JP5612562B2 - 変性シリカ粒子並びにそれを含む感光性組成物及び感光性平版印刷版 - Google Patents

変性シリカ粒子並びにそれを含む感光性組成物及び感光性平版印刷版 Download PDF

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Description

本発明は、表面が改質された変性シリカ粒子に関し、また、当該変性シリカ粒子を含む感光性組成物及び感光性平版印刷版に関する。
近年、コンピュータ画像処理技術の進歩に伴い、デジタル信号に対応した光照射により感光層に画像を直接書き込む方法が開発されており、当該方法を平版印刷版原版に利用し、銀塩マスクフィルムへの出力を行わずに、直接、感光性平版印刷版に画像を形成するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)システムが注目されている。
CTPシステム用ネガ型感光性平版印刷版としては、例えば、主に光硬化性樹脂からなる感光層を支持体上に形成した所謂フォトポリマー型があり、フォトポリマー型の感光性平版印刷版では感光層に含まれる光重合開始剤が露光時に励起してラジカルが生成し、これにより光硬化性樹脂が架橋して不溶化することによって画像が形成される。
ところで、光硬化性樹脂の架橋が進むと、前記感光層は必然的に収縮するが、この収縮によって感光性平版印刷版の支持体と感光層との間の接着性が低下し、印刷特性が低下するおそれがある。そこで、特開平11−143082号公報に記載されるように、シリカ粒子等の充填剤を配合して感光層の強度を向上させ、これにより収縮を低減させることが考えられる。
しかしながら、そのような充填剤を使用しても感光層と支持体との接着性を十分に確保することは困難であり、結果的に、感光性平版印刷版の印刷寿命を低下させていた。
特開平11−143082号公報
本発明は、上記の現状に鑑みて為されたものであり、感光層の架橋時の自己収縮を抑制乃至低減する新規な充填剤を提供し、これにより、感光性平版印刷版の露光後の感光層と支持体との接着性を良好に維持することを目的とする。
本発明の目的は、少なくとも1つのエチレン性不飽和基、少なくとも1つの親水性部位及び少なくとも1つのシリルオキシ基を有する有機化合物によって表面改質されている変性シリカ粒子によって達成される。
前記親水性部位はポリオキシアルキレン鎖であることが好ましく、また、前記エチレン性不飽和基及び前記シリルオキシ基は前記有機化合物の分子鎖両末端に位置することが好ましい。
前記有機化合物は以下の式:
Figure 0005612562
〔式中、
RはC1-C6アルキル基であり、
Xは、-CH2-、-O-、-S-、及び、-NZ-から選択される2価の有機基(ZはH又はC1-C6アルキル基を表す)であり、
Yは、C1-C6アルキル基又はハロゲン原子であり、
mは0-100の整数であり、
nは0-100の整数であり、
但し、m+nは1以上であり、
oは0-10の整数であり、
pは0-5の整数であり、
qは0-10の整数であり、
但し、o+qは1以上である〕
を有するものが好ましい。
上記の変性シリカ粒子は、充填剤として、光重合性化合物を含む感光性組成物に好ましく配合することができる。また、感光性平版印刷版の支持体上の感光層として前記感光性組成物を好ましく使用することができる。
本発明の変性シリカ粒子によれば、それを含む感光性組成物の架橋時の収縮を抑制又は低減することができるので、当該感光性組成物からなる感光層を支持体上に備える感光性平版印刷版において露光後においても感光層と支持体との接着性を良好に維持可能である。したがって、前記感光性平版印刷版の印刷寿命を向上させることができる。
本発明の変性シリカ粒子の表面改質の概念図。
本発明において表面改質されるシリカ粒子は、当該技術分野で慣用のものであり、二酸化ケイ素(SiO2)を主成分とするものである。シリカ粒子の粒径は通常は1nm〜1000nmであり、好ましくは1nm〜500nm、より好ましくは1nm〜100nmの範囲である。シリカ粒子は市販されており、例えば、日産化学工業(株)製 スノーテックスOL(粒径45nmシリカ20%コロイド水溶液)、及び、MEK−ST(粒径10−20nmシリカ30%コロイドメチルエチルケトン溶液)日本アエロジル(株)製 AEROSIL130(粒径16nmシリカ)、水澤化学工業(株)製 ミズカシルP−527U(粒径60nmシリカ)等が挙げられる。
シリカ粒子には、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、コロイダルシリカ等の態様が存在するが、これらの中でもコロイダルシリカの使用が好ましい。
本発明では、少なくとも1つのエチレン性不飽和基、少なくとも1つの親水性部位及び少なくとも1つのシリルオキシ基を有する有機化合物によってシリカ粒子の表面が改質されて変性シリカ粒子とされる。
エチレン性不飽和基は、後述する光重合性化合物との反応性を確保するために必要であり、また、シリルオキシ基はシリカ粒子との結合を確保するために必要である。前記エチレン性不飽和基及び前記シリルオキシ基は有機化合物の分子鎖両末端に位置することが好ましく、この場合は、親水性部位はエチレン性不飽和基とシリルオキシ基との間に存在する。
親水性部位としては特に制限されるものではないがポリオキシアルキレン鎖であることが好ましく、該アルキレン鎖としてはポリエチレン鎖、ポリプロピレン鎖、若しくは、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン鎖の何れであってもよいが、特に、ポリエチレン鎖が好ましい。
前記有機化合物としては、具体的には、以下の式:
Figure 0005612562
〔式中、
RはC1-C6アルキル基であり、好ましくはメチル基又はエチル基であり、
Xは、-CH2-、-O-、-S-、及び、-NZ-から選択される2価の有機基(ZはH又はC1-C6アルキル基を表す)であり、好ましくはHであり、
Yは、C1-C6アルキル基又はハロゲン原子であり、好ましくはメチル基又はフッ素原子であり、
mは0-100の整数であり、好ましくは1-50の整数であり、
nは0-100の整数であり、好ましくは0-20の整数であり、
但し、m+nは1以上であり、
oは0-10の整数であり、好ましくは1-10の整数であり、
pは0-5の整数であり、好ましくは0-2の整数であり、
qは0-10の整数であり、好ましくは1-10の整数であり、
但し、o+qは1以上であり、好ましくは2以上である)
を有するものが好ましい。
上記の式の有機化合物をシリカ粒子と反応させると、シリルオキシ基(-Si(OR)3)がシリカ表面の水酸基と反応して共有結合を形成するので、シリカ粒子の表面が図1に示すように改質される。シリカ表面に結合したエチレン性不飽和は後述する光重合性化合物との反応部位となる。
前記有機化合物は、例えば、ポリエチレングリコールアクリレートと3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランとの反応によって得ることができる。当該反応によって得られた有機化合物は以下の構造を有する。
Figure 0005612562
前記有機化合物によるシリカ粒子の表面改質は例えば両者を所定時間接触させる等の当該技術分野で慣用の手法によって行うことができる。シリカ粒子表面の改質率は通常は50〜99%の範囲であり、好ましくは80〜99%である。シリカ粒子表面の改質率はシリカ粒子と前記有機化合物との重量比を調節することによって制御することができる。
本発明で使用される有機化合物は少なくとも1つのエチレン性不飽和を有するので、当該有機化合物により変性されたシリカ粒子と光重合性化合物を含む感光性組成物は硬化時に起こる組成物の硬化収縮が小さいため、支持体との密着性が低下しづらい。したがって、当該感光性組成物からなる感光層を支持体上に備える感光性平版印刷版は露光により感光層中の光重合性化合物が架橋して当該感光層が収縮しても支持体と感光層との良好な一体性を維持することができる。そのため結果的に感光層と支持体での接着性が高い。もし、前記有機化合物がエチレン性不飽和を有さない場合は、前記感光層と支持体との接着性は低下する。
次に、本発明の感光性組成物及び感光性平版印刷版について更に詳細に説明する。本発明の感光性組成物は、上記の変性シリカ粒子と光重合性化合物を必須に含む。
〔光重合性化合物〕
本発明の感光性組成物に含まれる光重合性化合物は特に限定されるものではないが、好ましくは、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物である。そのような化合物は光重合末端であるエチレン性不飽和二重結合基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任意に選択することができ、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはこれらの混合物ならびにこれらの共重合体等の化学的形態を持つものである。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。更に、前述のエステルモノマーの混合物もあげることができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
その他の例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート等の1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、上記の不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、または、下記の一般式(A)若しくは(B)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加せしめた、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。また、イソシアネート基と反応させる化合物は、分子内にアミノ基、イミノ基を有するものが好ましい。
Figure 0005612562
(式中、Q及びQは、独立してHあるいはCHを示す。)
Figure 0005612562
(式中、Q及びQは独立してHあるいはCHを示し、Qは−CHOHを示す。a及びcはそれぞれ独立して1〜3の整数であり、bは0又は1〜2の整数である。但し、a+b+c=4である)
また、特開昭51−37193号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。更に日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも、使用することができる。
具体的には、NKオリゴ U−4HA、U−4H、U−6HA、U−108A、U−1084A、U−200AX、U−122A、U−340A、U−324A、UA−100(以上、新中村化学工業製)、UA−306H、AI−600、UA−101T、UA−101I、UA−306T、UA−306I(以上、共栄社油脂製)、アートレジン UN−9200A、UN−3320HA、UN−3320HB、UN−3320HC、SH−380G、SH−500、SH−9832(以上、根上工業製)等を挙げることができる。
なお、これらの光重合性化合物の使用量は、感光性組成物の全成分の5〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜80質量%の範囲である。
本発明の感光性組成物は、上記変性シリカ粒子及び光重合性化合物に加えて、
(a)赤外線吸収剤、
(b)光重合開始剤、及び
(c)バインダー樹脂
を含むことが好ましい。
〔赤外線吸収剤〕
本発明の感光性組成物に配合されうる赤外線吸収剤とは、最大吸収波長が近赤外線から赤外線領域にある物質、具体的には最大吸収波長が760nm〜1200nmの領域にある物質である。このような物質としては、例えば、種々の顔料または染料が挙げられる。
本発明で使用される顔料としては、市販の顔料、および、カラーインデックス便覧「最新顔料便覧日本顔料技術協会編、1977年刊」、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)等に記載されている顔料が利用できる。顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、その他ポリマー結合色素等が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染め付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
これらの中でも、特に、近赤外線から赤外線領域の光を効率よく吸収し、しかも経済的に優れた物質として、カーボンブラックが好ましく用いられる。また、このようなカーボンブラックとしては、種々の官能基を有する分散性のよいグラフト化カーボンブラックが市販されており、例えば、「カーボンブラック便覧第3版」(カーボンブラック協会編、1995年)の167ページ、「カーボンブラックの特性と最適配合及び利用技術」(技術情報協会、1997年)の111ページ等に記載されているものが挙げられ、いずれも本発明に好適に使用される。
これらの顔料は表面処理をせずに用いてもよく、また公知の表面処理を施して用いてもよい。公知の表面処理方法としては、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等の反応性物質を顔料表面に結合させる方法などが挙げられる。これらの表面処理方法については、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている。
本発明で使用される顔料の粒径は、0.01〜15マイクロメートルの範囲にあることが好ましく、0.01〜5マイクロメートルの範囲にあることがさらに好ましい。
本発明で使用される染料としては、公知慣用のものが使用でき、例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編、昭和45年刊)、「色材工学ハンドブック」(色材協会編、朝倉書店、1989年刊)、「工業用色素の技術と市場」(シーエムシー、1983年刊)、「化学便覧応用化学編」(日本化学会編、丸善書店、1986年刊)に記載されているものが挙げられる。より具体的には、アゾ染料、金属鎖塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、インジゴ染料、キノリン染料、ニトロ系染料、キサンテン系染料、チアジン系染料、アジン染料、オキサジン染料等の染料が挙げられる。
また、近赤外線または赤外線を効率よく吸収する染料としては、例えば、欧州特許公報0,823,327、米国特許公報4,973,572、米国特許公報5,208,135に記載されているものが挙げられる。具体的には、シアニン染料、ヘミシアニン染料、ステレプトシアニン染料、メチン染料、ポリメチン染料、アリルメチン染料、ピリリウム塩、オキソノール色素、アントラキノン系色素、ポルフィリン色素、アゾ色素、クロコニウム染料、トリアリルアミン系化合物、チアゾリウム塩、オキサゾリウム塩、インドシアニン化合物、インドトリカルボシアニン色素、オキサトリカルボシアニン色素、フタロシアニン染料、チオシアニン染料、チアトリカルボシアニン染料、メロシアニン染料、ナフタロシアニン染料、ポリアニリン色素、ポリピロール誘導体、ポリチオフェン誘導体、カルコゲノピリロアリリデン化合物およびビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン染料、オキシインドリジン誘導体、ピラゾリンアゾ染料およびオキサジン染料、ナフトキノン染料、スクワリリウム色素、アリールベンゾ(チオ)ピリジニウム塩、トリメチンチアピリリウム塩、ピリリウム系化合物、ペンタメチンチオピリリウム塩、赤外吸収染料等が挙げられる。更に、アメリカンダイソース社のADS-830AおよびADS−106を使用することも出来る。
これらの中でも、赤外線吸収剤としては、後述する光重合開始剤に効率よく重合機能を発揮させることから、下記式で表される近赤外線吸収性陽イオン染料が好ましい。
Figure 0005612562
(式中、
は近赤外線領域に吸収を持つ陽イオン色素を示し、
はアニオンを示す。)
近赤外線領域に吸収を持つ陽イオン色素としては、近赤外線領域に吸収を持つシアニン系色素、トリアリールメタン系色素、アミニウム系色素、ジインモニウム系、色素等が挙げられる。近赤外線領域に吸収を持つ陽イオン色素の具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
Figure 0005612562
Figure 0005612562
Figure 0005612562
アニオンとしては、ハロゲン陰イオン、ClO 、PF 、BF 、SbF 、CHSO 、CFSO 、CSO 、CHSO 、HOCSO 、ClCSO 、および下記式(3)で表されるホウ素陰イオンなどが挙げられる。ホウ素陰イオンとしては、トリフェニルn−ブチルホウ素陰イオン、トリナフチルn−ブチルホウ素陰イオンが好ましい。
Figure 0005612562
(式中、R ,R ,R およびR は、それぞれ独立してアルキル基、アリール基、アルカリール基、アリル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂環式基、または飽和もしくは不飽和複素環式基を示し、R ,R ,R およびR のうち少なくとも1つは炭素数1〜8個のアルキル基である。)
本発明において、好適に用いることのできるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号明細書の段落番号[0017]〜[0019]や特開2002−40638号明細書の段落番号[0032]〜[0035]に記載されたものも挙げることができる。
赤外線吸収剤は、上記の顔料または染料の中から、後述する光源の特定波長を吸収しうる適当な顔料または染料を少なくとも1種を選び、感光性組成物に添加することにより使用される。
赤外線吸収剤として顔料を使用する場合、顔料の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、0.5〜15質量%の範囲が好ましく、1〜10質量%の範囲が特に好ましい。顔料の含有量が0.5質量%未満では、赤外線の吸収が不十分であり、顔料の含有量が15質量%を超えると、発生する熱量が多すぎる傾向にあるので好ましくない。
赤外線吸収剤として染料を使用する場合、染料の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、0.5〜15質量%の範囲が好ましく、1〜10質量%の範囲が特に好ましい。染料の含有量が0.5質量%未満では、赤外線の吸収が不十分であり、染料の含有量が15質量%を超えると、赤外線の吸収が実質的に飽和に達して添加の効果が上がらない傾向にあるので好ましくない。
〔光重合開始剤〕
光重合開始剤としては、使用する光源の波長により、特許文献、非特許文献等で公知である種々の光重合開始剤、あるいは2種以上の光重合開始剤の併用系(光重合開始系)を適宜選択して使用することができる。なお、本発明においては単独で用いる光重合開始剤、2種以上の光重合開始剤を併用した系を総括して単に「光重合開始剤」という。
光重合開始剤としては、有機ホウ素化合物、オニウム塩、トリアジン系化合物が好適である。これらの光重合開始剤は単独でもまたそれぞれ2種以上組み合わせて用いてもよい。
有機ホウ素化合物は、前述の赤外線吸収剤と併用することで重合開始剤としての機能を発現する。有機ホウ素化合物としては、下記式(2)で表される4級ホウ素アニオンのアンモニウム塩が好適である。
Figure 0005612562
(式中、R ,R ,R およびRは、それぞれ独立してアルキル基、アリール基、アルカリール基、アリル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂環式基、または飽和もしくは不飽和複素環式基を示し、R ,R ,R およびRのうち少なくとも1つは炭素数1〜8個のアルキル基である。また、R ,R ,R10 およびR11は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基、アルカリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂環式基、または飽和もしくは不飽和複素環式基を示す。)
これらの中でも、効率よく重合機能を発揮できることから、テトラn−ブチルアンモニウムトリフェニルホウ素、テトラn−ブチルアンモニウムトリナフチルホウ素、テトラn−ブチルアンモニウムトリ(p−t−ブチルフェニル)ホウ素、テトラメチルアンモニウムn−ブチルトリフェニルホウ素、テトラメチルアンモニウムn−ブチルトリナフチルホウ素、テトラメチルアンモニウムn−オクチルトリフェニルホウ素、テトラメチルアンモニウムn−オクチルトリナフチルホウ素、テトラエチルアンモニウムn−ブチルトリフェニルホウ素、テトラエチルアンモニウムn−ブチルトリナフチルホウ素、トリメチルハイドロゲンアンモニウムn−ブチルトリフェニルホウ素、トリエチルハイドロゲンアンモニウムn−ブチルトリフェニルホウ素、テトラハイドロゲンアンモニウムn−ブチルトリフェニルホウ素、テトラメチルアンモニウムテトラn−ブチルホウ素、テトラエチルアンモニウムテトラn−ブチルホウ素などが好ましく用いられる。
上記の有機ホウ素化合物は、前述の赤外線吸収剤(例えば、D )と併用することで、赤外線の照射によって下記式(5)に示すようにラジカル(R・)を発生させ、重合開始剤としての機能を発現することができる(式中、Phはフェニル基、Rは炭素数1〜8個のアルキル基、X はアンモニウムイオンを示す)。
Figure 0005612562
有機ホウ素化合物の含有量は、感光層の固形分に対して、0.1〜15質量%の範囲が好ましく、0.5〜7質量%の範囲が特に好ましい。有機ホウ素化合物の含有量が0.1質量%未満では、重合反応が不十分となり、硬化が不足して、得られるネガ型感光性平版印刷版の画像部が弱くなり、有機ホウ素化合物の含有量が15質量%を超えると、重合反応が効率的に起こらない。また必要に応じて、2種以上の(B)有機ホウ素化合物を併用してもよい。
オニウム塩は、分子中に1個以上のオニウムイオン原子を有するカチオンと、アニオンとからなる塩である。オニウム塩におけるオニウムイオン原子としては、スルホニウムにおけるS 、ヨードニウムのI、アンモニウムにおけるN、ホスホニウムにおけるP 原子、ジアゾニウムのN2+などが挙げられる。中でも、好ましいオニウムイオン原子としては、S、I、N2+が挙げられる。オニウム塩の構造としては、トリフェニルスルホニウム、ジフェニルヨードニウム、ジフェニルジアゾニウム、およびそれら化合物のベンゼン環にアルキル基、アリール基等を導入した誘導体、およびその化合物のベンゼン環にアルキル基、アリール基等を導入した誘導体が挙げられる。
オニウム塩のアニオンとしては、ハロゲン陰イオン、ClO 、PF 、BF 、SbF 、CHSO 、CFSO 、CSO 、CHSO 、HOCSO 、ClCSO 、上記式(3)で表されるホウ素陰イオンなどが挙げられる。
オニウム塩としては、感度、保存安定性の点から、分子中にS を有するオニウム塩と、分子中にI を有するオニウム塩とを組み合わせたものも好ましい。また、オニウム塩としては、感度、保存安定性の点から、1分子中に2個以上のオニウムイオン原子を有する多価オニウム塩も好ましい。ここで、カチオン中の2個以上のオニウムイオン原子は、共有結合により連結されている。多価オニウム塩の中でも、1分子中に2種以上のオニウムイオン原子を有するものが好ましく、1分子中にS およびI を有するものもより好ましい。特に、多価オニウム塩としては、下記式(6)、(7)で示されるものが好ましい。
Figure 0005612562
Figure 0005612562
さらに、特開2002−082429号明細書の段落番号[0033]〜[0038]に記載されたオニウム塩も本発明において好適に用いることができる。
オニウム塩の含有量は、感光層の固形分に対して、0.1〜15質量%の範囲が好ましく、0.5〜7質量%の範囲が特に好ましい。オニウム塩の含有量が0.1質量%未満では、重合反応が不十分となり、得られるネガ型感光性平版印刷版の感度、耐刷性が不十分となるおそれがあり、オニウム塩の含有量が15質量%を超えると、得られるネガ型感光性平版印刷版の現像性が悪くなる。また必要に応じて、2種以上のオニウム塩を併用してもよい。また、多価オニウム塩と、一価のオニウム塩とを併用してもよい。
トリアジン系化合物は、ラジカル重合に用いられる公知の重合開始剤であり、例えば、ビス(トリハロメチル)−s−トリアジン等を好適に光重合開始剤として使用することができる。
トリアジン系化合物の配合量は、通常わずかなものである。また、不適当に多い場合には有効光線の遮断や塗工後に感光層内で結晶化して再析出を起こす等の好ましくない結果を生じる。トリアジン系化合物の含有量は、感光層の固形分に対して0.1〜15質量%の範囲で使用するのが好ましい。特に0.5〜7質量%で良好な結果を得る。
また、光重合開始剤にはメルカプト−3−トリアゾール等のメルカプト化合物、アミン化合物等の任意の促進剤を加えてもよい。
〔バインダー樹脂〕
バインダー樹脂としては、アルカリ現像液を使用する場合は、アルカリ水に可溶性又は膨潤性である有機高分子重合体が好適に使用される。アルカリ水に可溶性又は膨潤性である有機高分子重合体としては、種々のものが挙げられるが、主鎖または側鎖にアルカリ可溶性基(酸基)を有するものが好ましい。酸基としてはpKa0〜12以下の酸基が好ましく、特にカルボン酸基、フェノール性水酸基、スルホンアミド基、N−スルホニルカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基などに代表される活性アミノ、イミノ基がより好ましい。この様な有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているもの、即ちメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等や、側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたもの、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、並びに、硬化皮膜の強度を上げ得るアルコール可溶性ポリアミドや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等が挙げられる。これらの中で、〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体及び〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体が、特に好ましい。更には、特公平7−120040号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特開平11−352691号の各公報に記載のポリウレタン樹脂も本発明の用途に使用できる。
これら高分子重合体は、側鎖にラジカル反応性基を導入することによりバインダー樹脂からなる皮膜の強度を向上させることができる。付加重合反応し得る官能基としては、エチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられ、また光照射によりラジカルになり得る官能基としては、メルカプト基、チオール基、ハロゲン原子、トリアジン構造、オニウム塩構造等が、又極性基としてカルボキシル基、イミド基等が挙げられる。上記付加重合反応し得る官能基としては、アクリル基、メタクリル基、アリル基、スチリル基等のエチレン性不飽和結合基が特に好ましいが、アミノ基、ヒドロキシ基、ホスホン酸基、燐酸基、カルバモイル基、イソシアネート基、ウレイド基、ウレイレン基、スルフォン酸基、アンモニオ基から選ばれる官能基も使用し得る。
感光性平版印刷版の現像性を維持するためには、使用されるバインダー樹脂は適当な分子量、酸価を有することが好ましく、重量平均分子量で5000〜30万、酸価20〜200(KOH mg/g-resin)の高分子重合体が特に好ましい。これらのバインダー樹脂は、感光層中に任意な量で含有させることができるが、90質量%を超える場合には当該層を用いて形成される画像強度等の点で好ましい結果を与えない場合があるので、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%である。また前記した光重合性化合物とバインダー樹脂の使用割合は、重量比で1/9〜9/1の範囲とするのが好ましく、より好ましくは2/8〜8/2であり、最も好ましくは3/7〜7/3である。
画像形成後に現像処理を行なうことなく、そのまま印刷機に装着し、シリンダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによって、印刷用原版の非画像部を除去する機上現像タイプや、画像形成後に中性の現像液を使用して現像するタイプの高分子重合体の場合は、側鎖にアルキレンオキシド鎖を有するグラフトポリマー、主鎖にアルキレンオキシド鎖を有するブロックコポリマーが好適に使用される。アルキレンオキシド鎖としては、ポリオキシエチレン単位、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン単位が好ましい。例えば、ポリエチレングリコールモノメタクリレートとその他の不飽和基含有化合物との共重合体が挙げられる。
ここで、好適に使用されるグラフトポリマーとしては、高分子重合体の側鎖に親水性のアルキレンオキシド鎖、疎水性の基、を兼ね備えたものが挙げられる。疎水性の基としては、シアノ基、フェニル基、アミド基、置換フェニル基、アルキルエステル基、置換アルキルエステル基等が挙げられる。この置換フェニル基は、芳香環の水素が、他のアルキル基、やヘテロ原子、ヘテロ原子を起点にした修飾基、複数の芳香環が縮合したものも含まれる。また、置換アルキル基とは、それ自体で環を形成しても良い。アルキルエステル基の構造は下記式で表されるものである。
Figure 0005612562
Rとしては、置換基を有してもよいアルキル、シクロアルキル基となる。該側鎖はカルボニル基(C=O)を介してバインダー主鎖に結合している。
ここでのポリアルキレンオキシド鎖とは、ポリアルキレンオキサイドセグメントを有するものを示す。一般的に、その大部分がポリアルキレンオキサイドセグメントからなっており、連結基および末端基を有することもできる。また、ポリアルキレンオキサイドセグメントとは、アルキレンオキシド構成単位のブロックを含むオリゴマー、もしくはポリマーのことを表す。
アルキレンオキシド構成単位とは、具体的には(C1-C6)アルキレンオキシド基であって、より具体的には、(C1-C3)アルキレンオキシド基を挙げることが出来る。
よって、ポリアルキレンオキシドセグメントは、
-(CH2-O-),-(CH2CH2-O-),-(CH(CH3)-O-),-(CH2CH2CH2-O-),-(CH(CH3)CH2-O-),
-(CH2CH(CH3)-O-)、またはこれらの組み合わせのように、1〜3の炭素原子を有する直鎖もしくは側鎖のアルキレンオキサイド基を挙げられる。これらの中でも、-(CH2CH2-O-)構成単位を有することがより好ましい。
アルキレンオキシド単位の数平均分子量は、100から10万が好ましく、さらに500から1万の高分子重合体が特に好ましい。
ポリアルキレンオキサイド鎖として、具体的には以下のものが用いられる。
-C(=O)O-((CH2)xO)y-R,
xは1〜3を、yは5〜180を、Rは末端基を示す。Rに制限はないが、水素原子、1〜6の炭素原子を有するアルキル基を用いることが好ましい。アルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、neo-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1、1-ジメチルブチル基、2、2-ジメチルブチル基、シクロペンチル基、またシクロヘキシル基が用いられる。
ポリアルキレンオキサイド鎖として、以下が用いられることが好ましい。
-C(=O)O-(CH2CH2O)y-CH3,
yは12〜200であり、より好ましくは25〜75である。さらに好ましくは、yは40〜50である。
また、共重合成分としては、シアノ基含有モノマー、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、ヒドロキシスチレン、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。好ましくは、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレンおよびその誘導体、メタクリル酸メチル、またはメタクリル酸アリルの誘導体が挙げられる。
バインダー樹脂の具体例の一つとして、以下に示すようなモノマーおよび/またはマクロマーの共重合成分により構成されるものが挙げられる。
共重合成分A)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、またはその混合物
共重合成分B)ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレートあるいはポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレートのようなアクリル酸あるいはメタクリル酸のポリ(アルキレングリコール)エステル
共重合成分C)必要であれば、スチレンやメタクリルアミドなどのようなモノマー、あるいはモノマーの混合物
共重合成分A)としては、組成中の20%から95%が好ましく、50%から90%が更に好ましい。共重合成分B)としては、組成中の1%から40%が好ましく、4%から30%が更に好ましい。共重合成分C)としては、組成中の4%から40%が好ましく、6%から49%が更に好ましい。
共重合成分B)のマクロマーBは、例えば、ポリエチレングリコールモノメタクリレートおよびポリプロピレングリコールメチルエーテル・メタクリレート、ポリエチレングリコールエチルエーテルメタクリレート、ポリエチレングリコールブチルエーテルメタクリレート、ポリプロピレングリコールヘキシルエーテルメタクリレート、ポリプロピレングリコールオクチルエーテルメタクリレート、ポリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールエチルエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメチルエーテルメタクリルレート、ポリプロピレングリコールエチルエーテルメタクリレート、ポリプロピレングリコールブチルエーテルメタクリレート、ポリエチレングリコール/プロピレングリコールメチルエーテルメタクリレート、ポリ(ビニルアルコール)モノメタクリレート、ポリビニルアルコールモノアクリレートあるいはそれの混合物が挙げられる。
および、モノマーBとしては、一般にポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)メチルエーテルメタクリレートあるいはそれの混合物が用いられる。
モノマーCとして、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸メチルのようなメタクリル酸エステル、メタクリル酸アリル、ヒドロキシエチルメタクリレート、スチレン、ヒドロキシスチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、あるいはこれらの組み合わせを挙げられる。これらの中でも、スチレン、メタクリルアミド、あるいはその誘導体がより好ましい。
具体的には、スチレンおよび3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、4-メトキシスチレン、4-アセトキシスチレン、α‐メチルスチレン、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、n-ヘキシルアクリレート、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、n-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリル酸、n-ペンチルメタクリレート、neo-ペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレートおよび2-エトキシエチルメタクリレート、3-メトキシプロピルメタクリレート、メタクリル酸アリル、酢酸ビニル、酪酸ビニル、メチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、弗化ビニル、塩化ビニル、臭化ビニル、無水マレイン酸、マレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミドおよび混合物が挙げられる。
これらのモノマーは公知のラジカル重合法で合成され、重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等、一般的に使用される公知の開始剤が好適に使用される。
ラジカル重合が行われる溶媒には、反応物質に対して不活性であって、かつ反応に悪影響を与えない液体が用いられる。具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトンおよびアセトンのようなケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールおよびブタノールのようなアルコール、ジオキサンとテトラヒドロフランのようなエーテル、水、およびそれらの混合物が用いられる。
バインダー樹脂に加えて、1つ以上の副バインダー樹脂を含んでもよい。副バインダー樹脂には、水溶性もしくは水分散されるポリマーが用いられる。例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピル・セルロース、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリラクチド、ポリビニルホスホン酸、合成コポリマー、およびその混合物が挙げられる。前記合成コポリマーとは、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートのようなアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、メタクリル酸アリルのようなモノマーとのコポリマーなどのことを示す。
本発明の感光性組成物においては、更に、感光性組成物の製造中あるいは保存中において光重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。好ましい熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。この種の熱重合禁止剤の添加量は、感光性組成物の全成分の約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で光重合性感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光性組成物の全成分の0.5〜10質量%が好ましい。
更に感光性組成物の着色を目的として、着色剤を添加してもよい。着色剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料(C.I.Pigment Blue 15:3、15:4、15:6等)、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料がある。染料及び顔料の添加量は、感光性組成物の全成分の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
加えて、感光層から得られる硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。また、塗工表面の塗膜性を向上させる目的で、公知の界面活性剤を加えても良い。公知の界面活性剤としては、フッ素系の界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系のノニオン界面活性剤、ジアルキルシロキサン等のシリコン系の界面活性剤等が挙げられる。
本発明の感光性平版印刷版は、後述する各種表面処理を必要に応じて施された支持体上に、上記の感光性組成物からなる感光層を備えるものである。当該感光層は上記の感光性組成物を各種の有機溶剤に溶解して支持体上に塗布することにより得ることができる。本発明の感光性平版印刷版は好ましくはネガ型である。
ここで使用し得る溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、水等がある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。尚、塗布溶液中の固形分濃度は、1〜50質量%が適当である。
本発明の感光性平版印刷版における感光層の被覆量は、塗布乾燥後の重量で0.1〜10g/mの範囲が適当であり、より好ましくは0.3〜5g/mであり、更に好ましくは0.5〜3g/mである。
本発明の感光性平版印刷版は、通常、露光を大気中で行うため、感光層の上に、更に、保護層を設けることが好ましい。保護層は、感光層中における重合反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光条件を容易とする。このような保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、更に、露光に用いる照射光の透過性が良好で、感光層との密着性に優れ、かつ、現像時に容易に除去できることである。
保護層の材料としては、例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物が挙げられ、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸等である。これらのうち、ポリビニルアルコールを主成分として用いると、酸素遮断性、現像除去性といった基本的特性に最も良好な結果を与える。保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテルおよびアセタールで置換されてもよい。また、同様に、一部が他の共重合成分を有していてもよい。
ポリビニルアルコール(PVA)の具体例としては、71〜100%加水分解され、分子量が300から2400の範囲のものを挙げることができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、PVA−L8等が挙げられる。
保護層の成分(PVAの種類の選択、添加剤の使用等)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には、使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程、酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・保存時に不要な重合反応は生じたり、また、露光時に不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。すなわち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の重合層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。2層間の接着性を改良する方法としては、主に、ポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中にアクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合する方法が挙げられる。
〔支持体〕
本発明の感光性平版印刷版の支持体は、表面が親水性であれば如何なるものでも使用し得るが、寸度的に安定な板状物が好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、また、例えばアルミニウム(アルミニウム合金も含む。)、亜鉛、銅等のような金属またはその合金(例えばケイ素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケルとの合金)の板、更に、例えば二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酪酸酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等のようなプラスチックのフィルム、上記の如き金属又は合金がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルム等が挙げられる。これらの支持体のうち、アルミニウム板は寸度的に著しく安定であり、しかも安価であるので特に好ましい。更に、特公昭48−18327号に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。通常その厚さは0.05mm〜1mm程度である。
また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、後述する砂目立て処理、陽極酸化処理、あるいは珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理等の表面処理がなされていることが好ましい。
[砂目立て処理]
砂目立て処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的砂目立て、化学的エッチング、電解グレイン等がある。更に塩酸又は硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学的砂目立て方法、及びアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法のような機械的砂目立て法を用いることができ、上記砂目立て方法を単独あるいは組み合わせて用いることもできる。その中でも本発明において有用に使用される表面粗さを作る方法は、塩酸又は硝酸電解液中で化学的に砂目立てする電気化学的方法であり、適する電流密度は100〜400C/dmの範囲である。さらに具体的には、0.1〜50%の塩酸又は硝酸を含む電解液中、温度20〜100℃、時間1秒〜30分、電流密度100〜400C/dmの条件で電解を行うことが好ましい。
このように砂目立て処理されたアルミニウム支持体は、酸又はアルカリにより化学的にエッチングされる。酸をエッチング剤として用いる場合は、微細構造を破壊するのに時間がかかり、工業的に本発明を適用するに際しては不利であるが、アルカリをエッチング剤として用いることにより改善できる。
好適に用いられるアルカリ剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられ、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃であり、アルミニウムの溶解量が5〜20g/mとなるような条件が好ましい。
エッチングの後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸としては、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が挙げられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法、及び、特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。尚、本発明において好ましいアルミニウム支持体の表面粗さ(Ra)は、0.3〜0.7μmである。
[陽極酸化処理]
以上のようにして処理されたアルミニウム支持体は、さらに陽極酸化処理が施される。陽極酸化処理は、当該技術分野において従来より行われている方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルフォン酸等あるいはこれらの二種以上を組み合わせて、水溶液又は非水溶液中でアルミニウムに直流又は交流を流すと、アルミニウム支持体表面に陽極酸化皮膜を形成することができる。陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液の濃度が1〜80%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60アンペア/dm、電圧1〜100V、電解時間10〜100秒の範囲が適当である。
これらの陽極酸化処理のうちでも特に英国特許第1,412,768号明細書に記載されている、硫酸中で高電流密度で陽極酸化する方法、及び、米国特許第3,511,661号明細書に記載されているリン酸を電解浴として陽極酸化する方法が好ましい。
本発明においては、陽極酸化皮膜は1〜10g/mであることが好ましく、1g/m未満であると版に傷が入りやすく、10g/mを超えると製造に多大な電力が必要となり、経済的に不利である。好ましくは、1.5〜7g/mであり、更に好ましくは、2〜5g/mである。
更に、本発明においては、支持体は、砂目立て処理及び陽極酸化後に、封孔処理を施されてもよい。かかる封孔処理は、熱水及び無機塩又は有機塩を含む熱水溶液への基板の浸漬並びに水蒸気浴などによって行われる。また本発明で使用される支持体には、アルカリ金属珪酸塩によるシリケート処理以外の処理、たとえば弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理などの表面処理が施されてもよい。
本発明においては、支持体(アルミニウムの場合には、上記の如く適宜表面処理を施されたアルミニウムが好ましい)上に、前記した感光性組成物からなる感光層を塗布し、必要に応じて更に保護層を塗工することで、感光性平版印刷版が形成されるが、感光層を形成する前に必要に応じて有機又は無機の下塗り層を支持体上に設けてもよいし、特開平7−159983号に開示されているようなラジカルによって付加反応を起こし得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理を施してもよい。
有機下塗層を形成する物質としては、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸およびその共重合体、スルホン酸基を側鎖に有する重合体及び共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等が挙げられる。更に具体的には、有機下塗層に用いられる有機化合物としては例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸等のアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸等の有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸等の有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸等の有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニン等のアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩等のヒドロキシル基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、二種以上混合して用いてもよい。
特にビニルホスホン酸とメタクリル酸ポリエチレングリコールエステルとの共重合体が好ましい。ポリエチレングリコール部位の重量平均分子量としては、80から400のものが特に好適に使用される。
この有機下塗層は次のような方法で設けることが出来る。即ち、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトン等の有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液を支持体上に塗布、乾燥して設ける方法と、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトン等の有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、支持体を浸漬して上記有機化合物を吸着させ、しかる後、水等によって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。
前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布等いずれの方法を用いてもよい。また、後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。
これらに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウム等の塩基性物質や、塩酸、リン酸等の酸性物質によりpHを調節し、pH1〜12の範囲で使用することもできる。また、感光性平版印刷版の調子再現性改良のために、黄色染料を添加することもできる。
有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜200mg/mが適当であり、好ましくは5〜100mg/mである。上記の被覆量が2mg/mより少ないと十分な耐刷性が得られない。また、200mg/mより大きくても同様である。
また、無機下塗り層に用いられる物質としては、酢酸コバルト、酢酸ニッケル、フッ化チタン酸カリウム等の無機塩等が挙げられ、この無機下塗り層の設け方は、上記した有機下塗り層と同様である。
かくして得られた感光性平版印刷版は、Arレーザー、半導体レーザーの第2高調波(SHG−LD、350〜600nm)、YAG−SHGレーザー、InGaN系短波半導体レーザー等により直接露光された後、現像処理可能であるが、明室で取り扱うことを可能とするために、近赤外線から赤外線領域に最大強度を有する高出力レーザーが好ましく使用される。このような近赤外線から赤外線領域に最大強度を有するレーザーとしては、760〜1200nmの波長領域に最大強度を有する各種レーザーが使用される。尚、画像露光後、現像までの間に、光重合性感光層の硬化率を高める目的で50℃〜150℃の温度で1秒〜5分の時間の加熱プロセスを設けてもよい。
かかる現像処理に使用される現像液としては、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウム等の無機アルカリ剤が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤を併用してもよい。これらのアルカリ剤は単独もしくは2種以上を組み合わせて用いられる。
また更に現像液に、以下に記すその他の界面活性剤を加えてもよい。その他の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート等のモノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ペンチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ヘキシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、オクチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩類、ドデシルスルホン酸ソーダ等のアルキルスルホン酸塩類、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸エステル塩類等のアニオン界面活性剤;ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のアルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤が使用可能であるが、特に好ましいのはアルキルナフタレンスルホン酸塩類等のアニオン界面活性剤、アルキルベタイン類、式(1)で示されるポリオキシアルキレンエーテル基を有するノニオン界面活性剤である。
Figure 0005612562
{式(1)中、Rは置換基を有してもよい炭素数3〜15のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、又は置換基を有してもよい炭素数4〜15の複素芳香族環基(該置換基としては炭素数1〜20のアルキル基、Br、Cl、I等のハロゲン原子、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、炭素数7〜17のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシ−カルボニル基、炭素数2〜15のアシル基が挙げられる。)を示し、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基(該置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基が挙げられる)を示し、nは1から100の整数を表す}。また式(1)の(R−O)nの部分は、上記範囲であれば、2種、又は3種の基であってもよい。具体的にはエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基、エチレンオキシ基とイソプロピルオキシ基、エチレンオキシ基とブチレンオキシ基、エチレンオキシ基とイソブチレン基等の組み合わせのランダム又はブロック状に連なったものが挙げられる。
これら界面活性剤は単独、もしくは組み合わせて使用することが出来る。また、これら界面活性剤の現像液中における含有量は有効成分換算で0.1〜20質量%が好ましい。
本発明において、前記現像液には上記の成分の他に、必要に応じて以下の様な成分を併用することができる。例えば安息香酸、フタル酸、p−エチル安息香酸、p−n−プロピル安息香酸、p−イソプロピル安息香酸、p−n−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−2−ヒドロキシエチル安息香酸、デカン酸、サリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の有機カルボン酸;イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の有機溶剤;この他、キレート剤、還元剤、染料、顔料、硬水軟化剤、防腐剤、消泡剤等が挙げられる。
本発明の感光性平版印刷版の前記現像液による現像は、常法に従って、0〜60℃、好ましくは15〜40℃程度の温度で、例えば、露光処理した平版印刷版を現像液に浸漬してブラシで擦る等により行う。更には自動現像機を用いて現像処理を行ってもよく、その場合には、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させても良い。なお、感光層上に保護層が設けられている場合は、前記した現像液を用いて、保護層の除去と感光層の未露光部の除去を同時に行ってもよいし、又は、水、温水で保護層を先に除外し、その後未露光部の感光層を現像液で除去してもよい。これらの水又は温水には、例えば特開平10−10754号公報に記載の防腐剤、特開平8−278636号公報に記載の有機溶剤等を含有させることができる。
このようにして現像処理された感光性平版印刷版は、好ましくは、特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理される。本発明の感光性平版印刷版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
また、昨今の環境問題に配慮しての、pHが中性領域のいわゆる水を用いて現像することも出来る。この場合も現像性向上を目的とした、段落番号[0124]に記載の界面活性剤、現像後の版面の不感脂化を目的とした、段落番号[0129]に記載の不感脂化液を、現像液として水に対して添加することも出来る。
上記のような処理により得られた印刷版は、周知の後露光処理やバーニング等の加熱処理により、耐刷性を向上させることができる。次いで、以上のような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
また、得られた感光性平版印刷版は、機上現像タイプと称する、得られた感光性平版印刷版を画像様に露光後、そのまま印刷機版胴に取り付けて印刷を開始できる版にも使用する事が出来る。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
[シラン含有モノマー1の合成]
100mlのフラスコ中に22.27gのポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Mn=550、アルドリッチ社製)を導入した。ポリエチレングリコールモノメチルエーテルをメカニカルスターラーで撹拌しつつ、10gの3−イソシアネート プロピルトリエトキシシラン(ユニオンカーバイド社製A−1310)をフラスコに導入した。3−イソシアネート プロピルトリエトキシシランの導入後、0.5gのジブチル錫ジラウレート(東京化成工業(株)製)を添加した。反応混合物の温度が上昇したので、当該反応混合物を水浴で冷却した。反応混合物は一晩撹拌された。撹拌後、IRスペクトルでは残存イソシアネートは確認されなかった。次に、0.5gのメタノールを添加して、内容物をフラスコから取り出した。
[シラン含有モノマー2の合成]
100mlのフラスコ中に20.73gのポリエチレングリコールモノアクリレート(Mn=512、日本油脂(株)製AE−400)を導入した。ポリエチレングリコールモノアクリレートをメカニカルスターラーで撹拌しつつ、10gの3−イソシアネート プロピルトリエトキシシラン(ユニオンカーバイド社製A−1310)をフラスコに導入した。3−イソシアネート プロピルトリエトキシシランの導入後、0.5gのジブチル錫ジラウレート(東京化成工業(株)製)を添加した。反応混合物の温度が上昇したので、当該反応混合物を水浴で冷却した。反応混合物は一晩撹拌された。撹拌後、IRスペクトルでは残存イソシアネートは確認されなかった。次に、0.5gのメタノールを添加して、内容物をフラスコから取り出した。
[シラン含有モノマー3の合成]
100mlのフラスコ中に17.09gのポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製ブレンマー70PEP−350E)及びMEKを導入した。混合物をメカニカルスターラーで撹拌しつつ、10gの3−イソシアネート プロピルトリエトキシシラン(ユニオンカーバイド社製A−1310)をフラスコに導入した。3−イソシアネート プロピルトリエトキシシランの導入後、0.5gのジブチル錫ジラウレート(東京化成工業(株)製)を添加した。反応混合物の温度が上昇したので、当該反応混合物を水浴で冷却した。反応混合物は一晩撹拌された。撹拌後、IRスペクトルでは残存イソシアネートは確認されなかった。次に、0.5gのメタノールを添加して、内容物をフラスコから取り出した。
[シラン含有モノマー4の合成]
100mlのフラスコ中に15.0gのポリエチレングリコール変性末端ジイソシアネート化合物(住化バイエルウレタン VPLS2306)と15gのMEKの混合物をメカニカルスターラーで撹拌しつつ、6.33gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学製KBM−903)と6.33gのMEKをフラスコに導入した。VPLS2306は、下記式で表される。
Figure 0005612562
3−アミノプロピルトリエトキシシラン混合物の導入後、3時間攪拌を行い、その後0.5gのジブチル錫ジラウレート(東京化成工業(株)製)を添加した。その後に9.9gのPETAと9.9gのMEK混合物を滴下した。反応混合物は一晩撹拌された。撹拌後、IRスペクトルでは残存イソシアネートは確認されなかった。次に、0.5gのメタノールを添加して、内容物をフラスコから取り出した。得られたシラン含有モノマー4は、下記式で表される。
Figure 0005612562
[シラン含有モノマー5の合成]
100mlのフラスコ中に15.0gのポリエチレングリコール変性末端ジイソシアネート化合物(住化バイエルウレタン VPLS2306)と15gのMEKの混合物をメカニカルスターラーで撹拌しつつ、6.33gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学製KBM−903)と6.33gのMEK混合物をフラスコに導入した。3−アミノプロピルトリエトキシシラン混合物の導入後、3時間攪拌を行い、その後0.5gのジブチル錫ジラウレート(東京化成工業(株)製)を添加した。その後に1.11gのアリルアルコール(東京化成工業(株)製)と1.11gのMEK混合物を滴下した。アリルアルコールは下記式で表される。
Figure 0005612562
反応混合物は一晩撹拌された。撹拌後、IRスペクトルでは残存イソシアネートは確認されなかった。次に、0.5gのメタノールを添加して、内容物をフラスコから取り出した。得られたシラン含有モノマー5は、下記式で表される。
Figure 0005612562
[シラン含有モノマー6の合成]
100mlのフラスコ中に15.0gのポリエチレングリコール変性末端ジイソシアネート化合物(住化バイエルウレタン VPLS2306)と15gのMEKの混合物をメカニカルスターラーで撹拌しつつ、6.33gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学製KBM−903)と6.33gのMEK混合物をフラスコに導入した。3−アミノプロピルトリエトキシシラン混合物の導入後、3時間攪拌を行った。その後に1.11gのアリルアミン(東京化成工業(株)製)と1.11gのMEK混合物を滴下した。アリルアミンは下記式で表される。
Figure 0005612562
3時間攪拌の後に0.5gのジブチル錫ジラウレート(東京化成工業(株)製)を添加した。反応混合物は一晩撹拌された。撹拌後、IRスペクトルでは残存イソシアネートは確認されなかった。次に、0.5gのメタノールを添加して、内容物をフラスコから取り出した。得られたシラン含有モノマー6は、下記式で表される。
Figure 0005612562
[シリカ化合物1の合成]
5.15gのシラン含有モノマー2、40gのコロイダルシリカ(MEK−ST)を200mlのフラスコに導入した。混合物をメカニカルスターラーで撹拌しつつ、フラスコを80℃に加熱した。温度が80℃に達した後、0.86gのイソプロピルアルコール(以下、「IPA」という)及び0.52gの脱ミネラル水をフラスコに添加した。3時間後、3.1gのトリメチルオルトホルメート(東京化成工業(株)製)を添加し、更に1時間撹拌した。撹拌後、内容物をフラスコから取り出した。不揮発分は39.6質量%であった。
[シリカ化合物2の合成]
1.72gのシラン含有モノマー1、3.43gのシラン含有モノマー2、40gのコロイダルシリカ(MEK−ST)を200mlのフラスコに導入した。混合物をメカニカルスターラーで撹拌しつつ、フラスコを80℃に加熱した。温度が80℃に達した後、0.86gのIPA及び0.52gの脱ミネラル水をフラスコに添加した。3時間後、3.1gのトリメチルオルトホルメート(東京化成工業(株)製)を添加し、更に1時間撹拌した。撹拌後、内容物をフラスコから取り出した。不揮発分は40.3質量%であった。
[シリカ化合物3の合成]
3.43gのシラン含有モノマー2、40gのコロイダルシリカ(MEK−ST)を200mlのフラスコに導入した。混合物をメカニカルスターラーで撹拌しつつ、フラスコを80℃に加熱した。温度が80℃に達した後、0.86gのIPA及び0.52gの脱ミネラル水をフラスコに添加した。3時間後、3.1gのトリメチルオルトホルメート(東京化成工業(株)製)を添加し、更に1時間撹拌した。撹拌後、内容物をフラスコから取り出した。不揮発分は38.1質量%であった。
[シリカ化合物4の合成]
1.72gのシラン含有モノマー2、40gのコロイダルシリカ(MEK−ST)を200mlのフラスコに導入した。混合物をメカニカルスターラーで撹拌しつつ、フラスコを80℃に加熱した。温度が80℃に達した後、0.86gのIPA及び0.52gの脱ミネラル水をフラスコに添加した。3時間後、3.1gのトリメチルオルトホルメート(東京化成工業(株)製)を添加し、更に1時間撹拌した。撹拌後、内容物をフラスコから取り出した。不揮発分は35.3質量%であった。
[シリカ化合物5の合成]
5.15gのシラン含有モノマー3、40gのコロイダルシリカ(MEK−ST)を200mlのフラスコに導入した。混合物をメカニカルスターラーで撹拌しつつ、フラスコを80℃に加熱した。温度が80℃に達した後、0.86gのIPA及び0.52gの脱ミネラル水をフラスコに添加した。3時間後、3.1gのトリメチルオルトホルメート(東京化成工業(株)製)を添加し、更に1時間撹拌した。撹拌後、内容物をフラスコから取り出した。不揮発分は40.4質量%であった。
[シリカ化合物6の合成]
5.15gのシラン含有モノマー4、40gのコロイダルシリカ(MEK−ST)を200mlのフラスコに導入した。混合物をメカニカルスターラーで撹拌しつつ、フラスコを80℃に加熱した。温度が80℃に達した後、0.86gのIPA及び0.52gの脱ミネラル水をフラスコに添加した。3時間後、3.1gのトリメチルオルトホルメート(東京化成工業(株)製)を添加し、更に1時間撹拌した。撹拌後、内容物をフラスコから取り出した。不揮発分は39.9質量%であった。
[シリカ化合物7の合成]
5.15gのシラン含有モノマー5、40gのコロイダルシリカ(MEK−ST)を200mlのフラスコに導入した。混合物をメカニカルスターラーで撹拌しつつ、フラスコを80℃に加熱した。温度が80℃に達した後、0.86gのIPA及び0.52gの脱ミネラル水をフラスコに添加した。3時間後、3.1gのトリメチルオルトホルメート(東京化成工業(株)製)を添加し、更に1時間撹拌した。撹拌後、内容物をフラスコから取り出した。不揮発分は39.9質量%であった。
[シリカ化合物8の合成]
5.15gのシラン含有モノマー6、40gのコロイダルシリカ(MEK−ST)を200mlのフラスコに導入した。混合物をメカニカルスターラーで撹拌しつつ、フラスコを80℃に加熱した。温度が80℃に達した後、0.86gのIPA及び0.52gの脱ミネラル水をフラスコに添加した。3時間後、3.1gのトリメチルオルトホルメート(東京化成工業(株)製)を添加し、更に1時間撹拌した。撹拌後、内容物をフラスコから取り出した。不揮発分は40.1質量%であった。
[ウレタンアクリレート2の合成]
46.5gのN,N'−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAC」という)、28.65gのヘキサメチレンジイソシアネートビウレット型ポリイソシアネート(バイエル社製DESMODUR(登録商標)N−3200)、及び、3.48gの2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−メチルピリミジン(アルドリッチ社製)を、加熱ジャケット、温度調節機、メカニカルスターラー、コンデンサー、窒素ガス導入口、及び、等圧漏斗(pressure equalized funnel)を装備した300mlの四つ首フラスコに導入した。反応混合物をゆっくりと約87℃から90℃へ加熱し、加熱を2時間継続した。反応が進むと、反応混合物は徐々に透明となった。
次に反応混合物を40℃に冷却して、これに、82.1gのDMAC、11.92gのPETA、0.13gのヒドロキノン(東京化成工業(株)製)、0.1gのジブチル錫ジラウレートの予備混合物を30分かけて添加した。0.1gのジブチル錫ジラウレートを更に添加すると温度が徐々に60℃に上昇した。反応混合物を50℃に冷却して、42.87gのポリエチレングリコールモノアクリレート(Mn=512、日本油脂(株)製AE−400)、0.1gのジブチル錫ジラウレートを30分かけて添加した。5時間後、IRスペクトルでは残存イソシアネートは確認されなかった。不揮発分は40.0質量%であった。反応混合物は室温で透明な液体であった。
[実施例1−8]
ブラシ粗面化及び硫酸陽極酸化され、ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート−ビニルリン酸コポリマーで後処理されたアルミニウム基板上に、シリカ化合物1〜8を含む表1に記載の溶液を、被覆物の乾燥重量が1.5g/mとなるように塗布した。具体的には、シリカ化合物1〜8のいずれかを含む溶液をワイヤ巻回26番ロッドを用いて塗布し、100℃に設定されたコンベアオーブン内で約90秒の間乾燥した。
Figure 0005612562
1:DESMODUR N100(ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする脂肪族ポリイソシアネート樹脂、バイエル社製)をヒドロキシエチルアクリレート及びペンタエリスリトールトリアクリレートと反応させて得られた、2−ブタノン中の80質量%溶液。
2:n−プロパノール/水の80/20混合物中のアクリロニトリル/ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート/スチレンのコポリマーの21%分散液
3:DESMODUR N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする脂肪族ポリイソシアネート樹脂、バイエル社製)を2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−メチルピリミジン及びポリエチレングリコールモノアクリレート(Mn=512、日本油脂(株)製AE−400)と反応させて得られた、DMAC中の40質量%溶液。
4:プロピレンカーボネート中のヨードニウム(4−メトキシフェニル[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヘキサフルオロリン酸)の75%溶液(チバスペシャルティケミカルズ社製)
5:[化9]
6:PCAS社(仏)から入手可能なメルカプト−3−トリアゾール−1H,2,4
7:キシレン/メトキシプロピル酢酸溶液中の変性ジメチルポリシロキサンコポリマーの25%溶液(Bykケミー社(仏)製)
[比較例1]
ブラシ粗面化及び硫酸陽極酸化され、ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート−ビニルリン酸コポリマーで後処理されたアルミニウム基板上に、シリカ化合物に代えてコロイダルシリカMEK−STを含む表1に記載の溶液を、被覆物の乾燥重量が1.5g/mとなるように塗布した。具体的には、被覆溶液をワイヤ巻回26番ロッドを用いて塗布し、100℃に設定されたコンベアオーブン内で約90秒の間乾燥した。
[比較例2]
ブラシ粗面化及び硫酸陽極酸化され、ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート−ビニルリン酸コポリマーで後処理されたアルミニウム基板上に、シリカ化合物を含まない表1に記載の溶液を、被覆物の乾燥重量が1.5g/mとなるように塗布した。具体的には、被覆溶液をワイヤ巻回26番ロッドを用いて塗布し、100℃に設定されたコンベアオーブン内で約90秒の間乾燥した。
[比較例3]
5.15gのシラン含有モノマー1、40gのコロイダルシリカ(日産化学(株)製MEK−ST、10−20nmの粒子の30%固体MEK溶液)を200mlのフラスコに導入した。混合物をメカニカルスターラーで撹拌しつつ、フラスコを80℃に加熱した。温度が80℃に達した後、0.86gのIPA及び0.52gの脱ミネラル水をフラスコに添加した。3時間後、3.1gのトリメチルオルトホルメート(東京化成工業(株)製)を添加し、更に1時間撹拌した。撹拌後、内容物をフラスコから取り出した。不揮発分は39.4質量%であった(以下、「比較用シリカ化合物」という)。
ブラシ粗面化及び硫酸陽極酸化され、ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート−ビニルリン酸コポリマーで後処理されたアルミニウム基板上に、シリカ化合物に代えて上記の比較用シリカ化合物を含む表1に記載の溶液を、被覆物の乾燥重量が1.5g/mとなるように塗布した。具体的には、被覆溶液をワイヤ巻回26番ロッドを用いて塗布し、100℃に設定されたコンベアオーブン内で約90秒の間乾燥した。
[結果]
実施例1−8及び比較例1−3で得られた感光性平版印刷版について、基板に対する感光層の接着度及び印刷時のインク滓特性について評価を行った。結果を表2に示す。画像形成は、クレオトレンドセッター3244を用いて、ドラムスピードは90rpmとし、セッティングパワーを10W(225mJ/cm)に設定して行った。上記の各特性は実験室にて手作業でインクを付けて行われた。すなわち、画像形成された平版印刷版は1%のIPA及び1%のNA−108W(大日本インキ化学工業(株)製エッチ液)を含む湿し水で洗浄され、その一部をインクを含む布で1回、2回、3回、5回及び20回擦られた。次に、湿された非画像領域がインクを含む布でゆっくりと擦られた。幾つかの平版印刷版では、インクはこの非画像領域に移動しなかったが、その場合に、それらの平版印刷版は良好な耐インク汚れ性を有すると判定された。画像領域も上記接着度を判定するために擦られた。この擦りによる画像領域のダメージから接着度を判定した。
更に、1−8及び比較例1−3で得られたプレートを用いて印刷テストを行った。印刷機としてコモリS−26(Komori S-26)及びローランドR−200を、インクとしてDIC GEOS−G Nグレードを、印刷紙として王子製紙(株)ロイヤルコート44.5kg/A、湿し水としてDIC K−705 1%+IPA 10%水溶液及びDIC
NA−108W 1%+IPA 1%を、ブランケットとして、金陽社製(Kinyo)S−7400を印刷テストに使用した。コモリS―26で加速印刷寿命テストを継続すると、時間と共に、ベタ画像領域が損傷を受けた。損傷が紙に認められると印刷寿命の終了とみなされうる。この印刷テストを6000回の印刷分繰り返した。ローランドR−200を用いた印刷性テストでは、プレートの非画像領域は湿し水ロールの10回転後に現像が仕上がっているべきであり、画像領域は30回のシート印刷後に十分なインクを受容しているべきである。これらの特性が印刷テストで損なわれなければ、印刷性は可である。
表2の結果から明らかなように、実験室での接着度の評価結果は印刷テストにおける印刷寿命に相関しており、同じく、実験室での耐インク汚れ性の評価結果は印刷テストにおける印刷性に相関している。
Figure 0005612562

Claims (6)

  1. 感光性組成物からなる感光層を支持体上に有する感光性平版印刷版であって、前記感光性組成物は変性シリカ粒子と光重合性化合物とを含み、前記変性シリカ粒子は、少なくとも1つのエチレン性不飽和基、少なくとも1つの親水性部位及び少なくとも1つのシリルオキシ基を有する有機化合物によって表面改質されており、前記少なくとも1つの親水性部位がポリオキシアルキレン鎖である、感光性平版印刷版。
  2. 前記感光性平版印刷版が、前記感光性組成物中にさらにオニウム塩を含む、請求項1に記載の感光性平版印刷版。
  3. 前記感光性平版印刷版が、さらに、式:
    + -
    (式中、D + は近赤外線領域に吸収を持つ陽イオン色素を示し、A - はアニオンを示す)
    により表される化合物である赤外線吸収剤を含む、請求項1又は2に記載の感光性平版印刷版。
  4. - がホウ素陰イオンである、請求項3に記載の感光性平版印刷版。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性平版印刷版を、画像様に露光して、画像形成し、現像すること、を含む平版印刷版の製造方法。
  6. 前記現像が印刷機上で行われる、請求項5に記載の方法。
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