JP2005290040A - 硬化性組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、アクリル系の主鎖と加水分解性ケイ素含有基とを有する重合体の機械的強度や接着性を維持しつつ、より優れた耐候性および作業性(チクソ性、糸引き性)を有する硬化性組成物を提供する。
【解決手段】主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体(A)と、前記重合体(A)中に分散した、3次元架橋された(メタ)アクリル系ポリマー微粒子(B)とを含有する硬化性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物およびその製造方法に関する。
各種シーリング材等に好適に用いられる硬化性組成物には、一液型の硬化性組成物と二液型の硬化性組成物があり、室温で硬化する組成物が主に用いられる。
硬化性組成物の主成分となる(プレ)ポリマーまたはオリゴマーは、大きく分類すると、ウレタン系、ポリサルファイド系、ポリイソブチレン系、シリコーン系および変成シリコーン系の5種があり、それらが適用される目的、用途、硬化方法等に要求される特性を持つ硬化性組成物が適宜選択され使用される。例えば、ウレタン系の硬化性組成物は硬化後のゴム弾性等に優れるが、その一方で耐候性等に劣るという特性を有している。つまり、硬化性組成物にはその化学的特性が色濃く反映されるため、それぞれが持つ特性(特長および欠点)を考慮して、好適な硬化性組成物が適宜選択され使用される。
そのため、従来の硬化性組成物においては、求められる特長を発揮することができるものの、望まれない欠点をも併せ持つものとなっていた。
このような従来の硬化性組成物の欠点を克服する硬化性組成物として、組成物に含有させる樹脂成分の骨格を変更または樹脂成分を混合してなる組成物等が知られている。例えば、加水分解性ケイ素含有基のシロキサン結合形成による硬化を利用する重合体として、特許文献1には、従来の主鎖がポリオキシプロピレン系である、いわゆる変成シリコーン系重合体の主鎖を(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体やポリイソブチレン等の飽和炭化水素系重合体に変更した重合体が記載されている。特許文献1には、この手法により、耐熱性、耐久性、耐候性等を向上させることができる旨記載されている。
このような樹脂成分の骨格を変更等してなる組成物は、上述した特性(特に欠点)をある程度克服することはできるが、近年、硬化性組成物が用いられる用途が広がり、かつ、要求される特性も複雑高度化している現状においては、上述した特性(特に欠点)を十分に克服できない場合がある。
また、上述した樹脂成分を含有する硬化性組成物においても、樹脂成分を構成するこれらの各成分(硬化性樹脂)の特性が必ずしも発揮されない場合もあり、更なる改善が望まれていた。
ところで、加水分解性ケイ素含有基を有する重合体は、室温での優れた硬化性、配合設計の容易さ等から、シーリング材、接着剤等の用途の硬化性組成物に用いられている。特に、アクリル系の主鎖を有する重合体(例えば、特許文献2〜7参照。)は、耐候性、耐熱性、耐油性および各種の被着体に対する接着性に優れるため、過酷な環境下において、シーリング材、シール剤、ポッティング剤、弾性接着剤、コーティング材、ライニング材、接着剤等の用途に好適に用いられる。また、リビングラジカル重合により合成されるアクリル系の主鎖を有する重合体は、比較的低粘度で作業性(取扱い性)に優れるので、室温湿気硬化型一成分系組成物として好適に用いられる。
また、特許文献8には、貯蔵安定性が良好で、表面特性(残留タックや表面耐候性)に優れるシーリング剤を提供することを目的とした、反応性ケイ素基含有有機重合体と、アクリル系重合体等の光硬化性化合物と、3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤を必須成分とする硬化性組成物が記載されている。
特開平8−048748号公報 特開平9−272714号公報 特開平11−43512号公報 特開平11−80249号公報 特開2000−154205号公報 特開2003−96106号公報 特開2003−221501号公報 特開平5−70531号公報
しかしながら、本発明者が鋭意検討した結果、上述したアクリル系の主鎖と加水分解性ケイ素含有基とを有する重合体を用いた組成物は、長期間の曝露では劣化が生じることが分かり、更に耐候性を向上させる余地があった。
また、特許文献8に記載の組成物は、作業性(チクソトロピー性(以下、「チクソ性」と言う。)、糸引き性等)については検討されておらず、耐候性についても更に改善する余地があった。
したがって、本発明は、アクリル系の主鎖と加水分解性ケイ素含有基とを有する重合体の機械的強度や接着性を維持しつつ、より優れた耐候性および作業性(チクソ性、糸引き性)を有する硬化性組成物を提供することを目的とする。
更に、本発明は、上記硬化性組成物の製造方法を提供することも目的とする。
本発明者は、アクリル系の主鎖と加水分解性ケイ素含有基とを有する重合体中に、3次元架橋された(メタ)アクリル系ポリマー微粒子を均一に分散させることにより、アクリル系の主鎖と加水分解性ケイ素含有基とを有する重合体の機械的強度や接着性を維持しつつ、耐候性および作業性(チクソ性、糸引き性)を向上できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(8)を提供する。
(1)主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体(A)と、
前記重合体(A)中に分散した、3次元架橋された(メタ)アクリル系ポリマー微粒子(B)とを含有する硬化性組成物。
(2)更に、前記重合体(A)の硬化触媒を含有する上記(1)に記載の硬化性組成物。
(3)前記重合体(A)と前記3次元架橋された(メタ)アクリル系ポリマー微粒子(B)とを含有する第一液と、
前記重合体(A)の硬化触媒を含有する第二液と
を有する上記(2)に記載の硬化性組成物。
(4)前記ポリマー微粒子(B)の平均粒子径が、0.01〜100μmである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(5)前記重合体(A)100質量部に対して、前記ポリマー微粒子(B)を1〜80質量部含有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(6)硬化性組成物の製造方法であって、
(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリル酸エステル単量体(b1)と、
(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個有する(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)と、
ラジカル重合開始剤と
を主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体(A)に加えて撹拌し、3次元架橋させて(メタ)アクリル系ポリマー微粒子(B)を形成させ、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の硬化性組成物を得る撹拌架橋工程を具備する硬化性組成物の製造方法。
(7)前記撹拌架橋工程において、更に、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル、スチレンおよび酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種を加えて、3次元架橋させて(メタ)アクリル系ポリマー微粒子(B)を形成させる上記(6)に記載の硬化性組成物の製造方法。
(8)前記撹拌架橋工程において、更に、相溶化剤を加えて、3次元架橋させて(メタ)アクリル系ポリマー微粒子(B)を形成させる上記(6)または(7)に記載の硬化性組成物の製造方法。
本発明の組成物は、アクリル系の主鎖と加水分解性ケイ素含有基とを有する重合体の機械的強度や接着性を維持しつつ、より優れた耐候性および作業性(チクソ性、糸引き性)を有する。
また、本発明の製造方法により、本発明の組成物を容易に、かつ、確実に製造することができる。
本発明は、主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体(A)(以下、単に「重合体(A)」と言う。)と、該重合体(A)中に分散した、3次元架橋された(メタ)アクリル系ポリマー微粒子(B)(以下、単に「ポリマー微粒子(B)」と言う。)とを含有する硬化性組成物(以下、単に「本発明の組成物」と言う。)である。
本発明の組成物は、実質的に、プレポリマー(重合体(A))とポリマー微粒子との混合分散物となるものであり、上述した従来の組成物のような重合体(A)の樹脂成分の共重合体や樹脂成分を単にブレンドしたものではない。具体的には、例えば、後述する本発明の製造方法においては、重合体(A)に均一に分散した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b1)および(b2)は、重合が進行してポリマー鎖が伸長するに従い、重合体(A)との相溶性が低下していく。この相溶性の低下とアクリル特有の凝集力によって、ある程度重合された単量体(b1)および(b2)は微粒子状に凝集する。さらに重合が進行すると、重合体(A)中に均一に分散した微粒子状のポリマー(ポリマー微粒子(B))が形成され、本発明の組成物を得る。
<重合体(A)>
本発明の組成物に用いられる重合体(A)は、主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体である。
アクリル酸アルキルエステル単量体単位としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ミリスチル、アクリル酸セチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸ビフェニルが挙げられる。
また、メタクリル酸エステル単量体単位としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ミリスチル、メタクリル酸セチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ビフェニルが挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体(A)の主鎖は、アクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含むものであれば特に限定されないが、これらの単量体単位の割合が50質量%を超えるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましい。
重合体(A)の主鎖は、アクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位のほかに、これらと共重合性を有する単量体単位を含んでいてもよい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシ基を含有する単量体単位;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基を含有する単量体単位;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を含有する単量体単位;ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含有する単量体単位;ポリオキシエチレンアクリレート、ポリオキシエチレンメタクリレート等は、湿分硬化性および内部硬化性の点で共重合効果を期待することができる。
そのほかに、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位が挙げられる。
重合体(A)の単量体組成は、用途、目的等により適宜選択される。
例えば、単量体のアルキルエステル部分のアルキル鎖が長い場合には、ガラス転移温度が低くなり、硬化物の物性は軟らかいゴム状弾性体となる。逆に、短い場合には、ガラス転移温度が高くなり、硬化物の物性も硬くなる。
一方、硬化後の物性は、重合体の分子量にも大きく依存する。
したがって、重合体の単量体組成は、分子量を考慮しつつ、所望の粘度、硬化後の物性等に応じて、適宜選択すればよい。
重合体(A)の主鎖は、制御されたビニル重合の方法等によって得ることができる。例えば、連鎖移動剤法、リビングラジカル重合法等によって、溶液重合法、塊重合法等を行って得ることができるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
連鎖移動剤法においては、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合を行うことにより、末端に官能基を有する重合体が得られる。
リビングラジカル重合法においては、重合生長末端が停止反応等を起こさずに生長することにより、ほぼ設計どおりの分子量の重合体が得られる。
連鎖移動剤法は、フリーラジカル重合であるため分子量分布が広く、粘度の高い重合体しか得られないが、リビングラジカル重合法は、停止反応が起こりにくいため分子量分布が狭く(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)、粘度が低い重合体を得ることができ、特定の官能基を有する単量体を重合体のほぼ任意の位置に導入することができるので好ましい。本発明においては、特開2003−313397号公報に記載されている方法が好適に用いられる。
反応は、通常、上述した単量体単位、ラジカル開始剤、連鎖移動剤、溶剤等を混合させて50〜150℃で反応させることにより行われる。
ラジカル開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイドが挙げられる。
連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン等のメルカプタン類;含ハロゲン化合物が挙げられる。
溶剤としては、例えば、エーテル類、炭化水素類、エステル類等の非反応性の溶剤が好適に挙げられる。
加水分解性ケイ素含有基は、ケイ素原子に結合した1〜3個のヒドロキシ基および/または加水分解性基を有し、湿気や架橋剤の存在下、必要に応じて触媒等を使用することにより縮合反応を起こしてシロキサン結合を形成することにより架橋しうるケイ素含有基である。例えば、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基、アシロキシシリル基、アミノシリル基、アミノオキシシリル基、オキシムシリル基、アミドシリル基が挙げられる。具体的には、下記式で例示される、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基、アシロキシシリル基、アミノシリル基、アミノオキシシリル基、オキシムシリル基、アミドシリル基等が好適に用いられる。
Figure 2005290040
中でも、取扱いが容易である点で、アルコキシシリル基が好ましい。
アルコキシシリル基のケイ素原子に結合するアルコキシ基は、特に限定されないが、原料の入手が容易なことからメトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が好適に挙げられる。
アルコキシシリル基のケイ素原子に結合するアルコキシ基以外の基は、特に限定されず、例えば、水素原子またはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数が20以下である、アルキル基、アルケニル基もしくはアリールアルキル基が好適に挙げられる。
重合体(A)が有する加水分解性ケイ素含有基の数は、1分子あたり少なくとも1個である。また、加水分解性ケイ素含有基の結合位置は、主鎖の末端であるのが好ましく、主鎖の末端のみであるのがより好ましい。また、主鎖の両末端にそれぞれ加水分解性シリル基を有するのが、接着性および耐候性の点から好ましい。
重合体(A)の主鎖に加水分解性ケイ素含有基を導入する方法は、特に限定されず、例えば、(i)連鎖移動剤として加水分解性ケイ素含有基を含有するメルカプタンの存在下、上記単量体単位を重合させて分子末端に加水分解性ケイ素含有基を導入する方法、(ii)連鎖移動剤としてメルカプト基と加水分解性ケイ素含有基以外の反応性官能基とを有する化合物(例えば、アクリル酸)の存在下、上記単量体単位を重合させ、生成した共重合体を加水分解性ケイ素含有基とY基と反応しうる官能基とを有する化合物(例えば、イソシアネート基と−Si(OCH33基とを有する化合物)と反応させて分子末端に加水分解性ケイ素含有基を導入する方法、(iii)加水分解性ケイ素含有基を含有する化合物(例えば、アゾビスニトリル化合物、ジスルフィド化合物)を開始剤として上記単量体単位を重合させて分子末端に加水分解性ケイ素含有基を導入する方法、(iv)リビングラジカル重合法によって上記単量体単位を重合させて分子末端に加水分解性ケイ素含有基を導入する方法、(v)重合性不飽和結合と加水分解性ケイ素含有基とを有する化合物と上記単量体単位とを、加水分解性ケイ素含有基が1分子あたり少なくとも1個導入されるように単量体単位の使用比率、連鎖移動剤量、ラジカル開始剤量、重合温度等の重合条件を選定して共重合させる方法が挙げられる。
中でも、重合体(A)が、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体に加水分解性ケイ素含有基を有するヒドロシランをハイドロシリルレーションにより付加することによる製造されるのが好ましい態様の一つである。
末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体は、例えば、有機ハロゲン化合物またはハロゲン化スルホニル化合物を、開始剤と、触媒として周期表の第8族、第9族、第10族または第11族の元素を中心金属とする金属錯体とを用いて、重合することにより得られる、(メタ)アクリル系重合体の末端ハロゲン基を、アルケニル基に変換することにより製造することができる。
ここで、末端にハロゲン基を有する(メタ)アクリル系重合体は、従来、連鎖移動剤として、四塩化炭素、四臭化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等のハロゲン化合物を用いて重合する方法により製造されてきた。
しかしながら、この方法では、重合体の両末端に確実にハロゲンを導入することが困難であった。
これに対して、特開平1−247403号公報には、アルケニル基を有するジチオカーパメートまたはジアリルジスルフィドを連鎖移動剤として用いることにより、両末端にアルケニル基を有するアクリル系重合体の製造方法が記載されている。また、特開平6−211922号公報には、水酸基含有ポリスルフィドまたはアルコール系化合物を連鎖移動剤として、末端に水酸基を有するアクリル系重合体を製造し、更に、水酸基の反応を利用して末端にアルケニル基を有するアクリル系重合体を製造する方法が記載されている。
しかしながら、これらの方法では、重合体末端に確実にアルケニル基を導入することは困難である。
一方、アルケニル基を経ないで加水分解性ケイ素含有基を有する(メタ)アクリル系重合体を得る方法として、特公平3−14068号公報には、(メタ)アクリル系モノマーを加水分解性ケイ素含有基含有メルカプタン、加水分解性ケイ素含有基含有ジスルフィドおよび加水分解性ケイ素含有基を有するラジカルラジカル重合開始剤の存在下に重合させる方法が記載されている。また、特公平4−55444号公報には、アクリル系モノマーを加水分解性ケイ素含有基含有ヒドロシラン化合物またはテトラハロシラン化合物の存在下に重合させる方法が記載されている。更に、特開平5−97921号公報には、加水分解性ケイ素含有基を有する安定カルバニオンを開始剤としてアクリル系モノマーをアニオン重合させ、重合末端を2官能性の求電子化合物と反応させて、末端に加水分解性ケイ素含有基を有するアクリル系重合体を製造する方法が記載されている。
しかしながら、これらの方法では、側鎖に官能基が導入される等の問題があった。即ち、末端に確実に加水分解性ケイ素含有基を導入することは困難であった。また、これらのラジカル重合で得られる重合体は、分子量分布が広く、粘度が高いという問題もあった。
そこで、近年、アクリル系重合体の末端に官能基が確実に導入される方法として、リビングラジカル重合が注目されている。リビングラジカル重合は、特開平9−272714号公報等に記載されている。
特に、特開2000−154205号公報および特開2000−178456号公報には、リビングラジカル重合法の中でも、原子移動ラジカル重合法について詳しく記載されている。ここでは、開始剤として、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物が用いられ、触媒として、周期表第8族、第9族、第10族または第11族の元素を中心金属とする金属錯体が用いられる。また、末端に官能基を有する(メタ)アクリル系重合体を得るために、開始点を2個以上有する有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物が開始剤として用いられる。
また、特開2003−96106号公報には、(メタ)アクリル酸エステル単量体のラジカル重合を、開始剤として、2,2’−アゾビス(ジメチルバレロニトリル)を用い、連鎖移動剤として、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等を用いて行うことが記載されている。ここでは、重合溶媒として2−プロパノール、イソブタノール等を用いると、第三級炭素原子に結合した水素原子を有するため、連鎖移動剤としても作用し、連鎖移動剤の使用量を低減することができる等の点で好ましいこと、および、芳香族溶剤を用いる場合よりも分子量分布を狭く制御することができることのため有用であると記載されている。
以上のような、リビングラジカル重合により得られる(メタ)アクリル系重合体から製造される重合体(A)は、分子量分布が、通常のラジカル重合により得られる(メタ)アクリル系重合体が通常2.0以上であるのに対し、1.5以下と極めて狭いため、低粘度である。また、末端への官能基導入率も極めて高い。
重合体(A)の分子量は、特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算での数平均分子量が500〜100,000であるものが、重合時の難易度、相溶性、取扱い粘度の点で好ましい。中でも、数平均分子量1,000〜50,000のものが強度と粘度とのバランスの点で好ましく、2,000〜30,000のものが、作業性等取扱いの容易さ、接着性等の点で、より好ましい。
重合体(A)は、単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
重合体(A)としては、公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、鐘淵化学工業社製のSMAP(カネカテレケリックポリアクリレート) SA100S、SA110S、SA120SおよびSA200SX、鐘淵化学工業社製のカネカMSポリマーS943が挙げられる。
また、重合体(A)の他に、更に、ウレタン系、ポリサルファイド系、ポリイソブチレン系、シリコーン系および変成シリコーン系からなる群より選択される重合体を併用することができる。このときの混合比、共重合比等は特に限定されない。
ウレタン系重合体は、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシ基を有するポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオールまたはアクリル重合体と、ポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる重合体が挙げられる。
ポリサルファイド系重合体は、特に限定されないが、例えば、主鎖中に、−C24OCH2OC24−Sx−(式中、xは1〜5の整数を表す。)で表される構造単位を有する重合体が挙げられる。
ポリイソブチレン系重合体は、特に限定されないが、例えば、−CH2C(CH32−で表される構造単位を有し、末端に加水分解性シリル基を有する重合体等が挙げられる。具体的には、EPION(鐘淵化学工業社製)等が挙げられる。
シリコーン系重合体は、特に限定されないが、例えば、ポリジメチルシロキサン構造を有する化合物等が挙げられる。
変成シリコーン系重合体は、特に限定されないが、例えば、少なくとも1個の加水分解性シリル基を有するポリプロピレングリコール等が挙げられる。具体的には、エクセスター(旭硝子社製)、MSポリマー(鐘淵化学工業社製)等が挙げられる。
<ポリマー微粒子(B)>
本発明の組成物に用いられるポリマー微粒子(B)は、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリル酸エステル単量体(b1)(以下、「単量体(b1)」と言う。)と、(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個有する(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)(以下、「単量体(b2)」と言う。)とが、3次元架橋された(メタ)アクリル系ポリマー微粒子である。ここで、「3次元架橋された」とは、(メタ)アクリロイル基同士が予め結合されている構造を有する単量体(b2)(例えば、下記式(I)で表される構造を有する化合物)に、単量体(b1)を共重合させ、(メタ)アクリロイル基同士が反応して分子鎖を線状に伸ばし、結果として3次元的に結合されたことを言う。ポリマー微粒子(B)を3次元架橋により形成する方法は、特に限定されないが、後述する本発明の製造方法が好ましい。
ポリマー微粒子(B)の重合形式は、重合体(A)の重合形式(シロキサン結合の形成)と異なるため、本発明の組成物は、それぞれの重合形式に基づく特性が得られ、複数の機能を容易に発現させられる。また、後述するように重合体(A)中でポリマー微粒子(B)を形成する場合に、微粒子状にすることが容易である。
また、ポリマー微粒子(B)自体は、耐候性、耐熱性、耐油性等の特性を有しているが、このポリマー微粒子(B)を重合体(A)中に均一に分散させるので、重合体(A)の特性とポリマー微粒子(B)の特性とをいずれも損うことなく十分に発揮することができ、上記重合体(A)の機械的強度や接着性を維持しつつ、耐候性および作業性(チクソ性、糸引き性)を向上させた組成物が得られる。
単量体(b1)としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、2−エチルへキシルカルビトールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,5H,−オクタフルオロペンチルメタアクリレート、フェノールアクリレート、パラクミルフェノールアクリレート、ノニルフェノールアクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、およびこれらのエチレンオキサイド変成体またはプロピレンオキサイド変成体等が好適に挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、適度なゴム弾性を有し、かつ上記重合体(A)との適度な相溶性を有するという点で、メトキシトリエチレングリコールアクリレートがより好ましい。
単量体(b2)としては、特に限定されないが、下記式(I)または(II)で表される構造を有するものが好ましい。
Figure 2005290040
上記式(I)および(II)中、R1、R2、R4は水素原子またはメチル基である。R3は2価の基であれば特に限定されず、例えば、O、S、Nを含んでもよい2価の炭化水素基が好ましい。このような基としては、具体的には、分岐していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基等が好適に例示される。R5は3価の基であれば特に限定されず、例えば、O、S、Nを含んでもよい3価の炭化水素基が好ましい。
上記式(I)で表される構造を有する化合物としては、具体的には、例えば、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、およびこれらのエチレンオキサイド変成体またはプロピレンオキサイド変成体等が好適に挙げられる。
上記式(II)で表される構造を有する化合物としては、具体的には、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸トリアクリレートおよびこれらのエチレンオキサイド変成体またはプロピレンオキサイド変成体等が好適に挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を4個以上有する単量体(b2)としては、具体的には、例えば、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートおよびペンタエリスリトールテトラアクリレート等が好適に挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、架橋剤として適度な機械的強度とゴム弾性を有するという点で、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートがより好ましい。
単量体(b1)と単量体(b2)の混合率は、特に限定されないが、得られる微粒子が適度なゴム弾性を有し、組成物の硬化物が機械的強度に優れるという点で、混合率[100×単量体(b2)/{単量体(b1)+単量体(b2)}]は0.1〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。
ポリマー微粒子(B)は、その表面に上記重合体(A)の加水分解性ケイ素含有基と反応しうる官能基を有するのが好ましい。このような官能基を有する場合、重合体(A)中にポリマー微粒子(B)が均一に分散した状態で固定され、得られる硬化物の物理的特性等に優れ、ポリマー微粒子(B)の機能を安定して発現することができる点で好ましい。
本発明においては、重合体(A)の加水分解性ケイ素含有基と反応しうる官能基は特に限定されないが、加水分解性ケイ素含有基であるのが好ましい。ポリマー微粒子(B)が加水分解性ケイ素含有基を有すると、重合体(A)の加水分解性ケイ素含有基が加水分解して反応するため、重合体(A)とポリマー微粒子(B)との間の結合が形成され、硬化後の物性がより優れたものになる。
ポリマー微粒子(B)に官能基を導入する方法としては、特に限定されず、例えば、ポリマー微粒子(B)を得る際に、官能基(保護基により保護された官能基、官能基の前駆体等を含む。)を含有する重合性モノマーをポリマー微粒子(B)を形成する重合性モノマーと共重合させる方法、ポリマー微粒子(B)を重合して得た後、微粒子を化学的に処理する方法、後述する官能基導入工程を用いる方法等が挙げられる。
共重合させる方法および条件は、用いられるモノマーに応じて通常行われる方法および条件を任意に選択することができる。また、化学的な処理方法としては、例えば、ポリマー微粒子(B)に有する反応性官能基等の置換基と反応しうる基をもつ化合物をグラフト重合させる方法等が挙げられる。
ポリマー微粒子(B)の表面に導入される官能基は、その導入量を特に限定されない。官能基の導入量は、目的に応じて任意に調整される。例えば、重合体(A)が硬化する際に、重合体(A)の加水分解性ケイ素含有基と反応し、ポリマー微粒子(B)を固定することができる程度に導入される場合、補強性等の物理的特性を向上させる目的で多量に導入される場合等が挙げられる。
このようにして得られる本発明におけるポリマー微粒子(B)は、重合体(A)に容易に、かつ、均一に分散する。
ポリマー微粒子(B)を重合体(A)に容易に均一に分散させることができ、重合体(A)の特性とポリマー微粒子(B)の特性とをいずれも損うことなく十分に発揮することができる点で、その平均粒子径は0.01〜100μmであるのが好ましく、0.1〜50μmであるのがより好ましい。
本発明の組成物において、ポリマー微粒子(B)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、1〜80質量部であるのが好ましく、5〜60質量部であるのがより好ましく、10〜40質量部であるのが特に好ましい。ポリマー微粒子(B)の含有量を上記範囲にすることにより、ポリマー微粒子(B)の特性(例えば、耐候性等)を効果的に付与することができ、作業性(例えば、粘度、揺変性等の物性)、外観特性(例えば、色調、光沢等)も良好な組成物を容易に製造することができる。
本発明におけるポリマー微粒子(B)は、上記の重合性モノマー以外に、必要に応じて、充填材(補強材)、可塑剤、老化防止剤、接着付与剤、レオロジー調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、他の公知の添加剤等を添加して形成してもよい。
<硬化触媒>
本発明の組成物は、上記重合体(A)およびポリマー微粒子(B)の他に、重合体(A)の硬化触媒を含有することが好ましい。硬化触媒を含有することにより、本発明の組成物は、硬化反応の進行を促進して硬化に到る作業時間の短縮を図ることができ、これによりタックフリータイムも短縮され、実用上優れる。
本発明の組成物が、一液型の湿気硬化性組成物である場合には、硬化触媒は含有されてもされなくてもよい。換言すれば、目的とする硬化特性に応じて選択される。
本発明の組成物が、二液型の反応硬化性組成物である場合には、組成物に含有される重合体(A)と、通常、用いられる硬化触媒とを別個の液として含有するのが好ましい。
硬化触媒としては、特に限定されず、例えば、オクタン酸亜鉛、オクタン酸鉄、オクタン酸マンガン、オクタン酸スズ、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸鉄、ブタン酸スズ、カプリル酸スズ、オレイン酸スズ等のカルボン酸金属塩;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオレエート、ジオクチルスズジラウレート、ジフェニルスズジアセテート、酸化ジブチルスズ、酸化ジブチルスズとフタル酸エステルとの反応生成物、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズ(トリエトキシシロキシ)、ジブチルスズシリケート等の有機スズ化合物;ジブチルスズジアセチルアセトナート等のスズキレート化合物;テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラ−2−エチルヘキシルオキシチタン、テトライソプロペニルオキシチタン等のチタン酸エステル;ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(アセチルアセトナート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、チタントリス(アセチルアセトナート)等のチタンキレート化合物;テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシジルコニウムステアレート等のジルコニウムアルコキシド;ジルコニウムテトラ(アセチルアセトナート)等のジルコニウムキレート化合物;トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等のアルミニウムアルコキシド;ジイソプロポキシアルミニウム(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウムキレート化合物;ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン等の第1級アミン;ジブチルアミン等の第2級アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、キシリレンジアミン等のポリアミン;トリエチレンジアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン等の環状アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール化合物;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のアミノフェノール化合物等のアミン化合物およびそのカルボン酸塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセタート等の第4級アンモニウム塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量アミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物等が挙げられる。これらの硬化触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、保存中および作業中に揮発しにくいことから、金属化合物が好ましく、中でも微量の配合で優れた触媒能が得られることから、有機スズ化合物、スズキレート化合物およびチタン酸エステルが好ましい。
また、硬化触媒の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、0.01〜50質量部が好ましい。硬化触媒の含有量がこの範囲であると、硬化触媒の作用を十分に発揮でき、他の成分との相溶性に関しても問題がなく、硬化時に局所的な発熱や発泡が生じることもない。この特性により優れる点から、0.01〜20質量部がより好ましく、0.5〜10質量部が特に好ましい。
なお、本発明の組成物を加熱硬化性組成物として用いてもよい。
<相溶化剤>
本発明の組成物は、更に、相溶化剤を含有するのが好ましい。相溶化剤は、種々の目的で含有される。目的としては、例えば、ポリマー微粒子(B)の生成、ポリマー微粒子(B)の分散、硬化後の物性の調整が挙げられる。
相溶化剤は、一般的には、例えば、ポリマーAとポリマーBとが非相溶な混合系となる場合に、ポリマーAのモノマーとポリマーBのモノマーとの共重合体が、界面活性剤のような役割を果たし、ポリマーAとポリマーBとの界面において、界面張力を低下させたり、界面層の制御や分散層の反発作用等の機能を発揮する。即ち、相溶化剤は、微細分散化、界面での両者の接着性向上等の重要な機能を担う。また、後述する本発明の組成物の製造方法で説明するが、相溶化剤を用いることにより均一な粒子径のポリマー微粒子(B)を形成できる。
相溶化剤としては、例えば、ブレンド成分と同じもの;ブレンド成分と相溶性のある他成分が一部同じもの;ポリマーAおよびポリマーBとは別のモノマーを含む共重合体であって、それぞれの溶解性パラメータの値が同じか、または近いかであるもの;ポリマーAまたはポリマーBと反応して、他のポリマーと相溶性を示す別のモノマーの共重合体;ポリマーAとポリマーBとのブレンド過程で反応により、グラフトおよび/またはブロック共重合体が一部形成されて相溶化剤として作用するものが挙げられる。
本発明における相溶化剤は、異なる化学的特性の二つ以上の物質を、同一の分子中に有するものであり、その機能により、界面活性剤、混和剤、乳化剤、可溶化剤、分散剤等と呼ばれる。本発明に用いられる相溶化剤は、乳化剤としての機能を有しているものが好ましい。
本発明に用いられる相溶化剤としては、例えば、非イオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤および両性乳化剤等が挙げられる。中でも、化学的安定性が良好であり、多価金属イオンやその他の不純物の混入しても不溶性の塩等を形成せず分離等が起こらないという点から、非イオン性乳化剤が好ましい。
非イオン性乳化剤としては、ソルビタンエステル、ソルビタンエステルのアルキレンオキサイド付加物、長鎖アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。
アニオン性乳化剤としては、例えば、脂肪酸、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸あるいはそれらの塩等が挙げられる。
カチオン性乳化剤としては、例えば、アルキルアミン、アルキルポリアミン、アミドアミン、アルキルイミダゾリンの鉱酸または低級カルボン酸塩、4級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性乳化剤としては、例えば、酢酸ベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン、イミダゾリウムベタイン、アミンオキサイド等が挙げられる。
これらの相溶化剤(乳化剤)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、上記重合体(A)との相溶性が高く、アクリル系重合体のエマルションを得る際によく使用されているという点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシオレイルエーテルが好ましい。
相溶化剤は、上記重合体(A)および上記ポリマー微粒子(B)の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部含有されるのが好ましい。この範囲であれば、組成物の物性に悪影響を及ぼすことなく、相溶化剤の効果を十分発揮できる。この特性により優れる点から、相溶化剤の含有量は、0.1〜8質量部がより好ましく、0.1〜5質量部が特に好ましい。
相溶化剤は、ポリマー微粒子(B)の生成後(即ち、単量体(b1)および(b2)の3次元架橋後)に添加してもよく、ポリマー微粒子(B)の生成中(即ち、単量体(b1)および(b2)の3次元架橋の反応進行中)に添加してもよく、ポリマー微粒子(B)の生成前に添加してもよく、種々の条件に応じて、適宜方法を選択するのが好ましい。
<添加剤>
本発明の組成物は、本発明の効果を損わない範囲で、各種添加剤等を含有することができる。
各種添加剤等は、特に限定されないが、湿気硬化性組成物または反応硬化性組成物に一般的に用いられる添加剤、例えば、充填材(補強材)、可塑剤、老化防止剤、接着付与剤(例えば、シランカップリング剤)、レオロジー調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、他の公知の添加剤等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、エポキシ基、アミノ基(ウレイド基)、メルカプト基、(ポリ)スルフィド基、ビニル基、メタクリロキシ基、カルボキシ基、イソシアネート基、ハロゲン、シクロプロピル基およびエステル基からなる群より選択される少なくとも1種の有機官能基を持つシランカップリング剤等が挙げられる。
本発明の組成物は、上記重合体(A)、ポリマー微粒子(B)、および必要により硬化触媒または各種添加剤等を、バイブロミキサー、ジャイロミキサー、高速ディスパー等を有する高速撹拌機で、激しく混練(撹拌)して製造することができる。また、両者の非相溶性、温度条件等により、低速撹拌でも容易に微粒子を形成させることが可能であり、他の条件は特に限定されない。
<製造方法>
本発明の組成物の製造方法を詳しく説明する。
本発明の組成物は、その製造方法を特に限定されないが、例えば、上記単量体(b1)と、上記単量体(b2)と、ラジカル重合開始剤とを上記重合体(A)に加えて撹拌し、3次元架橋させて(メタ)アクリル系ポリマー微粒子(B)を形成させ、本発明の組成物を得る撹拌架橋工程を具備する方法(以下、「本発明の製造方法」と言う。)が好適に挙げられる。なお、この製造方法は、重合体(A)が硬化しない条件下(湿気遮断および硬化触媒の未添加の条件下)で行われる。また、必要に応じて、加熱して反応を行ってもよい。
重合体(A)中でポリマー微粒子(B)を形成させた後、必要に応じて、重合体(A)の硬化触媒や添加剤等を更に含有させることができる。
この方法によれば、ポリマー微粒子(B)が重合体(A)中に均一に分散された状態で得られるので工程が少なく、製造が容易である。また、溶媒を用いる必要がないので環境面への負荷が小さい。
単量体(b1)と単量体(b2)の混合比は、上述の通りである。
ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、クメンヒドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジターシャリブチルパーオキサイド、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、4,4’−ジ(tert−ブチルパーオキシ)バレリック酸−n−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキソールパーオキシ)ヘキサン、過酸化メチルチオールケトン、パーオキシジカルボネート、テルチオブチルパーオキシベンゾエート、テルチオブチルパーオキシオクトエート、テルチオアミルパーオキシベンゾエート、2,5−ジパーオキシオクトエート、過酸化2,4−ペンタンジオン、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサネート、ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」と言う。)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルパレロニトニル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系開始剤が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、開始剤自体の保存条件の点および得られる重合体の分子量特性の点から、アゾ系開始剤が好ましい。
ラジカル重合開始剤の含有量は、単量体(b1)と単量体(b2)の含有量の合計100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
本発明の製造方法において、ラジカル重合開始剤の全量を一度に添加してもよいが、未反応のモノマーを少なくするために、複数回に分けて添加するのが好ましい。例えば、ラジカル重合開始剤の3分の2を初めに添加して、所定の時間撹拌した後、残りの3分の1を添加して更に撹拌することによりポリマー微粒子(B)を効率よく得ることができる。
本発明の組成物の製造方法においては、ポリマー微粒子(B)の重合反応速度、撹拌速度、温度および重合体(A)とポリマー微粒子(B)との相分離エネルギーを考慮して行うと、ポリマー微粒子(B)の大きさ(粒子径)を調整することができ、ポリマー微粒子(B)を重合体(A)に均一に分散させることができる。これらの物性(パラメータ)の好ましい範囲は、一概には決定しえないが、例えば、撹拌速度(回転速度)は50〜20,000rpmであるのが、ポリマー微粒子(B)を均一に分散させられる点で好ましい。
本発明の組成物の製造方法は、上記ポリマー微粒子(B)を形成させた後(例えば、上記撹拌架橋工程の後)、更に、ポリマー微粒子(B)の表面に、前記重合体(A)の加水分解性ケイ素含有基と反応しうる官能基を有する化合物を反応させる官能基導入工程を具備することが好ましい。表面に官能基を有するポリマー微粒子(B)を調製することができれば、重合体(A)を硬化した際に、重合体(A)と重合体(A)中に均一に分散したポリマー微粒子(B)が一体化しやすく、物性調整等の点で有効である。
ポリマー微粒子(B)の表面に重合体(A)と反応する官能基を導入する方法としては、例えば、3次元架橋によりポリマー微粒子(B)が所望の粒径に形成されてきた最終段階において、(メタ)アクリロイル基と加水分解性ケイ素含有基との両方を有する化合物、または連鎖移動剤としてメルカプト基と加水分解性ケイ素含有基との両方を有する化合物を新たに添加する方法;3次元架橋の際に、加水分解性ケイ素含有基をグラフト構造等のような形式で有するオリゴマー等をポリマー微粒子(B)のポリマー成分として選択し、3次元架橋の最初の段階、ある程度の粒径となった途中の段階、および、上述した最終段階のいずれかの段階から用いる方法が挙げられる。
本発明の組成物の製造方法は、上記ポリマー微粒子(B)を形成させる際(例えば、上記撹拌架橋工程において)に、単量体(b1)、単量体(b2)以外に、更に、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル、スチレンおよび酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種を加えて、3次元架橋させて(メタ)アクリル系ポリマー微粒子(B)を形成させるのが好ましい。これらの成分を更に含む場合は、本発明の組成物を安価に製造でき、更に機械的物性、耐熱性、耐候性、耐久性等が目的に応じて制御できるという点に優れる。
また、本発明の組成物の製造方法は、上記ポリマー微粒子(B)を形成させる際(例えば、上記撹拌架橋工程において)に、更に、相溶化剤を加えて、3次元架橋させて(メタ)アクリル系ポリマー微粒子(B)を形成させるのが好ましい。
相溶化剤の親水性部位は単量体(b1)および単量体(b2)との親和性が高く、相溶化剤の疎水性部位は重合体(A)との親和性が高いため、重合体(A)中で、相溶化剤が単量体(b1)および単量体(b2)の周囲をカプセル状に取り囲み安定化する。また、このようにして形成される複数のカプセルは、ほぼ均一な径を有している。したがって、ポリマー微粒子(B)を形成する際に相溶化剤を用いることにより、上記カプセル内で単量体(b1)および単量体(b2)が3次元架橋されて、均一な粒子径を有するポリマー微粒子(B)を得ることができると考えられる。また、相溶化剤の添加量により、得られるポリマー微粒子(B)の粒子径を調整できる。
通常、上記単量体(b1)および単量体(b2)は、重合体(A)に溶解して均一に分散するが、重合体(A)に溶解しない場合でも、相溶化剤を用いることにより相溶性が向上して重合体(A)中に均一に分散でき、ポリマー微粒子(B)を容易に形成できる。
また、相溶化剤の添加量により、得られるポリマー微粒子(B)の粒子径を調整できる。
更に、得られる組成物は、相溶化剤の作用により、3次元架橋されたポリマー微粒子(B)が重合体(A)中に均一に分散された状態の安定なエマルションにすることができる。したがって、本発明の組成物は、重合体(A)の特性とポリマー微粒子(B)の特性とをいずれも損うことなく安定して発揮することができる。また、得られる組成物の物性(機械的強度や耐熱性等)を向上することができる。
相溶化剤の種類および含有量等は上述したとおりである。
このようにして得られる本発明の組成物は、必要により硬化触媒や添加剤等を配合してもよい。更に必要により溶剤等で希釈され、塗布された後、所定の硬化方法に応じて、硬化する。
以上、一液型の硬化性組成物の製造方法について説明したが、本発明の組成物が用いられる用途、作業性、組成物の貯蔵安定性等を考慮して、本発明の組成物を二液型の硬化性組成物としてもよい。つまり、重合体(A)と3次元架橋されたポリマー微粒子(B)を含有する第一液と、重合体(A)の硬化触媒を含有する第二液とを有する硬化性組成物とすることができる。
第一液および第二液の製造方法は、特に限定されず、上述した重合体(A)、ポリマー微粒子(B)および必要により各種添加剤等を、上述した方法でそれぞれ混合すればよい。
二液型の組成物は、使用前に、第一液と第二液を常法にしたがって混合して用いる。
なお、二液型の組成物においても、湿気硬化性としてもよく反応硬化性としてもよく、更には加熱硬化性としてもよい。
本発明の組成物は、湿気にさらすと、加水分解性ケイ素含有基の加水分解により、硬化反応が進行する。また、適宜水分を供給して、硬化反応を進行させることもできる。
本発明の組成物は、重合体(A)中に、3次元架橋されたアクリル系ポリマー微粒子(B)を均一に分散させたことにより、重合体(A)およびポリマー微粒子(B)の優れた特性を十分に発揮することができ、重合体(A)単独よりも更に耐候性に優れる組成物とすることができる。また、本発明の組成物は作業性にも優れる。
本発明の組成物が使用される用途としては、本発明の組成物が有する特性を生かして広範な用途に用いられるが、建築用シーリング材、土木用シーリング材、自動車用シーリング材、各種シール剤、弾性接着剤、各種封止剤、ポッティング剤等として好適に使用される。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1)
重合体(A)(SMAP SA−100S、鐘淵化学工業社製)348.6gと、メトキシトリエチレングリコールアクリレート(V−MTG、大阪有機化学工業社製)97.6gと、1,4−ブタンジオールジアクリレート(V#195、大阪有機化学工業社製)2gと、ラジカル重合開始剤としてAIBN(ABN−R、日本ヒドラジン工業社製)1.4gとを1L3口フラスコに入れて、系内を窒素置換した。その後、撹拌装置(スリーワンモータ BL600、新東科学社製)を用いて、500rpm、100℃で3時間加熱撹拌した。更にAIBN0.7gを加え、500rpm、110℃で3時間加熱撹拌し、重合体(A)中に3次元架橋された(メタ)アクリル系ポリマー微粒子(B)が均一に分散された組成物を得た。得られた組成物は、白濁状であり、60℃で1月以上安定であった。
(合成例2)
上記合成例1で用いた各成分の他に、更に、乳化剤(レオドールTW−0320V、花王社製)0.9gを撹拌前に加えた以外は、合成例1と同様にして組成物を得た。
(実施例1〜2)
下記第1表に示す各成分を、第1表に示す組成(質量部)で、撹拌機を用いて混合し分散させ、第1表に示される各硬化性組成物を得た。
得られた硬化性組成物について、以下のようにして耐候性、作業性(チクソ性、糸引き性)、硬化後の物性、接着性を評価した。
結果を第1表に示す。
(1)耐候性試験
得られた硬化性組成物を、アルミニウム板(50×50×3mm)の表面に厚さ5mmとなるように平滑に打設し、23℃、50%RHにて1週間養生し、更に50℃にて1週間養生した。その後、メタルウェザーメーター試験機(型番:KU−R5、ダイプラウインテス社製)での照射を600時間行った(サンシャインウェザーメーターで約3000〜6000時間照射に相当する。)。
照射後の表面について、クラックの発生の有無等の劣化状況を目視で観察して、耐候性を評価した。
(2)チクソ性試験
得られた硬化性組成物の調製直後のチクソインデックス(以下、TIと略す)値を23℃にて測定し、チクソ性を評価した。
ここで、TI値は、BS型粘度計を用い、回転速度1rpmおよび10rpmで計測される粘度(Pa・s)の比より求められる[TI値=(1rpmでの粘度)/(10rpmでの粘度)]である。
(3)糸引き性試験
調製直後の硬化性組成物をヘラですくったときの糸引き性を評価した。第1表中、糸を引かなかったものを「○」、糸を引いたものを「△」とした。
(4)硬化後の物性試験および接着性試験
得られた硬化性組成物を用いてJIS A5758−1997に準拠して試験片を作製し、オートグラフ(型番:AGS−10Kng、島津製作所社製)を用いて引張速度50mm/minで引張試験を行い、伸びが50%のときの引張応力(M50)、破断時の引張応力(TB)および破断時の伸び(EB)を測定した。
また、そのときの破壊状態を目視で観察して接着性を評価した。
第1表中、剥離の状態をCF(凝集破壊)、TCF(薄層凝集破壊)、AF(界面剥離)で示した。
(比較例1)
合成例1の組成物の代わりに重合体(A)(SMAP SA−100S、鐘淵化学工業社製)を用いた以外は、実施例1と同様に硬化性組成物を調製し、耐候性、作業性(チクソ性、糸引き性)、硬化後の物性、接着性を評価した。
結果を第1表に示す。
Figure 2005290040
上記第1表に示される各成分は、以下のとおりである。
・コロイダル炭酸カルシウム:白艶華 CCR、白石工業社製
・表面処理重質炭酸カルシウム:ライトンA−4、備北粉化工業社製
・酸化チタン:タイペークR−820、石原産業社製
・チクソ性付与剤:ディスパロン#6500、楠本化成社製
・ポリプロピレングリコール可塑剤:D−3000、三井化学社製
・紫外線吸収剤:チヌビン327、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
・老化防止剤:SANOL LS765、三共社製
・接着性付与剤:3−アミノプロピルトリエトキシシラン、A1110、日本ユニカー社製
・ステアリルアミン:ファーミン86T、花王社製
・硬化触媒:ジブチルスズジアセチルアセトナート、U−220、日東化成社製
比較例1の組成物は、耐候性試験では表面にクラックが発生した。また、TI値は6.2と良かったが、糸引き性試験では糸を引いた。一方、実施例1〜2の硬化性組成物は、硬化物の物性および接着性については、比較例1とほぼ同等であったが、耐候性、チクソ性に極めて優れ、組成物が糸を引くことがなかった。特に、乳化剤を添加した実施例2は、耐候性、作業性に優れ、硬化物の物性、接着性も良好だった。

Claims (8)

  1. 主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体(A)と、
    前記重合体(A)中に分散した、3次元架橋された(メタ)アクリル系ポリマー微粒子(B)とを含有する硬化性組成物。
  2. 更に、前記重合体(A)の硬化触媒を含有する請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記重合体(A)と前記3次元架橋された(メタ)アクリル系ポリマー微粒子(B)とを含有する第一液と、
    前記重合体(A)の硬化触媒を含有する第二液と
    を有する請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記ポリマー微粒子(B)の平均粒子径が、0.01〜100μmである請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
  5. 前記重合体(A)100質量部に対して、前記ポリマー微粒子(B)を1〜80質量部含有する請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
  6. 硬化性組成物の製造方法であって、
    (メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリル酸エステル単量体(b1)と、
    (メタ)アクリロイル基を少なくとも2個有する(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)と、
    ラジカル重合開始剤と
    を主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体(A)に加えて撹拌し、3次元架橋させて(メタ)アクリル系ポリマー微粒子(B)を形成させ、請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物を得る撹拌架橋工程を具備する硬化性組成物の製造方法。
  7. 前記撹拌架橋工程において、更に、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル、スチレンおよび酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種を加えて、3次元架橋させて(メタ)アクリル系ポリマー微粒子(B)を形成させる請求項6に記載の硬化性組成物の製造方法。
  8. 前記撹拌架橋工程において、更に、相溶化剤を加えて、3次元架橋させて(メタ)アクリル系ポリマー微粒子(B)を形成させる請求項6または7に記載の硬化性組成物の製造方法。
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JP2009542826A (ja) * 2006-07-06 2009-12-03 ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン 官能化ビニルポリマーナノ粒子
CN111902485A (zh) * 2018-03-28 2020-11-06 株式会社钟化 加热固化型的固化物的制造方法和加热固化型的固化性组合物

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