JP2007118292A - 防振ゴム部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】環境負荷物質を含んでおらず、金具とゴム材との界面における耐熱接着性に優れる防振ゴム部材を提供する。
【解決手段】円筒状の内筒金具2の外周に、下塗り接着剤層4およびその層4に接して形成された上塗り接着剤層5を介し、円筒状の防振ゴム1が接着一体化されている。そして、上記下塗り接着剤層4が下記の(A)によって形成され、かつ、上記上塗り接着剤層5が下記の(B)によって形成され、その上塗り接着剤層5に防振ゴム1が加硫接着している。
(A)セレンを含有しないレゾルシノール系接着剤。
(B)塩素化ポリオレフィンを主成分とする接着剤。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車用のブッシュ,エンジンマウント、産業機械用の防振部材等に広く利用できる防振ゴム部材に関するものである。
一般に、自動車用のブッシュ,エンジンマウント、産業機械用の防振部材等に用いられる防振ゴム部材は、金具とゴム材とが一体化して形成された金具付きゴム部材となっており、フレーム,エンジン等の各種構成品同士の連結部材として用いられている。
上記防振ゴム部材では、金具とゴム材との界面を接着させるため、通常、接着剤が用いられる。接着方法としては、一般に、1つの接着剤を用いる「接着剤一液塗工式」と、金具表面にプライマーとして下塗り接着剤を塗布した後、更に上塗り接着剤を塗布する「接着剤二液塗工式」とがあるが、汎用ゴムと金具との接着では、二液塗工式が広く用いられている(例えば、特許文献1および2参照)。
特開平7−301278号公報 特開2001−170944公報
ところで、自動車用のブッシュやエンジンマウントのように、高温環境下で使用されるものは、当然に耐熱性(ゴム材と金具との界面における耐熱接着性)が要求される。また、特開平7−301278号公報に記載のもののように、そのゴム材部分が、振動入力に応じて変形する室壁に形成され、その室壁と金具の一部とから構成される密閉空間に、液体(エチレングリコール等)が封入されてなる構造を備えた防振ゴム部材の場合、その構造上、ゴム材と金具との接着界面に封入液が浸透しやすく、それによる接着力低下も生じやすい。したがって、このような構造のものは特に、接着性の改善が課題となっている。
しかしながら、従来の防振ゴム部材では、高温環境下(特に接着界面へのエチレングリコールの浸透が起こり得る環境下)での耐久使用により、接着部分の界面剥離が起こることが確認されている。したがって、現時点においては、所望の耐久性能(エチレングリコール浸漬下、100〜120℃で500時間以上の安定的な初期接着性能)を備えたものは少なく、また、そのような性能を備えた少数の防振ゴム部材であっても、他に種々の問題を抱えている。すなわち、たとえば、特開平7−301278号公報に開示の防振ゴム部材では、その実施例において、金具の下塗り接着剤として、レゾルシンヘキサミン樹脂を主成分とし、セレンを触媒とする接着剤(LORD社製のケムロック901)を使用しており、これにより、耐熱接着性の課題をある程度解決している。しかし、セレンは毒性の高い環境負荷物質であることから、環境問題の観点から、セレンを不含にしても強固な接着性が得られるようにすることが求められている。また、その他にも、耐熱接着性の課題は一応解決しているが、型成形時の熱により、接着剤が、金型に転写してしまい、量産性の低下をきたすといった問題等を生じるものもある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、環境負荷物質を含んでおらず、金具とゴム材との界面における耐熱接着性や耐エチレングリコール性に優れる防振ゴム部材の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の防振ゴム部材は、金具とゴム材とが、金具上に形成された下塗り接着剤層およびその層に接して形成された上塗り接着剤層を介し、一体的に形成されてなる防振ゴム部材であって、上記下塗り接着剤層が下記の(A)によって形成され、かつ、上記上塗り接着剤層が下記の(B)によって形成され、その上塗り接着剤層にゴム材が加硫接着しているという構成をとる。
(A)セレンを含有しないレゾルシノール系接着剤。
(B)塩素化ポリオレフィンを主成分とする接着剤。
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、金具面に塗布する下塗り接着剤に、毒性の高いセレンを除いたレゾルシノール系接着剤を用いたところ、セレン含有の従来品とほぼ同レベルの、高い耐熱接着性が得られるようになることを突き止めた。さらに、耐エチレングリコール性においては、セレン含有の従来品よりも高い接着耐性が得られることを突き止めた。そして、この下塗り接着剤からなる層と、その層に接して形成される、塩素化ポリオレフィンを主成分とし、特に塩化天然ゴムを含有しない上塗り接着剤層を介しゴム材を加硫接着させることにより、上記金具とゴム材との間に優れた接着力が得られるようになることを突き止め、本発明に到達した。
本発明の防振ゴム部材は、下塗り接着剤層に、環境負荷物質であるセレンを含有しないレゾルシノール系接着剤を用い、上塗り接着剤層に、塩素化ポリオレフィンを主成分とする接着剤を用いている。そのため、環境問題の観点から優れており、しかも耐熱接着性が高く、耐エチレングリコール性にも優れている。したがって、このような接着剤層によって金具とゴム材とが一体的に形成されてなる防振ゴム部材は、自動車用のブッシュやエンジンマウントといった、高温環境下で使用するものに適している。特に、上記防振ゴム部材が、エチレングリコール等の液体封入タイプである場合、従来のエチレングリコール等の液体封入タイプの防振ゴム部材に比べ、優れた耐久性能を発揮することができる。
また、下塗り接着剤が、ブタジエン系樹脂と、ヘキサメチレンテトラミンと、レゾルシノールとを樹脂成分としたときに、所定の割合でレゾルシノール量を少なくしても、所望の耐熱接着性能を得ることができる。そして、上記のようにレゾルシノールを用い、かつ、その硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを用いることによって、型成形時の熱により、接着剤が、金型に転写してしまい、製品性の悪化をきたすといった問題等を解消することができる。
さらに、下塗り接着剤が、その必須成分に加え、金属酸化物(酸化亜鉛や酸化チタン)を所定の割合で含有したときに、本発明の防振ゴム部材は、より耐熱性に優れるようになる。
そして、上記上塗り接着剤が、塩化天然ゴム不含の接着剤としたときに、金具とゴム材との界面接着における耐エチレングリコール性が、より優れるようになる。
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の防振ゴム部材の一実施の形態を示している。この実施の形態では、本発明の防振ゴム部材の一例として、自動車用の円筒状ブッシュについて説明する。この円筒状ブッシュは、円筒状の防振ゴム(ゴム材)1の内周面に、円筒状の内筒金具(金具)2が同軸的に接着一体化されているとともに、上記円筒状の防振ゴム1の外周面に、円筒状の外筒金具(金具)3が同軸的に接着一体化されている。
そして、上記内筒金具2と防振ゴム1との界面部分は、その拡大図を図2に示すように、内筒金具2の外周面に、下塗り接着剤層4が接して形成され、この下塗り接着剤層4の外周面に、上塗り接着剤層5が接して形成され、この上塗り接着剤層5の外周面に、上記防振ゴム1が接して形成されている。そして、本発明では、上記下塗り接着剤層4が、セレンを含有しないレゾルシノール系接着剤によって形成され、上記上塗り接着剤層5が、塩素化ポリオレフィンを主成分とする接着剤によって形成され、その上塗り接着剤層5に防振ゴム1が加硫接着しており、このことを最大の特徴としている。ここで、上記上塗り接着剤の「主成分」とは、その接着剤の特性に大きな影響を与えるもののことであり、樹脂固形分全体の50重量%以上を占めることを意味する。なお、金具表面が腐食すると、金具とゴム材との密着性が低下し、防振ゴム部材としての機能が発揮されなくなるおそれがあるため、必要に応じ、図3に示すように、内筒金具2の外周面に、腐食防止策として、化成皮膜(リン酸亜鉛等の皮膜)6を形成し、その上から、上記のように下塗り接着剤層4および上塗り接着剤層5の形成を順次行ってもよい。そして、上記各層の形成は、外筒金具3と防振ゴム1との界面部分についても、同様である。
つぎに、上記防振ゴム部材の形成材料について詳しく説明する。
上記防振ゴム1の形成材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、天然ゴム(NR),ブタジエンゴム(BR),スチレンブタジエンゴム(SBR),イソプレンゴム(IR),アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR),カルボキシル変性NBR,クロロプレンゴム(CR),エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM),マレイン酸変性EPM,ブチルゴム(IIR),ハロゲン化IIR,クロロスルホン化ポリエチレン(CSM),フッ素ゴム(FKM),アクリルゴム,エピクロロヒドリンゴム等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。なかでも、防振性が良好である観点から、天然ゴムが好ましい。また、必要性能に応じて、上記材料に、カーボンブラック等の補強剤,加硫剤,加硫促進剤,滑剤,助剤,可塑剤,老化防止剤等が適宜に添加される。
上記内筒金具2および外筒金具3としては、金属製のものであれば特に限定はなく、例えば、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、鉛、錫、あるいはこれらの合金、ステンレス等の従来公知の金属によって形成されたものが用いられる。なお、上記内筒金具2と外筒金具3とは、同じ種類の金属からなるものであっても、異なる種類の金属からなるものであってもよい。
上記下塗り接着剤層4は、先に述べたように、セレンを含有しないレゾルシノール系接着剤によって形成される。すなわち、セレンフリーであるため環境問題の観点から優れており、また、このようにセレンフリーであっても、高い耐熱接着性が得られる。そして、上記下塗り接着剤としては、好ましくは、ブタジエン系樹脂と、ヘキサメチレンテトラミンと、レゾルシノールとを樹脂成分とし、その接着剤固形分100重量部(以下、「部」と略す)に対し、上記レゾルシノールを1〜25部の割合で含有する接着剤が用いられる。すなわち、このように、レゾルシノールを用い、かつ、その硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを用いることにより、型成形時の熱により、接着剤が、金型に転写してしまい、製品性の悪化および量産性の低下をきたすといった問題が軽減される。また、上記のようにレゾルシノール量を少なくしても、所望の耐熱接着性能を得ることができる。
また、上記下塗り接着剤において、その樹脂成分に加え、酸化亜鉛と酸化チタンとを含有し、その接着剤固形分100部に対し、酸化亜鉛を20〜50部の割合で含有し、酸化チタンを20〜50部の割合で含有したときに、本発明の防振ゴム部材が、より耐熱性に優れるようになるため、好ましい。なお、上記下塗り接着剤には、必要に応じ、カーボンブラック,架橋剤,充填剤等が適宜に添加され、また、その接着剤の溶剤として、キシレン,エチルベンゼン,メチルイソブチルケトン等が用いられる。
上記のような非セレン系の下塗り接着剤であって、市販のものとしては、具体的には、ロード・ファー・イースト社製のXPJ−113や、XPJ−77や、XPJ−106等があげられる。なお、これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
なお、上記下塗り接着剤層4中のセレン(Se)の検出は、具体的には、島津製作所社製の電子線マイクロアナライザー(EPMA−1600)により行うことができる。すなわち、下記の条件で測定し、波長:8. 9900Å(オングストローム)に検出されるセレン(Se)の存在を調べることにより、行われる。
・加速電圧:15KV
・ビームサイズ:1μm
・ビーム電流:0. 1041μA
・試料電流:0. 0755μA
・分光結晶:RAP(酸化フタル酸ルビジウム)
上記上塗り接着剤層5は、先に述べたように、塩素化ポリオレフィンを主成分とする接着剤によって形成される。そして、上記塩素化ポリオレフィンとしては、特に限定されるものではないが、なかでも、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)や塩素化ポリエチレンが、接着性に優れるため好ましい。これら塩素化ポリオレフィンは、単独であるいは二種以上併せて用いられる。また、本発明では、上記接着剤中に塩化天然ゴムを不含とすることが好ましい。すなわち、上記接着剤中に塩化天然ゴムを不含とすることにより、金具とゴム材との接着界面における耐エチレングリコール性が、より優れるようになるからである。なお、上記上塗り接着剤には、必要に応じ、シリカ等の充填剤,亜鉛化合物,四塩化炭素,顔料,架橋剤等が適宜に添加され、また、その接着剤の溶剤として、キシレン,トリオール等が用いられる。
上記のような上塗り接着剤であって、市販のものとしては、具体的には、ロード・ファー・イースト社製のXJ−370や、XJ−371や、XJ−380や、XJ−381等が、耐熱接着性等の点から優れている。なかでも、XJ−370が、塩化天然ゴム不含であり、耐エチレングリコール性にも優れるため、より好ましい。なお、これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
なお、図3における化成皮膜6は、先にも述べたように、必要に応じ形成されるものであるが、上記化成皮膜6を形成するために用いる溶液は、たとえばリン酸亜鉛皮膜を形成する場合、リン酸第1亜鉛と亜硝酸塩等の酸化剤とを含むpH2〜3の水溶液が用いられる。このリン酸亜鉛液におけるリン酸亜鉛の濃度は、通常、10〜20重量%の範囲内に設定される。なお、上記のようなリン酸亜鉛皮膜以外にも、たとえば、リン酸亜鉛カルシウム,リン酸マンガン,リン酸鉄,リン酸スズ等の化成皮膜を形成してもよい。
そして、上記のような円筒状ブッシュは、例えば、つぎのようにして作製することができる。なお、本発明の防振ゴム部材の製法は、以下に示すような手順に特に限定されるものではない。
すなわち、まず、内筒金具2と外筒金具3とを準備し、その内筒金具2の外周面および外筒金具3の内周面に、適宜、粗面化処理を行う。具体的には、内筒金具2の内周面および両端開口面ならびに外筒金具3の外周面および両端開口面をマスキングした後、内筒金具2の外周面および外筒金具3の内周面を、粒度♯20〜♯70程度の研磨材を用いてサンドブラスト処理等し粗面化する〔十点平均粗さ(Rz)10〜30μm程度。東京精密社製のサーフコム1400Dによる測定値〕。つぎに、その粗面部分に、接着剤層を形成するのであるが、その前に、必要に応じ、リン酸亜鉛液等による化成皮膜6(皮膜重量1.5〜4.0g/m2 程度)の形成を行ってもよい。そして、このような内筒金具2の外周および外筒金具3の内周に対し、下塗り接着剤をスプレー等により塗布し、その後、自然乾燥させ〔25℃(室温)×60分間程度〕、下塗り接着剤層4(厚み5〜20μm程度)を形成する。続いて、上記下塗り接着剤層4の表面に、上塗り接着剤をスプレー等により塗布し、その後、自然乾燥させ〔25℃(室温)×60分間程度〕、上塗り接着剤層5(厚み5〜20μm程度)を形成する。そして、これら内筒金具2および外筒金具3から上記マスキングを取り除いた後、これら内筒金具2および外筒金具3を、成形用金型内に同軸的に配設し、内筒金具2と外筒金具3と金型とで囲まれる成形空間内に、上記防振ゴム1形成用の未加硫ゴムを充填し、その後、加硫する(140〜200℃×5〜60分間程度)。このようにして、上記円筒状ブッシュを作製することができる。
そして、本発明の防振ゴム部材は、上記円筒状ブッシュの他に、自動車や輸送機器(飛行機,フォークリフト,ショベルカー,クレーン等の産業用輸送車両、鉄道車両等)等に用いられる、円筒状以外のブッシュ,エンジンマウント,モータマウント等、または産業機械等の様々な機械に用いられる防振部材等として好適に用いられる。すなわち、金具の形状は、円筒状に限定されず、平板状,波形状等、各種の形状がある。これらの形状のものでは、上下の金具の間にゴム材を挟んだサンドイッチ形状が常用されるが、上下のいずれかだけに金具が設けられてもよい。
また、本発明の防振ゴム部材は、特開平7−301278号公報のような液体封入タイプのものであってもよい。すなわち、そのゴム材部分が、振動入力に応じて変形する室壁に形成され、その室壁と金具の一部とから構成される密閉空間に、液体が封入されているといった構造を備えたものである。そして、その金具とゴム材とは、本発明で規定するように、金具上に形成された特定の下塗り接着剤層およびその層に接して形成された特定の上塗り接着剤層を介し、接着されている。なお、その封入液は、従来同様、エチレングリコール、ジエチレングリコール、水等が用いられる。そして、上記防振ゴム部材における金具とゴム材との接着界面は、先にも述べたように、耐熱接着性、耐エチレングリコール性に優れることから、従来のエチレングリコール等の液体封入タイプの防振ゴム部材に比べ、優れた耐熱性能を発揮することができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
まず、以下のように、下塗り接着剤,上塗り接着剤および未加硫ゴムを準備した。
〔下塗り接着剤(i) 〕
キシレン20重量%(以下、「%」と略す)と、エチルベンゼン4.6%と、ヘキサメチレンテトラミン1.9%と、レゾルシノール2%と、メチルイソブチレンケトン56%と、カーボンブラック1.5%と、酸化亜鉛6%と、酸化チタン5%と、ブタジエン系樹脂3%とを混合し、下塗り接着剤(i) を調製した。
〔下塗り接着剤(ii)〕
ケムロック901(LORD社製)。
〔上塗り接着剤(i) 〕
CSM系接着剤(C6100 、LORD社製)。
〔上塗り接着剤(ii)〕
塩素化ポリエチレン系接着剤(XJ370、LORD社製)。
〔未加硫ゴム(i) 〕
天然ゴム100部と、HAFカーボンブラック(東海カーボン社製、シースト3)35部と、酸化亜鉛(堺化学工業社製、酸化亜鉛1種)5部と、ステアリン酸(花王社製、ルーナックS−30)2部と、加硫促進剤(住友化学社製、ソクシノールCZ)0.7部と、硫黄(鶴見化学工業社製、サルファックス200S)2部とをニーダーおよび練りロール機を用いて混練することにより、未加硫ゴムを調製した。
〔未加硫ゴム(ii)〕
天然ゴム70部と、SBR30部と、HAFカーボンブラック(東海カーボン社製、シースト3)35部と、酸化亜鉛(堺化学工業社製、酸化亜鉛1種)5部と、ステアリン酸(花王社製、ルーナックS−30)2部と、加硫促進剤(住友化学社製、ソクシノールCZ)0.7部と、硫黄(鶴見化学工業社製、サルファックス200S)2部とをニーダーおよび練りロール機を用いて混練することにより、未加硫ゴムを調製した。
〔未加硫ゴム(iii) 〕
IIR100部と、HAFカーボンブラック(東海カーボン社製、シースト3)35部と、酸化亜鉛(堺化学工業社製、酸化亜鉛1種)5部と、ステアリン酸(花王社製、ルーナックS−30)2部と、加硫促進剤(住友化学社製、ソクシノールCZ)0.7部と、硫黄(鶴見化学工業社製、サルファックス200S)2部とをニーダーおよび練りロール機を用いて混練することにより、未加硫ゴムを調製した。
〔実施例1〜3、比較例1〕
上記準備した材料を用い、図4に示す試験サンプル(本発明の防振ゴム部材における金具とゴム材との接着界面の評価試験をするためのサンプル)を作製した。このものは、長方形のSUS304製ステンレス鋼板〔25mm×60mm×2mm(厚み)〕12の片面全体に、長方形の防振ゴム板〔25mm×60mm×1.5mm(厚み)〕11を一体形成したものである。
上記試験サンプルの作製に際し、まず、上記ステンレス鋼板12の片面全体を、粒度♯20のアルミナ製研磨材を用い、サンドブラスト処理機により、1分間サンドブラスト処理した。これにより、上記ステンレス鋼板12の片面全体の十点平均粗さ(Rz)を10.0μm(東京精密社製のサーフコム1400Dによる測定値)にした。つぎに、その粗面に形成された上記ステンレス鋼板12の片面全体に、後記の表1に示す下塗り接着剤をスプレーにより塗布(スプレー塗布が困難なものは、はけ塗り)した。その後、乾燥させ(25℃×60分間)、下塗り接着剤層(厚み10μm)を形成した。続いて、上記下塗り接着剤層の表面に、後記の表1に示す上塗り接着剤をスプレーにより塗布し、その後、乾燥させ(25℃×60分間)、上塗り接着剤層(厚み10μm)を形成した。そして、成形用金型を用いて、上記ステンレス鋼板12の片面上の成形空間内に、上記調製の未加硫ゴムを充填し、加硫(150℃×20分間)して、防振ゴム板11を形成した。このようにして、図4に示す試験サンプルを作製した。なお、上記接着剤層の厚みは、試験サンプルを切断し、その切断面を電子顕微鏡で見て任意の10個所で測定し、その平均値をとった。
このようにして得られた各試験サンプルについて、下記の基準に従い、各特性の比較評価および測定を行った。これらの結果を後記の表1に併せて示した。
〔毒性〕
電子線マイクロアナライザー(EPMA−1600、島津製作所社製)により、接着剤層中のセレン(Se)の検出を行った。すなわち、下記の条件で測定し、波長:8. 9900Å(オングストローム)に検出されるセレン(Se)の存在を調べた。そして、セレン(Se)が検出されたものを、毒性が「有」と評価し、検出されなかったものを、毒性が「無」と評価した。
・加速電圧:15KV
・ビームサイズ:1μm
・ビーム電流:0. 1041μA
・試料電流:0. 0755μA
・分光結晶:RAP(酸化フタル酸ルビジウム)
〔耐封入液性〕
各試験サンプルを、高温(100℃または120℃)のエチレングリコール液に500時間浸漬した。その後、各試験サンプルを上記エチレングリコール液から取り出し、各試験サンプルについて、90度剥離試験を行った。すなわち、各試験サンプルを10mm幅で短冊状に切断し、短冊状の先端部のステンレス鋼板12と加硫接着剤層と防振ゴム板11をそれぞれ剥離し、その剥離したステンレス鋼板12と防振ゴム板11の各先端部を引張試験機(オリエンテック社製)の各チャックに挟み、引張速度50mm/分の条件で、ステンレス鋼板12/防振ゴム板11間の90度剥離試験を行った。その結果、破断した時の荷重〔接着破断力(N/cm)〕、および、破断面の状態(破断状態)を測定・評価した。なお、表中の破断状態の欄において、「R100」とは、ゴム部分(R)において100%破断したことを意味し、その数値が0に近づくほど、ゴム部分の破断割合が0%に近づくことを意味する。また、(M)は、下塗り接着剤層とステンレス鋼板12間の破断を意味する。
Figure 2007118292
上記結果から、実施例1〜3の試験サンプルは、毒性がなく、比較例1の試験サンプルよりも耐封入液性(特に、120℃のエチレングリコール液に500時間浸漬した後での評価)に優れていることがわかる。なお、下塗り接着剤(i) に代えて、ロード・ファー・イースト社製のXPJ−77,106を用いた場合であっても、本願実施例と同様の試験結果が得られた。
本発明の防振ゴム部材の一実施の形態である円筒状ブッシュを示す断面図である。 上記円筒状ブッシュの要部を示す拡大断面図である。 上記円筒状ブッシュの要部を示す拡大断面図である。 耐封入液試験および剥離試験に用いた試験サンプルを示す正面図である。
符号の説明
1 防振ゴム
2 内筒金具
4 下塗り接着剤層
5 上塗り接着剤層

Claims (6)

  1. 金具とゴム材とが、金具上に形成された下塗り接着剤層およびその層に接して形成された上塗り接着剤層を介し、一体的に形成されてなる防振ゴム部材であって、上記下塗り接着剤層が下記の(A)によって形成され、かつ、上記上塗り接着剤層が下記の(B)によって形成され、その上塗り接着剤層にゴム材が加硫接着していることを特徴とする防振ゴム部材。
    (A)セレンを含有しないレゾルシノール系接着剤。
    (B)塩素化ポリオレフィンを主成分とする接着剤。
  2. 上記(A)の接着剤が、下記の(a)〜(c)成分を樹脂成分とし、その接着剤固形分100重量部に対し、上記(c)成分を1〜25重量部の割合で含有する請求項1記載の防振ゴム部材。
    (a)ブタジエン系樹脂。
    (b)ヘキサメチレンテトラミン。
    (c)レゾルシノール。
  3. 上記(A)の接着剤が、上記(a)〜(c)成分に加え、下記の(d)および(e)成分を含有し、その接着剤固形分100重量部に対し、上記(d)成分を20〜50重量部の割合で含有し、上記(e)成分を20〜50重量部の割合で含有する請求項2記載の防振ゴム部材。
    (d)酸化亜鉛。
    (e)酸化チタン。
  4. 上記(B)の塩素化ポリオレフィンが、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)および塩素化ポリエチレンの少なくとも一方である請求項1〜3のいずれか一項に記載の防振ゴム部材。
  5. 上記(B)が、塩化天然ゴム不含の接着剤である請求項1〜4のいずれか一項に記載の防振ゴム部材。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の防振ゴム部材であって、そのゴム材部分が、振動入力に応じて変形する室壁に形成され、その室壁と金具の一部とから構成される密閉空間に、液体が封入されてなる請求項1〜5のいずれか一項に記載の防振ゴム部材。
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