JP3046361U

JP3046361U - 彫金化粧の眼鏡部品

Info

Publication number: JP3046361U
Application number: JP1997007339U
Authority: JP
Inventors: 邦男福永
Original assignee: 野尻眼鏡工業株式会社
Priority date: 1997-08-19
Filing date: 1997-08-19
Publication date: 1998-03-06
Anticipated expiration: 2003-08-19

Abstract

(57)【要約】【課題】各層の色調が異なるクラッド材を用いて、色
彩変化に富んだ装飾模様を自在に彫り出すことができ、
しかもその装飾模様の耐久性が優れた彫金化粧の眼鏡部
品を提供すること。【解決手段】各層を組成する金属素材の色調が異なる
クラッド材で作製された眼鏡部品であって、その表面に
施された彫金部が彫り込みの深浅に応じて露出する金属
素材の色調により美粧彫金模様を呈するという手段を採
用した。【効果】眼鏡部品の彫金部に美粧彫金模様を簡単かつ
自在に形成することができるうえに、その眼鏡部品は、
長期間使用してもメッキ加工による装飾模様の如き剥離
が生じることはなく、非常に耐久性が優れている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、眼鏡部品の装飾の改良、更に詳しくは、各層の色調が異なるクラッド材を用いて、色彩変化に富んだ装飾模様を自在に彫り出すことができ、しかもその装飾模様の耐久性が優れた彫金化粧の眼鏡部品に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

最近の眼鏡は、視力矯正機能を有することは当然のことであって、デザイン性が重要視される傾向にあり、お洒落でハイセンスな眼鏡に人気が集中している。これは人の注目を集めたいとする自己主張の発現であり、眼鏡のテンプルや智などに施される種々の装飾はファッション性追求の風潮の現われである。

【０００３】ところで、テンプルや智などの金属眼鏡部品に装飾を施す方法としては、メッキ加工によって金属眼鏡部品の表面に色彩変化を付与したり、コイニング加工によって金属眼鏡部品の表面に立体模様でアクセントを付与しようとする技術が用いられている。

【０００４】ところが、前者のメッキ加工にあっては、装飾模様に深みがなくて平面的で変化に乏しいうえに、何分にも安っぽく見え、また長期間使用しているうちにメッキ部分の装飾模様が剥がれてしまうという難点があった。

【０００５】また、後者のコイニング加工にあっては、装飾模様が剥がれる虞れはないけれども、色彩変化を表現することができず、また立体模様によって眼鏡部品としてのある程度のアクセントは付与し得るのではあるが、それでも色調が単調で寂しい。もっとも、金や金合金などを素材にすれば外見的には豪華になるが、それでも一色である。そして、何分にもコストが高くなるうえに、人によっては成金趣味として忌避されることもある。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、従来の金属眼鏡部品の装飾に上記の如き難点があったことに鑑みて為されたものであり、各層の色調が異なるクラッド材を用いて、色彩変化に富んだ装飾模様を自在に彫り出すことができ、しかもその装飾模様の耐久性が優れた彫金化粧の眼鏡部品を提供することを技術的課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添附図面を参照して説明すれば、次のとおりである。

【０００８】即ち、本考案は、各層を組成する金属素材の色調が異なるクラッド材で作製された眼鏡部品であって、その表面に施された彫金部が彫り込みの深浅に応じて露出する金属素材の色調により美粧彫金模様を呈するという手段を採用することによって、上記課題を解決した点に特徴がある。

【０００９】

【考案の実施の形態】

以下、本考案を添附図面に示す実施形態に基いて更に詳しく説明する。なお、図１は本考案の第１実施形態である眼鏡フレームの斜視図、図２は図１の線Ｘ− Ｘに関する拡大断面図、図３は本考案の第２実施形態である眼鏡テンプルの断面を示した部分斜視説明図、図４は本実施形態眼鏡フレームに用いる別のテンプル素材の断面を示した斜視説明図である。

【００１０】まず、本考案の第１実施形態である眼鏡フレームを図１および図２に基いて説明する。図中、符号１で指示するものは、眼鏡フレームＦの部品を構成する金属製テンプルである。このテンプル１は、芯構造のクラッド材で作製されており、外部が第１金属層11、内部が第２金属層12となっている。この第１金属層11は金色の純金（Ｋ24）から成り、第２金属層12は、金、銀を主成分とする略白色のホワイトゴールド（Ｋ18ＷＧ）から成る。このようにテンプル１は、各層を組成する金属素材の色調（金色と白色）が異なり、かつ、耐蝕性に優れた貴金属系金属素材を使用している。

【００１１】符号２で指示するものは、上記テンプル１の表面に彫金加工が施された彫金部であり、テンプル１の内側には文字（ＡＢＣ）、外側には唐草模様が形成してある。この彫金部２は、テンプル１表面の第１金属層11の金色の中に第２金属層12 の白色が露出した美しい化粧の彫金模様を呈している。このような金属素材の色調による美粧彫金模様は、第１金属層11の厚さに応じて彫り込みの深浅を調節するだけで、簡単かつ自在に形成することができる。即ち、図２に示すように、テンプル１内部の第２金属層12に到達するような深さの彫金加工を施すと、その第２金属層12が露出して各層の金属素材の色調（金色と白色）による色彩変化に富んだテンプル１が得られるのである。

【００１２】上記の如き彫金部２における美粧彫金模様は、耐蝕性に優れた貴金属を主成分とするクラッド材を彫金加工して形成してあるので、長期間使用してもメッキ加工による装飾模様の如き剥離が生じることはなく、非常に耐久性が優れている。また、前記彫金加工は、切削性に優れた金を主成分とするクラッド材が加工対象であるため、非常に容易である。

【００１３】本実施形態のテンプル１においては、外部の第１金属層11として金色の純金（Ｋ24）、内部の第２金属層12として白色のホワイトゴールド（Ｋ18ＷＧ）を使用しているが、これらの各層を組成する金属素材を逆にしてもよく、また、金色の金属素材として金の含有量が異なる金合金（Ｋ20、Ｋ18等）を採用したり、白色の金属素材としてプラチナやプラチナ合金（パラジウム等を含有）を採用したりすることもでき、これらの各種金属素材を自在に組合せ可能である。

【００１４】また、前述の彫金部２に露出する金属素材に化学的な変色処理を施して、美粧彫金模様の色調変化を誇張することも可能である。化学的な変色処理としては、例えば陽極酸化処理やクロム酸塩処理などがあり、これによって金属光沢を増したりその他の色を付与したりすることができる。

【００１５】つぎに、本考案の第２実施形態である眼鏡テンプルを図３に基いて説明する。第２実施形態のテンプル１は、３層のクラッド材で作製されている。これらの各層を組成する金属素材は、外側から順に第１金属層11が銅、第２金属層12が銀、第３金属層13が金を使用しており、この層構成は、表面層（第１金属層11）に至るほどイオン化傾向が大きくなっている。かゝる金属素材のテンプル１の表面にケミカルエッチング加工を木目状に施すと、木目の外輪から内輪へ向けて段々に深く彫り込まれて、各層の金属素材が露出した３段色調の美しい化粧模様が得られる。このように各金属素材のイオン化傾向の差を利用してケミカルエッチング加工を施すことにより、多彩な木目状の美粧彫金模様を呈する彫金部２・２・・・・をテンプル１の表面に形成することができる。

【００１６】また、本実施形態のテンプル素材１′としては、図４に示すように、左側から順に第１金属層11が白色のプラチナ合金、第２金属層12が金色の金合金、第３金属層13が白色のプラチナ合金、第４金属層14が金色の金合金から成る板状の積層構造の４層クラッド材を採用したり、さらには４層以上のクラッド材を採用したりすることもできる。このような多層構造の素材を用いて、彫り込みの際の深浅量を自在に調節することにより、一層色彩変化に富んだ彫金部２・２・・・・を形成可能である。

【００１７】本考案の実施形態は概ね上記のとおりであるが、本考案は前述の実施形態に限定されるものでは決してなく、「実用新案登録請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、彫金部２に塵埃が溜まらないように彫金部２を圧延加工によって平坦化させて凹凸のない美粧彫金模様を呈するようにすることも可能であり、また、本実施形態の眼鏡部品においては、テンプル１に美粧模様の彫金部２を施してあるが、テンプル１以外に智、リム、ブリッジ等に彫金部２を施すことも可能であり、これら何れの変更態様も本考案の技術的範囲に属することは言うまでもない。

【００１８】

【考案の効果】

以上実施形態を挙げて説明したとおり、本考案にあっては、各層を組成する金属素材の色調が異なるクラッド材で作製された眼鏡部品の表面に彫金加工を施しているので、彫り込み量を調節するだけで、その深浅に応じて露出する当該金属素材の色調による美しい化粧模様を眼鏡部品の彫金部に簡単かつ自在に形成することができるうえに、かゝる美粧彫金模様を呈する眼鏡部品は、長期間使用してもメッキ加工による装飾模様の如き剥離が生じることはなく、非常に耐久性が優れている。

【００１９】また、上記眼鏡部品の彫金部に露出する金属素材に化学的な変色処理を施すことにより、その金属素材の色調変化を誇張して一層多彩な美粧彫金模様を形成することも可能である。さらに、表面層に至るほどイオン化傾向が大きくなるようにクラッド材の金属素材の各層を構成することにより、眼鏡部品表面の美粧彫金模様をケミカルエッチング加工によって彫り込むこともできる。よって、眼鏡部品の装飾分野における実用価値は頗る大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施形態である眼鏡フレームの斜
視図である。

【図２】図１の線Ｘ−Ｘに関する拡大断面図である。

【図３】本考案の第２実施形態である眼鏡テンプルの断
面を示した部分斜視説明図である。

【図４】本実施形態眼鏡フレームに用いる別のテンプル
素材の断面を示した斜視説明図である。

【符号の説明】

Ｆ眼鏡フレーム１テンプル１′ テンプル素材 11 第１金属層 12 第２金属層 13 第３金属層 14 第４金属層２彫金部

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】各層を組成する金属素材の色調が異なる
クラッド材で作製された眼鏡部品であって、その表面に
施された彫金部が彫り込みの深浅に応じて露出する金属
素材の色調により美粧彫金模様を呈することを特徴とし
た彫金化粧の眼鏡部品。
【請求項２】彫金部に露出する金属素材の少なくとも
一つに化学的な変色処理が施されて、色調変化が誇張さ
れてある請求項１記載の、彫金化粧の眼鏡部品。
【請求項３】眼鏡部品を作製するクラッド材の金属素
材の層構成が表面層に至るほどイオン化傾向が大きくな
っており、表面の美粧彫金模様がケミカルエッチング加
工によって彫り込まれている請求項１記載の、彫金化粧
の眼鏡部品。
【請求項４】各層を組成する金属素材が色調を異にす
る貴金属または貴金属合金であって、その表面に施され
た彫金部が彫り込みの深浅に応じて露出する当該貴金属
系金属素材の色調により美粧彫金模様を呈することを特
徴とした彫金化粧の眼鏡部品。
【請求項５】圧延加工によって表面の美粧彫金部が平
坦化されて凹凸のない美粧彫金模様を呈する請求項１〜
４の何れか一つに記載の、彫金化粧の眼鏡部品。