しかしながら、近年の主流であるマルチチップモジュールのような被検査回路を検査対象とし、各検査装置がマルチチップモジュール内の各機能ブロックを個別に検査する場合、特許文献1に開示されている技術では、各検査装置131,132,133が非同期かつ並列に検査を行なうことから、機能ブロック間のピン間リーク電流検査などを正確に行なうことができないという問題があった。
例えば、機能ブロック間のピン間リーク電流を測定するには、各機能ブロックに接続されているすべてのピンにハイ側電圧又はロー側電圧を印加した状態で検査を行なう必要があるが、従来の回路検査システムでは、各検査装置が非同期で検査を行なうことから、一方の機能ブロック用ピンにはハイ側電圧が、他方の機能ブロック用のピンにはロー側電圧が、それぞれ印加された状態でピン間リーク電流を測定する虞があった。
つまり、同一検査にもかかわらず、検査条件が異なる状態で検査が行なわれる虞があり、検査品質の低下を招く要因となっていた。したがって、実際には検査規格を満足しているにもかかわらず不良判定されたり、逆に実際には検査規格を満足していないにもかかわらず良判定され、検査に対する信頼性が失墜する虞があった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、各検査装置が、複数の機能ブロックが搭載された被検査回路の各機能ブロックに対して検査を行なう場合に、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響が生じるか否かに応じて、検査の実行の可否を判断することにより、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響が生じる場合には、適宜、検査の影響が解消されるまで検査の実行を停止させ、逆に、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響が生じない場合には、検査を実行させることが可能となり、要/不要の検査を適宜判断して検査を実行することにより、検査効率を向上させることができる回路検査方法及び回路検査システムの提供を目的とする。
また本発明は、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響がない場合、各検査装置の検査を非同期で行なうことにより、各検査装置が対応する各機能ブロックを独立して検査させ、検査のスループットを向上させることができる回路検査方法及び回路検査システムの提供を目的とする。
さらに本発明は、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響がある場合、影響を受ける検査装置の検査の実行を停止し、他の検査装置との間で同期を確立した後に、各検査装置の検査を実行することにより、各検査装置の検査が実行されるのは、他の検査装置の検査による各検査装置の検査への影響を解消させた後になるので、検査精度を向上させることができる回路検査方法及び回路検査システムの提供を目的とする。
さらにまた本発明は、各検査装置が、他の検査装置の検査状態に応じて自らの検査状態を決定することにより、他の検査装置の検査状態を把握することで、自らがどのような状態となれば好適であるかを各検査装置が決定し、検査効率を向上させることができる回路検査方法の提供を目的とする。
さらにまた本発明は、検査状態が他の検査装置の検査による被検査回路の良否判定状態であって、被検査回路が他の検査装置によって否(不良)と判定された状態である場合、各検査装置にて検査が継続中であっても、継続中の検査を終了することより、被検査回路が1つの検査で不良判定された場合には、たとえ他の検査で良判定されたとしても不良であることから、各検査装置での検査を中止することで不要な検査の実行を防止して、検査のスループットを向上させることができる回路検査方法の提供を目的とする。
さらにまた本発明は、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響が生じる場合には、検査精度が低く、検査としての意味をなさない虞があるため、このような場合に検査を実行すべきでなく、不要な検査を実行を停止して検査効率を向上させることができる回路検査システムの提供を目的とする。
さらにまた本発明は、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響がある場合、各検査装置に設けた同期確立手段が他の検査装置との間で同期を確立することによって、他の検査装置の検査による各検査装置の検査への影響を解消させることができる回路検査システムの提供を目的とする。
さらにまた本発明は、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響がなくなった場合、各検査装置に設けた制御手段が、他の検査装置との間で確立した同期を解除し、各検査装置の検査を非同期で行なうことより、各検査装置が対応する各機能ブロックを独立して検査させ、検査のスループットを向上させることができる回路検査システムの提供を目的とする。
さらにまた本発明は、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響がある場合、他の検査装置の検査終了時又は検査時に、各検査装置による検査に影響が生じないように、各検査ブロックの検査条件を設定することにより、各検査装置の検査における検査精度が検査条件の設定前に比べて向上し、検査品質を向上させることができる回路検査システムの提供を目的とする。
さらにまた本発明は、各検査装置の動作を総合的に制御するための制御装置をさらに備える構成とすることにより、各検査装置による被検査回路の検査を、制御装置により総合的に指示することができ、また、各検査装置における検査フローを規定する検査プログラムを制御装置にて管理することが可能であり、さらに、各検査装置の検査結果を制御装置で集中して管理することも可能となる回路検査システムの提供を目的とする。
本発明に係る回路検査方法は、複数の機能ブロックが搭載された被検査回路の各機能ブロックに対して検査を行なえる複数の検査装置を備える回路検査システムにおける回路検査方法であって、各検査装置は、他の検査装置の検査による前記各検査装置の検査への影響に応じて、前記検査の実行の可否を判断することを特徴とする。
本発明にあっては、回路検査システムを構成する各検査装置が、複数の機能ブロックが搭載された被検査回路の各機能ブロックに対して検査を行なう場合に、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響が生じるか否かに応じて、検査の実行の可否を判断する。これにより、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響が生じる場合には、適宜、検査の影響が解消されるまで検査の実行を停止させ、逆に、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響が生じない場合には、検査を実行させることが可能となる。各検査装置の検査に影響が生じる場合には、検査精度が低く、検査としての意味をなさない虞があるため、このような場合に検査を実行すべきでない。したがって、不要な検査を実行することを防止して、検査効率を向上させることができる。
本発明に係る回路検査方法は、前記各検査装置が、前記他の検査装置の検査によって前記各検査装置の検査に影響がない場合、前記検査を非同期で行なうことを特徴とする。
本発明にあっては、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響がない場合、各検査装置の検査を非同期で行なう。これにより、各検査装置が対応する各機能ブロックを独立して検査することから、検査のスループットが向上する。
本発明に係る回路検査方法は、前記各検査装置が、前記他の検査装置の検査によって前記各検査装置の検査に影響がある場合、前記検査の実行を停止し、前記他の検査装置との間で同期を確立した後に前記検査を実行することを特徴とする。
本発明にあっては、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響がある場合、影響を受ける検査装置の検査の実行を停止する。そして、他の検査装置との間で同期を確立することによって、他の検査装置の検査による各検査装置の検査への影響を解消させる。そして、他の検査装置の検査による各検査装置の検査への影響を解消した後に検査を実行する。
本発明に係る回路検査方法は、複数の機能ブロックが搭載された被検査回路の各機能ブロックに対して検査を行なえる複数の検査装置を備える回路検査システムにおける回路検査方法であって、各検査装置は、他の検査装置の検査状態に応じて、前記各検査装置の検査状態を決定することを特徴とする。
本発明にあっては、各検査装置が、他の検査装置の検査状態に応じて自らの検査状態を決定する。これにより、他の検査装置の検査状態を把握することで、自らがどのような状態となれば好適であるかを各検査装置が決定し、検査効率を向上させることが可能となる。
本発明に係る回路検査方法は、前記検査状態が、前記他の検査装置の検査による被検査回路の良否判定状態であって、前記被検査回路が前記他の検査装置によって否と判定された状態である場合、前記各検査装置による検査を終了することを特徴とする。
本発明にあっては、上述した検査状態が、他の検査装置の検査による被検査回路の良否判定状態であって、被検査回路が他の検査装置によって否(不良)と判定された状態である場合、各検査装置にて検査する必要がないので、各検査装置にて検査が継続中であっても、継続中の検査を終了する。被検査回路が1つの検査で不良判定された場合には、たとえ他の検査で良判定されたとしても不良であることから、各検査装置での検査を中止することで、不要な検査の実行を防止して、検査のスループットを向上させることができる。
本発明に係る回路検査システムは、複数の機能ブロックが搭載された被検査回路の各機能ブロックに対して検査を行なえる複数の検査装置を備える回路検査システムであって、各検査装置は、他の検査装置の検査による影響に応じて検査を実行するか否かを制御するための制御手段を備えることを特徴とする。
本発明にあっては、回路検査システムを構成する各検査装置が、複数の機能ブロックが搭載された被検査回路の各機能ブロックに対して検査を行なう場合に、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響が生じるか否かに応じて、各検査装置に設けた制御手段が検査を実行するか否かを制御する。これにより、各検査装置に設けた制御手段が、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響が生じる場合には、適宜、検査の影響が解消されるまで検査の実行を停止させ、逆に、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響が生じない場合には、検査を実行させることが可能となる。各検査装置の検査に影響が生じる場合には、検査精度が低く、検査としての意味をなさない虞があるため、このような場合に検査を実行すべきでない。したがって、不要な検査を実行することを防止して、検査効率を向上させることができる。
本発明に係る回路検査システムは、前記各検査装置の制御手段が、前記他の検査装置の検査によって前記各検査装置の検査に影響がある場合、該検査の実行を停止するようにしてあることを特徴とする。
本発明にあっては、前記他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響が生じる場合には、検査精度が低く、検査としての意味をなさない虞があるため、このような場合に検査を実行すべきでなく、各検査装置に設けた制御手段が、不要な検査を実行を停止して検査効率を向上させる。
本発明に係る回路検査システムは、前記各検査装置が、前記他の検査装置の検査によって前記各検査装置の検査に影響がある場合に、前記他の検査装置との間で同期を確立するための同期確立手段をさらに備えることを特徴とする。
本発明にあっては、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響がある場合、各検査装置に設けた同期確立手段が他の検査装置との間で同期を確立することによって、他の検査装置の検査による各検査装置の検査への影響を解消させる。
本発明に係る回路検査システムは、前記各検査装置の制御手段が、前記他の検査装置の検査によって前記各検査装置の検査に影響がある場合に該検査の実行を停止し、前記同期確立手段によって前記他の検査装置との間で同期が確立された後に前記検査を実行するようにしてあることを特徴とする。
本発明にあっては、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響がある場合、各検査装置に設けた制御手段が、影響を受ける検査の実行を停止する。そして、各検査装置に設けた同期確立手段が他の検査装置との間で同期を確立することによって、他の検査装置の検査による各検査装置の検査への影響を解消させる。そして、他の検査装置の検査による各検査装置の検査への影響を解消した後に検査を実行する。
本発明に係る回路検査システムは、前記同期確立手段が、前記他の検査装置の検査によって前記各検査装置の検査に影響がなくなった場合、前記他の検査装置との間で確立した同期を解除するようにしてあることを特徴とする。
本発明にあっては、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響がなくなった場合、各検査装置に設けた制御手段が、他の検査装置との間で確立した同期を解除し、各検査装置の検査を非同期で行なう。これにより、各検査装置が対応する各機能ブロックを独立して検査することから、検査のスループットが向上する。
本発明に係る回路検査システムは、前記各検査装置が、前記他の検査装置の検査によって前記各検査装置の検査に影響がある場合、前記他の検査装置の検査終了時又は検査時に、前記各検査装置による検査に影響が生じないように、各検査ブロックの検査条件を設定する手段をさらに備えることを特徴とする。
本発明にあっては、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響がある場合、他の検査装置の検査終了時又は検査時に、各検査装置による検査に影響が生じないように、各検査ブロックの検査条件を設定する。これにより、各検査装置の検査における検査精度が検査条件の設定前に比べて向上し、検査品質が向上する。
本発明に係る回路検査システムは、前記各検査装置の動作を総合的に制御するための制御装置をさらに備えることを特徴とする。
本発明にあっては、各検査装置の動作を総合的に制御するための制御装置をさらに備えることにより、各検査装置による被検査回路の検査を、制御装置により総合的に指示することができる。また、例えば、各検査装置における検査フローを規定する検査プログラムを制御装置にて管理することが可能であり、検査プログラムの更新及び追加を各検査措置にて管理する必要はない。さらに、各検査装置の検査結果を制御装置で集中して管理することもでき、制御装置を検査ロットなどの把握に活用することができる。
本発明によれば、回路検査システムを構成する各検査装置が、複数の機能ブロックが搭載された被検査回路の各機能ブロックに対して検査を行なう場合に、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響が生じるか否かに応じて、検査の実行の可否を判断することにより、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響が生じる場合には、適宜、検査の影響が解消されるまで検査の実行を停止させ、逆に、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響が生じない場合には、検査を実行させることが可能となる。各検査装置の検査に影響が生じる場合には、検査精度が低く、検査としての意味をなさない虞があるため、このような場合に検査を実行すべきでない。したがって、不要な検査を実行することを防止して、検査効率を向上させることができる。
本発明によれば、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響がない場合、各検査装置の検査を非同期で行なうことにより、各検査装置が対応する各機能ブロックを独立して検査することから、検査のスループットが向上する。
本発明によれば、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響がある場合、影響を受ける検査装置の検査の実行を停止し、他の検査装置との間で同期を確立した後に、各検査装置の検査を実行することにより、各検査装置の検査が実行されるのは、他の検査装置の検査による各検査装置の検査への影響を解消させた後になるので、検査精度を向上させることができる。
本発明によれば、各検査装置が、他の検査装置の検査状態に応じて自らの検査状態を決定することにより、他の検査装置の検査状態を把握することで、自らがどのような状態となれば好適であるかを各検査装置が決定し、検査効率を向上させることができる。
本発明によれば、検査状態が各検査装置の検査による被検査回路の良否判定状態であって、被検査回路が他の検査装置によって否(不良)と判定された状態である場合、各検査装置にて検査が継続中であっても、継続中の検査を終了することより、被検査回路が1つの検査で不良判定された場合には、たとえ他の検査で良判定されたとしても不良であることから、各検査装置での検査を中止することで、不要な検査の実行を防止して、検査のスループットを向上させることができる。
本発明によれば、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響が生じる場合には、検査精度が低く、検査としての意味をなさない虞があるため、このような場合に検査を実行すべきでなく、各検査装置に設けた制御手段が、不要な検査を実行を停止して検査効率を向上させることができる。
本発明によれば、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響がある場合、各検査装置に設けた同期確立手段が他の検査装置との間で同期を確立することによって、他の検査装置の検査による各検査装置の検査への影響を解消させることができる。
本発明によれば、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響がなくなった場合、各検査装置に設けた制御手段が、他の検査装置との間で確立した同期を解除し、各検査装置の検査を非同期で行なうことより、各検査装置が対応する各機能ブロックを独立して検査することから、検査のスループットを向上させることができる。
本発明によれば、他の検査装置の検査によって各検査装置の検査に影響がある場合、他の検査装置の検査終了時又は検査時に、各検査装置による検査に影響が生じないように、各検査ブロックの検査条件を設定することにより、各検査装置の検査における検査精度が検査条件の設定前に比べて向上し、検査品質を向上させることができる。
本発明によれば、各検査装置の動作を総合的に制御するための制御装置をさらに備える構成とすることにより、各検査装置による被検査回路の検査を、制御装置により総合的に指示することができる。また、例えば、各検査装置における検査フローを規定する検査プログラムを制御装置にて管理することが可能であり、検査プログラムの更新及び追加を各検査措置にて管理する必要はない。さらに、各検査装置の検査結果を制御装置で集中して管理することもでき、制御装置を検査ロットなどの把握に活用することができる等、優れた効果を奏する。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る回路検査システムの構成を示すブロック図である。
本発明に係る回路検査システムは、ホストコンピュータ装置1、複数の検査装置2,2,…を備え、検査装置2,2,…は、図示しないハンドラーを通じてDUT5に電圧の供給及び検査パターンなどの信号印加などを行なって、DUT5が正常に動作するか否かの検査を行なう。
ホストコンピュータ装置1は、制御部10、操作部11、表示部12、検査プログラムデータベース(検査プログラムDB)13及び通信部14を備えている。制御部10は、具体的にはCPUで構成されており、バスを介して上述したハードウェア各部と接続されていて、それらを制御すると共に、内蔵するROMに格納された制御プログラムに従って、種々の機能を果たす。
検査プログラムDB13は、1又は複数のDUT用の検査フローを記述したプログラムが格納されている。検査プログラムDB13は、適宜更新可能であって、検査プログラムに不具合があった場合、新品種が追加された場合に、検査プログラムDB13内の検査プログラムに修正を加えたり、新品種に対応した検査プログラムを追加したりできる。
操作部11は検査装置2,2,…を総合的に操作するためのものであって、検査作業者が操作部11を操作することで、検査装置2,2,…によるDUT5の検査の指示を行なう。例えば、検査作業者は、操作部11を用いてDUT5の品種名を入力することで、制御部10は、検査プログラムDB13に格納されている検査プログラムのうちから、入力されたDUT5に対応する検査プログラムを選択する。
通信部14は、検査装置2(通信部22)と通信を行なうものであって、制御部10は、DUT5の品種に応じて選択した検査プログラムを、通信部14を通じて検査装置2へ送信する。図1には、検査プログラムDB13に、DUT5用の第1検査プログラム13a、第2検査プログラム13b、第3検査プログラム13cが格納されている様子が示されている。詳細は後述するが、第1検査プログラム13aはDUT5を構成する第1機能ブロック51用、第2検査プログラム13bはDUT5を構成する第2機能ブロック52用、第3検査プログラム13cはDUT5を構成する第3機能ブロック53用の検査プログラムである。
表示部12は、液晶ディスプレイ又はCRTディスプレイなどの表示デバイスであって、回路検査システムの検査開始の指示、動作状態及び検査結果の表示などを行なう。
検査装置2,2,…は、上述したようにホストコンピュータ装置1の指示によってDUT5の検査を行なうものであって、検査装置2は、制御部20、記憶部21、通信部22及び検査実行部23を備えている。本発明において、各検査装置2の制御部20は、他の検査装置の検査による自身の検査への影響に応じて、検査の実行の可否を判断し、当該検査装置における検査を実行するか否かを制御する制御手段として機能する。また、各検査装置2の制御部20は、他の検査装置の検査によって各検査装置2の検査に影響がある場合に、通信部22と協業して他の検査装置と同期を確立する同期確立手段としても機能する。
通信部22はホストコンピュータ装置1及び他の検査装置と通信を行なうものであって、ホストコンピュータ装置1及び検査装置2,2,…は検査に係る情報を共有化する。実際の検査開始にあたっては、ホストコンピュータ装置1から送信された検査プログラムを受け付ける。また、各検査装置2は、情報の共有化によって、他の検査装置によって検査が行なわれている検査条件及び内容などの検査に係る情報を把握できるようになっている。
具体的には、検査条件及び内容を一意に識別する検査番号によって検査が管理され、各検査装置2の通信部22は、検査中の検査番号、検査が終了した検査番号及びその検査結果などを、ホストコンピュータ装置1及び他の検査装置へ通知信号として出力する。このようにして、ホストコンピュータ装置1及び各検査装置2は、他の検査装置にて検査中の検査番号、検査が終了した検査番号及びその検査結果などを把握する。
記憶部21は、ホストコンピュータ装置1から送信された検査プログラムを格納するためのものであって、制御部20は、記憶部21に格納された検査プログラムに従って検査実行部23にて検査を行なう。
検査実行部23は、複数の機能ブロック(ここでは第1機能ブロック51,第2機能ブロック52,第3機能ブロック53)が搭載されたDUT5に対して、電源供給を行ない、所定の検査パターンを印加して、機能ブロックからの応答出力を受信してその応答出力と期待値とを比較することによって機能ブロックを評価する。
図2は各検査装置がDUTを構成する機能ブロックを検査する場合の状態を示す図である。
検査装置2a,2b,2cは、ホストコンピュータ装置1から送信された検査プログラム(第1検査プログラム13a,第2検査プログラム13b,第3検査プログラム13c)を、それぞれの通信部22a,22b,22cを通じて受信し、それぞれの記憶部21a,21b,21cに格納する。検査装置2a,2b,2cの制御部20a,20b,20cは、記憶部21a,21b,21cに格納された第1検査プログラム13a,第2検査プログラム13b,第3検査プログラム13cを読み出し、読み出した検査プログラムに従って、検査実行部23a,23b,23cを制御する。
検査実行部23a,23b,23cは、第1機能ブロック用ピン51a,第2機能ブロック用ピン52a,第3機能ブロック用ピン53aに接続することで、第1機能ブロック51,第2機能ブロック52,第3機能ブロック53に対する電源の供給及び所定の検査パターンの印加とともに、第1機能ブロック51,第2機能ブロック52,第3機能ブロック53からの応答出力を受信してその応答出力と期待値とを比較することによって第1機能ブロック51,第2機能ブロック52,第3機能ブロック53を評価する。
検査装置2aは、他の検査装置2b,2cの検査による自身の検査への影響に応じて、検査の実行の可否を判断する。制御部20aは、他の検査装置2b,2cにて実行されている検査を検査番号によって識別して、その検査番号に対応する検査が、自身の検査に影響が生じるか否かを判断する。例えば、他の検査が行なわれることによって検査精度が低下してしまうなど、本来の検査条件とは異なる検査番号の組み合わせの情報を含んだ検査データベース(検査DB)を、予め記憶部21aに記憶しておき、検査装置2aがこれから検査を行なう検査番号(検査番号Aとする)と、他の検査装置2b,2cにて検査中の検査番号(検査番号Bとする)とをキーワードに設定し、設定したキーワードの組み合わせが検査DBに存在するか否かを探索する(検査装置2b,2cについても同様)。
2つのキーワードとして指定した検査番号(検査番号A及び検査番号B)の組み合わせが検査DBに存在する場合、他の検査装置2b,2cの検査(検査番号B)によって、検査装置2aの検査(検査番号A)の検査精度が低下すると判断することができる。そこで、このような場合、検査装置2aは、検査の実行をすれば検査精度が低下することになるので、検査の実行を停止する。そして、検査装置2aは、検査精度に影響を及ぼす他の検査装置2b,2cと同期を確立し、検査装置2aの検査に影響が生じないように、第2機能ブロック52及び第3機能ブロック53のピン52a,53aに印加する設定電圧の指示を他の検査装置2b,2cに対して行なう。
一方、検査番号A及び検査番号Bの組み合わせが検査DBに存在しない場合、他の検査装置2b,2cの検査(検査番号B)によって、検査装置2aの検査(検査番号A)の検査精度が低下する虞がないと判断することができるので、各検査装置2a,2b,2cによる検査を予め設定された検査順序にて非同期で実行する。
図3は本発明に係る各検査装置による検査時間を説明するためのタイムチャートであり、同図縦軸は、検査の経過時間を示している。第1検査プログラム13aに基づいて検査装置2aは、第1機能ブロック51に係る第1検査31,第2検査32,第3検査33を実行する。検査装置2aが上述の3つの検査を他の検査装置(検査装置2b,2c)に対して非同期に行なうことによって、検査時間がT3−T0となる。
また、第2検査プログラム13bに基づいて検査装置2bは、第2機能ブロック52に係る第4検査34,第5検査35を実行する。検査装置2bが上述の2つの検査を他の検査装置(検査装置2c,2a)に対して非同期に行なうことによって、検査時間がT2−T0となる。
さらに、第3検査プログラム13cに基づいて検査装置2cは、第3機能ブロック51に係る第6検査36,第7検査37,第8検査38,第9検査39を実行する。検査装置2cが上述の4つの検査を他の検査装置(検査装置2a,2b)に対して非同期に行なうことによって、検査時間がT4−T0となる。
検査装置2a,2b,2cによる検査が終了した時点(T4)で、ハンドラーによってDUTの入れ替え40が行なわれ、T5から次のDUTに対して同様の検査が行なわれる。
このように、DUT5を構成する第1機能ブロック51,第2機能ブロック52,第3機能ブロック53の検査が、それぞれ検査装置2a,2b,2cにて非同期で行なわれることから、検査のスループットが向上する。
ところで、検査によっては、一の機能ブロックの検査が、他の機能ブロック用ピンに印加されている電圧によって影響される場合がある。例えば、ピン間リーク電流検査は、DUT5にレイアウトされた配線間のリーク電流を検査するものであるから、たとえ機能ブロックが異なっていてもレイアウトによっては他の機能ブロックに印加された電圧によって検査結果が左右される。
そこで、検査装置(例えば2a)は、他の検査装置(例えば2b,2c)の検査によって検査に影響が生じると判断した場合、他の検査装置(2b,2c)との間で同期を確立する。例えば、検査装置2aにて第1機能ブロック51のピン間リーク電流検査を行なう場合、検査を行なう前に、他の検査装置2b,2cとの間で同期を確立する。そして、他の検査装置2b,2cは、第2機能ブロック52,第3機能ブロック53の検査終了時又は検査時に、第2機能ブロック用ピン52a,第3機能ブロック用ピン53aへの印加電圧をハイ側電圧に設定する。一方、検査装置2aは、第1機能ブロック用ピン51aへの印加電圧をハイ側電圧に設定した後、検査対象ピンにロー側電圧を印加して検査対象ピンに流れる電流、つまりロー側ピン間リーク電流を測定する。このように、ロー側ピン間リーク電流においては、検査対象ピンが設けられている機能ブロックのみならず、他の機能ブロックに係るピンにハイ側電圧が印加されているので、ロー側ピン間リーク電流の測定精度が高まり検査品質が向上する。
同様に、ハイ側ピン間リーク電流検査時には、他の検査装置2b,2cが第2機能ブロック用ピン52a,第3機能ブロック用ピン53aへの印加電圧をロー側電圧に設定し、検査装置2aが第1機能ブロック用ピン51aへの印加電圧をロー側電圧に設定した後、検査対象ピンにハイ側電圧を印加して検査対象ピンに流れる電流、つまりハイ側ピン間リーク電流を測定する。したがって、ハイ側ピン間リーク電流においても、検査対象ピンが設けられている機能ブロックのみならず、他の機能ブロックに係るピンにロー側電圧が印加されているので、ハイ側ピン間リーク電流の測定精度が高まり検査品質が向上する。
図4は本発明に係る回路検査システムの検査処理の概略を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、説明の簡略化のため、検査装置が2つの場合、すなわち、検査装置2aにて第1検査プログラム13aが、検査装置2bにて第2検査プログラム13bが、それぞれ実行されている場合について説明する。
先ず、検査装置2aは、検査装置2bにて実行中の検査を識別する検査番号の通知を要求する通知要求信号を検査装置2bへ送信する(ステップS1)。検査装置2bは、検査装置2aから送信された通知要求信号を受信し(ステップS2)、通知要求信号に従って、検査中の検査番号を検査装置2aへ送信する(ステップS3)。
検査装置2aは、検査装置2bから送信された検査番号を受信し(ステップS4)、検査装置2aがこれから検査を行なう検査を識別する検査番号と、受信した検査番号との組み合わせが検査DBに存在するか否かを判定する(ステップS5)。
S5において、検査装置2aがこれから検査を行なう検査を識別する検査番号と、受信した検査番号との組み合わせが検査DBに存在しないと判定された場合(S5:NO)、検査装置2a及び検査装置2bのそれぞれの検査が独立しており、検査装置2a及び検査装置2bの検査が互いに影響を受けないと判断することができるので、検査装置2aは、非同期で検査処理を実行する(ステップS6)。
一方、S5において、検査装置2aがこれから検査を行なう検査を識別する検査番号と、受信した検査番号との組み合わせが検査DBに存在すると判定された場合(S5:YES)、検査装置2bの検査によって、検査装置2aの検査が影響を受けると判断することができるので、検査装置2a及び検査装置2bの間に同期を確立して、検査装置2aの検査を行なうべく、検査装置2aは、同期処理を要求する同期要求信号を検査装置2bへ送信する(ステップS7)。
検査装置2bは、検査装置2aから送信された同期要求信号を受信し(ステップS8)、同期要求信号に従って、検査終了時又は検査時に、同期モードへの移行を許可する応答信号を検査装置2aへ送信する(ステップS9)。そして、検査装置2aは、検査装置2bから送信された応答信号を受信して、同期モードに移行する(ステップS10)。これにより、検査装置2aと検査装置2bとの間に同期が確立され、検査装置2a及び検査装置2bの検査処理をシンクロさせる。
そして、検査装置2aは、検査装置2bとの間で確立した同期モードにて検査処理を実行し(同期検査処理:ステップS11)、同期検査処理が終了すると、非同期モードに移行する(ステップS12)。なお、上述した検査処理は検査装置2a,2bのそれぞれの検査において実行される。
次に、本発明に係る同期検査処理(S11)について説明する。図5は本発明に係る同期検査処理の概略を示すフローチャートである。
同期検査処理(S11)においては、先ず、検査装置2aが、第2機能ブロック用ピン52aの設定電圧に係る設定情報を検査装置2bへ送信する(ステップS21)。この設定情報は、検査装置2aが検査を行なおうとしている検査に適した第2機能ブロック用ピン52aの設定電圧に関するものである。そして、検査装置2bは、検査装置2aから送信された設定情報を受信し(ステップS22)、設定情報に基づいて、第2機能ブロック用ピン52aに設定電圧を印加し(ステップS23)、第2機能ブロック用ピン52aに設定電圧を印加した旨の通知信号を検査装置2aへ送信する(ステップS24)。
検査装置2aは、検査装置2bから送信された通知信号を受信し(ステップS25)、第2機能ブロック用ピン52aに設定電圧が印加されたことを把握する。これによって、検査装置2aが検査を行なおうとしている検査の精度が低下することがないと判断し、検査装置2aは、第1機能ブロック用ピン51aに設定電圧を印加し(ステップS26)、検査対象ピンに検査電圧を印加して検査対象ピンに流れる電流を測定(検査)する(ステップS27)。
このように、同期検査処理では、検査装置2a及び検査装置2bの処理を同期させ、検査装置2bによる第2機能ブロック52の検査を停止して、第2機能ブロック52に印加する電圧条件を検査装置2aの検査に好適な条件とした状態で、検査装置2aの検査を実行する。
次に、本発明に係る回路検査システムの動作フローについて具体的に説明する。図6、図7及び図8は本発明に係る回路検査システムの動作フローの一例を示すフローチャートである。
先ず、検査装置2a及び検査装置2bは、互いに非同期の状態で検査の実行を開始する。検査装置2aでは、第1機能ブロック用ピン51aのショートチェックを行ない(ステップS31)、次いで、第1機能ブロック用ピン51aのオープンチェックを行なう(ステップS32)。一方、検査装置2bでは、第2機能ブロック用ピン52aのショートチェックを行ない(ステップS33)、次いで、第2機能ブロック用ピン52aのオープンチェックを行なう(ステップS34)。なお、ショートチェック及びオープンチェックにおいて、各ピンに印加する電圧条件は等しく、測定した検査対象ピンに流れる電流の期待値が異なる。そこで、ショートチェックとオープンチェックとで、検査対象ピンに流れる電流を2回測定することなく、1回の測定で良否の判断を行なうようにしてもよい。
そして、同期処理を行なって検査装置2aと検査装置2bとの間に同期を確立する(同期処理:ステップS35)。ここで、同期処理(S35)は、図4に示したS7、S8、S9及びS10の処理のことである。
そして、検査装置2aによる第1機能ブロック51のロー側ピン間リーク電流検査に先立って、検査装置2bは、検査装置2aから送信された設定情報を受信すること(図5:S22参照)によって、第1機能ブロック51のロー側ピン間リーク電流検査に影響が生じないように、第2機能ブロック用ピン52aにハイ側電圧を印加する(ステップS36)。つまり、ここでの設定情報には、第2機能ブロック用ピン52aにハイ側電圧を印加する旨の指示情報が含まれている。また、検査装置2bは、第2機能ブロック用ピン52aへのハイ側電圧の印加が完了すると、第2機能ブロック用ピン52aにハイ側電圧を印加した旨の通知信号を検査装置2aへ送信する(ステップS37)。
検査装置2aは、検査装置2bから送信された通知信号を受信し(ステップS38)、第1機能ブロック51のロー側ピン間リーク電流検査に影響が生じないことを把握して、第1機能ブロック用ピン51aにハイ側電圧を印加する(ステップS39)。そして、検査装置2aは、検査対象ピンにロー側電圧を印加して、検査対象ピンに流れる電流、つまり、第1機能ブロック51のロー側ピン間リーク電流を測定する(ステップS40)。なお、検査装置2a、2bによる同期検査処理が終了すると、検査装置2aと検査装置2bとの間に確立された同期が解除される。
次いで、再度、同期処理を行なって検査装置2aと検査装置2bとの間に同期を確立し(ステップS41)、検査装置2a及び検査装置2bが協業して、第1機能ブロック51のハイ側ピン間リーク電流の検査処理フローを行なう。
先ず、検査装置2aによる第1機能ブロック51のハイ側ピン間リーク電流検査に先立って、検査装置2bは、検査装置2aから送信された設定情報を受信することによって、第1機能ブロック51のハイ側ピン間リーク電流検査に影響が生じないように、第2機能ブロック用ピン52aにロー側電圧を印加する(ステップS42)。また、検査装置2bは、第2機能ブロック用ピン52aへのロー側電圧の印加が完了すると、第2機能ブロック用ピン52aにロー側電圧を印加した旨の通知信号を検査装置2aへ送信する(ステップS43)。
検査装置2aは、検査装置2bから送信された通知信号を受信し(ステップS44)、第1機能ブロック51のハイ側ピン間リーク電流検査に影響が生じないことを把握して、第1機能ブロック用ピン51aにロー側電圧を印加する(ステップS45)。そして、検査装置2aは、検査対象ピンにハイ側電圧を印加して、検査対象ピンに流れる電流、つまり、第1機能ブロック51のハイ側ピン間リーク電流を測定する(ステップS46)。なお、検査装置2a、2bによる同期検査処理が終了すると、上述と同様に検査装置2aと検査装置2bとの間に確立された同期が解除される。
次いで、第2機能ブロック52のロー側ピン間リーク電流の検査処理フローを行なう。この検査処理フローにおいても同様に、同期処理を行なって検査装置2aと検査装置2bとの間に同期を確立し(ステップS47)、検査装置2a及び検査装置2bが協業して、第1機能ブロック用ピン51a及び第2機能ブロック用ピン52aに印加する電圧を適宜設定する。
先ず、検査装置2bによる第2機能ブロック52のロー側ピン間リーク電流検査に先立って、検査装置2aは、検査装置2bから送信された設定情報を受信することによって、第2機能ブロック52のロー側ピン間リーク電流検査に影響が生じないように、第1機能ブロック用ピン51aにハイ側電圧を印加する(ステップS48)。また、検査装置2aは、第1機能ブロック用ピン51aへのハイ側電圧の印加が完了すると、第1機能ブロック用ピン51aにハイ側電圧を印加した旨の通知信号を検査装置2bへ送信する(ステップS49)。
検査装置2bは、検査装置2aから送信された通知信号を受信し(ステップS50)、第2機能ブロック52のロー側ピン間リーク電流検査に影響が生じないことを把握して、第2機能ブロック用ピン52aにハイ側電圧を印加する(ステップS51)。そして、検査装置2bは、検査対象ピンにロー側電圧を印加して、検査対象ピンに流れる電流、つまり、第2機能ブロック52のロー側ピン間リーク電流を測定する(ステップS52)。なお、検査装置2a、2bによる同期検査処理が終了すると、上述と同様に検査装置2aと検査装置2bとの間に確立された同期が解除される。
次いで、第2機能ブロック52のハイ側ピン間リーク電流の検査処理フローを行なう。この検査処理フローにおいても同様に、同期処理を行なって検査装置2aと検査装置2bとの間に同期を確立し(ステップS53)、検査装置2a及び検査装置2bが協業して、第1機能ブロック用ピン51a及び第2機能ブロック用ピン52aに印加する電圧を適宜設定する。
先ず、検査装置2bによる第2機能ブロック52のハイ側ピン間リーク電流検査に先立って、検査装置2aは、検査装置2bから送信された設定情報を受信することによって、第2機能ブロック52のハイ側ピン間リーク電流検査に影響が生じないように、第1機能ブロック用ピン51aにロー側電圧を印加する(ステップS54)。また、検査装置2aは、第1機能ブロック用ピン51aへのロー側電圧の印加が完了すると、第1機能ブロック用ピン51aにロー側電圧を印加した旨の通知信号を検査装置2bへ送信する(ステップS55)。
検査装置2bは、検査装置2aから送信された通知信号を受信し(ステップS56)、第2機能ブロック52のハイ側ピン間リーク電流検査に影響が生じないことを把握して、第2機能ブロック用ピン52aにロー側電圧を印加する(ステップS57)。そして、検査装置2bは、検査対象ピンにハイ側電圧を印加して、検査対象ピンに流れる電流、つまり、第2機能ブロック52のハイ側ピン間リーク電流を測定する(ステップS58)。
そして、検査装置2a、2bによる同期検査処理が終了すると、上述と同様に検査装置2aと検査装置2bとの間に確立された同期が解除される(ステップS59)。これにより、それぞれの検査が独立した各機能ブロックの消費電流チェック及びファンクションチェックを、検査装置2a及び検査装置2bにおいて非同期で行なうことができる。
本例では、検査装置2aが、第1機能ブロック51の静止電流チェックを行ない(ステップS60)、次いで、第1機能ブロック51の動作電流チェックを行ない(ステップS61)、さらに、第1機能ブロック51のファンクションチェックを行なう(ステップS62)。一方、検査装置2bは、第2機能ブロック52の静止電流チェックを行ない(ステップS63)、次いで、第2機能ブロック52の動作電流チェックを行ない(ステップS64)、さらに、第2機能ブロック52のファンクションチェックを行なう(ステップS65)。
なお、本例では、検査装置2a、2bによる同期検査処理が終了した場合、検査装置2aと検査装置2bとの間に確立された同期を解除し、次の検査が同様の同期検査処理であるときに、再度、検査装置2aと検査装置2bとの間に同期を確立するようにしたが、例えば、S40にてロー側ピン間リーク電流の検査が完了した時点で、検査装置2aと検査装置2bとの間に確立された同期を解除することなく、同期検査処理を継続してもよく、この場合には、S41の同期処理を行なう必要はない。
図9は本発明に係る回路検査システムの検査判定処理の一例を示すフローチャートである。
本発明の検査判定処理では、各検査装置(ここでは検査装置2aとする)が、当該の検査装置2aによる検査が不良判定されたか否かを判定し(ステップS71)、不良判定されなかった場合は(S71:NO)、特別な処理を行なうことがなく検査判定処理を終了するが、不良判定された場合は(S71:YES)、DUT5が第1機能ブロック51にて不良判定された旨の通知信号を他の検査装置(ここでは検査装置2bとする)へ送信する(ステップS72)。
検査装置2bは、検査装置2aから送信された通知信号を受信し(ステップS73)、受信した通知信号から、DUT5が第1機能ブロック51にて不良判定されたことを把握し、検査装置2bによる第2検査ブロック52の検査を中止する(ステップS74)。
また、検査装置2aは、DUT5が不良判定された検査番号をホストコンピュータ装置1へ送信する(ステップS75)。そして、ホストコンピュータ装置1は、検査装置2aから送信された検査番号を受信し(ステップS76)、受信した検査番号検査番号に基づいて、検査結果を表示部12に表示する(ステップS77)。これにより、検査作業者は、表示部12に表示された検査結果を見ることによって、DUT5がどのような検査で不良判定されたのかを把握することができる。
DUT5が1つの検査で不良判定された場合には、たとえ他の検査で良判定されたとしても不良であることから、他の検査装置で他の検査を行なう必要はなく、上述したように、一の検査装置にてDUT5が不良判定された場合、その情報を他の検査装置に通知して、一の検査装置のみならず、他の検査装置においても検査を中止することで、不要な検査の実行を防止して、検査のスループットを向上させることができる。
なお、不良判定されなかった場合(S71:NO)に、その検査番号が良判定された旨の通知情報をホストコンピュータ装置1へ送信してもよく、また、制御部10にて各検査装置2a,2b,2cから送信された検査番号の統計情報を算出して、いわゆる検査ロットの把握に活用してもよい。
また、図9に示した検査判定処理では、検査装置が他の検査装置にDUT5が不良判定された旨の情報を通知する形態について説明したが、検査装置が他の検査装置の検査状態を把握すべく、他の検査装置に対して検査状態の通知を要求するようにしてもよい。図10は、本発明に係る回路検査システムの検査判定処理の他の一例を示すフローチャートである。
本発明の他の一例の検査判定処理では、各検査装置(ここでは検査装置2aとする)が、他の検査装置(ここでは検査装置2bとする)の検査によってDUT5が不良判定されたか否かを示す通知信号を要求する要求信号を検査装置2bへ送信する(ステップS81)。検査装置2bは、検査装置2aから送信された要求信号を受信し(ステップS82)、受信した要求信号に従って、検査装置2bの検査によってDUT5が第2機能ブロック52にて不良判定されているか否かを判断する(ステップS83)。
S83において、DUT5が第2機能ブロック52にて不良判定されていると判断した場合(S83:YES)、検査装置2bはDUT5が不良判定された旨の通知信号を生成し(ステップS84)、一方、DUT5が第2機能ブロック52にて不良判定されていないと判断した場合(S83:NO)、検査装置2bはDUT5が良判定された旨の通知信号を生成する(ステップS85)。そして、検査装置2bは、検査装置2bの検査状態を検査装置2aに把握させるべく、S84又はS85にて生成した通知信号を検査装置2aへ送信する(ステップS86)。
そして、検査装置2aは、検査装置2bから送信された通知信号を受信し(ステップS87)、受信した通知信号がDUT5の不良判定を示すものであるか否かを判定する(ステップS88)。
検査装置2aは、S88において、通知信号がDUT5の不良判定を示すものであると判定した場合(S88:YES)、DUT5が第2機能ブロック52にて不良判定されたことを把握し、検査装置2aによる第1検査ブロック51の検査を中止する(ステップS89)。一方、S88において、通知信号がDUT5の良判定を示すものであると判定した場合(S88:NO)、特別な処理を行なうことがなく検査判定処理を終了し、検査装置2aによる第1検査ブロック51の検査を継続する。
このように、他の検査装置に対して検査状態の通知を要求する要求信号を送信することにより、他の検査装置が要求信号に応答して他の検査装置の検査状態を把握することができる通知信号を他の検査装置から受信することから、他の検査装置の検査状態を把握し、検査装置における検査の実行の可否を判断することができ、不要な検査の実行を防止して、検査のスループットを向上させることができる。
以上、本発明に係る回路検査方法及び回路検査システムについて、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した実施の形態に係る発明の構成及び機能に様々な変更又は改良を加えることが可能である。