JP2007112683A - 回収フッ化カルシウムを用いたフッ化水素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】フッ素含有廃液をカルシウム化合物で処理することにより得られる、純度の高いフッ化カルシウム固形物を原料として使用する。このフッ化カルシウム固形物と硫酸および発煙硫酸とを適度に加温して混合・反応機で混合する。そして、化学量論量の40%以上のフッ化水素を発生させ、それを排ガスラインより系外へ放出する。
【効果】回収フッ化カルシウムは天然の蛍石と比較し、反応性が極度に高いため、このときの内温は200℃以下で十分である。回収フッ化カルシウムの反応性が高いこと、現状よりもはるかに低い温度で反応が可能なことにより、装置材質の選択性が広がり、設備費および修繕費を大幅に低減できる。また、従来の方法に比較して、省エネルギーかつコンパクトなフッ化水素製造方法を提供することができる。更には、ランニングコストを大幅に低減できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、天然のフッ化カルシウム(蛍石)を使用する従来の方法と比べて、フッ素リサイクルを目的に回収された比較的高純度のフッ化カルシウムを用いることにより、エネルギー面から、反応収率の面から、さらには設備面から、フッ化水素を効率的に製造するための方法に関する。
通常、フッ化水素の製造は、蛍石原石を粉砕し浮遊選鉱法などにより97%以上の純度に高められた蛍石(アシッドグレード)と硫酸および発煙硫酸とを混合して反応させ、フッ化水素と無水硫酸カルシウムを得ている(反応式1)。
蛍石と硫酸および発煙硫酸との反応においてフッ化水素を製造する一般の工業的製造方法では、蛍石の反応性が悪いために、硫酸および発煙硫酸はあらかじめ加熱し、スチームにて高温に加熱した混合・反応機である程度反応させた後、外熱式の反応機(ロータリーキルン)で400℃〜500℃の高い温度で6時間〜12時間保持して反応を完結させているのが現状である。
この高い温度での反応のため、特に熱濃硫酸が存在する部分の装置腐食が激しく、混合・反応機の材質に耐食性の高い高ニッケル合金を使用し、反応機であるロータリーキルンの前面には内面にスチール板を張り、数年で張り替えることによりフッ化水素製造設備の寿命を延ばしており、フッ化水素製造設備の建設費が高価であるだけでなく、この設備を保持するための補修費も高額である。
代表的なフッ化水素製造設備の概要は、次の特許文献1および非特許文献1に記載されている。
米国特許第2932557号明細書(出願人;ブス・アー・ゲー)
水野、「最近のフッ化水素製造上の問題とその対策」、ケミカルエンジニアリング、1968年、第13巻、第3号、第22〜26頁
一方、通常の回収フッ化カルシウムは、平均粒径が小さく二次凝集していること、比表面積が非常に大きいために反応性が高い。しかしながら、嵩密度が小さいこと、塩素などの不純物が多いこと等の問題があるため、乾燥時の粉塵の問題や蛍石との混合性が悪く、硫酸との反応性が高いこと、塩素不純物が増加するなどの理由により、フッ化水素製造用原料としてはほとんど利用されていない。
また、回収フッ化カルシウムを、フッ化水素製造原料である蛍石と混ぜて使用する試みもなされているが、蛍石の流動性が悪くなると共に製品であるフッ化水素中の不純物が増加するために、せいぜい数パーセント混合し処理しているに過ぎない。
その中で、発明者らは一段目で冷却させながら回収フッ化カルシウムのみを硫酸および発煙硫酸と反応させることにより、まず不純物の塩素分、シリカ分、炭酸カルシウム分などを分解して、塩酸、4フッ化珪素、炭酸ガスなどの揮発分として取り除いたのち、二段目で加熱してフッ化水素のみを発生させた(特許文献2参照)。
特開2005−132852号公報
また、発明者らは塩酸酸性雰囲気下でフッ素含有廃液と塩化カルシウムを同時に供給しながらフッ化カルシウムの結晶を成長させることにより、純度98%以上の粒径が大きく均一なフッ化カルシウムを回収することができた(特許文献3参照)。
特開2005−206405号公報
本発明の目的は、高純度の回収フッ化カルシウムを用いてフッ化水素を製造するための条件や装置・材料を見出すことにより、より経済的なフッ化水素製造設備を提供し、さらに、フッ素リサイクルシステムを構築することにある。また、資源的に乏しいアシッドグレードの蛍石を使用せずに、効率的にフッ化水素を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、かかる目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、蛍石は硫酸および発煙硫酸と混合してもゆるやかに発熱・反応するのに対して、特許文献3で示した方法により得られた回収フッ化カルシウムは、硫酸および発煙硫酸と混合するだけでかなりの発熱が見られ、さらに十分に混合することにより大半を反応させることができることを見出した。また、反応による混合物中のフッ化水素含量が高くなることにより、反応熱に加えて、僅かな熱を加えることによりフッ化水素を気体として放出できることを見出した。
また、フッ化水素を化学量論量の40%以上放出した状態の反応混合物は、フッ化水素、硫酸、フッ化カルシウムおよび硫酸カルシウムの混合物であるが、比較的流動性の良い粉体になることも見出した。
この状態では、前記反応混合物を通常のスクリュー式の粉体輸送機で問題なく送ることができる。従って、反応を完結させるために設けた外熱式の反応機(ロータリーキルン)に前記反応混合物を容易に輸送できる。
即ち、回収フッ化カルシウム(例えば、図2に示されたもの)はアシッドグレードの蛍石(例えば、図3に示されたもの)と比較すると、細かい結晶集合体であるため、硫酸および発煙硫酸との反応性や混合性が非常に高く、外熱式の反応機(ロータリーキルン)の温度が150℃程度でも反応が十分に完結することを見出した。このように、回収フッ化カルシウムの反応性の高さを最大限に利用することにより、本発明を完成させるに至った。
そして、例えば、特許文献3で代表されるような方法により回収された純度97%以上の高純度なフッ化カルシウムをフッ化水素製造用原料に使用し、このフッ化カルシウムと硫酸および発煙硫酸とを混合することにより、フッ化水素を効率的に製造することができる。
即ち、本発明では、フッ素リサイクル技術により回収された純度97%以上のフッ化カルシウムをフッ化水素製造用の原料として使用し、この回収フッ化カルシウムと硫酸および発煙硫酸とを僅かな加温または加温無しに混合・反応機で充分混合することにより、化学量論量の40%以上のフッ化水素を発生させ、それを系外へ放出する。
この場合において、前記混合・反応機として、反応で生成した硫酸カルシウムなどからなる混合物の付着および固化を防止するために二軸または三軸のセルフクリーニング機能を有するものを使用することが好ましい。
また、前記混合・反応機での工程において、反応で生成したフッ化水素が容易に系外に抜けるように、混合・反応機の上面にポケットと排ガスラインを設けることが好ましい。
前記混合・反応機の材質としては、汎用性のスチールまたはステンレススチールを使用することが好ましい。
回収フッ化カルシウムと硫酸および発煙硫酸とを混合・反応機で混合するに当っては、反応により生成した混合物を内部雰囲気が250℃以下、より好ましくは硫酸の分解が起こらない200℃以下に加熱された外熱式の反応機(ロータリーキルン)に導入することにより反応を完結させることができる。
請求項1記載の発明によれば、資源的に乏しいアシッドグレードの蛍石を使用すること無く、低い温度で高効率にフッ化水素を製造することができ、エネルギー面からも十分配慮された製造設備の提供が可能となる。
請求項2記載の発明によれば、固化および付着など機械的負荷に影響を与える問題を抑制する効果がある。
請求項3記載の発明によれば、反応により生成した混合物の性質を制御できる効果がある。
請求項4記載の発明によれば、装置材質を低コストに抑えることができ、また、加工性が容易なため、修繕費および維持費を抑える効果がある。
請求項5記載の発明によれば、低温かつ短時間で反応を完結させる効果がある。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
フッ素含有廃液処理で得られた回収フッ化カルシウムは、原石を砕き、浮遊選鉱により純化された蛍石と比較して、その一例として示す図2と図3から明らかなように、形状が大きく異なる。
蛍石は粒径1〜200μmの粒子が万遍なく存在し、平均粒径が50〜100μmであるのに対し、回収フッ化カルシウムは比較的粒径が均一であり、平均粒径20〜50μmである。また、結晶成長を行わない場合には、大きくても1〜5μmと細かいものが得られる。
また、蛍石が緻密なフッ化カルシウムの固まりであるのに対し、回収フッ化カルシウムは5〜10μmの結晶が二次凝集した形状を示し、比表面積が大きい。このため、回収フッ化カルシウムの嵩比重は蛍石の0.5〜0.7倍と小さく、嵩高いものになる。
このことにより、硫酸および発煙硫酸と混合するだけでかなりの発熱が見られ、その混合物はゲル状として存在する。この混合物を、さらに十分に混合することにより大半を反応することが可能であり、反応による混合物中のフッ化水素含有量が高くなることにより、反応熱に加え僅かな熱を加えることによりフッ化水素を気体として放出できる。
一方、蛍石を硫酸および発煙硫酸と混合すると低い反応性のために、蛍石および反応固形物に吸着できない硫酸および発煙硫酸が液体で流出し、設備を著しく腐食する。
このために、従来のフッ化水素製造設備の混合・反応機では、ハステロイC(商品名)などの高価な耐食性高ニッケル合金を使用すると共に、反応性を高めるために供給する硫酸および発煙硫酸を加熱し、混合・反応機も加熱して、さらに構造を複雑化することで、できるだけ硫酸カルシウムを生成させて、硫酸および発煙硫酸が液体で存在することを防止している。
前記反応式1で生成したフッ化水素は、未反応の硫酸および発煙硫酸への溶解度が高く、また、それは温度が低いほど大きい。そのため、回収フッ化カルシウムを原料に用いた場合において、大気圧下で内温が80℃以上になると、フッ化水素が気体として放出され始めると共に反応がさらに進行する。
このことから、反応により硫酸カルシウムが生成すると固形物分の増加により、混合物の状態はゲルから粉体に移行する。特に、化学量論量の40%以上のフッ化水素を放出した状態での反応混合物は、主成分が硫酸カルシウムで、未反応の硫酸、回収フッ化カルシウムおよび反応生成物のフッ化水素を含み、比較的良好な流動性を示す粉体になる。
また、この状態は、回収フッ化カルシウムを原料にした場合、混合・反応機を揮発させるフッ化水素の蒸発潜熱分の熱量を加えることにより容易に達成できる。混合・反応機からフッ化水素を円満に系外に排出できるよう、例えば図1に示すような混合・反応機1の上面にポケット1bとそれに連続させて排ガスライン4を設けるのが良い。
これらのことから、反応を完結させるために設けた外熱式の反応機(ロータリーキルン)への反応混合物の輸送は、通常のスクリュー式の粉体輸送機で問題なく送ることができる。
以上のことから、回収フッ化カルシウムをフッ化水素製造用の原料にした場合において、混合・反応機は、蛍石を原料にした場合に比較して、腐食が起こりにくい条件下で運転ができるため、その材質として安価な汎用性の高いスチールまたはステンレススチールが使用できるが、本発明ではこの二種類のもののみに限定されるものではない。
従って、例えば、ハステロイC(商品名)などの耐食性高ニッケル合金などを用いてもよく、また、装置設備の加熱温度が低いことからも、耐食性を有する樹脂を使用しても良い。ここで、耐食性を有する樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等のフッ素系樹脂や、テトラフルオロエチレン/パーフロロアルキルビニールエーテル共重合などを挙げることができる。
また、回収フッ化カルシウムを原料にした場合、反応性が著しく高いために、混合・反応機に硫酸カルシウムからなる混合物が付着し易いため、セルフクリーニング機能を有する混合・反応機を使用するのが良い。ここで、二軸もしくは三軸を有するセルフクリーニング機能を有するものが適応できる。
この混合・反応機の加熱手段としては、例えば、保温ジャケットを備え、スチームを流すことにより、または外面から電熱によって加熱する形式のものを利用することもできる。混合・反応機内の混合物の温度は、80〜150℃、より好ましくは80〜110℃の範囲で運転すると良い。反応温度が過度に高いと装置に負担を生じ、逆に、反応温度が過度に低いと生成したフッ化水素が系外へ放出されにくくなり、流動性の良い粉体を得ることができない。
また、混合・反応機より排出された混合物は、外熱式の反応機(ロータリーキルン)へ移送される。この間の輸送距離は、通常わずかな距離以上、特に0.5m以上であり、通常5m以下、特に3m以下である。これにより、装置メンテナンス性が向上する効果が期待できる。
外熱式の反応機(ロータリーキルン)の温度は高いほど前記反応式1の反応を速く完結させることができる。特に、蛍石を原料に使用した場合は、50μm以上の粒径の大きな蛍石の中心部まで硫酸カルシウムに転換させるために、高い温度と長い滞留時間を保持している。
即ち、通常のフッ化水素製造設備の外熱式の反応機(ロータリーキルン)は、400〜500℃の高い温度で、平均滞留時間を6〜12時間保持して反応を完結させている。このため、大きな設備を必要とし、腐食が激しい反応機(ロータリーキルン)の前面は30〜50mmのスチール板を内面に張り、数年で張り替えることにより装置の寿命を延ばしており、この設備を保持するための補修費も高額である。
一方、回収フッ化カルシウムは5〜10μmの結晶が2次凝集した形状を示し、かつ比表面積が大きく空洞部分が多く存在するため、硫酸カルシウムに転化させるために、高い温度と長い滞留時間を必要としない。例えば、内温150℃、滞留時間1時間でも反応は完結する。
従って、硫酸の熱分解が起こらない、250℃以下の温度で外熱式の反応機(ロータリーキルン)を運転できれば、装置の腐食を画期的に押さえることができる。よって、装置内の粉体温度を200℃以下に、より好ましくは150〜200℃に保持して反応を完結させるのが良い。
反応により得られた硫酸カルシウムは、未反応のフッ化カルシウムや硫酸および発煙硫酸を含むことが考えられるが、反応条件を調整することにより、高純度な硫酸カルシウムを得ることができる。この反応条件の調整は、硫酸が熱分解しないことから容易に達成できる。
以上、本発明により資源的に乏しいアシッドグレードの蛍石を使用すること無く、低い温度で高効率にフッ化水素を製造することが可能であり、また、高価な耐食性材料を用いることなく、エネルギー問題からも十分配慮したコンパクトな設備でフッ化水素を製造することができる。
また、これら反応により得られたフッ化水素および硫酸カルシウムは、蛍石を原料とした場合に比べて高純度のものが得られ、特に含フッ素無機化合物、含フッ素有機化合物などの原料、半導体などの洗浄液など各種方面に対して有用である。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、これらの実施例のみに限定されるものではない。
図1は、本実施形態の一例を示すフッ化水素製造設備の模式図である。図1において、1は二軸セルフクリーニングスクリュー1aと上面にポケット1bを備えた混合・反応機である。2は混合・反応機1で排出された粉体を輸送するためのスクリューフィーダー、3は熱風などの加熱手段を備えた外熱式の反応機(ロータリーキルン)、4は混合・反応機1のフッ化水素の排ガスラインである。また、5は外熱式の反応機(ロータリーキルン)3により発生したフッ化水素の排ガスラインである。
(実施例1)
混合・反応機1に原料である回収フッ化カルシウムを11.5kg/hr(147.4mol/hr)、5%のSOを含む発煙硫酸を7.9L/hr(147.4mol/hr)で定量的に同時導入した。その際、混合・反応機内の紛体温度を80℃になるように外部温度を設定し、排出された混合物の転化率を分析した。
分析の結果、回収フッ化カルシウムの転化率は71.0%、反応混合物における硫酸カルシウムの含有量は71.1%であった。また、その混合物内に含まれるフッ化水素は6.0%であり、化学量論量の約45%のフッ化水素が排ガスライン4から揮発したことになり、排出物は流動性の良い粉体であった。
混合・反応機1からの排出物はスクリューフィーダー2にて移送されて外熱式の反応機(ロータリーキルン)3に導入され、雰囲気温度を150℃、滞留時間を1時間に調整した外熱式の反応機(ロータリーキルン)3内でさらに反応を進行させた。外熱式の反応機(ロータリーキルン)3から排出された混合物を分析した結果、反応生成物は97.8%の硫酸カルシウムであった。その他に未反応のフッ化カルシウムは0.75%、硫酸は1.32%、また残留フッ化水素は0.02%であることが確認された。
(実施例2)
混合・反応機1に原料である回収フッ化カルシウムを11.5kg/hr(147.4mol/hr)、5%のSOを含む発煙硫酸を7.9L/hr(147.4mol/hr)で定量的に同時導入した。その際、混合・反応機内の紛体温度を100℃になるように外部温度を設定し、排出された混合物の転化率を分析した。
分析の結果、回収フッ化カルシウムの転化率は82.0%、反応混合物における硫酸カルシウムの含有量は75.6%であった。また、その混合物内に含まれるフッ化水素は3.2%であり、化学量論量の約70%のフッ化水素が排ガスライン4から揮発したことになり、排出物は流動性が非常に良い粉体であった。
混合・反応機1からの排出物はスクリューフィーダー2にて移送されて外熱式の反応機(ロータリーキルン)3に導入され、雰囲気温度を180℃、滞留時間を1時間に調整した外熱式の反応機(ロータリーキルン)3内でさらに反応を進行させた。外熱式の反応機(ロータリーキルン)3から排出された混合物を分析した結果、反応生成物は98.7%の硫酸カルシウムであった。その他に未反応のフッ化カルシウムは0.48%、硫酸は0.82%、また残留フッ化水素は0.01%であることが確認された。
(実施例3)
混合・反応機1に原料であるフッ化カルシウムを11.5kg/hr(147.4mol/hr)、5%のSOを含む発煙硫酸を7.9L/hr(147.4mol/hr)で定量的に同時導入した。その際、混合・反応機を加熱することなく、排出された混合物の転化率を分析した。
分析の結果、フッ化カルシウムの転化率は48.2%、反応混合物における硫酸カルシウムの含有量は37.1%であった。また、その混合物内に含まれるフッ化水素は9.8%であり、わずか化学量論量の約5%のフッ化水素が排ガスライン4から揮発したことになり、排出された反応混合物は粘着性のある粉体であり、スクリューフィーダー2による移送は困難であった。
(比較例1)
蛍石を用いて、実施例3と同一条件で反応を行った。分析の結果、蛍石はほとんど未反応であり、その状態は高い粘性を有するゲル状であった。
(比較例2)
図示していないが、従来のフッ化水素製造設備のスクリューのみから構成される混合フィーダーを用い、原料である回収フッ化カルシウムを11.5kg/hr(147.4mol/hr)、5%のSOを含む発煙硫酸を7.9L/hr(147.4mol/hr)で同時に投入した。
その結果、混合フィーダーのスクリューで排出が不能となり、負荷停止した。排出が不能となった原因を解析したところ、硫酸カルシウムを75.4%含む固形物から構成される付着によるものであった。
また、上記実施により図1に示しているフッ化水素製造設備を3ケ月間運転し観察したところ、外熱式の反応機(ロータリーキルン)は熱濃硫酸の分解による装置腐食はほとんど無く、極めて良好であることがわかった。
以上に詳述した通り、本発明によれば、フッ素リサイクル技術により得られた回収フッ化カルシウムは蛍石よりも反応性が非常に高く、反応により得られた硫酸カルシウムも高純度であることから、省エネルギーに十分配慮されたフッ化水素製造設備の提供が可能となる。
本発明によれば、従来の天然に存在する蛍石からフッ化水素を製造する大型設備を使用することなく、コンパクトな、且つ汎用性の高い材料を用いた省エネルギー設計のフッ化水素製造が可能となり、その工業的有用性は極めて大きい。
本発明による回収フッ化カルシウムを用いたフッ化水素製造用の設備の一例を示す模式図である。 フッ素含有廃液処理で得られた回収フッ化カルシウムの形状を示す顕微鏡写真である。 原石を砕き、浮遊選鉱により純化された蛍石の形状を示す顕微鏡写真である。
符号の説明
1…混合・反応機、1a…二軸セルフクリーニングスクリュー、1b…ポケット、2…スクリューフィーダー、3…外熱式の反応機(ロータリーキルン)、4,5…フッ化水素の排ガスライン。

Claims (5)

  1. フッ素リサイクル技術により回収された純度97%以上のフッ化カルシウムをフッ化水素製造設備用の原料として使用し、このフッ化カルシウムと硫酸および発煙硫酸とを僅かな加温または加温無しに混合・反応機で充分混合することにより、化学量論量の40%以上のフッ化水素を発生させ、それを系外へ放出することを特徴とする回収フッ化カルシウムを用いたフッ化水素の製造方法。
  2. 請求項1記載の混合・反応機として、反応で生成した硫酸カルシウムなどからなる混合物の付着および固化を防止するために二軸または三軸のセルフクリーニング機能を有するものを使用することを特徴とする回収フッ化カルシウムを用いたフッ化水素の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の混合・反応機での工程において、反応で生成したフッ化水素が容易に系外に抜けるように、混合・反応機の上面にポケットとそれに接続させた排ガスラインを設けることを特徴とする回収フッ化カルシウムを用いたフッ化水素の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の混合・反応機の材質として、汎用性のスチールまたはステンレススチールを使用することを特徴とする回収フッ化カルシウムを用いたフッ化水素の製造方法。
  5. 請求項1記載の方法において、反応により生成した混合物を内部雰囲気が250℃以下、より好ましくは硫酸の分解が起こらない200℃以下に加熱された外熱式の反応機に導入することにより反応を完結させることを特徴とする回収フッ化カルシウムを用いたフッ化水素の製造方法。
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