JP2006342234A - 硬化性組成物およびその製造方法ならびにそれを用いた複層ガラス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリサルファイド系重合体(A)と、前記重合体(A)中に分散した、3次元架橋された炭化水素系ポリマー微粒子(B)と、二酸化マンガン(C)とを含有する硬化性組成物。
【選択図】なし
Description
複層ガラスの二次シール材としては、ポリサルファイド系重合体、シリコーン系重合体、ウレタン系重合体、ホットメルト系シール材等が用いられている。中でも、ポリサルファイド系重合体が、可使時間と硬化性とのバランス、主剤と硬化触媒との混合比のブレに対する許容度の広さ等の観点から広く使用されている。
しかし、ポリサルファイド系重合体は、ウレタン系重合体に比べて耐水性等の点で劣る。また、通常、硬化触媒として二酸化マンガンが用いられるため、環境問題や人体への影響等の点からその使用量の削減が要求されている。
(1)ポリサルファイド系重合体(A)と、前記重合体(A)中に分散した、3次元架橋された炭化水素系ポリマー微粒子(B)と、二酸化マンガン(C)とを含有する硬化性組成物。
(2)前記ポリマー微粒子(B)が、少なくとも1つの架橋性基を有する、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレンからなる群から選択される少なくとも1種が3次元架橋されて得られる上記(1)に記載の硬化性組成物。
(3)前記ポリマー微粒子(B)が、その表面に前記重合体(A)と反応し得る官能基を有する上記(1)または(2)に記載の硬化性組成物。
(4)前記ポリマー微粒子(B)の平均粒径が、30μm以下である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(5)前記重合体(A)と、前記ポリマー微粒子(B)との質量比が、95/5〜60/40である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(6)更に、可塑剤および/または相溶化剤を含有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法であって、
少なくとも1つの架橋性基を有する未架橋の炭化水素系ポリマー(b)を、ポリサルファイド系重合体(A)に加えて撹拌し、3次元架橋させて炭化水素系ポリマー微粒子(B)を形成させる撹拌架橋工程を具備する、硬化性組成物の製造方法。
(8)前記撹拌架橋工程において、更に、可塑剤および/または相溶化剤を加える上記(7)に記載の硬化性組成物の製造方法。
(9)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の硬化性組成物を二次シール材として用いた複層ガラス。
本発明の硬化性組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう。)は、ポリサルファイド系重合体(A)と、前記重合体(A)中に分散した、3次元架橋された炭化水素系ポリマー微粒子(B)と、二酸化マンガン(C)とを含有する硬化性組成物である。
以下、本発明に用いられる各成分について詳述する。
本発明の組成物に用いられる主剤に用いられるポリサルファイド系重合体(A)は、末端にメルカプト基を有する重合体であれば特に限定されない。例えば、下記式(1)で表される重合体であるのが好ましい。
本発明の組成物に用いられるポリマー微粒子(B)は、3次元架橋された炭化水素系ポリマー微粒子である。上記ポリマー微粒子(B)は、例えば、少なくとも1つの架橋性基を有する未架橋の炭化水素系ポリマー(以下、「ポリマー(b)」という。)を、3次元架橋させて得ることができる。
ここで、上記架橋性基としては、具体的には、例えば、酸無水物基、カルボキシ基、エポキシ基、イソシアネート基、アクリロイル基、オキセタン残基、ビニルエーテル残基、アルコキシシリル基等が挙げられる。中でも、酸無水物基およびエポキシ基が好ましい。
また、「3次元架橋された」とは、未架橋のポリマー(b)が、その架橋性基の反応により3次元的に結合されたことを言う。ポリマー微粒子(B)を3次元架橋により形成する方法は、特に限定されないが、後述する本発明の製造方法が好ましい。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリマー(b)としては、耐水性に優れ、耐候性も良好である点から、少なくとも1つの架橋性基を有する、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレンが好適に用いられる。特に、ポリブタジエン酸無水物変性体、ポリイソプレン酸無水物変性体、ポリイソブチレン酸無水物変性体が、耐水性および耐候性に優れる点からより好ましい。
本発明においては、重合体(A)と反応し得る官能基は特に限定されないが、エポキシ基、酸無水物基であるのが好ましい。
化学的な処理方法としては、例えば、ポリマー微粒子(B)に有する反応性官能基等の置換基と反応し得る基をもつ化合物をグラフト重合させる方法等が挙げられる。
また、ポリマー微粒子(B)は耐水性に優れており、このポリマー微粒子(B)を重合体(A)中に均一に分散させるので、重合体(A)の特性とポリマー微粒子(B)の特性とをいずれも損うことなく十分に発揮することができる。したがって、上記重合体(A)の可使時間と硬化性とのバランス、主剤と硬化触媒との混合比のブレに対する許容範囲の広さ等の特性を維持しつつ、耐温水接着性を向上させた組成物が得られる。また、ポリマー微粒子(B)を使用することにより、組成物中の重合体(A)の割合が少なくなるので硬化触媒として用いられる二酸化マンガンの使用量を抑制できる。
本発明の組成物は、上述した各成分の他に、二酸化マンガンを含有する。本発明の組成物が二酸化マンガンを含有するため、上記重合体(A)の硬化反応の進行を促進して硬化に到る作業時間の短縮を図ることができる。これにより、いわゆるタックフリータイム(シーリング材(組成物)が指先に付着しなくなるまでの時間)も短縮され、実用上優れる。本発明の組成物は、上記重合体(A)の他に、上記ポリマー微粒子(B)を含有するため、重合体(A)の特性を維持しつつ、耐温水接着性を向上でき、更に、組成物中の重合体(A)の割合が少なくなるので硬化触媒として用いられる二酸化マンガンの使用量を抑制できるので、環境や人体に与える影響が少ない。
本発明の組成物は、更に、可塑剤および/または相溶化剤を含有するのが好ましい。可塑剤および/または相溶化剤は、種々の目的で含有される。例えば、ポリマー微粒子(B)の生成、ポリマー微粒子(B)の分散、硬化後の物性の調整等の目的が挙げられる。
また、重合体(A)とポリマー(b)の両者に相溶性を示す可塑剤を選択して用いることにより、均一な粒径のポリマー微粒子(B)を形成できる。その理由は、重合体(A)とポリマー(b)の両者に相溶性を示す可塑剤を用いると、重合体(A)とポリマー(b)とが一旦相溶した状態となり、重合体(A)中でポリマー(b)が反応してポリマー微粒子(B)が形成され、析出するからである。この過程をスピノーダル相分離過程といい、このように自発的な析出現象によってできた相分離構造は高い規則性をもつことが一般的に知られている。即ち、スピノーダル相分離過程によりポリマー微粒子(B)が形成される場合には、粒径分布が比較的狭くなり、均一な粒径を有するポリマー微粒子(B)が得られる。
本発明の組成物は、上述した各成分の他に、更に、硬化剤を含有することができる。
本発明の組成物に用いられる硬化剤としては、ポリマー(b)に一般的に用いられる硬化剤を使用できる。具体的には、例えば、アミン類、グリセリン、エチレングリコール等のポリオール等の他、ケチミン化合物、オキサゾリジン化合物等の潜在性硬化剤等が挙げられる。
硬化剤の含有量は、ポリマー(b)100質量部に対して、1〜5質量部が好ましく、2.5〜3.5質量部がより好ましい。
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損わない範囲で、シランカップリング剤、充填剤、反応遅延剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、分散剤、脱水剤、接着付与剤、帯電防止剤等の各種添加剤等を含有することができる。
シランカップリング剤は、上記重合体(A)および上記ポリマー微粒子(B)の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部含有されるのが好ましい。この範囲であれば、硬化物の物性に悪影響を及ぼすことなく、接着性を向上できる。これらの特性により優れる点から、シランカップリング剤の含有量は、0.2〜3質量部がより好ましく、0.2〜1質量部が更に好ましい。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
接着付与剤としては、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
帯電防止剤としては、一般的に、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
本発明の組成物の製造方法を詳しく説明する。
本発明の組成物は、その製造方法を特に限定されないが、例えば、上記ポリマー(b)を上記重合体(A)に加えて撹拌し、3次元架橋させて上記ポリマー微粒子(B)を形成させる撹拌架橋工程を具備する方法(以下、「本発明の製造方法」と言う。)が好適に挙げられる。なお、この製造方法は、重合体(A)が硬化しない条件下(湿気遮断および二酸化マンガン(C)未添加の条件下)で行われる。また、必要に応じて、加熱して反応を行ってもよい。重合体(A)中でポリマー微粒子(B)を形成させた後、二酸化マンガン(C)や添加剤等を更に含有させることができる。
この方法によれば、ポリマー微粒子(B)が重合体(A)中に均一に分散された状態で得られるので工程が少なく、製造が容易である。また、溶媒を用いる必要がないので環境面への負荷が小さい。
また、重合体(A)とポリマー(b)の両者に相溶性を示す可塑剤を選択して用いることにより、均一な粒径のポリマー微粒子(B)を形成できる。その理由は、上述したスピノーダル相分離過程によりポリマー微粒子(B)が形成される場合には、粒径分布が比較的狭くなり、均一な粒径を有するポリマー微粒子(B)が得られるからである。
通常、上記ポリマー(b)は、重合体(A)に溶解して均一に分散するが、重合体(A)に溶解しない場合でも、相溶化剤を用いることにより相溶性が向上して重合体(A)中に均一に分散でき、ポリマー微粒子(B)を容易に形成できる。
また、相溶化剤の添加量により、得られるポリマー微粒子(B)の粒径を調整できる。
更に、得られる組成物は、相溶化剤の作用により、3次元架橋されたポリマー微粒子(B)が重合体(A)中に均一に分散された状態の安定なエマルションにすることができる。したがって、本発明の組成物は、重合体(A)の特性とポリマー微粒子(B)の特性とをいずれも損うことなく安定して発揮することができる。また、得られる組成物の物性(機械的強度や耐熱性等)を向上することができる。
ポリマー微粒子(B)を形成する際に相溶化剤を用いる場合、その添加量は、上記重合体(A)および上記ポリマー微粒子(B)の合計100質量部に対して、0.1〜7質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましく、0.3〜3.0質量部が更に好ましい。この範囲であれば、均一な粒径のポリマー微粒子(B)を得ることができる。
本発明の組成物は、通常、上記撹拌架橋工程と、任意の官能基導入工程とにより製造される重合体(A)とポリマー微粒子(B)とを含有するA液(主剤)と、二酸化マンガンを含有するB液とからなる2液型硬化性組成物として用いられる。したがって、本発明の組成物は、施工時に上記A液とB液とを十分に混合し、必要により溶剤等で希釈して、塗布して使用される。
また、本発明の製造方法により、本発明の組成物を容易に、かつ、確実に製造することができる。
本発明の組成物が使用される用途としては、本発明の組成物が有する特性を生かして広範な用途に用いられるが、建築用シーリング材、土木用シーリング材、自動車用シーリング材、各種シール材、弾性接着剤、各種封止剤、ポッティング剤等として好適に使用される。特に、耐水性およびガラスへの密着性に優れる点から複層ガラス二次シール材として好適に用いられる。
以下、本発明の複層ガラスについて説明する。
本発明の複層ガラスは、上述した本発明の組成物を二次シール材として用いた複層ガラスである。本発明の複層ガラスの好適な態様の一例は、スペーサを介して2枚以上のガラス板が対向して配置され、2枚のガラス板、上記スペーサ、および、上記ガラス板と上記スペーサとの間の一部または全部に設けられる一次シール材により中空層が形成されてなる複層ガラスであって、上記スペーサ外周面と上記一次シール材と上記2枚のガラス板周縁部の内面とにより形成される空隙を本発明の組成物でシールする複層ガラスである。
本発明の複層ガラス10は、二次シール材1を設けられるように、内部に乾燥剤(吸湿材)2を有するスペーサ3をガラス板5の周縁部近傍に設けて、スペーサ3とガラス板5の間に一次シール材7を設けてスペーサ3の外周面と、一次シール材7と、2枚のガラス板5周縁部の内面とにより形成される空隙を本発明の組成物でシール(充填)してなる複層ガラスである。
本発明の複層ガラスにおいて、空気層を形成するガラス板5の間隔は、特に限定されないが、例えば、約6mmまたは約12mmであるのが好ましい。
<実施例1〜3>
ポリサルファイド系重合体(LP23、東レファインケミカル社製)、可塑剤(PS32、出光石油化学社製)、オキサゾリジン化合物(2−(1−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、5BO−XDI)、相溶化剤(ドデシルベンゼンスルホン酸、花王社製)、重質炭酸カルシウム(ライトン26A、白石カルシウム社製)および膠質炭酸カルシウム(カルファイン500、丸尾カルシウム社製)を下記第1表に示す組成(質量部)で撹拌機(TKホモミクサー、特殊機化工業社製)を用いて混合し、十分に撹拌し分散させた。
次に、無水マレイン酸変性ポリイソプレン(LIR403、数平均分子量30000、クラレ社製)と、フタル酸ジイソノニル(DINP、三井化学社製)とを第1表に示す量加えて、200rpmで15分間高速撹拌して、主剤1〜3を得た。各主剤の系内で形成されたポリイソプレン系ポリマー微粒子について、光学顕微鏡(キーエンス社製)を用いて平均粒径を観測した。
観測された平均粒径を第1表に示す。
得られた実施例1〜3の組成物について、下記に示す方法により耐温水接着性を評価した。
結果を第1表に示す。
下記第1表の各成分を、第1表に示す組成(質量部)で、撹拌機を用いて混合し、比較例1の組成物を得た。
得られた比較例1の組成物について、下記に示す方法により耐温水接着性を評価した。
結果を第1表に示す。
JIS A5758−1992に準じて、被着体としてフロートガラス板を用いて、25℃で7日間養生させて試験体を作成した。これを50℃の温水に14日間浸漬させた。その後、引張試験を行い、破断強度(TB)および破断伸び(EB)を測定した。
第1表中「破壊状態」は、引張試験後の破壊状態を目視で観察して評価した。その結果をAF(%)(全破壊面積に対する界面剥離が生じた面積の百分率)として示した。
2 乾燥剤(吸湿材)
3 スペーサ
5 ガラス板
7 一次シール材
10 複層ガラス
Claims (9)
- ポリサルファイド系重合体(A)と、前記重合体(A)中に分散した、3次元架橋された炭化水素系ポリマー微粒子(B)と、二酸化マンガン(C)とを含有する硬化性組成物。
- 前記ポリマー微粒子(B)が、少なくとも1つの架橋性基を有する、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレンからなる群から選択される少なくとも1種が3次元架橋されて得られる請求項1に記載の硬化性組成物。
- 前記ポリマー微粒子(B)が、その表面に前記重合体(A)と反応し得る官能基を有する請求項1または2に記載の硬化性組成物。
- 前記ポリマー微粒子(B)の平均粒径が、30μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 前記重合体(A)と、前記ポリマー微粒子(B)との質量比が、95/5〜60/40である請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 更に、可塑剤および/または相溶化剤を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法であって、
少なくとも1つの架橋性基を有する未架橋の炭化水素系ポリマー(b)を、ポリサルファイド系重合体(A)に加えて撹拌し、3次元架橋させて炭化水素系ポリマー微粒子(B)を形成させる撹拌架橋工程を具備する、硬化性組成物の製造方法。 - 前記撹拌架橋工程において、更に、可塑剤および/または相溶化剤を加える請求項7に記載の硬化性組成物の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物を二次シール材として用いた複層ガラス。
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