JP2007245416A - 防振ゴム部材の製法およびそれにより得られる防振ゴム部材 - Google Patents

防振ゴム部材の製法およびそれにより得られる防振ゴム部材 Download PDF

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Abstract

【課題】金型汚染を抑え、高品質の防振ゴム部材を、成形加工性、量産性に優れるよう製造することができる防振ゴム部材の製法およびそれにより得られる防振ゴム部材を提供する。
【解決手段】金具1面に、下記の(A)によって下側接着剤層を形成した後、この下側接着剤層の表面に、下記の(B)によって上側接着剤層を積層形成することにより、接着剤層2を構成する工程と、成形用凹部を有する金型3を準備し、その金型3の成形用凹部の周縁部3Aを、上記金具1の接着剤層2形成面に押圧する工程と、上記金型3の押圧状態において、上記金具1の接着剤層2形成面と金型3の成形用凹部とでつくられるキャビティー4内にゴム組成物を圧入する工程と、上記ゴム組成物を加硫させる工程と、上記金型3の押圧を解くと同時に、上記加硫により形成されたゴム材を金型3から脱型する工程とにより、防振ゴム部材を製造する。
(A)レゾルシノール系接着剤。
(B)粘着付与剤を含有しないクロロスルホン化ポリエチレン(CSM)系接着剤。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用のブッシュ,エンジンマウント、産業機械用の防振部材等に広く利用できる防振ゴム部材の製法およびそれにより得られる防振ゴム部材に関するものである。
一般に、自動車用のブッシュ,エンジンマウント、産業機械用の防振部材等に用いられる防振ゴム部材は、金具とゴム材とが一体化して形成された金具付きゴム部材となっており、フレーム,エンジン等の各種構成品同士の連結部材として用いられている。
上記防振ゴム部材では、金具とゴム材との界面を接着させるため、通常、接着剤が用いられる。接着方法としては、一般に、1つの接着剤を用いる「接着剤一液塗工式」と、金具表面にプライマーとして下塗り接着剤を塗布した後、更に上塗り接着剤を塗布する「接着剤二液塗工式」とがあるが、汎用ゴムと金具との接着では、二液塗工式が広く用いられている。また、上記防振ゴム部材の製造は、例えば、上記接着剤の塗布を行った金具を、防振ゴム部材形成用の金型内に配設し、ゴム組成物(未加硫ゴム)を射出成形法等により金型内に注型することにより、なされる(例えば、特許文献1および2参照)。
特開2002−227897公報 特開2003−148536公報
しかしながら、上記のような防振ゴム部材の製造に関し、その金具とゴム材との界面接着に現行接着剤を使用した場合、初期接着性を含めた基本性能は満足するものの、接着剤塗布後のゴム加硫工程の熱負荷により、上記塗布した接着剤が軟化し、その後、この軟化した接着剤が金型の方に転移して反応硬化し、金型汚染を促進させるおそれがある。
特に、成形用凹部を有する金型における上記成形用凹部の周縁部(開口部)を、上記金具の接着剤層形成面に押圧し、上記金具の接着剤層形成面と金型の成形用凹部とでつくられるキャビティー内にゴム組成物を圧入するような製法においては、バリの発生を抑えるため、上記接着剤層に金型がくい込むほど金型の押圧を強くする必要がある。そのため、上記接着剤層と金型とが接触している部分において、一時的に癒着したような状態を形成するようになる。このように、上記接着剤層が金型の方に癒着した状態のときに、上記金型を脱型すると、上記接触部分の接着剤層が強制剥離され、結果、接着剤層の凝集破壊が発生してしまう。したがって、このような製法では、金型汚染によるメンテナンス頻度の増加はもとより、それによって生じる防振ゴム部材の量産性の低下、防振ゴム部材の品質への悪影響が顕著に発生する。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、金型汚染を抑え、高品質の防振ゴム部材を、成形加工性、量産性に優れるよう製造することができる防振ゴム部材の製法およびそれにより得られる防振ゴム部材の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、金具とゴム材とが接着剤層を介し金型プレスにより一体的に形成されてなる防振ゴム部材の製法であって、金具とゴム材との一体形成に先立って、その界面となる金具面に、下記の(A)によって下側接着剤層を形成した後、この下側接着剤層の表面に、下記の(B)によって上側接着剤層を積層形成する工程と、成形用凹部を有する金型を準備し、その金型の成形用凹部の周縁部を、上記金具の両接着剤層形成面に押圧する工程と、上記金型の押圧状態において、上記金具の両接着剤層形成面と金型の成形用凹部とでつくられるキャビティー内にゴム組成物を圧入する工程と、上記ゴム組成物を加硫させる工程と、上記金型の押圧を解くと同時に、上記加硫により形成されたゴム材を金型から脱型する工程とを備えた防振ゴム部材の製法を第一の要旨とし、上記製法により得られる防振ゴム部材を第二の要旨とする。
(A)レゾルシノール系接着剤。
(B)粘着付与剤を含有しないクロロスルホン化ポリエチレン(CSM)系接着剤。
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。そして、その研究の過程で、上記のような、金具の接着剤層形成面と金型の成形用凹部とでつくられるキャビティー内にゴム組成物を圧入し、ゴム組成物の加硫成形を行うといったような製法において、金具面に塗布する下塗り接着剤にレゾルシノール系接着剤を用いたところ、高い耐熱接着性が得られるようになることを突き止め、また、この下塗り接着剤層の表面に、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)系接着剤によって上塗り接着剤層を形成し、この層を介して、上記加硫成形によるゴム材の加硫接着を行うことにより、上記金具とゴム材との間に優れた接着力が得られることを突き止めた。さらに、上記上塗り接着剤中に、通例として配合されてきた粘着付与剤(ロジン及びロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂等)を、本発明では不含としたところ、ゴム材の加硫接着に殆ど悪影響を及ぼさないことをも突き止めた。しかも、このように粘着付与剤を不含とすることにより、先述のような接着剤層形成面への金型の押圧時にも、その金型と接触している部分の密着力を低下させることができ、結果、金型脱型時の接着剤層の凝集破壊を発生させずに、金型と接着剤層とを剥離させることが可能となり、金型汚染を抑制し、高品質の防振ゴム部材を、成形加工性、量産性に優れるよう製造することができることを見いだし、本発明に到達した。
本発明の防振ゴム部材の製法は、金具とゴム材とが接着剤層を介し金型プレスにより一体的に形成されてなる防振ゴム部材の製法であって、金具とゴム材との一体形成に先立って、その界面となる金具面に、レゾルシノール系接着剤によって下側接着剤層を形成した後、この下側接着剤層の表面に、粘着付与剤(ロジン及びロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂等)不含のCSM系接着剤によって上側接着剤層を積層形成する工程と、成形用凹部を有する金型を準備し、その金型の成形用凹部の周縁部を、上記金具の両接着剤層形成面に押圧する工程と、上記金型の押圧状態において、上記金具の両接着剤層形成面と金型の成形用凹部とでつくられるキャビティー内にゴム組成物を圧入する工程と、上記ゴム組成物を加硫させる工程と、上記金型の押圧を解くと同時に、上記加硫により形成されたゴム材を金型から脱型する工程とを備えている。これにより、金型の脱型時に、接着剤層の凝集破壊を発生させずに、金型と接着剤層とを剥離させることが可能となり、金型汚染を抑制することができ、高品質の防振ゴム部材を、成形加工性、量産性に優れるよう製造することができるようになる。また、金型汚染が抑制されることから、金型のメンテナンスを頻繁にしなくて済むといった効果も奏する。
特に、上側接着剤層用の接着剤が、塩素化ポリエチレンまたは塩化天然ゴム不含の接着剤であったときに、上記防振ゴム部材における上記金具とゴム材との間に、より優れた接着力が得られるようになる。
また、下側接着剤層形成用の接着剤が、その必須成分に加え、金属酸化物(酸化亜鉛や酸化チタン)を所定の割合で含有したときに、本発明の防振ゴム部材は、より耐熱性に優れるようになる。
そして、上記製法により得られる本発明の防振ゴム部材は、その金具とゴム材との界面接着性が高く、しかも、接着剤層の凝集破壊やバリの発生がない、高品質の防振ゴム部材とすることができる。そして、本発明の防振ゴム部材は、自動車用のブッシュやエンジンマウントといった、高温環境下で使用するものに適している。
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の防振ゴム部材の製造過程の一実施形態を示す。また、図2は、上記図1の実施形態において使用される金型の分解斜視図である。そして、上記実施形態では、図示のように、金型部品3a,3b,3c,3dおよび3eにより構成される金型3内に、特定の接着剤層2が形成された金具1を配設し(詳しくは、金型部品3dの内周面等によりつくられる成形用凹部の周縁部3Aと、上記金具1の接着剤層2形成面とを、図1のように接触させるよう配設し)、上記接着剤層2に金型部品3d(周縁部3A)がくい込むほど上記金型3のプレス(図1の矢印方向への押圧)を強くし、上記接着剤層2が形成された金具1面と金型3の成形用凹部とでつくられるキャビティー4内にゴム組成物の圧入を行う。このように金型3のプレスを強くすることにより、上記ゴム組成物の圧入を行っても、バリの発生を抑制することができる。そして、上記キャビティー4内に圧入されたゴム組成物を、加熱により加硫させ(140〜200℃×5〜60分間程度)、その後、上記金型3のプレスを解くと同時に、上記加硫により形成されたゴム材(防振ゴム)を金型3から脱型(金型部品3dは割り型であり、半割することによりゴム材の脱型が可能)することにより、図3に示すような防振ゴム部材(金具1と防振ゴム5とが接着剤層2を介し一体的に形成されてなる防振ゴム部材)を製造することができる。
上記防振ゴム部材における金具1と防振ゴム5との界面部分は、拡大すると、図4に示すようになっている。すなわち、図示のように、本発明では、上記接着剤層2が、界面となる金具1面に形成された下側接着剤層2aと、この下側接着剤層2a上に形成された上側接着剤層2bとの積層体からなる。そして、上記金具1面上に形成の下側接着剤層2aが、レゾルシノール系接着剤によって形成され、上記上側接着剤層2bが、粘着付与剤を含有しないクロロスルホン化ポリエチレン(CSM)系接着剤によって形成され、その上側接着剤層2bに防振ゴム5を加硫接着させている。上記接着剤層2を、このような構成とすることにより、金具1と防振ゴム5との間で高い耐熱接着性が得られるとともに、上記図1に示す製造過程において、上記接着剤層2の、金型部品3d(周縁部3A)との接触部2Aで、密着力を低下させることができ、結果、金型3脱型時の接着剤層の凝集破壊を発生させずに、金型部品3d(周縁部3A)と接着剤層2とを剥離させることが可能となり、金型汚染を抑制し、高品質の防振ゴム部材を、成形加工性、量産性に優れるよう製造することができるようになる。なお、上記下側接着剤層2aや上側接着剤層2bは、それぞれ、スプレー等により接着剤を塗布し、その後、自然乾燥させ〔25℃(室温)×60分間程度〕、層形成を行う(各層の厚み:5〜20μm程度)。
つぎに、上記防振ゴム部材の形成材料について詳しく説明する。
上記防振ゴム5の形成材料となるゴム組成物は、圧入可能なものであれば特に限定はなく、例えば、天然ゴム(NR),ブタジエンゴム(BR),スチレンブタジエンゴム(SBR),イソプレンゴム(IR),アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR),カルボキシル変性NBR,クロロプレンゴム(CR),エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM),マレイン酸変性EPM,ブチルゴム(IIR),ハロゲン化IIR,フッ素ゴム(FKM),アクリルゴム,エピクロロヒドリンゴム等のゴムが、単独であるいは二種以上併せて用いられる。なかでも、防振性が良好である観点から、天然ゴムが好ましく用いられる。また、上記ゴム組成物には、必要に応じて、カーボンブラック等の補強剤,加硫剤,加硫促進剤,滑剤,助剤,可塑剤,老化防止剤等が適宜に添加される。
上記金具1としては、金属製のものであれば特に限定はなく、例えば、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、鉛、錫、あるいはこれらの合金、ステンレス等の従来公知の金属によって形成されたものが用いられる。
上記下側接着剤層2aは、先に述べたように、レゾルシノール系接着剤によって形成される。上記レゾルシノール系接着剤は、特に限定はないが、好ましくは、ブタジエン系樹脂と、ヘキサメチレンテトラミンと、レゾルシノールとを樹脂成分とし、その接着剤固形分100重量部(以下、「部」と略す)に対し、上記レゾルシノールを1〜25部の割合で含有する接着剤が用いられる。すなわち、このように、レゾルシノールを用い、かつ、その硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを用いることにより、型成形時の熱により、接着剤が、金型に転写してしまい、製品性の悪化および量産性の低下をきたすといった問題が軽減される。また、上記のようにレゾルシノール量を少なくしても、所望の耐熱接着性能を得ることができる。
また、上記レゾルシノール系接着剤において、その樹脂成分に加え、酸化亜鉛や酸化チタンといった金属酸化物を、その接着剤固形分100部に対し、20〜50部の割合で含有するときに、本発明の防振ゴム部材が、より耐熱性に優れるようになるため、好ましい。なお、上記レゾルシノール系接着剤には、必要に応じ、カーボンブラック,架橋剤,充填剤等が適宜に添加され、また、その接着剤の溶剤として、キシレン,エチルベンゼン,メチルイソブチルケトン等が用いられる。
上記のようなレゾルシノール系接着剤は、市販のものとしては、例えばロード・ファー・イースト社製のXPJ−113や、XPJ−77や、XPJ−106等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
上記上側接着剤層2bは、先に述べたように、粘着付与剤を含有しないクロロスルホン化ポリエチレン(CSM)系接着剤によって形成される。ここで、上記粘着付与剤とは、具体的には、ロジン及びロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂等を示す。なお、上記CSM系接着剤には、必要に応じ、シリカ等の充填剤,亜鉛化合物,四塩化炭素,顔料,架橋剤等が適宜に添加され、また、その接着剤の溶剤として、キシレン,トリオール等が用いられる。また、上記CSM系接着剤が、塩素化ポリエチレンまたは塩化天然ゴム不含の接着剤であるとき、防振ゴム部材における上記金具1と防振ゴム5との間に、より優れた接着力が得られるようになるため、好ましい。
上記のような粘着付与剤を含有しないCSM系接着剤は、市販のものとしては、例えば、ロード・ファー・イースト社製のXJ−405等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
そして、本発明の防振ゴム部材は、上記のような材料を用い、先に述べたような手順(図1参照)に従って製造することにより、得ることができる。なお、上記手順において、下側接着剤層2aを形成する金具1面には、適宜、粗面化処理を行ってもよい。具体的には、金具1表面の、粗面化処理したくない部分をマスキングした後、粒度♯20〜♯70程度の研磨材を用いてサンドブラスト処理等し粗面化する〔十点平均粗さ(Rz)10〜30μm程度。東京精密社製のサーフコム1400Dによる測定値〕。
また、上記金具1が腐食すると、下側接着剤層2aとの界面で密着性が低下し、防振ゴム部材としての機能が発揮されなくなるおそれがあるため、腐食防止策として、必要に応じ、金具1面に、リン酸亜鉛液等による化成皮膜(皮膜重量1.5〜4.0g/m2 程度)を形成し、その上から、先に述べたようにして、下側接着剤層2aおよび上側接着剤層2bの形成を順次行ってもよい。
上記化成皮膜を形成するために用いる溶液は、たとえばリン酸亜鉛皮膜を形成する場合、リン酸第1亜鉛と亜硝酸塩等の酸化剤とを含むpH2〜3の水溶液が用いられる。このリン酸亜鉛液におけるリン酸亜鉛の濃度は、通常、10〜20重量%の範囲内に設定される。なお、上記のようなリン酸亜鉛皮膜以外にも、たとえば、リン酸亜鉛カルシウム,リン酸マンガン,リン酸鉄,リン酸スズ等の化成皮膜を形成してもよい。
なお、本発明の防振ゴム部材は、上述のような製法により得られるものであれば、特に限定はない。したがって、図3に示すような形状のものに限定されず、その製造時に使用の金型3の形状や、金具1の形状等により、各種の防振ゴム部材を製造することができるようになる。上記金具1の形状は、具体的には、円筒状,平板状,波形状等、各種の形状のものを用いることができる。また、上記防振ゴム部材の構造としては、通常、2つの金具の間にゴム材を挟んだサンドイッチ構造をとる(図3参照)が、1つの金具にゴム材が接着した態様であってもよい。そして、このような防振ゴム部材は、具体的には、自動車や輸送機器(飛行機,フォークリフト,ショベルカー,クレーン等の産業用輸送車両、鉄道車両等)等に使用されるブッシュ、エンジンマウント、モータマウント等や、また、産業機械等の様々な機械に用いられる防振部材等として好適に用いられる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、以下のように、下塗り接着剤,上塗り接着剤およびゴム組成物を準備した。
〔下塗り接着剤〕
キシレン20重量%(以下、「%」と略す)と、エチルベンゼン4.6%と、ヘキサメチレンテトラミン1.9%と、レゾルシノール2%と、メチルイソブチレンケトン56%と、カーボンブラック1.5%と、酸化亜鉛6%と、酸化チタン5%と、ブタジエン系樹脂3%とを混合し、下塗り接着剤を調製した。
〔上塗り接着剤(i) 〕
粘着付与剤不含のCSM系接着剤(ロードファーイースト社製、XJ−405)
〔上塗り接着剤(ii)〕
塩素化ポリエチレン含有接着剤(ロードファーイースト社製、XJ−370)
〔ゴム組成物〕
天然ゴム100部と、HAFカーボンブラック(東海カーボン社製、シースト3)35部と、酸化亜鉛(堺化学工業社製、酸化亜鉛1種)5部と、ステアリン酸(花王社製、ルーナックS−30)2部と、加硫促進剤(住友化学社製、ソクシノールCZ)0.7部と、硫黄(鶴見化学工業社製、サルファックス200S)2部とをニーダーおよび練りロール機を用いて混練することにより、ゴム組成物(未加硫ゴム)を調製した。
〔実施例1、比較例1〕
上記準備した材料を用い、図1に示す実施形態に従ってサンプルを作製した。すなわち、まず、金型部品3a,3b,3c,3dおよび3eにより構成される金型3内に、接着剤層2〔下塗り接着剤のスプレー塗布により形成された下側接着剤層(厚み10μm)と、その層の表面への上塗り接着剤(実施例1では上塗り接着剤(i) を使用。比較例1では上塗り接着剤(ii)を使用。)のスプレー塗布により形成された上側接着剤層(厚み10μm)との2層からなる接着剤層〕が形成された金具1を、図示のように配設した。そして、上記金型3のプレス(図1の矢印方向への押圧)を、39200N,78400N,または117600Nに場合分けし、上記接着剤層2が形成された金具1面と金型3の成形用凹部とでつくられるキャビティー4内に、上記調製のゴム組成物の圧入を行い、加硫(150℃×20分間)させ、その後、上記金型3のプレスを解くと同時に、上記加硫により形成されたゴム材(防振ゴム)を金型3から脱型した。
このとき、実施例1および比較例1において、上記接着剤層2の、金型部品3dとの接触部2Aで、接着剤層2の凝集破壊が生じるか否かを、金型部品3d側に接着剤が付着しているか否かを目視観察することにより評価した。すなわち、接着剤の付着が全くみられず、汚染されていないものを○、若干の付着が確認されたが、品質に悪影響を与えない程度であったものを△、接着剤の付着が顕著にみられ、汚染されているものを×として評価した。そして、この結果を下記の表1に併せて示した。なお、上記接着剤層2と金型部品3dとの接触面積が、1500mm2 または625mm2 となるよう、上記サンプル作製を場合分けし、上記評価を行った。
Figure 2007245416
上記結果から、実施例1では、金型3のプレスの強さや接触面積に関係なく、金型汚染を殆ど生じずに脱型させることができ、高品質の防振ゴム部材を、成形加工性、量産性に優れるよう製造することができることがわかる。これに対し、比較例1では、特に金型3のプレスが強いときに、金型汚染が顕著にみられた。
本発明の防振ゴム部材の製造過程の一例を示す説明図である。 上記防振ゴム部材の製造に使用する金型の分解斜視図である。 上記防振ゴム部材の一例を示す断面図である。 上記防振ゴム部材の要部を示す拡大断面図である。
符号の説明
1 金具
2 接着剤層
3 金型
3A 周縁部
4 キャビティー

Claims (5)

  1. 金具とゴム材とが接着剤層を介し金型プレスにより一体的に形成されてなる防振ゴム部材の製法であって、金具とゴム材との一体形成に先立って、その界面となる金具面に、下記の(A)によって下側接着剤層を形成した後、この下側接着剤層の表面に、下記の(B)によって上側接着剤層を積層形成する工程と、成形用凹部を有する金型を準備し、その金型の成形用凹部の周縁部を、上記金具の両接着剤層形成面に押圧する工程と、上記金型の押圧状態において、上記金具の両接着剤層形成面と金型の成形用凹部とでつくられるキャビティー内にゴム組成物を圧入する工程と、上記ゴム組成物を加硫させる工程と、上記金型の押圧を解くと同時に、上記加硫により形成されたゴム材を金型から脱型する工程とを備えたことを特徴とする防振ゴム部材の製法。
    (A)レゾルシノール系接着剤。
    (B)粘着付与剤を含有しないクロロスルホン化ポリエチレン(CSM)系接着剤。
  2. 上記(B)が、ロジン、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂および石油樹脂からなる群から選ばれる粘着付与剤を含有しない接着剤である請求項1記載の防振ゴム部材の製法。
  3. 上記(B)が、塩素化ポリエチレンまたは塩化天然ゴム不含の接着剤である請求項1または2記載の防振ゴム部材の製法。
  4. 上記(A)の接着剤が、下記の(a)成分を含有し、その接着剤固形分100重量部に対し、上記(a)成分を20〜50重量部の割合で含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の防振ゴム部材の製法。
    (a)酸化亜鉛および酸化チタンの少なくとも一方。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製法により得られることを特徴とする防振ゴム部材。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009243652A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Yokohama Rubber Co Ltd:The 高減衰積層体

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