JP6519286B2 - ゴム−金属積層構造体及びその製造方法 - Google Patents

ゴム−金属積層構造体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ゴム−金属積層構造体、特に自動車用のブッシュ、エンジンマウント等の防振部材などに用いられるゴム−金属積層構造体及びその製造方法に関する。
ゴム−金属積層構造体の一例としては、防振ゴム部材がある。そして、防振ゴム部材には、自動車用のブッシュやエンジンマウントなどの種々の構造のものが存在し、金属とゴム材とを一体的に接着したゴム−金属積層構造体を有するものがある。
上記の防振ゴム部材を製造する場合、金属とゴム材との界面を接着させるために、一つの接着剤を使用する一液塗工方式のほか、金属表面にプライマーとして下塗り接着剤を塗布した後、更に上塗り接着剤を塗布する二液塗工方式があり、この二液塗工方式が多く採用されている。
また、防振ゴムに使用される加硫接着剤は、耐熱性、耐薬品性、耐温水性及び耐温塩水性が要求されるものが多い。特に、自動車防振ゴムは、耐熱性が必要なため耐熱仕様ゴムの使用が増えている。また、防振性能を良くするため、流体を封入した防振ゴムも増える傾向にある。加硫接着剤には、通常、汎用系と耐熱系の2系統の接着剤が使い分けられており、耐熱仕様のゴムには、熱環境に置かれるため、耐熱接着剤が用いられるのが一般的である。また、流体を封入した場合、防振ゴムには、耐液性を有する耐熱接着剤の適用が必須である。クロロスルホン化ポリエチレン(以下CSM)系接着剤は、一般的な加硫接着剤の主成分である塩化ゴムよりも耐熱性、耐薬品性を有するポリマーであることが知られており、上記の諸性能が求められる防振ゴムに多く使用されている。更に、ゴムとクロロスルホン化ポリエチレン(CSM)とは各種の架橋剤(例えば、ポリジニトロソベンゼン)によって化学結合するものであるが、耐熱性、耐薬品性を向上させるため、ゴムとクロロスルホン化ポリエチレン(CSM)との化学結合を多くし、接着剤組成物のベースポリマーの架橋密度を高めることが必要である。このため、ポリジニトロソベンゼン等の架橋剤の配合量を汎用系接着剤よりも多くする工夫がみられる。
なお、ゴムと金属との接着剤に関する従来技術として、以下の特許文献が例示される。
特開平2−11683号公報
しかしながら、上記の接着剤組成物をゴム−金属積層構造体を加硫成形する際に使用した場合、気化した架橋剤が、金型の外へ放出されるだけではなく、金型内部の表面に付着することがあり、金型に付着した架橋剤により、加硫後の製品を金型から取り外すことが困難な場合があった。また、製造後の製品性能において、耐熱性や耐液性等のいくつかの面において改善が期待されるものであった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、多量の架橋剤が加硫中に気化し、金型に付着して異物として金型を汚染することを防止し、且つ、耐熱性や耐液性を良好に維持することができるゴム−金属積層構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、金属の一面又は両面にゴム層を積層させたゴム−金属積層構造体であって、上記金属に接する第1接着剤層と上記ゴム層に接する第2接着剤層とからなる2層構造の接着剤層が上記の金属とゴム層との間に形成されるゴム−金属積層構造体において、第2接着剤層を、臭素化ポリ−2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンと架橋剤とを含有する接着剤により形成することにより、金型に付着した架橋剤による金型汚染を可及的に防止し、耐熱性や耐液性を良好に維持し得る防振部材を製造できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
即ち、ゴム層に接する第1接着剤層には、ゴムと金属との接着を強固にする必要性から架橋剤を多く配合しているが、多量の架橋剤は、加硫中に気化し、金型に付着し、異物として金型を重度に汚染することに着目し、この架橋剤をできる限り少量としつつも、防振ゴム部材等のゴム−金属積層構造体に要求される耐熱性や耐液性を良好に満たすことができるように鋭意検討を重ねた結果、接着剤のベースポリマーとして、臭素化ポリ−2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンを採用することにより、上記所望の作用効果を奏することを知見し、本発明を完成させたものである。
なお、上記の「背景技術」の欄で説明したように、従来から使用されているクロロスルホン化ポリエチレン(CSM)系接着剤は、ゴムと接着剤との接着を強固にする(即ち、架橋密度を高める)ために、比較的多量の架橋剤を使用するものである。架橋剤の一部は、加硫中に気化するが、気化した架橋剤は、金型の外へ放出されるだけではなく、金型内部の表面に付着するものがあり、金型に付着した架橋剤は、ゴムと金型とを接着させる接着剤的な作用を示すようになり、加硫後の製品を金型から取り外すことを困難にする。このような状態で、防振部材(製品)を強制的に金型から取り外した場合に、製品を構成しているゴムが金型表面と強固に接着しており、このためゴムが破壊されてしまい防振部材等のゴム−金属積層構造体(製品)が不良品となってしまう欠点を有していたが、上記の本発明の構成を有することにより、かかる欠点を解消し得るものである。
従って、本発明は、下記のゴム−金属積層構造体及びその製造方法を提供する。
]金属の一面又は両面にゴム層を積層させたゴム−金属積層構造体において、上記金属に接する第1接着剤層と上記ゴム層に接する第2接着剤層とからなる2層構造の接着剤層が上記の金属とゴム層との間に形成されるものであり、且つ、上記第1接着剤層が、塩化ゴムを主材とする接着剤により形成され、該第1接着剤層の厚さが5〜20μmであると共に、上記第2接着剤層が、臭素化ポリ−2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンと架橋剤とを含有する接着剤により形成されるものであり、液体封入タイプの防振ゴム部材に用いられることを特徴とするゴム−金属積層構造体。
[2]上記の臭素化ポリ−2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンが、接着剤固形分中(乾燥時)に60〜80質量%の範囲で含有する[1]記載のゴム−金属積層構造体。
[3]上記架橋剤がポリジニトロソベンゼンを含む[1]又は[2]記載のゴム−金属積層構造体。
[4]上記ポリジニトロソベンゼンが接着剤固形分中に1〜5質量%の範囲で含有する[3]記載のゴム−金属積層構造体。
]金型の内部に金属を配置し、該金属の一面又は両面に接着剤を塗工して第1接着剤層を形成し、次いで該第1接着剤層上に接着剤を塗工して第2接着剤層を積層すると共に、上記金型内に未加硫ゴムを充填し、加硫接着させることにより、上記の金属とゴム層が2層構造の接着剤層を介して接着一体化したゴム−金属積層構造体を製造する方法であって、上記第1接着剤層の接着剤として、塩化ゴムを主材とする接着剤を用い、該第1接着剤層の厚さを5〜20μmとすると共に、上記第2接着剤層の接着剤として、臭素化ポリ−2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンと架橋剤とを含有する接着剤を用いるものであり、液体封入タイプの防振ゴム部材に用いられることを特徴とするゴム−金属積層構造体の製造方法。
本発明のゴム−金属積層構造体及びその製造方法によれば、多量の架橋剤等の使用による金型内の汚染を可及的に防止し、且つ、耐熱性や耐液性を良好に維持することができ、エンジンマウント等の耐熱性への要求が厳しい防振部材などに有用である。
本発明のゴム−金属積層構造体の一例の構造を示す部分拡大断面図である。 図2(A)〜(C)は、型汚れ性試験に用いた試験サンプルを示す概略斜視図である。 図3(A)〜(C)は、耐熱性試験に用いた試験サンプルを示す概略斜視図である。 図4(A)及び(B)は、耐液性試験に用いた試験サンプルを示す概略斜視図である。
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。
本発明のゴム−金属積層構造体は、金属の一面又は両面にゴム層を積層させたゴム−金属積層構造体であり、例えば、図1に示した構造を有する。即ち、図1は、金属2と、ゴム層3と、これらの間には接着剤層5が形成されており、更に、接着剤層5は、上記金属に接する第1接着剤層51と上記ゴム層に接する第2接着剤層52とからなる2構造の接着剤層である。
ここで、図1に示す金属2としては、特に制限はないが、例えば、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、鉛、スズ及びこれらの複合合金やステンレス等の公知の金属材料を採用することができる。また、金属は、積層構造体の種類や用途によって適宜選択することができ、例えば防振ブッシュ(ラバーブッシュ)の場合、軸受けの役割を担うものであり、通常は鉄、ステンレス、アルミニウム及びその他の合金等の金属製のものが用いられ、用途、コスト、製品仕様等に応じて所望の強度や耐久性等が得られるものを公知の材料から適宜選定することができる。
一方、ゴム層3に使用されるゴムとしては、用途等に応じて所望の弾性、強度、耐久性を有するゴム材料が適宜選択され、特に限定されるものではない。具体的には、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)等の公知のゴム材料から選ばれる1種単独又は2種以上を任意の比率で混合して使用することができる。なお、本発明においては、防振ゴムの使用目的の点から、天然ゴムやブタジエンゴムを主材としたものを好適に用いることができる。また、上記ゴム層3を形成するゴム材料には、本発明の目的を逸脱しない範囲で、加硫剤、加硫促進剤、耐熱老化防止剤、ワックス、着色剤、充填剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤等の公知の添加剤を適宜添加配合してもよい。
第1接着剤層51としては、特に制限はないが、例えば、塩化ゴムを主材とする接着剤、フェノール樹脂とハロゲン化合物とを混合した接着剤等の従来公知のものを採用することができる。具体的には、フェノール樹脂とハロゲン化合物とを主成分とする接着剤を用いる。この接着剤に用いることのできるフェノール樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。一方、ハロゲン化合物としては、塩化ゴム、ヘキサペンタクロロジエン等を好適に用いることができる。なお、上記の両成分を含む接着剤としては、市販品を用いることができ、具体的には、商品名「シクソンP−6−EF」(ダウケミカル社製)等や、商品名「ケムロック205」(ロード社製)が挙げられる。また、ハロゲンを含まない場合には、メタロックPH−50、メタロックPA3375(東洋化学研究所製)等が例示される。
第1接着剤層51の厚さは、特に制限はなく、好ましくは5〜20μmである。この厚さが薄くなると、液封防振ゴムでマウント液が浸透し易くなったり、第2接着剤層側52に接着成分が移行してしまい、金属2と第1接着剤層51と間の剥離が生じ易くなる。逆に、厚くなると、第1接着剤層51の破壊が起こり易くなる。
本発明では、第2接着剤層52として、臭素化ポリ−2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンと架橋剤とを含有する接着剤により形成されることを要する。
上記の臭素化ポリ−2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンは、接着剤固形分中(乾燥時)に60〜80質量%の範囲で含有することが好適である。上記の配合量により、金型内部の汚染防止と、耐熱性や耐液性が良好なゴム−金属積層体を得ることができる。
上記架橋剤としては、特に制限はなく、例えば、ポリジニトロソベンゼンを使用することができる。
上記の架橋剤は、接着剤固形分中(乾燥時)に1〜5質量%の範囲で含有することが好適である。このように架橋剤の含有量を5質量%以下の範囲で含有することにより、架橋剤のガス化による金型汚染を可及的に防止することができる。また、上記架橋剤を1質量%以上の範囲で含有することにより、ゴムとの接着を良好に維持することができる。架橋剤の含有量を上記のように低減することができ、その結果、従来使用されている架橋剤と比して、接着剤単位重量あたり約1/3程度に減量することが可能である。
上記の接着剤には、上記ベースポリマー(臭素化ポリ−2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン)と架橋剤の他に、各種の公知の任意成分を添加することがき、例えば、カーボンブラック、酸化亜鉛、シリカ、モリブテン酸亜鉛等の各種の充填剤のほか、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の有機溶剤を配合することができる。その配合量も本発明の目的を逸脱しない限り適量であり、通常、充填剤が1〜8質量%、溶剤が67〜77質量%の範囲内に調整することができる。
本発明で使用される臭素化ポリ−2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンと架橋剤とを含有する接着剤としては、具体的には、商品名「ケムロックXJ−477」(ロード社製)等の公知の市販品を採用することができる。
第2接着剤層52の厚さは、特に制限はなく、好ましくは10〜30μmである。この接着剤層が薄くなると、液封防振ゴムでマウント液の浸透が起こる場合があり、或いは接着剤層に有効成分が移行してゴムとの接着性が低下するおそれがある。また、上記の接着剤層が厚くなると、該接着剤層の接着剤の破壊が起こり易くなる。
本発明の製造方法は、以下のとおりである。
所定の金属の一面又は両面に接着剤を塗工して第1接着層を形成する。次いで、第1接着剤層上に接着剤を塗工して第2接着層を積層する。その後、接着剤を塗工した金属を金型内部にセットする。
第1接着剤層の接着剤の塗布膜厚は、特に制限はないが、5〜20μmであることが好適であり、第2接着剤層の接着剤に塗布膜厚は、10〜30μmとすることが好適である。
金属に第1接着剤層用の接着剤と第2接着剤層用の接着剤とを塗布した後は、120〜180℃で5〜60分特に好ましくは150〜170℃で5〜20分加熱し、上記の2層の接着剤の焼き付けを行うことができる。
その後、金型内に未加硫ゴムを充填し、加硫接着させることにより、金属とゴム層とが2層構造の接着剤層を介して接着一体化したゴム−金属積層構造体を製造することができる。この場合、加硫接着条件は、ゴムの加硫温度等によって適宜決定されるが、通常の場合、140〜180℃、0.5〜10MPaで5〜30分程度とすることが好適である。
本発明においては、接着剤塗布前に金属2の表面(ゴム層3との接触面)を、ブラスト処理を施し粗面化することにより、接着力を更に向上させることができる。ブラスト処理に用いる砥粒は、通常のブラスト処理に用いられるものであれば特に制限はなく、具体的には、白色アルミナ、褐色アルミナ等を挙げることができる。前記砥粒の粒径(d=50)は、通常88〜420μmであることが好ましい。420μmを超えると、粒度が粗すぎるため、金属2に砥粒が突き刺さり易くなり、その結果、ゴムとの接触面の表層に砥粒が残存し易くなる。また、88μm未満の場合は、粒度が細かすぎるため、所望の表面粗さRaが得られないおそれがある。また、ブラスト処理により粗面化された金属2表面のゴム層3との接触面の表面粗さRaは、所望の接着強度を得る点から、1〜6であることが好ましい。
また、金属2の表面には、化成皮膜を形成することができる。
化成皮膜の種類については、特に制限はないが、例えば、リン酸亜鉛、リン酸亜鉛カルシウム、リン酸マンガン、リン酸スズ等の化成皮膜が例示される。特に、リン酸亜鉛の化成皮膜を採用することが、接着性及び防錆性を良好に得ることができる点から好適に採用される。なお、化成皮膜を形成するための溶液は、リン酸亜鉛皮膜を形成する場合、リン酸第1亜鉛と亜硝酸塩等の酸化剤とを含むpH2〜3の水溶液が用いられ、リン酸亜鉛の濃度を10〜20質量%の範囲内に設定することが好適である。
上記化成皮膜の厚さは、優れた接着性および防錆性を得る観点から、好ましくは1〜10μm、より好ましくは1〜5μmの範囲とすることができる。
さらに、金属2の表面に接着剤を塗布した後、この金属2に熱処理を施すことにより、金型内部にて未加硫ゴムを射出した際、上記2層構造の接着剤層が、金型内部を流動する未加硫ゴムによりかき取られて偏在し、接着剤層が不均一化することを効果的に防止し得、更に接着強度を向上させることができる。処理温度は通常140〜150℃とし、処理時間は通常15〜20分間とすることが好ましい。
更にまた、上記ゴム−金属積層構造体の金属2の任意の箇所に絞り加工を施すことにより、金属とゴムとの接着強度を向上させることができ、これにより長期使用に伴う材料や接着剤層等の劣化等により金属2からゴム層3が脱離することを効果的に防止することができる。この際、絞り率は製品仕様や金属2の強度等により適宜選定されるものであり、該積層構造体が円筒体の場合、その外径に対し、通常2〜10%、特に2〜8%、更には2〜5%とすることが好ましい。絞り率を上記の範囲内に調整することにより、金属2の破損を防止し、金属2と接着剤51との界面に剥離を生じることを可及的に防止すると共に、所望の接着強度を得ることができる。
なお、上記構成の本発明のゴム−金属積層構造体を製造する際には、従来公知の製造設備、方法、条件等を採用することができる。また、該積層構造体を構成する金属及びゴムの形状や材質等については、特に制限はないが、特に本発明では防振ゴムの用途に応じて適宜することができ、本発明の目的を逸脱しない範囲において、設備仕様や製品仕様等に応じて最適なものを採用すればよい。
本発明のゴム−金属積層構造体は種々の製品に採用され、例えば、各種の防振ゴム部材に採用することができる。防振ゴム部材は、上記円筒状ブッシュのほか、自動車や各種の輸送機器等に採用し得る、円筒状以外のブッシュ,エンジンマウント,モータマウント等、または産業機械等の様々な機械に用いられる防振部材等として好適に使用される。従って、上記金属の形状は、円筒状に限定されず、平板状,波形状等、各種の形状を適宜採用することできる。
また、上記の防振ゴム部材においては、液封入防振マウント等の液体封入タイプのものを好適に採用することできる。液体封入マウントとは、ゴム材部分が、振動入力に応じて変形する室壁に形成されてなり、その室壁と金属(金具の一部)とから構成される密閉空間に、液体が封入された構造を有する。このような液体封入タイプのものは、従来品では、その構造上、ゴム材と金属との接着界面に封入液が浸透しやすく、これにより接着力低下や錆などの欠点が生じやすい。しかしながら、本発明の防振ゴム部材は、ゴム材と金属とが良好な接着構造を有しており、錆や接着力低下を十分に解消し得、液体封入タイプの防振ゴム部材として、従来の液体封入タイプの防振部材に比べて、優れた耐久性、耐液性を発揮し得るものとすることができる。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例I、比較例I]
ゴム層に接する第2接着剤層(上塗り接着剤層)の接着剤として、下記の表1の配合成分の接着剤をそれぞれ使用した(実施例Iの接着剤:商品名「ケムロックXJ−477」(ロード社製)、比較例Iの接着剤:商品名「ケムロック6108」(ロード社製)。
また、金属に接する第1接着剤層(下塗り接着剤層)の接着剤としては、実施例I,比較例Iに共通する商品名「ケムロック205」(ロード社製)を採用した。
Figure 0006519286
*上記含有量は、各例の接着剤組成物の示差走査熱量測定(DSC)により発熱量の比から算出して推定したものである。上記の数字は質量%を示す。
[第1接着剤層(下塗り接着剤層)用の接着剤]
商品名「ケムロック205」(ロード社製)
〈配合成分〉
・塩化ゴム 5〜10質量%
・フェノール樹脂 5〜10質量%
・カーボンブラック 0.1〜1.0質量%
・酸化チタン 1〜5質量%
・シリカ 1〜5質量%
・有機溶剤 74〜84質量%
実施例I、比較例Iの各例のゴム−金属積層構造体について、下記方法により(1)型汚れ性、(2)耐熱性及び(3)耐液性の特性評価を行った。その結果を表2に示す。
(1)型汚れ性
試験方法は、図2(A)〜(C)に示す。即ち、図2(A)に示すように、一面10aに接着剤T(膜厚20μm)を塗布した鋼板(金属)10を、一面10aを上にして170℃に加熱した熱盤30の上に置き、鋼板10の両端にスペーサー50,50(0.5mm)を載置する。次に、図2(B)に示すように、スペーサー50,50を両端に置いた鋼板10の上に、接着剤を塗布されていない鋼板20(リン酸亜鉛系化成処理済み)を、一面20aを下にして載せ、3分間放置する。そして、図2(C)に示すように、3分後、鋼板20を取り出し、鋼板10から発生したガス成分が付着した面20aを上にして、熱盤30に置き、未加硫ゴム[天然ゴム(NR)、semiEV]を載せて加硫を行いゴム層40を形成する。加硫後、ペンチ等でゴム層40を剥がし、鋼板20の面20aの汚れ状態を確認する。
以上の操作を鋼板20の一面20aにゴムが付着するまで繰り返し、ゴムが付着した状態までの繰り返し回数を型汚れ限界回数とする。比較例Iを基準としてインデックス表示し、表2に示す。
(2)耐熱性
図3(A)に示すように、ゴム60を挟んだ2つの円盤状鋼製試験片70,71からなる接着体100を使用する。次に、図3(B)に示すように、ゴム60に100%の引張り歪(図中矢印方向)をかけた状態で、120℃×24時間放置する。24時間経過後、歪を開放し室温まで冷却を行う。冷却が完了したら、図3(C)に示すように、50mm/minでゴム60が破断又は接着界面が剥離するまで、上下方向(図中矢印方向)に引張る。
接着評価については、接着破壊の種類が、(1)ゴム部での破壊、(2)第2接着剤層の接着剤表面とゴム表面の界面剥離、(3)第2接着剤層の接着剤表面と第1接着剤層の接着剤表面との界面剥離、(4)第1接着剤層の接着剤表面と金属表面の界面剥離の4種類がある。この中で、接着剤の性能としては、「(1)ゴム部での破壊」に該当する場合が最も優れている。表2に示すように、実施例Iは、(1)ゴム部での破壊で、その面積の割合が100%であり、比較例Iも同様である。
(3)耐液性
図4(A)に示すように、ゴム80と鋼板(金属)90との接着体110を100℃に熱した封入液(水)Lへ浸漬する。次に、図4(B)に示すように、500時間経過後、鋼板90を取り出し、室温まで冷却の後、ゴム80を90°方向(図中矢印方向)へ引張る。
比較例Iでは、ゴム破壊の面積割合が80%であるのに対して、実施例Iでは、ゴム破壊の面積が90%となり比較例Iより優れている。
Figure 0006519286
表2の実験データより、実施例Iは、比較例I(従来品)よりも、金型の汚れ性を1/2に低減できるうえ、耐熱性及び耐液性を良好に得られることが分かる。
1 ゴム−金属積層構造体
2 金属
3 ゴム層
5 接着剤層
51 第1接着剤層(下塗り接着剤層)
52 第2接着剤層(上塗り接着剤層)

Claims (5)

  1. 金属の一面又は両面にゴム層を積層させたゴム−金属積層構造体において、上記金属に接する第1接着剤層と上記ゴム層に接する第2接着剤層とからなる2層構造の接着剤層が上記の金属とゴム層との間に形成されるものであり、且つ、上記第1接着剤層が、塩化ゴムを主材とする接着剤により形成され、該第1接着剤層の厚さが5〜20μmであると共に、上記第2接着剤層が、臭素化ポリ−2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンと架橋剤とを含有する接着剤により形成されるものであり、液体封入タイプの防振ゴム部材に用いられることを特徴とするゴム−金属積層構造体。
  2. 上記の臭素化ポリ−2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンが、接着剤固形分中(乾燥時)に60〜80質量%の範囲で含有する請求項1記載のゴム−金属積層構造体。
  3. 上記架橋剤がポリジニトロソベンゼンを含む請求項1又は2記載のゴム−金属積層構造体。
  4. 上記ポリジニトロソベンゼンが接着剤固形分中に1〜5質量%の範囲で含有する請求項3記載のゴム−金属積層構造体。
  5. 金型の内部に金属を配置し、該金属の一面又は両面に接着剤を塗工して第1接着剤層を形成し、次いで該第1接着剤層上に接着剤を塗工して第2接着剤層を積層すると共に、上記金型内に未加硫ゴムを充填し、加硫接着させることにより、上記の金属とゴム層が2層構造の接着剤層を介して接着一体化したゴム−金属積層構造体を製造する方法であって、上記第1接着剤層の接着剤として、塩化ゴムを主材とする接着剤を用い、該第1接着剤層の厚さを5〜20μmとすると共に、上記第2接着剤層の接着剤として、臭素化ポリ−2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンと架橋剤とを含有する接着剤を用いるものであり、液体封入タイプの防振ゴム部材に用いられることを特徴とするゴム−金属積層構造体の製造方法。
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