JP2007119645A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベース樹脂(A)、及びアミノ基含有トリアジン化合物と、硫酸及びスルホン酸から選択された少なくとも一種との塩で構成された難燃剤(B)を含む難燃性樹脂組成物であって、前記難燃剤(B)として、下記(1)〜(3)の要件を充足する難燃剤を用いて調製する。
(1)窒素気流下、昇温速度20℃/分で30℃から250℃まで昇温したとき、加熱重量減少量が8重量%以下である
(2)20℃において、水に対する溶解度が5g/100g以下である
(3)20℃において、1重量%濃度の水性スラリーがpH3〜7である
【選択図】なし
Description
(2)20℃において、水に対する溶解度が5g/100g以下である
(3)20℃において、1重量%濃度の水性スラリーがpH3〜7である
ベース樹脂(A)は、ポリエステル系樹脂で構成されていてもよく、例えば、1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、C2-4アルキレンテレフタレート及びC2-4アルキレンナフタレートから選択された少なくとも1種の単位を有するホモ又はコポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びイソフタル酸変性ポリブチレンテレフタレートから選択された少なくとも1種、特に、ポリエチレンテレフタレートと、ポリプロピレンテレフタレート及び/又はポリブチレンテレフタレートとの組み合わせ)を含んでいてもよい。ベース樹脂(A)は、ポリエステル系樹脂及びスチレン系樹脂で構成されていてもよい。
ベース樹脂(A)としては、成形用として利用される種々の熱可塑性樹脂、例えば、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。これらのベース樹脂は、単独でまたは二種以上組合わせて使用してもよい。
ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合、オキシカルボン酸、ラクトン又はラクチドの重縮合、またはこれらの成分の重縮合などにより得られるホモポリエステル又はコポリエステルである。好ましいポリエステル系樹脂は、通常、飽和ポリエステル系樹脂、特に芳香族飽和ポリエステル系樹脂が含まれる。
スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン系単量体(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなど)の単独又は共重合体;スチレン系単量体とビニル系単量体(例えば、アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸などのα,β−モノオレフィン性不飽和カルボン酸又はその酸無水物あるいはそのエステルなど)との共重合体;スチレン系グラフト共重合体、スチレン系ブロック共重合体などが挙げられる。
ポリアミド系樹脂としては、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12などの脂肪族ポリアミド、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸および/又はイソフタル酸)と脂肪族ジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミンなど)とから得られるポリアミド、芳香族および脂肪族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸とアジピン酸)と脂肪族ジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン)とから得られるポリアミド、脂肪族ジカルボン酸と半芳香族ジアミンとから得られるポリアミド(例えば、ポリアミドMXD6など)、共重合ポリアミド(例えば、ポリアミド6T/6、ポリアミド6T/66、ポリアミド6T/11、ポリアミド6T/12、ポリアミド6I/6、ポリアミド6I/66、ポリアミド6T/6I、ポリアミド6T/6I/6、ポリアミド6T/6I/66、ポリアミド6T/M5Tなど)などが挙げられる。ポリアミド系樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
ポリカーボネート系樹脂には、ジヒドロキシ化合物と、ホスゲン又はジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとの反応により得られる重合体が含まれる。ジヒドロキシ化合物は、脂環族化合物などであってもよいが、好ましくはビスフェノール化合物である。好ましいポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノールA型ポリカーボネートが含まれる。ポリカーボネート系樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
ポリフェニレンオキシド系樹脂には、単独重合体および共重合体が含まれる。単独重合体としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2,5−ジエチル−1,4−フェニレン)オキシド等のポリ(モノ、ジ又はトリC1-6アルキル−フェニレン)オキシド、ポリ(モノ又はジC6-20アリール−フェニレン)オキシド、ポリ(モノC1-6アルキル−モノC6-20アリール−フェニレン)オキシドなどが挙げられる。共重合体としては、前記単独重合体のモノマーユニットを2つ以上有する共重合体、ベンゼンホルムアルデヒド樹脂やアルキルベンゼンホルムアルデヒド樹脂に、アルキルフェノールを反応させて得られるアルキルフェノール変性ベンゼンホルムアルデヒド樹脂ブロックと、主体構造としてのポリフェニレンオキシドブロックとで構成された変性ポリフェニレンオキシド共重合体、ポリフェニレンオキシド又はその共重合体にスチレン系重合体及び/又は不飽和カルボン酸又は無水物がグラフトしている変性グラフト共重合体などが挙げられる。ポリフェニレンオキシド系樹脂は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
ビニル系樹脂としては、ビニル系単量体(例えば、酢酸ビニルなどのビニルエステル;塩素含有ビニル単量体(例えば、塩化ビニル、クロロプレンなど);フッ素含有ビニル単量体;ビニルケトン類;ビニルエーテル類;N−ビニルカルバゾールなどのビニルアミン類など)の単独又は共重合体、あるいは他の共重合可能なモノマーとの共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)などが含まれる。前記ビニル系樹脂の誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタールなど)も使用できる。これらのビニル系樹脂は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
オレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレンなどのα−C2-10オレフィンの単独又は共重合体、環状オレフィン系樹脂(C3-10環状オレフィンの単独重合体、α−C2-10オレフィン−環状オレフィン共重合体など)、特に、プロピレン系樹脂及びエチレン系樹脂(例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体など)などが挙げられる。
アクリル系樹脂には、例えば、(メタ)アクリル系単量体((メタ)アクリル酸又はそのエステルなど)の単独又は共重合体の他、共重合性単量体との共重合体、例えば、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体などが含まれる。
その他の樹脂としては、ポリアセタール樹脂;ケトン樹脂(例えば、エチレン−一酸化炭素共重合体、エチレン−プロピレン−一酸化炭素共重合体など);ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(4,4′−ビスフェノールエーテルスルホンなど);ポリエーテルケトン系樹脂(ポリエーテルケトン、ポリ(エーテルエーテルケトン)など);ポリエーテルイミド;熱可塑性ポリウレタン系樹脂;熱可塑性ポリイミド;ポリオキシベンジレン;熱可塑性エラストマーなどが例示できる。
本発明で使用する難燃剤(B)は、加熱重量減少量が8重量%以下(例えば、0.001〜8重量%)である[要件(1)]。この加熱重量減少量は、例えば、6重量%以下(例えば、0.001〜6重量%)、好ましくは5重量%以下(例えば、0.003〜5重量%)、さらに好ましくは3重量%以下(例えば、0.005〜3重量%)、特に0.01〜1重量%程度であってもよい。加熱重量減少量が大きすぎると、難燃性の他、成形性、耐トラッキング性、ブルーミング性が低下する。
アミノ基含有トリアジン化合物の硫酸塩としては、アミノ基含有トリアジン化合物の硫酸塩、例えば、非縮合硫酸塩[硫酸メラミン類(硫酸メラミン、硫酸ジメラミン、硫酸グアニルメラミンなど)、硫酸メラミンに対応する亜硫酸メラミンなどの非縮合硫酸メラミン類;前記非縮合硫酸メラミン塩に対応するメラム塩、メレム塩、メロン塩、メラミン・メラム・メレム複塩、グアナミン塩など]、縮合硫酸塩[ピロ硫酸メラミン類(ピロ硫酸メラミン、ピロ硫酸ジメラミンなど)、ピロ硫酸メラミン塩に対応するメラム塩(ピロ硫酸メラム、ピロ硫酸ジメラムなど)、メレム塩、メロン塩、メラミン・メラム・メレム複塩、グアナミン塩など]などが例示できる。好ましい硫酸塩は、硫酸メラミン、硫酸ジメラミン、ピロ硫酸メラミンなどの(ピロ)硫酸メラミン類;硫酸メラム、ピロ硫酸ジメラムなどの(ピロ)硫酸メラム類;(ピロ)硫酸メラミン・メラム・メレム複塩類などである。
アミノ基含有トリアジン化合物のスルホン酸塩としては、アルカンスルホン酸塩[アルキルスルホン酸メラミン類(メタンスルホン酸メラミン、エタンスルホン酸メラミンなどのC1-6アルカンスルホン酸メラミン又は対応するC1-6アルカンジスルホン酸メラミンなど)、前記アルカンスルホン酸メラミン塩に対応するメラム塩、メレム塩、メロン塩、メラミン・メラム・メレム複塩、グアナミン塩、アセトグアナミン塩、ベンゾグアナミン塩など]、アミノ基含有トリアジン化合物のアレーンスルホン酸塩[アレーンスルホン酸メラミン類(ベンゼンスルホン酸メラミン、トルエンスルホン酸メラミンなど)、前記アレーンスルホン酸メラミン塩に対応するメラム塩、メレム塩、メロン塩、メラミン・メラム・メレム複塩、グアナミン塩、アセトグアナミン塩、ベンゾグアナミン塩など]などが例示できる。これらのスルホン酸塩のうち、メタンスルホン酸塩などのC1-4アルカンスルホン酸塩(メラミン塩、メラム塩、メレム塩、メラミン・メラム・メレム複塩など)、ベンゼンスルホン酸塩又はp−トルエンスルホン酸塩(メラミン塩、メラム塩、メレム塩、メラミン・メラム・メレム複塩など)などが好ましい。アミノ基含有トリアジン化合物のスルホン酸塩は、例えば、特表平10−511409号公報、特開2001−288361号公報などに記載の方法などにより得ることができる。また、メタンスルホン酸メラムは、日産化学工業(株)から「MMS−200」として入手可能である。
難燃剤(B)の割合は、ベース樹脂(A)100重量部に対して、例えば、0.1〜300重量部の範囲から選択できるが、通常、1〜200重量部、好ましくは3〜150重量部、さらに好ましくは5〜100重量部程度である。本発明では、ベース樹脂中での難燃剤の分散性を低下させずに、比較的多量の難燃剤を配合できるため、例えば、難燃剤(B)の割合は、ベース樹脂(A)100重量部に対して、例えば、10〜130重量部、好ましくは10〜120重量部、さらに好ましくは15〜110重量部(特に15〜100重量部)程度であってもよい。
本発明の難燃性樹脂組成物は、必要に応じて、難燃助剤(C)を含んでいてもよい。難燃助剤(C)としては、例えば、芳香族系樹脂[ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂(ポリフェニレンスルフィド、ポリビフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリビフェニレンスルフィドスルホンなど)、ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリアミド(MXD6、PMD6など)、ポリアリレート系樹脂(ポリエステル成分として、ビスフェノール類及び/又はベンゼンジオール類を用いて得られる芳香族ポリエステル系樹脂など)、芳香族エポキシ樹脂(ビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂などのエーテル系エポキシ樹脂、アミン系エポキシ樹脂など)、フェノール系樹脂(ノボラック型フェノール樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂など)、アラルキル樹脂(フェノールアラルキル樹脂など)、芳香族ビニル樹脂(ポリヒドロキシスチレンなど)など]、窒素含有化合物[例えば、アセチレン尿素や尿酸などの環状尿素系化合物、テトラゾール、メラミン又はその縮合物(メラム、メレム、メロンなど)、グアナミン又はその誘導体(アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、アジポグアナミン、フタログアナミン、CTU−グアナミン)、シアヌール酸メラミン、リン酸メラミン、メタリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アミド、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩、有機ホスホン酸メラミン、有機ホスフィン酸メラミン(メチルエチルホスフィン酸メラミン、ジエチルホスフィン酸メラミン、ジエチルホスフィン酸メラム、ジエチルホスフィン酸メラミン・メラム・メレム複塩)など)、ホウ酸メラミンなどなど]、無機金属系化合物[例えば、無機酸の金属塩(ホウ酸亜鉛、ホウ酸カルシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カリウム、リン酸アルミニウム、(次)亜リン酸カルシウム、(次)亜リン酸アルミニウム、(含水)スズ酸亜鉛など)、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化アンチモンなど)、金属水酸化物(水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウムなど)、金属硫化物(硫化亜鉛など)など]、リン含有化合物[縮合リン酸エステル(例えば、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ハイドキノンビス(ジフェニルホスフェート)、ビフェニルビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノール−A(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシリルホスフェート)、ハイドキノンビス(ジ−2,6−キシリルホスフェート)、ビフェニルビス(ジ−2,6−キシリルホスフェート)、ビスフェノール−Aビス(ジ−2,6−キシリルホスフェート)、ペンタエリスリトールジフェニルホスフェート、ペンタエリスリトールジ−2,6−キシリルホスフェート、2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ[2.2.2]オクタン−4−メタノール−1−オキシド、及び米国特許4154775号及び米国特許4801625号明細書に記載のリン酸エステル化合物など)、縮合リン酸エステルアミド(例えば、1,4−ピペラジンジイルテトラフェニルホスフェート、1,4−ピペラジンジイルテトラ−2,6−キシリルホスフェート、N,N’−ビス(ネオペンチレンジオキシホスフィニル)ピペラジン、及び特開平10−175985号、特開2001−139823号及び特開2001−354689号公報に記載のリン酸エステルアミドなど)、ホスホニトリル化合物(例えば、フェノキシホスファゼン、トリルオキシホスファゼン、キシリルオキシホスファゼン、フェノキシトリルオキシホスファゼン、フェノキシキシリルホスファゼンなどの環状及び/又は鎖状のホスファゼン化合物、それらの架橋ホスファゼン化合物(例えば、ビスフェノール類残基で架橋されたフェノキシホスファゼンなど)、及びWO99/19383号、WO00/9518号、WO02/98886号及びWO04/24844号明細書に記載のホスファゼン化合物など)、有機ホスホン酸化合物(例えば、ペンタエリスリトールジメチルホスホネート、ペンタエリスリトールジエチルホスホネート、ペンタエリスリトールジフェニルホスホネート、メチルホスホン酸のトリメチロールプロパンエステル、米国特許3789091号、米国特許3849368号、米国特許4390477号明細書に記載の化合物などの有機ホスホン酸エステル、有機ホスホン酸金属塩、有機ホスフィン酸化合物(例えば、メチルエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、特開平8−73720号公報に記載の有機ホスフィン酸金属塩など)、及び無機リン化合物(例えば、赤燐、(次)亜リン酸カルシウム、(次)亜リン酸アルミニウム、リン酸ホウ素など)など)]などを用いることができる。これらの難燃助剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、必要に応じて種々の添加剤(例えば、他の難燃助剤、酸化防止剤、安定剤、ドリッピング防止剤、滑剤、可塑剤など)を含んでいてもよい。前記添加剤は、単独で又は二種以上組合せて使用できる。添加剤の全体の含有量は、ベース樹脂100重量部に対して、0.01〜50重量部、好ましくは、0.1〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部程度である。
本発明の難燃性樹脂組成物は、機械的強度、剛性、耐熱性及び電気的性質などをさらに向上させるため、充填剤(繊維状充填剤、非繊維状充填剤(板状充填剤、粉粒状充填剤など))により改質されていてもよい。
本発明の難燃性樹脂組成物の形態は、粉粒体混合物や溶融混合物であってもよく、ベース樹脂(A)と、難燃剤(B)と、必要により難燃助剤(C)、ドリッピング防止剤、他の添加剤などとを慣用の方法で混合(又は溶融混練)することにより調製できる。難燃性樹脂組成物はペレットの形態であってもよい。なお、押出機によるペレットの製造方法としては、脆性充填剤(ガラス系充填剤など)を除く成分を先に溶融混合した後に、脆性充填剤成分を混合する製造方法等が採用できる。
UL94に準拠して、試験片の厚み0.8mmで燃焼性を評価した。
IEC112規格(UL746A)に準拠して、0.1重量%濃度の塩化アンモニウム水溶液を用いて、比較トラッキング指数(CTI[単位:V])を測定し、電気特性(絶縁性)を評価した。
50t射出成形機[東芝機械(株)製]を用いて、厚み0.8mmの燃焼試験片を200ショット成形した後に目視観察により金型表面上のモールドデポジットを下記の基準で評価した。
△:金型表面にモールドデポジットが若干観察される
×:金型表面に著しいモールドデポジットが観察される。
厚み0.8mmの燃焼試験片を相対湿度95%、温度50℃で10日間保存した後、試験片表面における染み出し状態を目視観察し、下記の基準によりブルーミング性を評価した。
△:若干の染み出しが見られる
×:顕著な馴染み出しが見られる。
A−1:ポリブチレンテレフタレート[固有粘度=0.85]
A−2:ポリエチレンテレフタレート[固有粘度=0.75]
A−3:ポリプロピレンテレフタレート[固有粘度=0.85]
A−4:アクリロニトリル−スチレン共重合体[セビアンN JD、ダイセル化学工業(株)製]。
B1−1:以下の調製例1で調製した硫酸ジメラミン
(調製例1)
蒸留水1000mlにメラミン250gを加え85〜90℃で加熱攪拌した。次いで、この温度維持しながら、75重量%硫酸130gを徐々に滴下し、1時間加熱攪拌した。その後、室温まで冷却して白色粉末状反応生成物を濾別洗浄して、100℃で24時間真空加熱乾燥して硫酸ジメラミン[(b1):熱重量減少量=9.5重量%、水溶解度(20℃)=0.15g/100g、1重量%濃度の水スラリーpH(20℃)=4.1、硫酸の硫黄原子/メラミンのモル比率=1/1.9、平均粒子径=19μm]を得た。得られた硫酸ジメラミン(b1)の走査型顕微鏡(SEM)写真(1000倍、5000倍)を図1及び図2に示す。
(調製例2)
メラミン250gに70重量%メタンスルホン酸水溶液130gを攪拌しながら徐々に滴下し、90℃で0.5時間加熱攪拌した。反応後、水分をエバポレータで除去し、さらに、100℃で24時間真空加熱乾燥して白色粉末のメタンスルホン酸メラミン[(b2):熱重量減少量=15重量%、水溶解度(20℃)=5g/100g以上、1重量%濃度の水スラリーpH(20℃)=6.5、メタンスルホン酸の硫黄原子/メラミンのモル比=1.0/2.1]を得た。次いで、この白色粉末を330℃で6時間焼成した後、粉砕してメタンスルホン酸メラミン・メラム・メレム複塩[(B2−1):熱重量減少量=0.08重量%、水溶解度(20℃)=0.10g/100g水、1重量%濃度の水性スラリーpH(20℃)=5.5、メタンスルホン酸の硫黄原子/メラムのモル比=1.0/1.0、メラミン/メラム/メレムのモル比(高速液体クロマトグラフィー)=0.5/99.0/0.4、平均粒子径=13μm]を得た。
B3−2:調製例2に記載の100℃で24時間真空加熱乾燥したメタンスルホン酸メラミン(b2)。
(芳香族系樹脂C1)
C1−1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂[エピコート1004K、油化シェルエポキシ(株)製]。
C2−1:レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシリルホスフェート)
C2−2:1,4−ピペラジンジイルテトラフェニルホスフェート
C2−3:フェノキシホスファゼン[環状3量体]
C2−4:メチルエチルホスフィン酸アルミニウム
(窒素含有化合物C3)
C3−1:メラミンシアヌレート。
D−1:ペンタエリスリトール テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート][Irganox1010、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
[安定剤E]
(リン系安定剤E1)
E1−1:テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト[サンドスタブP−EPQ、サンド(株)製]
E1−2:ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト[アデカスタブPEP36、アデカアーガス(株)製]
(反応性安定剤E2)
E2−1:ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル[エピコート828、油化シェルエポキシ(株)製]
E2−2:エチレン−グリシジルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体[モディパーA4200、日本油脂(株)製]
E2−3:ポリカルボジイミド[カルボジライトHMV−8CA、日清紡績(株)製]
E2−4:1,3−フェニレンビス(2−オキサゾリン)。
F−1:ポリテトラフルオロエチレン
[滑剤G]
G−1:モンタン酸エステル[LUZA WAX−P、東洋ペトロライト(株)製]
G−2:ポリエチレンワックス[サンワックス、三洋化成(株)製]
[充填剤H]
H−1:直径10μm、長さ3mmのガラスチョップドストランド。
上記成分を表1及び表2に示す割合(重量部)で混合し、30mmΦ二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX30:シリンダー温度=260℃、スクリュー回転数=100rpm、吐出量=10kg/時間]を用いてストランド状に押出し、カッティングを行いペレット状の樹脂組成物を調製した。尚、ガラス充填剤は折損を避ける為に押出機のサイドより途中フィードした。次いで、このペレット状の樹脂組成物を、射出成形機を用いて成形することにより試験用成形品を作製し、特性を評価した。結果を表1及び表2に示す。
Claims (16)
- ベース樹脂(A)、及びアミノ基含有トリアジン化合物と、硫酸及びスルホン酸から選択された少なくとも一種との塩で構成された難燃剤(B)を含む難燃性樹脂組成物であって、前記難燃剤(B)として、下記(1)〜(3)の要件を充足する難燃剤を用いて調製された難燃性樹脂組成物。
(1)窒素気流下、昇温速度20℃/分で30℃から250℃まで昇温したとき、加熱重量減少量が8重量%以下である
(2)20℃において、水に対する溶解度が5g/100g以下である
(3)20℃において、1重量%濃度の水性スラリーがpH3〜7である - ベース樹脂(A)が、ポリエステル系樹脂で構成されている請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
- ベース樹脂(A)が、1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、C2-4アルキレンテレフタレート及びC2-4アルキレンナフタレートから選択された少なくとも1種の単位を有するホモ又はコポリエステルを含む請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
- ベース樹脂(A)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びイソフタル酸変性ポリブチレンテレフタレートから選択された少なくとも1種である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
- ベース樹脂(A)が、ポリエチレンテレフタレートと、ポリプロピレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートから選択された少なくとも一種との組み合わせである請求項1記載の難燃樹脂組成物。
- ベース樹脂(A)が、ポリエステル系樹脂及びスチレン系樹脂で構成されている請求項1記載の難燃樹脂組成物。
- 難燃剤(B)が、硫黄原子1モルに対して1.6〜2.2モルのメラミンを有する硫酸(ジ)メラミン(B1)、及び/又は硫黄原子1モルに対して0.9〜1.3モルのメラムを有するメタンスルホン酸メラミン・メラム・メレム複塩(B2)である請求項1記載の難燃樹脂組成物。
- 難燃剤(B)が、最大粒径15μm以下であり、かつ針状、柱状及び板状から選択された少なくとも一種の形状を有するとともに、ベース樹脂(A)マトリックス中に分散している請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
- 難燃剤(B)の一部が、短径0.5μm以下であり、かつ針状及び/又は柱状の形状を有するとともに、ベース樹脂(A)マトリックス中に分散している請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
- 難燃剤(B)の割合が、ベース樹脂(A)100重量部に対して5〜100重量部である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
- さらに、酸化防止剤、安定剤、滑剤、充填剤、ドリッピング防止剤、及び難燃助剤から選択された少なくとも一種を含む請求項1記載の難燃樹脂組成物。
- さらに、活性水素原子に対して反応性の官能基を有する反応性安定剤及び/又はリン系難燃助剤を含む請求項1記載の難燃樹脂組成物。
- 反応性安定剤が、エポキシ系反応性安定剤、オキサゾリン系反応性安定剤、及びカルボジイミド系反応性安定剤から選択された少なくとも一種の反応性安定剤であり、リン系難燃助剤が、縮合リン酸エステル、縮合リン酸エステルアミド、ホスファゼン化合物、有機ホスホン酸化合物、及び有機ホスフィン酸化合物から選択された少なくとも一種の難燃助剤である請求項12載の難燃樹脂組成物。
- 請求項1記載の難燃性樹脂組成物で形成された成形体であって、電気又は電子部品、オフィスオートメーション機器部品、自動車部品、あるいは機械機構部品である成形体。
- 比較トラッキング指数が300V以上であり、かつ厚み0.8mmにおけるUL94規格の燃焼性がV−2、V−1又はV−0である請求項14記載の成形体。
- 要件(1)〜(3)を充足する難燃剤を用いて、請求項1記載の難燃性樹脂組成物を製造する方法。
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