JPWO2017073629A1 - ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

耐ヒートショック性を低下させることなく、変色を効果的に抑制することができるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を提供する。本発明に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、色差計を用いて測定される明度L*値が80以上の成形品を構成するためのポリブチレンテレフタレート樹脂組成物であって、末端カルボキシル基量が30meq/kg以下であるポリブチレンテレフタレート樹脂と、カルボジイミド化合物と、ホスファイト系化合物とを含み、ホスファイト系化合物の含有量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して0.05質量部以上0.15質量部以下である。

Description

本発明は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に関するものであり、より詳しくは、色差計を用いて測定される明度L値が80以上の成形品を構成するためのポリブチレンテレフタレート樹脂組成物である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、機械的特性、電気的特性、その他の物理的、化学的性質に優れており、また加工性が良好であるがゆえに、エンジニアリングプラスチックとして、電気・電子部品等の広範な用途に使用されている。また、ポリブチレンテレフタレート樹脂にガラス繊維等の繊維状充填剤を配合した樹脂組成物により、強化成形品とすることで、耐熱性と強度を向上させることも行われている。
このようなポリブチレンテレフタレート樹脂は、例えば自動車分野では、電気制御に使用されるセンサーやECUのハウジング材料として使用されることが多い。これらの製品では、低そり性が必要なため、ポリカーボネート等の非晶性樹脂によるアロイ化や、アスペクト比の高いフレーク状や粉状の無機充填剤を添加することが多い。
一方、自動車エンジンルーム等の温度昇降の激しい環境に設置される部品(インサート成形品)では、金属と樹脂の線膨張差から生じる歪によりクラックが発生することを防止するため、エラストマー等により靱性を改良することが多い。しかしながら、十分な耐ヒートショック性を達成するには多量のエラストマーを配合する必要があり、強度が低下するという問題があった。例えば、上述のように低そり性を達成するために、ポリカーボネート等の非晶性樹脂によるアロイ化や、アスペクト比の高いフレーク状や粉状の無機充填剤を添加した系では、特に、耐ヒートショック性が低下する傾向にあった。
これを解決するために、例えば特許文献1では、ポリブチレンテレフタレート樹脂に対して、特定量のカルボジイミド化合物が配合されたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が提案されている。この樹脂組成物によれば、その成形品に優れた耐ヒートショック性を付与することができる。
また、このようにポリブチレンテレフタレート樹脂にカルボジイミド化合物を配合することで、耐加水分解性を向上させることができることも広く知られている。
しかしながら、ポリブチレンテレフタレート樹脂に対してカルボジイミド化合物を配合したポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形品を、高温環境下で使用する場合、熱によりカルボジイミドが黄変し、その結果、成形品の変色が問題となる。例えば、耐ヒートショック性が求められる自動車部品としては、黒色部品が通常用いられるものの、成形品の色目が淡色系である場合には、変色によりその製品価値を著しく低下させる。
熱による変色を防止するために、例えばリン系安定剤等を添加することも考えられるが、リン系安定剤を添加すると、通常、耐ヒートショック性の向上効果が阻害されてしまう。
国際公開第2009/150833号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、耐ヒートショック性を低下させることなく、変色を効果的に抑制することができるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、末端カルボキシル基量が30meq/kg以下のポリブチレンテレフタレート樹脂に、カルボジイミド化合物と、特定量のホスファイト系化合物とを配合させることにより、優れた耐ヒートショック性を維持しながら、熱による変色を防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、色差計を用いて測定される明度L値が80以上の成形品を構成するためのポリブチレンテレフタレート樹脂組成物であって、末端カルボキシル基量が30meq/kg以下であるポリブチレンテレフタレート樹脂と、カルボジイミド化合物と、ホスファイト系化合物とを含み、前記ホスファイト系化合物の含有量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して0.05質量部以上0.15質量部以下であるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記カルボジイミド化合物の含有量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下である、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記成形品は、下記の耐ヒートショック試験により測定される耐ヒートショック性が300サイクル以上であり、120℃×1000時間の冷熱処理前後に色差計を用いて測定される色目b値の処理前後の増加量が5以下である、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物である。
[耐ヒートショック試験]
成形品について、冷熱衝撃試験機を用いて140℃にて1時間30分加熱後、−40℃に降温して1時間30分冷却し、その後さらに140℃に昇温する過程を1サイクルとし、成形品にクラックが入るまでのサイクル数を測定し、耐ヒートショック性を評価した。
(4)本発明の第4の発明は、第3の発明において、前記成形品は、120℃×1000時間の冷熱処理後に色差計を用いて測定される色目b値が10以下である、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物である。
本発明によれば、耐ヒートショック性を低下させることなく、変色を効果的に抑制することができるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を提供することができる。
実施例、比較例における、120℃での冷熱処理時間に対する色相b値の測定結果を示すグラフ図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲で変更が可能である。
≪1.ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物≫
本発明に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう)は、色差計を用いて測定される明度L値が80以上の成形品を構成するためのものであって、特に、自動車部品や電気電子部品等の耐ヒートショック性が求められる成形品を構成するためのものである。
具体的に、このポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と、(B)カルボジイミド化合物とを含むものである。そして、本発明に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物では、ポリブチレンテレフタレート樹脂と、カルボジイミド化合物とを含む樹脂組成物に、特定量のホスファイト系化合物を含有させることを特徴としている。
自動車部品等の成形品として、機械的、電気的、またはその他の物理的、化学的性質に優れたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から構成される成形品が多く使用されており、さらに温度昇降の激しい環境下で使用されることから、カルボジイミド化合物を含有させて耐ヒートショック性を向上させている。しかしながら、このようなカルボジイミド化合物を含有させたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物では、得られる成形品において、熱により黄色等に変色してしまうという問題がある。そして、その変色は、成形品の明度が高いほど、例えば色差計を用いて測定される明度L値が80以上の成形品であるほど、変色の問題が顕著となり、成形品の製品価値が低下する要因となる。
本発明者らは、ポリブチレンテレフタレート樹脂に対してカルボジイミド化合物を添加してなる樹脂組成物において、特定量のホスファイト系化合物を含有させることによって、その成形品の耐ヒートショック性を維持しながら、熱による変色を効果的に防止できることを見出した。以下、各構成成分について具体的に説明する。
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂
本発明に係る樹脂組成物の基礎樹脂であるポリブチレンテレフタレート樹脂は、少なくともテレフタル酸又はそのエステル形成誘導体(低級アルコールエステル等)を含むジカルボン酸成分と、少なくとも炭素数4のアルキレングリコール(1,4−ブタンジオール)又はそのエステル形成誘導体を含むグリコール成分とを重縮合して得られるポリブチレンテレフタレート系重合体である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂としては、ホモポリブチレンテレフタレート樹脂に限られず、例えば、ブチレンテレフタレート単位を60モル%以上(特に75〜95モル%程度)の割合で含有する共重合体であってもよい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂としては、特に限定されないが、その末端カルボキシル基量が30meq/kg以下のものであり、好ましくは25meq/kg以下のものである。ここで、末端カルボキシル基量については、例えば、以下のようにして測定することができる。すなわち、ポリブチレンテレフタレートの粉砕試料をベンジルアルコール中において215℃の温度条件で10分間溶解した後、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液にて滴定を行うことによって測定することができる。
末端カルボキシル基量が30meq/kgを超えるポリブチレンテレフタレート樹脂を用いると、後述するカルボジイミド化合物の添加量を如何に制御しても、耐ヒートショック性の向上効果が低下する。また、湿熱環境下で加水分解による強度低下が大きくなることがある。
また、末端カルボキシル基量の下限値としては、特に限定されないが、一般的に5meq/kg未満のものは製造が困難であり、また5meq/kg未満のものではカルボジイミド化合物との反応が十分に進まず、耐ヒートショック性の向上効果が十分に得られない可能性がある。このことから、ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量としては、5meq/kg以上が好ましく、10meq/kg以上がより好ましい。
また、ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)としては、特に限定されないが、0.65dL/g以上1.20dL/g以下であることが好ましく、0.75dL/g以上1.0dL/g以下であることがより好ましい。固有粘度が、好ましくは0.65dL/g以上1.20dL/g以下の範囲であることにより、例えばインサート成形品に必要な成形時における流動性が得られやすくなる。なお、異なる固有粘度を有するポリブチレンテレフタレート樹脂をブレンドすることによって、所望とする固有粘度を有するポリブチレンテレフタレート樹脂となるようにしてもよい。例えば、固有粘度が1.00dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂と、固有粘度が0.70dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂とをブレンドすることで、0.90dL/g以下の固有粘度を実現してもよい。なお、固有粘度については、例えば、o−クロロフェノール中において温度35℃の条件で測定できる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂において、テレフタル酸及びそのエステル形成誘導体以外のジカルボン酸成分(コモノマー成分)としては、例えば、芳香族ジカルボン酸成分(イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等などのC6〜C12アリールジカルボン酸等)、脂肪族ジカルボン酸成分(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC4〜C16アルキルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のC5〜C10シクロアルキルジカルボン酸等)、又はそれらのエステル形成誘導体等が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
その中でも、好ましいジカルボン酸成分(コモノマー成分)として、芳香族ジカルボン酸成分(特に、イソフタル酸等のC6〜C10アリールジカルボン酸)、脂肪族ジカルボン酸成分(特に、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC6〜C12アルキルジカルボン酸)が挙げられる。
1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分(コモノマー成分)としては、例えば、脂肪族ジオール成分〔例えば、アルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−オクタンジオールなどのC2〜C10アルキレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのポリオキシC2〜C4アルキレングリコール等)、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールAなどの脂環式ジオール等〕、芳香族ジオール成分〔ビスフェノールA、4,4−ジヒドロキシビフェニルなどの芳香族アルコール、ビスフェノールAなどのC2〜C4アルキレンオキサイド付加体(例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体など)等〕、又はそれらのエステル形成誘導体等が挙げられる。これらのグリコール成分も、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
その中でも、特に好ましいグリコール成分(コモノマー成分)として、脂肪族ジオール成分(特に、C2〜C6アルキレングリコール、ジエチレングリコールなどのポリオキシC2〜C3アルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオール)が挙げられる。
上述した化合物をモノマー成分とした重縮合により生成するポリブチレンテレフタレート系重合体は、いずれもポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を構成するポリブチレンテレフタレート樹脂成分として好適に使用することができる。また、ホモポリブチレンテレフタレート重合体と、ポリブチレンテレフタレート共重合体との併用も有用である。
(B)カルボジイミド化合物
本発明に係る樹脂組成物においては、上述したポリブチレンテレフタレート樹脂に対して、カルボジイミド化合物を配合してなる。このようにカルボジイミド化合物を含有させることにより、耐ヒートショック性を向上させることができ、例えば温度昇降の激しい環境下においても線膨張差から生じる歪によるクラックの発生等を効果的に抑制することができる。また、耐加水分解性も向上させることができ、樹脂成分等の分解を抑制して、強度の低下等を防ぐことができる。
カルボジイミド化合物は、分子中にカルボジイミド基(−N=C=N−)を有する化合物である。カルボジイミド化合物としては、主鎖が脂肪族の脂肪族カルボジイミド化合物、主鎖が脂環族の脂環族カルボジイミド化合物、主鎖が芳香族の芳香族カルボジイミド化合物等が挙げられ、いずれも使用できるが、その中でも、耐ヒートショック性の向上効果と、耐加水分解性の向上効果がより優れているという点で、芳香族カルボジイミド化合物が好ましい。
具体的に、脂肪族カルボジイミド化合物としては、ジイソプロピルカルボジイミド、ジオクチルデシルカルボジイミド等が挙げられる。また、脂環族カルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド等が挙げられる。これらの単官能の脂肪族カルボジイミド化合物や脂環族カルボジイミドの他に、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートから選ばれる1種又は2種以上を脱炭酸縮合反応させることにより合成することができる多官能カルボジイミドを使用してもよい。
また、芳香族カルボジイミド化合物としては、ジフェニルカルボジイミド、ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N’−フェニルカルボジイミド、ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、ジ−p−クロルフェニルカルボジイミド、ジ−p−メトキシフェニルカルボジイミド、ジ−3,4−ジクロルフェニルカルボジイミド、ジ−2,5−ジクロルフェニルカルボジイミド、ジ−o−クロルフェニルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジ−o−トリイルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジ−p−クロルフェニルカルボジイミド、エチレン−ビス−ジフェニルカルボジイミドなどのモノ又はジカルボジイミド化合物、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,5’−ジメチル−4,4’−ビフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(3,5’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(1,3−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1−メチル−3,5−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)などのポリカルボジイミド化合物が挙げられる。これらの中でも、特に、ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(フェニレンカルボジイミド)、及びポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)が好適に使用される。なお、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、カルボジイミド化合物としては、特に限定されないが、分子量が2000以上のものを使用することが好ましい。分子量が2000未満のものであると、溶融混練時や成形時に滞留時間が長い場合等にガスや臭気が発生するおそれがある。
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、カルボジイミド化合物の配合量としては、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上3.0質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以上2.5質量部以下であることがさらに好ましい。
カルボジイミド化合物の配合量が0.01質量部未満であると、耐ヒートショック性の向上効果が十分に得られない可能性がある。また、耐加水分解性の効果も十分に得られない。一方で、配合量が5.0質量部を超えると、流動性の低下や、コンパウント時や成形加工時にゲル成分や炭化物の生成が起こりやすくなり、引張り強度や曲げ強さ等の機械特性が低下することがある。また、カルボジイミド化合物に由来するイソシアネートガスの発生量が増加し、作業環境の悪化を招く可能性がある。
(C)ホスファイト系化合物
本発明に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物では、ホスファイト系化合物を含有し、その含有量がポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して0.05質量部以上0.15質量部以下である。
本発明に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物では、このように特定量のホスファイト系化合物を含有させることで、カルボジイミド化合物を含有させたことによる耐ヒートショック性の向上効果を損なわせることなく、成形品の熱による変色を効果的に防止することができる。
具体的に、ホスファイト系化合物としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
ホスファイト系化合物の含有量は、上述したように、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して0.05質量部以上0.15質量部以下である。また、好ましくは、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して0.08質量部以上0.12質量部以下である。含有量が0.05質量部未満では、熱による変色を十分に抑制することができない。一方で、含有量が0.15質量部を超えると、成形品の耐ヒートショック性を低下させる可能性があり、また耐加水分解性が低下する可能性もある。
ここで、従来、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物においては、反り変形を抑制する等の目的で、主成分のポリブチレンテレフタレート樹脂に対して、ポリカーボネート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリブチレンテレフタレート樹脂以外のポリエステル樹脂を含有させてアロイ化することが行われている。そして、このようなポリエステル樹脂をアロイ化したポリブチレンテレフタレート樹脂組成物では、リン化合物を添加することによって、そのリン化合物をエステル交換反応抑制剤として作用させ、ポリブチレンテレフタレート樹脂とアロイ樹脂とのエステル交換反応を抑制することが行われている。ただし、特許文献1(国際公開第2009/150833号公報)や特開2006−111693号公報といった文献からも分かる通り、ポリブチレンテレフタレート樹脂をポリカーボネート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂とアロイ化すると、耐ヒートショック性や耐加水分解性の低下につながりうる。そのため、本発明に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物では、ポリカーボネート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂等を含有せずアロイ化しないものであることが好ましく、したがって、(C)ホスファイト系化合物は、エステル交換反応を抑制するために添加する、エステル交換反応抑制剤としてのリン化合物とは異なるものである。
(D)充填剤
本発明に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物においては、添加剤として、充填剤を配合することができる。樹脂組成物において、充填剤を配合することにより、機械的強度や剛性を高めることができる。
充填剤としては、繊維状充填剤、又は、板状、粉状、球状等の非繊維状充填剤が挙げられる。
繊維状充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、金属繊維、有機繊維等が挙げられる。その中でも、ガラス繊維を用いることが好ましい。
具体的に、ガラス繊維としては、公知のガラス繊維がいずれも好ましく用いられ、ガラス繊維径や、円筒、繭形断面、長円断面等の形状、あるいはチョップドストランドやロービング等の製造に用いる際の長さやガラスカットの方法にはよらない。また、ガラスの種類に関しても特に限定されないが、品質上、Eガラスや、組成中にジルコニウム元素を含む耐腐食ガラスが好適に用いられる。
また、繊維状充填剤と樹脂との界面特性を向上させる目的で、アミノシラン化合物やエポキシ化合物等の有機処理剤で表面処理された繊維状充填剤を好適に用いることができる。このような繊維状充填剤に用いられるアミノシラン化合物やエポキシ化合物としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。
また、非繊維状充填剤としては、タルク、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭酸カルシウム等が挙げられ、その中でも、タルク、マイカが好ましい。
樹脂組成物において、充填剤の配合量としては、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、0質量部以上100質量部以下であることが好ましく、10質量部以上50質量部以下であることがより好ましい。配合量がこのような範囲であれば、成形性を損なわずに機械的特性を向上させることができる。
(E)その他
本発明に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物においては、上述した添加剤のほか、更にその目的に応じて所望の特性を付与するため、一般に熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂等に添加される公知の物質を添加することができる。例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、染料や顔料等の着色剤、可塑剤、流動性向上剤、結晶化促進剤、結晶核剤、エポキシ化合物等の耐加水分解性向上剤、滑剤、離型剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。
≪2.ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の調製方法≫
本発明に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、従来の樹脂組成物の調製法と同様にして、一般に用いられる設備と方法により容易に調製することができる。
具体的には、例えば、樹脂組成物を構成する各成分を混合し、1軸又は2軸の押出機又はその他の溶融混練装置を使用して混練し、成形用ペレットとして調製することができる。押出機又はその他の溶融混練装置は複数台使用してもよい。また、全ての成分をホッパーから同時に投入してもよいし、一部の成分はサイドフィード口から投入してもよい。
押出機により練り込んでペレット化する場合、押出機中での樹脂温度が好ましくは240℃〜300℃、より好ましくは250℃〜270℃となるように押出機シリンダー温度を設定する。樹脂温度が240℃より低いと、ポリブチレンテレフタレート樹脂とカルボジイミド化合物との反応が不十分となり、耐ヒートショック性や耐加水分解性が十分に発揮されない可能性がある。一方で、樹脂温度が300℃を超えると、樹脂の分解が生じやすくなるおそれがある。
また、例えば、樹脂組成物を構成する(B)カルボジイミド化合物については、樹脂をマトリックスとするマスターバッチとして配合することもできる。ポリブチレンテレフタレート樹脂によるマスターバッチが好適に用いられるが、他の樹脂によりマスターバッチとして調製されたものを使用してもよい。具体的に、例えばポリブチレンテレフタレート樹脂によるマスターバッチの場合、その樹脂の配合量やカルボジイミド化合物の配合量が所定の範囲内になるように調整すればよい。また、マスターバッチは、溶融混練時に予め投入し、均一ペレットとしてもよい。
≪3.ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の特性≫
本発明に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物では、その樹脂組成物を用いて成形して得られる成形品に対して優れた耐ヒートショック性や耐加水分解性を付与する。すなわち、温度昇降の激しい環境下においても、線膨張差から生じる歪によるクラックの発生等を効果的に抑制することができ、また、樹脂成分等の分解を抑制して、強度の低下等を防ぐことができる。
さらに、本発明に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物では、上述した耐ヒートショック性を維持しながら、熱による黄変等への変色を効果的に抑えることができる。
より具体的には、このポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形して得られる成形品に対して、耐ヒートショック試験により測定される耐ヒートショック性が300サイクル以上であり、しかも、120℃×1000時間の冷熱処理前後に色差計を用いて測定される色目b値の処理前後での増加量が5以下となる。また、その120℃×1000時間の冷熱処理後の色目b値は10以下である。本発明に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、上述したように、色差計を用いて測定される明度L値が80以上の成形品を構成するためのものであり、そのような明度の比較的高い成形品は、熱による黄色等への変色が顕著に現れる。特に、初期の色目b値に対して、冷熱処理後の色目b値の増加量が5を超える場合、目視で認識できるほどの顕著な変色となる。しかしながら、本発明に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物によれば、得られる成形品の熱による黄変等への変色を効果的に抑えることができる。
なお、耐ヒートショック性については、以下のような耐ヒートショック試験により評価することができる。すなわち、樹脂組成物を用いて成形されるインサート成形品等の成形品について、冷熱衝撃試験機を用いて140℃にて1時間30分間加熱後、−40℃に降温して1時間30分間冷却し、その後さらに140℃に昇温する過程を1サイクルとし、成形品にクラックが入るまでのサイクル数を測定することで、そのサイクル数に基づいて耐ヒートショック性を評価することができる。
このように、本発明に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、自動車部品等の温度昇降の激しい環境下で使用される成形品を構成するためのものとして特に有用であり、高温状態に曝されても、耐ヒートショック性を維持しながら、黄変等の変色を効果的に抑制することができ、成形品の製品価値の低下を防ぐことができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1、比較例1〜7
[樹脂組成物の作製]
下記表1に示す成分を秤量した後ドライブレンドし、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製,TEX−30)を用いて溶融混練し、ペレットを作製した(シリンダー温度260℃、吐出量15kg/h、スクリュー回転数150rpm)。
ここで、樹脂組成物の構成成分としては、以下の通りのものを用いた。
(A)ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂
・(A−1)ウィンテックポリマー株式会社製、固有粘度0.83、末端カルボキシル基量14meq/kg
(B)カルボジイミド化合物
・(B−1)芳香族カルボジイミド化合物;ラインケミージャパン株式会社製、スタバックゾールP400
(C)ホスファイト系化合物
・(C−1)ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト;株式会社ADEKA製、アデカスタブPEP36
(C’)その他のリン化合物
・(C’−1)テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンホスホナイト;クラリアントジャパン株式会社製、Hostanox P−EPQ
・(C’−2)リン酸二水素カルシウム;太平化学産業株式会社製、工業用第一リン酸カルシウム
・(C’−3)リン酸二水素ナトリウム;米山化学工業株式会社製、リン酸一ナトリウム
(D)繊維状充填剤
・(D−1)ガラス繊維;日本電気硝子株式会社製、ECS03−T127
[成形品の評価]
(耐ヒートショック性)
作製したペレットを用いて、樹脂温度260℃、金型温度65℃、射出時間25秒、冷却時間10秒で、試験片成形用金型(縦22mm、横22mm、高さ51mmの角柱内部に、縦18mm、横18mm、高さ30mmの鉄芯をインサートする金型)に、一部の樹脂部の最小肉厚が1mmとなるようにインサート射出成形し、インサート成形品を製造した。得られたインサート成形品について、冷熱衝撃試験機を用いて140℃にて1時間30分加熱後、−40℃に降温して1時間30分冷却し、その後さらに140℃に昇温する過程を1サイクルとする耐ヒートショック試験を行った。この試験より、成形品にクラックが入るまでのサイクル数を測定し、耐ヒートショック性を評価した。
(明度L値の測定)
上述のようにして得られたインサート成形品について、日本電色工業株式会社製の分光色差計(日本電色工業株式会社製,SE6000)を用いて、JIS Z 8722:2009に規定される分光測光器による反射物体の測定方法に基づき測色し、その結果に基づき、JIS Z 8730−4:2013に規定されるCIE 1976 L色空間に基づく明度L値を求めた。
(色目b値の測定)
上述のようにして得られたインサート成形品に対して、冷熱衝撃試験機を用いて120℃にて加熱し、冷熱処理前、1000時間後のそれぞれにおける成形品について分光色差計(日本電色工業株式会社製,SE6000)にて色目b値の測定を行った。また、冷熱処理前後でのb値の増加量(処理後のb値から処理前のb値を引いた値)を求めた。なお、b値は、JIS Z 8781−4:2013に規定されるCIE 1976 L色空間の黄色度の指標であり、値が小さいほど成形品の黄変度が低く、処理後のb値と処理前のb値との差が小さいほど黄変が少なく好ましい。
なお、図1は、実施例1、比較例4、5、7における、120℃での冷熱処理時間に対する色相b値の測定結果を示すグラフ図である。
Figure 2017073629
表1に示す結果から分かるように、ポリブチレンテレフタレート樹脂と、カルボジイミド化合物とを含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物では(比較例1)、冷熱処理により変色が生じることが分かった。
これに対して、実施例1の結果に示されるように、ポリブチレンテレフタレート樹脂と、カルボジイミド化合物とを含む樹脂組成物に、ホスファイト系化合物を添加したポリブチレンテレフタレート樹脂組成物では、その樹脂組成物からなる成形品は優れた耐ヒートショック性を維持しながら、冷熱処理後の色目b値の差も小さく変色が抑制されていた。
しかしながら、比較例2の結果に示されるように、ホスファイト系化合物を添加したものの、その含有量がポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して0.03質量部であるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物では、冷熱処理による変色を抑制できず、黄変が確認された。また、比較例3の結果に示されるように、ホスファイト系化合物の含有量がポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して0.2質量部であるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物では、耐ヒートショック性が低下することが分かった。
さらに、比較例4〜比較例7の結果に示されるように、ポリブチレンテレフタレート樹脂と、カルボジイミド化合物とを含む樹脂組成物に、ホスファイト系化合物以外のリン系化合物を添加したポリブチレンテレフタレート樹脂組成物では、冷熱処理による変色を十分に抑制できず、黄変が確認された。なお、比較例6では、変色抑制に必要な量のリン系化合物を添加すると、耐ヒートショック性が極端に低下することが分かる。このため、そのようなリン化合物を添加する際は、耐ヒートショック性を維持するために、リン系化合物の添加量を少なくせざるを得ないことになるが、その場合、比較例5の結果に示されるように、ホスファイト系化合物以外のリン系化合物では、十分に変色を抑制することが困難になることが分かる。

Claims (4)

  1. 色差計を用いて測定される明度L値が80以上の成形品を構成するためのポリブチレンテレフタレート樹脂組成物であって、
    末端カルボキシル基量が30meq/kg以下であるポリブチレンテレフタレート樹脂と、カルボジイミド化合物と、ホスファイト系化合物とを含み、
    前記ホスファイト系化合物の含有量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して0.05質量部以上0.15質量部以下である
    ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  2. 前記カルボジイミド化合物の含有量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下である
    請求項1に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  3. 前記成形品は、下記の耐ヒートショック試験により測定される耐ヒートショック性が300サイクル以上であり、120℃×1000時間の冷熱処理前後に色差計を用いて測定される色目b値の処理前後の増加量が5以下である
    請求項1又は2に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
    [耐ヒートショック試験]
    成形品について、冷熱衝撃試験機を用いて140℃にて1時間30分加熱後、−40℃に降温して1時間30分冷却し、その後さらに140℃に昇温する過程を1サイクルとし、成形品にクラックが入るまでのサイクル数を測定し、耐ヒートショック性を評価した。
  4. 前記成形品は、120℃×1000時間の冷熱処理後に色差計を用いて測定される色目b値が10以下である
    請求項3に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
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