JP2010006965A - 難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃性と、成形加工性に優れ、また、高温多湿雰囲気下においてもブリードアウトが発生し難くい成形品を得ることを目的とし、機械機構部品、電気・電子部品および自動車部品として有用な成形品を提供する。
【解決手段】熱可塑性ポリエステル樹脂に対し、(1)式の構造を有する芳香族リン酸エステル化合物と分子量100〜500のリン酸エステル化合物からなるリン系難燃剤を配合してなる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
Figure 2010006965

(上式において、Ar、Ar、Ar、Arは、同一または相異なる、ハロゲンを含有しない芳香族基を表す。また、Xはビフェニレ基または原子団を介して連結されたビスフェニレン基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であり、難燃性と成形加工性に優れ、また、高温多湿雰囲気下においてもブリードアウトが発生し難く、機械機構部品、電気・電子部品および自動車部品として有用な成形品に関するものである。
芳香族ポリエステル樹脂は、その優れた機械物性などの諸特性を生かし、機械機構部品、電気・電子部品および自動車部品などの幅広い分野に利用されている。
芳香族ポリエステル樹脂は本質的に可燃性であるため、機械機構部品、電気・電子部品、自動車部品などの工業用材料として使用するには一般の化学的、物理的諸特性のバランス以外に火炎に対する安全性、すなわち難燃性が要求され、UL−94規格のV−0を示す高度な難燃性が必要とされる場合が多い。
芳香族ポリエステル樹脂に難燃性を付与する方法としては、難燃剤としてハロゲン系有機化合物、さらに難燃助剤としてアンチモン化合物を樹脂にコンパウンドする方法が一般的であるが、環境意識の高まりから、ハロゲン系難燃材料の環境に及ぼす影響を懸念する動きがあり、近年これらハロゲンを全く含まない非ハロゲン系難燃剤を用いることが強く望まれるようになった。
例えば、特許文献1には、非ハロゲン系難燃剤として、本発明の(B)(b2)成分のリン化合物であるトリフェニルホスフェートとメラミンシアヌレートを配合することが開示され、難燃性と成形加工性に優れるものの、耐熱性の低下と高温多湿雰囲気下におけるブリードアウトが課題であった。
また、特許文献2には、熱可塑性ポリエステル、ポリフェニレンエーテルおよびポリフェニレンスルフィドの混合物に本発明の(B)(b1)成分の芳香族燐酸エステルとメラミンシアヌレートを配合することが開示され、難燃性と耐熱性に優れ、高温多湿雰囲気下においてもブリードアウトは発生し難いものの、(B)(b2)成分を含有しないため、難燃性が不十分で配合量を多くする必要性と射出成形時の流動性に劣る傾向にあり、成形加工性に課題があった。
つまり、芳香族ポリエステル樹脂に適度な可塑性を付与する成分と高温多湿雰囲気下においてもブリードアウトが発生し難い芳香族燐酸エステルからなる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が求められていた。
特開平3−281652号公報(特許請求の範囲、実施例) 特許第3484803号公報(特許請求の範囲)
本発明は、特定式の芳香族燐酸エステル化合物と芳香族ポリエステル樹脂に対し可塑性を示すリン酸エステル化合物を特定量含有するリン系難燃剤を用いて、難燃性と成形加工性に優れ、また、高温多湿雰囲気下においてもブリードアウトが発生し難くい成形品を得ることを目的とし、機械機構部品、電気・電子部品および自動車部品として有用な成形品を提供することを課題とする。
すなわち本発明は、
1.(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(B)(b1)下記(1)式の芳香族リン酸エステル化合物99.7〜90重量%と(b2)分子量100〜500のリン酸エステル化合物0.3〜10重量%からなるリン系難燃剤1〜70重量部を配合してなる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、
Figure 2010006965
(上式において、Ar、Ar、Ar、Arは、同一または相異なる、ハロゲンを含有しない芳香族基を表す。また、Xは下記の(2)式の構造を示し、式中、Yは直接結合、O、S、SO、C(CH、CH、CHPhを表し、Phはフェニル基を表す。)
Figure 2010006965
2.前記、(B)(b2)成分がトリフェニルホスフェート、トリス(ジメチルフェニル)ホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジキシレニルホスフェートから選ばれる一種以上のリン酸エステル化合物である1に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、
3.さらに、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(C)難燃助剤1〜120重量部を配合してなる1〜2のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、
4.前記、(C)難燃助剤が窒素化合物系難燃剤、無機系難燃剤、シリコーン系難燃剤、フェノール樹脂、赤リンおよびホスフィン酸金属塩から選ばれる一種以上の難燃助剤である1〜3のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、
5.さらに、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(D)(A)熱可塑性ポリエステル樹脂以外の樹脂1〜120重量部を配合してなる1〜4のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、
6.さらに、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(E)アルカリ土類金属化合物を0.1〜3重量部配合してなる1〜5のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、
7.前記、(E)アルカリ土類金属化合物が水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムおよび炭酸カルシウムから選ばれる一種以上である1〜6のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、
8.UL94燃焼試験規格の垂直試験において、ノンドリップの燃焼挙動を示す1〜7のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、
9.1〜8のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物からなる機械機構部品、電気電子部品または自動車部品に用いられる成形品である。
本発明は、特定式の芳香族燐酸エステル化合物と芳香族ポリエステル樹脂に対し可塑性を示すリン酸エステル化合物を特定量含有するリン系難燃剤を用いることにより、難燃性と成形加工性に優れ、また、高温多湿雰囲気下においてもブリードアウトが発生し難く、機械機構部品、電気・電子部品および自動車部品として有用な成形品である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の(A)熱可塑性ポリエステル樹脂とは、(イ)ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体、(ロ)ヒドロキシカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体、(ハ)ラクトンから選択された一種以上を主構造単位とする重合体または共重合体である。
上記ジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
また、上記ジオールあるいはそのエステル形成性誘導体としては、炭素数2〜20の脂肪族グリコールすなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ダイマージオールなど、あるいは分子量200〜100000の長鎖グリコール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど、芳香族ジオキシ化合物すなわち、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFおよびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体を構造単位とする重合体または共重合体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリへキシレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリプロピレンイソフタレート、ポリブチレンイソフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンイソフタレート、ポリへキシレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリプロピレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート/ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート、ポリエチレンテレフタレート/シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート、ポリプロピレンテレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレングリコール、ポリプロピレンテレフタレート/ポリエチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレンテレフタレート/イソフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート/サクシネート、ポリプロピレンテレフタレート/サクシネート、ポリブチレンテレフタレート/サクシネート、ポリエチレンテレフタレート/アジペート、ポリプロピレンテレフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/アジペート、ポリエチレンテレフタレート/セバケート、ポリプロピレンテレフタレート/セバケート、ポリブチレンテレフタレート/セバケート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート/アジペート、ポリプロピレンテレフタレート/イソフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/サクシネート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/セバケートなどの芳香族ポリエステル樹脂、ポリエチレンオキサレート、ポリプロピレンオキサレート、ポリブチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリプロピレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリネオペンチルグリコールアジペート、ポリエチレンセバケート、ポリプロピレンセバケート、ポリブチレンセバケート、ポリエチレンサクシネート/アジペート、ポリプロピレンサクシネート/アジペート、ポリブチレンサクシネート/アジペートなどの脂肪族ポリエステル樹脂が挙げられる。
また、上記ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられ、これらを構造単位とする重合体または共重合体としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリグリコール酸/乳酸、ポリヒドロキシ酪酸/β−ヒドロキシ酪酸/β−ヒドロキシ吉草酸などの脂肪族ポリエステル樹脂が挙げられる。
また、上記ラクトンとしてはカプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどが挙げられ、これらを構造単位とする重合体または共重合体としては、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリプロピオラクトン、ポリカプロラクトン/バレロラクトンなどが挙げられる。
これらの中で、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主構造単位とする重合体または共重合体が好ましく、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主構造単位とする重合体または共重合体がより好ましく、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールから選ばれる脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主構造単位とする重合体または共重合体がさらに好ましく、中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリプロピレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート/ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/ナフタレートなどの芳香族ポリエステル樹脂が特に好ましく、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートから選ばれる一種以上の芳香族ポリエステル樹脂が最も好ましい。
本発明において、上記ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主構造単位とする重合体または共重合体中の全ジカルボン酸に対するテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体の割合が30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがさらに好ましい。
本発明において、熱可塑性ポリエステル樹脂として、溶融時に異方性を形成し得る液晶性ポリエステルを用いても良い。液晶性ポリエステルの構造単位としては、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位、芳香族イミノオキシ単位などが挙げられる
また、本発明において、流動性、機械物性の点で、2種類以上のポリエステル樹脂を用いることが好ましく、非液晶性ポリエステルと液晶性ポリエステルの組み合わせが特に好ましい。
本発明で用いる(A)熱可塑性ポリエステル樹脂のカルボキシル末端基量は、流動性、耐加水分解性および耐熱性の点で、50eq/t以下であることが好ましく、30eq/t以下であることがより好ましく、20eq/t以下であることがさらに好ましく、10eq/t以下であることが特に好ましい。下限は0eq/tである。なお、本発明において、(A)熱可塑性樹脂のカルボキシル末端基量は、o−クレゾール/クロロホルム溶媒に溶解させた後、エタノール性水酸化カリウムで滴定し測定した値である。
本発明で用いる(A)熱可塑性ポリエステル樹脂のヒドロキシル末端基量は、成形性および流動性の点で、50eq/t以上であることが好ましく、80eq/t以上であることがより好ましく、100eq/t以上であることがさらに好ましく、120eq/t以上であることが特に好ましい。上限は、180eq/tが好ましい。
本発明で用いる(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の粘度は、成形性の点で、o−クロロフェノール溶液を25℃で測定したときの固有粘度が0.36〜1.60dl/gの範囲であることが好ましく、0.50〜1.50dl/gの範囲であることがより好ましい。
本発明で用いる(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の分子量は、耐熱性の点で、重量平均分子量(Mw)8000を超え500000以下の範囲であることが好ましく、8000を超え300000以下の範囲であることがより好ましく、8000を超え250000以下の範囲であることがさらに好ましい。本発明において、ポリエステル樹脂のMwは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の値である。
本発明で用いる(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の製造方法は、公知の重縮合法や開環重合法などにより製造することができ、バッチ重合および連続重合のいずれでもよく、また、エステル交換反応および直接重合による反応のいずれでも適用することができるが、カルボキシル末端基量を少なくすることができ、かつ、流動性向上効果が大きくなるという点で、連続重合が好ましく、コストの点で、直接重合が好ましい。
本発明で用いる(A)熱可塑性ポリエステル樹脂が、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体である場合には、ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを、エステル化反応またはエステル交換反応し、次いで重縮合反応することにより製造することができる。なお、エステル化反応またはエステル交換反応および重縮合反応を効果的に進めるために、これらの反応時に重合反応触媒を添加することが好ましく、重合反応触媒の具体例としては、チタン酸のメチルエステル、テトラ−n−プロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステル、テトライソプロピルエステル、テトライソブチルエステル、テトラ−tert−ブチルエステル、シクロヘキシルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、トリルエステル、あるいはこれらの混合エステルなどの有機チタン化合物、ジブチルスズオキシド、メチルフェニルスズオキシド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキシド、シクロヘキサヘキシルジスズオキシド、ジドデシルスズオキシド、トリエチルスズハイドロオキシド、トリフェニルスズハイドロオキシド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイドおよびブチルヒドロキシスズオキシド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸、ブチルスタンノン酸などのアルキルスタンノン酸などのスズ化合物、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシドなどのジルコニア化合物、三酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモン化合物などが挙げられるが、これらの内でも有機チタン化合物およびスズ化合物が好ましく、さらに、チタン酸のテトラ−n−プロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステルおよびテトライソプロピルエステルが好ましく、チタン酸のテトラ−n−ブチルエステルが特に好ましい。これらの重合反応触媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。重合反応触媒の添加量は、機械特性、成形性および色調の点で、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.005〜0.5重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.2重量部の範囲がより好ましい。
本発明の(B)(b1)の芳香族リン酸エステル化合物とは、下記(1)式の芳香族リン酸エステル化合物である。
Figure 2010006965
(上式において、Ar、Ar、Ar、Arは、同一または相異なる、ハロゲンを含有しない芳香族基を表す。また、Xは下記の(2)式の構造を示し、式中、Yは直接結合、O、S、SO、C(CH、CH、CHPhを表し、Phはフェニル基を表す。)
Figure 2010006965
前記式(1)の式中(1)の式中のAr、Ar、Ar、Arは同一または相異なる、ハロゲンを含有しない芳香族基を表す。かかる芳香族基としては、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、インデン骨格、アントラセン骨格を有する芳香族基が挙げられ、なかでもベンゼン骨格、あるいはナフタレン骨格を有するものが好ましい。これらはハロゲンを含有しない有機残基(好ましくは炭素数1〜8の有機残基)で置換されていてもよく、置換基の数にも特に制限はないが、1〜3個であることが好ましい。具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ナフチル基、インデニル基、アントリル基などの芳香族基が挙げられるが、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基が好ましく、特にフェニル基、トリル基、キシリル基が好ましい。
なかでも下記化合物(3)、(4)が好ましく、特に化合物(3)は結晶性粉末として得られることから、配合時のハンドリング性に優れることから好ましく用いられる。
Figure 2010006965
Figure 2010006965
また、上記の芳香族リン酸エステルの市販品としては、大八化学工業(株)社製PX−202(分子量762)、CR−741(分子量693)、(株)アデカ社製FP−600(分子量693)などから選ばれる1種または2種以上が使用することができる。
本発明の(B)(b2)分子量100〜500のリン酸エステル化合物とは、前記(B)(b1)(1)式の芳香族リン酸エステル化合物より低分子量のリン酸エステル化合物が用いられ、成形加工性の観点から、分子量としては100〜500の範囲である。さらには、分子量は、300〜500の範囲が高温多湿雰囲気下でのブリードアウトが発生し難く、好ましい。
また、(B)(b2)分子量100〜500のリン酸エステル化合物の具体例としては、トリフェニルホスフェート(分子量326)、トリス(ジメチルフェニル)ホスフェート(分子量410)、トリキシレニルホスフェート(分子量410)、トリクレジルホスフェート(分子量368)、クレジルジフェニルホスフェート(分子量340)、クレジルジキシレニルホスフェート(分子量340)、トリメチルホスフェート(分子量140)およびトリエチルホスフェート(分子量182)から選ばれる一種以上のリン酸エステル化合物などが挙げられ、とくに分子量300〜500の範囲のトリス(ジメチルフェニル)ホスフェートやトリクレジルホスフェートが成形加工性と高温多湿雰囲気下でのブリードアウト発生のバランスに優れ、好ましく用いられる。
なかでも、トリス(ジメチルフェニル)ホスフェート(5)が好ましく、加水分解性に優れることから好ましく用いられる。
Figure 2010006965
また、(B)(b1)と(b2)の割合は、成形加工性および高温多湿雰囲気下におけるブリードアウトが発生し難いという観点から、(b1)99.7〜90重量%と(b2)0.3〜10重量%からなる割合であり、さらには、(b1)99.7〜95重量%と(b2)0.3〜5重量%からなる割合が耐熱性向上の観点から好ましい。
また、前記の(B)成分の配合量は、本発明(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、1〜70重量部であり、好ましくは、2〜60重量部、より好ましくは、3〜50重量部であり、1重量部未満では難燃性に効果がなく、70重量部を超すと耐熱性が低下する。
なお、(B)成分中に含まれる水分量は0.2重量%以下であることが加水分解性の観点から好ましく、(B)(b1)成分の合成時に生じる不純物量は5重量%以下であることが耐熱性の観点から好ましい。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、好ましくは、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(C)難燃助剤1〜120重量部を配合する。
本発明の(C)難燃助剤とは、(B)成分とともに(A)熱可塑性ポリエステル樹脂に配合して難燃性を向上させるものであり、窒素化合物系難燃剤、無機系難燃剤、シリコーン系難燃剤、フェノール樹脂、赤リンおよびホスフィン酸金属塩から選ばれる一種以上の難燃助剤が耐熱性やブリードアウトの観点から好ましく用いられる。
また、前記の(C)成分の配合量は、本発明(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、1〜120重量部であり、好ましくは、2〜110重量部、より好ましくは、3〜100重量部である。(C)成分の配合量が、1重量部未満では難燃助剤の効果がなく、120重量部を超すと機械特性が低下するため好ましくない。
上記の窒素化合物系難燃剤としては、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、含窒素複素環化合物、シアン化合物、脂肪族アミドや芳香族アミド、尿素、チオ尿素、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミンおよびホスファゼン化合物などを挙げることができる。
これらの窒素化合物系難燃剤の中では、ポリリン酸メラミン、ホスファゼン化合物およびメラミンシアヌレートなどのトリアジン化合物が好ましい。
前記の脂肪族アミン化合物としては、エチルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロオクタンなどを挙げることができる。
前記の芳香族アミン化合物としては、アニリン、フェニレンジアミンなどを挙げることができる。
前記の含窒素複素環化合物としては、尿酸、アデニン、グアニン、2,6−ジアミノプリン、2,4,6−トリアミノピリジン、トリアジン化合物などを挙げることができる。
含窒素複素環化合物において例示したトリアジン化合物は、トリアジン骨格を有する含窒素複素環化合物であり、トリアジン、メラミン、ベンゾグアナミン、メチルグアナミン、シアヌル酸、メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレート、トリメチルトリアジン、トリフェニルトリアジン、アメリン、アメリド、チオシアヌル酸、ジアミノメルカプトトリアジン、ジアミノメチルトリアジン、ジアミノフェニルトリアジン、ジアミノイソプロポキシトリアジンなどを挙げることができ、メラミンシアヌレートとメラミンイソシアヌレートが好ましく用いられる。前記のメラミンシアヌレートまたはメラミンイソシアヌレートとしては、シアヌール酸またはイソシアヌール酸とトリアジン化合物との付加物が好ましく、通常は1対1(モル比)、場合により1対2(モル比)の組成を有する付加物を挙げることができる。また、公知の方法で製造されるが、例えば、メラミンとシアヌール酸またはイソシアヌール酸の混合物を水スラリーとし、良く混合して両者の塩を微粒子状に形成させた後、このスラリーを濾過、乾燥後に一般には粉末状で得られる。また、上記の塩は完全に純粋である必要は無く、多少未反応のメラミンないしシアヌール酸、イソシアヌール酸が残存していても良い。また、分散性が悪い場合には、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどの分散剤やポリビニルアルコールおよびシリカなどの金属酸化物などの公知の表面処理剤などを併用してもよい。また、樹脂に配合される前の平均粒径は、成形品の難燃性、機械的強度、表面性の点から100〜0.1μmが好ましく、好ましくは50〜0.5μmであり、さらに好ましくは10〜1μmであり、平均粒径はレーザーミクロンサイザー法による累積分布50%粒子径で測定される平均粒径であり、日産化学(株)製MC−4000やMC−6000などが好ましく用いられる。
前記のシアン化合物としては、ジシアンジアミドなどを挙げることができる。
また、前記の脂肪族アミドや芳香族アミドとしては、N,N−ジメチルアセトアミドやN,N−ジフェニルアセトアミドなどを挙げることができ、さらにはリン原子と窒素原子を含む構造を有するリン酸エステルアミドを挙げることができ、リン酸エステルアミドは高い融点を持つ常温で粉末状の物質であり、配合時のハンドリング性に優れ、熱変形温度の高い難燃性ポリエステル樹脂が得られ、市販品としては、四国化成(株)社製SP−703などが好ましく用いられる。
前記のポリ燐酸アンモニウムとしては、ポリ燐酸アンモニウム、メラミン変性ポリ燐酸ア
ンモニウム、およびカルバミルポリ燐酸アンモニウムなどが挙げられ、熱硬化性を示すフェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、およびユリア樹脂などの熱硬化性樹脂などによって被覆されていても良く、1種で用いても2種以上で用いても良い。
前記のポリ燐酸メラミンとしては、燐酸メラミン、ピロ燐酸メラミンおよびメラミン、メラム、メレムとのリン酸塩などのポリ燐酸メラミンが挙げられ、1種で用いても2種以上で用いても良く、(株)三和ケミカル製“MPP−A、日産化学(株)製PMP−100やPMP−200などが好ましく用いられる。
前記のホスファゼン化合物としては、ホスホニトリル線状ポリマー及び/または環状ポリマーであり、特に直鎖状のフェノキシホスファゼンを主成分とするものが好ましく用いられ、前記のホスホニトリル線状ポリマー及び/または環状ポリマーは、著者梶原『ホスファゼン化合物の合成と応用』などに記載されている公知の方法で合成することができ、例えば、リン源として五塩化リンあるいは三塩化リン、窒素源として塩化アンモニウムあるいはアンモニアガスを公知の方法で反応させて(環状物を精製してもよい)、得られた物質をアルコール、フェノールおよびアミン類で置換することで合成することができ、(株)伏見製薬所製“ラビトル”FP−110などが好ましく用いられる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、好ましくは、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(C)難燃助剤1〜120重量部を配合し、より好ましくは、(C)難燃助剤として、無機系難燃剤、シリコーン系難燃剤、フェノール樹脂を使用する。
上記の無機系難燃剤としては、水酸化マグネシウム水和物、水酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、メタスズ酸、酸化スズ、酸化スズ塩、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、硼酸カルシウム水和物、硼酸亜鉛、硼酸亜鉛水和物、水酸化亜鉛酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化第一錫、酸化第二スズ、ホウ酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、タングステン酸の金属塩、タングステンとメタロイドとの複合酸化物酸、スルファミン酸アンモニウム、ジルコニウム系化合物、グアニジン系化合物、ハイドロタルサイト、黒鉛、膨潤性黒鉛などを挙げることができる。中でも、硼酸亜鉛水和物、膨潤性黒鉛が好ましい。
上記のシリコーン系難燃剤としては、シリコーン樹脂、シリコーンオイルを挙げることができる。前記シリコーン樹脂は、SiO、RSiO3/2、RSiO、RSiO1/2の構造単位を組み合わせてできる三次元網状構造を有する樹脂などを挙げることができる。ここで、Rはメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、または、フェニル基、ベンジル基等の芳香族基、または上記置換基にビニル基を含有した置換基を示す。前記シリコーンオイルは、ポリジメチルシロキサン、およびポリジメチルシロキサンの側鎖あるいは末端の少なくとも1つのメチル基が、水素元素、アルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、アミノ基、エポキシ基、ポリエーテル基、カルボキシル基、メルカプト基、クロロアルキル基、アルキル高級アルコールエステル基、アルコール基、アラルキル基、ビニル基、またはトリフロロメチル基の選ばれる少なくとも1つの基により変性された変性ポリシロキサン、またはこれらの混合物を挙げることができる。
上記のフェノール樹脂とは、燃焼時に表面に移動し、炭化層形成を助ける難燃助剤として効果があり、上記のリン系難燃剤、窒素化合物系難燃剤、シリコーン系難燃剤およびその他の無機系難燃剤から選択される少なくとも1種以上と共に併用して好ましく用いられる。また、フェノール樹脂としては、フェノール性水酸基を複数有する高分子であれば任意であり、例えばノボラック型、レゾール型および熱反応型の樹脂、あるいはこれらを変性した樹脂が挙げられる。これらは硬化剤未添加の未硬化樹脂、半硬化樹脂、あるいは硬化樹脂であってもよい。中でも、硬化剤未添加で、非熱反応性であるノボラック型フェノール樹脂またはメラミン変性ノボラック型フェノール樹脂が難燃性、機械特性、経済性の点で好ましい。
また、フェノール樹脂は、粉砕品、粒状、フレーク状、粉末状、針状、液状などいずれも使用でき、必要に応じ、1種または2種以上使用することができる。また、フェノール系樹脂は特に限定するものではなく市販されているものなどが用いられる。例えば、ノボラック型フェノール樹脂の場合、フェノール類とアルデヒド類のモル比を1:0.7〜1:0.9となるような比率で反応槽に仕込み、更にシュウ酸、塩酸、硫酸、トルエンスルホン酸等の触媒を加えた後、加熱し、所定の時間還流反応を行う。生成した水を除去するため真空脱水あるいは静置脱水し、更に残っている水と未反応のフェノール類を除去する方法により得ることができる。これらの樹脂あるいは複数の原料成分を用いることにより得られる共縮合フェノール樹脂は単独あるいは二種以上用いることができる。
また、レゾール型フェノール樹脂の場合、フェノール類とアルデヒド類のモル比を1:1〜1:2となるような比率で反応槽に仕込み、水酸化ナトリウム、アンモニア水、その他の塩基性物質などの触媒を加えた後、ノボラック型フェノール樹脂と同様の反応および処理をして得ることができる。
ここで、フェノール類としてはフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、チモール、p−tert−ブチルフェノール、tert−ブチルカテコール、カテコール、イソオイゲノール、o−メトキシフェノール、4,4’−ジヒドロキシフェニル−2,2−プロパン、サルチル酸イソアミル、サルチル酸ベンジル、サルチル酸メチル、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等が挙げられる。これらのフェノール類は一種または二種以上用いることができる。一方、アルデヒド類としてはホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ポリオキシメチレン、トリオキサン等が挙げられる。これらのアルデヒド類は必要に応じて一種または二種以上用いることができる。
フェノール樹脂の分子量は、好ましくは数平均分子量で200〜2,000であり、特に400〜1,500の範囲のものが機械的物性、流動性、経済性に優れ好ましい。なおフェノール系樹脂の分子量は、テトラヒドラフラン溶液、ポリスチレン標準サンプルを使用することによりゲルパーミエションクロマトグラフィ法で測定できる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、好ましくは、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(C)難燃助剤1〜120重量部を配合し、より好ましくは、(C)難燃助剤として、赤リン、ホスフィン酸金属塩を使用する。
上記の赤リンとは、未処理の赤リンのみでなく、熱硬化性樹脂被膜、金属水酸化物被膜、金属メッキ被膜から成る群より選ばれる1種以上の化合物被膜により処理された赤リンを好ましく使用することができる。熱硬化性樹脂被膜の熱硬化性樹脂としては、赤リンを被膜できる樹脂であれば特に制限はなく、例えば、フェノール−ホルマリン系樹脂、尿素−ホルマリン系樹脂、メラミン−ホルマリン系樹脂、アルキッド系樹脂などが挙げられる。金属水酸化物被膜の金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンなどを挙げることができる。金属メッキ被膜の金属としては、Fe、Ni、Co、Cu、Zn、Mn、Ti、Zr、Alまたはこれらの合金などが挙げられる。さらに、これらの被膜は2種以上組み合わせて、あるいは2種以上に積層されていてもよい。
上記のホスフィン酸金属塩とは、特開2006−117722号公報の記載にあるように(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の難燃剤として有用な化合物であり、ホスフィン酸塩および/またはジホスフィン酸塩および/またはその重合体であり、前記の塩はカルシウム、アルミニウム、および亜鉛などの塩であり、市販品としてはクラリアントジャパンから“Exolit”(商標登録)OP1230やOP1240などが挙げられる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、好ましくは、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(D)(A)の熱可塑性ポリエステル樹脂以外の樹脂1〜120重量部配合する。
(D)熱可塑性ポリエステル樹脂以外の樹脂の配合量は、機械特性やブリードアウト防止効果の観点から、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、1〜120重量部であり、好ましくは2〜100重量部、より好ましくは3〜80重量部である。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物において、(D)熱可塑性ポリエステル樹脂以外の樹脂とは、本発明効果の難燃性、成形加工性、耐熱性、または高温多湿雰囲気下においてもブリードアウト特性のいずれかを改善可能な樹脂、あるいは衝撃強度などの靭性を改善可能な樹脂であり、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂のいずれも用い得るが、成形性の点から熱可塑性ポリエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性ポリエステル樹脂以外の樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、芳香族および脂肪族ポリケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、熱可塑性澱粉樹脂、ポリウレタン樹脂、MS樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエーテルイミド樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂などを挙げることができる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物において、(D)熱可塑性ポリエステル樹脂以外の樹脂として、さらに、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、各種アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩(いわゆるアイオノマー)、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体(たとえば、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体)、天然ゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、アクリルゴム、ポリウレタンゴム、ポリエーテルゴム、エピクロロヒドリンゴムおよびエチレンに無水マレイン酸などの酸無水物、グリシジルメタクリレートおよびエポキシ化剤でエポキシ変性された変性オレフィン系樹脂なども挙げられ、更に、各種の架橋度を有するものや、各種のミクロ構造、例えばシス構造、トランス構造等を有するもの、ビニル基などを有するもの、或いは各種の平均粒径(樹脂組成物中における)を有するものや、コア層とそれを覆う1以上のシェル層から構成され、また隣接し合った層が異種の重合体から構成されるいわゆるコアシェルゴムと呼ばれる多層構造重合体なども使用することができ、さらにシリコーン化合物を含有したコアシェルゴムも使用することができる。
(D)熱可塑性ポリエステル樹脂以外の樹脂は、ランダム共重合体、ブロック共重合体およびグラフト共重合体などのいずれであっても用いることができ、1種で用いても、2種以上併用して用いてもかまわない。
上記(D)熱可塑性ポリエステル樹脂以外の樹脂の中では、難燃性、耐熱性の改善効果が高いことから、ポリアミド樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、芳香族ポリケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、シリコーン化合物含有コアシェルゴムが好ましく、中でも、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂およびビニル系樹脂の熱可塑性樹脂が特に好ましい。
(D)熱可塑性ポリエステル樹脂以外の樹脂のうち、特に好ましい非晶性熱可塑性樹脂の芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂およびビニル系樹脂は、結晶構造を持たない非晶性の熱可塑性樹脂であり、成形品中から液状物が留出するブリードアウト現象を防止する効果がある。また、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂およびポリスルホン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂も同様な効果が期待でき、1種以上を併用しても良い。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、好ましくは、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(E)アルカリ土類金属化合物を0.1〜3重量部配合する。
(E)アルカリ土類金属化合物の配合量は、機械特性と耐加水分解性の点から、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜9重量部、より好ましくは0.3〜8重量部である。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物では、(E)アルカリ土類金属化合物とは、マグネシウム、カルシウム、およびバリウムなどのアルカリ土類金属の化合物が好ましく挙げられる。
前記のアルカリ土類金属化合物としては、アルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、乳酸塩、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびモンタン酸などの有機酸塩が挙げられる。
また、前記のアルカリ土類金属化合物の具体例としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、乳酸マグネシウム、乳酸カルシウム、乳酸バリウム、さらにはオレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびモンタン酸などの有機酸のマグネシウム塩、カルシウム塩、およびバリウム塩などが挙げられる。この中で、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩が好ましく用いられる。かかるアルカリ土類金属は1種または2種以上で用いることができる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物では、(E)アルカリ土類金属化合物として、特に、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムおよび炭酸カルシウムが好ましく用いられ、より好ましくは、炭酸カルシウムが用いられる。
また、上記の炭酸カルシウムは製造方法により、コロライド炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、湿式粉砕微粉重質炭酸カルシウム、湿式重質炭酸カルシウム(白亜)などが知られており、いずれも本発明に用いることができる。
これらのアルカリ土類金属化合物は、シランカップリング剤、有機物および無機物などの一種以上の表面処理剤で処理されていても良く、形状は、10μm以下の粉末状で用いることが分散性などから好ましい。さらに粒径が細かいと加水分解性の向上効果が大きく好ましい。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物では、(E)アルカリ土類金属化合物を配合することにより、加水分解性を向上させることができる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物では、アルカリ土類金属化合物は、中性状態では水に難溶性であり、燐酸エステルが分解して系が酸性になった場合に酸性環境下で溶解し中和作用を示すものが好ましく用いられる。
アルカリ土類金属化合物の中性状態の溶解度は、例えば化学便覧、丸善株式会社発行(昭和41年)等の便覧に記載されており、水への溶解度が1g/100g水以下が好ましく、さらに好ましくは、10−1g/100g水以下、特に好ましくは、10−2g/100g水以下である。ちなみに最も好ましく用いられる炭酸カルシウムの水に対する溶解度は、5.2×10−3g/100g水以下である。
さらには、(E)アルカリ土類金属化合物に、後述するエポキシ化合物などの加水分解防止剤を併用して用いることで極めて高い耐加水分解性向上と金属汚染性の改良効果が得られる。
本発明においては、燃焼時の難燃性樹脂組成物が溶融落下することを抑制し、さらに難燃性を向上させることを目的にフッ素系化合物を配合することができる。
前記のフッ素系化合物とは、物質分子中にフッ素を含有する化合物であり、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン/プロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ビニリデンフルオライド/エチレン共重合体などが挙げられるが、中でもポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライドが好ましく、特にポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体が好ましい。
また、フッ素系化合物の配合量は、難燃性と機械特性の点から、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、好ましくは、0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜9重量部、さらにより好ましくは0.2〜8重量部である。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、(B)成分に含まれない縮合リン酸エステル化合物、ホスファフェナントレン骨格を有するリン系難燃剤を配合することができる。
上記の縮合リン酸エステル化合物としては、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(キシレニルジフェニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(キシレニルジフェニルホスフェート)などの縮合リン酸エステル化合物が挙げられ、市販品としては、大八化学工業(株)社製PX−200、PX−201、CR−733S、SH−0083などが挙げられ、いずれも形状が粉末であるため、配合時のハンドリング性に優れるという観点から好ましく用いられる。
上記のホスファフェナントレン骨格を有するリン系難燃剤とは、分子内に少なくとも1個のホスファフェナントレン骨格を有するリン系難燃剤であり、市販品としては、三光(株)社製HCA、HCA−HQ、BCA、SANKO−220およびM−Esterなどが挙げられ、いずれも形状が粉末であるため、配合時のハンドリング性に優れるという観点から好ましく用いられる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物においては、機械強度を向上させることを目的に繊維強化材を配合することができ、繊維強化材の具体例としては、ガラス繊維、アラミド繊維、および炭素繊維などが挙げられる。上記のガラス繊維としては、チョップドストランドタイプやロービングタイプのガラス繊維でありアミノシラン化合物やエポキシシラン化合物などのシランカップリング剤および/またはウレタン、酢酸ビニル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラック系エポキシ化合物などの一種以上のエポキシ化合物などを含有した集束剤で処理されたガラス繊維が好ましく用いられ、シランカップリング剤および/または集束剤はエマルジョン液で使用されていても良い。また、繊維径は1〜30μm、好ましくは5〜15μmである。また、前記の繊維断面は円形状であるが任意の縦と横比の楕円形ガラス繊維、扁平ガラス繊維およびまゆ型形状ガラス繊維など任意な断面を持つ繊維強化材を用いることもでき、射出成形時の流動性向上と、ソリの少ない成形品が得られる特徴がある。
また、繊維強化材の配合量は、射出成形時の流動性と射出成形機や金型の耐久性の点から、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、好ましくは、1〜150重量部、より好ましくは、2〜130重量部、さらにより好ましくは3〜110重量部である。
また、本発明においては、さらに繊維強化材以外の無機充填材を配合することができ、本発明の成形品の結晶化特性、耐アーク性、異方性、機械強度、難燃性あるいは熱変形温度などの一部を改良するものであり、とくに、異方性に効果があるためソリの少ない成形品が得られる。かかる繊維強化材以外の無機充填材としては、限定されるものではないが針状、粒状、粉末状および層状の無機充填剤が挙げられ、具体例としては、ガラスビーズ、ミルドファイバー、ガラスフレーク、チタン酸カリウィスカー、硫酸カルシウムウィスカー、ワラステナイト、シリカ、カオリン、タルク、スメクタイト系粘土鉱物(モンモリロナイト、ヘクトライト)、バーミキュライト、マイカ、フッ素テニオライト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウム、およびドロマイトなどが挙げられ、一種以上で用いられる。とくに、ガスビーズ、ガラスフレーク、カオリン、タルクおよびマイカを用いた場合は、異方性に効果があるためソリの少ない成形品が得られる。
また、上記の繊維強化材以外の無機充填材には、カップリング剤処理、エポキシ化合物、あ るいはイオン化処理などの表面処理が行われていても良い。また、粒状、粉末状および層状の無機充填剤の平均粒径は衝撃強度の点から0.1〜20μmであることが好ましく、特に0.2〜10μmであることが好ましい。また、繊維強化材以外の無機充填材の配合量は、成形時の流動性と成形機や金型の耐久性の点から繊維強化材の配合量と合わせて(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して150重量部を越えない量が好ましい。
本発明においては、加水分解性を向上させることを目的にエポキシ化合物を配合することができ、グリシジルエステル化合物、グリシジルエーテル化合物、およびグリシジルエステルエーテル化合物が挙げられ、これらは一種以上で用いることができる。
また、エポキシ化合物の配合量は、機械特性と耐加水分解性の面から、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、好ましくは、0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜9重量部、さらにより好ましくは0.3〜8重量部である。
本発明においては、さらに耐加水分解性改良を目的に、オキサゾリン化合物、およびカルボジイミド化合物などを配合でき、単独で用いても良いが、前記のエポキシ化合物を超えない範囲の配合量で、エポキシ化合物と併用して用いることが好ましい。
本発明においては、さらに射出成形時の流動性を向上させることを目的に、本発明の組成物に3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物を含有することができる。前記の3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物とは、低分子化合物であってもよいし、重合体であってもよく、3官能性化合物、4官能性化合物および5官能性化合物などの3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物であれば、いずれでも好ましく用いられる。また、3つ以上の官能基の官能基とは、水酸基、アルデヒド基、カルボン酸基、スルホ基、アミノ基、グリシジル基、イソシアネート基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、オキサジン基、エステル基、アミド基、シラノール基、シリルエーテル基から選択された少なくとも1種類以上であることが好ましく、これらの中から同一あるいは異なる3つ以上の官能基を有していることが好ましく、とくに流動性、機械物性、耐久性、耐熱性および生産性の点で、同一の官能基であることが好ましい。
本発明における3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物の配合量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部の範囲であることが必須であり、流動性と機械特性の観点から、0.05〜8重量部の範囲で配合することが好ましく、0.1〜5重量部の範囲で配合することがより好ましく、0.2〜4重量部の範囲で配合することがさらに好ましい。
本発明においては、さらに本発明の組成物が長期間高温にさらされても極めて良好な耐熱エージング性を与える安定剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤および/またはホスファイト系酸化防止剤を配合でき、ヒンダードフェノール系酸化防止剤および/またはホスファイト系酸化防止剤を配合する場合の配合量は、耐熱エージング性と難燃性の点から、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、好ましくは、0.01〜5重量部、より好ましくは0.02〜4重量部、さらにより好ましくは0.03〜3重量部である。
本発明においては、さらに滑剤を一種以上添加することにより成形時の離型性を改良することが可能である。かかる滑剤としては、ステアリン酸カルウシム、ステアリン酸バリウムなどの金属石鹸、脂肪酸エステル、脂肪酸エステルの塩(一部を塩にした物も含む)、エチレンビスステアロアマイドなどの脂肪酸アミド、エチレンジアミンとステアリン酸およびセバシン酸からなる重縮合物あるいはフェニレンジアミンとステアリン酸およびセバシン酸の重縮合物からなる脂肪酸アミド、ポリアルキレンワックス、酸無水物変性ポリアルキレンワックスおよび上記の滑剤とフッ素系樹脂やフッ素系化合物の混合物が挙げられるがこれに限定されるものではない。滑剤を配合する場合の添加量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、好ましくは、0.01〜5重量部、より好ましくは0.02〜4重量部、さらにより好ましくは0.03〜3重量部である。
本発明においては、さらに、カーボンブラック、酸化チタン、および種々の色の顔料や染料を1種以上配合することにより種々の色に樹脂を調色、耐候(光)性、および導電性を改良することも可能であり、顔料や染料の配合量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、好ましくは、0.01〜5重量部、より好ましくは0.02〜4重量部、さらにより好ましくは0.03〜3重量部である。
さらに、本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物および成形品に対して、本発明の目的を損なわない範囲で、イオウ系酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、および帯電防止剤などの公知の添加剤や前記以外の熱可塑性樹脂を1種以上配合された材料も用いることができる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、好ましくは、UL94燃焼試験規格の垂直試験において、ノンドリップの燃焼挙動を示す。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、好ましくは、機械機構部品、電気電子部品または自動車部品に用いられる成形品として使用される。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物からなる機械機構部品、電気電子部品または自動車部品の成形品は、本発明の難燃性、機械特性、および射出成形性に優れる特徴を活かした成形品であり、機械機構部品、電気・電子部品、自動車部品の具体的な成形品としては、ブレーカー、電磁開閉器、フォーカスケース、フライバックトランス、複写機やプリンターの定着機用成形品、一般家庭電化製品、OA機器などのハウジング、バリコンケース部品、各種端子板、変成器、プリント配線板、ハウジング、端子ブロック、コイルボビン、コネクター、リレー、ディスクドライブシャーシー、トランス、スイッチ部品、コンセント部品、モーター部品、ソケット、プラグ、コンデンサー、各種ケース類、抵抗器、金属端子や導線が組み込まれる電気・電子部品、コンピューター関連部品、音響部品などの音声部品、照明部品、電信・電話機器関連部品、エアコン部品、VTRやテレビなどの家電部品、複写機用部品、ファクシミリ用部品、光学機器用部品、自動車点火装置部品、自動車用コネクター、および各種自動車用電装部品などの成形品が挙げられる。
本発明の特定の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物からなる成形品は、通常、公知の方法で製造される。例えば、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)(b1)成分と(b2)成分、および必要に応じて(C)難燃助剤、(D)(A)熱可塑性ポリエステル樹脂以外の樹脂、(E)アルカリ土類金属化合物、さらには、必要に応じてフッ素系化合物、繊維強化材、繊維強化材以外の無機充填材、エポキシ化合物、3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物、酸化防止剤、滑剤、および顔料や染料、さらには、その他の必要な帯電防止剤や可塑剤などの添加剤を予備混合して押出機などに供給して十分溶融混練する方法、あるいは、重量フィダーなどの定量フィダーを用いて各成分を所定量押出機などに供給して十分溶融混練する方法などにより本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が製造される。
上記の予備混合の例として、ドライブレンドするだけでも可能であるが、タンブラー、リボンミキサーおよびヘンシェルミキサー等の機械的な混合装置を用いて混合することが挙げられる。また、繊維強化材や繊維強化材以外の無機充填材は、二軸押出機などの多軸押出機の元込め部とベント部の途中にサイドフィダーを設置して添加する方法であっても良い。また、液体の添加剤の場合は、二軸押出機などの多軸押出機の元込め部とベント部の途中に液添ノズルを設置してプランジャーポンプを用いて添加する方法や元込め部などから定量ポンプで供給する方法などであっても良い。
また、難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を製造するに際し、限定されるものではないが、例えば“ユニメルト”あるいは“ダルメージ”タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸押出機、三軸押出機、コニカル押出機およびニーダータイプの混練機などを用いることができる。
かくして得られる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、通常公知の方法で射出成形することによって本発明の成形品が得られる。前記の射出成形方法としては、通常の射出成形方法以外にガスアシスト法、2色成形法、サンドイッチ成形、インモールド成形、インサート成形およびインジェクションプレス成形などが知られているが、いずれの成形方法も適用できる。
また、射出成形機の構造を簡単に述べると、プラスチックスを加熱溶融混練後、溶融プラスチックスを高圧で射出する部分と射出された溶融プラスチックスを所定の形状(成形品)に冷却固化させる金型から構成されており、本発明の特定の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を射出成形する際の金型温度は、30℃〜90℃の範囲の一定温度で温調されていることが不良品の少ない成形品を得られることから好ましい。
以下、実施例により本発明の効果を更に詳細に説明する。ここで%および部とはすべて重量%および重量部をあらわし、下記の参考例の樹脂名中の「/」は、共重合を意味する。また、各特性の測定方法は以下の通りである。
[参考例]
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂
<A−1>ポリエチレンテレフタレート樹脂、三井ぺット樹脂(株)社製三井PET“J005”固有粘度が0.63のPETを用いた(以下、PETと略す)。
<A−2>ポリブチレンテレフタレート樹脂、東レ(株)社製“トレコン”1401−X31固有粘度が0.80のPBTを用いた(以下、PBTと略す)。
(B)リン系難燃剤
(b1)芳香族リン酸エステル化合物の製造
<b1−1>
345gのジ(2,6キシリル)ホスホロクロリデート、93gの4,4‘−ビフェノール、1.5gの塩化アルミニウムをフラスコに入れ、加熱、混合し、反応液の温度を徐々に180℃まで2時間かけ上昇させて脱塩酸反応を行った。さらに、同温度にて2時間熟成後、200mmHg減圧下でさらに2時間熟成を行い、反応を完結させた。次いで、反応液にジクロルベンゼン500g、10%塩酸水200gを添加し、攪拌して残存する触媒などを除去し、さらに水洗を行った後、攪拌しながら室温まで冷却して結晶を析出させた。析出した結晶をろ過により分離し、メタノール200gで洗浄した後100℃にて減圧乾燥を行い、下記式に示す融点185℃の白色粉末を得た。
Figure 2010006965
(b2)分子量100〜500のリン酸エステル化合物
<b2−1>下記の(7)式の分子量410のリン酸エステル化合物、大八化学工業(株)社製“PX−130”を用いた。
Figure 2010006965
(C)難燃助剤
<C−1>トリアジン系化合物、トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩、日産化学(株)社製“MC−4000”を用いた(以下、MC塩と略す)。
<C−2>ポリリン酸メラミン、DSM社製“メルプア”200を用いた。
<C−3>ホスファゼン化合物、(株)伏見製薬所製“ラビトル”FP−110を用いた。
<C−4>ホスフィン酸アルミニウム塩、クラリアントジャパン製“Exolit”(商標登録)OP1240を用いた。
(D)熱可塑性ポリエステル樹脂以外の樹脂
<D−1>芳香族ポリカーボネート樹脂、出光石油化学(株)社製“A−1900”を用いた(以下、PCと略す)。
<D−2>ポリフェニレンエーテル樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製“YPX−100L”を用いた(以下、PPEと略す)。
<D−3>ビニル系樹脂、スチレン/アクリロニトリル/グリシジルメタクリレート=70/29.5/0.5重量%のエポキシ変性AS樹脂(以下、エポキシ化ASと略す)。
<D−4>フェノキシ樹脂、東都化成(株)社製“YP−50”を用いた。
<D−5>エチレン(共)重合体、エチレン(約88wt%)/グリシジルメタクリレート(約12wt%)共重合体、住友化学(株)社製“BF−E”を用いた。
(E)アルカリ土類金属化合物
<E−1>炭酸カルシウム、同和カルファイン(株)社製“KSS1000”を用いた。
(F)その他必要に応じて配合する添加剤
<F−1>フッ素系化合物のポリテトラフルオロエチレン、三井・デュポンフロロケミカル(株)社製“テフロン(登録商標)”6−Jを用いた。
<F−2>繊維強化材として、繊維径約10μmのチョップドストランド状のガラス繊維、日東紡績(株)社製“CS3J948”を用いた(以下、GFと略す)。
<F−3>繊維強化材以外の無機充填剤として、タルク、富士タルク工業(株)社製“LMS−100”を用いた。
<F−4>エポキシ化合物として、バーサティク酸グリシジルエステル、ジャパンエポキシレジン(株)社製“カージュラーE10”を用いた。
<F−5>エポキシ化合物として、バーサティク酸グリシジルエステル、ジャパンエポキシレジン社製“カージュラーE10”30重量%とビスフェノールAジグリシジルエーテル、ジャパンエポキシレジン社製“エピコート828”70重量%の混合物。
<F−6>3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物として、ポリオキシエチレンペンタエリスリトール、日本乳化剤(株)社製PNT−60U(分子量400、1官能基当たりのアルキレンオキシド(エチレンオキシド)単位数1.5を用いた(以下、多価アルコールと略す)。
[各特性の測定方法]
本実施例、比較例においては以下に記載する測定方法によって、その特性を評価した。
・成形加工性
射出成形時の流動性に優れ、かつ機械強度と衝撃強度のバランスに優れる材料を成形加工性に優れると判断した。
(1)射出成形時の流動性
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度250℃(PETを含有する組成物は270℃)、金型温度80℃の温度条件、射出時間と保圧時間は合わせて10秒、冷却時間10秒の成形サイクル条件で試験片厚み1/8インチ(約3.2mm)厚みのASTM1号ダンベルの機械強度評価用試験片の射出成形を行い、前記の試験片が充填される成形ゲージ圧力(以下、成形下限圧力と略す。)を求めた。なお、成形下限圧力の値が低い程、流動性に優れる。
(2)機械強度
前記の機械強度評価用試験片を用い、ASTMD638に従い、引張強度を測定した。
(3)衝撃強度
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度250℃(PETを含有する組成物は270℃)、金型温度80℃の条件で1/8インチ(約3.2mm)厚みのアイゾット衝撃試験片の射出成形を行い、ASTMD256に従い、ノッチ無しのアイゾット衝撃強度を測定した。
(2)難燃性
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度250℃(PETを含有する組成物は270℃)、金型温度80℃の条件で3mm厚みの燃焼試験片と1/32インチ(約0.79mm)の燃焼試験片を得た。前記の3mm厚みの燃焼試験片は繊維強化材を配合しない組成物の難燃性評価に用いた。また、前記の1/32インチ(約0.79mm)厚みの燃焼試験片は繊維強化材を配合した組成物の難燃性評価に用いた。
前記の燃焼試験片を用い、UL94垂直試験に定められている評価基準に従い、難燃性を評価した。難燃性はV−0>V−1>V−2の順に低下しランク付けされる。また、燃焼性に劣り上記のV−2に達せず、上記の難燃性ランクに該当しなかった材料は規格外とした。
また、燃焼試験時において、第1接炎後と第2接炎後の燃焼試験片が熱で溶融して試験片の一部が落下するか落下しないかを観察し、落下しない材料をノンドリップと評価した。
(3)ブリードアウト
前記(1)で得られたASTM1号ダンベルを80℃×95%RHの温度と湿度に設定された恒温高湿試験器(エスペック(株)“ヒューミデイキャビネツト”LHL−113)に400h投入し湿熱処理を行い、成形品外観の目視観察により次のブリードアウトの判定を行った。
×:成形品の随所に液状もしくは白粉状のブリードアウトが観察される。
△:成形品の一部に液状もしくは白粉状のブリードアウトが観察される。
○:成形品に液状もしくは白粉状のブリードアウトが観察されない。
(4)加水分解性
前記(3)の湿熱処理されたASTM1号ダンベルを用い、ASTMD638に従い、引張強度を測定し、処理前の引張強度に対する保持率(%)を求めた。
[実施例1〜22]、[比較例1〜13]
スクリュー径30mm、L/D35の同方向回転ベント付き2軸押出機(日本製鋼所製、TEX−30α)を用いて、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂、(B)(b1)成分と(b2)成分、および必要に応じて(C)難燃助剤、(D)(A)熱可塑性ポリエステル樹脂以外の樹脂、(E)アルカリ土類金属化合物、さらには、(F)必要に応じて配合するフッ素化合物、繊維強化材、繊維強化材以外の無機充填材、エポキシ化合物および3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物などを表1〜表4に示した配合組成で混合し、元込め部から添加した。なお、(F―2)繊維強化材のガラス繊維は、元込め部とベント部の途中にサイドフィーダーを設置して添加した。
さらに、混練温度270℃、スクリュー回転150rpmの押出条件で溶融混合を行い、ストランド状に吐出し、冷却バスを通し、ストランドカッターによりペレット化した。
得られたペレットを110℃の熱風乾燥機で6時間乾燥後、東芝機械製IS55EPN射出成形機を用い、各種成形品を得た。
さらに、前記の測定方法で種々の値を測定し、同じく表1〜表4にその結果を示した。
Figure 2010006965
Figure 2010006965
Figure 2010006965
Figure 2010006965
表1の実施例1〜実施例13から、本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、射出成形時の流動性、機械強度および衝撃強度の成形加工性のバランスと難燃性に優れ、高温高湿雰囲気下においてもブリードアウトが発生し難くい難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であった。とくに、(D)成分のひとつであるエポキシを含有する樹脂を併用添加した実施例8〜10の組成物は、前記の性能を維持しながら加水分解性(湿熱処理後の引張強度保持率)に優れる組成物であった。また、(E)成分を併用添加した実施11〜13の組成物は、前記の組成物よりもさらに加水分解性(湿熱処理後の引張強度保持率)に優れる組成物であった。
表2の比較例1から、本発明の特定式の芳香族リン酸エステル化合物と分子量100〜500のリン酸エステル化合物からなる(B)成分のリン系難燃剤を配合しない場合は当然のことながら、UL−94に適合する難燃性が得られない。また、比較例2〜4から、(B)成分量が本発明範囲外の場合は、UL−94に適合する難燃性が得られないか、もしくは高温高湿雰囲気下においてブリードアウトが認められる成形品であった。
また、比較例5〜8から、(B)成分を配合せずに種々の難燃助剤を配合した組成物は、本発明の効果である射出成形時の流動性、機械強度および衝撃強度の成形加工性のバランスおよび高温高湿雰囲気下におけるブリードアウトが発生し難いという性能の一部あるいは複数の性能が低下した。
繊維強化材としてガラス繊維を配合した強化難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の実施例と比較例を表3と表4に示した。
表3の実施例14〜22から、繊維強化材を配合した本発明の強化難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、射出成形時の流動性、機械強度および衝撃強度の成形加工性のバランスと難燃性に優れ、高温高湿雰囲気下においてもブリードアウトが発生し難くい難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であり、とくに機械強度の高い組成物と言える。また、フッ素系樹脂を配合した実施例17〜22の組成物は、本発明の性能を維持しながら、燃焼試験において樹脂が溶融落下しないノンドリップの燃焼挙動を示した。また、(F)エポキシ化合物を配合した実施例18〜19の組成物は特異的に加水分解性に優れ、(F)多価アルコールを配合した実施例20〜22の組成物は、特異的に流動性に優れる組成物であった。
表4の比較例9〜11から、(B)成分のリン系難燃剤の成分量が本発明範囲外の場合は、難燃性の低下、もしくは恒温高湿雰囲気下においてブリードアウトが認められる成形品であった。
また、比較例12〜13から、(B)成分を配合せずに種々の難燃助剤を配合した組成物は、本発明の効果である射出成形時の流動性、機械強度および衝撃強度の成形加工性のバランスおよび高温高湿雰囲気下におけるブリードアウトが発生し難いという性能の一部あるいは複数の性能が低下した。

Claims (9)

  1. (A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(B)(b1)下記(1)式の芳香族リン酸エステル化合物99.7〜90重量%と(b2)分子量100〜500のリン酸エステル化合物0.3〜10重量%からなるリン系難燃剤1〜70重量部を配合してなる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
    Figure 2010006965
    (上式において、Ar、Ar、Ar、Arは、同一または相異なる、ハロゲンを含有しない芳香族基を表す。また、Xは下記の(2)式の構造を示し、式中、Yは直接結合、O、S、SO、C(CH、CH、CHPhを表し、Phはフェニル基を表す。)
    Figure 2010006965
  2. 前記、(B)(b2)成分がトリフェニルホスフェート、トリス(ジメチルフェニル)ホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジキシレニルホスフェートから選ばれる一種以上のリン酸エステル化合物である請求項1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  3. さらに、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(C)難燃助剤1〜120重量部を配合してなる請求項1〜2項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  4. 前記、(C)難燃助剤が窒素化合物系難燃剤、無機系難燃剤、シリコーン系難燃剤、フェノール樹脂、赤リンおよびホスフィン酸金属塩から選ばれる一種以上の難燃助剤である請求項1〜3項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  5. さらに、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(D)(A)熱可塑性ポリエステル樹脂以外の樹脂1〜120重量部を配合してなる請求項1〜4項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  6. さらに、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(E)アルカリ土類金属化合物を0.1〜3重量部配合してなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  7. 前記、(E)アルカリ土類金属化合物が水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムおよび炭酸カルシウムから選ばれる一種以上である請求項1〜6項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  8. UL94燃焼試験規格の垂直試験において、ノンドリップの燃焼挙動を示す請求項1〜7のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物からなる機械機構部品、電気電子部品または自動車部品に用いられる成形品。
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