JP2003098673A - 感光性平版印刷版及び平版印刷版の作成方法 - Google Patents

感光性平版印刷版及び平版印刷版の作成方法

Info

Publication number
JP2003098673A
JP2003098673A JP2001293363A JP2001293363A JP2003098673A JP 2003098673 A JP2003098673 A JP 2003098673A JP 2001293363 A JP2001293363 A JP 2001293363A JP 2001293363 A JP2001293363 A JP 2001293363A JP 2003098673 A JP2003098673 A JP 2003098673A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
printing plate
photosensitive
compound
lithographic printing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Abandoned
Application number
JP2001293363A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuichi Shiraishi
裕一 白石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2001293363A priority Critical patent/JP2003098673A/ja
Publication of JP2003098673A publication Critical patent/JP2003098673A/ja
Abandoned legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像部の優れた耐刷性と非画像部の優
れた現像性及び汚れにくさとを併せ持つ、特にレーザー
光による描画に適した感光性平版印刷版および平版印刷
版の作成方法を提供すること。 【解決手段】 親水性表面を有する支持体上に、
アルカリ可溶性基とエチレン性不飽和結合とを有する化
合物を含有する中間層を設け、更にその上にチタノセン
化合物、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する
化合物、高分子バインダーを含有する光重合性感光層を
設けた感光性平版印刷版及び前記感光性平版印刷版をレ
ーザー光により露光したあと、無機アルカリ塩、及びポ
リオキシアルキレンエーテル基を有するノニオン系界面
活性剤を含有する現像液で現像する、平版印刷版の作成
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光による
描画に適し、非画像部の現像性・汚れにくさと画像部の
支持体との密着性に優れた、感光性平版印刷版および平
版印刷版の作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来平版印刷版は、親水性表面を有する
支持体上に感光性樹脂層を設けた感光性平版印刷版を、
リスフィルムを介して面露光(マスク露光)したあと、
非画像部を現像液により除去することで得られてきた。
しかし近年のデジタル化技術により、レーザー光のよう
な指向性の高い光をデジタル化された画像情報にしたが
って版面に走査することで、リスフィルムを介すること
なく直接版面に露光処理を行うコンピュータートゥプレ
ート(CTP)技術が開発され、またこれに適応した感
光性平版印刷版が開発されている。このようなレーザー
光による露光に適した感光性平版印刷版として、光重合
性感光層を用いた感光性平版印刷版を挙げることができ
る。光重合性感光層は開始剤または開始系を選択するこ
とで、他の従来の感光層に比べ高感度化が容易であるた
め、このようなレーザー光による露光に適しているから
である。しかしながら光重合性感光層は、主に画像部で
の支持体との密着性に関連する耐刷性と、非画像部での
現像性・汚れにくさとを両立させることが難しく、今ま
で種々の試みがなされている。例えば特開平4−274
429号等公報に、光重合性感光層の密着剤としてジア
ゾ化合物を用いることが開示されている。ジアゾ化合物
は一般的にネガ型感光層での密着性に優れ、ジアゾ化合
物と現像液との組み合わせにより良好な現像性が得られ
る。しかしながらこれらの公報に明示されている感光性
平版印刷版は極めて感度が低く、CTP方式により露光
しても感光層の硬化不足により十分な耐刷性が得られな
い。また特開平7−159983号、特開平9−269
593号公報には重合性基を有するゾルゲル中間層を設
けることが開示されており、確かに良好な耐刷性が得ら
れるが、現像条件によっては現像性が不充分であり非画
像部の汚れが発生するという問題があった。更に特開平
9−34104号等公報に、親水性のエチレン性不飽和
結合を有する化合物を用いることが開示されている。こ
の化合物は密着性と現像性との両立に効果があるが、こ
れらの公報に明示されている感光性平版印刷版はその感
光層に添加されている化合物の影響で感度が低く、露光
しても感光層の硬化不足により十分な耐刷性が得られな
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、上記従来の技術の欠点を克服し、画像部の優れた耐
刷性と非画像部の優れた現像性及び汚れにくさとを併せ
持つ、特にレーザー光による描画に適した感光性平版印
刷版および平版印刷版の作成方法を提供することであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成すべく鋭意検討を重ねた結果、支持体と感光層の間に
アルカリ可溶性基とエチレン性不飽和結合とを有する化
合物を含有する中間層を設け、更に感光層にある特定の
化合物を用いることにより上記目的が達成されることを
見出し、本発明に至ったものである。すなわち本発明
は、親水性表面を有する支持体上に、アルカリ可溶性基
とエチレン性不飽和結合とを有する化合物を含有する中
間層を設け、更にその上にチタノセン化合物、付加重合
可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、及び高分
子バインダーを含有する光重合性感光層を設けた感光性
平版印刷版、並びに、前記の感光性平版印刷版の光重合
性感光層上に保護層を設けた感光性平版印刷版、およ
び、前述の感光性平版印刷版をレーザー光により露光し
たあと、無機アルカリ塩、及びポリオキシアルキレンエ
ーテル基を有するノニオン系界面活性剤を含有する現像
液で現像する、平版印刷版の作成方法、である。上記の
技術により、特にレーザー光による描画に適した、画像
部の優れた耐刷性と非画像部の優れた現像性・汚れにく
さとを併せ持つ、感光性平版印刷版および平版印刷版の
作成方法を提供することが可能となった。
【0005】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態について
説明する。本発明の感光性平版印刷版は、親水性表面を
有する支持体上に、アルカリ可溶性基とエチレン性不飽
和結合とを有する化合物を含有する中間層を設け、更に
その上にチタノセン化合物、付加重合可能なエチレン性
不飽和結合を有する化合物、及び高分子バインダーを含
有する光重合性感光層を設けたものである
【0006】(中間層)本発明の特徴の一つは、アルカ
リ可溶性基とエチレン性不飽和結合とを有する化合物を
含有する中間層を設けることにある。本発明の中間層に
用いられるアルカリ可溶性基とエチレン性不飽和結合と
を有する化合物において、アルカリ可溶性基としてはp
Kaが14以下の酸基が好ましい。このようなアルカリ
可溶性基としては、カルボキシル基、−CONHSO 2
−基、−SO2NH−基、フェノール性水酸基、スルホ
ン酸基、リン酸基やホスホン酸基などのリンの酸素酸基
や、酸無水物を挙げることができる。そしてこのような
酸基とエチレン性不飽和結合とを有する化合物として
は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン
酸無水物、イタコン酸、イタコン酸無水物や、下記式
(E)〜(H)で示される化合物を挙げることができ
る。
【0007】
【化1】 式(E)中、R14は水素原子またはメチル基を表し、R
15は置換基を有していても良い炭素数12以下の炭化水
素基、より好ましくは炭素数12以下の、アルキル基、
シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、
またはアラルキル基を表す。より具体的には、R15とし
て好ましい基は、メチル基、フェニル基、トリル基であ
る。
【0008】
【化2】 式(F)中、R16は水素原子またはメチル基を表し、R
17は水素原子または置換基を有していても良い炭素数1
2以下の炭化水素基、より好ましくは水素原子、または
炭素数12以下の、アルキル基、シクロアルキル基、ア
リール基、アルキルアリール基、またはアラルキル基を
表す。より具体的には、R17として好ましい基は、水素
原子、メチル基、フェニル基、トリル基である。
【0009】
【化3】 式(G)中、R18は水素原子またはメチル基を表す。
【0010】
【化4】
【0011】式(H)中、R1は水素原子またはメチル
基を表し、Xは-O-または-NH-を表し、R2は置換基
を有していても良い連結基を表し、Zは酸素原子または
単結合を表す。より好ましいR2の連結基としては、炭
素数1〜10のアルキレン基、アルキレンオキシ基(前
記アルキレンは炭素数1〜10である)、炭素数6〜1
2のアリーレン基、アリーレンオキシ基(前記アリーレ
ンは炭素数6〜12である)、またはこれらの基を組み
合わせた二価の連結基(例えば、同種のアルキレン基の
組み合わせからなるポリアルキレン基や、アルキレン基
とアリーレン基とが連結した基)が挙げられる。これら
の連結基上の置換基としては、炭素数1〜10のアルキ
ル基が挙げられる。これらの化合物の中でも、式(H)
で示されるようなリン酸基あるいはホスホン酸基を含む
ビニルモノマー(化合物)が特に好適に使用される。具体
的には下記の化合物1〜32を挙げることができるが、
特にこれらに限定されるものではない。
【0012】
【化5】
【0013】
【化6】
【0014】
【化7】
【0015】
【化8】
【0016】本発明におけるアルカリ可溶性基とエチレ
ン性不飽和結合とを有する化合物の分子量は、1000
以下であることが好ましい。本発明の平版印刷版用原版
における中間層は、次のような方法で設けることができ
る。すなわち、水もしくはメタノール、エタノールなど
の有機溶剤またはそれらの混合溶剤に上記化合物を溶解
させた溶液を、親水性表面を有する支持体上に塗布、乾
燥して中間層を設ける方法と、水又はメタノール、エタ
ノールなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記
化合物を溶解させた溶液に、親水性表面を有する支持体
上に浸漬して上記化合物を吸着させ、しかる後、水など
によって洗浄、乾燥して中間層を設ける方法である。前
者の方法では、上記化合物を0.005〜10質量%の
濃度で溶解した塗布液を種々の方法で塗布できる。例え
ばバーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテ
ン塗布等のいずれの方法を用いてもよい。また、本発明
の化合物を溶解した溶液に浸漬後、水などによって洗浄
する方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好
ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20℃
〜90℃、好ましくは25℃〜50℃であり、浸漬時間
は、0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。
【0017】該中間層の乾燥後の被覆量は、0.1mg/m
2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは0.5mg/m2
〜100mg/m2、さらに好ましくは1mg/m2〜50mg/m2
である。上記の被覆量が0.1mg/m2より少ないと充分
な耐刷性能が得られない。また、200mg/m2より多く
ても、充分な耐刷性能が得られない。
【0018】また本発明の平版印刷版用原版における中
間層には、公知の、例えばカルボキシメチルセルロー
ス、デキストリン、アラビアゴム、2−アミノエチルホ
スホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、グリシ
ンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、トリエタノールア
ミンの塩酸塩等のヒドロキシル基を有するアミンの塩酸
塩等を混合させることができる。またバインダーポリマ
ーや光重合性化合物、光開始剤を混合しても良い。本発
明の中間層は、先述のアルカリ可溶性基とエチレン性不
飽和結合とを有する化合物を少なくとも20質量%以上
含むことが望ましく、より好ましくは50質量%以上、
最も好ましくは80質量%以上である。
【0019】(支持体)本発明の平版印刷版用原版の支
持体としては、従来公知の、平版印刷版用原版に使用さ
れる親水性表面を有する支持体が使用され、特に親水性
表面を有するアルミニウム支持体が好適に使用される。
使用されるアルミニウム支持体は寸度的に安定な板状物
であることが好ましく、好適なアルミニウム板は、純ア
ルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異
元素を含む合金板であり、さらにアルミニウムがラミネ
ート又は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。ア
ルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マ
ンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、
ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は
高々10質量%以下である。本発明において特に好適な
アルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋
なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅
かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明
に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定される
ものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム
板を適宜に利用することができる。本発明で用いられる
アルミニウム板の厚みはおよそ0.05mm〜1.0m
m程度、好ましくは0.1mm〜0.6mm、特に好ま
しくは0.15mm〜0.4mmである。
【0020】本発明におけるアルミニウム支持体は、粗
面化(砂目立て)処理、陽極酸化処理などの表面処理が
なされて親水性表面を有する支持体上となる。アルミニ
ウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延
油を除去するために、例えば、界面活性剤、有機溶剤又
はアルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。アル
ミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行
われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学
的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択
溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、
ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研
磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気
化学的な粗面化法としては塩酸、硝酸等の電解液中で交
流又は直流により行う方法がある。特開昭54−639
02号に開示されているように両者を組み合わせた方法
も利用することもできる。このように粗面化処理したア
ルミニウム支持体は酸またはアルカリにより化学的にエ
ッチングされる。好ましいのはアルカリによるエッチン
グで、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メ
タ珪酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化
リチウムなどが用いられる。またアルカリによるエッチ
ングのあと表面に残存する汚れ(スマット)を除去する
ため、硝酸、硫酸、リン酸などの酸による洗浄(デスマ
ット処理)が行われる。このようにして得られたアルミ
ニウム支持体の表面粗さは0.1〜1.0μmであるこ
とが好ましく、特に好ましくは0.2〜0.8μmであ
る。
【0021】アルミニウム板の表面の陽極酸化処理は、
例えば、燐酸、クロム酸、硫酸、硼酸等の無機酸、もし
くは蓚酸、スルファミン酸等の有機酸、またはそれらの
塩の水溶液あるいは非水溶液の単独もしくは二種以上を
組み合わせた電解液中でアルミニウム板を陽極として電
流を流すことにより実施される。特公昭46−2748
1号、特開昭52−58602号、特開昭52−305
03号に開示されているような、電解グレインと上記陽
極酸化処理を組み合わせた表面処理も有用である。さら
に、特開昭56−28893号に開示されているような
機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレイン、陽極
酸化処理を順に行ったものも好適である。
【0022】このようにして得られた支持体表面はすで
に親水性であるが、更なる処理を施してもよい。その例
として封孔処理を挙げることができる。封孔処理は、陽
極酸化処理を施したアルミニウム基板を熱水または無機
塩や有機塩を含む熱水溶液へ浸漬させる、あるいは陽極
酸化処理を施したアルミニウム基板に水蒸気を吹き付け
ることよって行われる。また更なる親水化処理として、
アルカリ金属ケイ酸塩やポリビニルホスホン酸の水溶液
に、陽極酸化処理を施したアルミニウム基板を浸漬して
もよい。上記のごとく表面処理を施されたアルミニウム
支持体に、アルカリ可溶性基とエチレン性不飽和結合と
を有する化合物を含有する中間層および光重合性組成物
よりなる感光層を順次形成することで、本発明の感光性
平版印刷版を得る。
【0023】(光重合性感光層)本発明の平版印刷版用
原版において、前記中間層の上に設けられる光重合性感
光層(以下、単に感光層ともいう)は、チタノセン化合
物、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合
物および高分子バインダーを必須成分とし、必要に応
じ、その他の光重合開始剤、熱重合禁止剤、着色剤、可
塑剤、界面活性剤等の種々の添加剤を含む。
【0024】本発明の感光性平版印刷版に含有させるチ
タノセン化合物は、光重合開始剤としての役割を果たす
ものである。チタノセン化合物は使用する光源の波長に
より、特許、文献等で公知である種々の化合物、または
2種以上の光重合開始剤の併用系(光重合開始系)を適
宜選択して使用することができる。400nm以上の可
視光線、Arレーザー、半導体レーザーの第2高調波、
SHG−YAGレーザーを光源とする場合、種々の光重
合開始系が提案されており、例えばチタノセンと3−ケ
トクマリン色素の系(特開昭63−221110号)、
チタノセンとキサンテン色素さらにアミノ基あるいはウ
レタン基を含む付加重合可能なエチレン性不飽和化合物
を組み合わせた系(特開平4−221958号、特開平
4−219756号)、チタノセンと特定のメロシアニ
ン色素の系(特開平6−295061号)、チタノセン
とベンゾピラン環を有する色素の系(特開平8−334
897号)等を挙げることができる。
【0025】また最近400〜410nmの波長のレー
ザー(バイオレットレーザー)が開発され、それに感応
する450nm以下の波長に高感度を示す光開始系が開
発されており、これらの光開始系も使用できる。例え
ば、メロシアニン色素/チタノセン系(特開2000−
147763号)、カルバゾール型色素/チタノセン系
(特開2001−42524号)等を挙げることができ
る。チタノセン化合物としては種々のものを用いること
ができ、例えば、特開昭59−152396号、特開昭
61−151197号、特開昭63−41483号、特
開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平
2−291号、特開平3−27393号、特開平3−1
2403号、特開平6−41170号公報に記載されて
いる公知の化合物を適宜に選択して用いることができ
る。さらに具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−T
i−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti
−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−
ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1
−イル(以下「T−1」ともいう。)、ジ−シクロペン
タジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフル
オロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−T
i−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イ
ル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−
ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニ
ル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イ
ル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−
2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イ
ル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−
2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ
−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−
ジフルオロフエニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエ
ニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−
イル)フェニル)チタニウム(以下「T−2」ともい
う。)等を挙げることができる。
【0026】チタノセンと組み合わせる色素としては、
シアニン系、メロシアニン系、キサンテン系、ケトクマ
リン系、ベンゾピラン系、カルバゾール型の各色素が好
適に用いられる。色素の具体例としては、特開昭63−
221110号、特開平4−221958号、特開平4
−219756号、特開平6−295061号、特開平
8−334897号、特開2000−147763号、
特開2001−42524号、特願2001−2374
36号の各公報に記載されている色素を挙げることがで
きるが、特にこれらに限定されない。
【0027】更に必要に応じ、2−メルカプトベンズチ
アゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メ
ルカプトベンズオキサゾール等のチオール化合物、N−
フェニルグリシン、N,N−ジアルキルアミノ芳香族ア
ルキルエステル等のアミン化合物といった水素供与性化
合物を加えることにより、更に光開始能力が高められる
ことが知られている。これらの光重合開始剤(系)の使
用量は、感光層中の付加重合可能なエチレン性不飽和結
合を有する化合物100質量部に対し0.05〜100
質量部、好ましくは0.1〜70質量部、特に好ましく
は0.2〜50質量部の範囲で用いられる。
【0028】本発明の平版印刷版用原版の感光層に使用
される、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する
化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1
個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。こ
の様な化合物群は当該産業分野において広く知られるも
のであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用い
る事ができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマ
ー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、または
それらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的
形態をもつ。
【0029】モノマーおよびその共重合体の例として
は、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリ
ル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレ
イン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げら
れ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコ
ール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多
価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒド
ロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基
を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と
単官能もしくは多官能イソシアネート類あるいはエポキ
シ類との付加反応物、および単官能もしくは、多官能の
カルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置
換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド
類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、
チオール類との付加反応物、さらにハロゲン基や、トシ
ルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸
エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のア
ルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好
適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン
酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエ
ーテル等に置き換えた化合物群を使用する事も可能であ
る。
【0030】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カル
ボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アク
リル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレ
ート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3
−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリ
コールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリ
レート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリ
メチロールプロパントリアクリレート、トリメチロール
プロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテ
ル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサン
ジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオ
ールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアク
リレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペン
タエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジア
クリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレー
ト、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテト
ラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソ
ルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオ
キシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレ
ートオリゴマー等がある。
【0031】メタクリル酸エステルとしては、テトラメ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオ
ールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタ
エリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジ
メタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタク
リレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビト
ールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリ
ルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメ
チルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキ
シ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。イタコン酸エ
ステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、
プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタン
ジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイ
タコネート、テトラメチレングリコールジイタコネー
ト、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトー
ルテトライタコネート等がある。
【0032】クロトン酸エステルとしては、エチレング
リコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジ
クロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、
ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロ
トン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソク
ロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネー
ト、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マ
レイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレ
ート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリ
スリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等
がある。
【0033】その他のエステルの例として、例えば、特
公昭46−27926号、特公昭51−47334号、
特開昭57−196231号各公報記載の脂肪族アルコ
ール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭
59−5241号、特開平2−226149号各公報記
載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−16561
3号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用い
られる。さらに、前述のエステルモノマーは混合物とし
ても使用することができる。
【0034】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カ
ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチ
レンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリル
アミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、
ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレ
ンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミ
ド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例と
しては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレ
ン構造を有すものを挙げる事ができる。
【0035】また、イソシアネートと水酸基の付加反応
を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適
であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭4
8−41708号公報中に記載されている1分子に2個
以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化
合物に、下記一般式(I)で示される水酸基を含有する
ビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合
性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げら
れる。 CH2=C(R20)COOCH2CH(R21)OH 一般式(I) (ただし、R20およびR21は、HまたはCH3を示
す。)
【0036】また、特開昭51−37193号、特公平
2−32293号、特公平2−16765号に記載され
ているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−
49860号、特公昭56−17654号、特公昭62
−39417、特公昭62−39418号記載のエチレ
ンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適で
ある。さらに、特開昭63−277653,特開昭63
−260909号、特開平1−105238号各公報に
記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有
する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常
に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることがで
きる。
【0037】その他の例としては、特開昭48−641
83号、特公昭49−43191号、特公昭52−30
490号、各公報に記載されているようなポリエステル
アクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を
反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリ
レートやメタクリレートを挙げることができる。また、
特公昭46−43946号、特公平1−40337号、
特公平1−40336号各公報記載の特定の不飽和化合
物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸
系化合物等も挙げることができる。また、ある場合に
は、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアル
キル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本
接着協会誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ
(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーと
して紹介されているものも使用することができる。これ
らの付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合
物は、感光層中で2種以上併用してもよい。なお、これ
らの付加重合性化合物の使用量は、感光層全成分に対し
て5〜80質量%、好ましくは20〜75質量%であ
る。
【0038】本発明の感光性平版印刷版の感光層に用い
られる高分子バインダーは、該組成物の皮膜形成剤とし
て機能するだけでなく、アルカリ現像液に溶解する必要
があるため、アルカリ水に可溶性または膨潤性である有
機高分子重合体が使用される、該有機高分子重合体は、
例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が
可能になる。この様な有機高分子重合体としては、側鎖
にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59-4
4615号、特公昭54-34327号、特公昭58-12577号、特公昭
54-25957号、特開昭54-92723号、特開昭59-53836号、特
開昭59-71048号の各公報に記載されているもの、すなわ
ち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタ
コン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重
合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。特
にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)
アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモ
ノマー〕共重合体及び〔アリル(メタ)アクリレート(メ
タ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニル
モノマー〕共重合体が好適である。
【0039】また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸
性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する付
加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用で
ある。更に水溶性有機高分子重合体として、ポリビニル
ピロリドンやポリエチレンオキサイド等も有用である。
また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ポ
リアミドや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロ
パンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用であ
る。また特公平7−120040号、特公平7-120041号、特公
平7-120042号、特公平8-12424号、特開昭63-287944号、
特開昭63-287947号、特開平1-271741号、特開平11-3526
91号各公報に記載のポリウレタン樹脂も本発明の用途に
は有用である。
【0040】これら有機高分子重合体は側鎖にラジカル
反応性基を導入することにより硬化皮膜の強度を向上さ
せることができる。付加重合反応し得る官能基としてエ
チレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が、又
光照射によりラジカルになり得る官能基としてはメルカ
プト基、チオール基、ハロゲン原子、トリアジン構造、
オニウム塩構造等が、又極性基としてカルボキシル基、
イミド基等が挙げられる。上記付加重合反応し得る官能
基としては、アクリル基、メタクリル基、アリル基、ス
チリル基などエチレン性不飽和結合基が特に好ましい
が、又アミノ基、ヒドロキシ基、ホスホン酸基、燐酸
基、カルバモイル基、イソシアネート基、ウレイド基、
ウレイレン基、スルホン酸基、アンモニオ基から選ばれ
る官能基も有用である。
【0041】組成物の現像性を維持するためには、上記
高分子バインダーは適当な分子量、酸価を有することが
好ましく、重量平均分子量で5000〜30万、酸価20〜200
の高分子バインダーが有効に使用される。これらの高分
子バインダーは全組成物中に任意な量を混和させること
ができる。しかし、90質量%を超える場合には形成され
る画像強度等の点で好ましい結果を与えない。好ましく
は10〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%である。ま
た光重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物と高分
子結合剤は、重量比で1/9〜9/1の範囲とするのが好まし
い。より好ましい範囲は2/8〜8/2であり、更に好ましく
は3/7〜7/3である。
【0042】また、本発明においては以上の基本成分の
他に感光性組成物の製造中あるいは保存中において重合
可能なエチレン性不飽和結合含有化合物の不要な熱重合
を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが
望ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハロイドキノ
ン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−ク
レゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベン
ゾキノン、4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフ
ェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブ
チルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルア
ミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシ
ルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合禁止剤
の添加量は、全組成物の重量に対して約0.01質量%〜約5
質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合
阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのよう
な高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程
で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体
等の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好
ましい。
【0043】更に感光層の着色を目的として、着色剤を
添加してもよい。着色剤としては、例えば、フタロシア
ニン系顔料(C.I.Pigment Blue 15:3、15:4、15:6な
ど)、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなど
の顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレッ
ト、アゾ染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料
がある。染料および顔料の添加量は全組成物の約0.5質
量%〜約20質量%が好ましい。加えて、硬化皮膜の物性を
改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、
ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可
塑剤等の添加剤を加えてもよい。これらの添加量は全組
成物の10質量%以下が好ましい。
【0044】本発明の感光性平版印刷版の感光性組成物
を前述の中間層上に塗布する際には種々の有機溶剤に溶
かして使用に供される。ここで使用する溶媒としては、
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸
エチル、エチレンジクロライト、テトラヒドロフラン、
トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エ
チレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコ
ールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテ
ル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトン
アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルア
セテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテー
ト、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エ
チレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−
メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレン
グリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール
ジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエー
テル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ
ート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテ
ート−3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチル
ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラク
トン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶
媒は、単独あるいは混合して使用することができる。そ
して、塗布溶液中の固形分の濃度は1〜50質量%が適当
である。
【0045】本発明の感光性平版印刷版の感光層におけ
る光重合性組成物には、塗布面質を向上するために界面
活性剤を添加することができる。感光層の塗布量は乾燥
後の重量で0.1〜10g/m2の範囲が適当である。より好ま
しくは0.3〜5g/m2、更に好ましくは0.5〜3g/m2である。
また、通常、前記感光層の上には、酸素の重合禁止作用
を防止するために酸素遮断性の保護層が設けられる。酸
素遮断性保護層に含まれる水溶性ビニル重合体として
は、ポリビニルアルコール、およびその部分エステル、
エ−テル、およびアセタール、またはそれらに必要な水
溶性を有せしめるような実質的量の未置換ビニルアルコ
ール単位を含有するその共重合体が挙げられる。ポリビ
ニルアルコールとしては、71〜100モル%加水分解され、
重合度が300〜2400の範囲のものが挙げられる。具体的
には株式会社クラレ製PVA-105, PVA-110, PVA-117, PVA
-117H, PVA-120, PVA-124, PVA-124H, PVA-CS, PVA-CS
T, PVA-HC, PVA-203, PVA-204, PVA-205, PVA-210, PVA
-217, PVA-220, PVA-224, PVA-217EE, PVA-220, PVA-22
4, PVA-217EE, PVA-217E, PVA-220E, PVA-224E, PVA-40
5, PVA-420, PVA-613,L-8等が挙げられる。上記の共重
合体としては、88〜100モル%加水分解されたポリビニル
アセテートクロロアセテートまたはプロピオネート、ポ
リビニルホルマールおよびポリビニルアセタールおよび
それらの共重合体が挙げられる。その他有用な重合体と
してはポリビニルピロリドン、ゼラチンおよびアラビア
ゴムが挙げられ、これらは単独または併用して用いても
良い。
【0046】本発明の感光性平版印刷版において酸素遮
断性保護層を塗布する際に用いる溶媒としては、純水が
好ましいが、メタノール、エタノールなどのアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類を純
水と混合しても良い。そして塗布溶液中の固形分の濃度
は1〜20質量%が適当である。本発明における上記酸素
遮断性保護層には、さらに塗布性を向上させるための界
面活性剤、皮膜の物性を改良するための水溶性の可塑剤
等、公知の添加剤を加えても良い。水溶性の可塑剤とし
ては、たとえばプロピオンアミド、シクロヘキサンジオ
ール、グリセリン、ソルビトール等がある。また、水溶
性の(メタ)アクリル系ポリマーなどを添加しても良い。
その被服量は乾燥後の重量で0.1〜15g/m2の範囲が適当
であり、より好ましくは0.5〜5.0g/m2である。
【0047】次に本発明の平版印刷版の作成方法につい
て詳細に説明する。上述した本発明の感光性平版印刷版
は画像露光した後、無機アルカリ塩とポリオキシアルキ
レンエーテル基を有するノニオン系界面活性剤を含有す
る現像液で現像される。以下に、本発明の製版方法に好
適に用いられる現像液について説明する。
【0048】(現像液)本発明の平版印刷版の作成方法に
使用される現像液は、無機アルカリ塩、及びポリオキシ
アルキレンエーテル基を有するノニオン系界面活性剤を
含有するものが好ましい。また、このような現像液のpH
は11.0〜12.7であることが更に好ましい。無機アルカリ
塩としては適宜使用可能であるが、例えば、水酸化ナト
リウム、同カリウム、同アンモニウム、同リチウム、珪
酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、同リチウ
ム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウ
ム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭
酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、硼酸
ナトリウム、同カリウム、及び同アンモニウム等の無機
アルカリ剤が挙げられる。これらは単独でも、二種以上
を組み合わせて用いても良い。
【0049】珪酸塩を使用する場合には、珪酸塩と無機
アルカリ塩との混合比率及び濃度の調整により、現像性
を容易に調整することができる。混合比率としては、珪
酸塩と無機アルカリ塩とをそれぞれ酸化物の形でSiO2
M2O(Mはアルカリ金属またはNH4基を表す。)のように
表した場合、SiO2/M2O(モル比)が0.5〜3.0のものが
好ましく、特に1.0〜2.0のものが好ましい。前記SiO2
M2Oが0.5未満であると、アルカリ強度が強くなっていく
ため、平版印刷版用原版の支持体として汎用のアルミニ
ウム板などをエッチングしてしまうといった弊害を生ず
ることがあり、4.0を越えると、現像性が低下すること
がある。
【0050】また、現像液中のSiO2濃度が現像液の総重
量に対し、0.1〜15質量%であることが好ましく、より
好ましくは0.5〜12質量%であり、さらに好ましくは1〜
10質量%、最も好ましくは2〜8質量%である。この濃度
が0.1質量%未満であると現像性、処理能力が低下する
ことがあり、15質量%を越えると沈殿や結晶を生成し易
くなり、さらに廃液時の中和の際にゲル化し易くなり、
廃液処理に支障をきたすことがある。
【0051】また、アルカリ濃度の微少な調整、感光層
の溶解性を補助する目的で、補足的に有機アルカリ剤を
併用してもよい。有機アルカリ剤としては、モノメチル
アミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチ
ルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイ
ソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプ
ロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ
イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、
エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラ
メチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができ
る。これらのアルカリ剤は、単独もしくは2種以上を組
み合わせて用いられる。
【0052】本発明で使用される現像液には、ポリオキ
シアルキレンエーテル基を有するノニオン界面活性剤を
含有することが必須であり、この界面活性剤添加によ
り、未露光部の感光層の溶解促進、露光部への現像液の
浸透性の低減が可能となる。ポリオキシアルキレンエー
テル基を含有する界面活性剤としては、下記一般式(J)
の構造を有する物が好適に使用される。 R40−O−(R41-O)pH (J) 式中、R40は、置換基を有しても良い炭素数3〜15のアル
キル基、置換基を有しても良い炭素数6〜15の芳香族炭
化水素基、又は置換基を有しても良い炭素数4〜15の複
素芳香族環基を示す。なお置換基としては炭素数1〜20
のアルキル基、Br、Cl、I等のハロゲン原子、炭素数6〜
15の芳香族炭化水素基、炭素数7〜17のアラルキル基、
炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシ
−カルボニル基、炭素数2〜15のアシル基が挙げられ
る。R41は、置換基を有しても良い炭素数1〜100のアル
キレン基を示す。なお置換基としては、炭素数1〜20の
アルキル基、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基が挙げら
れる。pは1〜100の整数を表す。
【0053】上記式(J)の定義において、「芳香族炭化
水素基」の具体例としては、フェニル基、トリル基、ナ
フチル基、アンスリル基、ビフェニル基、フェナンスリ
ル基等が挙げられ、また「複素芳香族環基」の具体例と
しては、フリル基、チオニル基、オキサゾリル基、イミ
ダゾリル基、ピラニル基、ピリジニル基、アクリジニル
基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオニル基、ベンゾピラ
ニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基
等が挙げられる。また式(J)の(R41−O)pの部分は、上記
範囲であれば、2種又は3種の基であっても良い。具体的
にはエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基、エチレン
オキシ基とイソプロピルオキシ基、エチレンオキシ基と
ブチレンオキシ基、エチレンオキシ基とイソブチレン基
等の組み合わせのランダム又はブロック状に連なったも
の等が挙げられる。本発明において、ポリオキシアルキ
レンエーテル基を有する界面活性剤は単独又は複合系で
使用され、現像液中1〜30質量%、好ましくは2〜20質量
%添加することが効果的である。添加量が少ないと現像
性の低下がみられ、逆に多すぎると現像のダメージが強
くなり、印刷版の耐刷性を低下させてしまう。
【0054】また上記式(J)で表されるポリオキシアル
キレンエーテル基を有するノニオン界面活性剤として
は、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポ
リオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン
ステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル類、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリ
オキシエチレンナフチルエーテル等のポリオキシエチレ
ンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンメチルフェ
ニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエ
ーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等
のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類が挙
げられる。
【0055】さらに以下に記す、その他の界面活性剤を
加えてもよい。その他の界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキ
ルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタン
モノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビ
タンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソ
ルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステ
ル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモ
ノオレート等のモノグリセリドアルキルエステル類等の
ノニオン界面活性剤; ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、ブチルナ
フタレンスルホン酸ナトリウム、ペンチルナフタレンス
ルホン酸ナトリウム、ヘキシルナフタレンスルホン酸ナ
トリウム、オクチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等
のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナ
トリウム等のアルキル硫酸塩類、ドデシルスルホン酸ソ
ーダ等のアルキルスルホン酸塩類、ジラウリルスルホコ
ハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸エステル塩類等の
アニオン界面活性剤; ラウリルベタイン、ステアリルベ
タイン等のアルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界
面活性剤等が使用可能であるが、特に好ましいのはアル
キルナフタレンスルホン酸塩類等のアニオン界面活性剤
である。これら界面活性剤は単独、もしくは組み合わせ
て使用することができる。また、これら界面活性剤の現
像液中における含有量は有効成分換算で0.1〜20質量%
の範囲が好適に使用される。
【0056】本発明で使用される現像液のpHは、11.0〜
12.7、好ましくは11.5〜12.5である。11.0を下回ると画
像形成ができなくなり、逆に12.7を超えると過現像や、
露光部の現像でのダメージが強くなるという問題が生じ
るからである。また、本発明で使用される現像液の導電
率は、3〜30 mS/cmである事が好ましい。下回ると、通
常、アルミニウム板支持体表面の感光性組成物の溶出が
困難となり、印刷で汚れを伴ってしまい、逆に範囲を超
えると、塩濃度が高いため、感光層の溶出速度が極端に
遅くなり、未露光部に残膜が生じることがあるからであ
る。特に好ましい導電率は、5〜20 mS/cmの範囲であ
る。
【0057】(露光及び現像処理)本発明の感光性平版印
刷版を、例えば、カーボンアーク灯、高圧水銀灯、キセ
ノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タン
グステンランプ、ハロゲンランプ、ヘリウムガドミニウ
ムレーザー、アルゴンイオンレーザー、FD・YAGレーザ
ー、ヘリウムネオンレーザー、半導体レーザー(350nm〜
600nm)等の従来公知の活性光線で画像露光した後、現像
処理することにより、アルミニウム板支持体表面に画像
を形成することができる。画像露光後、現像までの間
に、光重合性感光層の硬化率を高める目的で50℃〜1
50℃の温度で1秒〜5分の時間の加熱プロセスを設ける
ことを行っても良い。
【0058】また、本発明における感光性平版印刷版の
感光層の上には、前述したように、通常、酸素遮断性を
有するオーバーコート層が設けてあり、上記現像液を用
いて、オーバーコート層の除去と感光層未露光部の除去
を同時に行う方法、または、水、温水でオーバーコート
層を先に除外し、その後未露光部の感光層を現像で除去
する方法が知られている、これらの水または温水には特
開平10-10754号公報に記載の防腐剤等、特開平8-278636
号公報に記載の有機溶剤等を含有させることができる。
【0059】本発明における感光性平版印刷版の前記現
像液による現像は、常法に従って、0〜60℃、好ましく
は15〜45℃程度の温度で、例えば、露光処理した感光性
平版印刷版を現像液に浸漬してブラシで擦る等により行
う。さらに自動現像機を用いて現像処理を行う場合、処
理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液または
新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させても良い。こ
のようにして現像処理された感光性平版印刷版は特開昭
54-8002号、同55-115045号、同59-58431号等の各公報に
記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有す
るリンス液、アラビアガムやデンプン誘導体等を含む不
感脂化液で後処理される。本発明の感光性平版印刷版の
後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いること
ができる。
【0060】上記のような処理により得られた印刷版は
特開2000-89478号公報に記載の方法による後露光処理や
バーニングなどの加熱処理により、耐刷性を向上させる
ことができる。このような処理によって得られた平版印
刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用
いられる。
【0061】
【実施例】以下に本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、もちろん本発明はこれらによって限定され
るものではない。 〔実施例1〕厚さ0.30mmの材質1Sのアルミニウ
ム板を、3号ナイロンブラシと400メッシュのパミス
トンの水懸濁液を用いその表面を砂目立てしたあと、よ
く水で洗浄した。10%水酸化ナトリウムに70℃で3
0秒浸漬してエッチングしたあと流水で水洗し、更に2
0%硝酸で中和洗浄し水洗した。これをVA=12.7
V、VC=9.1Vの正弦波交番波形電流を用いて、1
%硝酸水溶液中で250クーロン/dm2の陽極時電気
量で電解租面化処理を行った。ここまでで得られたアル
ミニウム板の表面粗さを、東京精密(株)製サーフコム
を用い触針先端径2μmで測定したところ、Ra表示で
0.48μmであった。引き続いてこのアルミニウム板
を25%水酸化ナトリウム水溶液に35℃で20秒間浸
漬してエッチングし、30%硫酸水溶液に浸漬し55℃
で2分間デスマットしたあと、10%硫酸水溶液中で電
流密度2A/dm2の条件下で酸化アルミニウムの被覆
量が2.7g/m2になるように陽極酸化処理を行っ
た。この板を水洗乾燥することにより、表面を親水化処
理したアルミニウム板を得た。このように処理されたア
ルミニウム板に、まずバーコーターを用いて次の中間層
液(1)を塗布したあと80℃で20秒間乾燥した。乾
燥後の中間層塗布重量は20g/m2であった。
【0062】 中間層液(1) ・本文中の化合物2 0.1g ・メタノール 100.0g この上にバーコーターを用いて下記組成の感光液(1)
を塗布したあと140℃で60秒乾燥した。乾燥後の感
光層塗布重量は1.5g/m2であった。
【0063】 感光液(1) ・エチレン性不飽和結合含有化合物(A1) 3g ・ポリマー(B1) 5g ・増感剤(C1) 0.3g ・チタノセン化合物(D1) 0.5g ・フタロシアニン分散物(E1) 0.2g ・共増感剤(F1) 0.5g ・熱重合禁止剤(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩) 0.02g ・メガファックF−176(大日本インキ化学(株)製界面活性剤) 0.01g ・メチルエチルケトン 40.0g ・プロピレングリコールモノメチルエーテル 50.0g
【0064】
【化9】
【0065】更にこの上にバーコーターを用いて下記組
成の保護層液(1)を塗布したあと120℃で120秒
乾燥した。乾燥後の保護層塗布重量は2.5g/m2
あった。得られた感光性平版印刷版を感材Aとした。 保護層液(1) ・ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度500) 5.0g ・ポリビニルピロリドン 0.3g ・純水 100.0g
【0066】〔実施例2〕厚さ0.30mmの材質1S
のアルミニウム板を、まず10%水酸化ナトリウムに7
0℃で30秒浸漬したあと流水で水洗し、更に20%硝
酸で中和洗浄し水洗した。これをVA=12.7V、V
C=9.1Vの正弦波交番波形電流を用いて、1%硝酸
水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電
解租面化処理を行った。ここまでで得られたアルミニウ
ム板の表面粗さを、東京精密(株)製サーフコムを用い
触針先端径2μmで測定したところ、Ra表示で0.2
5μmであった。引き続いてこのアルミニウム板を25
%水酸化ナトリウム水溶液に45℃で20秒間浸漬して
エッチングし、30%硫酸水溶液に浸漬し55℃で2分
間デスマットしたあと、10%硫酸水溶液中で電流密度
2A/dm2の条件下で酸化アルミニウムの被覆量が
2.0g/m2になるように陽極酸化処理を行うことに
より、表面を親水化処理したアルミニウム板を得た。こ
のように処理されたアルミニウム板に、まずバーコータ
ーを用いて下記中間層液(2)を塗布したあと80℃で
20秒間乾燥した。乾燥後の中間層塗布重量は10mg
/m2であった。
【0067】 中間層液(2) ・本文中の化合物7 0.2g ・メタノール 100.0g この上にバーコーターを用いて上記組成の感光液(1)
を塗布したあと120℃で90秒乾燥した。乾燥後の感
光層塗布重量は1.8g/m2であった。更にこの上に
バーコーターを用いて上記組成の保護層液(1)を塗布
したあと150℃で60秒乾燥した。乾燥後の保護層塗
布重量は2.0g/m2であった。得られた感光性平版
印刷版を感材Bとした。
【0068】〔実施例3〕厚さ0.30mmの材質1S
のアルミニウム板を、8号ナイロンブラシと400メッ
シュのパミストンの水懸濁液を用いその表面を砂目立て
したあと、よく水で洗浄した。10%水酸化ナトリウム
に70℃で30秒浸漬してエッチングしたあと流水で水
洗し、更に20%硝酸で中和洗浄し水洗した。これをV
A=12.0V、VC=8.8Vの正弦波交番波形電流
を用いて、1%硝酸水溶液中で170クーロン/dm2
の陽極時電気量で電解租面化処理を行った。ここまでで
得られたアルミニウム板の表面粗さを、東京精密(株)
製サーフコムを用い触針先端径2μmで測定したとこ
ろ、 Ra表示で0.63μmであった。引き続いてこ
のアルミニウム板を25%水酸化ナトリウム水溶液に3
5℃で20秒間浸漬してエッチングし、30%硫酸水溶
液に浸漬し55℃で2分間デスマットしたあと、10%
硫酸水溶液中で電流密度2A/dm2の条件下で酸化ア
ルミニウムの被覆量が2.5g/m2になるように陽極
酸化処理を行った。水洗後更に2.5%の珪酸ナトリウ
ム水溶液に70℃で1分浸漬したあと、水洗、乾燥する
ことにより、表面を親水化処理したアルミニウム板を得
た。このように処理されたアルミニウム板に、まずバー
コーターを用いて次の中間層液(3)を塗布したあと8
0℃で20秒間乾燥した。乾燥後の中間層塗布重量は2
5mg/m2であった。
【0069】 中間層液(3) ・本文中の化合物9 0.1g ・メタノール 100.0g この上にバーコーターを用いて上記組成の感光液(1)
を塗布したあと150℃で90秒乾燥した。乾燥後の感
光層塗布重量は1.1g/m2であった。更にこの上に
バーコーターを用いて上記組成の保護層液(1)を塗布
したあと150℃で60秒乾燥した。乾燥後の保護層塗
布重量は3.0g/m2であった。得られた感光性平版
印刷版を感材Cとした。
【0070】〔実施例4〜13〕実施例1〜3の感材A
〜Cにおいて、中間層に用いる化合物、及び感光層に用
いるエチレン性不飽和結合含有化合物、バインダーポリ
マーをそれぞれ下表のように変更したほかはそれぞれの
感光性平版印刷版と同じようにして、感光性平版印刷版
(感材)D〜Mを得た。
【0071】
【表1】 上表において、エチレン性不飽和結合含有化合物A2は
下記構造の化合物である。
【0072】
【化10】
【0073】またポリマーB2−B4はそれぞれ次の通
りである。 B2:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/
ヘキサメチレンジイソシアネート/2,2−ビス(ヒド
ロキシメチル)プロピオン酸/テトラエチレングリコー
ル/ポリプロピレングリコール(重合度20)=70/
30/50/25/25(モル比)のポリウレタン、重
量平均分子量3.0万 B3:アリルメタクリレート/メタクリル酸=70/3
0(モル比)の共重合体、重量平均分子量10.0万 B4:メチルメタクリレート/イソプロピルアクリルア
ミド/メタクリル酸=65/15/20(モル比)の共
重合体、重量平均分子量8.0万
【0074】〔比較例1〕実施例1において、中間層を
設けなかったほかは実施例1と同じようにして、感光性
平版印刷版を得た。得られた感光性平版印刷版を感材N
とした。 〔比較例2〕実施例1において、中間層に次の中間層液
(4)を用いたほかは実施例1と同じようにして、感光
性平版印刷版を得た。得られた感光性平版印刷版を感材
Oとした。
【0075】 中間層液(4) ・下記ゾル液 100g ・メタノール 900g ゾル液 ・ホスマーPE(ユニケミカル(株)製) 5g ・メタノール 45g ・水 10g ・85%リン酸 5g ・テトラエトキシシラン 20g ・3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン 15g 上記を混合し、25℃で48時間熟成させた液をゾル液
とした。
【0076】〔比較例3〕実施例1において、感光層に
次の感光液(2)を用いたほかは実施例1と同じように
して、感光性平版印刷版を得た。得られた感光性平版印
刷版を感材Pとした。 感光液(2)(特開平9−34104号実施例1の感光層と同一) ・バインダー樹脂(メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/アクリル酸/ ・アクリロニトリル=78/8/6/8) 4.5g ・モノマー(ペンタエリスリトールトリアクリレート) 6.0g ・ケトクマリン色素(日本感光色素(株)製;NKX−846) 0.2g ・有機過酸化物(3,3’,4,4’−テトラビス(t−ブチルジオキシカルボ ニル)ジオキシベンゾフェノン) 0.72g ・活性剤(旭硝子(株)製;サーフロンS−381) 0.1g ・メチルセルソルブ 50.0g ・メチルプロピレングリコール 50.0g
【0077】以上の実施例1〜13、比較例1〜3によ
り得られた感光性平版印刷版A〜Pを、まずFD−YA
Gレーザーを搭載したCSI社製PLATE JET4
を用い、露光量200μJ/cm2、解像度4000d
piで175線/インチの条件で、ベタ画像と1〜99
%の網点画像(1%刻み)を走査露光した。次に富士写
真フィルム(株)社製自動現像機LP−850P2を用
いて処理を行うことで平版印刷版を得た。自動現像機L
P−850P2はプレヒート、保護層部水洗、現像、水
洗、ガム引き、の順で処理を行う現像機である。その際
の条件としては、プレヒートは版面到達温度で120
℃、現像液温は25℃、現像液浸漬時間は約20秒、ガ
ム液は富士写真フィルム(株)社製FP−2W:水=
1:3の希釈液、で実施した。また現像液は下記現像液
(1)〜(3)を用い、それぞれで実施した。
【0078】 現像液(1) ・水酸化カリウム 5g ・ポリオキシエチレンフェニルエーテル(n=13) 30g ・キレスト400(キレート剤) 1g ・水 964g なお25℃における現像液(1)のpHは12.4、電
気伝導度は5mS/cmであった。
【0079】 現像液(2) ・1K−珪酸カリウム 30g ・水酸化カリウム 2g ・ポリオキシエチレンナフチルエーテル(n=12) 50g ・キレスト400(キレート剤) 1g ・水 917g なお25℃における現像液(2)のpHは12.0、電
気伝導度は30mS/cmであった。
【0080】 現像液(3) ・1K−珪酸カリウム 20g ・水酸化カリウム 1g ・ポリオキシエチレンナフチルエーテル(n=10) 70g ・キレスト400(キレート剤) 1g ・亜硫酸ナトリウム 5g ・水 903g なお25℃における現像液(1)のpHは11.6、電
気伝導度は20mS/cmであった。
【0081】これらの処理における現像性を確認した。
ここで「現像性」とは現像を含む処理において未露光の
部分が確実に除去できたかどうかを表す。したがって
「良好」は未露光の部分が確実に除去できたことを表
し、「残存あり」は未露光の部分が確実に除去できなか
ったことを表す。以上のようにして得られた平版印刷版
を小森印刷機(株)製印刷機リスロンにとりつけ印刷し
た。その際インキは大日本インキ(株)製GEOS G
を使用した。このとき、1000枚印刷したあとの印刷
物の汚れ性と、その後印刷を続けていったときの耐刷性
を確認した。ここで「汚れ性」とは、印刷時に本来無地
の部分にインキが付着したかどうかを表す。したがって
「汚れあり」は良好な印刷物が得られないということで
ある。また「耐刷性」とは、印刷物に本来インキが付着
する部分がかすれたりインキがつかなくなったりし、良
好な印刷物が得られなくなるまでの枚数を表す。したが
って枚数が多いほど耐刷性が良好であることを表す。以
上の評価の結果を表2に示した。
【0082】
【表2】
【0083】表2から明らかなように、比較例1のよう
に中間層を設けない場合には耐刷性が著しく劣化した。
また比較例2のようにゾルゲル中間層を設けた場合、現
像時に非画像部が完全に除去できず、汚れが発生した。
また比較例3のように本発明と同じ中間層を用いても、
感光層にチタノセン化合物を用いない場合にはやはり著
しく耐刷性が劣化した。一方、本発明の方法により作成
した平版印刷版はいずれも現像性良好で汚れの発生もな
く、また良好な耐刷性を示した。
【発明の効果】本発明の、親水性表面を有する支持体上
に、アルカリ可溶性基とエチレン性不飽和結合とを有す
る化合物を含有する中間層を設け、更にその上にチタノ
セン化合物、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有
する化合物、高分子バインダーを含有する光重合性感光
層を設けた感光性平版印刷版及び前記感光性平版印刷版
をレーザー光により露光したあと、無機アルカリ塩、及
びポリオキシアルキレンエーテル基を有するノニオン系
界面活性剤を含有する現像液で現像する、平版印刷版の
作成方法により、特にレーザー光による描画に適した、
画像部の優れた耐刷性と非画像部の優れた現像性及び汚
れにくさとを併せ持つ平版印刷版を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA12 AA14 AB03 AC08 AD01 BC13 BC38 BC42 BC84 CA39 CB42 DA04 DA40 FA10 FA16 FA17 2H096 AA06 BA05 CA05 EA04 EA23 GA09 GA11

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性表面を有する支持体上に、アルカ
    リ可溶性基とエチレン性不飽和結合とを有する化合物を
    含有する中間層を設け、更にその上にチタノセン化合
    物、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合
    物、及び高分子バインダーを含有する光重合性感光層を
    設けた感光性平版印刷版。
  2. 【請求項2】 アルカリ可溶性基とエチレン性不飽和結
    合とを有する化合物のアルカリ可溶性基がリンの酸素酸
    基である請求項1に記載の感光性平版印刷版。
  3. 【請求項3】 光重合性感光層上に保護層を設けた請求
    項1または2に記載の感光性平版印刷版。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の感
    光性平版印刷版をレーザー光により露光したあと、無機
    アルカリ塩、及びポリオキシアルキレンエーテル基を有
    するノニオン系界面活性剤を含有する現像液で現像す
    る、平版印刷版の作成方法。
JP2001293363A 2001-09-26 2001-09-26 感光性平版印刷版及び平版印刷版の作成方法 Abandoned JP2003098673A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001293363A JP2003098673A (ja) 2001-09-26 2001-09-26 感光性平版印刷版及び平版印刷版の作成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001293363A JP2003098673A (ja) 2001-09-26 2001-09-26 感光性平版印刷版及び平版印刷版の作成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003098673A true JP2003098673A (ja) 2003-04-04

Family

ID=19115169

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001293363A Abandoned JP2003098673A (ja) 2001-09-26 2001-09-26 感光性平版印刷版及び平版印刷版の作成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003098673A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005103968A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Fuji Photo Film Co Ltd 平版印刷版原版および平版印刷方法
US20100279230A1 (en) * 2004-08-24 2010-11-04 Tomoyoshi Mitsumoto Production method of lithographic printing plate, lithographic printing plate precursor and lithographic printing method
JP2019202999A (ja) * 2013-10-03 2019-11-28 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 結合能力が向上したリガンド官能化基材

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005103968A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Fuji Photo Film Co Ltd 平版印刷版原版および平版印刷方法
US20100279230A1 (en) * 2004-08-24 2010-11-04 Tomoyoshi Mitsumoto Production method of lithographic printing plate, lithographic printing plate precursor and lithographic printing method
JP2019202999A (ja) * 2013-10-03 2019-11-28 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 結合能力が向上したリガンド官能化基材
US11237085B2 (en) 2013-10-03 2022-02-01 3M Innovative Properties Company Ligand-functionalized substrates with enhanced binding capacity

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006065210A (ja) 感光性平版印刷版
JP4150494B2 (ja) 平版印刷版の製版方法
JP4317330B2 (ja) 感光性平版印刷版の製版方法
US20020081527A1 (en) Plate-making method of lithographic printing plate
JP2005084092A (ja) 感光性平版印刷版
JP4040476B2 (ja) 感光性平版印刷版
JP3893818B2 (ja) 平版印刷版用原版
JP4514370B2 (ja) 平版印刷版の製版方法
JP2006208780A (ja) 感光性平版印刷版
JP2003098673A (ja) 感光性平版印刷版及び平版印刷版の作成方法
JP2002091015A (ja) 平版印刷版の製版方法
JP4199935B2 (ja) 光重合性平版印刷版
JP2004117981A (ja) 感光性平版印刷版用現像液
JP3840092B2 (ja) 感光性平版印刷版
JP2000081711A (ja) 平版印刷版の作成法
JP2005049781A (ja) 感光性平版印刷版
JP2002169272A (ja) 光重合性平版印刷版
JP2003233172A (ja) 感光性平版印刷版
JP2002091014A (ja) 平版印刷版の製版方法
JP3851536B2 (ja) 平版印刷版の製版方法
JP2005215399A (ja) 感光性平版印刷版
JP2005234118A (ja) 感光性平版印刷版
JP2006178325A (ja) 光重合性組成物および該光重合性組成物を用いた感光性平版印刷版
JP2004252079A (ja) 感光性平版印刷版
JP2002091017A (ja) 平版印刷版の製版方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060124

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061206

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081009

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081020

A762 Written abandonment of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762

Effective date: 20081119