JP2007131660A - 硬化性組成物の製造方法およびそれによって得られる硬化性組成物 - Google Patents

硬化性組成物の製造方法およびそれによって得られる硬化性組成物 Download PDF

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智三 長澤
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Abstract

【課題】本発明は、配合を変えなくても力学的特性を制御できる硬化性組成物の製造方法を提供する。また、本発明は、上記の製造方法により得られる硬化性組成物を提供する。
【解決手段】硬化性組成物の製造方法であって、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体(A)に、3次元架橋されたポリマー微粒子(B)を形成しうるポリマー(b)と、充填剤(C)とを加えて撹拌し、3次元架橋させてポリマー微粒子(B)を形成させ、前記重合体(A)と、前記重合体(A)中に分散した、前記ポリマー微粒子(B)と、前記充填剤(C)とを含有する硬化性組成物を得る撹拌架橋工程を具備する硬化性組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物の製造方法およびそれによって得られる硬化性組成物に関する。
硬化性組成物、特に、各種シーリング材等に好適に用いられる硬化性組成物には、一液型の硬化性組成物と二液型の硬化性組成物があり、室温で硬化する組成物が主に用いられる。
硬化性組成物の主成分となる(プレ)ポリマーまたはオリゴマーは、大きく分類すると、ウレタン系、ポリサルファイド系、ポリイソブチレン系、シリコーン系および変成シリコーン系の5種があり、それらが適用される目的、用途、硬化方法等に要求される特性を持つ硬化性組成物が適宜選択され使用される。例えば、ウレタン系の硬化性組成物は硬化後のゴム弾性等に優れるが、その一方で耐候性等に劣るという特性を有している。つまり、硬化性組成物にはその化学的特性が色濃く反映されるため、それぞれが持つ特性(特長および欠点)を考慮して、好適な硬化性組成物が適宜選択され使用される。
そのため、従来の硬化性組成物においては、求められる特長を発揮することができるものの、望まれない欠点をも併せ持つものとなっていた。
このような従来の硬化性組成物の欠点を克服する硬化性組成物として、組成物に含有させる樹脂成分の骨格を変更または樹脂成分を混合してなる組成物等が知られている。
例えば、特許文献1には、オリゴマー骨格をポリプロピレングリコール(PPG)とポリサルファイド(PS)との共重合体としたポリサルファイドポリエーテルを用いることにより、ポリプロピレングリコールとの相溶性を向上させてイシシアネート基により硬化させる手法が記載されている。
また、特許文献2には、ヒドロキシ基を有するアクリル酸エステル重合体と、末端がイソシアネート基で変性されたポリオキシアルキレン化合物との組み合わせにより、いわゆるウレタン系シーリング材の耐候性を改善することができる旨記載されている。
更に、特許文献3には、加水分解性シリル基の加水分解によるシロキサン結合形成による硬化を利用する重合体の例では、従来の主鎖がポリオキシプロピレン系である、いわゆる変成シリコーン系のものに対し、主鎖を(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体やポリイソブチレン等の飽和炭化水素系重合体に変更するなどの手法により、耐熱性、耐久性、耐候性等を向上させることができる旨記載されている。
このような樹脂成分の骨格を変更等してなる組成物は、上述した特性(特に欠点)をある程度克服することはできるが、近年、硬化性組成物が用いられる用途が広がり、かつ、要求される特性も複雑高度化している現状においては、上述した特性(特に欠点)を十分に克服できない場合がある。
また、上述した樹脂成分を含有する硬化性組成物においても、樹脂成分を構成するこれらの各成分(硬化性樹脂)の特性が必ずしも発揮されない場合もあり、更なる改善が望まれていた。
特開平4−363325号公報 特開2001−220573号公報 特開平8−048748号公報
したがって、上述した欠点を十分に克服し、樹脂成分を構成する各成分(硬化性樹脂)の特性を発揮することができる硬化性組成物が望まれている。
上記課題に対して、本発明者らは、プレポリマーまたはオリゴマーと、3次元架橋されたポリマー微粒子とを含有する硬化性組成物を提案した。この硬化性組成物は、ポリマー微粒子がプレポリマー等中に均一に分散しており、プレポリマー等の特性とポリマー微粒子の特性とをいずれも損うことなく十分に発揮し、単一樹脂成分では到底実現しえない複数機能を発現することができるものである。
上記硬化性組成物においては、充填剤や可塑剤等の添加剤の種類・量を変えることにより、物性の調整が行われていた。しかしながら、添加剤の種類や量の変更をする場合には、コストが高くなったり、一部の物性が低下する可能性がある。例えば、強度を向上させるためにフィラーを増量した場合、組成物の粘度が高くなり、作業性が低下することがあった。
したがって、本発明は、配合を変えなくても力学的特性を制御できる硬化性組成物の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記の製造方法により得られる硬化性組成物を提供することも目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体(A)中、充填剤(C)の存在下でポリマー(b)を3次元架橋させてポリマー微粒子(B)を形成させる方法は、配合を変えなくても力学的特性を制御できることを知見し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は下記(1)〜(11)を提供する。
(1)硬化性組成物の製造方法であって、
加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体(A)に、
3次元架橋されたポリマー微粒子(B)を形成しうるポリマー(b)と、
充填剤(C)と
を加えて撹拌し、3次元架橋させてポリマー微粒子(B)を形成させ、前記重合体(A)と、前記重合体(A)中に分散した、前記ポリマー微粒子(B)と、前記充填剤(C)とを含有する硬化性組成物を得る撹拌架橋工程を具備する硬化性組成物の製造方法。
(2)前記撹拌架橋工程において、更に、架橋剤(D)を加えて、3次元架橋させて前記ポリマー微粒子(B)を形成させる上記(1)に記載の硬化性組成物の製造方法。
(3)前記ポリマー(b)が、分子内に架橋性基を有する上記(1)または(2)に記載の硬化性組成物の製造方法。
(4)前記充填剤(C)が、炭酸カルシウムである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法。
(5)前記炭酸カルシウムが、コロイダル炭酸カルシウムおよび/または重質炭酸カルシウムである上記(4)に記載の硬化性組成物の製造方法。
(6)前記撹拌架橋工程において、前記重合体(A)100質量部に対して前記ポリマー(b)を1〜80質量部含有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法。
(7)前記撹拌架橋工程において、前記充填剤(C)を前記重合体(A)100質量部に対して10〜300質量部含有する上記(1)〜(6)のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法。
(8)前記撹拌架橋工程において、更に、相溶化剤を加えて、3次元架橋させて前記ポリマー微粒子(B)を形成させる上記(1)〜(7)のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法。
(9)更に、前記撹拌架橋工程により得られた前記ポリマー微粒子(B)の表面に、前記重合体(A)の加水分解性ケイ素含有基と反応しうる官能基を有する化合物を反応させる官能基導入工程を具備する上記(1)〜(8)のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法。
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法により得られる硬化性組成物であって、前記ポリマー微粒子(B)の平均粒子径が1〜50μmである硬化性組成物。
(11)前記ポリマー微粒子(B)を、前記重合体(A)100質量部に対して1〜80質量部含有する上記(10)に記載の硬化性組成物。
本発明の製造方法は、配合を変えなくても力学的特性を制御できる。また、撹拌架橋工程に用いる充填剤の量を調整することにより、所望の力学的特性を有する硬化性組成物を得ることができる。
また、本発明の組成物は、力学的特性に優れ、他の特性(例えば、作業性等)も良好である。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の硬化性組成物(以下、「本発明の組成物」という。)は、後述する本発明の硬化性組成物の製造方法により得られる硬化性組成物であって、ポリマー微粒子(B)の平均粒子径が1〜50μmである硬化性組成物である。
本発明の組成物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」という。)は、硬化性組成物の製造方法であって、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体(A)に、3次元架橋されたポリマー微粒子(B)を形成しうるポリマー(b)と、充填剤(C)とを加えて撹拌し、3次元架橋させてポリマー微粒子(B)を形成させ、上記重合体(A)と、上記重合体(A)中に分散した、上記ポリマー微粒子(B)と、上記充填剤(C)とを含有する硬化性組成物を得る撹拌架橋工程を具備する硬化性組成物の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、上記重合体(A)中で上記ポリマー微粒子(B)を形成させる際に、充填剤(C)存在下で上記ポリマー(b)を反応させると、粒子径が小さいポリマー微粒子(B)が形成され、力学的特性に優れた硬化性組成物を得ることができる。
<重合体(A)>
本発明の組成物に用いられる重合体(A)は、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体であれば特に限定されず、具体的には、例えば、変性シリコーン系重合体、シリコーン系重合体、ポリイソブチレン系重合体等が挙げられる。
変成シリコーン系重合体は、特に限定されないが、例えば、主鎖がアルキレンオキシド単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体(以下、重合体(A1)という。)、主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体(以下、重合体(A2)という。)が好適に挙げられる。加水分解性ケイ素含有基は、重合体の分子内の末端に存在していても、側鎖に存在していてもよく、また、両方に存在していてもよい。
上記重合体(A1)に含まれるアルキレンオキシド単量体単位としては、例えば、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH(C25)O−、−CH(CH3)CH2O−、−CH(C25)CH2O−、−CH2CH2CH2O−または−CH2CH2CH2CH2O−で表される繰り返し単位が挙げられる。
重合体(A1)の主鎖は、これらの繰り返し単位の1種のみからなっていてもよく、2種以上からなっていてもよい。
重合体(A1)の主鎖は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本明細書において、加水分解性ケイ素含有基とは、ケイ素原子に結合したヒドロキシ基および/または加水分解性基を有し、湿気や架橋剤の存在下、必要に応じて触媒等を使用することにより縮合反応を起こしてシロキサン結合を形成することにより架橋しうるケイ素含有基である。例えば、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基、アシロキシシリル基、アミノシリル基、アミノオキシシリル基、オキシムシリル基、アミドシリル基等が挙げられる。具体的には、下記式で例示される、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基、アシロキシシリル基、アミノシリル基、アミノオキシシリル基、オキシムシリル基、アミドシリル基等が好適に用いられる。
Figure 2007131660
中でも、取扱いが容易である点で、アルコキシシリル基が好ましい。
アルコキシシリル基のケイ素原子に結合するアルコキシ基は、特に限定されないが、原料の入手が容易なことからメトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が好適に挙げられる。
アルコキシシリル基のケイ素原子に結合するアルコキシ基以外の基は、特に限定されず、例えば、水素原子またはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数が20以下である、アルキル基、アルケニル基もしくはアリールアルキル基が好適に挙げられる。
重合体(A1)としては、2官能以上、即ち、分子内にアルコキシシリル基を2個以上有するアルコキシシラン類が好ましく、3〜20官能のアルコキシシラン類が原料の入手が容易なことからより好ましい。
このような重合体(A1)の分子量は特に限定されないが、高分子のものは高粘度であり、ハンドリングしにくい場合があるため、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算での数平均分子量が50,000以下であるのが好ましい。
重合体(A1)は、公知の方法によって製造することができる。
このような加水分解性ケイ素含有基を含有するポリオキシアルキレン系重合体としては、公知のものを用いることができる。
例えば、特公昭45−36319号、同46−12154号、同49−32673号、特開昭50−156599号、同51−73561号、同54−6096号、同55−82123号、同55−123620号、同55−125121号、同55−131022号、同55−135135号、同55−137129号および特開平3−72527号の各公報等に記載されているものを用いることができる。また、市販品としては、例えば、カネカ社製のMSP S203、S303、S810およびS943、旭硝子社製のEXCESTAR ES−S2410、ES−S2420、ES−S3430およびES−S3630等を用いることができる。
上記重合体(A2)は、主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体である。重合体(A2)に含まれるアクリル酸アルキルエステル単量体単位としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ミリスチル、アクリル酸セチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸ビフェニルが挙げられる。
また、メタクリル酸エステル単量体単位としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ミリスチル、メタクリル酸セチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ビフェニルが挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体(A2)の主鎖は、アクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含むものであれば特に限定されないが、これらの単量体単位の割合が50質量%を超えるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましい。
重合体(A2)の主鎖は、アクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位のほかに、これらと共重合性を有する単量体単位を含んでいてもよい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシ基を含有する単量体単位;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基を含有する単量体単位;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を含有する単量体単位;ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含有する単量体単位;ポリオキシエチレンアクリレート、ポリオキシエチレンメタクリレート等は、湿分硬化性および内部硬化性の点で共重合効果を期待することができる。
そのほかに、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位が挙げられる。
重合体(A2)の単量体組成は、用途、目的等により適宜選択される。
例えば、単量体のアルキルエステル部分のアルキル鎖が長い場合には、ガラス転移温度が低くなり、硬化物の物性は軟らかいゴム状弾性体となる。逆に、短い場合には、ガラス転移温度が高くなり、硬化物の物性も硬くなる。
一方、硬化後の物性は、重合体の分子量にも大きく依存する。
したがって、重合体の単量体組成は、分子量を考慮しつつ、所望の粘度、硬化後の物性等に応じて、適宜選択すればよい。
重合体(A2)の主鎖は、制御されたビニル重合の方法等によって得ることができる。例えば、連鎖移動剤法、リビングラジカル重合法等によって、溶液重合法、塊重合法等を行って得ることができるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
連鎖移動剤法においては、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合を行うことにより、末端に官能基を有する重合体が得られる。
リビングラジカル重合法においては、重合生長末端が停止反応等を起こさずに生長することにより、ほぼ設計どおりの分子量の重合体が得られる。
連鎖移動剤法は、フリーラジカル重合であるため分子量分布が広く、粘度の高い重合体しか得られないが、リビングラジカル重合法は、停止反応が起こりにくいため分子量分布が狭く(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)、粘度が低い重合体を得ることができ、特定の官能基を有する単量体を重合体のほぼ任意の位置に導入することができるので好ましい。本発明においては、特開2003−313397号公報に記載されている方法が好適に用いられる。
反応は、通常、上述した単量体単位、ラジカル開始剤、連鎖移動剤、溶剤等を混合させて50〜150℃で反応させることにより行われる。
ラジカル開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイドが挙げられる。
連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン等のメルカプタン類;含ハロゲン化合物が挙げられる。
溶剤としては、例えば、エーテル類、炭化水素類、エステル類等の非反応性の溶剤が好適に挙げられる。
加水分解性ケイ素含有基は、上記重合体(A1)で説明したものと同様である。
重合体(A2)が有する加水分解性ケイ素含有基の数は、1分子あたり少なくとも1個である。また、加水分解性ケイ素含有基の結合位置は、主鎖の末端であるのが好ましく、主鎖の末端のみであるのがより好ましい。また、主鎖の両末端にそれぞれ加水分解性シリル基を有するのが、接着性および耐候性の点から好ましい。
重合体(A2)の主鎖に加水分解性ケイ素含有基を導入する方法は、特に限定されず、例えば、(i)連鎖移動剤として加水分解性ケイ素含有基を含有するメルカプタンの存在下、上記単量体単位を重合させて分子末端に加水分解性ケイ素含有基を導入する方法、(ii)連鎖移動剤としてメルカプト基と加水分解性ケイ素含有基以外の反応性官能基とを有する化合物(例えば、アクリル酸)の存在下、上記単量体単位を重合させ、生成した共重合体を加水分解性ケイ素含有基とY基と反応しうる官能基とを有する化合物(例えば、イソシアネート基と−Si(OCH33基とを有する化合物)と反応させて分子末端に加水分解性ケイ素含有基を導入する方法、(iii)加水分解性ケイ素含有基を含有する化合物(例えば、アゾビスニトリル化合物、ジスルフィド化合物)を開始剤として上記単量体単位を重合させて分子末端に加水分解性ケイ素含有基を導入する方法、(iv)リビングラジカル重合法によって上記単量体単位を重合させて分子末端に加水分解性ケイ素含有基を導入する方法、(v)重合性不飽和結合と加水分解性ケイ素含有基とを有する化合物と上記単量体単位とを、加水分解性ケイ素含有基が1分子あたり少なくとも1個導入されるように単量体単位の使用比率、連鎖移動剤量、ラジカル開始剤量、重合温度等の重合条件を選定して共重合させる方法が挙げられる。
中でも、重合体(A2)が、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体に加水分解性ケイ素含有基を有するヒドロシランをハイドロシリルレーションにより付加することによって製造されるのが好ましい態様の一つである。
末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体は、例えば、有機ハロゲン化合物またはハロゲン化スルホニル化合物を、開始剤と、触媒として周期表の第8族、第9族、第10族または第11族の元素を中心金属とする金属錯体とを用いて、重合することにより得られる、(メタ)アクリル系重合体の末端ハロゲン基を、アルケニル基に変換することにより製造することができる。
ここで、末端にハロゲン基を有する(メタ)アクリル系重合体は、従来、連鎖移動剤として、四塩化炭素、四臭化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等のハロゲン化合物を用いて重合する方法により製造されてきた。
しかしながら、この方法では、重合体の両末端に確実にハロゲンを導入することが困難であった。
これに対して、特開平1−247403号公報には、アルケニル基を有するジチオカーパメートまたはジアリルジスルフィドを連鎖移動剤として用いることにより、両末端にアルケニル基を有するアクリル系重合体の製造方法が記載されている。また、特開平6−211922号公報には、水酸基含有ポリスルフィドまたはアルコール系化合物を連鎖移動剤として、末端に水酸基を有するアクリル系重合体を製造し、更に、水酸基の反応を利用して末端にアルケニル基を有するアクリル系重合体を製造する方法が記載されている。
しかしながら、これらの方法では、重合体末端に確実にアルケニル基を導入することは困難である。
一方、アルケニル基を経ないで加水分解性ケイ素含有基を有する(メタ)アクリル系重合体を得る方法として、特公平3−14068号公報には、(メタ)アクリル系モノマーを加水分解性ケイ素含有基含有メルカプタン、加水分解性ケイ素含有基含有ジスルフィドおよび加水分解性ケイ素含有基を有するラジカルラジカル重合開始剤の存在下に重合させる方法が記載されている。また、特公平4−55444号公報には、アクリル系モノマーを加水分解性ケイ素含有基含有ヒドロシラン化合物またはテトラハロシラン化合物の存在下に重合させる方法が記載されている。更に、特開平5−97921号公報には、加水分解性ケイ素含有基を有する安定カルバニオンを開始剤としてアクリル系モノマーをアニオン重合させ、重合末端を2官能性の求電子化合物と反応させて、末端に加水分解性ケイ素含有基を有するアクリル系重合体を製造する方法が記載されている。
しかしながら、これらの方法では、側鎖に官能基が導入される等の問題があった。即ち、末端に確実に加水分解性ケイ素含有基を導入することは困難であった。また、これらのラジカル重合で得られる重合体は、分子量分布が広く、粘度が高いという問題もあった。
そこで、近年、アクリル系重合体の末端に官能基が確実に導入される方法として、リビングラジカル重合が注目されている。リビングラジカル重合は、特開平9−272714号公報等に記載されている。
特に、特開2000−154205号公報および特開2000−178456号公報には、リビングラジカル重合法の中でも、原子移動ラジカル重合法について詳しく記載されている。ここでは、開始剤として、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物が用いられ、触媒として、周期表第8族、第9族、第10族または第11族の元素を中心金属とする金属錯体が用いられる。また、末端に官能基を有する(メタ)アクリル系重合体を得るために、開始点を2個以上有する有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物が開始剤として用いられる。
また、特開2003−96106号公報には、(メタ)アクリル酸エステル単量体のラジカル重合を、開始剤として、2,2’−アゾビス(ジメチルバレロニトリル)を用い、連鎖移動剤として、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等を用いて行うことが記載されている。ここでは、重合溶媒として2−プロパノール、イソブタノール等を用いると、第三級炭素原子に結合した水素原子を有するため、連鎖移動剤としても作用し、連鎖移動剤の使用量を低減することができる等の点で好ましいこと、および、芳香族溶剤を用いる場合よりも分子量分布を狭く制御することができることのため有用であると記載されている。
以上のような、リビングラジカル重合により得られる(メタ)アクリル系重合体から製造される重合体(A2)は、分子量分布が、通常のラジカル重合により得られる(メタ)アクリル系重合体が通常2.0以上であるのに対し、1.5以下と極めて狭いため、低粘度である。また、末端への官能基導入率も極めて高い。
重合体(A2)の分子量は、特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算での数平均分子量が500〜100,000であるものが、重合時の難易度、相溶性、取扱い粘度の点で好ましい。中でも、数平均分子量1,000〜50,000のものが強度と粘度とのバランスの点で好ましく、2,000〜30,000のものが、作業性等取扱いの容易さ、接着性等の点で、より好ましい。
重合体(A2)としては、公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、カネカ社製のSMAP(カネカテレケリックポリアクリレート) SA100S、SA110S、SA120SおよびSA200SX、カネカ社製のカネカMSポリマーS943が挙げられる。
また、上記重合体(A)としては、シリコーン系重合体、ポリイソブチレン系重合体を用いることもできる。
シリコーン系重合体は、特に限定されないが、例えば、ポリジメチルシロキサン構造を有する化合物等が挙げられる。
ポリイソブチレン系重合体は、特に限定されないが、例えば、−CH2C(CH32−で表される構造単位を有し、末端に加水分解性ケイ素含有基を有する重合体等が挙げられる。具体的には、EPION(鐘淵化学工業社製)等が挙げられる。
上記重合体(A)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<ポリマー微粒子(B)>
本発明の組成物に用いられるポリマー微粒子(B)は、上記撹拌架橋工程においてポリマー(b)を3次元架橋させて形成させるものである。ポリマー微粒子(B)はゴム弾性を有するのが好ましく、その主成分となるポリマー(b)は反応性液状ゴムであるのが好ましく、具体的には、例えば、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴム等が挙げられる。
ジエン系ゴムとしては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)およびこれらの酸無水物変性体等が挙げられる。
非ジエン系ゴムとしては、特に限定されないが、例えば、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン‐プロピレンゴム(EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ポリサルファイドおよびこれらの変性体等が挙げられる。
上記各ポリマーの構成成分、重量平均分子量等は、特に限定されない。
これらのポリマー(ゴム)は、複数を混合して用いてもよく、また、これらの2種以上を共重合してなる共重合体をポリマーの主鎖として用いてもよい。このときの混合比、共重合比等は特に限定されない。
また、これらのポリマー(ゴム)としては、市販品を用いることができる。
上記ポリマー(b)は、分子内に架橋性基を有するのが好ましい。ポリマー(b)が架橋性基を有する場合は架橋剤を添加しなくても3次元架橋させることができる。
架橋性基は、特に限定されず、ポリマー(b)がジエン系ゴムである場合、酸無水物基、エポキシ基等が挙げられる。
本発明の製造方法の撹拌架橋工程においては、更に、架橋剤(D)を加えて、ポリマー(b)を3次元架橋させてポリマー微粒子(B)を形成させるのが好ましい。換言すれば、ポリマー(b)が架橋性基を有していない場合は架橋剤が必要である。
上記架橋剤(D)は、微粒子とするポリマー(b)に応じて選択され、特に限定されない。例えば、ポリマー(b)として加水分解性ケイ素含有基を有するポリマーを用いる場合(湿気硬化性)には、例えば、水、触媒等を用いることができる。
ポリマー(b)としてジエン系ゴムを用いる場合は、例えば、硫黄や有機過酸化物等の架橋剤を用いることができる。また、ケチミン化合物、オキサゾリジン化合物等の加水分解性化合物を用いることもできる。
架橋剤(D)の含有量は、上記ポリマー(b)100質量部に対して0.1〜5質量部であるのが好ましく、0.1〜1質量部がより好ましい。
ポリマー微粒子(B)の製造は、上述したように本発明の製造方法の撹拌架橋工程において、充填剤(C)存在下で、上記ポリマー(b)を3次元架橋させることにより行われる。
上記撹拌架橋工程において用いられるポリマー(b)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して1〜80質量部が好ましい。この範囲であると、ポリマー微粒子(B)を製造し易い。また、従来の組成物と同等以上の作業性(例えば、粘度、揺変性等の物性)、外観特性(例えば、色調、光沢等)等を有する組成物を容易に製造することができる。これらの特性により優れる点から、ポリマー(b)の含有量は、5〜60質量部であるのがより好ましく、20〜50質量部であるのが更に好ましい。
上記撹拌架橋工程により形成させるポリマー微粒子(B)の平均粒子径は、通常、1〜50μmであるのが好ましい。ポリマー微粒子(B)の平均粒子径がこの範囲であると、硬化物の硬さと柔軟性のバランスがとれるため力学的特性が向上する。この特性により優れる点から、ポリマー微粒子(B)の平均粒子径は1〜40μmがより好ましく、1〜20μmが更に好ましい。
ポリマー微粒子(B)は、その表面に上記重合体(A)の加水分解性ケイ素含有基と反応しうる官能基を有するのが、単一樹脂成分では到底実現しえない複数機能を安定して発現することができ、更に、重合体(A)中にポリマー微粒子(B)が均一に分散した状態で固定され、得られる硬化物の物理的特性等に優れる点で好ましい。
本発明においては、重合体(A)の加水分解性ケイ素含有基と反応しうる官能基は特に限定されないが、重合体(A)とポリマー微粒子(B)との反応形式が同じという点から、加水分解性ケイ素含有基が好ましい。
ポリマー微粒子(B)に官能基を導入する方法としては、特に限定されず、例えば、3次元架橋により微粒子が所望の粒子径に形成されてきた最終段階において、この3次元架橋の反応様式に用いられるのと同一の反応性官能基と重合体(A)の加水分解性ケイ素含有基と反応しうる官能基との両方を有する化合物を新たに添加する方法;3次元架橋の際に、加水分解性ケイ素含有基と反応しうる官能基をグラフト構造等のような形式で有するオリゴマー等を微粒子のポリマー成分として選択し、3次元架橋の最初の段階、ある程度の粒径となった途中の段階、および、上述した最終段階のいずれかの段階から用いる方法等が挙げられる。
ポリマー微粒子(B)の表面に導入される官能基は、その導入量を特に限定されない。官能基の導入量は、目的に応じて任意に調整される。例えば、重合体(A)が硬化する際に、重合体(A)の官能基と反応し、ポリマー微粒子(B)を固定することができる程度に導入される場合、補強性等の物理的特性を向上させる目的で多量に導入される場合が挙げられる。
このようにして得られるポリマー微粒子(B)は、重合体(A)に容易に、かつ、均一に分散する。
ここで、ポリマー微粒子(B)の主鎖が重合体(A)の主鎖と異なる分子構造を有するのが好ましい。ポリマー微粒子(B)と重合体(A)のモノマー成分の分子構造(化学構造)が異なると、それぞれの分子構造に基づく特性が得られ、複数機能を容易に発現させられる。
なお、本発明において、「異なる分子構造」とは、主鎖(その全部または一部)が、基本的に異なる繰り返し単位またはブロック共重合体に見られるように部分的に異なる繰り返し単位を有する重合体であることを意味する。
つまり、簡単に説明すると、両者の相溶性が、両者のブレンド比において、および、微粒子となるよう架橋させる際の温度領域において、例えば、UCST型(Upper Critical Solution Temperature:上限臨界共相溶温度)、および、LCST型(Lower Critical Solution Temperature:下限臨界共相溶温度)のいずれの場合においても、海島型の相分離構造となり、微粒子として3次元架橋するように、ポリマー微粒子(B)の主鎖と重合体(A)の主鎖とが異なる分子構造を有するのが特に好適である。
また、両者の分子構造の一部が、ブロック共重合体、グラフト共重合体等で、一部分子構造が共通であり相溶する場合、ミクロ相分離構造を形成する場合、または、両者の分子構造が基本的に異なってもSP値(溶解性パラメータ)が近似であるがために相溶する場合においても、微粒子として3次元架橋する際の分子量増大に伴い、両者が非相溶となっていくことにより、海島構造となり、微粒子として3次元架橋するように、ポリマー微粒子(B)の主鎖が重合体(A)の主鎖と異なる分子構造を有するのも好適である。
換言すれば、重合体(A)の加水分解性ケイ素含有基が、微粒子が架橋していく際の官能基、もしくは触媒、または架橋剤、促進剤、反応温度、重合温度等の影響を受けない状態で、微粒子のオリゴマー状態の領域下あるいは3次元架橋に伴う分子量増大の過程において非相溶の状態となり、相分離し海島構造となり、基本的に微粒子が3次元架橋するように、ポリマー微粒子(B)の主鎖が重合体(A)の主鎖と異なる分子構造を有するのが好適である。
また、ポリマー微粒子(B)の主鎖が重合体(A)の主鎖と同じ分子構造を有している場合には、ポリマー微粒子(B)の架橋形式が重合体(A)が架橋する際の架橋形式と異なるのが好ましい。両主鎖の分子構造が同じであっても架橋形式が異なれば、それぞれの架橋形式に基づく特性が得られ、複数機能を容易に発現させられる。
なお、本発明において、「同じ分子構造」とは、主鎖(その全部または一部)が、基本的に同じ分子構造または同じ繰り返し単位を有する重合体であることを意味し、「架橋形式が異なる」とは、3次元架橋されたポリマーの架橋点の結合と重合体(A)が硬化反応して生成する結合とが化学的に異なる結合であることを意味する。
つまり、両者の分子構造が同じでも、架橋形式が異なることにより、一方を微粒子状にすることも容易に可能である。また、両者の分子構造が基本的に同じで、更に架橋形式も基本的に同じ場合であっても、架橋する際のそれぞれの反応活性が著しく異なる場合またはそれぞれの分子量、架橋点となりうる官能基等の数、分子鎖の形態等の相違により一方を微粒子状として3次元架橋させることも可能である。
例えば、重合体(A)として、変成シリコーン系プレポリマーを用い、その中でヒドロキシ基を有するポリオキシプロピレングリコールにポリイソシアネート化合物を反応させて、ウレタンの微粒子を合成する場合は、両者の分子鎖は同じでも、各々の官能基が異なるがために、高速撹拌下で行えば、一方はウレタン微粒子となる。
ポリマー微粒子(B)の主鎖と重合体(A)の主鎖の分子構造が異なる場合、および、ポリマー微粒子(B)の主鎖と重合体(A)の主鎖の分子構造は同じでもポリマー微粒子(B)の架橋形式が重合体(A)が架橋したときの架橋形式と異なる場合には、ポリマー微粒子(B)と重合体(A)とが異なるものであり、これらを含有する硬化性組成物は、両者の特性を発揮し、一方の欠点を克服することができると考えられる。
この中でも、製造が容易である点で、ポリマー微粒子(B)の主鎖と重合体(A)の主鎖の分子構造が異なるのが好ましい。
重合体(A)とポリマー(b)の組み合わせは、例えば、重合体(A)が上記重合体(A1)である場合、ポリマー(b)は、ジエン系ゴム(特に、IR、BR、SBR)、非ジエン系ゴム(特に、アクリルゴム、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴム)が好ましい。
また、重合体(A)が上記重合体(A2)である場合、ポリマー(b)は、ジエン系ゴム(特に、IR、BR、SBR)、非ジエン系ゴムまたはポリプロピレングリコール(PPG)が好ましい。
また、重合体(A)が上記ポリイソブチレン系重合体である場合、ポリマー(b)は、ジエン系ゴム(特に、IR、BR、SBR)、非ジエン系ゴムまたはPPGが好ましい。
本発明の組成物において、ポリマー微粒子(B)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、1〜80質量部であるのが好ましく、5〜60質量部であるのがより好ましく、20〜50質量部であるのが更に好ましい。ポリマー微粒子(B)の含量を上記範囲にすることにより、従来の組成物と同等以上の作業性(例えば、粘度、揺変性等の物性)、外観特性(例えば、色調、光沢等)等を有する組成物を容易に製造することができる。
<充填剤(C)>
本発明の組成物に用いられる充填剤(C)は、特に限定されず、各種形状の有機または無機の充填剤が挙げられる。具体的には、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー、カーボンブラック、およびこれらの脂肪酸処理物、樹脂酸処理物、ウレタン化合物処理物、脂肪酸エステル処理物等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、炭酸カルシウムが好ましい。特に、コロイダル炭酸カルシウムおよび重質炭酸カルシウムがより好ましい。コロイダル炭酸カルシウムは比較的粒子径が小さいので混合物の粘度を比較的少量で高くすることができるため、撹拌による剪断力をより効果的に伝えることができる。そのため、コロイダル炭酸カルシウムを用いた場合、粒子径の小さいポリマー微粒子(B)を容易に得ることができる。また、コロイダル炭酸カルシウムは、特に破断強度(TB)を向上する効果が大きい。
重質炭酸カルシウムは、特に50%モジュラス等を向上する効果が大きい。
上記炭酸カルシウムは、補強効果等に優れるため、脂肪酸、脂肪酸エステル等により表面処理されていてもよい。
充填剤(C)の平均一次粒子径は、0.01〜0.1μmが好ましく、0.02〜0.08μmがより好ましい。この範囲であると分散性およびチクソ性に優れる。
上述したように、撹拌架橋工程において重合体(A)中でポリマー微粒子(B)を形成させる際に、充填剤(C)存在下でポリマー(b)を反応させると、粒子径が小さいポリマー微粒子(B)が形成される。これは、重合体(A)とポリマー(b)との混合物に充填剤(C)を適量添加すると混合物の粘度が適度に高くなり、撹拌による剪断力がより効果的に伝わるようになるからであると考えられる。
本発明の製造方法においては、撹拌架橋工程で充填剤(C)を用いるが、物性の調整等を目的として、更に、撹拌架橋工程の後に添加することができる。
本発明の組成物における充填剤(C)の含有量は、用いる充填剤の種類や粒子径に応じて適宜選択することができるが、重合体(A)100質量部に対して100〜300質量部が好ましい。この範囲であると、粘度が高くなり過ぎず、力学的特性に優れる。これらの特性により優れる点から、充填剤(C)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、100〜250質量部がより好ましく、150〜200質量部が更に好ましい。
また、撹拌架橋工程において用いられる充填剤(C)の含有量は、硬化性組成物に要求される物性に応じて適宜調整することができるが、重合体(A)100質量部に対して10〜300質量部が好ましい。この範囲であると、撹拌架橋工程における混合物の粘度が適度になる。また、撹拌架橋工程後に充填剤を添加しなくても優れた力学的物性が得られる。これらの特性により優れる点から、撹拌架橋工程において用いられる充填剤(C)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、20〜200質量部がより好ましく、40〜150質量部が更に好ましい。
本発明の組成物におけるコロイダル炭酸カルシウムの含有量は、重合体(A)100質量部に対して、100〜300質量部が好ましく、100〜250質量部がより好ましい。この範囲であると、粘度が高くなり過ぎず、力学的特性(特に破断強度)に優れる。
撹拌架橋工程に用いられるコロイダル炭酸カルシウムの含有量は、重合体(A)100質量部に対して、10〜300質量部が好ましく、20〜200質量部がより好ましい。この範囲であると、撹拌架橋工程における混合物の粘度が適度になる。また、撹拌架橋工程後に充填剤を添加しなくても優れた力学的物性が得られる。
本発明の組成物における重質炭酸カルシウムの含有量は、重合体(A)100質量部に対して、100〜300質量部が好ましく、100〜250質量部がより好ましい。この範囲であると、粘度が高くなり過ぎず、力学的特性(特に50%モジュラス等)に優れる。
撹拌架橋工程に用いられる重質炭酸カルシウムの含有量は、重合体(A)100質量部に対して、10〜300質量部が好ましく、20〜200質量部がより好ましい。この範囲であると、撹拌架橋工程における混合物の粘度が適度になる。また、撹拌架橋工程後に充填剤を添加しなくても優れた力学的物性が得られる。
<相溶化剤>
上記撹拌架橋工程において、更に、相溶化剤を加えて、3次元架橋させてポリマー微粒子(B)を形成させるのが好ましい。また、撹拌架橋工程後に相溶化剤を添加することもできる。
上記相溶化剤は、種々の目的で含有される。目的としては、例えば、ポリマー微粒子(B)の生成、ポリマー微粒子(B)の分散、硬化後の物性の調整が挙げられる。
相溶化剤は、一般的には、例えば、ポリマーAとポリマーBとが非相溶な混合系となる場合に、ポリマーAのモノマーとポリマーBのモノマーとの共重合体が、界面活性剤のような役割を果たし、ポリマーAとポリマーBとの界面において、界面張力を低下させたり、界面層の制御や分散層の反発作用等の機能を発揮する。即ち、相溶化剤は、微細分散化、界面での両者の接着性向上等の重要な機能を担う。また、後述する本発明の製造方法で説明するが、相溶化剤を用いることにより均一な粒子径のポリマー微粒子(B)を形成できる。
相溶化剤としては、例えば、ブレンド成分と同じもの;ブレンド成分と相溶性のある他成分が一部同じもの;ポリマーAおよびポリマーBとは別のモノマーを含む共重合体であって、それぞれの溶解性パラメータの値が同じか、または近いかであるもの;ポリマーAまたはポリマーBと反応して、他のポリマーと相溶性を示す別のモノマーの共重合体;ポリマーAとポリマーBとのブレンド過程で反応により、グラフトおよび/またはブロック共重合体が一部形成されて相溶化剤として作用するものが挙げられる。
本発明における相溶化剤は、異なる化学的特性の二つ以上の物質を、同一の分子中に有するものであり、その機能により、界面活性剤、混和剤、乳化剤、可溶化剤、分散剤等と呼ばれる。本発明に用いられる相溶化剤は、乳化剤としての機能を有しているものが好ましい。
本発明に用いられる相溶化剤としては、例えば、非イオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤および両性乳化剤等が挙げられる。中でも、化学的安定性が良好であり、多価金属イオンやその他の不純物の混入しても不溶性の塩等を形成せず分離等が起こらないという点から、非イオン性乳化剤が好ましい。
非イオン性乳化剤としては、ソルビタンエステル、ソルビタンエステルのアルキレンオキサイド付加物、長鎖アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。
アニオン性乳化剤としては、例えば、脂肪酸、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸あるいはそれらの塩等が挙げられる。
カチオン性乳化剤としては、例えば、アルキルアミン、アルキルポリアミン、アミドアミン、アルキルイミダゾリンの鉱酸または低級カルボン酸塩、4級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性乳化剤としては、例えば、酢酸ベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン、イミダゾリウムベタイン、アミンオキサイド等が挙げられる。
これらの相溶化剤(乳化剤)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
相溶化剤は、上記重合体(A)および上記ポリマー(b)の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部含有されるのが好ましい。この範囲であれば、組成物の物性に悪影響を及ぼすことなく、相溶化剤の効果を十分発揮できる。この特性により優れる点から、相溶化剤の含有量は、0.2〜5質量部がより好ましい。
相溶化剤は、ポリマー微粒子(B)の生成後(即ち、ポリマー(b)の3次元架橋後)に添加してもよく、ポリマー微粒子(B)の生成中(即ち、ポリマー(b)の3次元架橋の反応進行中)に添加してもよく、ポリマー微粒子(B)の生成前に添加してもよく、種々の条件に応じて、適宜方法を選択するのが好ましい。
本発明の組成物は、上記各成分の他に、重合体(A)の硬化触媒を含有することができる。硬化触媒を含有することにより、本発明の組成物は、硬化反応の進行を促進して硬化に到る作業時間の短縮を図ることができ、これによりタックフリータイムも短縮され、実用上優れる。
本発明の組成物が、一液型の湿気硬化性組成物である場合には、硬化触媒は含有されてもされなくてもよい。換言すれば、目的とする硬化特性に応じて選択される。
本発明の組成物が、二液型の反応硬化性組成物である場合には、組成物に含有される重合体(A)と、通常、用いられる硬化触媒とを別個の液として含有するのが好ましい。
硬化触媒としては、特に限定されず、例えば、オクタン酸亜鉛、オクタン酸鉄、オクタン酸マンガン、オクタン酸スズ、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸鉄、ブタン酸スズ、カプリル酸スズ、オレイン酸スズ等のカルボン酸金属塩;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオレエート、ジオクチルスズジラウレート、ジフェニルスズジアセテート、酸化ジブチルスズ、酸化ジブチルスズとフタル酸エステルとの反応生成物、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズ(トリエトキシシロキシ)、ジブチルスズシリケート等の有機スズ化合物;ジブチルスズジアセチルアセトナート等のスズキレート化合物;テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラ−2−エチルヘキシルオキシチタン、テトライソプロペニルオキシチタン等のチタン酸エステル;ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(アセチルアセトナート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、チタントリス(アセチルアセトナート)等のチタンキレート化合物;テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシジルコニウムステアレート等のジルコニウムアルコキシド;ジルコニウムテトラ(アセチルアセトナート)等のジルコニウムキレート化合物;トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等のアルミニウムアルコキシド;ジイソプロポキシアルミニウム(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウムキレート化合物;ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン等の第1級アミン;ジブチルアミン等の第2級アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、キシリレンジアミン等のポリアミン;トリエチレンジアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン等の環状アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール化合物;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のアミノフェノール化合物等のアミン化合物およびそのカルボン酸塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセタート等の第4級アンモニウム塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量アミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物等が挙げられる。これらの硬化触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、保存中および作業中に揮発しにくく、微量の配合で優れた触媒能が得られることから、スズ系触媒およびチタン系触媒が好ましい。
硬化触媒の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。硬化触媒の含有量がこの範囲であると、硬化触媒の作用を十分に発揮でき、他の成分との相溶性に関しても問題がなく、硬化時に局所的な発熱や発泡が生じることもない。
本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、脂肪族アミン化合物を含有することができる。脂肪族アミン化合物を含有すると、触媒が活性化され、硬化を速くすることができる。
上記脂肪族アミン化合物としては、特に限定されないが、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、s−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ポリオキシプロピレンアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、ジメチルアミノプロピルアミン、2−ジエチルアミノエチルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、2−ブチル−2−エチルペンタン−1,5−ジアミン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルアミン、3−アミノ−1−メチルアミノプロパン、3−アミノプロパノール、4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン、4,9−ジオキサデカン−1,12−ジアミン、ジプロピレントリアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ヘキシルアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−メチルアミノプロピルアミン、ネオペンタンジアミン、n−オクチルアミン、トリデシルアミン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン化合物;キシリレンジアミン等の芳香環含有脂肪族アミン化合物;およびこれらの変性体等が挙げられる。
脂肪族アミン化合物の含有量は、上記重合体(A)100質量部に対して0.2〜5質量部が好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。
本発明の組成物は、本発明の効果を損わない範囲で、各種添加剤等を含有することができる。
各種添加剤等は、特に限定されないが、例えば、シランカップリング剤、可塑剤、老化防止剤、接着付与剤、レオロジー調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、エポキシ基、アミノ基(ウレイド基)、メルカプト基、(ポリ)スルフィド基、ビニル基、メタクリロキシ基、カルボキシ基、イソシアネート基、ハロゲン、シクロプロピル基およびエステル基からなる群より選択される少なくとも1種の有機官能基と、少なくとも1つの加水分解性ケイ素含有基とを有する化合物等が挙げられる。
シランカップリング剤の含有量は、上記重合体(A)100質量部に対して0.2〜5質量部であるのが好ましく、0.2〜2.0質量部であるのがより好ましい。
以下、本発明の製造方法を詳しく説明する。
本発明の製造方法は、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体(A)に、3次元架橋されたポリマー微粒子(B)を形成しうるポリマー(b)と、充填剤(C)と、必要に応じて架橋剤(D)等を加えて撹拌し、3次元架橋させてポリマー微粒子(B)を形成させ、上記重合体(A)と、上記重合体(A)中に分散した、上記ポリマー微粒子(B)と、上記充填剤(C)とを含有する硬化性組成物を得る撹拌架橋工程を具備する。
上記撹拌架橋工程は、重合体(A)が硬化しない条件下(例えば、湿気遮断条件下)、重合体(A)中でポリマー(b)が徐々に架橋して3次元架橋されたポリマー微粒子(B)を形成する工程である。この撹拌架橋工程は、充填剤(C)存在下で行われるので小さい粒子径のポリマー微粒子(B)が得られやすい。
また、重合体(A)中での撹拌により、ポリマー微粒子(B)および充填剤(C)が重合体(A)中に均一に分散する。
充填剤(C)を添加する時期は、ポリマー(b)の架橋反応前または反応途中であれば特に限定されない。例えば、重合体(A)、ポリマー(b)、充填剤(C)および必要に応じて架橋剤(D)を同時に混合して撹拌し、3次元架橋させることができる。また、重合体(A)、ポリマー(b)および必要に応じて架橋剤(D)を混合して撹拌し、3次元架橋させ、その反応途中に充填剤(C)を投入してもよい。
撹拌架橋工程後、必要に応じて配合処方の調整等を行い硬化性組成物とする。
上記撹拌架橋工程においては、更に、架橋剤(D)を加えて、ポリマー(b)を3次元架橋させてポリマー微粒子(B)を形成させるのが好ましい。上記ポリマー(b)が架橋性基を有する場合は、架橋剤を添加しなくても3次元架橋することができる。換言すれば、ポリマー(b)が架橋性基を有していない場合は、通常、架橋剤が必要である。
上記撹拌架橋工程において、更に、相溶化剤を加えて、3次元架橋させてポリマー微粒子(B)を形成させるのが好ましい。また、撹拌架橋工程後に相溶化剤を添加することもできる。
上記相溶化剤は、種々の目的で含有される。目的としては、例えば、ポリマー微粒子(B)の生成、ポリマー微粒子(B)の分散、硬化後の物性の調整が挙げられる。
本発明の製造方法においては、撹拌架橋工程における、充填剤(C)の添加量、撹拌速度、温度および重合体(A)とポリマー微粒子(B)との相分離エネルギー、ポリマー(b)の架橋反応速度等を考慮して行うと、ポリマー微粒子(B)の大きさを調整することができ、ポリマー微粒子を重合体(A)に均一に分散させることができる。
これらの物性(パラメータ)の好ましい範囲は、用いる重合体(A)、ポリマー(b)および充填剤(C)によって異なり、一概には決定しえないが、例えば、撹拌速度(回転速度)は、ポリマー微粒子(B)の粒子径を小さくでき、均一に分散させられる点から、100〜10000rpmであるのが好ましく、1000〜10000rpmであるのがより好ましい。
本発明の製造方法においては、更に、撹拌架橋工程により得られるポリマー微粒子(B)の表面に、重合体(A)の加水分解性ケイ素含有基と反応しうる官能基を有する化合物を反応させる官能基導入工程を具備するのがより好ましい。表面に官能基を有するポリマー微粒子(B)を調製することができれば、重合体(A)中に均一に分散したポリマー微粒子と硬化した際に、一体化しやすく、物性調整等の点で有効である。
微粒子表面にプレポリマーと反応する官能基を導入する方法としては、例えば、3次元架橋により微粒子が所望の粒子径に形成されてきた最終段階において、この3次元架橋の反応様式に用いられるのと同一の反応性官能基と重合体(A)の加水分解性ケイ素含有基と反応しうる官能基との両方を有する化合物を新たに添加する方法;3次元架橋の際に、加水分解性ケイ素含有基と反応しうる官能基をグラフト構造等のような形式で有するオリゴマー等を微粒子のポリマー成分として選択し、3次元架橋の最初の段階、ある程度の粒径となった途中の段階、および、上述した最終段階のいずれかの段階から用いる方法等が挙げられる。
以上、一液型の硬化性組成物について説明したが、本発明の組成物が用いられる用途、作業性、組成物の貯蔵安定性等を考慮して、本発明の組成物を二液型の硬化性組成物としてもよい。つまり、重合体(A)、ポリマー微粒子(B)および充填剤(C)を含有する第一液と、重合体(A)の硬化触媒を含有する第二液とを有する硬化性組成物とすることができる。
第一液および第二液の製造方法は、特に限定されず、上述した重合体(A)、ポリマー微粒子(B)、充填剤(C)、必要により、架橋剤(D)および各種添加剤等を、上述した方法でそれぞれ混合すればよい。
二液型の組成物は、使用前に、第一液と第二液を常法にしたがって混合して用いる。
このようにして得られる本発明の組成物は、必要により重合体(A)の硬化触媒等を配合され、更に必要により溶剤等で希釈され、塗布された後、所定の硬化方法に応じて、硬化される。
上述した本発明の製造方法によれば、配合を変えなくても力学的特性を制御できる。また、撹拌架橋工程に用いる充填剤の量を調整することにより、所望の力学的特性を有する硬化性組成物を得ることができる。
また、本発明の製造方法により得られる本発明の組成物は、力学的物性(破断強度、破断伸び等)に優れ、他の物性(例えば、作業性等)も良好である。
本発明の組成物は、本発明の組成物が有する特性を活かして広範な用途に用いられるが、建築用シーリング材、土木用シーリング材、自動車用シーリング材、各種シール剤、弾性接着剤、各種封止剤、ポッティング剤等として使用されるのが好ましい。
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜4)
<撹拌架橋工程>
重合体(A)(MSP S810、カネカ社製)85質量部、ポリマー(b)(液状イソプレンゴム、LIR403、クラレ社製)15質量部および後述する方法で得られたオキサゾリジン化合物(PHO−XDI)0.35質量部を撹拌機(井上製作所社製)に投入し、常温、200rpmで10分間混合した。
次に、コロイダル炭酸カルシウム1(カルファイン200、白石工業社製)を第1表に示す量、表面処理重質炭酸カルシウム(スーパーSS、丸尾カルシウム社製)60質量部、可塑剤としてDINP(ジェイプラス社製)40質量部を添加し、常温、200rpmで20分間混合して、ポリマー(b)を架橋させ、ポリマー微粒子(B)を形成させた。
<官能基導入工程>
上記撹拌架橋工程後、アミノシラン(KBM602、信越化学工業社製)0.15質量部、相溶化剤(レオドールTW−S320V、花王社製)0.15質量部を添加し、常温、200rpmで10分間混合し、ポリマー微粒子(B)の表面にアミノ基を導入した。
次に、コロイダル炭酸カルシウム2(カルファイン200、白石工業社製)を合計で150質量部となる量、DINP(ジェイプラス社製)30質量部、エポキシシラン(YD128、東都化成社製)5質量部、老化防止剤(チヌビン327、チバ・スペシャルケミカルズ)2質量部、2価の有機スズ触媒(ニッカオクチックスズ、日本化学産業社製)2.8質量部および脂肪族アミン化合物(ラウリルアミン、花王社製)0.5質量部を添加して混合し、十分に分散させて、各硬化性組成物を得た。
得られた各硬化性組成物を顕微鏡観察し、ポリマー微粒子の平均粒子径を測定した。
また、各硬化性組成物について、下記の方法により各物性を測定した。
結果を第1表に示す。
<オキサゾリジン化合物(PHO−XDI)の合成>
オキサゾリジン化合物は、一般に、例えば、アルカノールアミンとケトンまたはアルデヒドとを脱水縮合させて得ることができる。本実施例においては、以下のようにしてオキサゾリジン化合物(PHO−XDI)の合成を行った。
ジエタノールアミン30.0gとベンズアルデヒド31.8gとトルエン33.0gとをフラスコに入れ、110℃で6時間、脱水反応させた。その後、90℃で、減圧することにより、トルエンと未反応物とを除去して、ヒドロキシアルキルオキサゾリジンである、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン54.0gを得た。得られた2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン31.8gと、キシリレンジイソシアネート15.6gとを混合し、60℃で3時間反応させ、オキサゾリジン化合物(PHO−XDI)を得た。
(比較例1)
上記撹拌架橋工程においてコロイダル炭酸カルシウム1および重質炭酸カルシウムを用いず、撹拌架橋工程後にこれらを添加した以外は、実施例1〜4と同様の方法で硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物はゲル化したため、粒子径の測定および各物性の評価ができなかった。
(比較例2〜3)
ポリマー(b)およびオキサゾリジン化合物を添加せず、重合体(A)を100質量部とした以外は、実施例1〜4と同様の方法で硬化性組成物を得た。
各硬化性組成物について、下記の方法により各物性を測定した。
結果を第1表に示す。
(引張試験)
JIS K6251−1993に準じて、各硬化性組成物を23℃、50%RHで3日間養生後、更に、50℃で4日間養生してH型試験片を作成し、50%モジュラス〔N/cm2〕、破断強度(TB)〔N/cm2〕および破断伸び(EB)〔%〕を測定した。
Figure 2007131660
第1表に示す結果から明らかなように、比較例2と比較例3を比べると、ポリマー(b)を添加しない場合は、撹拌架橋工程での充填剤(炭酸カルシウム)の有無によって得られる組成物の物性はほとんど影響を受けないことが分かった。
一方、実施例1〜4は、撹拌架橋工程における炭酸カルシウムの含有量が多いほど、得られるポリマー微粒子の平均粒子径は小さく、50%モジュラスおよび破断強度は高く、破断伸びは小さくなる傾向があることが分かった。
これらの結果から、充填剤存在下、重合体(A)中でポリマー微粒子を形成する本発明の製造方法により得られた硬化性樹脂組成物は、合計の充填剤含有量は同じでも、撹拌架橋工程時に充填剤を添加しない方法で製造された硬化性組成物に比べて力学的特性に優れることが明らかとなった。
また、撹拌架橋工程時の充填剤の添加量を調整することにより、所望の力学的特性を有する硬化性組成物を得ることができることが分かった。

Claims (11)

  1. 硬化性組成物の製造方法であって、
    加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体(A)に、
    3次元架橋されたポリマー微粒子(B)を形成しうるポリマー(b)と、
    充填剤(C)と
    を加えて撹拌し、3次元架橋させてポリマー微粒子(B)を形成させ、前記重合体(A)と、前記重合体(A)中に分散した、前記ポリマー微粒子(B)と、前記充填剤(C)とを含有する硬化性組成物を得る撹拌架橋工程を具備する硬化性組成物の製造方法。
  2. 前記撹拌架橋工程において、更に、架橋剤(D)を加えて、3次元架橋させて前記ポリマー微粒子(B)を形成させる請求項1に記載の硬化性組成物の製造方法。
  3. 前記ポリマー(b)が、分子内に架橋性基を有する請求項1または2に記載の硬化性組成物の製造方法。
  4. 前記充填剤(C)が、炭酸カルシウムである請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法。
  5. 前記炭酸カルシウムが、コロイダル炭酸カルシウムおよび/または重質炭酸カルシウムである請求項4に記載の硬化性組成物の製造方法。
  6. 前記撹拌架橋工程において、前記重合体(A)100質量部に対して前記ポリマー(b)を1〜80質量部含有する請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法。
  7. 前記撹拌架橋工程において、前記充填剤(C)を前記重合体(A)100質量部に対して10〜300質量部含有する請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法。
  8. 前記撹拌架橋工程において、更に、相溶化剤を加えて、3次元架橋させて前記ポリマー微粒子(B)を形成させる請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法。
  9. 更に、前記撹拌架橋工程により得られた前記ポリマー微粒子(B)の表面に、前記重合体(A)の加水分解性ケイ素含有基と反応しうる官能基を有する化合物を反応させる官能基導入工程を具備する請求項1〜8のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法により得られる硬化性組成物であって、前記ポリマー微粒子(B)の平均粒子径が1〜50μmである硬化性組成物。
  11. 前記ポリマー微粒子(B)を、前記重合体(A)100質量部に対して1〜80質量部含有する請求項10に記載の硬化性組成物。
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