JP2016210879A - 硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化性、接着性及び貯蔵安定性に優れ、且つ有機錫系触媒を必要とせず安全性に優れ、特に難接着性材料に対する耐熱接着性が良好な硬化性組成物を提供する。
【解決手段】(A)架橋性珪素基含有有機重合体、(B)シラン化合物B1と有機チタン化合物B2とを反応させてなるチタン触媒、及び(C)ウレイド基を有するシランカップリング剤、を含む硬化性組成物であって、前記シラン化合物B1が、特定のエポキシシラン化合物と、特定のアミノシラン化合物とを、該アミノシラン化合物1モルに対して該エポキシシラン化合物を1.5〜10モルの範囲で且つ40〜100℃の反応温度で反応させてなるシラン化合物であり、前記有機チタン化合物B2が、特定のチタニウムキレートであるようにした。
【選択図】なし
【解決手段】(A)架橋性珪素基含有有機重合体、(B)シラン化合物B1と有機チタン化合物B2とを反応させてなるチタン触媒、及び(C)ウレイド基を有するシランカップリング剤、を含む硬化性組成物であって、前記シラン化合物B1が、特定のエポキシシラン化合物と、特定のアミノシラン化合物とを、該アミノシラン化合物1モルに対して該エポキシシラン化合物を1.5〜10モルの範囲で且つ40〜100℃の反応温度で反応させてなるシラン化合物であり、前記有機チタン化合物B2が、特定のチタニウムキレートであるようにした。
【選択図】なし
Description
本発明は、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基(以下、「架橋性珪素基」ともいう。)を有する有機重合体を含有する硬化性組成物に関する。
分子中に少なくとも1個の架橋性珪素基を含有する有機重合体は、室温においても湿分等による反応性ケイ素基の加水分解反応等を伴うシロキサン結合の形成によって架橋し、ゴム状硬化物が得られるという性質を有することが知られている。これらの架橋性珪素基を有する重合体中で、主鎖骨格がポリオキシアルキレン系重合体または(メタ)アクリル酸エステル系重合体である有機重合体は、シーリング材、接着剤、塗料などの用途に広く使用されている。
シーリング材、接着剤、塗料などに用いられる硬化性組成物および硬化によって得られるゴム状硬化物には、硬化性、接着性、貯蔵安定性、モジュラス・強度・伸び等の機械特性等の種々の特性が要求されており、架橋性珪素基を含有する有機重合体に関しても、これまでに多くの検討がなされている。
これらの架橋性珪素基を有する有機重合体を含有する硬化性組成物は、シラノール縮合触媒を用いて硬化させており、通常、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)などの、有機錫系触媒が広く使用されている。しかしながら、近年、有機錫系化合物はその毒性が指摘されており、非有機錫系触媒の開発が求められている。非有機錫系触媒として、チタン触媒を用いた硬化性組成物が提案されているが、架橋性珪素基を含有する有機重合体にチタン触媒を用いた硬化性組成物は硬化速度が遅く、また貯蔵後に硬化速度が低下すると共に粘度が増加するといった問題があった。
また、架橋性珪素基を含有する有機重合体を含む硬化性組成物は、接着剤やシーリング材として使用されることが多く、その場合にさまざまな種類の基材への接着が求められる。この接着性を確保するために、分子内に1級のアミノ基とアルコキシシリル基を有する、いわゆるアミノシランが通常用いられる。
架橋性珪素基を含有する有機重合体に、非有機錫系触媒としてチタン触媒を用い、良好な接着性と硬化性を有する硬化性組成物として、特許文献1は、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体及び/または架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体と、α位に置換基を有するβ−ジカルボニル化合物でキレート化したチタニウムキレートと、アミノシランを用いた硬化性組成物を開示している。
しかしながら、特許文献1記載の硬化性組成物のように、架橋性珪素基を含有する有機重合体とチタン触媒を用いて、アミノシランを添加して1液型硬化性組成物を作製した場合、接着性は良好なものの、一定期間貯蔵した後では組成物の粘度が向上し、ひどい場合には容器内で硬化し、使用できないことがある。シーリング材や接着剤は、製造してすぐに使用されるとは限らず、倉庫や店頭で数ヶ月間保管されることが多く、硬化性や粘度が貯蔵前後において一定であることが望まれている。
また、近年、携帯電話等の電気電子部品に、ナイロン系樹脂が使用されているが、ナイロン系樹脂は難接着性であり、熱がかかると剥がれやすくなるという問題があった。特に、昨今の電子デバイスは集積化が進み、より小型で高性能なものが求められており、また防水性が求められることが多い為、密閉構造とされることにより熱を持ちやすく、高温時での耐熱接着性が求められている。
本発明は、硬化性、接着性及び貯蔵安定性に優れ、且つ有機錫系触媒を必要とせず安全性に優れ、特に難接着性材料に対する耐熱接着性が良好な硬化性組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の硬化性組成物は、(A)架橋性珪素基含有有機重合体、
(B)シラン化合物B1と有機チタン化合物B2とを反応させてなるチタン触媒、及び
(C)ウレイド基を有するシランカップリング剤、
を含み、
前記シラン化合物B1が、下記式(1)で示されるエポキシシラン化合物と、下記式(2)で示されるアミノシラン化合物とを、該アミノシラン化合物1モルに対して該エポキシシラン化合物を1.5〜10モルの範囲で且つ40〜100℃の反応温度で反応させてなるシラン化合物であり、
前記有機チタン化合物B2が、下記式(3)で示されるチタニウムキレート及び下記式(4)で表されるチタニウムキレートからなる群から選択される1種以上である、
硬化性組成物。
(B)シラン化合物B1と有機チタン化合物B2とを反応させてなるチタン触媒、及び
(C)ウレイド基を有するシランカップリング剤、
を含み、
前記シラン化合物B1が、下記式(1)で示されるエポキシシラン化合物と、下記式(2)で示されるアミノシラン化合物とを、該アミノシラン化合物1モルに対して該エポキシシラン化合物を1.5〜10モルの範囲で且つ40〜100℃の反応温度で反応させてなるシラン化合物であり、
前記有機チタン化合物B2が、下記式(3)で示されるチタニウムキレート及び下記式(4)で表されるチタニウムキレートからなる群から選択される1種以上である、
硬化性組成物。
(前記式(1)において、R1〜R3はそれぞれ水素原子又はアルキル基であり、R4はアルキレン基またはアルキレンオキシアルキレン基であり、R5は一価炭化水素基であり、R6はアルキル基であり、aは0、1又は2である。)
(前記式(2)において、R7〜R12はそれぞれ水素原子又はアルキル基であり、R13は一価炭化水素基であり、R14はアルキル基であり、bは0又は1である。)
(前記式(3)において、n個のR21は、それぞれ独立に置換あるいは非置換の炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、4−n個のR22は、それぞれ独立に水素原子または置換あるいは非置換の炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、4−n個のR23および4−n個のR24は、それぞれ独立に置換あるいは非置換の炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、nは0、1、2又は3である。)
(前記式(4)において、R25は、置換あるいは非置換の2価の炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、2個のR26は、それぞれ独立に水素原子または置換あるいは非置換の炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、2個のR27および2個のR28は、それぞれ独立に置換あるいは非置換の炭素原子数1〜20の炭化水素基である。)
本発明の硬化性組成物は、前記有機チタン化合物B2をさらに含有することが好ましい。
前記(A)架橋性珪素基含有有機重合体が、架橋性珪素基を含有するポリオキシアルキレン系重合体、架橋性珪素基を含有する飽和炭化水素系重合体、及び架橋性珪素基を含有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる群から選択される1種以上であることが好適である。
本発明の製品は、本発明の硬化性組成物を用いてなる、電気・電子製品である。
本発明によれば、硬化性、接着性及び貯蔵安定性に優れ、且つ有機錫系触媒を必要とせず安全性に優れ、特に難接着性材料に対する耐熱接着性が良好な硬化性組成物を提供することができる。本発明の硬化性組成物は、求核性を有するアミノ基が残存していない為、貯蔵安定性に優れており、また難接着性材料に対する耐熱接着性が良好で、熱を持ちやすい部材の接着にも使用可能である。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これらは例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
本発明の硬化性組成物は、(A)架橋性珪素基含有有機重合体、(B)シラン化合物B1と有機チタン化合物B2とを反応させてなるチタン触媒、及び(C)ウレイド基を有するシランカップリング剤、を含み、前記シラン化合物B1が、前記式(1)で示されるエポキシシラン化合物と、前記式(2)で示されるアミノシラン化合物とを、該アミノシラン化合物1モルに対して該エポキシシラン化合物を1.5〜10モルの範囲で且つ40〜100℃の反応温度で反応させてなるシラン化合物であり、前記有機チタン化合物B2が、前記式(3)で示されるチタニウムキレート及び前記式(4)で表されるチタニウムキレートからなる群から選択される1種以上である、ものである。
前記(A)有機重合体の主鎖骨格は特に制限はなく、各種の主鎖骨格を持つものを使用することができるが、主鎖がポリシロキサンでない有機重合体であり、ポリシロキサンを除く各種の主鎖骨格を持つものを使用することが好ましい。
具体的には、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体等のポリオキシアルキレン系重合体;エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレン等との共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリルおよび/またはスチレン等との共重合体、ポリブタジエン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリル及びスチレン等との共重合体、これらのポリオレフィン系重合体に水素添加して得られる水添ポリオレフィン系重合体等の炭化水素系重合体;アジピン酸等の2塩基酸とグリコールとの縮合、または、ラクトン類の開環重合で得られるポリエステル系重合体;エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のモノマーをラジカル重合して得られる(メタ)アクリル酸エステル系重合体;(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等のモノマーをラジカル重合して得られるビニル系重合体;前記有機重合体中でのビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体;ポリサルファイド系重合体;ε−カプロラクタムの開環重合によるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の縮重合によるナイロン6・6、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の縮重合によるナイロン6・10、ε−アミノウンデカン酸の縮重合によるナイロン11、ε−アミノラウロラクタムの開環重合によるナイロン12、上記のナイロンのうち2成分以上の成分を有する共重合ナイロン等のポリアミド系重合体;たとえばビスフェノールAと塩化カルボニルより縮重合して製造されるポリカーボネート系重合体、ジアリルフタレート系重合体等が例示される。
さらに、ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエン等の飽和炭化水素系重合体や、ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体は比較的ガラス転移温度が低く、得られる硬化物が耐寒性に優れることから好ましい。また、ポリオキシアルキレン系重合体および(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、透湿性が高く1液型組成物にした場合に深部硬化性に優れることから特に好ましい。
本発明に用いる(A)有機系重合体の架橋性珪素基は、珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうる基である。前記架橋性珪素基としては、例えば、下記一般式(5)で示される基が好適である。
前記式(5)中、R31は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基またはR31 3SiO−(R31は、前記と同じ)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R31が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。dは0、1、2または3を、eは0、1または2を、それぞれ示す。またp個の下記一般式(6)におけるeは同一である必要はない。pは0〜19の整数を示す。但し、d+(eの和)≧1を満足するものとする。
該加水分解性基や水酸基は1個の珪素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、d+(eの和)は1〜5の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が架橋性珪素基中に2個以上結合する場合には、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
架橋性珪素基を形成する珪素原子は1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合等により連結された珪素原子の場合には、20個程度あってもよい。
架橋性珪素基を形成する珪素原子は1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合等により連結された珪素原子の場合には、20個程度あってもよい。
前記架橋性珪素基としては、下記一般式(7)で示される架橋性珪素基が、入手が容易である点から好ましい。
前記式(7)中、R31、Xは前記におなじ、dは1、2又は3の整数である。硬化性を考慮し、十分な硬化速度を有する硬化性組成物を得るには、前記式(7)においてaは2以上が好ましく、3がより好ましい。
上記R31の具体例としては、たとえばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、R31 3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等があげられる。これらの中ではメチル基が好ましい。
上記Xで示される加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、たとえば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等があげられる。これらの中では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましく、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基がさらに好ましい。加水分解性が穏やかで取扱やすいという観点からアルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基の中では炭素数の少ないものの方が反応性が高く、メトキシ基>エトキシ基>プロポキシ基の順のように炭素数が多くなるほどに反応性が低くなる。目的や用途に応じて選択できるが通常メトキシ基やエトキシ基が使用される。
架橋性珪素基の具体的な構造としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基[−Si(OR)3]、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基[−SiR1(OR)2]、があげられ、トリメトキシシリル基がより好適である。ここでRはメチル基やエチル基のようなアルキル基である。
また、架橋性珪素基は1種で使用しても良く、2種以上併用してもかまわない。架橋性珪素基は、主鎖または側鎖あるいはいずれにも存在しうる。
架橋性珪素基を形成する珪素原子は1個以上であるが、シロキサン結合などにより連結された珪素原子の場合には、20個以下であることが好ましい。
架橋性珪素基を有する有機重合体は直鎖状、または分岐を有してもよく、その数平均分子量はGPCにおけるポリスチレン換算において500〜100,000程度、より好ましくは1,000〜50,000であり、特に好ましくは3,000〜30,000である。数平均分子量が500未満では、硬化物の伸び特性の点で不都合な傾向があり、100,000を越えると、高粘度となる為に作業性の点で不都合な傾向がある。
高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物を得るためには、有機重合体に含有される架橋性珪素基は重合体1分子中に平均して0.8個以上、好ましくは1.1〜5個存在するのがよい。分子中に含まれる架橋性珪素基の数が平均して0.8個未満になると、硬化性が不充分になり、良好なゴム弾性挙動を発現しにくくなる。架橋性珪素基は、有機重合体分子鎖の主鎖の末端あるいは側鎖の末端にあってもよいし、また、両方にあってもよい。特に、架橋性珪素基が分子鎖の主鎖の末端にのみあるときは、最終的に形成される硬化物に含まれる有機重合体成分の有効網目長が長くなるため、高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物が得られやすくなる。
前記ポリオキシアルキレン系重合体は、本質的に下記一般式(8)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
−R32−O− ・・・(8)
前記一般式(8)中、R32は炭素数1〜14の直鎖状もしくは分岐アルキレン基であり、炭素数1〜14の、さらには2〜4の、直鎖状もしくは分岐アルキレン基が好ましい。
−R32−O− ・・・(8)
前記一般式(8)中、R32は炭素数1〜14の直鎖状もしくは分岐アルキレン基であり、炭素数1〜14の、さらには2〜4の、直鎖状もしくは分岐アルキレン基が好ましい。
一般式(8)で示される繰り返し単位の具体例としては、
−CH2O−、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH(C2H5)O−、−CH2C(CH3)2O−、−CH2CH2CH2CH2O−
等が挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特にシーリング材等に使用される場合には、プロピレンオキシド重合体を主成分とする重合体から成るものが非晶質であることや比較的低粘度である点から好ましい。
−CH2O−、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH(C2H5)O−、−CH2C(CH3)2O−、−CH2CH2CH2CH2O−
等が挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特にシーリング材等に使用される場合には、プロピレンオキシド重合体を主成分とする重合体から成るものが非晶質であることや比較的低粘度である点から好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体の合成法としては、たとえばKOHのようなアルカリ触媒による重合法、たとえば特開昭61−197631号、同61−215622号、同61−215623号、同61−215623号に示されるような有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる、有機アルミ−ポルフィリン錯体触媒による重合法、たとえば特公昭46−27250号および特公昭59−15336号などに示される複金属シアン化物錯体触媒による重合法等があげられるが、特に限定されるものではない。有機アルミ−ポルフィリン錯体触媒による重合法や複金属シアン化物錯体触媒による重合法によれば数平均分子量6,000以上、Mw/Mnが1.6以下の高分子量で分子量分布が狭いポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
上記ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格中にはウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。ウレタン結合成分としては、たとえばトルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートと水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体との反応から得られるものをあげることができる。
ポリオキシアルキレン系重合体への架橋性珪素基の導入は、分子中に不飽和基、水酸基、エポキシ基やイソシアネート基等の官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させることにより行うことができる(以下、高分子反応法という)。
高分子反応法の具体例として、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体に架橋性珪素基を有するヒドロシランや架橋性珪素基を有するメルカプト化合物を作用させてヒドロシリル化やメルカプト化し、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得る方法をあげることができる。不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体は水酸基等の官能基を有する有機重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する有機化合物を反応させ、不飽和基を含有するポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
また、高分子反応法の他の具体例として、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体とイソシアネート基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させる方法や末端にイソシアネート基を有するポリオキシアルキレン系重合体と水酸基やアミノ基等の活性水素基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させる方法をあげることができる。イソシアネート化合物を使用すると、容易に架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の具体例としては、特公昭45−36319号、同46−12154号、特開昭50−156599号、同54−6096号、同55−13767号、同57−164123号、特公平3−2450号、特開2005−213446号、同2005−306891号、国際公開特許WO2007−040143号、米国特許3,632,557、同4,345,053、同4,960,844等の各公報に提案されているものをあげることができる。
上記の架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
前記飽和炭化水素系重合体は芳香環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体であり、その骨格をなす重合体は、(1)エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレンなどのような炭素数2〜6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させるか、(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合させ、あるいは、上記オレフィン系化合物とを共重合させた後、水素添加するなどの方法により得ることができるが、イソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体は、末端に官能基を導入しやすく、分子量を制御しやすく、また、末端官能基の数を多くすることができるので好ましく、イソブチレン系重合体が特に好ましい。
主鎖骨格が飽和炭化水素系重合体であるものは、耐熱性、耐候性、耐久性、及び湿気遮断性に優れる特徴を有する。
イソブチレン系重合体は、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよいし、他単量体との共重合体でもよいが、ゴム特性の面からイソブチレンに由来する繰り返し単位を50質量%以上含有するものが好ましく、80質量%以上含有するものがより好ましく、90〜99質量%含有するものが特に好ましい。
飽和炭化水素系重合体の合成法としては、従来、各種重合方法が報告されているが、特に近年多くのいわゆるリビング重合が開発されている。飽和炭化水素系重合体、特にイソブチレン系重合体の場合、Kennedyらによって見出されたイニファー重合(J. P. Kennedyら、J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed. 1997年、15巻、2843頁)を用いることにより容易に製造することが可能であり、分子量500〜100,000程度を、分子量分布1.5以下で重合でき、分子末端に各種官能基を導入できることが知られている。
架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体の製法としては、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号、特開平1−197509号、特許公報第2539445号、特許公報第2873395号、特開平7−53882号の各明細書などに記載されているが、特にこれらに限定されるものではない。
上記の架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。
前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体の主鎖を構成する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、メタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルジメトキシメチルシラン、メタクリロイルオキシメチルジエトキシメチルシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ビス(トリフルオロメチル)メチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマーが挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体では、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとともに、以下のビニル系モノマーを共重合することもできる。該ビニル系モノマーを例示すると、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等の珪素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。
これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。なかでも、生成物の物性等から、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーからなる重合体が好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーからなる(メタ)アクリル系重合体であり、特に好ましくはアクリル酸エステルモノマーからなるアクリル系重合体である。一般建築用等の用途においては配合物の低粘度、硬化物の低モジュラス、高伸び、耐候、耐熱性等の物性が要求される点から、アクリル酸ブチル系モノマーが更に好ましい。一方、自動車用途等の耐油性等が要求される用途においては、アクリル酸エチルを主とした共重合体が更に好ましい。このアクリル酸エチルを主とした重合体は耐油性に優れるが低温特性(耐寒性)にやや劣る傾向があるため、その低温特性を向上させるために、アクリル酸エチルの一部をアクリル酸ブチルに置き換えることも可能である。ただし、アクリル酸ブチルの比率を増やすに伴いその良好な耐油性が損なわれていくので、耐油性を要求される用途にはその比率は40%以下にするのが好ましく、更には30%以下にするのがより好ましい。また、耐油性を損なわずに低温特性等を改善するために側鎖のアルキル基に酸素が導入されたアクリル酸−2−メトキシエチルやアクリル酸−2−エトキシエチル等を用いるのも好ましい。ただし、側鎖にエーテル結合を持つアルコキシ基の導入により耐熱性が劣る傾向にあるので、耐熱性が要求されるときには、その比率は40%以下にするのが好ましい。各種用途や要求される目的に応じて、必要とされる耐油性や耐熱性、低温特性等の物性を考慮し、その比率を変化させ、適した重合体を得ることが可能である。例えば、限定はされないが耐油性や耐熱性、低温特性等の物性バランスに優れている例としては、アクリル酸エチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸−2−メトキシエチル(質量比で40〜50/20〜30/30〜20)の共重合体が挙げられる。本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが質量比で40%以上含まれていることが好ましい。なお上記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/あるいはメタクリル酸を表す。
本発明において、(メタ)アクリル酸エステル重合体を得る方法は、特に限定されず、公知の重合法(例えば、特開昭63−112642号、特開2007−230947号、特開2001−40037号、特開2003−313397号等の記載の合成法)を利用することができ、ラジカル重合反応を用いたラジカル重合法が好ましい。ラジカル重合法としては、重合開始剤を用いて所定の単量体単位を共重合させるラジカル重合法(フリーラジカル重合法)や、末端などの制御された位置に反応性シリル基を導入することが可能な制御ラジカル重合法が挙げられる。但し、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物などを用いる通常のフリーラジカル重合法で得られる重合体は、分子量分布の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなるという問題を有している。従って、分子量分布が狭く、粘度の低い(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を得るためには、制御ラジカル重合法を用いることが好適である。
制御ラジカル重合法としては、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いたフリーラジカル重合法やリビングラジカル重合法が挙げられ、付加−開裂移動反応(Reversible Addition-Fragmentation chain Transfer;RAFT)重合法、遷移金属錯体を用いたラジカル重合法(Transition-Metal-Mediated Living Radical Polymerization)等のリビングラジカル重合法がより好ましい。また、反応性シリル基を有するチオール化合物を用いた反応や、反応性シリル基を有するチオール化合物及びメタロセン化合物を用いた反応(特開2001−40037号公報)も好適である。
<フリーラジカル重合法>
フリーラジカル重合法を用いる場合は、連鎖移動剤、開始剤を用いて0℃〜200℃で反応させることが好ましい。より好ましくは25℃〜150℃の範囲内に設定することが特に好ましい。重合反応温度を上記範囲内に設定することにより、反応を暴走させることなく安定に進行させることができる。使用する重合性不飽和化合物の不飽和基の活性にもよるが、比較的重合性の高いアクリル酸エステル系の重合性不飽和化合物を用いた場合でも、反応温度を0℃未満とした場合、活性が低くなり、充分な重合率を達成するために必要な時間が長くなり、効率が悪い。さらに、スチレン型不飽和化合物のように重合活性が低い化合物を用いた場合でも、25℃以上の条件であれば、充分な重合率を達成することができる。フリーラジカル重合法を用いる場合において、反応時間は、重合率、分子量等を考慮して適宜設定することができるが、例えば上記のような条件では反応時間は、通常は1〜144時間、好ましくは2〜8時間の範囲内に設定することが好ましい。
フリーラジカル重合法を用いる場合は、連鎖移動剤、開始剤を用いて0℃〜200℃で反応させることが好ましい。より好ましくは25℃〜150℃の範囲内に設定することが特に好ましい。重合反応温度を上記範囲内に設定することにより、反応を暴走させることなく安定に進行させることができる。使用する重合性不飽和化合物の不飽和基の活性にもよるが、比較的重合性の高いアクリル酸エステル系の重合性不飽和化合物を用いた場合でも、反応温度を0℃未満とした場合、活性が低くなり、充分な重合率を達成するために必要な時間が長くなり、効率が悪い。さらに、スチレン型不飽和化合物のように重合活性が低い化合物を用いた場合でも、25℃以上の条件であれば、充分な重合率を達成することができる。フリーラジカル重合法を用いる場合において、反応時間は、重合率、分子量等を考慮して適宜設定することができるが、例えば上記のような条件では反応時間は、通常は1〜144時間、好ましくは2〜8時間の範囲内に設定することが好ましい。
前記連鎖移動剤としては、公知の連鎖移動剤を広く使用でき特に制限はないが、チオール化合物が好ましく、反応性シリル基を有するチオール化合物がより好ましい。例えば、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン、メルカプトメチルジメチルメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルジメチルエトキシシラン、メルカプトメチルトリプロポキシシシラン、メルカプトメチルメチルジプロポキシシラン、メルカプトメチルジメチルプロポキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−モノメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−モノフェニルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−ジメチルモノメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−モノメチルジエトキシシラン、4−メルカプトブチル−トリメトキシシランおよび3−メルカプトブチル−トリメトキシシランが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
前記連鎖移動剤は、分子量、分子量分布等を考慮して適宜設定することができるが、通常の量で使用することができ、具体的には、重合させようとする重合性不飽和化合物100mol部に対して、通常は0.001〜30mol部、好ましくは0.01〜20mol部の量で使用される。
前記開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、イオン性開始剤およびレドックス開始剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
前記アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(V−60、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(V−59、和光純薬工業(株)製)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(V−40、和光純薬工業(株)製)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(V−30、和光純薬工業(株)製)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチル−バレロニトリル(V−19、和光純薬工業(株)製)等のアゾニトリル化合物、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド](VA−080、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド](VA−082、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド](VA−085、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド](VA−086、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドレート(VA−088、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド](VF−096、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)(VAm−110、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)(VAm−111、和光純薬工業(株)製)等のアゾアミド化合物、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)(VR−110、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)(VR−160、和光純薬工業(株)製)等のアルキルアゾ化合物等が挙げられる。
前記過酸化物系開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド(パーメックH、日脂(株)製)、シクロヘキサノンパーオキ種(パーヘキサH、日脂(株)製)、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド(パーヘキサQ、日脂(株)製)、メチルアセトアセテートパーオキサイド(パーキュアーSA、日脂(株)製)、アセチルアセトンパーオキサイド(パーキュアーA、日脂(株)製)等のケトンパーオキサイド類、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサTMH、日脂(株)製)、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(パーヘキサHC、日脂(株)製)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサ3M、日脂(株)製)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(パーヘキサC、日脂(株)製)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン(パーヘキサCD−R、日脂(株)製)、2,2’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン(パーヘキサ22、日脂(株)製)、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート)パーヘキサV、日脂(株)製)、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(パーテトラA、日脂(株)製)等のパーオキシケタール類、t−ブチルヒドロパーオキサイド(パーブチルH−69、日脂(株)製)、p−メンタンヒドロパーオキサイド(パーメンタH、日脂(株)製)、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド(パークミルP、日脂(株)製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド(パーオクタH、日脂(株)製)、クメンヒドロパーオキサイド(パークミルH−80、日脂(株)製)、t−ヘキシルヒドロパーオキサイド(パーヘキシルH、日脂(株)製)等のヒドロパーオキサイド類、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(パーヘキシン25B、日脂(株)製)、ジ−t−ブチルパーオキサイド(パーブチルD−R、日脂(株)製)、t−ブチルクミルパーオキ種(パーブチルC、日脂(株)製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25B、日脂(株)製)、ジクミルパーオキ種(パークミルD−R、日脂(株)製、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日脂(株)製)等のジアルキルパーオキサイド類、オクタノイルパーオキ種(パーロイルO、日脂(株)製)、ラウロイルパーオキ種(パーロイルL、日脂(株)製)、ステアロイルパーオキ種(パーロイルS、日脂(株)製)、スクシニックアシッドパーオキ種(パーロイルSA、日脂(株)製)、ベンゾイルパーオキサイド(ナイパーBW、日脂(株)製)、イソブチリルパーオキサイド(パーロイルIB、日脂(株)製)、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキ種(ナイパーCS、日脂(株)製)、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキ種(パーロイル355、日脂(株)製)等のジアシルパーオキサイド類、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(パーロイルNPP−50M、日脂(株)製)、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(パーロイルIPP−50、日脂(株)製)、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(パーロイルTCP、日脂(株)製)、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート(パーロイルEEP、日脂(株)製)、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート(パーロイルOPP、日脂(株)製)、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート(パーロイルMBP、日脂(株)製)、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート(パーロイルSOP、日脂(株)製)等のパーオキシジカーボネート類、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(ナイパーND−R、日脂(株)製)、クミルパーオキシネオデカノエート(パークミルND−R、日脂(株)製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(パーオクタND−R、日脂(株)製)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート(パーシクロND−R、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(パーヘキシルND−R、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(パーブチルND−R、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(パーヘキシルPV、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシピバレート(パーブチルPV、日脂(株)製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーオクタO、日脂(株)製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ250、日脂(株)製)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーシクロO、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーヘキシルO、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチルO、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(パーブチルIB、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーヘキシルI、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド(パーブチルMA、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート(パーブチル355、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシラウレート(パーブチルL、日脂(株)製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25MT、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーブチルI、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(パーブチルE、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(パーヘキシルZ、日脂(株)製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25Z、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシアセテート(パーブチルA、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート(パーブチルZT、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(パーブチルZ、日脂(株)製)、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート(パーブチルIF、日脂(株)製)等のパーオキシエステル類、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート(ペロマーAC、日脂(株)製)、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド(パーブチルSM、日脂(株)製)、3,3’−4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB−50、日脂(株)製)、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン(ノフマーBC、日脂(株)製)等が挙げられる。
前記イオン性開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス[2−(フェニルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−545、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−クロロフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−546、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−548、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−552、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(N−アリルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−553、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(VA−50、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−558、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−041、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−044、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−054、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−058、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−059、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−060、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](VA−061、和光純薬工業(株)製)等のカチオン性開始剤、過硫酸カリウム(KPS、和光純薬工業(株)製)、過硫酸アンモニウム(APS、和光純薬工業(株)製)などのアニオン性開始剤、が挙げられる。
前記レドックス開始剤としては、例えば、有機過酸化物と第3級アミンに基づく系、例えば過酸化ベンゾイルとジメチルアニリンに基づく系;並びに有機ヒドロパーオキシドと遷移金属に基づく系、例えばクメンヒドロパーオキシドとコバルトナフテートに基づく系等が挙げられる。
前記開始剤は、分子量、分子量分布等を考慮して適宜設定することができるが、通常の量で使用することができ、具体的には、重合させようとする重合性不飽和化合物100mol部に対して、通常は0.001〜30mol部、好ましくは0.01〜20mol部の量で使用される。
<付加−開裂移動反応重合法>
付加−開裂移動反応重合法を用いる場合は、連鎖移動剤、開始剤を用いて0℃〜200℃で反応させることが好ましい。より好ましくは25℃〜150℃範囲内に設定することが特に好ましい。重合反応温度を上記範囲内に設定することにより、反応を暴走させることなく安定に進行させることができる。使用する重合性不飽和化合物の不飽和基の活性にもよるが、比較的重合性の高いアクリル酸エステル系の重合性不飽和化合物を用いた場合でも、反応温度を0℃未満とした場合、活性が低くなり、充分な重合率を達成するために必要な時間が長くなり、効率が悪い。さらに、スチレン型不飽和化合物のように重合活性が低い化合物を用いた場合でも、25℃以上の条件であれば、充分な重合率を達成することができる。付加−開裂移動反応重合法を用いる場合において、反応時間は、重合率、分子量等を考慮して適宜設定することができるが、例えば上記のような条件では反応時間は、通常は30分〜144時間、好ましくは1〜24時間の範囲内に設定することが好ましい。
付加−開裂移動反応重合法を用いる場合は、連鎖移動剤、開始剤を用いて0℃〜200℃で反応させることが好ましい。より好ましくは25℃〜150℃範囲内に設定することが特に好ましい。重合反応温度を上記範囲内に設定することにより、反応を暴走させることなく安定に進行させることができる。使用する重合性不飽和化合物の不飽和基の活性にもよるが、比較的重合性の高いアクリル酸エステル系の重合性不飽和化合物を用いた場合でも、反応温度を0℃未満とした場合、活性が低くなり、充分な重合率を達成するために必要な時間が長くなり、効率が悪い。さらに、スチレン型不飽和化合物のように重合活性が低い化合物を用いた場合でも、25℃以上の条件であれば、充分な重合率を達成することができる。付加−開裂移動反応重合法を用いる場合において、反応時間は、重合率、分子量等を考慮して適宜設定することができるが、例えば上記のような条件では反応時間は、通常は30分〜144時間、好ましくは1〜24時間の範囲内に設定することが好ましい。
前記連鎖移動剤としては、例えば、ベンゾイル−1−ピロールカルボジチオエート、ベンゾイルジチオベンゾエート、シアノイソプロピルジチオベンゾエート、クミルジチオベンゾエート、メトキシカルボニルフェニルメチルジチオベンゾエート、シアノベンジルジチオベンゾエート、1−フェニルエチルジチオベンゾエート、t−ブチルジチオベンゾエイトS−(チオベンジル)チオグリコリル酸、1−フェニルエチルフェニルジチオベンゾエート、3−ベンジルスルファニルチオカルボニルスルファニル−プロピオン酸、2−(ベンジルスルファニルチオカルボニルスルファニル)エタノール、3−ベンジルスルファニルチオカルボニルスルファニルプロピオン酸、S−(1−エトキシカルボニルエチル)O−エチルキサンテート、エチル−2−(2−トリフルオロエトキシチオカルボニルスルファニル)プロピオネート、エチル−2−(1−ジエトキシホスホニル−2,2,2−トリフルオロエトキシチオカルボニルスルファニル)プロピオネート、ビスチオベンゾイルジスルフィド、ビス(2,6−ジメチルチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(2,4−ジメチルチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(4−メトキシチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(2,4ジメトキシチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(2,4−ジフルオロチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(4−シアノチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(3,5―ジシアノチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ジチオベンゾエ−ト)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6―ペンタフルオロチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(4−フェニルチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(2−ナフチルチオニル)ジスルフィド、ビス(1−ナフチルチオニル)ジスルフィド、トリフェニルメチルジチオイソニコチネート、2−シアノイソプロピル(2,6−ジメチル)ジチオベンゾエ−ト、2−シアノイソプロピル(2,4−ジメチル)ジチオベンゾエート、2−シアノイソプロピル(4−メトキシ)ジチオベンゾエート、2−シアノイソプロピル(2,4−ジメトキシ)ジチオベンゾエート、2−シアノイソプロピル(4−フルオロ)ジチオベンゾエート、2−シアノイソプロピル(2,4−ジフルオロ)ジチオベンゾエート、2−シアノイソプロピルジチオイソニコチネート、2−シアノイソプロピル4−シアノジチオベンゾエート、2−シアノイソプロピル3,5−ジシアノジチオベンゾエート、2−シアノイソプロピル3,5−ビス(トリフルオロメチル)ジチオベンゾエート、2−シアノイソプロピル2,3,4,5、6−ペンタフルオロジチオベンゾエート、2−シアノイソプロピル4−ピリジニウムジチオカルボキシエート4−トルエンスルフォネイト塩、2−シアノイソプロピル(4−フェニル)ジチオベンゾエート、2−シアノイソプロピル−2−ナフチルジチオレート、2−シアノイソプロピル−1−ナフチルジチオレート、2−シアノ−4−メチルペンタ−2−イルジチオベンゾエート、2−シアノ−4−メチルペンタ−2−イル−4−シアノジチオベンゾエート、2−シアノ−4−メチルペンタ−2−イル3,5−ビストリフルオロメチルジチオベンゾエート、2−シアノ−4−メチルペンタ−2−イル−4−メトキシフェニルジチオベンゾエートが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
前記連鎖移動剤は、分子量、分子量分布等を考慮して適宜設定することができるが、通常の量で使用することができ、具体的には、重合させようとする重合性不飽和化合物100mol部に対して、通常は0.001〜30mol部、好ましくは0.01〜20mol部の量で使用される。
前記開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、イオン性開始剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
前記アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(V−60、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(V−59、和光純薬工業(株)製)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(V−40、和光純薬工業(株)製)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(V−30、和光純薬工業(株)製)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチル−バレロニトリル(V−19、和光純薬工業(株)製)等のアゾニトリル化合物、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド](VA−080、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド](VA−082、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド](VA−085、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド](VA−086、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドレート(VA−088、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド](VF−096、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)(VAm−110、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)(VAm−111、和光純薬工業(株)製)等のアゾアミド化合物、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)(VR−110、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)(VR−160、和光純薬工業(株)製)等のアルキルアゾ化合物等が挙げられる。
前記過酸化物系開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド(パーメックH、日脂(株)製)、シクロヘキサノンパーオキ種(パーヘキサH、日脂(株)製)、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド(パーヘキサQ、日脂(株)製)、メチルアセトアセテートパーオキサイド(パーキュアーSA、日脂(株)製)、アセチルアセトンパーオキサイド(パーキュアーA、日脂(株)製)等のケトンパーオキサイド類、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサTMH、日脂(株)製)、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(パーヘキサHC、日脂(株)製)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサ3M、日脂(株)製)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(パーヘキサC、日脂(株)製)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン(パーヘキサCD−R、日脂(株)製)、2,2’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン(パーヘキサ22、日脂(株)製)、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート)パーヘキサV、日脂(株)製)、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(パーテトラA、日脂(株)製)等のパーオキシケタール類、t−ブチルヒドロパーオキサイド(パーブチルH−69、日脂(株)製)、p−メンタンヒドロパーオキサイド(パーメンタH、日脂(株)製)、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド(パークミルP、日脂(株)製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド(パーオクタH、日脂(株)製)、クメンヒドロパーオキサイド(パークミルH−80、日脂(株)製)、t−ヘキシルヒドロパーオキサイド(パーヘキシルH、日脂(株)製)等のヒドロパーオキサイド類、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(パーヘキシン25B、日脂(株)製)、ジ−t−ブチルパーオキサイド(パーブチルD−R、日脂(株)製)、t−ブチルクミルパーオキ種(パーブチルC、日脂(株)製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25B、日脂(株)製)、ジクミルパーオキ種(パークミルD−R、日脂(株)製、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日脂(株)製)等のジアルキルパーオキサイド類、オクタノイルパーオキ種(パーロイルO、日脂(株)製)、ラウロイルパーオキ種(パーロイルL、日脂(株)製)、ステアロイルパーオキ種(パーロイルS、日脂(株)製)、スクシニックアシッドパーオキ種(パーロイルSA、日脂(株)製)、ベンゾイルパーオキサイド(ナイパーBW、日脂(株)製)、イソブチリルパーオキサイド(パーロイルIB、日脂(株)製)、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキ種(ナイパーCS、日脂(株)製)、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキ種(パーロイル355、日脂(株)製)等のジアシルパーオキサイド類、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(パーロイルNPP−50M、日脂(株)製)、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(パーロイルIPP−50、日脂(株)製)、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(パーロイルTCP、日脂(株)製)、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート(パーロイルEEP、日脂(株)製)、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート(パーロイルOPP、日脂(株)製)、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート(パーロイルMBP、日脂(株)製)、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート(パーロイルSOP、日脂(株)製)等のパーオキシジカーボネート類、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(ナイパーND−R、日脂(株)製)、クミルパーオキシネオデカノエート(パークミルND−R、日脂(株)製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(パーオクタND−R、日脂(株)製)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート(パーシクロND−R、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(パーヘキシルND−R、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(パーブチルND−R、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(パーヘキシルPV、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシピバレート(パーブチルPV、日脂(株)製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーオクタO、日脂(株)製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ250、日脂(株)製)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーシクロO、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーヘキシルO、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチルO、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(パーブチルIB、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーヘキシルI、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド(パーブチルMA、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート(パーブチル355、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシラウレート(パーブチルL、日脂(株)製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25MT、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーブチルI、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(パーブチルE、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(パーヘキシルZ、日脂(株)製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25Z、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシアセテート(パーブチルA、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート(パーブチルZT、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(パーブチルZ、日脂(株)製)、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート(パーブチルIF、日脂(株)製)等のパーオキシエステル類、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート(ペロマーAC、日脂(株)製)、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド(パーブチルSM、日脂(株)製)、3,3’−4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB−50、日脂(株)製)、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン(ノフマーBC、日脂(株)製)等が挙げられる。
前記イオン性開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス[2−(フェニルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−545、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−クロロフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−546、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−548、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−552、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(N−アリルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−553、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(VA−50、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−558、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−041、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−044、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−054、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−058、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−059、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−060、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](VA−061、和光純薬工業(株)製)等のカチオン性開始剤、過硫酸カリウム(KPS、和光純薬工業(株)製)、過硫酸アンモニウム(APS、和光純薬工業(株)製)などのアニオン性開始剤、が挙げられる。
前記開始剤は、分子量、分子量分布等を考慮して適宜設定することができるが、通常の量で使用することができ、具体的には、重合させようとする重合性不飽和化合物100mol部に対して、通常は0.001〜30mol部、好ましくは0.01〜20mol部の量で使用される。
<反応性シリル基を有するチオール化合物及びメタロセン化合物を用いた重合法>
金属触媒としてメタロセン化合物を用い、さらに分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有するチオール化合物を用いて0℃〜150℃で反応させることが好ましい。より好ましくは25℃〜120℃範囲内に設定することが特に好ましい。重合反応温度を上記範囲内に設定することにより、反応を暴走させることなく安定に進行させることができる。使用する重合性不飽和化合物の不飽和基の活性にもよるが、比較的重合性の高いアクリル酸エステル系の重合性不飽和化合物を用いた場合でも、反応温度を0℃未満とした場合、活性が低くなり、充分な重合率を達成するために必要な時間が長くなり、効率が悪い。さらに、スチレン型不飽和化合物のように重合活性が低い化合物を用いた場合でも、25℃以上の条件であれば、充分な重合率を達成することができる。該重合法を用いる場合において、反応時間は、重合率、分子量等を考慮して適宜設定することができるが、例えば上記のような条件では反応時間は、通常は1〜12時間、好ましくは2〜8時間の範囲内に設定することが好ましい。
金属触媒としてメタロセン化合物を用い、さらに分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有するチオール化合物を用いて0℃〜150℃で反応させることが好ましい。より好ましくは25℃〜120℃範囲内に設定することが特に好ましい。重合反応温度を上記範囲内に設定することにより、反応を暴走させることなく安定に進行させることができる。使用する重合性不飽和化合物の不飽和基の活性にもよるが、比較的重合性の高いアクリル酸エステル系の重合性不飽和化合物を用いた場合でも、反応温度を0℃未満とした場合、活性が低くなり、充分な重合率を達成するために必要な時間が長くなり、効率が悪い。さらに、スチレン型不飽和化合物のように重合活性が低い化合物を用いた場合でも、25℃以上の条件であれば、充分な重合率を達成することができる。該重合法を用いる場合において、反応時間は、重合率、分子量等を考慮して適宜設定することができるが、例えば上記のような条件では反応時間は、通常は1〜12時間、好ましくは2〜8時間の範囲内に設定することが好ましい。
上記メタロセン化合物としては特に限定されないが、例えば、ジシクロペンタジエン−Ti−ジクロライド、ジシクロペンタジエン−Ti−ビスフェニル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,5,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イルのようなチタノセン化合物;ジシクロペンタジエニル−Zr−ジクロライド、ジシクロペンタジエン−Zr−ビスフェニル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,5,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル)のようなジルコノセン化合物;ジシクロペンタジエニル−V−クロライド、ビスメチルシクロペンタジエニル−V−クロライド、ビスペンタメチルシクロペンタジエニル−V−クロライド、ジシクロペンタジエニル−Ru−クロライド、ジシクロペンタジエニル−Cr−クロライドなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
前記メタロセン化合物は、通常の触媒量で使用することができ、具体的には、重合させようとする重合性不飽和化合物100mol部に対して、通常は0.1〜0.00001mol部、好ましくは0.0001〜0.00005mol部の量で使用される。
上記反応性シリル基を有するチオール化合物としては特に限定されないが、例えば、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン、メルカプトメチルジメチルメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルジメチルエトキシシラン、メルカプトメチルトリプロポキシシシラン、メルカプトメチルメチルジプロポキシシラン、メルカプトメチルジメチルプロポキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−モノメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−モノフェニルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−ジメチルモノメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−モノメチルジエトキシシラン、4−メルカプトブチル−トリメトキシシランおよび3−メルカプトブチル−トリメトキシシラン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
前記反応性シリル基を有するチオール化合物の使用量は、得ようとする重合体の分子量、重合速度等を考慮して適宜設定することができるが、反応を円滑に進め、かつ反応を暴走させないためには、メタロセン化合物と反応性シリル基を有するチオール化合物とは通常は100:1〜1:50000の範囲内のモル比、好ましくは10:1〜1:10000のモル比で使用される。
<遷移金属錯体を用いたラジカル重合法>
遷移金属錯体を用いたラジカル重合法を用いる場合は、遷移金属錯体、有機ハロゲン化物及び/または配位子を用いて0℃〜200℃で反応させることが好ましい。より好ましくは25℃〜150℃範囲内に設定することが特に好ましい。重合反応温度を上記範囲内に設定することにより、反応を暴走させることなく安定に進行させることができる。使用する重合性不飽和化合物の不飽和基の活性にもよるが、比較的重合性の高いアクリル酸エステル系の重合性不飽和化合物を用いた場合でも、反応温度を0℃未満とした場合、活性が低くなり、充分な重合率を達成するために必要な時間が長くなり、効率が悪い。さらに、スチレン型不飽和化合物のように重合活性が低い化合物を用いた場合でも、25℃以上の条件であれば、充分な重合率を達成することができる。付加−開裂移動反応重合法を用いる場合において、反応時間は、重合率、分子量等を考慮して適宜設定することができるが、例えば上記のような条件では反応時間は、通常は30分〜144時間、好ましくは1〜24時間の範囲内に設定することが好ましい。
遷移金属錯体を用いたラジカル重合法を用いる場合は、遷移金属錯体、有機ハロゲン化物及び/または配位子を用いて0℃〜200℃で反応させることが好ましい。より好ましくは25℃〜150℃範囲内に設定することが特に好ましい。重合反応温度を上記範囲内に設定することにより、反応を暴走させることなく安定に進行させることができる。使用する重合性不飽和化合物の不飽和基の活性にもよるが、比較的重合性の高いアクリル酸エステル系の重合性不飽和化合物を用いた場合でも、反応温度を0℃未満とした場合、活性が低くなり、充分な重合率を達成するために必要な時間が長くなり、効率が悪い。さらに、スチレン型不飽和化合物のように重合活性が低い化合物を用いた場合でも、25℃以上の条件であれば、充分な重合率を達成することができる。付加−開裂移動反応重合法を用いる場合において、反応時間は、重合率、分子量等を考慮して適宜設定することができるが、例えば上記のような条件では反応時間は、通常は30分〜144時間、好ましくは1〜24時間の範囲内に設定することが好ましい。
前記遷移金属錯体としては特に限定されず、例えば、WO97/18247号に記載されているものが利用可能である。中でも好ましいものとして、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅を用いる場合は、必要に応じて0価の銅、塩化第二銅、臭化第二銅、ヨウ化第二銅を使用することもできる。
また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh3)3)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh3)2)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh3)2)、及び2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu3)2)も触媒として好適である。
また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh3)3)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh3)2)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh3)2)、及び2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu3)2)も触媒として好適である。
触媒として銅化合物を用いる場合、その配位子として、WO97/18247号に記載されている配位子の利用が可能である。特に限定はされないが、アミン系配位子が良く、好ましくは、2,2′−ビピリジル及びその誘導体等のビピリジル化合物、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン、ビスピコリルアミン、トリアルキルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミン等の脂肪族アミン等の配位子である。本発明においては、これらの内では、ポリアミン化合物、特にペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミン等の脂肪族ポリアミンが好ましい。また、触媒として銅化合物を用いる場合の配位子として、ポリアミン化合物、ピリジン系化合物、又は脂肪族アミン化合物を用いる場合には、これらの配位子がアミノ基を3つ以上持つものであることが好ましい。なお、本発明におけるアミノ基とは、窒素原子−炭素原子結合を有する基を表すが、この中でも、窒素原子が炭素原子及び/又は水素原子とのみ結合する基であることが好ましい。また、上記に挙げたメタロセン化合物も使用できる。
上記のような配位子を用いる量は、通常の原子移動ラジカル重合の条件では、遷移金属の配位座の数と、配位子の配位する基の数から決定され、ほぼ等しくなるように設定されている。例えば、通常、2,2′−ビピリジル及びその誘導体をCuBrに対して加える量はモル比で2倍であり、ペンタメチルジエチレントリアミンの場合はモル比で1倍である。本発明において配位子を添加して重合を開始する、及び/または、配位子を添加して触媒活性を制御する場合は、特に限定はされないが、金属原子が配位子に対して過剰になる方が好ましい。配位座と配位する基の比は好ましくは1.2倍以上であり、更に好ましくは1.4倍以上であり、特に好ましくは1.6倍以上であり、特別に好ましくは2倍以上である。
有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられる。
具体的に例示するならば、C6H5−CH2X、C6H5−C(H)(X)CH3、C6H5−C(X)(CH3)2、XCH2−C6H5−CH2X、XC(H)(CH3)−C6H5−C(H)(CH3)X(ただし、上の化学式中、C6H5はフェニル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)、R3−C(H)(X)−CO2R4、R3−C(CH3)(X)−CO2R4、R3−C(H)(X)−C(O)R4、R3−C(CH3)(X)−C(O)R4、R3−C6H4−SO2X(式中、R3、R4は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)等が挙げられる。
具体的に例示するならば、C6H5−CH2X、C6H5−C(H)(X)CH3、C6H5−C(X)(CH3)2、XCH2−C6H5−CH2X、XC(H)(CH3)−C6H5−C(H)(CH3)X(ただし、上の化学式中、C6H5はフェニル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)、R3−C(H)(X)−CO2R4、R3−C(CH3)(X)−CO2R4、R3−C(H)(X)−C(O)R4、R3−C(CH3)(X)−C(O)R4、R3−C6H4−SO2X(式中、R3、R4は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)等が挙げられる。
遷移金属錯体を用いたラジカル重合法において、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリn−ブトキシアルミニウム、トリt−ブトキシアルミニウム、トリsec―ブトキシアルミニウムのようなアルミニウムトリアルキレートやジオクチル錫やジエチルヘキシル錫、ジブチル錫の様な二価錫化合物やグルコース、アスコルビン酸のような有機物など重合を活性化させるための添加剤として使用できる。
前記(メタ)アクリル酸エステル重合体の合成において、重合は無溶剤または各種溶剤中で行うことができる。溶剤の種類としては、例えば、ベンゼン、キシレン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等、ポリオキシアルキレン重合体が挙げられ、単独または2種以上を混合して用いることができる。
また、溶剤としてポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体等を用いることにより、後の脱気工程等を不要とすることができる。
上記の架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。
これらの架橋性珪素基を有する有機重合体は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。具体的には、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体、架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体、及び架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体、からなる群から選択される2種以上をブレンドしてなる有機重合体も使用できる。
架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体をブレンドしてなる有機重合体の製造方法は、特開昭59−122541号、特開昭63−112642号、特開平6−172631号、特開平11−116763号公報等に提案されているが、特にこれらに限定されるものではない。
好ましい具体例は、架橋性珪素基を有し分子鎖が実質的に、下記一般式(9):
−CH2−C(R35)(COOR36)− ・・・(9)
(式中、R35は水素原子またはメチル基、R36は炭素数1〜8のアルキル基を示す)で表される炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と、下記一般式(10):
−CH2−C(R35)(COOR37)− ・・・(10)
(式中、R35は前記に同じ、R37は炭素数10以上のアルキル基を示す)で表される炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなる共重合体に、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体をブレンドして製造する方法である。
好ましい具体例は、架橋性珪素基を有し分子鎖が実質的に、下記一般式(9):
−CH2−C(R35)(COOR36)− ・・・(9)
(式中、R35は水素原子またはメチル基、R36は炭素数1〜8のアルキル基を示す)で表される炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と、下記一般式(10):
−CH2−C(R35)(COOR37)− ・・・(10)
(式中、R35は前記に同じ、R37は炭素数10以上のアルキル基を示す)で表される炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなる共重合体に、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体をブレンドして製造する方法である。
前記一般式(9)のR36としては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数1〜8、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2のアルキル基があげられる。なお、R36のアルキル基は単独でもよく、2種以上混合していてもよい。
前記一般式(10)のR37としては、たとえばラウリル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基等の炭素数10以上、通常は10〜30、好ましくは10〜20の長鎖のアルキル基があげられる。なお、R37のアルキル基はR36の場合と同様、単独でもよく、2種以上混合したものであってもよい。
該(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の分子鎖は実質的に式(9)及び式(10)の単量体単位からなるが、ここでいう「実質的に」とは該共重合体中に存在する式(9)及び式(10)の単量体単位の合計が50質量%をこえることを意味する。式(9)及び式(10)の単量体単位の合計は好ましくは70質量%以上である。
また式(9)の単量体単位と式(10)の単量体単位の存在比は、質量比で95:5〜40:60が好ましく、90:10〜60:40がさらに好ましい。
該共重合体に含有されていてもよい式(9)及び式(10)以外の単量体単位(以下、他の単量体単位とも称する)としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含む単量体;その他アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位があげられる。
架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体をブレンドしてなる有機重合体の製造方法に用いられる架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体の他の好ましい具体例としては、例えば、特開2008−44975号に開示されているような、(a1)(メタ)アクリル酸メチル単量体単位と、(a2)アルキル基の炭素数が8である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位と、を含む架橋性珪素基を有するアクリル系重合体が挙げられる。
前記アクリル系共重合体の分子鎖は、前記(a1)単量体単位及び前記(a2)単量体単位を、合計50質量%以上含むものが好ましく、前記(a1)及び(a2)の単量体単位の合計が70質量%以上であることがより好ましい。前記(a1)と前記(a2)の存在比は質量比で(a1)/(a2)=90/10〜20/80であることが好ましく、70/30〜30/70がより好ましい。(a1)/(a2)の質量比が90/10〜20/80の範囲とすることにより、透明性を向上させることができる。
前記アクリル系共重合体は、前記(a1)及び(a2)以外の単量体単位が含まれていてもよい。(a1)及び(a2)以外の単量体単位としては、たとえば、前記(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の説明において前述した他の単量体単位を同様に用いることができる。
前記アクリル系共重合体は、前記(a1)及び(a2)以外の単量体単位が含まれていてもよい。(a1)及び(a2)以外の単量体単位としては、たとえば、前記(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の説明において前述した他の単量体単位を同様に用いることができる。
前記アクリル系共重合体の数平均分子量は、600〜5000が好ましく、1000〜4500がより好ましい。数平均分子量を該範囲とすることにより、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体との相溶性を向上させることができる。
前記アクリル系共重合体は、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して、5〜900質量部用いることが好ましい。これらアクリル系共重合体は、単独で使用しても良く、2種以上併用しても良い。
前記アクリル系共重合体は、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して、5〜900質量部用いることが好ましい。これらアクリル系共重合体は、単独で使用しても良く、2種以上併用しても良い。
架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体と架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体をブレンドしてなる有機重合体は、特開平1−168764号、特開2000−186176号公報等に提案されているが、特にこれらに限定されるものではない。
さらに、架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体をブレンドしてなる有機重合体の製造方法としては、他にも、架橋性珪素基を有する有機重合体の存在下で(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重合を行う方法が利用できる。この製造方法は、特開昭59−78223号、特開昭59−168014号、特開昭60−228516号、特開昭60−228517号等の各公報に具体的に開示されているが、これらに限定されるものではない。
2種以上の重合体をブレンドして使用するときは、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対し、架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体、及び/又は架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を10〜200質量部使用することが好ましく、20〜80質量部使用することがさらに好ましい。
前記(B)チタン触媒は、シラン化合物B1と有機チタン化合物B2とを反応させてなるチタン触媒であり、前記シラン化合物B1は、下記式(1)で示されるエポキシシラン化合物と下記式(2)で示されるアミノシラン化合物とを、該アミノシラン化合物1モルに対して該エポキシシラン化合物を1.5〜10モルの範囲で且つ40〜100℃の反応温度で反応させてなるシラン化合物である。
前記式(1)において、R1〜R3はそれぞれ水素原子又はアルキル基であり、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、水素原子がより好ましい。R4はアルキレン基またはアルキレンオキシアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、メチレンオキシエチレン基、メチレンオキシプロピレン基、メチレンオキシブチレン基、エチレンオキシエチレン基、エチレンオキシプロピレン基が好ましく、ブチレン基、オクチレン基、メチレンオキシプロピレン基がより好ましい。R5は一価炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基が好ましく、メチル基がより好ましい。R5が複数存在する場合、それらは同じであっても異なっていてもよい。R6はアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。R6が複数存在する場合、それらは同じであっても異なっていてもよい。aは0、1又は2であり、0が好ましい。
前記式(2)において、R7〜R12はそれぞれ水素原子又はアルキル基であり、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、水素原子がより好ましい。R13は一価炭化水素基であり、アルキル基またはアルコキシ基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基がさらに好ましい。R14はアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。bは0又は1である。(3−b)個のR14は同じであっても異なっていてもよい。
前記エポキシシラン化合物としては、例えば、4−オキシラニルブチルトリメトキシシラン、8−オキシラニルオクチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
前記アミノシラン化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
前記エポキシシラン化合物と前記アミノシラン化合物との反応条件は、前記アミノシラン化合物の1級アミノ基が前記エポキシシラン化合物と反応し、該1級アミノ基が2級アミノ基もしくは3級アミノ基となり、該1級アミノ基が残存しないように反応させる。
エポキシシラン化合物とアミノシラン化合物の反応比(モル比)は、アミノシラン化合物1モルに対してエポキシシラン化合物を1.5〜10モル、好ましくは1.6〜5.0モル、より好ましくは1.7〜2.4モル、となるように反応させる。
エポキシシラン化合物とアミノシラン化合物の反応比(モル比)は、アミノシラン化合物1モルに対してエポキシシラン化合物を1.5〜10モル、好ましくは1.6〜5.0モル、より好ましくは1.7〜2.4モル、となるように反応させる。
前記エポキシシラン化合物と前記アミノシラン化合物を、溶媒(例えば、アルコール等)の存在下あるいは非存在下で、40〜100℃、好ましくは40〜80℃の反応温度で加熱反応させることにより、エポキシシラン化合物のエポキシ環が開裂し、この反応により生成した水酸基と該アミノシラン化合物中のアルコキシ基とのアルコール交換反応により環化し、下記式(11)で示されるカルバシラトラン誘導体を得ることができる。下記式(11)で示されるカルバシラトラン誘導体は29Si−NMRにて−60ppmから−70ppmにピークを有する化合物である。
前記式(11)において、R1〜R6及びaはそれぞれ前記式(1)と同じであり、R7〜R12は前記式(2)と同じであり、前記式(2)のbが0の場合、R15は前記式(2)のOR14と同じであり、前記式(2)のbが1の場合、R15は前記式(2)のR13と同じである。なお、珪素原子に結合しているアルコキシ基はアルコール交換反応により、一部置換される場合があり、原料の珪素原子結合アルコキシ基と、反応により生成するカルバシラトラン誘導体中の珪素原子結合アルコキシ基が同じでない場合もある。
反応時間は、反応温度等を考慮して適宜設定することができるが、例えば上記のような条件では反応時間は、通常は1〜336時間、好ましくは24〜72時間の範囲内に設定することが好適である。
前記有機チタン化合物B2は、下記式(3)で示されるチタニウムキレート及び下記式(4)で表されるチタニウムキレートからなる群から選択される1種以上である。
前記式(3)において、n個のR21は、それぞれ独立に置換あるいは非置換の炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、4−n個のR22は、それぞれ独立に水素原子または置換あるいは非置換の炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、4−n個のR23および4−n個のR24は、それぞれ独立に置換あるいは非置換の炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、nは0、1、2又は3である。
前記式(4)において、R25は、置換あるいは非置換の2価の炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、2個のR26は、それぞれ独立に水素原子または置換あるいは非置換の炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、2個のR27および2個のR28は、それぞれ独立に置換あるいは非置換の炭素原子数1〜20の炭化水素基である。
前記式(3)又は前記式(4)で示されるチタニウムキレートとしては、例えば、チタニウムジメトキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジエトキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(メチルアセトアセテート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(t−ブチルアセトアセテート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(メチル−3−オキソ−4,4−ジメチルヘキサノエート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(エチル−3−オキソ−4,4,4−トリフルオロブタノエート)、チタニウムジ−n−ブトキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジイソブトキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジ−t−ブトキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジ−2−エチルヘキソキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムビス(1−メトキシ−2−プロポキシド)ビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムビス(3−オキソ−2−ブトキシド)ビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムビス(3−ジエチルアミノプロポキシド)ビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムトリイソプロポキシド(エチルアセトアセテート)、チタニウムトリイソプロポキシド(アリルアセトアセテート)、チタニウムトリイソプロポキシド(メタクリロキシエチルアセトアセテート)、1,2−ジオキシエタンチタニウムビス(エチルアセトアセテート)、1,3−ジオキシプロパンチタニウムビス(エチルアセトアセテート)、2,4−ジオキシペンタンチタニウムビス(エチルアセトアセテート)、2,4−ジメチル−2,4−ジオキシペンタンチタニウムビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムテトラキス(エチルアセトアセテート)、チタニウムビス(トリメチルシロキシ)ビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムビス(トリメチルシロキシ)ビス(アセチルアセトナート)、などが挙げられる。これらの中でもチタニウムジエトキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジブトキシドビス(エチルアセトアセテート)等が挙げられ、チタニウムジイソプロポキシドビス(エチルアセトアセテート)がより好適である。
前記チタニウムキレートのキレート配位子を形成し得るキレート試薬としては、例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸t−ブチル、アセト酢酸アリル、アセト酢酸(2−メタクリロキシエチル)、3−オキソ−4,4−ジメチルヘキサン酸メチル、3−オキソ−4,4,4−トリフルオロブタン酸エチルなどのβ−ケトエステルが挙げられ、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルが好ましく、アセト酢酸エチルがより好ましい。また、キレート配位子が2個以上存在する場合、それぞれのキレート配位子は同一であっても異なっていてもよい。
シラン化合物B1と有機チタン化合物B2との反応条件は特に制限はないが、シラン化合物B1と有機チタン化合物B2とを30℃〜100℃で反応させることが好ましく、30℃〜90℃がより好ましく、40℃〜80℃がさらに好ましい。反応温度を上記範囲内に設定することにより、反応を暴走させることなく安定に進行させることができる。反応時間は、反応温度等を考慮して適宜設定することができるが、例えば上記のような条件では反応時間は、通常は1〜336時間、好ましくは72〜168時間の範囲内に設定することが好適である。
前記シラン化合物B1と有機チタン化合物B2との混合割合は特に制限はないが、前記有機チタン化合物B2:1モルに対して前記シラン化合物B1を0.1〜30モルの範囲が好ましく、0.5〜5.0モルの範囲がより好ましく、0.5〜3.0モルの範囲がさらに好ましい。前記シラン化合物B1及び有機チタン化合物B2は、それぞれ1種で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記有機チタン化合物B2を添加する方法としては、前述したチタニウムキレートを直接添加する以外に、チタニウムテトライソプロポキシドやチタニウムジクロライドジイソプロポキシドなどのキレート試薬と反応し得るチタン化合物と、アセト酢酸エチルなどのキレート試薬をそれぞれ添加し、キレート化させる方法を用いても良い。
前記シラン化合物B1と有機チタン化合物B2との反応時に他の配合物質をさらに添加してもよく、例えば、反応時にビニルトリメトキシシランやビニルトリエトキシシラン等のビニルシランを添加することが好ましい。
前記(B)チタン触媒の配合割合は、前記(A)有機重合体100質量部に対して、前記(B)チタン触媒を0.1〜40質量部配合することが好ましく、1〜30質量部配合することがより好ましく、1〜20質量部配合することがさらに好ましい。前記(B)チタン触媒は1種で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性組成物は、硬化触媒として前記(B)チタン触媒を使用するが、本発明の効果を低下させない程度に他の硬化触媒を併用することもできる。他の硬化触媒としては、例えば、有機金属化合物やアミン類等が挙げられ、特にシラノール縮合触媒を用いることが好ましく、前述した有機チタン化合物B2がより好ましい。
前記(B)チタン触媒に加えて有機チタン化合物B2を併用する場合、有機チタン化合物B2の配合割合は特に制限はないが、前記(A)有機重合体100質量部に対して、前記有機チタン化合物B2を0.1〜40質量部配合することが好ましく、1〜30質量部配合することがより好ましく、1〜20質量部配合することがさらに好ましい。前記有機チタン化合物B2は1種で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
その他のシラノール縮合触媒としては、例えば、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、オクチル酸錫及びナフテン酸錫等の有機錫化合物;ジメチルスズオキサイド、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド等のジアルキルスズオキサイド;ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;オクチル酸鉛及びナフテン酸鉛等の有機酸鉛;オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス及びロジン酸ビスマス等の有機酸ビスマス;シラノール縮合触媒として公知のその他の酸性触媒及び塩基性触媒等が挙げられる。しかしながら、有機錫化合物は添加量に応じて、得られる硬化性組成物の毒性が強くなる場合がある。
前記(C)ウレイド基を有するシランカップリング剤としては、分子内にウレイド基と架橋可能な加水分解性シリル基とを有する化合物を用いることができ、例えば、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、β−ウレイドエチルトリメトキシシラン、α−ウレイドメチルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルメチルジメトキシシラン、β−ウレイドエチルメチルジメトキシシラン、α−ウレイドメチルメチルジメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−ウレイドエチルトリエトキシシラン、α−ウレイドメチルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルメチルジエトキシシラン、β−ウレイドメチルジエトキシシラン、α−ウレイドメチルメチルジエトキシシラン、1−メチル−1−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ウレア、1−メチル−3−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ウレア、1−メチル−1−(3−(メチルジメトキシシリル)プロピル)ウレア、1−メチル−3−(3−(メチルジメトキシシリル)プロピル)ウレア、1−エチル−1−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ウレア、1−エチル−3−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ウレア、1−エチル−1−(3−(メチルジメトキシシリル)プロピル)ウレア、1−エチル−3−(3−(メチルジメトキシシリル)プロピル)ウレア、1,3−ジメチル−1−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ウレア、1,3−ジメチル−3−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ウレア、1,3−ジメチル−1−(3−(メチルジメトキシシリル)プロピル)ウレア、1,3−ジメチル−3−(3−(メチルジメトキシシリル)プロピル)ウレア、1,3−ジエチル−1−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ウレア、1,3−ジエチル−3−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ウレア、1,3−ジエチル−1−(3−(メチルジメトキシシリル)プロピル)ウレア、1,3−ジエチル−3−(3−(メチルジメトキシシリル)プロピル)ウレア等が挙げられる。
前記(C)ウレイド基を有するシランカップリング剤の配合割合は特に制限はないが、前記(A)有機重合体100質量部に対して、前記(C)ウレイド基を有するシランカップリング剤を0.1〜20質量部配合することが好ましく、0.3〜20質量部配合することがより好ましく、0.5〜10質量部配合することがさらに好ましい。前記(C)ウレイド基を有するシランカップリング剤は1種で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性組成物は、(D)1分子中に加水分解性珪素基を1個有し且つ第1級アミノ基を有なさいシラン化合物をさらに含有することが好適である。(D)シラン化合物を配合することにより、貯蔵安定性及び引張り物性をより改善することができる。
前記(D)シラン化合物としては、1分子中に加水分解性珪素基を1個有し且つ第1級アミノ基を有なさい公知のシラン化合物を広く使用することができる。該シラン化合物(D)の加水分解珪素基において、珪素原子に結合する加水分解性基としては第1級アミノ基を除く公知の加水分解性基を用いることができるが、アルコキシル基が好ましい。前記(D)成分は、貯蔵安定性及び引張り物性を考慮すると加水分解性ケイ素基がトリアルコキシシリル基、又はジアルコキシシリル基であることが好ましく、トリアルコキシシリル基であることがより好ましい。
前記(D)シラン化合物としては、下記式(12)で示される化合物がより好適に用いられる。
前記式(12)において、R41はメチル基又はエチル基であり、R41が複数存在する場合、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。R42はメチル基又はエチル基であり、R42が複数存在する場合、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。R43は炭素数1〜10の炭化水素基である。mは2又は3であり、3がより好ましい。nは0又は1である。
前記(D)シラン化合物としては、具体的には、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、2−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン等のフェニル基を含有するアルコキシシラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基を含有するアルコキシシラン;3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、(イソシアネートメチル)トリメトキシシラン、(イソシアネートメチル)ジメトキシメチルシラン、(イソシアネートメチル)トリエトキシシラン、(イソシアネートメチル)ジエトキシメチルシラン等のイソシアネート基を含有するアルコキシシラン;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン等のメルカプト基を含有するアルコキシシラン;2−カルボキシエチルトリエトキシシラン、N−2−(カルボキシメチル)アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン等のビニル型不飽和基を含有するアルコキシシラン;3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲンを含有するアルコキシシラン;トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン;N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルジエトキシメチルシラン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−エチル−3−アミノイソブチルトリメトキシシラン等の2級アミノ基及び/又は3級アミノ基を含有するアルコキシシラン;N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン等のケチミン型シラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、メトキシトリエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン(テトラアルキルシリケート);メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどのトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシランなどのジアルコキシシラン;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシランなどのモノアルコキシシラン;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシランなどのアルキルイソプロペノキシシラン;等を挙げることができる。
前記式(12)で示される化合物としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のフェニル基を含有するアルコキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基を含有するアルコキシシラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基を含有するアルコキシシラン等が挙げられ、フェニル基を含有するアルコキシシランがより好ましい。
前記(D)シラン化合物の配合割合は特に制限はないが、前記(A)有機重合体100質量部に対して、前記(D)シラン化合物を0.1〜20質量部配合することが好ましく、0.3〜20質量部配合することがより好ましく、0.5〜10質量部配合することがさらに好ましい。前記(D)シラン化合物は1種で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性組成物は、(E)充填剤をさらに含有することが好適である。(E)充填剤を配合することにより、硬化物を補強することができる。
前記(E)充填剤としては、公知の充填剤を広く用いることができ、特に制限はないが、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪藻土含水ケイ酸、含水けい酸、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、微粉末シリカ、二酸化チタン、クレー、タルク、カーボンブラック、スレート粉、マイカ、カオリン、ゼオライト、高分子粉体等が挙げられ、炭酸カルシウム、微粉末シリカ及び高分子粉体が好ましく、表面処理炭酸カルシウム、粒径0.01〜300μmの非晶質シリカ及び粒径0.01〜300μmの高分子粉体からなる群から選択される1種以上がより好ましい。また、ガラスビーズ、シリカビーズ、アルミナビーズ、カーボンビーズ、スチレンビーズ、フェノールビーズ、アクリルビーズ、多孔質シリカ、シラスバルーン、ガラスバルーン、シリカバルーン、サランバルーン、アクリルバルーン等を用いることもでき、これらの中で、組成物の硬化後の伸びの低下が少ない点からアクリルバルーンがより好ましい。
前記(E)充填剤としては、公知の充填剤を広く用いることができ、特に制限はないが、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪藻土含水ケイ酸、含水けい酸、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、微粉末シリカ、二酸化チタン、クレー、タルク、カーボンブラック、スレート粉、マイカ、カオリン、ゼオライト、高分子粉体等が挙げられ、炭酸カルシウム、微粉末シリカ及び高分子粉体が好ましく、表面処理炭酸カルシウム、粒径0.01〜300μmの非晶質シリカ及び粒径0.01〜300μmの高分子粉体からなる群から選択される1種以上がより好ましい。また、ガラスビーズ、シリカビーズ、アルミナビーズ、カーボンビーズ、スチレンビーズ、フェノールビーズ、アクリルビーズ、多孔質シリカ、シラスバルーン、ガラスバルーン、シリカバルーン、サランバルーン、アクリルバルーン等を用いることもでき、これらの中で、組成物の硬化後の伸びの低下が少ない点からアクリルバルーンがより好ましい。
前記炭酸カルシウムとしては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、コロイダル炭酸カルシウム、粉砕炭酸カルシウム等、いずれも使用可能であるが、コロイダル炭酸カルシウムがより好適である。これら炭酸カルシウムは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
前記炭酸カルシウムの一次粒径が0.5μm以下であることが好ましく、0.01〜0.1μmであることがより好ましい。このような粒径の小さい微粉炭酸カルシウムを使用することにより、硬化性組成物にチキソ性を付与することができる。
前記炭酸カルシウムの一次粒径が0.5μm以下であることが好ましく、0.01〜0.1μmであることがより好ましい。このような粒径の小さい微粉炭酸カルシウムを使用することにより、硬化性組成物にチキソ性を付与することができる。
また、炭酸カルシウムの中でも、チキソ性の付与、硬化物(硬化皮膜)に対する補強効果の観点から、表面処理炭酸カルシウムが好ましく、表面処理した微粉炭酸カルシウムがより好ましい。さらに、表面処理した微粉炭酸カルシウムに、他の炭酸カルシウム、例えば、表面処理されていない、粒径の大きな炭酸カルシウムである重質炭酸カルシウムや、表面処理した粒径の大きい炭酸カルシウム等を併用してもよい。表面処理した微粉炭酸カルシウムと他の炭酸カルシウムを併用するときは、表面処理した微粉炭酸カルシウムと、その他の炭酸カルシウムの比率(質量比)は、1:9〜9:1が好ましく、3:7〜7:3がより好ましい。
前記表面処理炭酸カルシウムにおいて、用いられる表面処理剤に特に制限はなく、公知の表面処理剤を広く使用可能である。該表面処理剤としては、例えば、高級脂肪酸系化合物、樹脂酸系化合物、芳香族カルボン酸エステル、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、パラフィン、チタネートカップリング剤及びシランカップリング剤等が挙げられ、高級脂肪酸系化合物及びパラフィンがより好ましい。これら表面処理剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
前記高級脂肪酸系化合物としては、例えば、ステアリン酸ナトリウムのような炭素数が10以上の高級脂肪酸系のアルカリ金属塩等が挙げられる。
前記樹脂酸系化合物としては、例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、d−ピマル酸、i−d−ピマル酸、ボドカルプ酸、安息香酸、ケイ皮酸等が挙げられる。
前記芳香族カルボン酸エステルとしては、例えば、フタル酸のオクチルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどとのエステル、ナフト酸の低級アルコールエステル、ロジン酸の低級アルコールエステル及び芳香族ジカルボン酸またはロジン酸のマレイン酸付加物のような芳香族ポリカルボン酸の部分エステル化物または異種アルコールエステル化物等が挙げられる。
前記陰イオン系界面活性剤としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムのような硫酸エステル型、またはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸型の陰イオン系界面活性剤が挙げられる。
前記樹脂酸系化合物としては、例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、d−ピマル酸、i−d−ピマル酸、ボドカルプ酸、安息香酸、ケイ皮酸等が挙げられる。
前記芳香族カルボン酸エステルとしては、例えば、フタル酸のオクチルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどとのエステル、ナフト酸の低級アルコールエステル、ロジン酸の低級アルコールエステル及び芳香族ジカルボン酸またはロジン酸のマレイン酸付加物のような芳香族ポリカルボン酸の部分エステル化物または異種アルコールエステル化物等が挙げられる。
前記陰イオン系界面活性剤としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムのような硫酸エステル型、またはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸型の陰イオン系界面活性剤が挙げられる。
前記表面処理炭酸カルシウムとしては、公知の表面処理された炭酸カルシウムを広く使用することができ、特に制限はないが、例えば、Vigot 15(白石カルシウム(株)製、脂肪酸で表面処理された軽質炭酸カルシウム、一次粒子径0.15μm)等の表面処理軽質炭酸カルシウム;Vigot 10(白石カルシウム(株)製、脂肪酸で表面処理されたコロイダル炭酸カルシウム、一次粒子径0.10μm)、白艶華DD(白石カルシウム(株)製、樹脂酸で表面処理されたコロイダル炭酸カルシウム、一次粒子径0.05μm)、カーレックス300(丸尾カルシウム(株)製、脂肪酸で表面処理されたコロイダル炭酸カルシウム、一次粒子径0.05μm)、ネオライトSS(竹原化学工業(株)製、脂肪酸で表面処理されたコロイダル炭酸カルシウム、平均粒子径0.04μm)、ネオライトGP−20(竹原化学工業(株)製、樹脂酸で表面処理されたコロイダル炭酸カルシウム、平均粒子径0.03μm)、カルシーズP(神島化学工業(株)製、脂肪酸で表面処理されたコロイダル炭酸カルシウム、平均粒子径0.15μm)等の表面処理コロイダル炭酸カルシウム;MCコートP1(丸尾カルシウム(株)製、パラフィンで表面処理された重質炭酸カルシウム、一次粒子径3.3μm)、AFF−95((株)ファイマテック製、カチオンポリマーで表面された重質炭酸カルシウム、一次粒子径0.9μm)、AFF−Z((株)ファイマテック製、カチオンポリマー及び帯電防止剤で表面された重質炭酸カルシウム、一次粒子径1.0μm)等の表面処理重質炭酸カルシウムが挙げられる。
前記表面処理炭酸カルシウムは、前記(A)有機重合体100質量部に対して、0〜500質量部配合することが好ましく、10〜300質量部配合することがより好ましく、15〜100質量部配合することがさらに好ましい。前記表面処理炭酸カルシウムは1種で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、表面処理炭酸カルシウムと表面処理を行っていない炭酸カルシウムを併用してもよい。
前記非晶質シリカとしては、公知の非晶質シリカを広く使用可能であり、特に制限はないが、その粒径が0.01〜300μmであることが好ましく、0.1〜100μmがより好ましく、1〜30μmがさらに好ましい。
前記(A)有機重合体の屈折率と前記非晶質シリカの屈折率の差が0.1以下である非晶質シリカを用いることにより、透明性をより向上させることができる。前記(A)有機重合体の屈折率と前記非晶質シリカの屈折率の差は、0.1以下が好ましく、0.05以下がより好ましく、0.03以下がさらに好ましい。
前記(A)有機重合体の屈折率と前記非晶質シリカの屈折率の差が0.1以下である非晶質シリカを用いることにより、透明性をより向上させることができる。前記(A)有機重合体の屈折率と前記非晶質シリカの屈折率の差は、0.1以下が好ましく、0.05以下がより好ましく、0.03以下がさらに好ましい。
前記非晶質シリカは、前記(A)有機重合体100質量部に対して、0〜500質量部配合することが好ましく、1〜200質量部配合することがより好ましく、5〜50質量部配合することがさらに好ましい。前記非晶質シリカは1種で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、粒径が0.01〜300μmである非晶質シリカとともに、粒径範囲が上記と異なる非晶質シリカや結晶質シリカを併用してもよい。
前記高分子粉体としては、公知の高分子粉体を広く使用可能であり、特に制限はないが、その粒径が0.01〜300μmであることが好ましく、0.1〜100μmがより好ましく、1〜30μmがさらに好ましい。
前記高分子紛体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、エチレン及び塩化ビニルからなる群から選択されたモノマーを単独で重合するか、もしくは、該モノマーと1種以上のビニル系モノマーとを共重合することによって得られる重合体を原料とした高分子粉体が好適に用いられ、アクリル系高分子粉体やビニル系高分子粉体がより好ましく、アクリル系高分子粉体がさらに好ましい。
本発明の硬化性組成物の透明性をより向上させるために、前記(A)有機重合体を主成分とする液相成分の屈折率と前記高分子粉体の屈折率の差を0.1以下とすることが好ましく、0.05以下がより好ましく、0.03以下がさらに好ましい。
前記(A)有機重合体を主成分とする液相成分の屈折率と前記高分子粉体の屈折率の差を0.1以下とする方法としては、特に制限はないが、(1)高分子粉体の屈折率に、(A)有機重合体を主成分とする液相成分の屈折率を合わせる方法、及び(2)(A)有機重合体の屈折率に高分子粉体の屈折率を合わせる方法等が挙げられる。
前記(A)有機重合体を主成分とする液相成分の屈折率と前記高分子粉体の屈折率の差を0.1以下とする方法としては、特に制限はないが、(1)高分子粉体の屈折率に、(A)有機重合体を主成分とする液相成分の屈折率を合わせる方法、及び(2)(A)有機重合体の屈折率に高分子粉体の屈折率を合わせる方法等が挙げられる。
前記(1)の方法としては、例えば、(A)有機重合体を主成分とする液相成分に、相溶する屈折率調整剤を必要量配合し、液相成分の屈折率を調整する方法が挙げられる。具体的には、(A)有機重合体の屈折率が1.46〜1.48程度であり、高分子粉体の屈折率の方が高い態様においては、(A)有機重合体よりも高い屈折率を有する屈折率調整剤{例えば、エポキシ樹脂〔例:エピコート828(ビスフェノールA、油化シェルエポキシ(株)製、屈折率1.57)〕、石油樹脂〔例:FTR6100(C5とC9の共重合物、三井石油化学(株)製、屈折率1.56)〕、テルペンフェノール樹脂〔例:ポリスターT145(ヤスハラケミカル(株)製、屈折率1.59)〕}を、(A)有機重合体に加熱溶融する方法が挙げられる。
前記(2)の方法としては、例えば、高分子粉体のモノマー配合を適宜変更する方法が挙げられる。具体的には、(A)有機重合体の屈折率が1.46〜1.48程度であり、高分子粉体としてアクリル系高分子粉体を用いる態様において、高分子粉体の屈折率を高くする方法としては、例えば、塩化ビニル〔屈折率1.53(重合体)〕、アルリロニトリル〔屈折率1.52(重合体)〕等の単量体を(メタ)アクリル酸エステル単量体に共重合する方法が挙げられる。また、該態様において、(E4)高分子粉体の屈折率を低くする方法としては、例えば、ラウリルメタクリレート〔屈折率1.44(単量体)〕、アリルメタクリレート〔屈折率1.44(単量体)〕、2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート〔屈折率1.43(単量体)〕等の単量体をメタ)アクリル酸エステル単量体に共重合する方法が挙げられる。
前記高分子紛体は、前記(A)有機重合体100質量部に対して、0〜500質量部配合することが好ましく、0.5〜100質量部配合することがより好ましく、1〜50質量部配合することがさらに好ましい。前記高分子紛体は1種で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性組成物において、前記(E)充填剤の配合割合は特に制限はないが、前記(A)有機重合体100質量部に対して、前記(E)充填剤を0〜500質量部配合することが好ましく、2〜250質量部配合することがより好ましく、5〜125質量部配合することがさらに好ましい。前記(E)充填剤は1種で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性組成物は、(F)希釈剤をさらに含有することが好適である。(F)希釈剤を配合することにより、粘度等の物性を調整することができる。
(F)希釈剤としては、公知の希釈剤を広く用いることができ、特に制限はないが、例えば、ノルマルパラフィン、イソパラフィン等の飽和炭化水素系溶剤,リニアレンダイマー(出光興産株式会社商品名)等の下記式(I)で表されるα−オレフィン誘導体,トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤,エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ダイアセトンアルコール等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤,クエン酸アセチルトリエチル等のクエン酸エステル系溶剤,メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤等の各種溶剤が挙げられる。
R51−Z−R52 ・・・(I)
(前記式(I)において、R51、R52はそれぞれ独立に炭素数2〜20の直鎖状アルキル基を表し、Zは下記式(Ia)〜(Ic)のいずれかで表される2価基を表わす。)
(F)希釈剤としては、公知の希釈剤を広く用いることができ、特に制限はないが、例えば、ノルマルパラフィン、イソパラフィン等の飽和炭化水素系溶剤,リニアレンダイマー(出光興産株式会社商品名)等の下記式(I)で表されるα−オレフィン誘導体,トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤,エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ダイアセトンアルコール等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤,クエン酸アセチルトリエチル等のクエン酸エステル系溶剤,メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤等の各種溶剤が挙げられる。
R51−Z−R52 ・・・(I)
(前記式(I)において、R51、R52はそれぞれ独立に炭素数2〜20の直鎖状アルキル基を表し、Zは下記式(Ia)〜(Ic)のいずれかで表される2価基を表わす。)
(式(Ib)中、R53は水素原子もしくは炭素数1〜40の直鎖状または分岐状のアルキル基を表す。)
前記(F)希釈剤の引火点には特に制限はないが、得られる硬化性組成物の安全性を考慮すると硬化性組成物の引火点は高い方が望ましく、硬化性組成物からの揮発物質は少ない方が好ましい。
そのため、前記(F)希釈剤の引火点は60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。2以上の(F)希釈剤を混合して使用するときは、混合した希釈剤の引火点が70℃以上であることが好ましい。しかし、一般的に引火点が高い希釈剤は硬化性組成物に対する希釈効果が低くなる傾向が見られるため、引火点は250℃以下であることが好適である。
そのため、前記(F)希釈剤の引火点は60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。2以上の(F)希釈剤を混合して使用するときは、混合した希釈剤の引火点が70℃以上であることが好ましい。しかし、一般的に引火点が高い希釈剤は硬化性組成物に対する希釈効果が低くなる傾向が見られるため、引火点は250℃以下であることが好適である。
本発明の硬化性組成物の安全性、希釈効果の双方を考慮すると、(F)希釈剤としては飽和炭化水素系溶剤が好適であり、ノルマルパラフィン、イソパラフィンがより好適である。ノルマルパラフィン、イソパラフィンの炭素数は10〜16であることが好ましい。具体的にはN−11(ノルマルパラフィン、JX日鉱日石エネルギー(株)製、炭素数11、引火点68℃)、N−12(ノルマルパラフィン、JX日鉱日石エネルギー(株)製、炭素数12、引火点85℃)、IPソルベント2028(イソパラフィン、出光興産(株)製、炭素数10から16、引火点86℃)等が挙げられる。
前記(F)希釈剤の配合割合は特に制限はないが、前記(A)有機重合体100質量部に対して、前記(F)希釈剤を0〜50質量部配合することが好ましく、0.1〜30質量部配合することがより好ましく、0.1〜15質量部配合することがさらに好ましい。前記(F)希釈剤は1種で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性組成物は、金属水酸化物をさらに含有することが好適である。前記金属水酸化物を配合することにより、難燃性を付与し、作業性を向上させることができると共に、硬化物を補強することができる。さらに、金属水酸化物はハロゲン系難燃剤等の他の難燃剤に比べて、安全性が高いという効果も奏する。特に、金属水酸化物と表面処理炭酸カルシウムを併用することにより、作業性(チキソ性)をより向上させることができ、且つ難燃性を付与することができる。前記金属水酸化物は表面処理剤で表面処理された金属水酸化物を使用してもよい。
前記金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられ、水酸化アルミニウムがより好適である。
前記金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられ、水酸化アルミニウムがより好適である。
前記金属水酸化物の配合割合は特に制限はないが、前記(A)有機重合体100質量部に対して、前記金属水酸化物を0〜500質量部配合することが好ましく、2〜250質量部配合することがより好ましく、5〜125質量部配合することがさらに好ましい。前記金属水酸化物は単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。また、他の公知の難燃剤を併用してもよい。
本発明の硬化性組成物は、前記した成分に加えて、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、接着性付与剤、物性調整剤、可塑剤、揺変剤、脱水剤(保存安定性改良剤)、難燃剤、粘着付与剤、垂れ防止剤、着色剤、ラジカル重合開始剤などの物質を配合してもよく、また相溶する他の重合体をブレンドしてもよい。
前記酸化防止剤は、硬化性組成物の酸化を防止して、耐候性、耐熱性を改善するために使用されるものであり、例えば、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の酸化防止剤等が挙げられる。ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、N,N′,N″,N″′−テトラキス−(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N′−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合体、[デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物(70%)]−ポリプロピレン(30%)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、1−[2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリストール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、3,3′,3″,5,5′,5″−ヘキサン−tert−ブチル−4−a,a′,a″−(メシチレン−2,4,6−トリル)トリ−p−クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記酸化防止剤は単独で使用しても良く、または、2種類以上を併用しても良い。
前記紫外線吸収剤は、硬化性組成物の光劣化を防止して、耐候性を改善するために使用されるものであり、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、又は、2種類以上を併用しても良い。
老化防止剤は、硬化性組成物の熱劣化を防止して、耐熱性を改善するために使用されるものであり、例えば、アミン−ケトン系等の老化防止剤、芳香族第二級アミン系老化防止剤、ベンズイミダゾール系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤、亜リン酸系老化防止剤等が挙げられる。
前記アミン−ケトン系等の老化防止剤としては、例えば、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、ジフェニルアミンとアセトンの反応物等のアミン−ケトン系などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記芳香族第二級アミン系老化防止剤としては、例えば、N−フェニル−1−ナフチルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン等の芳香族第二級アミン系などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記ベンズイミダゾール系老化防止剤としては、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩等のベンズイミダゾール系などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記チオウレア系老化防止剤としては、例えば、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素、トリブチルチオ尿素等のチオウレア系などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記亜リン酸系老化防止剤としては、例えば、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト等の亜リン酸系などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
老化防止剤の使用量は特に制限はないが、前記(A)有機重合体100質量部に対して老化防止剤を好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.2〜10質量部、さらに好ましくは0.2〜5質量部の範囲で使用するのが好適である。
接着付与剤としては、(C)ウレイド基を有するシランカップリング剤以外の各種シランカップリング剤、例えば、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルメトキシシランなどのアミノシラン類、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリルシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシラン類、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネートシラン類などが挙げられる。上記接着付与剤は単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
本発明の硬化性組成物においては、シランカップリング剤としてアミノシラン類を添加しても良いが、硬化性 や貯蔵安定性を害する恐れがあるため、添加しないことが好ましく、添加する場合には少量であることが好ましい。アミノシランカップリング剤の使用量としては、(A)成分100質量部に対し、5質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましく、0.5質量部以下であることがさらに好ましい。
前記物性調整剤は引っ張り物性等の硬化性組成物の物性を改善する目的で添加される。前記物性調整剤の例としては、例えば、1分子中にシラノール基を1個有し且つ第1級アミノ基を有なさいシリコン化合物が好適に用いられる。該シリコン化合物としては、例えば、トリフェニルシラノール、トリアルキルシラノール、ジアルキルフェニルシラノール、ジフェニルアルキルシラノール等が挙げられる。
前記可塑剤は硬化後の伸び物性を高めたり、低モジュラス化を可能とする目的で添加される。前記可塑剤としては、その種類は特に限定されないが、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジイソウンデシルフタレートなどの如きフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジオクチル、アジピン酸ジブチルなどの如き脂肪族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステルなどの如きグリコールエステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチルなどの如き脂肪族エステル類;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジルなどの如きリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ベンジルなどの如きエポキシ可塑剤類;二塩基酸と2価アルコールとのポリエステル類などのポリエステル系可塑剤;ポリプロピレングリコールやポリエチレングリコールの誘導体などのポリエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の繰返しが2のもの、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等の繰返しが3のもの、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールエチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等の繰り返しが4のもの、繰り返しがそれ以上のポリオキシエチレンジメチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレンなどのポリスチレン類;ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、プロセスオイルなどの炭化水素系オリゴマー類;塩素化パラフィン類;UP−1080(東亞合成(株)製)やUP−1061(東亞合成(株)製)などの如きアクリル系可塑剤類;UP−2000(東亞合成(株)製)、UHE−2012(東亞合成(株)製)などの如き水酸基含有アクリル系可塑剤類;UC−3510(東亞合成(株)製)などの如きカルボキシル基含有アクリルポリマー類;UG−4000(東亞合成(株)製)などの如きエポキシ基含有アクリルポリマー類;US−6110(東亞合成(株)製)、US−6120(東亞合成(株)製)などの如き0.8個未満、好ましくは0.4個未満のシリル基含有アクリルポリマー類;0.8個未満、好ましくは0.4個未満のシリル基を含有するオキシアルキレン樹脂などが例示される。
前記揺変剤としては、例えば、コロイダルシリカ、石綿粉等の無機揺変剤、有機ベントナイト、変性ポリエステルポリオール、脂肪酸アマイド等の有機揺変剤、水添ヒマシ油誘導体、脂肪酸アマイドワックス、ステアリル酸アルミニウム、ステアリル酸バリウム等が挙げられる。
前記脱水剤は保存中における水分を除去する目的で添加される。前記脱水剤として、例えば、ゼオライト、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等が挙げられる。
前記難燃剤としては、例えば、赤リン、ポリリン酸アンモニウム等のリン系難燃剤;三酸化アンチモン等の金属酸化物系難燃剤;臭素系難燃剤;塩素系難燃剤等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、必要に応じて1液型とすることもできるし、2液型とすることもできるが、特に1液型として好適に用いることができる。本発明の硬化性組成物は大気中の湿気により常温で硬化することが可能であり、常温湿気硬化型硬化性組成物として好適に用いられるが、必要に応じて、適宜、加熱により硬化を促進させてもよい。
本発明の硬化性組成物の製造方法は特に制限はなく、例えば、前記成分(A)〜(C)を所定量配合し、また必要に応じて他の配合物質を配合し、脱気攪拌することにより製造することができる。
本発明の硬化性組成物は、接着剤、シーリング材、粘着材、コーティング材、ポッティング材、塗料、パテ材及びプライマー等として用いることができる。本発明の硬化性組成物は、接着性、貯蔵安定性、硬化性に優れているため、特に、接着剤に用いることが好ましいが、その他各種建築物用、自動車用、土木用、電気・電子分野用等に使用することができる。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
合成例、実施例および比較例における分析、測定は以下の方法に従って行った。
1)数平均分子量の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により下記条件で測定した。本発明において、該測定条件でGPCにより測定し、標準ポリエチレングリコールで換算した最大頻度の分子量を数平均分子量と称する。
THF溶媒測定装置
・分析装置:Alliance(Waters社製)、2410型示差屈折検出器(Waters社製)、996型多波長検出器(Waters社製)、Milleniamデータ処理装置(Waters社製)
・カラム:Plgel GUARD+5μmMixed−C×3本(50×7.5mm,300×7.5mm:PolymerLab社製)
・流速:1mL/分
・換算したポリマー:ポリエチレングリコール
・測定温度:40℃
FT−NMR測定装置:日本電子(株)製JNM−ECA500(500MHz)
FT−IR測定装置:日本分光(株)製FT−IR460Plus
1)数平均分子量の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により下記条件で測定した。本発明において、該測定条件でGPCにより測定し、標準ポリエチレングリコールで換算した最大頻度の分子量を数平均分子量と称する。
THF溶媒測定装置
・分析装置:Alliance(Waters社製)、2410型示差屈折検出器(Waters社製)、996型多波長検出器(Waters社製)、Milleniamデータ処理装置(Waters社製)
・カラム:Plgel GUARD+5μmMixed−C×3本(50×7.5mm,300×7.5mm:PolymerLab社製)
・流速:1mL/分
・換算したポリマー:ポリエチレングリコール
・測定温度:40℃
FT−NMR測定装置:日本電子(株)製JNM−ECA500(500MHz)
FT−IR測定装置:日本分光(株)製FT−IR460Plus
(合成例1)末端にトリメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体A1の合成
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却器を備えたフラスコに、エチレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドを反応させ、ポリオキシプロピレントリオールを得た。得られたポリオキシプロピレントリオールにナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加し、加熱減圧下メタノールを留去してポリオキシプロピレントリオールの末端水酸基をナトリウムアルコキシドに変換し、ポリオキシアルキレン系重合体M1を得た。
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却器を備えたフラスコに、エチレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドを反応させ、ポリオキシプロピレントリオールを得た。得られたポリオキシプロピレントリオールにナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加し、加熱減圧下メタノールを留去してポリオキシプロピレントリオールの末端水酸基をナトリウムアルコキシドに変換し、ポリオキシアルキレン系重合体M1を得た。
次に、ポリオキシアルキレン系重合体M1に塩化アリルを反応させて、未反応の塩化アリルを除去し、精製して、末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得た。この末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体に対し、水素化珪素化合物であるトリメトキシシランを白金含量3wt%の白金ビニルシロキサン錯体イソプロパノール溶液150ppmを添加して反応させ、末端にトリメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体A1を得た。
得られた末端にトリメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体A1の分子量をGPCにより測定した結果、ピークトップ分子量は25000、分子量分布1.3であった。H1−NMR測定により末端のトリメトキシシリル基は1分子あたり1.7個であった。
(合成例2)末端にトリメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体A2の合成
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却器を備えたフラスコに、エチレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドを反応させ、ポリオキシプロピレントリオールを得た。得られたポリオキシプロピレントリオールにナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加し、加熱減圧下メタノールを留去してポリオキシプロピレントリオールの末端水酸基をナトリウムアルコキシドに変換し、ポリオキシアルキレン系重合体M2を得た。
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却器を備えたフラスコに、エチレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドを反応させ、ポリオキシプロピレントリオールを得た。得られたポリオキシプロピレントリオールにナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加し、加熱減圧下メタノールを留去してポリオキシプロピレントリオールの末端水酸基をナトリウムアルコキシドに変換し、ポリオキシアルキレン系重合体M2を得た。
次に、ポリオキシアルキレン系重合体M2に塩化アリルを反応させて、未反応の塩化アリルを除去し、精製して、末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得た。この末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体に対し、水素化珪素化合物であるトリメトキシシランを白金含量3wt%の白金ビニルシロキサン錯体イソプロパノール溶液150ppmを添加して反応させ、末端にトリメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体A2を得た。
得られた末端にトリメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体A2の分子量をGPCにより測定した結果、ピークトップ分子量は12000、分子量分布1.3であった。H1−NMR測定により末端のトリメトキシシリル基は1分子あたり1.7個であった。
(合成例3)トリメトキシシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体A3の合成
撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、酢酸エチルを40.00g、メチルメタクリレート70.00g、2−エチルヘキシルメタクリレート(東京化成工業(株)製)30.00g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業(株)製)12.00g、及び金属触媒としてチタノセンジクライド0.10gを仕込みフラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を80℃に加熱した。ついで、充分に窒素ガス置換した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.30gを撹拌下にフラスコ内に一気に添加した。3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.30gを添加後、撹拌中のフラスコ内の内容物の温度が80℃に維持できるように、加熱及び冷却を4時間行った。さらに、充分に窒素ガス置換した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.30gを撹拌下に5分かけてフラスコ内に追加添加した。3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.30g全量を追加添加後、撹拌中のフラスコ内の内容物の温度が90℃に維持できるように、さらに冷却及び加温を行いながら、反応を4時間行った。合計で8時間5分間の反応後、反応物の温度を室温に戻し、反応物にベンゾキノン溶液(95%THF溶液)を20.00g添加して重合を停止し、トリメトキシシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体A3を得た。ピークトップ分子量は4000、分子量分布は2.4であった。H1−NMR測定により含有されるトリメトキシシリル基は1分子あたり2.00個であった。
撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、酢酸エチルを40.00g、メチルメタクリレート70.00g、2−エチルヘキシルメタクリレート(東京化成工業(株)製)30.00g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業(株)製)12.00g、及び金属触媒としてチタノセンジクライド0.10gを仕込みフラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を80℃に加熱した。ついで、充分に窒素ガス置換した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.30gを撹拌下にフラスコ内に一気に添加した。3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.30gを添加後、撹拌中のフラスコ内の内容物の温度が80℃に維持できるように、加熱及び冷却を4時間行った。さらに、充分に窒素ガス置換した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.30gを撹拌下に5分かけてフラスコ内に追加添加した。3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.30g全量を追加添加後、撹拌中のフラスコ内の内容物の温度が90℃に維持できるように、さらに冷却及び加温を行いながら、反応を4時間行った。合計で8時間5分間の反応後、反応物の温度を室温に戻し、反応物にベンゾキノン溶液(95%THF溶液)を20.00g添加して重合を停止し、トリメトキシシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体A3を得た。ピークトップ分子量は4000、分子量分布は2.4であった。H1−NMR測定により含有されるトリメトキシシリル基は1分子あたり2.00個であった。
(合成例4)チタン触媒Bの合成
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計、滴下装置および環流冷却器を備えたフラスコに、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM903:信越化学工業(株)製)11質量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403:信越化学工業(株)製)32質量部加え、50℃にて72時間 撹拌し、シラン化合物B1−1を得た。なお、混合比は3−アミノプロピルトリメトキシシラン1モルに対して3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが2.2モルである。 .
得られたシラン化合物B1−1について、FT−IRにて910cm−1付近のエポキシ基に起因するピークの消失を確認し、1140cm−1付近の2級アミンのピークを確認し、また、29Si−NMRより−60ppmから−70ppmに新たなピークの出現が確認できた。
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計、滴下装置および環流冷却器を備えたフラスコに、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM903:信越化学工業(株)製)11質量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403:信越化学工業(株)製)32質量部加え、50℃にて72時間 撹拌し、シラン化合物B1−1を得た。なお、混合比は3−アミノプロピルトリメトキシシラン1モルに対して3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが2.2モルである。 .
得られたシラン化合物B1−1について、FT−IRにて910cm−1付近のエポキシ基に起因するピークの消失を確認し、1140cm−1付近の2級アミンのピークを確認し、また、29Si−NMRより−60ppmから−70ppmに新たなピークの出現が確認できた。
前記シラン化合物B1−1を43質量部含むフラスコに、チタニウムジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)(オルガチックス TC−750:マツモトファインケミカル(株)製)を30質量部 、ビニルトリメトキシシラン(KBM1003:信越化学工業(株)製)を5質量部入れ、70℃にて144時間 加熱撹拌することにより熟成し、チタン触媒Bを得た。得られたチタン触媒Bについて、29Si−NMRよりピークの変化を確認した。
(実施例1〜2及び比較例1〜4)
表1に示す配合割合にて、各配合物質をまとめて投入し、混合撹拌して硬化性組成物を調整した。
表1に示す配合割合にて、各配合物質をまとめて投入し、混合撹拌して硬化性組成物を調整した。
表1において、各配合物質の配合量は質量部で示され、重合体A1〜A3は合成例1〜3で得た重合体A1〜A3であり、チタン触媒Bは合成例4で得たチタン触媒Bであり、その他の各配合物質の詳細は下記の通りである。
TC750:マツモトファインケミカル(株)製、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)
U830:日東化成(株)製、ジオクチルスズジバーサテート
KBM585:信越化学工業(株)製、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン
KBM903:信越化学工業(株)製、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン
TC750:マツモトファインケミカル(株)製、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)
U830:日東化成(株)製、ジオクチルスズジバーサテート
KBM585:信越化学工業(株)製、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン
KBM903:信越化学工業(株)製、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン
得られた硬化性組成物について下記測定を行った。結果を表1〜3に示す。
1)接着性試験(常態接着強度試験)
JIS K 6854−1に準拠し、接着強度を測定した。即ち、被着体として表1に示す各被着体同士を用い、被着体に硬化性組成物を片面約100μmとなるように両面塗布し、オープンタイム2分後、貼り合わせ、ピンチ2個を用いて圧締し、23℃50%RHで7日間養生し、試験片を作製した。
得られた試験片に対して、50mm/分の引張速度で引張試験を行い、引張せん断接着強さを測定した。また、破壊状態を目視にて確認した。表1においてAFは界面破壊、CFは凝集破壊を示す。
1)接着性試験(常態接着強度試験)
JIS K 6854−1に準拠し、接着強度を測定した。即ち、被着体として表1に示す各被着体同士を用い、被着体に硬化性組成物を片面約100μmとなるように両面塗布し、オープンタイム2分後、貼り合わせ、ピンチ2個を用いて圧締し、23℃50%RHで7日間養生し、試験片を作製した。
得られた試験片に対して、50mm/分の引張速度で引張試験を行い、引張せん断接着強さを測定した。また、破壊状態を目視にて確認した。表1においてAFは界面破壊、CFは凝集破壊を示す。
2)耐熱強度試験
前記接着性試験と同様に試験片を作製し、表に示す所定の温度雰囲気下で所定の時間放置した後、接着性試験と同様に引張試験を行った。表中、WはWeekを示す。また、表2において各被着体はアルミを用いた。
前記接着性試験と同様に試験片を作製し、表に示す所定の温度雰囲気下で所定の時間放置した後、接着性試験と同様に引張試験を行った。表中、WはWeekを示す。また、表2において各被着体はアルミを用いた。
3)硬化性試験(タックフリータイム)
初期及び50℃1週間貯蔵後の硬化性組成物に対し、JISA1439 5.19タックフリー試験に準じて、23℃RH50%の環境下にて指触乾燥時間(TFT)を測定した。15分までは1分ごとに指触にて確認し、それ以降は5分おきに指触にて確認した。
初期及び50℃1週間貯蔵後の硬化性組成物に対し、JISA1439 5.19タックフリー試験に準じて、23℃RH50%の環境下にて指触乾燥時間(TFT)を測定した。15分までは1分ごとに指触にて確認し、それ以降は5分おきに指触にて確認した。
Claims (4)
- (A)架橋性珪素基含有有機重合体、
(B)シラン化合物B1と有機チタン化合物B2とを反応させてなるチタン触媒、及び
(C)ウレイド基を有するシランカップリング剤、
を含み、
前記シラン化合物B1が、下記式(1)で示されるエポキシシラン化合物と、下記式(2)で示されるアミノシラン化合物とを、該アミノシラン化合物1モルに対して該エポキシシラン化合物を1.5〜10モルの範囲で且つ40〜100℃の反応温度で反応させてなるシラン化合物であり、
前記有機チタン化合物B2が、下記式(3)で示されるチタニウムキレート及び下記式(4)で表されるチタニウムキレートからなる群から選択される1種以上である、
硬化性組成物。
- 前記有機チタン化合物B2をさらに含有する、請求項1記載の硬化性組成物。
- 前記(A)架橋性珪素基含有有機重合体が、架橋性珪素基を含有するポリオキシアルキレン系重合体、架橋性珪素基を含有する飽和炭化水素系重合体、及び架橋性珪素基を含有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる群から選択される1種以上である、請求項1又は2記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の硬化性組成物を用いてなる、電気・電子製品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015094926A JP2016210879A (ja) | 2015-05-07 | 2015-05-07 | 硬化性組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015094926A JP2016210879A (ja) | 2015-05-07 | 2015-05-07 | 硬化性組成物 |
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ID=57549427
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JP2015094926A Pending JP2016210879A (ja) | 2015-05-07 | 2015-05-07 | 硬化性組成物 |
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JP (1) | JP2016210879A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022049931A1 (ja) | 2020-09-02 | 2022-03-10 | サンスター技研株式会社 | 接着剤組成物及び接着構造体 |
WO2022066837A1 (en) * | 2020-09-25 | 2022-03-31 | Dow Silicones Corporation | Curable silicone composition and cured product thereof |
-
2015
- 2015-05-07 JP JP2015094926A patent/JP2016210879A/ja active Pending
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