JP2006220190A - 防振構造体の製造方法 - Google Patents

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JP2006220190A JP2005032638A JP2005032638A JP2006220190A JP 2006220190 A JP2006220190 A JP 2006220190A JP 2005032638 A JP2005032638 A JP 2005032638A JP 2005032638 A JP2005032638 A JP 2005032638A JP 2006220190 A JP2006220190 A JP 2006220190A
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Yuichi Kumashiro
雄一 熊代
Yasuhiro Oshino
康弘 押野
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Abstract

【課題】金属基材と防振ゴム本体とを強く接着できると共に作業の効率化を図ることができる防振構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】金属基材に、弾性材料で形成された防振材本体が接着固定されてなる防振構造体の製造方法は、金属基材にシランカップリング剤又はシリコーン樹脂を含有するプライマーを付着させる工程と、防振材本体に樹脂接着剤を付着させる工程と、プライマーを付着させた金属基材を加熱して、プライマー及び樹脂接着剤の硬化温度域まで昇温させる工程と、硬化温度域まで昇温させた状態の金属基材の被接着面を、防振材本体の樹脂接着剤の付着部に圧接させ、プライマーと樹脂接着剤とを共硬化させる工程とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、振動を発生する機械の防振支持部品、建造構築物の防振部材および自動車のエンジンマウント、ラバーブッシュ、サスペンションリンク、ストラットマウント、チェンジレバー等に用いられる防振構造体の製造方法に関する。
防振構造体は、振動する側と振動を受ける側との間に介在して、その間の振動伝達を防ぐために用いられる。一般に自動車等で使用される防振構造体は、例えば、同心状に配置された金属製の内筒及び外筒と、それらの間に介装された防振材本体とからなる。ここで、内筒及び外筒は、取付力、衝撃力及び支承強度等の剛性を受け持つ役割を果たし、防振材本体は、振動の減衰及び防振等の弾性を受け持つ役割を果たす。
防振構造体の製造方法として、例えば、特許文献1には、オレフィンゴム(EMP,EPDM等)または水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)などの未架橋ゴム成分、シランカップリング剤および有機過酸化物を含有するゴム組成物をアルカリ処理した金属上で加硫成形させることが開示されている。そして、これによれば、接着剤を使用せずに充分な強度に接合した防振ゴム構造体を提供することができる、と記載されている。
また、特許文献2には、アルミ金具に対して、酸、アルカリ又はフッ化物を用いたエッチング処理を施した後、更にアルカリ金属リン酸塩を用いた化成処理を実施し、次いで、この得られた化成処理金具を用いて、その加硫接着部位に接着剤を塗布せしめた後、所定のゴムを加硫接着させることが開示されている。そして、これによれば、アルミ金具とゴムとの接着性や接着耐久性等の接着特性に優れる防振ゴム構造体を、環境汚染の問題等を生じることなしに、安価に提供することができる、と記載されている。
さらに、特許文献3には、金属材料の表面に、酸性表面処理剤を接触させ、金属材料の表面上に被覆層を形成し、ついで、被覆層の一部もしくは全部を剥離した後、シランカップリング剤を含有する樹脂組成物を塗布、乾燥し、次に、ゴム/金属用水性接着剤プライマー、ついで、ゴム/金属用水性接着剤を、塗布、乾燥した後に、ゴム材料を加硫接着させることが開示されている。そして、これによれば、接着性及び耐久性に優れる防振ゴム構造体を提供することができる、と記載されている。
特開平11-207859号公報 特開2001-047515号公報 特開2001-260235号公報
本発明の目的は、金属基材と防振ゴム本体とを強く接着できると共に作業の効率化を図ることができる防振構造体の製造方法を提供することである。
上記の目的を達成する本発明の防振構造体の製造方法は、金属基材に、弾性を有する材料で形成された防振材本体が接着固定されてなる防振構造体の製造方法であって、
金属基材にシランカップリング剤又はシリコーン樹脂を含有したプライマーを付着させる工程と、
防振材本体に樹脂接着剤を付着させる工程と、
上記プライマーを付着させた上記金属基材を加熱して、該プライマー及び上記防振材本体に付着させた上記樹脂接着剤の硬化温度域まで昇温させる工程と、
上記硬化温度域まで昇温させた状態の上記金属基材の上記プライマーの付着部を、上記防振材本体の上記樹脂接着剤の付着部に圧接させ、該プライマー及び該樹脂接着剤を共硬化させる工程と、
を備えていることを特徴とする。
上記のようにすれば、金属基材に付着させたシランカップリング剤又はシリコーン樹脂を含有するプライマーと、防振材本体に付着させた樹脂接着剤とが共硬化するので、それらがお互いが混和した状態で同時に硬化して、それらの間の高い接着性能を得ることができる。また、金属基材に上記プライマーを焼き付けるための別個独立した工程が必要でないので、作業の効率化を図ることができる。
本発明の防振構造体の製造方法は、上記硬化温度域まで昇温させた状態の金属基材の加熱を継続しながら、上記プライマーの付着部を、上記防振材本体の上記樹脂接着剤の付着部に圧接させるようにしても、また、上記金属基材を加熱して硬化温度域まで昇温させて、該加熱を止めた後、上記プライマーの付着部を、上記防振材本体の上記樹脂接着剤の付着部に圧接させるようにしてもよい。これらは、いずれの実施形態であっても、上記の作用効果を達成することができるが、特に、上記硬化温度域まで昇温させた状態の金属基材の加熱を継続しながら、上記プライマーの付着部を、上記防振材本体の上記樹脂接着剤の付着部に圧接させる形態は、金属基材を所望の硬化温度域に保つことが容易である点で効果的であり、上記金属基材を加熱して硬化温度域まで昇温させて、該加熱を止めた後、上記プライマーの付着部を、上記防振材本体の上記樹脂接着剤の付着部に圧接させる形態は、加熱後、金属基材の表面温度が表面全体にわたって均一になってから圧接を行うことができるため、接着性がより向上するという点、さらに、消費電力が少ないため経済的である点で効果的であるからである。
本発明の防振構造体の製造方法は、上記金属基材がアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されている場合に特に好適である。アルミニウムやアルミニウム合金は難接着性金属であるので、本発明の作用効果が特に顕著に奏されるからである。ここで、アルミニウム合金とは、50質量%以上のアルミニウムを主成分として含有し、他に、比較的少量の金属、たとえば銅、マグネシウム、マンガン等を含有する合金をいう。
本発明の防振構造体の製造方法は、上記シランカップリング剤を、γ−アミノプロピルトリエトキシシランとし、また、上記シリコーン樹脂をシラノール基含有シリコーン樹脂とするのがよい。γ−アミノプロピルトリエトキシシランは、特に、樹脂接着剤、たとえば、ウレタン系接着剤等との反応性が高く、比較的低温でも良好な接着力を示すことができるからである。また、シラノール基含有シリコーン樹脂は、ハロゲン化アルキルシランやアルコキシシラン等の加水分解生成物(シラノール化合物)を脱水縮合することにより生成される化合物で、金属基材などの無機基材と反応するシラノール基(SiOH)を、樹脂を構成する単位分子中に少なくとも一つ有しており、さらに、有機樹脂などと反応する有機基を有しているため、アルミニウムやアルミニウム合金製などの難接着性金属に対しても強固な三次元網目構造をち、強接着性に加えて、耐水性や耐熱性を接着界面に付与することができるからである。
本発明の防振構造体の製造方法は、上記硬化温度域が110〜230℃であることが好ましい。硬化温度が110℃よりも低ければ、上記プライマーの硬化が不十分となって接着力が弱くなるおそれがあり、硬化温度が230℃よりも高ければ、上記プライマー、及び、上記樹脂接着剤が変質してしまうおそれがあり、そうすると接着力が弱くなるおそれがあるからである。また、上記硬化温度域は、120〜210℃であればさらに好ましい。
本発明の防振構造体の製造方法は、互いに同心状に間隔を置いて配置された金属製の内筒及び外筒と、該内筒と該外筒との間に介装された円筒ゴム状の防振ゴム本体とを備え、該内筒及び該外筒と該防振ゴム本体とがそれぞれエポキシ系又はウレタン系の樹脂接着剤により接着固定されてなる防振ゴム構造体のものの場合、
内筒の外周面及び外筒の内周面にシランカップリング剤又はシリコーン樹脂を含有するプライマーを付着させる工程と、
加硫成形された防振ゴム本体の内周面及び外周面に樹脂接着剤を付着させる工程と、
上記プライマーを付着させた上記内筒を該プライマー及び上記樹脂接着剤の硬化温度域まで昇温させる工程と、
上記硬化温度域まで昇温させた状態の上記内筒を上記樹脂接着剤を付着させた上記防振ゴム本体に挿入して、上記プライマー及び上記樹脂接着剤を共硬化させる工程と、
上記プライマーを付着させた上記外筒を該プライマー及び上記樹脂接着剤の硬化温度域まで昇温させる工程と、
上記樹脂接着剤を付着させた上記防振ゴム本体を上記硬化温度域まで昇温させた状態の上記外筒に挿入して、上記プライマー及び上記樹脂接着剤を共硬化させる工程と、
を備えたものとしてもよい。
また、内筒の外周面にハロゲン化エラストマーを主成分とするゴム接着剤を付着させ、該ゴム接着剤を付着させた内筒を覆うように防振ゴム本体となる未加硫ゴム組成物を設け、該内筒及び該防振ゴム本体の一体物を加熱加硫成形する工程と、
外筒の内周面にシランカップリング剤又はシリコーン樹脂を含有するプライマーを付着させる工程と、
上記内筒と一体となった上記防振ゴム本体の外周面に樹脂接着剤を付着させる工程と、
上記プライマーを付着させた上記外筒を、該プライマー及び上記防振ゴム本体に付着させた上記樹脂接着剤の硬化温度域まで昇温させる工程と、
上記内筒及び上記防振ゴム本体の一体物を上記硬化温度域まで昇温させた状態の上記外筒に挿入して、上記プライマー及び上記樹脂接着剤を共硬化させる工程と、
を備えたものとしてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、金属基材と防振ゴム本体とを強く接着できると共に作業の効率化を図ることができる。
以下、本発明の実施形態に係る防振構造体の製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
(実施形態1)
実施形態1として、ブッシュタイプの防振ゴム構造体の製造方法について図1〜6に基づいて説明する。
〈プライマー塗布工程〉
鉄、錫、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム等、或いはこれらの合金で形成された小径及び大径の一対の金属筒(金属基材)11a,12aの表面にそれぞれ表面被膜を形成し、さらにシランカップリング剤又はシリコーン樹脂を含有するプライマー11b,12bを塗布し、図1に示すような内筒11及び外筒12を作成する。
ここで、表面被膜は、例えば、リン酸亜鉛被膜やノンクロム被膜等である。また、表面被膜は無くてもよい。
ここで、プライマーとは、接着剤を塗布する前に被接着材料の表面に塗布する塗膜、あるいは、あらかじめ被着材表面に塗布する下地処理材料のことであり、一般に、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、又は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、又は、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、又は、エタノール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール等の有機溶剤に、主成分として、ウレタン系を始め、エポキシ系、シラン系の樹脂等が、被接着材料や有機溶剤との関係で決まる割合で溶解したものである。また、上記プライマーの主成分としては、シランカップリング剤又はシリコーン樹脂が好適に用いられる。これらは、無機材料及び有機材料と反応する官能基をそれぞれ有することにより、無機材料と有機材料の密着性を向上させることができるためである。
また、一般に、シランカップリング剤は、複合材料などで、XSi(CH33-n(OR)nで表される。なお、nは2又は3で、Rはメチル基又はエチル基、Xは有機レジンと結合し得る有機反応基で、ビニル、メタクリル、エポキシ、アミノ、メルカプトなどである。ORで示したアルコキシ基は、空気中の水分等により加水分解されてシラノール基(SiOH)を生成し、これが無機基材と反応する。シランカップリング剤には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、 N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が使用でき、これらの中でも特にγ-アミノプロピルトリエトキシシラン(例えば、日本ユニカー社製 商品名「A−1100」等)が好適に用いられる。
また、シリコーン樹脂は、シロキサン結合(−Si−O−)の繰り返しを主鎖とし、側基としてアルキル、アリール基などをもつ重合体であり、三次元網目構造をもつ。シリコーン樹脂としては、シラン系プライマーの樹脂成分として一般に使用されているものを用いることができるが、特にシラノール基含有シリコーン樹脂(例えば、日本ユニカー社製 商品名「APZ−6601」)が好適に用いられる。金属基材などの無機基材と反応するシラノール基(SiOH)を、樹脂を構成する単位分子中に少なくとも一つ有しており、さらに、有機樹脂などと反応する有機基を有しているため、アルミニウムやアルミニウム合金製などの難接着性金属に対しても強固な三次元網目構造をもち、強接着性に加えて、耐水性や耐熱性を接着界面に付与することができるからである。
〈防振ゴム本体準備工程〉
天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ニトリルゴム等のジエン系ゴムの単体又はブレンド物を主体とするゴム組成物や発泡ウレタン組成物等によるゴム組成物から肉厚円筒状の防振ゴム本体(防振材本体)13を加硫成形する。
〈接着剤塗布工程〉
防振ゴム本体13の内周面及び外周面を次亜塩素酸ナトリウム溶液や塩素化シアヌール酸溶液により表面処理し、そして、図2に示すように、ポリウレタン系樹脂接着剤やエポキシ系樹脂接着剤等の樹脂接着剤17を塗布する。ここで、樹脂接着剤としては、熱硬化型樹脂接着剤、湿気硬化型樹脂接着剤、感圧型樹脂接着剤、又は、ホットメルト型樹脂接着剤等を用いることができる。
〈電磁誘導加熱工程〉
図3(a)に示すように、内筒11及び外筒12を同心状に配置すると共に、把持具14aにより保持された環状電磁石14bを外筒12を囲うように配置し、図3(b)に示すようなマルチターンの電磁誘導加熱用ワークコイル15を、コイル内側に内筒11が配置され、コイル外側に外筒12が配置されるようにして内筒11及び外筒12の間隙に挿入する。そして、ワークコイル15に繋がった発振器16を10〜300kHzの発振周波数で発振させることにより、内筒11の外周面及び外筒12の内周面を電磁誘導加熱して、プライマー及び接着剤の硬化温度域となるようにする。なお、この工程は、接着剤塗布工程と並行して行ってもよい。
〈圧入工程〉
図4に示すように、硬化温度域まで昇温した内筒11及び外筒12をそれらが同心状に配置されるように載置台18aに設置する。ここで、載置台18aには内筒11及び外筒12を設置するための内筒設置用凹部及び外筒設置用凹部がそれぞれ設けられている。また、この時、電磁誘導加熱用ワークコイルは内筒及び外筒の間隙から取り除かれている。次いで、上方に行くに従って孔径が大きく形成されたテーパ孔を有し、そのテーパ孔の下側開口部の径が外筒12の内径と同一とされている外筒押さえ治具18bにより、下側開口部が外筒12の上端部を下方に押すようにして外筒12を固定する。また、内筒押さえ治具18cにより内筒11の上端を下方に押すようにして内筒11を固定する。そして、圧入治具19を用いて外筒押さえ治具18bのテーパ孔に沿わせるようにして樹脂接着剤17が塗布された防振ゴム本体13を内筒11及び外筒12の間隙に圧入する。
〈共硬化工程〉
内筒11及び外筒12の間隙に防振ゴム本体13を圧入した状態で所定時間保持することにより、プライマー11b,12bと樹脂接着剤17とを共硬化させ、その後、内筒押さえ治具18c、外筒押さえ治具18b及び圧入治具19による拘束を解除し、載置台18aへの固定を外すことにより、図5に示すようなブッシュタイプの防振ゴム構造体が製造される。
図6は、内筒11の外周面及び外筒12の内周面における被接着面の温度の経時的変化と、防振ゴム本体13の内筒11及び外筒12との接触面の温度の経時的変化とを示す。この図によれば、内筒11の外周面及び外筒12の内周面は電磁誘導加熱により、プライマー11b,12b及び樹脂接着剤17の硬化温度以上であって且つ硬化したプライマー11b,12bの分解温度よりも低い温度に昇温される(電磁誘導加熱工程)。その間に、防振ゴム本体13に樹脂接着剤17を塗布する(接着剤塗布工程)。次いで、樹脂接着剤17が塗布された防振ゴム本体13を内筒11及び外筒12に圧入することにより、防振ゴム本体13の内筒11及び外筒12との接触面が硬化温度域まで昇温することとなる(圧入工程)。そして、内筒11と外筒12の間隙に防振ゴム本体13を圧入した状態を保つことにより、内筒11及び外筒12と防振ゴム本体13とが接着される(共硬化工程)。
上記のようにすれば、金属筒11a,12aに付着させたプライマー11b,12bと、防振ゴム本体13に付着させた樹脂接着剤17とが共硬化するので、それらがお互いが混和した状態で同時に硬化して、仮に、金属筒11a,12aが難接着性金属であるアルミニウムやアルミニウム合金で形成されたものであったとしても、それらの間の高い接着性能を得ることができる。
また、金属筒11a,12aにプライマー11b,12bを焼き付けるための別個独立した工程が必要でないので、作業の効率化が図られる。
ここで、上記電磁誘導加熱工程及び圧入工程において、電磁誘導加熱用ワークコイルを内筒11及び外筒12の間隙に設置して、内筒11の外周面及び外筒12の内周面を、プライマー及び樹脂接着剤の硬化温度域まで電磁誘導加熱し、その後電磁誘導加熱用ワークコイルを内筒11及び外筒12の間隙から取り除いた後に、防振ゴム本体13を圧入しているが、内筒11及び外筒12の間隙に設置したものとは別の電磁誘導加熱用ワークコイルを、さらに外筒12を囲うように設置して電磁誘導加熱し、外筒12の内周面がプライマー及び樹脂接着剤の硬化温度域まで昇温した後も、外筒12を囲うように設置した電磁誘導加熱用ワークコイルによる加熱を続けながら、防振ゴム本体13の圧入を行っても、上記と同一の作用効果が得られる。
(実施形態2)
実施形態2として、ブッシュタイプの防振ゴム構造体の実施形態1とは別の製造方法について図7〜10に基づいて説明する。
〈プライマー塗布工程〉
鉄、錫、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム等、或いはこれらの合金で形成された小径及び大径の一対の金属筒(金属基材)21a,22aの表面にそれぞれ表面被膜を形成し、さらにシランカップリング剤又はシリコーン樹脂を含有するプライマー21b,22bを塗布し、内筒21及び外筒22を作成する。ここで、上記実施形態1と同様に、表面被膜は、例えば、リン酸亜鉛被膜やノンクロム被膜等である。また、表面被膜は無くてもよい。さらに、シランカップリング剤には、上記実施形態1と同様に、ビニルトリメトキシシラン等を用いることができ、それらの中でも特にγ-アミノプロピルトリエトキシシラン(例えば、日本ユニカー社製 商品名「A−1100」等)が好適に用いられる。また、シリコーン樹脂には、シラン系プライマーの樹脂成分として一般に使用されているものを用いることができるが、特にシラノール基含有シリコーン樹脂(例えば、日本ユニカー社製 商品名「APZ−6601」)が好適に用いられる。
〈内筒と防振ゴム本体との一体加硫成形工程〉
内筒21の外周面に、ハロゲン化エラストマーを主成分とするゴム接着剤(例えば、塩化ゴム系のオーバーコート接着剤である米国ヒューソンケミカル社製 商品名:ケムロック220、ケムロック250又はケムロック252等)を塗布し、ゴム接着剤を塗布した内筒21を覆うように天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ニトリルゴム等のジエン系ゴムの単体又はブレンド物を主体とするゴム組成物や発泡ウレタン組成物等の未加硫ゴム組成物を設け、これらを所定の金型にセットして所定時間加熱することにより、内筒21と防振ゴム本体(防振材本体)23との一体物を加硫成形する。
〈接着剤塗布工程〉
内筒21と一体となった防振ゴム本体23の外周面を次亜塩素酸ナトリウム溶液や塩素化シアヌール酸溶液により表面処理し、そして、図7に示すように、ポリウレタン系樹脂接着剤やエポキシ系樹脂接着剤等の樹脂接着剤27を塗布する。ここで、樹脂接着剤としては、熱硬化型樹脂接着剤、湿気硬化型樹脂接着剤、感圧型樹脂接着剤、又は、ホットメルト型樹脂接着剤等を用いることができる。
〈電磁誘導加熱工程〉
図8及び9に示すように、外筒22をロッド24により把持すると共に、図8(b)及び9に示すような強磁性体(例えば、ニッケル)28aを挟んだシングルターンの電磁誘導加熱用ワークコイル25aを、外筒22の内側に挿入する。そして、ワークコイル25aに繋がった発振器26を10〜300kHzの発振周波数で発振させることにより、外筒22の内周面を電磁誘導加熱して、プライマー及び樹脂接着剤の共硬化温度域となるようにする。なお、電磁誘導加熱用ワークコイルとして、シングルターンのものではなく、図10に示すような強磁性体28bを巻くように形成されたダブルターンのワークコイル25bを用いてもよい。なお、この工程は、接着剤塗布工程と並行して行ってもよい。
〈圧入工程〉
昇温させた外筒22を載置台に設置する。次いで、実施形態1の場合と同一の外筒押さえ治具により外筒22を固定する。そして、圧入治具を用いて外筒押さえ治具のテーパ孔に沿わせるようにして接着剤27が塗布された防振ゴム本体23を内筒21と共に外筒22に圧入する。
〈共硬化工程〉
外筒22に防振ゴム本体23を圧入した状態で所定時間保持することにより、プライマー22bと樹脂接着剤27とを共硬化させ、その後外筒押さえ治具及び圧入治具による拘束を解除し、載置台への固定を外すことにより、ブッシュタイプの防振ゴム構造体が製造される。
作用効果については、実施形態1と同一である。
ここで、上記電磁誘導加熱工程及び圧入工程において電磁誘導加熱用ワークコイル25aを外筒22の内側に挿入し、外筒22を硬化温度域まで加熱した後、電磁誘導加熱用ワークコイル25aを取り除いて防振ゴム本体23を圧入させたが、外筒22を外側から覆うように電磁誘導加熱用ワークコイルを配置させて、外筒22の加熱を続けた状態で防振ゴム本体23を圧入させても実施形態1と同一の作用効果が得られる。
(実施形態3)
実施形態3として、マウンティングラバータイプの防振ゴム構造体の製造方法について図11〜15に基づいて説明する。
〈内側金属基材、外側金属基材及び防振ゴム本体準備工程〉
鉄、錫、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム等、或いはこれらの合金で形成されたドーナツ形状の金属板により中心部に突起が形成されるようにプレス成型された金属成形体(金属基材)31aの表面に、表面被膜を形成し、さらにシランカップリング剤又はシリコーン樹脂を含有するプライマー31bを塗布し、内側金属基材31を作成する。同じく、ドーナツ形状の金属板により皿型に成形した金属成形体32aの表面に、表面被膜を形成し、さらにシランカップリング剤又はシリコーン樹脂を含有するプライマー32bを塗布し、外側金属基材32を作成する。ここで、表面被膜は、例えば、リン酸亜鉛被膜やノンクロム被膜等である。また、表面被膜は無くてもよい。
ここで、シランカップリング剤には、上記実施形態1と同様に、ビニルトリメトキシシラン等が用いられ、それらの中でも特にγ-アミノプロピルトリエトキシシラン(例えば、日本ユニカー社製 商品名「A−1100」等)が好適に用いられる。また、シリコーン樹脂には、シラン系プライマーの樹脂成分として一般に使用されているものを用いることができるが、特にシラノール基含有シリコーン樹脂(例えば、日本ユニカー社製 商品名「APZ−6601」)が好適に用いられる。
また、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ニトリルゴム等のジエン系ゴムの単体又はブレンド物を主体とするゴム組成物や発泡ウレタン組成物等のゴム組成物から肉厚ドーナツ型の防振ゴム本体33を加硫成形する。
〈接着剤塗布工程〉
防振ゴム本体33の内周面及び外周面を次亜塩素酸ナトリウム溶液や塩素化シアヌール酸溶液により表面処理し、そして、図11に示すように、ポリウレタン系樹脂接着剤やエポキシ系樹脂接着剤等の樹脂接着剤37を塗布する。ここで、樹脂接着剤としては、熱硬化型樹脂接着剤、湿気硬化型樹脂接着剤、感圧型樹脂接着剤、又は、ホットメルト型樹脂接着剤等を用いることができる。
〈電磁誘導加熱工程〉
図12に示すように、外側金属基材32をとぐろ型に形成された電磁誘導加熱用ワークコイル35aを覆うように配置する。それと同時に、図13に示すように、載置台38の上に置いた内側金属基材31をとぐろ型に形成された別の電磁誘導加熱用ワークコイル35bで覆うように配置する。そして、両ワークコイル35a,35bに繋がった発振器を10〜300kHzの発振周波数で発振させることにより、内側金属基材31の外面及び外側金属基材32の内面を電磁誘導加熱して、プライマー及び樹脂接着剤の硬化温度域となるようにする。なお、とぐろ型の電磁誘導用ワークコイルを内側金属基材31及び外側金属基材32で間隔をおいて挟むように配置することにより、1つのワークコイルで両方を昇温させるようにしてもよい。なお、この工程は、接着剤塗布工程と並行して行ってもよい。
〈複合化工程〉
図14に示すように、硬化温度域まで昇温された内側金属基材31、接着剤37が塗布された防振ゴム本体33及び外側金属基材32を順に同心状に積層し、これらに上方から圧力をかけて複合化させる。この際、内側金属基材31の突起部が防振ゴム本体33の中心の穴に嵌り、防振ゴム本体33が外側金属基材32の凹部に嵌ることとなる。
〈共硬化工程〉
内側金属基材31と外側金属基材32との間に防振ゴム本体33を挟んで上方から圧力をかけ、プライマー32bと樹脂接着剤37とを共硬化させ、その状態で所定時間放冷すると、図15に示すようなマウンティングラバータイプの防振ゴム構造体が製造される。
作用効果については、実施形態1と同一である。
ここで、上記電磁誘導加熱工程及び複合化工程において、電磁誘導加熱用ワークコイルを外側金属基材32の内側に挿入し、外側金属基材32が硬化温度域まで加熱した後、電磁誘導加熱用ワークコイルを取り除いてから複合化させたが、外側金属基材32を外側から覆うように電磁誘導加熱用ワークコイルを配置させて、外側金属基材32の加熱を続けた状態で複合化させても実施形態1と同一の作用効果が得られる。
(実施形態4)
実施形態4として、防振ゴム構造体としてのチェンジレバーの製造方法について図16〜19に基づいて説明する。
〈上側レバー、下側レバー及び防振ゴム本体の準備工程〉
チェンジレバー本体40先端の金属円柱部41aの表面に、表面被膜を形成し、さらにシランカップリング剤又はシリコーン樹脂を含有するプライマー41bを塗布し、その部分を下側レバー41とする。ここで、表面被膜は、例えば、リン酸亜鉛被膜やノンクロム被膜等である。また、表面被膜は無くてもよい。
ここで、シランカップリング剤には、上記実施形態1と同様に、ビニルトリメトキシシラン等が使用でき、それらの中でも特にγ-アミノプロピルトリエトキシシラン(例えば、日本ユニカー社製 商品名「A−1100」等)が好適に使用できる。また、シリコーン樹脂には、シラン系プライマーの樹脂成分として一般に使用されているものを用いることができるが、特にシラノール基含有シリコーン樹脂(例えば、日本ユニカー社製 商品名「APZ−6601」)が好適に用いられる。
また、キャップ型に形成された金属製の上側レバー42を準備する。
そして、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ニトリルゴム等のジエン系ゴムの単体又はブレンド物を主体とするゴム組成物や発泡ウレタン組成物等のゴム組成物から大小2つの肉厚円筒体を同軸に積み重ねたように形成された防振ゴム本体43を加硫成形する。
〈電磁誘導加熱工程〉
図16に示すように、上側レバー42を載置台48aに固定し、マルチターンの電磁誘導加熱用ワークコイル45aのコイル内に上側レバー42が配置されるようにし、上側レバー42の内面がプライマー及び樹脂接着剤の硬化温度域となるように、電磁誘導加熱する。
また、図17に示すように、チェンジレバー本体40を載置台48bに固定し、マルチターンの別の電磁誘導加熱用ワークコイル45bのコイル内に下側レバー41が配置されるようにする。そして、ワークコイル45bに繋がった発振器を10〜300kHzの発振周波数で発振させることにより、下側レバー41の表面をプライマー及び熱硬化性樹脂接着剤の硬化温度域となるように電磁誘導加熱する。
〈接着剤塗布工程〉
図18に示すように、防振ゴム本体43を載置台48cに固定し、その内周面及び外周面を次亜塩素酸ナトリウム溶液や塩素化シアヌール酸溶液により表面処理し、そして、ポリウレタン系樹脂接着剤やエポキシ系樹脂接着剤等の樹脂接着剤47を塗布する。ここで、樹脂接着剤としては、熱硬化型樹脂接着剤、湿気硬化型樹脂接着剤、感圧型樹脂接着剤、又は、ホットメルト型樹脂接着剤等を用いることができる。なお、この工程は、電磁誘導加熱工程と並行して行ってもよい。
〈圧入工程〉
図19に示すように、硬化温度域まで昇温させた上側レバー42を別の載置台48dに固定し、樹脂接着剤47が塗布された防振ゴム本体43をその上側レバー42に挿入することにより、上側レバー42及び下側レバー41を防振ゴム本体43に固定する。
〈共硬化工程〉
上側レバー42及び下側レバー41を防振ゴム本体43に固定し、プライマー41bと樹脂接着剤47とを共硬化させ、その状態で所定時間放冷し、その後その固定を解除することにより防振ゴム構造体としてのチェンジレバーが製造される。
作用、効果については、実施形態1と同一である。
ここで、上記電磁誘導加熱工程及び圧入工程において、上側レバー42を硬化温度域まで加熱した後、電磁誘導加熱用ワークコイルを取り除いて防振ゴム本体43を圧入させたが、上側レバー42を電磁誘導加熱用ワークコイルで加熱し続けた状態で防振ゴム本体43を圧入させても実施形態1と同一の作用効果が得られる。
(試験評価1)
シランカップリング剤又はシリコーン樹脂を含有するプライマーと、樹脂接着剤とを共硬化させることにより金属基材と防振材本体とを接着した防振構造体の接着強度を調べるための評価試験を、実施形態2に示したのと同一構成のブッシュタイプの防振ゴム構造体を用いて行った。
〈試験評価用防振ゴム構造体〉
外筒となるアルミニウム製の金属筒として、接着面に、ウェットブラスト処理を施したものと、リン酸亜鉛被膜を形成させたもの、及び、ノンクロム被膜を形成させたものをそれぞれ数個ずつ準備した。
ここで、ウェットブラスト処理は、具体的には、普通の水に研磨剤を混合した液体をコンプレッサーからの圧縮空気で加速させ、金属筒の接着面に吹きかけて、薬剤を使用せず物理的に同時に脱脂洗浄と表面処理をすることにより行った。
また、リン酸亜鉛被膜の形成は、金属筒を脱脂処理液に撹拌しながら5分間浸漬することにより脱脂し、次いで、室温の水道水で30秒間洗浄し、続いて、表面調整処理液に30秒間付着させて表面調整を図り、次いで、リン酸亜鉛被膜形成処理液に撹拌しながら浸漬することにより被膜を形成し、その後、水道水及び純水(それぞれ室温)で30秒間ずつ洗浄することにより行った。
また、ノンクロム被膜の形成は、金属筒を脱脂処理液に撹拌しながら浸漬することにより脱脂し、純粋で洗浄後、ノンクロム被膜形成処理液に撹拌しながら浸漬することにより被膜を形成し、その後、純水で洗浄することにより行った。
また、内筒となる金属筒の外周面に、プライマーを塗布した後に、ゴム接着剤(米国ヒューソンケミカル社製 商品名:ケムロック220)を塗布し、そのゴム接着剤を塗布した内筒を覆うように天然ゴムの未加硫ゴム組成物を設け、これらを所定の金型にセットして所定時間加熱することにより、内筒と防振ゴム本体との一体物を加硫成形したものを数個準備した。
次に、上記4種類の表面処理を施した各金属筒の接着面、つまり、内周面に、プライマーとして、日本ユニカー社製 商品名「A−1100」(成分は、シランカップリング剤であるγ-アミノプロピルトリエトキシシランの原液のみで構成されている。)を塗布した外筒と共に、表面にウェットブラスト処理を施した金属筒については、その接着面、つまり、内周面に、プライマーとして、日本ユニカー社製 商品名「APZ−6110」(成分は、シラノール基含有シリコーン樹脂:1〜10質量%、エタノール:80〜90質量%、及び、イソプロピルアルコール:1〜10質量%で構成されている)を塗布した外筒も準備した。また、内筒と一体となった各防振ゴム本体の接着面、つまり、外周面に、樹脂接着剤〈広野化学工業社製 商品名:クラタイトTー10及びクラタイトT−200を前者:後者=3:1の体積比で混合したもの)を塗布した。
次いで、外筒となるアルミニウム製の金属筒に施した表面処理種毎に、日本ユニカー社製 商品名「A−1100」を塗布した外筒又は日本ユニカー社製 商品名「APZ−6110」を塗布した外筒の接着面に対して、何等の処理も施さないもの、塩水噴霧試験を72時間行った後に室温まで放冷したもの、塩水噴霧試験を720時間行った後に室温まで放冷したもの、及び、70℃の雰囲気下に240時間保持したものをそれぞれ準備した。ここで、塩水噴霧試験は、スガ試験機社製の塩水噴霧試験機によりJIS Z 2371に準拠して、以下のように行った。まず、塩水噴霧試験機内の温度を35℃にし、5%塩化ナトリウム水溶液を噴霧させて、機内の相対湿度を45%とした。次に、塩水噴霧試験機の中に、外筒を所定時間放置した。その後、外筒を取り出して軽く水洗いして乾燥させた。
そして、外筒を180℃まで昇温後、そこへ内筒と一体となった防振ゴム本体を圧入し、その後室温まで放冷させ、試験評価用のブッシュタイプの防振ゴム構造体を作製した。
〈試験評価方法〉
上記試験評価用の各防振ゴム構造体について島津製作所社製のオートグラフ試験機を用いてブッシュ破壊試験を行った。
まず、図20に示すように、円筒形の載置台51上に防振ゴム構造体50を、外筒52のみが載るように設置する。
次に、本体部が円柱状で、かつ、本体部上端に本体部断面の径よりも大きい径をもつ円盤状のプレートを有した内筒押さえ治具53の本体部を防振ゴム構造体50の内筒54上に載せる。ここで、内筒押さえ治具53の径は内筒54の外径と同一である。
そして、内筒押さえ治具53の円盤状のプレートをオートグラフ試験機のヘッド55で加圧する。この加圧作業は、オートグラフ試験機のテストスピードを50mm/minとして、内筒54から防振ゴム本体がはく離するまで、又は、該はく離が生じる前に防振ゴム本体が破壊するまで行う。
〈試験評価結果〉
ブッシュ破壊試験の結果を表1に示す。
表1によれば、いずれの防振ゴム構造体についても、難接着性であるアルミニウム製の外筒に対してもゴム破壊率が80〜100%という良好な接着結果を得た。また、シランカップリング剤として、日本パーカライジング社製の商品名「A−187」(γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)及び商品名「A−189」(γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)を用い、金属筒の表面処理としてウェットブラスト処理を施した防振構造体についてそれぞれ同様にブッシュ破壊試験を行ったが、表1に示す結果に準ずる良好な接着結果が得られた。
Figure 2006220190
ここで、ゴム破壊率は、外筒の内周の破壊面において、被接着部が露出していない面積をその被接着面全体の面積で除した値を百分率で表した値である。したがって、ゴム破壊率が100%ということは、外筒と防振ゴム本体との接着力が強いため、オートグラフ試験機のヘッドによる荷重により防振ゴム本体が外筒から剥がれる前に、防振ゴム本体自体が破壊してしまったということを意味する。
(試験評価2)
〈試験評価用防振ゴム構造体〉
外筒となるアルミニウム製の金属筒として、接着面に、ウェットブラスト処理を施したものを数個準備した。
また、内筒となる金属筒の外周面に、プライマーを塗布した後に、ゴム接着剤(米国ヒューソンケミカル社製 商品名:ケムロック220)を塗布し、そのゴム接着剤を塗布した内筒を覆うように天然ゴムの未加硫ゴム組成物を設け、これらを所定の金型にセットして所定時間加熱することにより、内筒と防振ゴム本体との一体物を加硫成形したものを数個準備した。
次に、表面処理を施した各外筒の接着面、つまり、内周面に、プライマーとして、日本ユニカー社製 商品名「APZ−6601」(成分は、シラノール基含有シリコーン樹脂:1〜10質量%、エタノール:80〜90質量%、及び、イソプロピルアルコール:1〜10質量%で構成されている)を塗布した。また、内筒と一体となった各防振ゴム本体の接着面、つまり、外周面に、樹脂接着剤〈広野化学工業社製 商品名:クラタイトTー10及びクラタイトT−200を前者:後者=3:1の体積比で混合したもの)を塗布した。
そして、外筒を目標の昇温温度まで加熱した後、そこへ内筒と一体となった防振ゴム本体を圧入し、その後室温まで放冷させ、試験評価用のブッシュタイプの防振ゴム構造体を作製した。このとき、目標とする外筒の昇温温度は、100〜240℃までの10℃間隔の温度として、それぞれの温度で試験評価用の防振ゴム構造体を作製した。
〈試験評価方法〉
試験評価1と同一のブッシュ破壊試験を行った。
〈試験評価結果〉
ブッシュ破壊試験の結果を表2に示す。ここで、破壊荷重は、ブッシュがゴム破壊したときのオートグラフ試験機のヘッドで検出した荷重を示す。
Figure 2006220190
表2によれば、外筒の実測温度(硬化温度)が110〜230℃までのときは、難接着性であるアルミニウム製の外筒に対してもゴム破壊率が80%以上であり、特に硬化温度が120〜210℃までのときは、ゴム破壊率がすべて100%という良好な接着力が得られることが分かる。ここで、硬化温度が100℃のときはゴム破壊率が50%であり、硬化温度が240℃のときは40%という弱い接着力しか得られなかったが、これは硬化温度が110℃よりも低ければ、プライマーの硬化が不十分であり、一方、230℃よりも高ければ、プライマー及び樹脂接着剤が変質してしまうためである。
以上説明したように、本発明は、振動を発生する機械の防振支持部品、建造構築物の防振部材および自動車のエンジンマウント、ラバーブッシュ、サスペンションリンク、ストラットマウント、チェンジレバー等に用いられる防振構造体の製造方法について有用である。
実施形態1に係る防振ゴム構造体の内筒及び外筒の断面図である。 実施形態1に係る防振ゴム構造体の防振ゴム本体の断面図である。 実施形態1に係る防振ゴム構造体の製造方法における電磁誘導加熱工程の説明図である。 実施形態1に係る防振ゴム構造体の製造方法における圧入工程の説明図である。 実施形態1に係る防振ゴム構造体の断面図である。 実施形態1に係る防振ゴム構造体の製造方法における内筒の外周面及び外筒の内周面における被接着面の温度の経時的変化と、防振ゴム本体の内筒及び外筒との接触面の温度の経時的変化とを示すグラフ図である。 実施形態2に係る防振ゴム構造体の内筒と防振ゴム本体との一体物の断面図である。 実施形態2に係る防振ゴム構造体の製造方法における電磁誘導加熱工程の説明図(側断図)である。 実施形態2に係る防振ゴム構造体の製造方法における電磁誘導加熱工程の説明図(上面図)である。 ダブルターンのワークコイルの側面図及び上面図である。 実施形態3に係る防振ゴム構造体の防振ゴム本体の断面図である。 実施形態3に係る防振ゴム構造体の製造方法における電磁誘導加熱工程(外側金属基材)の説明図である。 実施形態3に係る防振ゴム構造体の製造方法における電磁誘導加熱工程(内側金属基材)の説明図である。 実施形態3に係る防振ゴム構造体の製造方法における複合化工程の説明図である。 実施形態3に係る防振ゴム構造体の断面図である。 実施形態4に係るチェンジレバーの製造方法における電磁誘導加熱工程(上側レバー)の説明図である。 実施形態4に係るチェンジレバーの製造方法における電磁誘導加熱工程(下側レバー)の説明図である。 実施形態4に係るチェンジレバーの製造方法における接着剤塗布工程の説明図である。 実施形態4に係るチェンジレバーの製造方法における圧入工程の説明図である。 試験評価1及び2に係るブッシュ破壊試験における防振ゴム構造体及びオートグラフ試験機の断面図である。
符号の説明
11,21,54 内筒
11a,12a,21a,22a 金属筒
11b,12b,21b,22b,31b,32b,41b シランカップリング剤又はシリコーン樹脂を含有するプライマー
12,22,52 外筒
13,23,33,43 防振ゴム本体
14a 把持具
14b 環状電磁石
15,25a,25b,35a,35b,45a,45b ワークコイル
16,26 発振器
17,27,37,47 樹脂接着剤
18a,38,48a〜d,51 載置台
18b 外筒押さえ治具
18c 内筒押さえ治具
19 圧入治具
24 ロッド
28a,28b 強磁性体
31 内側金属基材
32 外側金属基材
40 チェンジレバー本体
41 下側レバー
42 上側レバー
50 防振ゴム構造体
53 内筒押さえ治具
55 ヘッド

Claims (8)

  1. 金属基材に、弾性を有する材料で形成された防振材本体が接着固定されてなる防振構造体の製造方法であって、
    金属基材にシランカップリング剤又はシリコーン樹脂を含有したプライマーを付着させる工程と、
    防振材本体に樹脂接着剤を付着させる工程と、
    上記プライマーを付着させた上記金属基材を加熱して、該プライマー及び上記防振材本体に付着させた上記樹脂接着剤の硬化温度域まで昇温させる工程と、
    上記硬化温度域まで昇温させた状態の上記金属基材の上記プライマーの付着部を、上記防振材本体の上記樹脂接着剤の付着部に圧接させ、該プライマー及び該樹脂接着剤を共硬化させる工程と、
    を備えていることを特徴とする防振構造体の製造方法。
  2. 請求項1に記載された防振構造体の製造方法において、
    上記硬化温度域まで昇温させた状態の上記金属基材の加熱を継続しながら、上記プライマーの付着部を、上記防振材本体の上記樹脂接着剤の付着部に圧接させることを特徴とする防振構造体の製造方法。
  3. 請求項1に記載された防振構造体の製造方法において、
    上記金属基材を加熱して硬化温度域まで昇温させて、該加熱を止めた後、上記プライマーの付着部を、上記防振材本体の上記樹脂接着剤の付着部に圧接させることを特徴とする防振構造体の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された防振構造体の製造方法において、
    上記金属基材がアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されていることを特徴とする防振構造体の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載された防振構造体の製造方法において、
    上記シランカップリング剤を、γ−アミノプロピルトリエトキシシランとし、また、上記シリコーン樹脂を、シラノール基含有シリコーン樹脂とすることを特徴とする防振構造体の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載された防振構造体の製造方法において、
    上記硬化温度域が110〜230℃であることを特徴とする防振構造体の製造方法。
  7. 互いに同心状に間隔を置いて配置された金属製の内筒及び外筒と、該内筒と該外筒との間に介装された円筒ゴム状の防振ゴム本体とを備え、該内筒及び該外筒と該防振ゴム本体とがそれぞれエポキシ系又はウレタン系の樹脂接着剤により接着固定されてなる防振ゴム構造体の製造方法であって、
    内筒の外周面及び外筒の内周面にシランカップリング剤又はシリコーン樹脂を含有するプライマーを付着させる工程と、
    加硫成形された防振ゴム本体の内周面及び外周面に樹脂接着剤を付着させる工程と、
    上記プライマーを付着させた上記内筒を該プライマー及び上記樹脂接着剤の硬化温度域まで昇温させる工程と、
    上記硬化温度域まで昇温させた状態の上記内筒を上記樹脂接着剤を付着させた上記防振ゴム本体に挿入して、上記プライマー及び上記樹脂接着剤を共硬化させる工程と、
    上記プライマーを付着させた上記外筒を該プライマー及び上記樹脂接着剤の硬化温度域まで昇温させる工程と、
    上記樹脂接着剤を付着させた上記防振ゴム本体を上記硬化温度域まで昇温させた状態の上記外筒に挿入して、上記プライマー及び上記樹脂接着剤を共硬化させる工程と、
    を備えていることを特徴とする防振構造体の製造方法。
  8. 互いに同心状に間隔を置いて配置された金属製の内筒及び外筒と、該内筒と該外筒との間に介装された円筒ゴム状の防振ゴム本体とを備え、該内筒と該防振ゴム本体とがハロゲン化エラストマーを主成分とするゴム接着剤により接着固定され、該外筒と該防振ゴム本体とがエポキシ系又はウレタン系の樹脂接着剤により接着固定されてなる防振ゴム構造体の製造方法であって、
    内筒の外周面にハロゲン化エラストマーを主成分とするゴム接着剤を付着させ、該ゴム接着剤を付着させた内筒を覆うように防振ゴム本体となる未加硫ゴム組成物を設け、該内筒及び該防振ゴム本体の一体物を加熱加硫成形する工程と、
    外筒の内周面にシランカップリング剤又はシリコーン樹脂を含有するプライマーを付着させる工程と、
    上記内筒と一体となった上記防振ゴム本体の外周面に樹脂接着剤を付着させる工程と、
    上記プライマーを付着させた上記外筒を、該プライマー及び上記防振ゴム本体に付着させた上記樹脂接着剤の硬化温度域まで昇温させる工程と、
    上記内筒及び上記防振ゴム本体の一体物を上記硬化温度域まで昇温させた状態の上記外筒に挿入して、上記プライマー及び上記樹脂接着剤を共硬化させる工程と、
    を備えていることを特徴とする防振構造体の製造方法。
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