拳げることができる。これらの中でも、スチレン、メタクリルアミド、あるいはその誘導体がより好ましい。
具体的には、スチレンおよび3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、4-メトキシスチレン、4-アセトキシスチレン、α-メチルスチレン、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、n-ヘキシルアクリレート、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、n-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリル酸、n-ペンチルメタクリレート、neo-ペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレートおよび2-エトキシエチルメタクリレート、3-メトキシプロピルメタクリレート、メタクリル酸アリル、酢酸ビニル、酪酸ビニル、メチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、弗化ビニル、塩化ビニル、臭化ビニル、無水マレイン酸、マレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミドおよび混合物を挙げることができる。
これらのモノマーは公知のラジカル重合法で合成され、重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等、一般的に使用される公知の開始剤が好適に使用される。
ラジカル重合が行われる溶媒には、反応物質に対して不活性であって、かつ反応に悪影響を与えない液体が用いられる。具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトンおよびアセトンのようなケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールおよびブタノールのようなアルコール、ジオキサンとテトラヒドロフランのようなエーテル、水、およびそれらの混合物を用いることができる。
バインダー樹脂に加えて、1つ以上の副バインダー樹脂を含んでもよい。副バインダー樹脂には、水溶性もしくは水分散されるポリマーが用いられる。例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピル・セルロース、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリラクチド、ポリビニルホスホン酸、合成コポリマー、およびその混合物を挙げることができる。前記合成コポリマーとは、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートのようなアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、メタクリル酸アリルのようなモノマーとのコポリマーなどを挙げることができる。
本発明の感光性組成物に、更に、感光性組成物の製造中あるいは保存中において光重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい.好ましい熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジーt-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、t-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等を挙げることができる。この種の熱重合禁止剤の添加量は、感光性組成物の全成分の約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で光重合性感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光性組成物の全成分の0.5〜10質量%が好ましい。
更に感光性組成物の着色を目的として、着色剤を添加してもよい。着色剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料(C.I.Pigment Blue15:3、15:4、15:6等)、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ色素、アントラキノン系色素、シアニン系色素がある。色素および顔料の添加量は、感光性組成物の全成分の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
また、感光層から得られる硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。塗工表面の塗膜性を向上させる目的で、公知の界面活性剤を加えても良い公知の界面活性剤としては、フッ素系の界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系のノニオン界面活性剤、ジアルキルシロキサン等のシリコン系の界面活性剤等を挙げることができる。
本発明の画像形成要素は、後述する各種表面処理を必要に応じて施された基体上に、上記の感光性組成物からなる感光層を備えるものである。当該感光層は上記の感光性組成物を各種の有機溶剤に溶解して基体上に塗布することにより得ることができる。本発明の画像形成要素は好ましくはネガ型である。
本発明に用いることができる溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3-メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メトキシプロピルアセテート、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、水等がある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。尚、塗布溶液中の固形分濃度は、1〜50質量%が適当である。
本発明の画像形成要素における感光層の被覆量は、塗布乾燥後の質量で0.1〜10g/m2の範囲が適当であり、より好ましくは0.3〜5g/m2であり、更に好ましくは0.5〜3g/m2である。
本発明の画像形成要素は、通常、露光を大気中で行うため、感光層の上に、更に、保護層を設けることが好ましい。保護層は、感光層中における重合反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光条件を容易とする。このような保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、更に、露光に用いる照射光の透過性が良好で、感光層との密着性に優れ、かつ現像時に容易に除去できることである。
保護層の材料としては、例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を拳げることができ、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸等である。これらのうち、ポリビニルアルコールを主成分として用いると、酸素遮断性、現像除去性といった基本的特性に最も良好な結果を与える。保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテルおよびアセタールで置換されていてもよい。また、同様に、一部が他の共重合成分を有していてもよい。
ポリビニルアルコール(PVA)の具体例としては、71〜100%加水分解され、分子量が300〜2400の範囲のものを拳げることができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA-105、PVA-110、PVA-117、PVA-117H、PVA-120、PVA-124、PVA-124H、PVA-CS、PVA-CST、PVA-HC、PVA-203、PVA-204、PVA-205、PVA-210、PVA-217、PVA-220、PVA-224、PVA-217EE、PVA-217E、PVA-220E、PVA-224E、PVA-405、PVA-420、PVA-613、PVA-L8等を挙げることができる。
保護層の成分(PVAの種類の選択、添加剤の使用等)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には、使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程、酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・保存時に不要な重合反応を生じたり、また、露光時に不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。すなわち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の重合層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。2層間の接着性を改良する方法としては、主に、ポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中にアクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドン-ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合する方法を挙げることができる。
本発明の画像形成要素の基体は、表面が親水性であれば如何なるものでも使用することができるが、寸度的に安定な板状物が好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、また、例えばアルミニウム(アルミニウム合金も含む。)、亜鉛、銅等のような金属またはその合金(例えばケイ素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケルとの合金)の板、更に、例えば二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酪酸酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等のようなプラスチックのフィルム、上記の如き金属または合金がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルム等を挙げることができる。これらの基体のうち、アルミニウム板は寸度的に著しく安定であり、しかも安価であるので特に好ましい。更に、特公昭48-18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフイルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。通常その厚さは0.05mm〜1mm程度である。
また金属、特にアルミニウムの表面を有する基体の場合には、後述する砂目立て処理、陽極酸化処理、あるいはケイ酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、リン酸塩等の水溶液への浸漬処理等の表面処理がなされていることが好ましい。
砂目立て処理方法は、特開昭56-28893号公報に開示されているような機械的砂目立て、化学的エッチング、電解グレイン等がある。更に塩酸または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学的砂目立て方法、およびアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法のような機械的砂目立て法を用いることができ、上記砂目立て方法を単独あるいは組み合わせて用いることもできる。その中でも本発明において有用に使用される表面粗さを作る方法は、塩酸または硝酸電解液中で化学的に砂目立てする電気化学的方法であり、適する電流密度は100〜400C/dm2の範囲である。さらに具体的には、0.1〜50%の塩酸または硝酸を含む電解液中、温度20〜100℃、時間1秒〜30分、電流密度100〜400C/dm2の条件で電解を行うことが好ましい。
このように砂目立て処理されたアルミニウム基体は、酸またはアルカリにより化学的にエッチングされる。酸をエッチング剤として用いる場合は、微細構造を破壊するのに時間がかかり、工業的に本発明を適用するに際しては不利であるが、アルカリをエッチング剤として用いることにより改善できる。
好適に用いられるアルカリ剤としては、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を挙げることができ、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃であり、アルミニウムの溶解量が5〜20g/m3となるような条件が好ましい。
エッチングの後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いることができる酸としては、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等を挙げることができる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53-12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法、および、特公昭48-28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法を挙げることができる。尚、本発明において好ましいアルミニウム基体の表面粗さ(Ra)は、0.3〜0.7μmである。
上述したようにして処理されたアルミニウム基体は、さらに陽極酸化処理が施される。陽極酸化処理は、当該技術分野において従来行われている方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シユウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルフォン酸等あるいはこれらの二種以上を組み合わせて、水溶液または非水溶液中でアルミニウムに直流または交流を流すと、アルミニウム基体表面に陽極酸化皮膜を形成することができる。陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液の濃度が1〜80%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60アンペア/dm2、電圧1〜100V、電解時間10〜100秒の範囲が適当である。
これらの陽極酸化処理のうちでも特に英国特許第1,412,768号明細書に記載されている、硫酸中で高電流密度で陽極酸化する方法、および米国特許第3,511,661号明細書に記載されているリン酸を電解浴として陽極酸化する方法が好ましい。
本発明においては、陽極酸化皮膜は1〜10g/m2であることが好ましく、1g/m2未満であると版に傷が入りやすく、10g/m2を超えると製造に多大な電力が必要となり、経済的に不利である。好ましくは、1.5〜7g/m2であり、更に好ましくは、2〜5g/m2である。
本発明においては、基体は、砂目立て処理および陽極酸化後に、封孔処理を施されてもよい。かかる封孔処理は、熱水および無機塩または有機塩を含む熱水溶液への基体の浸漬並びに水蒸気浴などによって行われる。また本発明で使用される基体には、アルカリ金属ケイ酸塩によるシリケート処理、弗化ジルコニウム酸カリウムによる処理、ポリアミンスルホン酸、ポリビニルフォスフォン酸、ポリアクリル酸、もしくはポリメタクリル酸等の水溶液による処理などの表面処理が施されてもよい。
本発明においては、基体(アルミニウムの場合には、上記の如く適宜表面処理を施されたアルミニウムが好ましい)上に、上述した感光性組成物からなる感光層を塗布し、必要に応じて更に保護層を塗工することで、画像形成要素が形成される。本発明の感光性組成物は基体との密着性が非常に優れているので感光層と基体との間有機または無機の下塗り層を設ける必要はないが、必要に応じて設けてもよい。また、必要ではないが、特開平7-159983号に開示されているようなラジカルによって付加反応を起こし得る官能基を共有結合させたゾル-ゲル処理を施してもよい。
画像形成要素は、Arレーザー、半導体レーザーの第2高調波(SHG-LD、350〜600nm)、YAG-SHGレーザー、lnGa N系短波半導体レーザー等により直接露光された後、現像処理可能であるが、明室で取り扱うことを可能とするために、近赤外線から赤外線領域に最大強度を有する高出力レーザーを使用するのが好ましい。このような近赤外線から赤外線領域に最大強度を有するレーザーとしては、760〜1200nmの波長領域に最大強度を有する各種レーザーが使用される。尚、画像露光後、現像までの間に、光重合性感光層の硬化率を高める目的で50℃〜150℃の温度で1秒〜5分の時間の加熱プロセスを設けてもよい。
現像処理に使用される現像液としては、従来知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウム等の無機アルカリ剤を挙げることができる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、nーブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤を併用してもよい。これらのアルカリ剤は単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
更に現像液に、以下に記載する界面活性剤を加えてもよい。現像液の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート等のモノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ペンチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、へキシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、オクチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩類、ドデシルスルホン酸ソーダ等のアルキルスルホン酸塩類、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸エステル塩類等のアニオン界面活性剤:ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のアルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤が使用可能であるが、特に好ましいのはアルキルナフタレンスルホン酸塩類等のアニオン界面活性剤、アルキルベタイン類、式(2)で示されるポリオキシアルキレンエーテル基を有するノニオン界面活性剤である。
1-O-(R2-O)nH (2)
{式(2)中、R1は置換基を有してもよい炭素数3〜15のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、または置換基を有してもよい炭素数4〜15の複素芳香族環基(該置換基としては炭素数1〜20のアルキル基、Br、Cl、I等のハロゲン原子、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、炭素数7〜17のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜15のアシル基を挙げることができる。)を示し、R2は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基(該置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基を挙げることができる。)を示し、nは1〜100の整数を表す}。また式(2)の(R2-O)nの部分は、上記範囲であれば、2種、または3種の基であってもよい。具体的にはエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基、エチレンオキシ基とイソプロピルオキシ基、エチレンオキシ基とブチレンオキシ基、エチレンオキシ基とイソブチレン基等の組み合わせのランダムまたはフロック状に連なったものを挙げることができる。
これら界面活性剤は単独、もしくは組み合わせて使用することができる。また、これら界面活性剤の現像液中における含有量は有効成分換算で0.1〜20質量%が好ましい。
本発明において、前記現像液には上記の成分の他に、必要に応じて以下に記載する成分を併用することができる。例えば安息香酸、フタル酸、p-エチル安息香酸、p-n-プロピル安息香酸、p-イソプロピル安息香酸、p-n-ブチル安息香酸、p-t-ブチル安息香酸、p-2-ヒドロキシエチル安息香酸、デカン酸、サリチル酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸等の有機カルボン酸;イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の有機溶剤;この他、キレート剤、還元剤、色素、顔料、硬水軟化剤、防腐剤、消泡剤等を挙げることができる。
本発明の画像形成要素の前記現像液による現像は、常法に従って、0〜60℃、好ましくは15〜40℃程度の温度で、例えば、露光処理した平版印刷版を現像液に浸漬してブラシで擦る等により行う。更には自動現像機を用いて現像処理を行ってもよく、その場合には、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液または新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させても良い。なお、感光層上に保護層が設けられている場合は、前記した現像液を用いて、保護層の除去と感光層の未露光部の除去を同時に行ってもよいし、または、水、温水で保護層を先に除外し、その後未露光部の感光層を現像液で除去してもよい。これらの水または温水には、例えば特開平10-10754号公報に記載の防腐剤、特開平8-278636号公報に記載の有機溶剤等を含有させることができる。
このようにして現像処理された画像形成要素は、好ましくは、特開昭54-8002号、同55-115045号、同59-58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理される。本発明の画像形成要素の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
また、環境問題に配慮して、pHが中性領域のいわゆる水を用いて現像することもできる。この場合も現像性向上を目的として、現像液のところで記載した界面活性剤、現像後の版面の不感脂化を目的として上述の不感脂化液を、現像液として水に添加することもできる。
上記のような処理により得られた画像形成要素は、周知の後露光処理やバーニング等の加熱処理により、耐剛性を向上させることができる。次いで、以上のような処理によって得られた画像形成要素はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
また、得られた画像形成要素は、機上現像タイプと称する。この得られた画像形成要素を画像様に露光後、そのまま印刷機版胴に取り付けて印刷を開始できる版にも使用する事ができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
[感光性組成物の調製]
感光性組成物の配合は、次の通りである。
Figure 2007136870
1:DESMODUR Nl00(へキサメチレンジイソシアネートをべースとする脂肪族ポリイソシアネート樹脂、バイエル社製)をヒドロキシエチルアクリレートおよびペンタエリスリトールトリアクリレートと反応させて得られた、2-ブタノン中の80質量%溶液。(バインダー)
2:Sartomer SR-399は、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(Sartomer社製)。(重合性化合物)
3:本発明に係わる重合性リン酸エステルモノマー
4:n-プロパノール/水の80/20混合物中のアクリロニトリル/ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート/スチレンのコポリマーの21%分散液。(バインダー)
5:プロピレンカーボネート中の(4-メトキシフェニル[4-(2-メチルプロピル)フェニル]ヨードニウム・ヘキサフルオロリン酸塩)の75%溶液(チバスペシャルティケミカルズ社製)。(開始剤)
6:赤外線吸収剤
Figure 2007136870
7:キシレン/メトキシプロピル酢酸溶液中の変性ジメチルポリシロキサンコポリマーの25%溶液(Bykケミー社(仏)製)。(界面活性剤)
[中和処理および塗布溶液調製]
後に記す表2中の実験番号1,2,3,10,11については以下の手順で塗布液調製、中和処理を行った。
重合性モノマーを表2中に記す混合溶剤に添加後撹拌した。その際用いた混合溶剤は、モノマーの溶解性を鑑みて選択されたものである。攪拌後の溶液のpHはおおよそ2.3を示した。NaOH(またはトリエタノールアミン)10%水溶液を、リン酸エステルモノマー添加前のpH値を示すまで添加した。要したNaOH(またはトリエタノールアミン)のモル量は、リン酸エステルモノマーのモル量とほとんど同じであった(NaOH固体換算で0.289gまたは100%トリエタノールアミン換算で1.077g)。この中和溶液を混合した後に、残りの塗工液成分(ウレタンアクリレート、サートマーSR−399、グラフトコポリマー、Irgacure250、IR色素、Byk−336)を添加して、さらに撹拌した。
[中和処理および塗布溶液調製]
表1記載の感光性組成物溶液を以下の手順で中和処理した。
Phosmer PEを混合溶媒に添加し撹拌し、pHをおおよそ2.3に変えた。NaOH(またはトリエタノールアミン)水溶液を、リン酸エステルモノマーが無い場合の、pH値を示すまで添加した。要したNaOH(またはトリエタノールアミン)の量は、リン酸エステルモノマーのモル量とほとんど同じであった(NaOH固体で0.289gまたはトリエタノールアミンで1.077g)。この中和溶液を混合した後、他の成分を添加して、さらに撹拌した。
[塗布]
#26バーコーターを用いて、この溶液を陽極酸化処理およびシリケート処理した0.24mm厚の支持基板基体上に塗布した。塗布後、100度のオーブンにて60秒乾燥を行った。その際のコーティングウェイトは1.4g/m2であった。
[印刷版の評価]
塗布された支持基板をCREO3244プレートセッターを用いて、222mJ/cm2で画像形成し、この版を湿し水(大日本インキ製NA−108Wエッチ液1%+IPA1%水溶液)で湿らせ、その後インキ(大日本インキ製MKHS紅)を手塗りした。
インキ盛りを行う事で、露光時に硬化した部分は画像様に感光層が残り、露光されなかった未硬化部分は現像され支持基板の砂目が露出した。このインキ盛りを行う際に画像形成領域を十分に擦ることによって感光層の接着性を評価した。画像形成領域の感光層の接着性をA〜Eの5段階で評価した。画像形成領域に全く損傷が見られなかった場合、感光層の接着性に優れている(評価A)と判断し、画像形成領域が取れた場合、接着性が不良である(評価E)と判断した。また非画線部の砂目にインキが残る程度から非画像部汚れ特性をA〜Eの5段階で評価した。非画像領域がインキを全く受け入れない場合、非画像部汚れ特性が優れている(評価A)と判断した。非画像領域がインキを受け入れた場合、非画像部汚れ特性が不良である(評価E)と判断した。38℃、湿度80%条件で、印刷版の経時変化加速試験を行った。上記条件下で版を保存後、3日間、5日間経過後の版を用いて経時変化加速試験後の非画像部汚れ特性と感光層接着性をA〜Eの5段階で評価した。
表1の感光性組成物の重合性リン酸エステルモノマーを種々変え、それに伴って該モノマーに最適な混合溶媒を使用して、それらの組成物を中和した場合と、中和しなかった場合の版について、上記評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2007136870
上記試験で用いたモノマーで、未だ示していないモノマー構造を以下に示す。
Figure 2007136870
Figure 2007136870
Figure 2007136870
表2の結果から、本発明に係るリン酸エステルモノマーのうち中和されておらず、かつポリエチレンオキサイド(―CH2CH2O−)の繰り返し構造を持つもの(例番号の5、8)とその繰り返し構造を持たないもの(例番号の4,6,7,9)では、刷版に要求される特性である感光層支持基板間の接着性、非画線部汚れ性において、明らかに優れた結果が得られている。例番号の6は化合物分子内にポリエチレンオキサイドの繰り返し構造を持つものの、アクリロイル基を分子内に2つ持つことにより化合物全体の親油性が高まったため、インキを呼び込みやすくなり非画線部汚れ性に劣る結果に繋がったと考えられる。
本発明に係るリン酸エステルモノマーを用いたもののうち塩基で中和されたもの(発明例1〜3、10および11)は、明らかに3日間(HT3days)、5日間(HT5days)経過後の評価が向上している(例5と例1,10,11の比較)。特に、Phosmer PPを用いた例(発明例2および比較例9)に注目すると、中和することによって全ての特性が飛躍的に向上している。これはリン酸を中和することにより効果、特に、保存時の版の安定性が向上することを証明している。
リン酸メタクリレートの分子構造中にエチレンオキサイド基の繰り返し構造をもつこと(PEG鎖)により砂目基板との接着性に明らかな好影響をもたらすことが読み取れる。(実験例10と12の比較、実験例1と3の比較)
また重合性モノマーにリン酸基、中和リン酸基をもたないもの(比較例14)では、基板接着性に全く劣り、物理的な力がかかる印刷に全く耐えられない組成となる事が判る。
[印刷試験]
最も優れた特性を示した発明例10の組成、発明例3、比較例13、および各組成成分の機能を確認するために表1中のグラフトポリマーを抜き、その固形分%をウレタンアクリレート、サートマーSR−399、NaOH中和PhosmerPEそれぞれの固形分%様に割り振ったもの(比較例15)、表1中のウレタンアクリレート、サートマーSR−399、モノマーを抜き、その固形分%をグラフトポリマーに割り振ったもの(比較例16)、表1中のモノマー(NaOH中和PhosmerPE)の固形分%をウレタンアクリレート、サートマーSR−399、NaOH中和PhosmerPEそれぞれの固形分%様に割り振ったもの(比較例17)、表1中のモノマー(NaOH中和PhosmerPE)の固形分%を2%にして、差分の固形分%をウレタンアクリレート、サートマーSR−399、NaOH中和PhosmerPEそれぞれの固形分%様に割り振ったもの(比較例18)、表1中のモノマー(NaOH中和PhosmerPE)の固形分%を5%にして、差分の固形分%をウレタンアクリレート、サートマーSR−399、NaOH中和PhosmerPEそれぞれの固形分%様に割り振ったもの(発明例19)、表1中のモノマー(NaOH中和PhosmerPE)の固形分%を20%にして、差分の固形分%をウレタンアクリレート、サートマーSR−399、NaOH中和PhosmerPEそれぞれの固形分%様に差し引いていったもの(発明例20)、表1中のモノマー(NaOH中和PhosmerPE)の固形分%を30%にして、差分の固形分%をウレタンアクリレート、サートマーSR−399、NaOH中和PhosmerPEそれぞれの固形分%様に差し引いていったもの(比較例21)、表1のIrgacure250の固形分%のうち、4%をトリハロアルキル化合物(PCAS社製トリアジン−B)に変更したもの(発明例22)、表1のIrgacure250をホウ素酸塩化合物(昭和電工株式会社製P3B)に変更し、IR色素をポリメチンIR色素(昭和電工株式会社製IRT)(発明例23)を準備して印刷試験を行うこととした。
以上の組成を用いてマンローランド製R−200印刷機および、株式会社小森コーポレーション製S−26印刷機を使って印刷試験を行った。印刷条件は以下の通りである。
インキ:DIC GEOS−G Nグレード
印刷紙:王子製紙(株)ロイヤルコート44.5kg/A
湿し水:DIC K−705 1%+IPA 10%の水溶液(コモリ)
DIC NA−108W 1%+IPA 1%の水溶液(ローランド)
ブランケット:金陽社製S−7400
本発明品については機上現像のため、印刷開始後10回転水を供給して、その後インキを供給して10回転、その後印刷を開始した。印刷開始後10回転水を供給後、インキを供給して10回転した際に非画線部の感光層が完全に除去されていたものを機上現像性可、非画線部に少しでも感光層が残っていたものは、機上現像性不可とした。比較版は常法にて印刷を行った。耐刷試験については、印圧を高めた状態での加速試験となっている。結果を表3に示す。
Figure 2007136870
例10は機上現像のため、インキの乗りがよく損紙の枚数が通常のPS版と比べて少ない。また水幅、ブランケット残り等の印刷適性も問題ない。耐刷性については、加速試験条件下であるが、市場での実績を積んでいるPNプレートと同等の耐刷力を有していた。更に発明例3の結果から、表2での接着性の差が印刷試験でも現れている事がわかる。比較例13の非画線部汚れ特性が、印刷適性に非画線部よごれとして現れている。比較例15,16から、感光層組成にバインダー樹脂、および重合性化合物が不可欠なことがわかった。比較例17,18,21、および発明例19,20,10より、重合性リン酸エステルモノマーの最適な重量%が5〜20重量%であることがわかる。また重合開始剤として、ホウ素酸塩化合物、トリハロアルキル置換化合物が有用なことが発明例22,23から判った。
上記印刷試験で用いた化合物の構造を以下に示す。
Figure 2007136870
Figure 2007136870
Figure 2007136870

Claims (7)

  1. 基体と、前記基体の表面に設けられた感光性組成物からなる感光層とを有する画像形成要素であって、
    前記感光性組成物が、(メタ)アクリロイル基を持つ中和されたリン酸エステル化合物を含むことを特徴とする画像形成要素。
  2. 前記中和されたリン酸エステル化合物の比率が、前記感光性組成物の5から20質量%である請求項1記載の画像形成要素。
  3. 前記中和されたリン酸エステル化合物が次式:
    Figure 2007136870
    (式中、Rは、水素原子またはメチル基、
    Rは、水素原子またはメチル基
    nは、1から6、そして
    Xは、対イオンである)
    で表される化合物から選ばれる請求項1または2記載の画像形成要素。
  4. 前記式中のRが水素原子である請求項3記載の画像形成要素。
  5. 前記感光性組成物が、重合開始剤としてオニウム塩化合物、ホウ素塩化合物、およびトリハロアルキル置換化合物から選択される化合物を含む請求項1〜4記載の画像形成要素。
  6. 前記感光性組成物が、(a)赤外線吸収剤、(b)重合開始剤、(c)重合性化合物、および(d)バインダー樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜5記載の画像形成要素。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成要素を、赤外線レーザーで画像露光した後、次いで印刷機上にて湿し水および/または印刷インキを用いて非画像部を除去することを特徴とする画像形成方法。
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