JP2007119880A - 複合色彩装飾の作成方法およびそれを施した複合色彩装飾体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被装飾面に少なくとも導電性を有する予備層を設ける第1工程と、該予備層を設けた被装飾面に所定印刷インキによる微細な色彩模様の印刷を施す第2工程と、前記色彩模様の印刷部分以外の被装飾面に、且つ前記微細な色彩模様の縁部に沿って盛り上がるように電着性が良い金属メッキ(主としてCuメッキまたはNiメッキ)を施す第3工程と、該電着性が良い金属メッキの表面に装飾金属メッキを施す第4工程を備え、印刷色彩模様部と装飾金属メッキ部を共存せしめ、色彩模様の印刷を線幅50μm以下の極細線または該極細線による模様または網点画像とし、印刷後固定化処理を施す複合色彩装飾の作成方法およびそれによる複合色彩装飾体。
【選択図】図1
Description
しかし、これら、すなわち印刷手法とメッキ手法とを複合した複合色彩装飾については、特に微細な模様を対象とする微細色彩装飾については、技術的にも、美術的にもかなり難しく、過去色々な手法によりこれを実現しようとする試みが行われているが、必ずしも十分なものは得られていない。(例えば、特許文献1参照)
本発明は、上記に鑑み、色彩印刷部分と金属メッキ部分が共存する微細模様の装飾を美術的にも満足し、比較的コストも安い複合色彩装飾の作成方法およびそれを施した複合色彩装飾体を提供することをその目的としている。
1)被装飾面に少なくとも導電性を有する予備層を設ける第1工程と、該予備層を設けた被装飾面に所定印刷インキによる微細な色彩模様の印刷を施す第2工程と、前記色彩模様の印刷部分以外の被装飾面に、且つ前記微細な色彩模様の縁部に沿って盛り上がるように電着性の良い金属メッキを施す第3工程と、該電着性の良い金属メッキの表面に装飾金属メッキを施す第4工程を備え、印刷色彩模様部と装飾金属メッキ部を共存せしめたものである。
2)また、導電性の被装飾面に所定印刷インキによる微細な色彩模様の印刷を施す第1工程と、前記色彩模様の印刷部分以外の被装飾面に、且つ前記微細な色彩模様の縁部に沿って盛り上がるように電着性の良い金属メッキを施す第2工程と、該電着性の良い金属メッキの表面に装飾金属メッキを施す第3工程を備え、印刷色彩模様部と装飾金属メッキ部を共存せしめたものであり、
3)導電性の被装飾面に所定印刷インキによる微細な色彩模様の印刷を施す第1工程と、前記色彩模様の印刷部分以外の被装飾面に、且つ前記微細な色彩模様の縁部に沿って盛り上がるように装飾金属メッキを施す第2工程を備え、印刷色彩模様部と装飾金属メッキ部を共存せしめたものである。
4)上述の1)〜3)において、前記微細な色彩模様の印刷を、印刷インキ厚さ2〜10μmとし、且つ、線幅50μm以下の極細線または該極細線による模様、または所定の分布により印刷された網点画像としたものであり、
5)上述1)〜4)において、前記所定印刷インキによる微細な色彩模様の印刷を、印刷後固定化処理を施し固定化したものであり、
6)上述1)、2)、4)、5)において、前記電着性の良い金属メッキを、CuメッキまたはNiメッキとし、且つそのメッキ厚さを5〜20μmとし、また、前記装飾金属メッキのメッキ厚さを、2μm以下(好ましくは0.02〜1μm)としたものであり、
7)上述1)〜6)において、前記装飾金属メッキを、Au、Ag、Pt、Rh、Pd、NiまたはCuのいずれか1種の金属メッキとしたものである。
8)上述1)〜7)に記載の複合色彩装飾の作成方法により装飾されたものであり、
9)また、上述1)〜7)に記載の複合色彩装飾の作成方法により装飾された被装飾体を、携帯電話またはデジタルカメラのボディとしたものであり、
10)上述1)〜7)に記載の複合色彩装飾の作成方法により装飾された被装飾体を、自動車用内装または外装部品としたものであり、
11)上述1)〜7)に記載の複合色彩装飾の作成方法により装飾された被装飾体を、装身具またはメガネフレームとしたものである。
本願発明においては、インキ印刷面を色彩模様として積極的に生かし、装飾メッキ部と共存させたところに第1の特徴がある。
また、本発明の複合色彩装飾体は、色彩印刷および金属装飾メッキを共存させ、且つその色彩模様も線幅50μm以下の極細線または該極細線による模様、または所定の分布により印刷された網点画像としたところに第2の特徴があり、さらに装飾メッキと色彩印刷の境界縁線を装飾メッキを印刷面の縁部に沿って印刷面に被らないように盛り上げることにより、従来の色彩印刷や金属装飾メッキの各単独では得られなかったような色彩模様にシャープ感を与え、且つメッキ部と色彩印刷部との段差による深みもある、ファッション性ある装飾模様を得るところに第3の特徴がある。
多くの実験により、極細線により構成された微細色彩模様の縁線に沿って盛り上げしむるには、先ずCuメッキまたはNiメッキを所定条件にてメッキすることにより、美術的にも優れた印刷縁部に沿った盛り上がり部の形成を得たものである。
色彩印刷の縁部に沿った適度の盛り上がらせとは、印刷画像面にメッキが被らない範囲で装飾メッキが、縁部に沿って平均電着面より数μm程度盛り上げられることを意味している。
多くの実験の結果、色彩印刷のインキ厚さ2〜10μm(より好ましくは2〜5μm)に対してメッキ厚さは5〜20μm程度(より好ましくは10〜15μm程度)が望ましく、また主として電着性の良い金属メッキを施すメッキ条件において、電流密度を時間経過と共に微妙に変化させることにより適度の盛り上がりを作成することができる。
また、メッキ条件としては、通常エンドエフェクト効果を期待する場合にはストライク法により過電流を流しエッジ効果としての効果を強調させるが、本発明においては、むしろ、盛り上げ開始時点より電流密度を漸次低下させて行き、印刷画像面にメッキが被らない範囲の色彩印刷の縁部に沿った適度のメッキ盛り上がりを得るものである。
なお、前記縁線部のメッキ盛り上げに対して、電着性に富むメッキであれば上記Cuメッキ、Niメッキに代えて各種の金属、メッキ条件等を選択することができる。
図1は、本発明の実施例1における、複合色彩装飾の作成工程を示す説明図である。
図2は、本実施の形態1による複合色彩装飾体の断面の1例を示す説明図である。
図2は、本実施の形態1における色彩印刷と金属メッキの境界部の1例を拡大して示す断面図である。
図において、1は複合色彩装飾体、2は被装飾体、3は色彩印刷、4は導電性予備被覆、5はCuメッキ、50は盛り上げ部、6は装飾金属メッキである。
極細線による微細色彩印刷により、極めて繊細な色彩模様を作成せることができる。また所定の分布により印刷された網点画像は、その分布により繊細なボカシ効果を与えることができる。
上記印刷模様のインキ厚さ2〜10μm(より好ましくは2〜5μm)に対し、電着性の良い金属メッキのメッキ厚さは5〜20μm程度(より好ましくは10〜15μm程度)とすることが望ましい。
この厚さのバランスにより、メッキ条件のより広い選択肢の幅において前記適度のメッキ盛り上がりを期待することができる。
このためのCuメッキ条件としては下記が好ましい。
Cuメッキ浴
CuSO4 250 [g/l]
H2 SO4 100 [g/l]
光沢剤 若干量
電流密度φ 1.5以下 [Amp/dm2 ]
メッキ温度T 25〜50 [℃]
メッキ時間t 約30分
また、これにより約メッキ時間30分によりメッキ厚10〜15μmのCuメッキ5を得ることができ、且つ、印刷画像面に被ることなく印刷縁部に沿って数μm程度の適度の盛り上がり部50を形成することができる。
各装飾金属メッキのメッキ厚さも装飾面として薄くてよく、せいぜいそのメッキ厚みは2μm以下(好ましくは0.02〜1μm)にて十分である。
装飾金属メッキ6は各通常のメッキ浴、メッキ条件により行われるが、酸性浴によるメッキ処理の方が比較的取り扱いもよく好ましい。
これにより色彩印刷部分と装飾金属メッキ部分が共存し、シャープな色彩模様と、メッキ縁部の盛り上がり凹凸による深みもある、ファッション性ある装飾模様を得ることができる。
図4は、本実施の形態2における、複合色彩装飾の作成工程を示す説明図である。
図5は、本実施の形態2による複合色彩装飾体の断面の1例を示す説明図である。
図において、10は本実施の形態2における複合色彩装飾体、21は導電性被装飾体、31は本実施の形態2における色彩印刷、51実施の形態2における電着性の良い金属メッキ(主としてCuメッキまたはNiメッキ)である。
なお、実施の形態1と同一の部位、部材においては、同一符号を付し、それらの説明を省略する。
印刷前処理、印刷条件等は実施の形態1に準じる。
色彩印刷31が施された導電性被装飾体21は、OP20電着性の良い金属メッキ(主としてCuメッキまたはNiメッキ)被覆工程において、電着性の良い金属メッキ51がメッキされる。
本実施の形態2においては、該電着性の良い金属メッキ51が、前記導電性被装飾体21の面に直接メッキされる以外は全て実施の形態1と同一であり、電着性の良い金属メッキ51の適度の盛り上げ部50を色彩印刷31の縁部に沿って形成することも実施の形態1に準じている。
なお、導電性プラスチックとしては、少なくとも被装飾面に導電性フィラを充填した複合プラスチックなどを使用することができる。
本実施の形態2により前述のごときファッション性ある装飾模様を比較的安価に得ることが可能となる。
図6は、本実施の形態3における、複合色彩装飾の作成工程を示す説明図である。
図7は、本実施の形態3による複合色彩装飾体の断面の1例を示す説明図である。
図において、12は本実施の形態3における複合色彩装飾体、22は導電性被装飾体、32は本実施の形態3における色彩印刷、60は本実施の形態3における盛り上げ部、62は実施の形態3における装飾金属メッキである。
なお、実施の形態1と同一の部位、部材においては、それらの説明を省略する。
次いで本実施の形態3においては、OP200装飾金属メッキ工程において装飾金属メッキ62が行われる。実施の形態1、2に較べ導電性予備被覆作成工程や電着性の良い金属メッキ被覆工程が省略されており、装飾金属メッキ62は、導電性被装飾体22に直接メッキされる。
すなわち、本実施の形態3における複合色彩装飾体12の導電性被装飾体22は、少なくともその被装飾面を導電性プラスチックまたは金属で形成している必要がある。
複合色彩装飾と曲面とによる、より複雑な色彩模様感覚を演出することができ、極めて斬新的な色彩装飾を提供することができる。
2 被装飾体
3 色彩印刷
4 導電性予備被覆
5 電着性の良い金属メッキ(主としてCuメッキまたはNiメッキ)
50 盛り上げ部
6 装飾金属メッキ
10 本実施の形態2における複合色彩装飾体
12 本実施の形態3における複合色彩装飾体
21 導電性被装飾体
22 導電性被装飾体
32 本実施の形態3における色彩印刷
60 本実施の形態3における盛り上げ部
62 本実施の形態3における装飾金属メッキ
Claims (11)
- 被装飾面に少なくとも導電性を有する予備層を設ける第1工程と、該予備層を設けた被装飾面に所定印刷インキによる微細な色彩模様の印刷を施す第2工程と、前記色彩模様の印刷部分以外の被装飾面に、且つ前記微細な色彩模様の縁部に沿って盛り上がるように電着性の良い金属メッキを施す第3工程と、該電着性の良い金属メッキの表面に装飾金属メッキを施す第4工程を備え、被装飾面表面に印刷色彩模様部と装飾金属メッキ部を共存せしめたことを特徴とする複合色彩装飾の作成方法。
- 導電性の被装飾面に所定印刷インキによる微細な色彩模様の印刷を施す第1工程と、前記色彩模様の印刷部分以外の被装飾面に、且つ前記微細な色彩模様の縁部に沿って盛り上がるように電着性の良い金属メッキを施す第2工程と、該電着性の良い金属メッキの表面に装飾金属メッキを施す第3工程を備え、印刷色彩模様部と装飾金属メッキ部を共存せしめたことを特徴とする複合色彩装飾の作成方法。
- 導電性の被装飾面に所定印刷インキによる微細な色彩模様の印刷を施す第1工程と、前記色彩模様の印刷部分以外の被装飾面に、且つ前記微細な色彩模様の縁部に沿って盛り上がるように装飾金属メッキを施す第2工程を備え、印刷色彩模様部と装飾金属メッキ部を共存せしめたことを特徴とする複合色彩装飾の作成方法。
- 前記微細な色彩模様の印刷が、印刷インキ厚さ2〜10μmであり、且つ、線幅50μm以下の極細線または該極細線による模様、または所定の分布により印刷された網点画像であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複合色彩装飾の作成方法。
- 前記所定印刷インキによる微細な色彩模様の印刷を、印刷後固定化処理を施し固定化したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複合色彩装飾の作成方法。
- 前記電着性の良い金属メッキが、CuメッキまたはNiメッキであり、且つそのメッキ厚さが5〜20μmであり、また、装飾金属メッキのメッキ厚さが、0.02〜1μmであることを特徴とする請求項1、2、4、または5のいずれか1項に記載の複合色彩装飾の作成方法。
- 前記装飾金属メッキが、Au、Ag、Pt、Rh、Pd、NiまたはCuのいずれか1種の金属メッキであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の複合色彩装飾の作成方法。
- 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の複合色彩装飾の作成方法により装飾されたことを特徴とする複合色彩装飾体。
- 前記請求項1乃至7のいずれか1項に記載の複合色彩装飾の作成方法により装飾された被装飾体が、携帯電話またはデジタルカメラのボディであることを特徴とする複合色彩装飾体。
- 前記請求項1乃至7のいずれか1項に記載の複合色彩装飾の作成方法により装飾された被装飾体が、自動車用内装または外装部品あることを特徴とする複合色彩装飾体。
- 前記請求項1乃至7のいずれか1項に記載の複合色彩装飾の作成方法により装飾された被装飾体が、装身具またはメガネフレームであることを特徴とする複合色彩装飾体。
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