JP2007117088A - 加工固形食品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】固形食品及び該固形食品を具材として含む調理済み食品及びそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】食感保持及び保存性向上作用を付与した固形食品を製造する方法であって、(a)固形食品の表面に、アルカリ性物質と成膜化物質を接触させる、(b)上記接触状態で、該食品の蛋白質が熱変性し、かつ成膜化物質が成膜化する温度以上の雰囲気に、該食品を置いて食品の表面を成膜化物質により成膜化処理する、(c)該食品を80℃で15分間に相当する以上の条件で加熱処理する、(d)少なくとも上記(a)〜(c)の処理を順に行う、ことを特徴とする加工固形食品の製造方法、上記方法で作製した固形食品及び該固形食品を具材として含む調理済み食品。
【効果】長期間の保存においても品質低下しない、保存性に優れた食肉、魚介等の固形食品、該食品を具材として含む調理済み食品及びそれらの製造方法を提供できる。
【選択図】図5

Description

本発明は、食感保持及び保存性向上作用を付与した高保存性食肉、魚介類等の加工固形食品の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、中期ないし長期間の保存においても、食肉、魚介類等の軟らかい食感が安定して維持され、品質低下のない加工固形食品(該加工固形食品を具材として含む調理済み食品を包含する)の製造方法及びその製品に関するものである。
従来、食肉、魚介類の具材の食感や品質を改善するために、アルカリ性物質や澱粉等の改質剤を使用する方法が種々報告されている。先行文献には、例えば、加工肉の製造方法として、炭酸塩溶液及び/又は炭酸水素塩溶液を肉に浸透させ、ボイル、蒸し、ソテーした後、加圧加熱殺菌するレトルト肉の食感改善方法が提案されている(特許文献1)。しかし、この種の方法では、食感・歩留り等の改善効果が十分ではない。アルカリ性物質の濃度を上げることで、食感と歩留りを向上させることはできるが、その場合は、苦味やエグミ、アルカリ臭が不可避的に発生するという問題点があった。
また、他の先行文献には、含蛋白食品改質剤及び含蛋白食品の改質方法として、アルカリ性物質と澱粉と水とを含むことを特徴とする含蛋白食品改質剤と、それを使用した含蛋白質食品の改質方法が提案されている(特許文献2)。この文献には、アルカリ性物質と澱粉と水とを含む改質剤の組成について開示されているが、同改質剤を作用させる条件及び食品に保存性向上作用を付与するための後段の加熱(殺菌)処理との関係について開示はなく、文献1と同様に、これにより好ましい食感を得るためには、多量のアルカリ剤の添加が必要であり、それにより、苦味やエグミ、アルカリ臭が発生するという問題点があった。
特開2000−78957号公報 特開2003−9821号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、それらの処理条件によっては、この種の方法に従って処理を行っても効果を発揮しないため、種々研究を重ねた結果、食品にアルカリ性物質や澱粉を添加するだけではなく、食品の表面にアルカリ性物質を保持させて成膜化物質により成膜して表面に被膜を形成することが重要であることを見出し、かかる知見に基づいて、本発明に至った。本発明は、極めて優れた食感、歩留り、及びアルカリ性物質の使用による苦味やエグミ、異臭の少ない良好な風味を有し、更に長期間の保存においても品質低下しない、保存性に優れた食肉、魚介類の加工肉類等の固形食品及び該加工肉類等を具材とした調理済み食品の製造方法及びそれらの製品を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術手段から構成される。
(1)食感保持及び保存性向上作用を付与した固形食品を製造する方法であって、
(a)蛋白質が熱変性していない生の固形食品の表面に、アルカリ性物質と成膜化物質を接触させる、
(b)上記接触状態で、該食品の蛋白質が熱変性し、かつ成膜化物質が粘性化して成膜化する温度以上の雰囲気に、該食品を置いて食品の表面を成膜化物質により成膜化処理する、
(c)該食品を80℃で15分間に相当する以上の条件で加熱処理する、
(d)少なくとも上記(a)〜(c)の処理を順に行う、ことを特徴とする加工固形食品の製造方法。
(2)アルカリ性物質が、炭酸塩、炭酸水素塩、又は有機酸塩である、前記(1)に記載の方法。
(3)成膜化物質として、澱粉を使用し、該澱粉の糊化温度以上の雰囲気下で成膜化処理して成膜化処理を行う、前記(1)に記載の方法。
(4)固形食品の表面に、アルカリ性物質と成膜化物質が薄く均一に付着するように、(a)の接触処理を行う、前記(1)に記載の方法。
(5)固形食品の表面に、粉末状のアルカリ性物質及び成膜化物質を接触させる、前記(1)に記載の方法。
(6)固形食品の表面に、アルカリ性物質の濃度が0.1〜40質量%、成膜化物質の濃度が30〜70質量%、水の比率が30〜70質量%である混合溶液を接触させる、前記(1)に記載の方法。
(7)固形食品の表面にアルカリ性物質と成膜化物質を接触させて、表面を成膜化物質により成膜化処理した固形食品を、調味液と共に密封容器中に充填するか、あるいは、表面にアルカリ性物質と成膜化物質を接触させた固形食品を調味液と共に密封容器中に充填する際、又は充填後加熱処理する際に固形食品の表面を成膜化物質により成膜化処理する、前記(1)に記載の方法。
(8)加工固形食品が、切断した断面に対して、当該成膜化物質に反応する染色剤を接触させた場合に、少なくとも該断面の表層部分に染色が確認できるものである、前記(1)に記載の加工固形食品の製造方法。
(9)突き刺し手段で突き刺し処理後の固形食品の表面に、アルカリ性物質と成膜化物質を接触させる、前記(1)に記載の方法。
(10)(a)の接触処理において、固形食品の表面に、乳化剤を接触させる、前記(1)に記載の方法。
(11)(a)の接触処理において、香り成分を加える、前記(1)に記載の方法。
(12)食感保持及び保存性向上作用を付与した固形食品を製造する方法であって、
(e)蛋白質が熱変性していない生の固形食品の表面に、乳化剤と成膜化物質を接触させる、
その後に、前記(b)〜(c)の処理を順に行う、ことを特徴とする加工固形食品の製造方法。
(13)香り、食感保持及び保存性向上作用を付与した固形食品を製造する方法であって、
(f)蛋白質が熱変性していない生の固形食品の表面に、香り成分とアルカリ性物質を接触させるか、香り成分と成膜化物質を接触させるか、あるいは、香り成分とアルカリ性物質と成膜化物質を接触させる、
その後に、前記(b)〜(c)の処理を順に行う、ことを特徴とする加工固形食品の製造方法。
(14)食感保持及び保存性向上作用を付与した加工肉類であって、該食品が加熱処理が施され、表面に、アルカリ性物質を保持させて、かつ成膜化物質により成膜して、表面に粘性化させた被膜を形成したものであり、成型処理せず、体積が500〜250000mm以上の肉類で、最大応力が5×10N/m以下、pHが6〜7であることを特徴とする咀嚼・嚥下機能低下者用加工肉類。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、食感保持及び保存性向上作用を付与した加工固形食品を製造する方法であって、(a)固形食品の表面に、アルカリ性物質と成膜化物質を接触させる、(b)上記接触状態で、該食品の蛋白質が熱変性し、かつ成膜化物質が粘性化して成膜化する温度以上の雰囲気に、該食品を置いて食品の表面を成膜化物質により成膜化処理する、(c)該食品を80℃で15分間に相当する以上の条件で加熱処理する、(d)少なくとも上記(a)〜(c)の処理を順に行う、ことを特徴とするものである。
本発明は、固形食品、例えば、畜肉類、魚介類等の肉類、野菜、豆類、果実、チーズ等の乳製品等を対象原料とする。特に肉類、中でも牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉等の畜肉、魚類、エビ類、イカ類、貝類等の魚介類が適する。これらの食品は、表面、あるいは、表面及び内部に後記の成膜化物質が接触した状態で加熱されることで、表面、あるいは、表面及び内部組織が熱変性して、少なくとも表面部分に成膜化物質が付着し、成膜化する性質を持つものである。固形食品は、この作用のため、一般に、生のもの、すなわち、蛋白質が熱変性していないものが用いられるが、これに限らず、一部熱を加えたものでも用いられる。生の固形食品の他、冷凍、半解凍されたものも用いられる。
固形食品、特に、畜肉に突き刺し処理を施すことが可能である。特に、平板状の突き刺し刃等を備えた突き刺し手段を当接して突き刺し処理することができる。これらの場合には、半解凍されたものを使用することが、突き刺し刃を均一に突き刺すことができること(軟化剤が均一に作用する)、肉汁等の流失回避による風味保持効果も高く、処理後に突き刺し刃を固形食品から容易に離隔できること、突き刺し処理を好適に行い得ること、から、特に望ましい。また、上記半解凍のものは、平板状で大きい固形食品を突き刺し処理してカットする場合にも適し、処理後、容易に接触処理に適したカットサイズにカットすることができる。更に、本発明では、本発明の作用効果を得ることが可能な範囲で、突き刺し処理の前後で固形食品に加熱処理を施すことが可能である。
次に、任意工程としての「突き刺し処理」について説明する。本発明では、上記固形食品に、複数の突き刺し刃を間隔を空けて立設した突き刺し手段の当該突き刺し刃を当接して、突き刺し処理し、該突き刺し処理を施して適宜の切れ目や穴を形成する。本発明では、突き刺し処理の方法及びその条件は、次の好適な条件を考慮して適宜実施することができる。すなわち、突き刺し刃の形状については、好適には、例えば、先端が鋭利な円柱状、円錐状等の針状のもの、正方形、長方形、台形(これらでは、いずれかの辺又は角が肉片に対抗する状態で設けることが望ましい)、三角形(これでは、いずれかの頂点が肉片に対抗する状態で設けることが望ましい)等の平板状のもの、が挙げられる。平板を接合した刃の断面については、L字状、U字状、ヘの字状、コの字状等のものが例示される。突き刺し刃の形状は、正方形、長方形、台形等の平板状のものが、突き刺し効率が高く、好ましい。本発明では、上記突き刺し刃として、丸刃、例えば、ロール周辺にリング状に設けた刃、すなわち、連続した切れ目を形成し得る刃、等を使用することも適宜可能である。
次に、突き刺し刃の大きさについては、好適には、例えば、針状のものでは高さ5〜500mm程度、平板状のものでは一辺の長さが3〜15mm程度、厚さ1〜3mm程度が例示される。連続した切れ目を形成する刃の場合は、厚さが1〜3mm程度とすることが好ましい。また、突き刺し刃を略均一に間隔を空けて立設する場合に、垂直平面における隣接する突き刺し刃先端同士の間隔は、2〜20mm程度にすることが例示される。上記の突き刺し刃の大きさ等の条件により、肉片の軟化処理を好適に行うことができる。しかし、これらに制限されるものではなく、突き刺し刃の大きさ、刃の設置間隙については適宜設計することができる。突き刺し刃は、必ずしも整列して設ける必要はなく、任意の形態に形成することができる。
次に、突き刺し処理については、固形食品の一面、又は多面、すなわち、突き刺し方向が交わる多方向や両面から行うことができ、平板状の固形食品では、平板面に対して行うことができるが、多面や両面から行うことが望ましい。両面から行う際は、垂直平面でみた場合に、両面の刃の先端同士が、互い違いにずれて位置する状態で設けることが好ましい。その態様の例を図1に示す。すなわち、図1は、各々周辺にリング状に設けた刃を有するロール2基を上下に軸方向を揃えて対峙して設けた突き刺し装置を前面(垂直平面)からみた模式図である。突き刺しの深さは、突き刺し方向の肉片の厚みに対して突き刺し刃が、上記厚みの30%以上、好ましくは75%以上の突き刺しになるようにすることが好ましい。これらの場合、固形食品に2mm程度以上の切込みが入るようにすることが好ましい。上記切込みとは、上記刃を用いた突き刺し処理による1つ1つの切断長を意味する。上記の突き刺し処理の条件は、例えば、突き刺し方向の厚みが10〜25mm程度の固形食品に対して好適である。
上記50%以上、あるいは100%という数字は、刃の突き刺し程度を示している。肉片に対する上下刃の刺さり具合の総和、すなわち、上刃25%、下刃25%ならば、トータル50%となる(図2の左)。上刃50%、下刃50%ならば、100%となる(図2の中)。また、図2の右の場合、100%以上となる。このように、本発明では、刃の突き刺し程度は、両方の突き刺し総和として規定した。
次に、装置としては、一般に、テンダーライザーといわれる装置を好適に使用することができる。以上の条件で突き刺し処理を行なうことにより、固形食品の肉質等の物性や食感を過度に損なうことなく、本発明の処理を好適に行なうことができる。
固形食品の大きさは、特に限定されないが、例えば、生の角状のもので体積が75〜320000mm程度(例えば、5〜80mm×5〜80mm×3〜50mm)、生のスライス状のもので体積が1000〜1200000mm程度(例えば、10〜200mm×10〜200mm×10〜30mm)、各々本発明の処理を行った後で、最終製品に係る後記の歩留りが70%以上、好ましくは73%以上、更に好ましくは75%以上となるものが望ましい。本発明によれば、上記の大きさの固形食品に対して、食感保持及び保存性向上作用を付与し得ると共に、普通にカットした天然の素材等を使用して、ボリュームのある具材感を活かし、かつこれらに食感保持及び保存性を達成できるという顕著な効果が得られる。また、本発明において、「食感保持及び保存性向上作用を付与する」というのは、固形食品が商業的に流通可能な保存性を持った形態で供される場合に、本来の食感を流通保存時を通じて保持できる性能を持つことを意味する。特に、保水性・歩留り及びpHの変動が適当に調節されて、食品が硬くならず、本来の柔らかさを有することを意味する。
本発明において、「加熱処理」とは、食品を開放状態あるいは密閉状態で加熱処理すること、例えば、加熱釜等の加熱装置による加熱処理や、チルド用の中温域の加熱殺菌処理や、レトルト用の加圧加熱殺菌処理等を意味するものである。「密閉状態」とは、食品を密封容器に充填して加熱処理したり、食品を容器に充填せず、密閉系の加熱殺菌装置などで加熱処理したりすること(いわゆる無菌充填処理の場合)を指し、密閉状態で加熱処理することが、所望の食感保持及び保存性向上作用を付与する上で望ましい。本発明において、上記の加熱処理は、アルカリ性物質と成膜化物質に係る処理と相まって、食品に食感保持及び保存性向上作用を付与するための重要な構成要素となる。本明細書において、加熱処理した食品を「加熱処理済食品」という場合がある。本発明において、80℃で15分間に相当する以上の条件で加熱処理するとは、上記食品を、80℃以上で、かつ80℃で15分間に相当する加熱がかかる時間以上の条件で加熱処理することを意味し、他の加熱条件についても同様とする。
次に、本発明で用いるアルカリ性物質、成膜化物質について説明する。アルカリ性物質としては、水に溶解した際に、アルカリ性を示すものであれば適宜のものを使用することができる。例えば、アルカリ金属・アルカリ土類金属水酸化物等のアルカリ、それらの弱酸との塩、具体的には、アルカリ金属塩、又はアルカリ土類金属塩を含む物質が例示される。更に具体的には、例えば、下記に示されるような物質を用いることができる。すなわち、中でも、pHをアルカリ側に緩衝する作用を有する物質、例えば、酸解離定数pKa値が4以上、好ましくは5以上、更に好ましくは6以上の酸と、アルカリとから生じる塩(えん)が含まれていることが好ましい。つまり、上記の物質は、固形食品がより低いpHの液部等と組合わされた場合においても、固形食品が液部よりもアルカリ側のpH、例えば、pH5.5〜7.5、好ましくはpH6〜7に維持されるように、良好に緩衝作用を奏する。
上記アルカリ性物質の例について、以下に例示する。水酸化物であるアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ土類金属水酸化物(水酸化カルシウム等)、水酸化マグネシウム等が例示される。また、炭酸塩であるアルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、炭酸マグネシウム等が例示される。また、炭酸水素塩であるアルカリ金属炭酸水素塩(重曹(炭酸水素ナトリウム)等)、アルカリ土類金属炭酸水素塩等が例示される。有機酸塩であるアルカリ金属有機酸塩(酢酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸水素ナトリウム、リンゴ酸二ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム等)、アルカリ土類金属有機酸塩(乳酸カルシウム等)、マグネシウム有機酸塩等が例示される。また、燐酸塩であるアルカリ金属リン酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、マグネシウムリン酸塩等が例示される。これらのうち、炭酸塩や炭酸水素塩、特に重曹、及び有機酸塩、特に、クエン酸三ナトリウムが望ましい。上記アルカリ性物質により、固形食品を上記のpHに維持することで、好適に食感保持及び保存性向上作用を付与することが可能となる。
次に、本発明において、成膜化物質とは、水と共に加熱することで膨潤して保水性が向上する物質を意味するものとして定義され、具体的には、例えば、カラギナン、寒天、アルギン酸及びその塩類、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンド種子多糖類、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、プルラン、ジェランガム、カードラン、澱粉、加工澱粉等が例示される。澱粉としては、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、糯米澱粉等の澱粉及びこれらの加工澱粉や、小麦粉等、成分に澱粉を含むものであれば適宜のものを使用することができる。本発明においては、これらのうち、1種類の成膜化物質を使用することで効果を発揮し得るが、2種以上の成膜化物質を併用することも可能である。特に、コーンスターチが好ましい。澱粉は、糊化温度が45〜100℃程度や80〜100℃程度のものが好ましい。これらの澱粉によると、より良好に成膜化作用を奏し、調製された固形食品の歩留まりがよく、固形食品がレトルト食品等の高温で加熱処理されるものである場合にも、良好に成膜化作用を奏する。
本発明では、固形食品の表面に、アルカリ性物質と成膜化物質を接触させる接触処理を行うが、この場合、固形食品の表面に、水の存在下で膨潤して保水性が向上する成膜化物質を、未膨潤の状態で固形食品に接触させることが重要である。しかし、未膨潤の状態の物質に、膨潤したものが含まれているものは、本発明の範囲に含まれる。
本発明においては、アルカリ性物質の添加量については、特に制限は無いが、固形食品に作用させた際の表面のpHが6.0〜13.0、好ましくは6.5〜9.0になるように構成することが、風味・歩留りの面で好ましい。このために、一般には、アルカリ性物質を固形食品に対して、乾燥質量で0.1〜10質量%(以下%と略称する)、好ましくは0.3〜5%用いることが、風味・歩留りの面で好ましい。
この場合、上記範囲よりpHが低すぎると、食感、歩留り向上効果が低く、pHが高すぎると、アルカリ特有の苦味、エグミ、異臭が発生するため、風味を損なう。一般に、アルカリ性物質単独でも一定の効果を発揮するが、良好な歩留り、食感を得るためには、高濃度のアルカリ剤を使用して高いpHにする必要があり、その結果、苦味、エグ味、異臭が発生するという問題がある。また、アルカリ性物質単独で作用させた場合、保存中の歩留り低下、食感の硬化が進むため、長期間の保存を前提とした食品には不向きである。成膜化物質の添加量は、食品の表面組織に接触した状態で加熱されることで、食品の表面組織が収縮して、少なくともこの表面部分に付着して成膜化する範囲のものとする。このために、一般には、成膜化物質を固形食品に対して、乾燥質量で0.2〜20%、好ましくは0.5〜10%用いることが好ましい。なお、「表面部分」とは、固形食品の表面及び内部の表層部分を指す。食品の表面部分から1mm程度以上の深さにまで、成膜化物質が付着して成膜化されることが、所望の食感保持及び保存性向上作用を付与する上で望ましい。
アルカリ性物質、成膜化物質を、固形食品に接触させる方法としては、例えば、タンブラー法、インジェクション法、浸漬法、粉体付着法等が例示される。アルカリ性物質、成膜化物質を固形食品に接触させた後、一定時間保持することが望ましく、例えば、2つの物質を含む溶液に固形食品を0〜30℃で5分以上浸透させ、高い効果を得るためには、好ましくは15分以上浸漬する。しかし、この場合、浸漬を行わず、即座に成膜化を行うことも可能である。アルカリ性物質、成膜化物質は、乾燥粉末状のものを食品に接触してもよく、適宜溶液化したものを接触してもよく、要するに、原料形態、接触方法を含め、本発明の所望のアルカリ及び成膜化による食品の食感保持及び保存性向上作用を付与できる任意の構成で使用し得る。溶液化したものに浸漬する態様において、例えば、文献1に記載のアルカリ単独処理に係る発明では、3時間以上浸漬するとされている。しかし、本発明では、前記の浸漬時間の上限は30分間程度でよく、5〜15分間程度で所望の食感保持及び保存性向上作用を付与できることから、本発明は、工程上の食品に対する悪影響を減らすことができる点と、簡便性において、先行技術よりも優れている。
次に、上記接触方法について更に詳しく説明する。固形食品の表面に、アルカリ性物質と成膜化物質が薄く均一に付着するように接触処理を行うことが望ましい。本発明を実施する場合に、成膜化物質が厚く、あるいはデコボコに成膜化すると、食品本来の食感、食味を損なう場合があり、これを回避して、成膜化物質を薄く均一に付着した本来の食感、食味の加工食品を達成できるためである。また、混合による物理的な練り込み効果が得られる状態で接触処理を行うことが望ましく、具体的には、タンブラー法(ニーダー混合)等で処理を行うことが望ましく、これらは、工業的に本発明を実施する場合に優れている。これにより、本発明の所望のアルカリ及び成膜化による食品の食感保持及び保存性向上作用を良好に付与できる。
また、接触処理をアルカリ性物質と成膜化物質を含む溶液を用いて行う場合には、比較的高濃度の溶液を接触させることが望ましく、例えば、混合溶液中のアルカリ性物質の濃度が0.1〜40%、成膜化物質(特に、澱粉等)の濃度が30〜70%、水の比率が30〜70%であることが望ましい。これらにより、アルカリ性物質と成膜化物質を薄く均一に付着して、本来の食感、食味の加工食品を達成し、本発明の所望のアルカリ及び成膜化による食品の食感保持及び保存性向上作用を良好に付与できる。これらは、前記の練り込み効果を得る場合にも好適に採用できる。アルカリ性物質、成膜化物質として乾燥粉末状のものを食品に接触する場合は、前記の成膜化物質を薄く均一に付着する効果や、練り込み効果を得ることができる。アルカリ性物質と成膜化物質の接触は、常圧雰囲気で実施することが望ましい。上記接触を減圧雰囲気等で実施する場合は、過度の減圧により食品の肉質や食感を損なう場合があり、また、工程が煩雑となりやすい。
本発明において、乳化剤を併用することで、更なる食感保持及び保存性向上作用を付与することができる。上記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル(例えば、モノグリセリドあるいはジグリセリドとポリカルボン酸とのエステルを含有するもの)、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン類等のノニオン系乳化剤(非イオン系乳化剤)、特に好ましくは、コハク酸モノグリセリドが好適なものとして例示される。
固形食品に乳化剤を接触させて作用させる方法としては、例えば、乳化剤を含有する溶液に肉片を浸漬する方法、該溶液を肉片にスプレーする方法、肉片と粉体、溶液等の乳化剤とをタンブリングする方法、及び、これらの処理を任意の順に伴わせて行う方法が例示される。しかし、これらに限定されるものではなく、任意の方法を利用することができる。乳化剤を溶液として用いる場合には、乳化剤の他に、適当な物質を含有する任意の溶液を使用することができる。乳化剤の接触と、アルカリ性物質、成膜化物質の接触の順序は、任意で、同時でもよく、好ましくはアルカリ性物質、成膜化物質の接触後に乳化剤を接触すればよい。
これらの処理を行うための乳化剤の処理条件としては、乳化剤の濃度は固形食品に対して0.1〜5.0質量%、より望ましくは0.3〜1.0重量%とし、5〜30℃で5分以上固形食品に浸透させ、より高い効果を得るためには、好ましくは15分以上浸漬することが望ましい。しかし、この場合、浸漬を行わず、即座に成膜化処理を行うことも可能である。なお、本発明において、乳化剤の濃度は乾燥重量によるものである。
上記の乳化剤処理が不十分な場合には、本発明で得られる乳化剤に基づく固形食品の食感改善作用が得られない傾向となり、乳化剤の濃度が条件範囲を上回る場合には、肉片の風味に影響が生じる傾向がある。上記の条件を逸脱した場合でも、本発明の作用効果を奏し得るが、特に、前記の各条件範囲で軟化処理を実施すると、固形食品の食感を好適に軟化できると共に、肉質がジューシーで風味がよく、軟化作用を効率的に達成することができる。
次に、成膜化処理について説明する。成膜化処理では、アルカリ性物質と成膜化物質を接触させた固形食品を、熱湯、蒸気、熱風、油揚、炒めなどにさらし、表面にアルカリ性物質と成膜化物質を接触させた固形食品を、上記接触状態のまま、食品の表面組織が収縮して、この部分に成膜化物質が粘性化して付着し、成膜化する雰囲気に食品を置いて、食品の表面を成膜化物質により成膜する。成膜化処理の形態、条件は、上記の作用が奏される限りにおいて、任意の構成とし得るが、具体的には、次のものを挙げることができる。
(1)アルカリ性物質と澱粉等の成膜化物質を接触させた肉類等の固形食品を、肉類等が蛋白変性し、かつ澱粉等が糊化する温度以上の雰囲気に置く。
(2)上記と同様にして接触処理した固形食品を、容器に充填し、更に、調味液等を加える。この場合に、調味液等を上記の温度以上として、その温度により、肉類等を蛋白変性し、かつ澱粉等を糊化する。あるいは、調味液等を高粘性液(温度は何れでもよい)とし、これにより、成膜化物質が食品から調味液等に溶け出して剥がれないようにして、容器を密封し、これを加熱処理して肉類等を蛋白変性し、かつ澱粉等を糊化する。
(3)上記と同様にして接触処理した固形食品を、高温の調味液等と混合して、肉類等を蛋白変性し、かつ澱粉等を糊化させ、これを容器に充填する。あるいは、接触処理した固形食品を、高粘性の調味液等と混合して容器に充填し、これを加熱処理して肉類等を蛋白変性し、かつ澱粉等を糊化する。
上記(2)、(3)において、高粘性液とは、例えば、300mPa・s以上、好ましくは1000〜30000mPa・sの粘度のものである。
(4)アルカリ性物質と比較的多く(例えば、固形食品に対して乾燥質量で10〜20%)の成膜化物質を接触させた固形食品を、成膜化物質が膨潤する温度に満たないか、それ以上の温度の調味液等と混合して加熱し、成膜化することもできる場合がある。以上の方法では、固形食品の表面を成膜化物質により成膜することができる。以上の場合、成膜化処理の方法及び手段、その条件等は、成膜が達成でき、かつ成膜化物質が剥がれないものであれば特に制限されるものではなく、任意に選択又は設定することができる。なお、成膜化処理は、成膜化物質が膨潤する温度条件にて可能であるが、より高い効果を得るために、固形物を雰囲気温度80〜250℃の条件下におき、成膜化を行うことが望ましい。
例えば、成膜化物質として澱粉を用いてボイルする場合について説明すると、ボイルする際には、澱粉の糊化温度以上のお湯(90℃程度)に、固形食品を入れる必要がある。これよりも温度が低いと、ボイル中に固形食品に接触させた澱粉が糊化する前に湯中に分散してしまうため、固形食品に対して作用できない。なお、このボイル処理等の成膜化処理によって、肉類等のアク、臭みが除かれる場合がある。
また、ボイル処理等の成膜化処理によって固形食品中に存在する微生物数を低下させ、生産ラインでの微生物汚染を抑え、また、加熱前の肉類等は、互いに結着性が強いため、自動計量器での計量が困難で、人の手作業による計量が必要になるが、ボイル処理等により計量が容易になり、生産性が向上する。本発明では、ボイル処理に限らず、他の加熱方法を使用することも適宜可能である。
次に、加熱処理について説明する。加熱処理の意義は前述の通りであるが、その条件としては、固形食品を80℃で15分間に相当する以上の条件で加熱処理する。好ましくは、80〜135℃で15分間〜20時間程度実施し、例えば、チルド食品の場合は105℃で15分間に相当する以上、レトルト食品の場合は122℃で20分間に相当する以上、無菌充填食品の場合は、130℃で10分間に相当する以上の条件で加熱処理することで、殺菌処理を兼ねることができる。この加熱処理により、固形食品の軟化が進行するため、食品自体食することが可能であり、また、レトルト、チルド製品の具材として好適に利用できる。しかし、この処理を行わないと食感の柔らかさが不十分である。アルカリ剤単独処理等でこれらの食品を調製する場合には、良好な歩留り、食感を得るためには高濃度のアルカリ剤を使用して高いpHにする必要があり、その結果、苦味、エグ味、異臭が発生するという問題があるが、本発明では、上記成膜及び加熱処理の相互作用によりそれらの問題を回避することができる。なお、上記「80℃で15分間に相当する以上の条件」とは、全て雰囲気温度で、80℃以上で、かつ80℃で15分間に相当する加熱がかかる時間以上の条件で加熱処理することを意味し、具体的には、80〜100℃未満で15分間に相当する以上、100〜120℃未満で10分間に相当する以上、120℃で5分間に相当する以上の条件、が挙げられる。比較例6〜1、6〜2の「沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後」は、本発明でいう加熱処理に該当しない。
本発明では、アルカリ性物質、成膜化物質、成膜化処理及び加熱処理の組み合わせにより、少量のアルカリ性物質で十分な食感改善効果が得られるため、アルカリ性物質のマイナス要因である、苦味やエグミ、アルカリ臭の発生を少なくすることができる。
本発明では、次の処理工程が重要であり、これにより、所定の作用が達成されると考えられる。すなわち、(a)固形食品の表面にアルカリ性物質と成膜化物質の2つの物質を付着させる前処理を行う工程。(b)前記の雰囲気に固形食品を置いて加熱処理することで、成膜化物質が溶融し、固形食品の表面、あるいは、表面及び内部組織に浸潤し、かつ粘性物となり固形食品の表面に成膜する工程。アルカリ性物質は、筋繊維をほぐし、成膜化物質の浸透を助ける。本発明では、熱媒などの中に成膜化物質を消失させず、確実に上記作用を発揮させることができる。加熱処理は、固形食品を加熱変性させて喫食状態に軟化するための必須の処理である。従来、この処理で、喫食状態にする反面、変性が進んで硬化しすぎる傾向があったが、本発明では、処理中、成膜がアルカリ性物質を保持し、膜の内側ではアルカリ性物質が肉中に浸透し、筋繊維をほぐす作用が持続し、保水性が向上する。また、上記の作用は、加熱処理後の流通保存時にも持続する。
本発明では、前記の食品やこれを具材として含むレトルト、チルド製品などを調製することができる。一般に、食品は製品保存のための加熱殺菌における処理熱によるダメージを受ける。また、保存時は、アルカリ性物質のpH均衡で肉質に変化を受ける。本発明の機能として、加熱処理の際は、過加熱、物理刺激を受けないように成膜が固形食品をコートし、同時に、成膜がアルカリ性物質を保持し、膜の内側ではアルカリ性物質が固形食品に浸透し、筋繊維等をほぐす作用が持続する。また、保存にも、成膜がアルカリ性物質を保持し、スープとの間のpH均衡などが少なく、これにより喫食時まで食感が保持される。特に、成膜保持作用により、アルカリ性物質を表面処理するだけで、成膜化処理、製品保存のための加熱処理の際、アルカリ性物質が保持され、これが食品の内部まで浸透して食感保持作用をする。したがって、アルカリ単独処理に比べて、アルカリ少量添加で効果があり、食味を損なわない効果がある。尚、加工固形食品(これを含む食品を包含する)は、本発明の所望作用を奏する限り、最終製品の形態は限定されず、冷凍食品等であってもよい。冷凍食品の場合は、食品の解凍時にトリップが少なく、固形食品及びこれと他の食品を組合せた食品全体として品質保持が達成されるという効果が得られる。
本発明では、下記の方法を用いることで、固形食品、特に畜肉、魚介類をあらかじめ澱粉と接触した後に、成膜化処理を施しているか否かを識別することができる。本処理、すなわち、固形食品と澱粉とあらかじめ混合した後に加熱処理を施している場合は、固形食品内部に澱粉の浸潤が確認できる。無処理食品と本処理加工食品をナイフ等で切断し、断面に対してヨウ素液を滴下した場合、無処理では染色が確認できないのに対し、本処理品では、内部(表層付近)に紫色の染色が確認できる。なお、澱粉以外の成膜化物質についても、これらに適した染色剤を使用して同様に確認ができる。
固形食品の固形部と、液部とが存在し、液部に澱粉が含まれる製品形態(例えば、カレーソース等)においては、固形食品を水で洗浄した後にヨウ素染色を行った場合、固形食品の表面部分においては、本処理片、無処理片、共に染色が見られるが、畜肉、魚介類をナイフ等で切断し、断面に対してヨウ素液を滴下した場合、無処理では、内部(表層付近)染色が確認できないのに対し、本処理品では、内部(表層付近)に紫色の染色が確認できる。
更に、本発明では、アルカリ処理をした肉類等は、高pHにより肉中のミオグロビンが変色するため、一般に赤黒い色を呈する。また、液部のpHと固形食品のpHが異なる場合、製造後の保管時に、徐々にpHの均質化が進むが、(1)アルカリ性物質を使用して本発明を実施している場合と、(2)アルカリ性物質を使用していない場合とで、その速度が大幅に異なる。上記(2)でボイル処理した牛肉をカレーソースと共に充填し、レトルト殺菌を行ったものを常温で保管したところ、約1週間でソースと肉片のpHが同一になった。これに対し、上記(1)でボイル処理した後、同様に処理したものは、約1ヶ月の保管を行った後も、肉片とソース当初のpHの差が保たれていた。
上記の食品は、いわゆる咀嚼・嚥下機能低下者用食品等となり得ることから、本発明により達成される同形態の食品について説明する。ここで、「咀嚼・嚥下機能低下者用食品」とは、咀嚼を容易又は不要とし、嚥下を容易にした食品を意味する。従来、同形態の食品に含まれる加熱処理した肉類等は、普通にカットした天然の肉類で十分に軟化処理されたものがないため、これに代え、肉類を粉砕処理等の微細化処理した後、成型等で結着処理し、適宜調理して調製されていた。しかし、上記の擬似的な肉類は、食感、風味、見栄えにおいて満足なものではなく、咀嚼・嚥下機能低下者にとって、カットした天然の肉類で、十分に軟化処理されたものが求められていた。本発明は、上記の要望に応じ得る肉類等の固形食品及びこれを含む加熱処理済食品を供し得るものである。
つまり、同食品自体あるいはこれに含まれる固形食品は、加熱処理して食感保持、軟化作用及び保存性を付与した加工固形食品であって、結着処理せず、体積が、前記した肉類で、嚥下指標である最大応力が5×10N/m以下、好ましくは、2×10N/m〜4×10N/m、pHが6〜7である咀嚼・嚥下機能低下者用加工固形食品である。食品としては、肉類、特に、畜肉類が望ましい。また、肉じゃが等の煮物等で、外観上肉類がそのまま見える食品では、見栄えもよく、上記用途の食品として、より高品質のものとなる。
なお、「最大応力」の測定方法は、以下の通りである。測定装置は、直線運動により物質の圧縮応力を測定することが可能な装置、例えば、サン化学(株)製SUN RHEO METER(CR−500DX)等を用いる。試料に進入させるプランジャーは、直径20mmの円柱状の樹脂製のものを用いる。測定台の上に試料をのせ、プランジャーを圧縮速度10mm/secで、測定台からプランジャーまでの距離が5mmになるまで、試料に進入させる。進入させる箇所は、試料の中心部とし、試料1個につき1回測定を行う。測定温度は20℃±2℃とする。5個の試料を測定する。得られた5つのデータのうち、最大値と最小値を除いた3つのデータの平均値を求め、該当試料の測定値とする。
本発明の加工固形食品は、ユニバーサルデザインフードとして利用することができる。ユニバーサルデザインフードとは、日本介護食品協議会により認定された、嚥下・咀嚼困難者にも嚥下・咀嚼が容易な介護食品のことをいい、区分1:容易にかめる、区分2:歯ぐきでつぶせる、区分3:舌でつぶせる、区分4:かまなくてもよい、に区分される。本発明の食品は、特に、区分2の食品を供する場合に有用である。
また、本発明では、凍結食品として、前記のように、表面にアルカリ性物質と成膜化物質を接触した状態で、食品の蛋白質が熱変性し、かつ成膜化物質が成膜化する温度以上の雰囲気に置いて、表面を成膜化物質により成膜化処理した固形食品を凍結して、原料用等の食品として供し得る。すなわち、上記の食品は、凍結保存後に前記加熱処理を行うことで、本発明の所望の食感保持及び保存性向上作用を奏し得るものとなる。また、上記の食品は、解凍時においてドリップが少ないという効果を有する。凍結条件は、任意であり、成膜化処理した固形食品を凍結しさえすれば、上記の作用が得られる。
更に、本発明では、固形食品と液部とを含む食品として、本発明のアルカリ性物質、成膜化物質、成膜化処理及び加熱処理の組合せにより処理した固形食品と液部とを含む食品を構成する。特に、加熱処理を殺菌処理、例えば、レトルト殺菌処理により実施して上記の食品を構成することもできる。上記の場合に、液部としては、弱酸性〜中性、例えば、pH3.5〜7.0の液状食品を用いる。すなわち、固形食品単独で本発明を実施する場合に、当該食品のpHより高いpHの雰囲気下で加熱処理等を行うと、食味に影響を受けることがあるが、その際に、弱酸性〜中性の液部が共存すると、その影響が軽減され、同時に、保存中は前記したように、固形食品と液部とのpHの差が保たれることで、本発明の所望の食感保持及び保存性向上作用がより一層好適に達成されるからである。液部としては、食品の種類は限定されず、シチュー、カレー、ハヤシ等のソースや、煮物の調味液や、ステーキ等用のタレ等が好適に用いられる。液部の粘度は、限定されず、前記の高粘度のものを用いることで、成膜化処理に機能し得る。固形食品と液部との比率は限定されず、例えば、前者1〜95%に対して後者5〜99%を用いることが、前記の作用を得る上で望ましい。固形食品と液部とを含む食品は、チルド食品やレトルト食品等として構成することができる。
本発明により、以下のような効果が奏される。
(1)長期間の保存においても品質低下しない、保存性に優れた食肉、魚介類等の固形食品、これを具材とした調理済み食品及びそれらの製造方法を提供できる。
(2)以上の調理済み食品の製造方法によって、日本介護食品協議会の認定するユニバーサルデザインフード:区分2の製品を調製することが可能となる。
(3)上記固形食品と液部とを含む食品を製造し、提供することができる。
(4)固形食品の表面に、アルカリ性物質と成膜化物質を接触させ成膜化処理及び加熱処理することで、中期ないし長期の保存においても、食肉、魚介類の軟らかい食感が安定して維持され、品質低下のない加工肉類を製造し、提供することができる。
(5)上記処理に突き刺し、乳化剤による処理を組み合せることで、肉繊維の硬化防止、澱粉の老化防止等の効果を得ることができる。
(6)更に、アルカリ性物質と香り物質、成膜化物質と香り物質、あるいは、これらの三者を併用することで、肉の臭みが少なく、香り物質による香り付与効果を長期間持続可能な肉片を得ることができる。
次に、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明する。
比較例1
(無処理でボイル)
牛肉1kgを18mm×18mm×7mmの体積約2268mmの一口大(以下、同様)にカットした。これを沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で25分間の加圧加熱殺菌処理を行った。
比較例2−1
(低アルカリ濃度、澱粉、成膜化なし)
牛肉1kgを一口大にカットした。これを1%重曹水中に4時間浸漬した。肉を取り出してザルで水切りし、これを沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で25分間の加圧加熱殺菌処理を行った。
比較例2−2(高アルカリ濃度、澱粉、成膜化なし)
牛肉1kgを一口大にカットした。これを4%重曹水中に4時間浸漬した。肉を取り出してザルで水切りし、これを沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で25分間の加圧加熱殺菌処理を行った。
比較例3
(澱粉のみ、アルカリなし)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに馬鈴薯澱粉25gを加えて混合し、表面に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で25分間の加圧加熱殺菌処理を行った。
比較例4
(アルカリ+澱粉、成膜化なし=ボイルしない)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹6g、馬鈴薯澱粉25gを加えて混合し、表面に均一に付着させた。これをレトルトパウチに30g充填し、品温25℃、同温度における粘度5mPa・sのカレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で25分間の加圧加熱殺菌処理を行った。
比較例5
(アルカリ+澱粉、成膜化なし=水からボイル)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹6g、馬鈴薯澱粉25gを加えて混合し、表面に均一に付着させた。これを水中に入れてから加熱し、沸騰後5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で25分間の加圧加熱殺菌処理を行った。
比較例6−1
(アルカリ+澱粉、成膜化あり、加熱処理なし)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹6g、馬鈴薯澱粉25gを加えて混合し、表面に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。
比較例6−2
(アルカリ+澱粉、成膜化あり、加熱処理なし)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹24g、馬鈴薯澱粉25gを加えて混合し、表面に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。
(本発明のチルドカレー、成膜化=ボイル、成膜化物質=馬鈴薯澱粉)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹6g、馬鈴薯澱粉25gを加えて混合し、表面に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、105℃で35分間レトルトで加熱(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(本発明のチルドカレー、成膜化=ボイル、成膜化物質=馬鈴薯澱粉)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹6g、馬鈴薯澱粉25gを加えて混合し、表面に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、95℃で3時間レトルトで加熱処理(殺菌)を行った。
(本発明のレトルトカレー、成膜化=ボイル、成膜化物質=馬鈴薯澱粉)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹6g、馬鈴薯澱粉25gを加えて混合し、表面に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で25分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(本発明のレトルトカレー、成膜化=焼成、成膜化物質=馬鈴薯澱粉)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹6g、馬鈴薯澱粉25gを加えて混合し、表面に均一に付着させた。これをオーブンで220℃で5分間焼成した後、20℃まで冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で25分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(本発明のレトルトカレー、成膜化=蒸熱、成膜化物質=馬鈴薯澱粉)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹6g、馬鈴薯澱粉25gを加えて混合し、表面に均一に付着させた。これを蒸し器で5分間蒸した後、20℃まで冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で25分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(本発明のレトルトカレー、成膜化=油揚、成膜化物質=馬鈴薯澱粉)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹6g、馬鈴薯澱粉25gを加えて混合し、表面に均一に付着させた。これを130℃で油揚した後、20℃まで冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で25分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(本発明のレトルトカレー、成膜化=炒め、成膜化物質=馬鈴薯澱粉)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹6g、馬鈴薯澱粉25gを加えて混合し、表面に均一に付着させた。これをフライパンで炒めた後、20℃まで冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で25分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。なお、以上の各比較例(比較例4を除く)と実施例において、レトルトパウチに充填したカレーソースは、品温90℃、同品温における粘度2600mPa・sのものであった。
(本発明のレトルトカレー、成膜化=高温カレーソースによる加熱)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹6g、馬鈴薯澱粉25gを加えて混合し、表面に均一に付着させた。これをレトルトパウチに30g充填し、品温90℃、同品温における粘度2mPa・sのカレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で25分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(本発明のレトルトカレー、成膜化=低温・高粘度カレーソースと別途加熱)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹6g、馬鈴薯澱粉25gを加えて混合し、表面に均一に付着させた。これをレトルトパウチに30g充填し、品温25℃、同品温における粘度8400mPa・sのカレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で25分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(本発明のレトルトカレー、成膜化=高温・高粘度カレーソースによる加熱)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹6g、馬鈴薯澱粉25gを加えて混合し、表面に均一に付着させた。これをレトルトパウチに30g充填し、品温90℃、同品温における粘度2600mPa・sのカレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で25分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(本発明のレトルトカレー、成膜化=低温・高粘度カレーソースと混合後に別途加熱)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹6g、馬鈴薯澱粉25gを加えて混合し、表面に均一に付着させた。これを品温25℃、同品温における粘度8400mPa・sのカレーソースを170gと混合し、レトルトパウチに充填して密封シールした後、122℃で25分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(本発明のレトルト肉、成膜化=ボイル)
比較例6−1において水中で冷却した牛肉を、レトルトパウチに50g充填して密封シールした後、122℃で25分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
比較例7
(無処理でボイル)
牛肉1kgを一口大にカットした。これを沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに12g充填し、馬鈴薯、人参、グリーンピースからなる野菜類を48gとソースを40g加えて密封シールした後、122℃で19分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行って肉じゃがを調製した。
(本発明のレトルト肉じゃが、成膜化=ボイル)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹36g、馬鈴薯澱粉25g、水60gの混合物を加え、牛肉の表面に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに12g充填し、馬鈴薯、人参、グリーンピースからなる野菜類を48gとソースを40g加えて密封シールした後、122℃で19分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行って肉じゃがを調製した。
(本発明のレトルト肉じゃが、成膜化=ボイル)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹6g、馬鈴薯澱粉25g、水60gの混合物を加え、牛肉の表面に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに12g充填し、馬鈴薯、人参、グリーンピースからなる野菜類を48gとソースを40g加えて密封シールした後、122℃で19分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行って肉じゃがを調製した。
(本発明の大根と豚肉の煮物、成膜化=ボイル)
豚肉1kgを25mm×25mm×7mmの体積約4375mmの一口大にカットした。これに重曹10g、馬鈴薯澱粉50g、水100gの混合物を加え、豚肉の表面に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに12g充填し、大根を50gとソースを35g加えて密封シールした後、122℃で19分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行って肉じゃがを調製した。
(本発明のレトルトカレー、成膜化=ボイル、成膜化物質=馬鈴薯澱粉)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹6g、馬鈴薯澱粉50gを加えて混合し、牛肉の表面に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で25分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(本発明のレトルトカレー、成膜化=ボイル、成膜化物質=コーンスターチ)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹6g、コーンスターチ50gを加えて混合し、牛肉の表面に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で25分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。この場合に、前記冷却後の牛肉表面のpHは約6.9で、カレーソースのpHは約5.0で、レトルト加熱処理後の牛肉表面のpHは約5.9で、カレーソースのpHは約5.1であった。なお、他の実施例、比較例において用いたカレーソースのpHも同様に約5.0である。
(本発明のレトルトカレー、成膜化=低温→高温、成膜化物質=コーンスターチ)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに重曹6g、コーンスターチ100gを加えて混合し、表面に均一に付着させた。これを50℃の温水に入れ、85℃まで昇温し、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で25分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(本発明の凍結食品)
実施例1においてボイルした後、水中で冷却した牛肉を、パウチに充填して凍結し、−18℃で5日間保存した後、これを常温で解凍した。解凍の際、ドリップの発生は少なかった。上記の牛肉を、レトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で25分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(1)保存試験
上記各サンプルを含む全てのサンプルについて、保存試験を行った。保存試験方法は、50℃で20日間保管(室温で約4ヶ月に相当する)による過酷試験を行った。
(2)評価
上記の各処理を行った各製品を構成する肉類について、次の区分で評価を行った。すなわち、比較例6−1及び6−2については製造直後のものを、実施例1、2については5℃で1日保管後のものと1ヶ月間保管後のものを、比較例1〜5、比較例(1)、(2)、実施例3〜12、16〜24,29,32については製造後翌日のものと前記保存試験後のものを、比較例7、実施例13〜15については製造後翌日のものを、実施例30、31については5℃で1日保管後のものを、各々対象として評価を行った。
(食感、風味)
製造直後、1日冷蔵保管後あるいは加熱殺菌処理を行った翌日の製品を構成する肉類(表1中これらを「製造直後」と記す)、前記の1ヶ月間保管後あるいは保存試験を行った後の製品を構成する肉類(表1中これらを「保存後」と記す)を、各々沸騰水中で5分間湯煎した後、10人のパネラーが食した、食感、風味について、上記の5段階の項目に基づいて評価した値の平均値を四捨五入したものを表1に示す。
食感(やわらかさ、ジューシー感)
1:とても硬くてパサパサしており、ジューシーさが全く感じられない。
2:硬くてパサパサしており、ジューシーさがあまり感じられない。
3:やや硬くて噛み切りにくさがあり、ジューシーさがわずかに感じられる。
4:軟らかくてほぐれやすく、ジューシーさが感じられる。
5:非常に軟らかくてほぐれやすく、とてもジューシーでしっとりしている。
風味(旨味、臭気)
1:肉汁保持性がなく肉の旨味を感じない、あるいは、アルカリ剤による臭気が強く不味い。
2:肉汁保持性が弱く肉の旨味が弱い、あるいは、アルカリ剤による臭気をやや感じ違和感がある。
3:アルカリ剤による臭気は感じないが、肉の旨味がやや弱い。
4:やや肉汁に富み、肉の旨味を感じる。
5:肉汁に富み、肉の強い旨味を感じる。
尚、風味は肉から得られるものと、アルカリ剤によって付与されるものがあるため、1、2、3は、混ざった表記となっている。
(歩留り)
更に、各々の製品の一部を構成する肉類について、次の測定方法で測定した歩留りを表2に示す。比較例4を除く全ての比較例、並びに実施例1〜7及び12、16〜23及び29〜32については、下記の式(1)〜(3)に示す、成膜化処理歩留り(原料重量に対する成膜化処理後重量の割合)及び加熱殺菌処理歩留り(成膜化処理後重量に対する加熱殺菌処理後重量の割合)を掛け合わせることで、トータルの歩留り(原料重量に対する加熱殺菌処理後重量の割合)を算出した。尚、比較例6−1、6−2については、成膜化処理歩留りを歩留りとして記した。
成膜化処理歩留り(%)=成膜化処理後重量(g)÷原料重量(g)×100・・・(1)
加熱処理歩留り(%)=加熱殺菌処理後重量(g)÷成膜化処理後重量(g)×100・・・(2)
歩留り(%)=成膜化処理歩留り(%)×加熱殺菌処理歩留り(%)÷100・・・(3)
比較例4及び実施例8〜11については、下記の式(4)に示すように、原料肉重量及び加熱殺菌処理肉重量から歩留りを算出した。
歩留り(%)=加熱処理後重量(g)÷原料重量(g)×100・・・(4)
尚、原料重量は、畜肉等の固形食品の重量であり、アルカリ剤や成膜化物質等の重量は含まない。これに合せて、成膜化処理後重量は、成膜化処理後の固形食品を20℃の水中で冷却し、目開きが約2mmのザルで水を切った後に重量を測定した。また、加熱処理後重量は、製品を沸騰水中で5分間湯煎した後、レトルトパウチを開封し、内容物を目開きが約2mmのザルにあけ、40℃の温水でソースをよく洗い流した後、固形食品を取り出して重量を測定した。
(最大応力)
比較例1、7、実施例3、13、14で得た加熱殺菌処理を行った翌日の製品を構成する肉類について、前記の測定方法で測定した最大応力(単位は×10(N/m))を表3に示す。
(断面写真)
比較例1、実施例3で得た加熱殺菌処理を行った翌日の製品を構成する肉類について、前記の染色方法で染色して撮影した断面写真を示す。詳細には、レトルトパウチを開封し、内容物を目開きが約2mmのザルにあけ、40℃の温水でソースをよく洗い流した後、固形食品を取り出し、ナイフで切断し、断面に対して0.05mol/Lのヨウ素溶液(和光純薬工業社製)を滴下して、即座に断面の写真撮影を行った。写真の対応番号を表4に示す。
(アルカリ剤=クエン酸三Na)
牛肉1kgを一口大にカットした。これにクエン酸三Na20g、コーンスターチ40gを加えて混合し、これらを牛肉に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、10分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で27分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(機械混合、混合工程ニーダー使用)
牛肉300kgを一口大にカットした。これにあらかじめ混合しておいた、クエン酸三Na6kg、コーンスターチ12kg、水12kgからなる溶液を加え、500L横軸ニーダーにて2分間混合攪拌を行った。これを沸騰水中に入れ、10分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で27分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(アルカリ成膜化処理+突き刺し処理)
本実施例で使用した装置を図4に示す。先端となる上底約5mm、下底約10mm、高さ約10mm、厚さ約1mm台形の突き刺し刃を、外径約120mm、全長約200mmのロール表面に、下底がロールの周方向に沿って一定間隔を空けて直線状に接する状態で、ロールの周方向に複数立設し、これらをロールの全長方向に連続して設けた。隣接する突き刺し刃の先端となる上底同士の間隔は、ロールの周方向及び全長方向共に約5mmとした。突き刺し部には、上記ロール2基を上下に軸方向を揃えて対峙して設け、一方のロールにおける突き刺し刃先端の全長方向の間隔の略真中に、他方のロールにおける突き刺し刃の先端が位置するように、両ロールの突き刺し刃を全長方向にずらせて設け、上下ロールの突き刺し刃の上下方向の間隔を約0mmに調整した(図3)。牛肉1kgを一口大にカットし、筋繊維に対して垂直方向にて、深度100%の深さまで突き刺し処理を施した。これにクエン酸三Na20g、コーンスターチ40gを加えて混合し、これらを牛肉に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、15分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で29分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(アルカリ成膜化処理+乳化剤接触処理)
牛肉1kgを一口大にカットした。これにクエン酸三Na20g、コーンスターチ40gを加え加えて混合し、これらを牛肉に均一に付着させた。10分後、ソフミールアルファ(花王社製)3gを加えて混合し、均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、10分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で27分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
比較例(1)
(乳化剤のみ)
牛肉1kgを一口大にカットした。これにソフミールアルファ(花王社製)3gを加えて混合し、牛肉に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、10分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で27分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
比較例(2)
(乳化剤+アルカリのみ)
牛肉1kgを一口大にカットした。これにクエン酸三Na20gを加えて混合し、牛肉に均一に付着させた。10分後、ソフミールアルファ(花王社製)3gを加えて混合し、均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、10分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で27分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(アルカリ成膜化処理+乳化剤接触処理)
牛肉1kgを一口大にカットした。これにクエン酸三Na20g、コーンスターチ40g、ソフミールアルファ(花王社製)3gを加えて混合し、これらを牛肉に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、10分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で27分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(香り物質+アルカリ成膜化処理)
牛肉1kgを一口大にカットした。これにクエン酸三Na20g、コーンスターチ40g、香辛料混合物2gを加えて混合し、これらを牛肉に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、15分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で29分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。香りの評価に関しては、獣臭残存具合、風味改善度で評価した。獣臭:1(獣臭い)⇔5(獣臭さが無い)、風味改善:1(香辛料の香りがしない)⇔5(香辛料の香りが十分にする)。
比較例(3)
(香り物質のみ)
牛肉1kgを一口大にカットした。これに香辛料混合物2gを加え、均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、15分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で29分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(香辛料+アルカリのみ)
牛肉1kgを一口大にカットした。これにクエン酸三Na20g、香辛料混合物2gを加えて混合し、これらを牛肉に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、15分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で29分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(香辛料+澱粉のみ)
牛肉1kgを一口大にカットした。これにコーンスターチ40g、香辛料混合物2gを加えて混合し、これらを牛肉に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、15分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で29分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(実施例36と配合は同じだが、投入順序が異なる。)
牛肉1kgを一口大にカットした。これにクエン酸三Na20g、コーンスターチ40gを加えて混合し、これらを牛肉に均一に付着させた。10分後、香辛料混合物2gを加え、均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、15分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、カレーソースを170g加えて密封シールした後、122℃で29分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(対象:鶏肉 香辛料による消臭効果あり)
鶏肉1kgを一口大にカットした。これにペースト状ジンジャー2g、ガーリック2gを揉み込んだ後、重曹5.6g、馬鈴薯澱粉21gを加えて混合し、これらを鶏肉に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、10分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに45g充填し、人参、馬鈴薯、玉子を90g加えと調味液175g加えて密封シールした後、122℃で30分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(対象:海老)
むきえび1kgに、重曹12g、馬鈴薯澱粉25gを加えて混合し、これらをむきえびに均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これをレトルトパウチに30g充填し、ソース170g加えて密封シールした後、103℃で45分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(対象:貝類)
ほたて貝柱1kgに、重曹12g、馬鈴薯澱粉25gを加えて混合し、これらをほたて貝柱に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これを容器に20g充填し、えび、しめじ、人参などの他の具材45gとクリームシチューを185g加えて密封シールした後、103℃で60分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
(対象:魚肉)
鮪切り身120gに、クエン酸三ナトリウム2.4g、コーンスターチ4.8g、塩0.6gを加えて混合し、これらをたら切り身に均一に付着させた。これを沸騰水中に入れ、5分間ボイルした後、20℃の水中で冷却した。これを容器に充填し、密封シールした後、122℃で23分間レトルトで加熱処理(加圧加熱殺菌処理)を行った。
以上詳述したように、本発明は、食感保持及び保存性向上作用を付与した加工肉類等の固形食品、該加工食品を具材として含む調理済み食品及びそれらの製造方法に係るものであり、本発明によれば、固形食品に対し、例えば、アルカリ性物質と澱粉等の成膜化物質を添加して混合し、表面のpHを6.0〜13.0、好ましくは7.0〜9.0になるように調整した後、湯中に入れてボイルして、肉類の表面を成膜化物質により成膜し、任意に、調味液と共に密封容器中に充填し、加熱処理を行うことにより作製された、極めて優れた食感、歩留り、及びアルカリ性物質の使用による苦味やエグミ、異臭の少ない良好な風味を有し、更に長期間の保存においても品質低下しない、保存性に優れた食肉、魚介類の加工肉類等の固形食品、該加工肉類等を具材とした調理済み食品及びそれらの製造方法を提供することができる。本発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した公開特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
本発明には、以下の発明思想が含まれる。
1. 食感保持及び保存性向上作用を付与した固形食品を製造する方法であって、(e)蛋白質が熱変性していない生の固形食品の表面に、乳化剤と成膜化物質を接触させる、その後に、前記(b)〜(c)の処理を順に行う、ことを特徴とする加工固形食品の製造方法。接触処理は、前記(a)の場合と同様に行えばよい。乳化剤の添加量、処方なども同様に行えばよい。(b)〜(c)の処理も同様である。この態様によって、乳化剤と成膜化物質の相互作用により、本発明で所望する固形食品等の食感保持及び保存性向上作用を得ることができる。勿論、固形食品にアルカリ性物質と乳化剤と成膜化物質を接触させて接触処理を行うと、これらにおいて更に優れた作用を得ることができる。
2.香り、食感保持及び保存性向上作用を付与した固形食品を製造する方法であって、(f)蛋白質が熱変性していない生の固形食品の表面に、香り成分とアルカリ性物質を接触させるか、香り成分と成膜化物質を接触させるか、あるいは、香り成分とアルカリ性物質と成膜化物質を接触させる、その後に、前記(b)〜(c)の処理を順に行う、ことを特徴とする加工固形食品の製造方法。接触処理は、前記(a)の場合と同様に行えばよい。(b)〜(c)の処理も同様である。香り成分としては、香辛料粉砕物のような固形物の他、抽出液などの液状のものも含め、一般に用いられ調味料、香辛料、フレーバー等任意に用い得る。これらの態様によって、香り成分とアルカリ性物質、成膜化物質の相互作用により、長期間付与された香りの保持状態を持続させる効果が得られ、肉臭さが緩和される等の効果が得られる場合がある。勿論、固形食品に香り成分とアルカリ性物質と成膜化物質を接触させて接触処理を行うと、これらに加えて本発明で所望する固形食品等の食感保持及び保存性向上作用を得ることができる。
各々周辺にリング状に設けた刃を有するロール2基を上下に軸方向を揃えて対峙して設けた突き刺し装置を前面(垂直方向)からみた模式図を示す。 突き刺し刃の突き刺し程度を示す。 突き刺し刃の上下方向の間隔を約0mmに調整した状態を模式的に示す。 実施例で使用した装置の突き刺し刃の一例を示す。 比較例1、実施例3で得た加熱殺菌処理を行った製品について、染色して撮影した断面写真を示す。

Claims (14)

  1. 食感保持及び保存性向上作用を付与した固形食品を製造する方法であって、
    (a)蛋白質が熱変性していない生の固形食品の表面に、アルカリ性物質と成膜化物質を接触させる、
    (b)上記接触状態で、該食品の蛋白質が熱変性し、かつ成膜化物質が粘性化して成膜化する温度以上の雰囲気に、該食品を置いて食品の表面を成膜化物質により成膜化処理する、
    (c)該食品を80℃で15分間に相当する以上の条件で加熱処理する、
    (d)少なくとも上記(a)〜(c)の処理を順に行う、ことを特徴とする加工固形食品の製造方法。
  2. アルカリ性物質が、炭酸塩、炭酸水素塩、又は有機酸塩である、請求項1に記載の方法。
  3. 成膜化物質として、澱粉を使用し、該澱粉の糊化温度以上の雰囲気下で成膜化処理して成膜化処理を行う、請求項1に記載の方法。
  4. 固形食品の表面に、アルカリ性物質と成膜化物質が薄く均一に付着するように、(a)の接触処理を行う、請求項1に記載の方法。
  5. 固形食品の表面に、粉末状のアルカリ性物質及び成膜化物質を接触させる、請求項1に記載の方法。
  6. 固形食品の表面に、アルカリ性物質の濃度が0.1〜40質量%、成膜化物質の濃度が30〜70質量%、水の比率が30〜70質量%である混合溶液を接触させる、請求項1に記載の方法。
  7. 固形食品の表面にアルカリ性物質と成膜化物質を接触させて、表面を成膜化物質により成膜化処理した固形食品を、調味液と共に密封容器中に充填するか、あるいは、表面にアルカリ性物質と成膜化物質を接触させた固形食品を調味液と共に密封容器中に充填する際、又は充填後加熱処理する際に固形食品の表面を成膜化物質により成膜化処理する、請求項1に記載の方法。
  8. 加工固形食品が、切断した断面に対して、当該成膜化物質に反応する染色剤を接触させた場合に、少なくとも該断面の表層部分に染色が確認できるものである、請求項1に記載の加工固形食品の製造方法。
  9. 突き刺し手段で突き刺し処理後の固形食品の表面に、アルカリ性物質と成膜化物質を接触させる、請求項1に記載の方法。
  10. (a)の接触処理において、固形食品の表面に、乳化剤を接触させる、請求項1に記載の方法。
  11. (a)の接触処理において、香り成分を加える、請求項1に記載の方法。
  12. 食感保持及び保存性向上作用を付与した固形食品を製造する方法であって、
    (e)蛋白質が熱変性していない生の固形食品の表面に、乳化剤と成膜化物質を接触させる、
    その後に、前記(b)〜(c)の処理を順に行う、ことを特徴とする加工固形食品の製造方法。
  13. 香り、食感保持及び保存性向上作用を付与した固形食品を製造する方法であって、
    (f)蛋白質が熱変性していない生の固形食品の表面に、香り成分とアルカリ性物質を接触させるか、香り成分と成膜化物質を接触させるか、あるいは、香り成分とアルカリ性物質と成膜化物質を接触させる、
    その後に、前記(b)〜(c)の処理を順に行う、ことを特徴とする加工固形食品の製造方法。
  14. 食感保持及び保存性向上作用を付与した加工肉類であって、該食品が加熱処理が施され、表面に、アルカリ性物質を保持させて、かつ成膜化物質により成膜して、表面に粘性化させた被膜を形成したものであり、成型処理せず、体積が500〜250000mm以上の肉類で、最大応力が5×10N/m以下、pHが6〜7であることを特徴とする咀嚼・嚥下機能低下者用加工肉類。
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