JP2007112160A - 車両制動装置および車両制動装置の異常検出方法 - Google Patents

車両制動装置および車両制動装置の異常検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ブレーキペダルの操作状態を検出する検出手段や、液圧発生源から供給される作動液の圧力を検出する手段の異常を低コストかつ高精度に検出する。
【解決手段】ドライバーによるブレーキペダル24の操作に応じて車両1に設けられた複数の車輪に制動力を付与する車両制動装置は、ブレーキペダル24の操作量に応じた圧力の作動液を供給可能なレギュレータ33と、ペダルストロークを検出するブレーキストロークセンサ25と、レギュレータ33からのレギュレータ圧を検出するレギュレータ圧センサ71と、ブレーキストロークセンサ25の出力値の時間変化率とレギュレータ圧センサ71の出力値の時間変化率との比が予め定められた正常範囲内にない場合に、センサ25および71の少なくとも何れかに異常が発生していると判断するブレーキECU70とを備える。
【選択図】図2

Description

ドライバーによるブレーキペダルの操作に応じて車両に設けられた複数の車輪に制動力を付与する車両制動装置、およびこの種の車両制動装置に適用される異常検出方法に関する。
従来から、加圧源と液圧制御部とにより各ホイールシリンダに付与する液圧を調整して制動力を制御可能な電子制御式の車両制動装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この車両制動装置では、停車中のブレーキ非操作時に、左前輪のホイールシリンダに付与される液圧を加圧源により増圧した上で、その後、マスタカット弁を開いてマスタシリンダへと液圧を解放し、その際のマスタ圧の変化をマスタ圧センサで検出することにより、ストロークシミュレータとシミュレータカット弁との異常が判定される。また、この種の車両制動装置としては、ブレーキペダルの踏込量を検出するストロークセンサの出力値と、マスタシリンダが発生する液圧を検出する液圧センサの出力値とを比較してストロークセンサまたは液圧センサの故障を判定するものも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2004−243983号公報 特開平11−278228号公報
上述のように複数のセンサの出力値に基づいて制御される車両制動装置では、車両の安全性を確保する観点から、センサの異常を確実に検知し、何れかのセンサに異常が認められた場合には、当該センサの出力値を用いない形で車両制動装置を作動させ、常時車両を確実に制動できるようにする必要がある。しかしながら、車両制動装置に設けられているセンサの異常判定精度に関しては、なお改善の余地がある。特に、ブレーキペダルの踏込量を検出するストロークセンサや、マスタシリンダが発生する液圧を検出する液圧センサに関しては、各センサの測定誤差等を考慮して異常判定に際し「正常」を「異常」と誤判定しないように「正常範囲」を比較的広めに取る必要があることから、両者の出力値同士を単純に比較しても、ストロークセンサや液圧センサの異常を精度よく判定することは困難であった。また、異常判定精度を向上させるために、ストロークセンサや液圧センサをそれぞれ2系統とするのは、コスト面で問題がある。
そこで、本発明は、ブレーキペダルの操作状態を検出する検出手段や、液圧発生源から供給される作動液の圧力を検出する手段の異常を低コストかつ高精度に検出可能とする車両制動装置および車両制動装置の異常検出方法の提供を目的とする。
本発明による車両制動装置は、ドライバーによるブレーキペダルの操作に応じて車両に設けられた複数の車輪に制動力を付与する車両制動装置において、ブレーキペダルの操作量に応じた圧力の作動液を供給可能な液圧発生源と、ブレーキペダルの操作状態を検出するペダル操作状態検出手段と、液圧発生源から供給される作動液の圧力を検出する圧力検出手段と、ペダル操作状態検出手段の出力値の時間変化率と圧力検出手段の出力値の時間変化率との比が予め定められた正常範囲内にない場合に、ペダル操作状態検出手段および圧力検出手段の少なくとも何れかに異常が発生していると判断する異常判定手段とを備えることを特徴とする。
この車両制動装置は、ペダル操作状態検出手段の出力値の時間変化率と圧力検出手段の出力値の時間変化率との比に基づいて、ペダル操作状態検出手段および圧力検出手段の少なくとも何れかに異常が発生しているか否かを判定する異常判定手段を備える。ここで、ペダル操作状態検出手段および圧力検出手段の少なくとも何れか一方の出力値が一定値に固着してしまうようなトラブルが発生することがある。このような場合、ドライバーがブレーキペダルを踏み増したり、戻したりすると、ペダル操作状態検出手段および圧力検出手段の一方の出力値は変動しないのに対して、他方の出力値は変動するということが起こり得る。従って、ブレーキペダルの操作速度に対応するペダル操作状態検出手段の出力値の時間変化率(単位時間当たりの変動量)と圧力検出手段の出力値の時間変化率との比と、当該比について予め定められた正常範囲とを比較することにより、検出手段の数を増やすことなく、ペダル操作状態検出手段と圧力検出手段との間で両者の異常を低コストかつ高精度に検出することが可能となる。
また、異常判定手段は、ペダル操作状態検出手段の出力値の時間変化率および圧力検出手段の出力値の時間変化率の少なくとも何れか一方の絶対値が所定の閾値以上である場合、ペダル操作状態検出手段および圧力検出手段に関する異常判定を中止すると好ましい。
ペダル操作状態検出手段と圧力検出手段との双方が正常である場合にドライバーによってブレーキペダルの操作速度が比較的急峻に高められると、流体抵抗等の影響による応答性の違いに起因して、例えば圧力検出手段の出力値の時間変化率に対してペダル操作状態検出手段の出力値の時間変化率が相対的に小さくなることがある。そして、このような場合、ペダル操作状態検出手段の出力値の時間変化率と圧力検出手段の出力値の時間変化率との比と予め定められた正常範囲とを比較すると、各検出手段が正常であるにも拘らず、何れかに異常があると判断されてしまうおそれがある。従って、この態様のように、ペダル操作状態検出手段の出力値の時間変化率および圧力検出手段の出力値の時間変化率の少なくとも何れか一方の絶対値が所定の閾値以上である場合、すなわち、ブレーキペダルの操作速度が高いと判断される場合には、異常判定を中止すると好ましい。これにより、各検出手段が正常であるにも拘らず、何れかに異常があると判断されてしまうことを良好に抑制して異常検出精度を向上させることが可能となる。
更に、異常判定手段は、ペダル操作状態検出手段の出力値または圧力検出手段の出力値の大きさに応じて正常範囲を変更すると好ましい。
ペダル操作状態検出手段の出力値の時間変化率と、圧力検出手段の出力値の時間変化率との比の正常とみなせる範囲は、各検出手段の検出誤差等を考慮して定められるが、当該正常範囲は、ブレーキペダルの操作量や、ブレーキペダルの操作量に応じて液圧発生源により発生される液圧の大きさに応じて変化する。従って、この態様のように、ペダル操作状態検出手段の出力値または圧力検出手段の出力値の大きさに応じて、上記時間変化率の比と比較する正常範囲を変更することにより、正常範囲を必要以上に広くとる必要がなくなるので、ペダル操作状態検出手段や圧力検出手段の異常検出精度を良好に向上させることが可能となる。
また、本発明による車両制動装置は、ブレーキペダルの操作量に応じてドライバーのペダル踏力に対する反力を創出するストロークシミュレータを更に備えるとよく、このストロークシミュレータは、反力を創出するために多段階のバネ特性を有すると共に、異常判定手段は、ストロークシミュレータのバネ特性の段階に応じて正常範囲を変更すると好ましい。
一般に、ストロークシミュレータは、多段のバネ特性を有するが、ペダル操作状態検出手段と圧力検出手段との双方が正常であれば、各検出手段の出力値の時間変化率の比の正常範囲は、基本的に、ストロークシミュレータのバネ特性が切り替わるたびに変化する。従って、この態様のように、ストロークシミュレータのバネ特性の段階に応じて上記時間変化率の比と比較する正常範囲を変更することにより、正常範囲を必要以上に広くとる必要がなくなるので、ペダル操作状態検出手段や圧力検出手段の異常検出精度を極めて良好に向上させることが可能となる。
更に、液圧発生源は、ブレーキペダルの操作量に応じた液圧を発生するマスタシリンダと、作動液を蓄えるリザーバと、ポンプにより昇圧された作動液を蓄えるアキュムレータと、リザーバおよびアキュムレータを圧力源としてマスタシリンダにおける液圧と一定の関係をもった液圧を発生するレギュレータとを含むとよく、圧力検出手段は、マスタシリンダまたはレギュレータから供給される作動液の圧力を検出するものであると好ましい。
本発明による車両制動装置の異常検出方法は、ブレーキペダルの操作量に応じた圧力の作動液を供給可能な液圧発生源と、ブレーキペダルの操作状態を検出するペダル操作状態検出手段と、液圧発生源から供給される作動液の圧力を検出する圧力検出手段とを備え、ドライバーによるブレーキペダルの操作に応じて車両に設けられた複数の車輪に制動力を付与する車両制動装置の異常検出方法において、ペダル操作状態検出手段の出力値の時間変化率と圧力検出手段の出力値の時間変化率との比が予め定められた正常範囲内にない場合に、ペダル操作状態検出手段および圧力検出手段の少なくとも何れかに異常が発生していると判断することを特徴とする。
本発明によれば、ブレーキペダルの操作状態を検出する検出手段や、液圧発生源から供給される作動液の圧力を検出する手段の異常を低コストかつ高精度に検出することが可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両制動装置が適用された車両を示す概略構成図である。同図に示される車両1は、いわゆるハイブリッド車両として構成されており、エンジン2と、エンジン2の出力軸であるクランクシャフトに接続された3軸式の動力分割機構3と、動力分割機構3に接続された発電可能なモータジェネレータ4と、変速機5を介して動力分割機構3に接続された電動モータ6と、車両1の駆動系全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「ハイブリッドECU」といい、電子制御ユニットは、すべて「ECU」と称する。)7とを備える。変速機5には、ドライブシャフト8を介して車両1の駆動輪たる右前輪9FRおよび左前輪9FLが連結される。
エンジン2は、例えばガソリンや軽油等の炭化水素系燃料を用いて運転される内燃機関であり、エンジンECU10により制御される。エンジンECU10は、ハイブリッドECU7と通信可能であり、ハイブリッドECU7からの制御信号や、エンジン2の作動状態を検出する各種センサからの信号に基づいてエンジン2の燃料噴射制御や点火制御、吸気制御等を実行する。また、エンジンECU10は、必要に応じてエンジン2の作動状態に関する情報をハイブリッドECU7に与える。
動力分割機構3は、変速機5を介して電動モータ6の出力を左右の前輪9FR,9FLに伝達する役割と、エンジン2の出力をモータジェネレータ4と変速機5とに振り分ける役割と、電動モータ6やエンジン2の回転速度を減速あるいは増速する役割とを果たす。モータジェネレータ4と電動モータ6とは、それぞれインバータを含む電力変換装置11を介してバッテリ12に接続されており、電力変換装置11には、モータECU14が接続されている。モータECU14も、ハイブリッドECU7と通信可能であり、ハイブリッドECU7からの制御信号等に基づいて電力変換装置11を介してモータジェネレータ4および電動モータ6を制御する。なお、上述のハイブリッドECU7やエンジンECU10、モータECU14は、何れもCPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート等を備える。
ハイブリッドECU7やモータECU14による制御のもと、電力変換装置11を介してバッテリ12から電力を電動モータ6に供給することにより、電動モータ6の出力により左右の前輪9FR,9FLを駆動することができる。また、エンジン効率のよい運転領域では、車両1はエンジン2によって駆動される。この際、動力分割機構3を介してエンジン2の出力の一部をモータジェネレータ4に伝えることにより、モータジェネレータ4が発生する電力を用いて、電動モータ6を駆動したり、電力変換装置11を介してバッテリ12を充電したりすることが可能となる。
また、車両1を制動する際には、ハイブリッドECU7やモータECU14による制御のもと、前輪9FR,9FLから伝わる動力によって電動モータ6が回転させられ、電動モータ6が発電機として作動させられる。すなわち、電動モータ6、電力変換装置11、ハイブリッドECU7およびモータECU14等は、車両1の運動エネルギを電気エネルギに回生することによって車両1を制動する回生ブレーキユニットとして機能する。
本実施形態の車両制動装置は、このような回生ブレーキユニットに加えて、液圧ブレーキユニット20を備えており、両者を協調させるブレーキ回生協調制御を実行することにより車両1を制動可能なものである。液圧ブレーキユニット20は、図2に示されるように、左右の前輪9FR,9FLおよび図示されない左右の後輪に対して設けられたディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLと、各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対する作動液としてのブレーキオイルの供給源となる液圧発生装置30と、液圧発生装置30からのブレーキオイルの液圧を適宜調整して各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLに供給することにより、車両1の各車輪に対する制動力を設定可能な液圧アクチュエータ40とを含む。
各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、それぞれブレーキディスク22およびブレーキキャリパ23を含み、各ブレーキキャリパ23には、図示されないホイールシリンダが内蔵されている。そして、各ブレーキキャリパ23のホイールシリンダは、それぞれ独立の流体通路を介して液圧アクチュエータ40に接続されている。ブレーキキャリパ23のホイールシリンダに液圧アクチュエータ40からブレーキオイルが供給されると、車輪と共に回転するブレーキディスク22に摩擦部材としてのブレーキパッドが押し付けられ、各車輪に液圧制動トルクが加えられる。
液圧発生装置30は、図2に示されるように、ブースタ31、マスタシリンダ32、レギュレータ33、リザーバ34、アキュムレータ35およびポンプ36を含む。ブースタ31は、ブレーキペダル24に連結されており、ブレーキペダル24に加えられたペダル踏力を増幅してマスタシリンダ32に伝達する。そして、マスタシリンダ32は、ペダル踏力に対して所定の倍力比を有するマスタシリンダ圧を発生する。ブレーキペダル24に対しては、ブレーキペダル24の操作量(ペダルストロークSPS)を検出するブレーキストロークセンサ(ペダル操作状態検出手段)25が設けられている。
マスタシリンダ32とレギュレータ33との上部には、ブレーキオイルを貯留するリザーバ34が配置されている。マスタシリンダ32は、ブレーキペダル24の踏み込みが解除されているときにリザーバ34と連通する。一方、レギュレータ33は、リザーバ34とアキュムレータ35との双方と連通しており、リザーバ34を低圧源とすると共に、アキュムレータ35を高圧源とし、マスタシリンダ圧とほぼ等しい液圧(以下、「レギュレータ圧PREG」という)を発生する。
アキュムレータ35は、ポンプ36により昇圧されたリザーバ34からのブレーキオイルの圧力エネルギを窒素等の封入ガスの圧力エネルギ(例えば14〜22MPa程度)に変換して蓄えるものである。ポンプ36は、駆動源としてモータ36aを有し、その吸込口がリザーバ34に接続される一方、その吐出口がアキュムレータ35に接続される。また、アキュムレータ35に対しては、リリーフバルブ35aが設けられている。アキュムレータ35におけるブレーキオイルの圧力が異常に高まって例えば25MPa程度になると、リリーフバルブ35aが開弁し、高圧のブレーキオイルはリザーバ34へと戻される。
上述のように、液圧発生装置30は、各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対するブレーキオイルの供給源(液圧源)として、マスタシリンダ32、レギュレータ33およびアキュムレータ35を有している。そして、マスタシリンダ32には流体通路37が、レギュレータ33には流体通路38が、アキュムレータ35には流体通路39が接続されている。これらの流体通路37,38および39は、それぞれ液圧アクチュエータ40に接続される。
液圧アクチュエータ40は、複数の流体通路が形成されるアクチュエータブロックと、複数の電磁制御弁を含むものである。アクチュエータブロックに形成された流体通路には、個別通路41、42,43および44と、主通路45とが含まれる。個別通路41〜44は、それぞれ主通路45から分岐されて対応するディスクブレーキユニット21FR、21FL,21RR,21RLに接続されている。これにより、各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、主通路45と連通可能となる。また、個別通路41,42,43および44の中途には、増圧制御弁51,52,53および54が設けられている。各増圧制御弁51〜54は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。
更に、各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、個別通路41〜44にそれぞれ接続された減圧通路46,47,48および49を介して減圧通路55に接続されている。減圧通路46,47,48および49の中途には、減圧制御弁56,57,58および59が設けられている。各減圧制御弁56〜59は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。
主通路45は、中途に連通弁60を有しており、この連通弁60により個別通路41および42と接続される第1通路45aと、個別通路43および44と接続される第2通路45bとに区分けされている。すなわち、第1通路45aは、個別通路41および42を介して前輪側のディスクブレーキユニット21FRおよび21FLに接続され、第2通路45bは、個別通路43および44を介して後輪側のディスクブレーキユニット21RRおよび21RLに接続される。連通弁60は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。
また、主通路45には、マスタシリンダ32と連通する流体通路37に接続されるマスタ通路61、レギュレータ33と連通する流体通路38に接続されるレギュレータ通路62、およびアキュムレータ35と連通する流体通路39に接続されるアキュムレータ通路63が接続されている。より詳細には、マスタ通路61は、主通路45の第1通路45aに接続されており、レギュレータ通路62およびアキュムレータ通路63は、主通路45の第2通路45bに接続されている。更に、減圧通路55は、液圧発生装置30のリザーバ34に接続される。
マスタ通路61は、中途にマスタ圧カット弁64を有する。マスタ圧カット弁64は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。レギュレータ通路62は、中途にレギュレータ圧カット弁65を有する。レギュレータ圧カット弁65も、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。また、アキュムレータ通路63は、中途に増圧リニア制御弁66を有し、アキュムレータ通路63および主通路45の第2通路45bは、減圧リニア制御弁67を介して減圧通路55に接続されている。
増圧リニア制御弁66と減圧リニア制御弁67とは、それぞれリニアソレノイドおよびスプリングを有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。ここで、増圧リニア制御弁66の出入口間の差圧は、アキュムレータ35におけるブレーキオイルの圧力と主通路45におけるブレーキオイルの圧力との差圧に対応し、減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧は、主通路45におけるブレーキオイルの圧力と減圧通路55におけるブレーキオイルの圧力との差圧に対応する。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力に応じた電磁駆動力をF1とし、スプリングの付勢力をF2とし、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧に応じた差圧作用力をF3とすると、F1+F3=F2という関係が成立する。従って、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力を連続的に制御することにより、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧を制御することができる。
なお、増圧リニア制御弁66は上述のように常閉型電磁制御弁であることから、増圧リニア制御弁66が非通電状態にある場合、主通路45は、高圧液圧源としてのアキュムレータ35から遮断されることになる。また、減圧リニア制御弁67も上述のように常閉型電磁制御弁であることから、減圧リニア制御弁67が非通電状態にある場合、主通路45はリザーバ34から遮断されることになる。この点で、主通路45は、低圧液圧源としてもリザーバ34にも接続されているともいえる。
一方、マスタ通路61には、マスタ圧カット弁64よりも上流側において、ストロークシミュレータカット弁68を介してストロークシミュレータ69が接続されている。ストロークシミュレータカット弁68は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。ストロークシミュレータ69は、複数のピストンやスプリングを含むものであり、ストロークシミュレータカット弁68の開放時にドライバーによるブレーキペダル24の踏力に応じた反力を創出する。ストロークシミュレータ69としては、ドライバーによるブレーキ操作のフィーリングを向上させるために、多段のバネ特性を有するものが採用されると好ましく、本実施形態のストロークシミュレータ69は4段階のバネ特性を有する。
上述のように構成された液圧発生装置30や液圧アクチュエータ40は、制御手段としてのブレーキECU70により制御される。ブレーキECU70もCPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート等を備える。そして、ブレーキECU70は、ハイブリッドECU7と通信可能であり、ハイブリッドECU7からの制御信号や、各種センサからの信号に基づいて液圧発生装置30のポンプ36や、液圧アクチュエータ40を構成する電磁制御弁51〜54,56〜59,60,64〜68を制御する。
図1に示されるように、ブレーキECU70に接続されるセンサには、レギュレータ圧センサ71、アキュムレータ圧センサ72、および制御圧センサ73が含まれる。レギュレータ圧センサ71は、レギュレータ圧カット弁65の上流側でレギュレータ通路62内のブレーキオイルの圧力(レギュレータ圧)を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。アキュムレータ圧センサ72は、増圧リニア制御弁66の下流側でアキュムレータ通路63内のブレーキオイルの圧力(アキュムレータ圧)を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。制御圧センサ73は、主通路45の第1通路45a内のブレーキオイルの圧力を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。各センサ71〜73の検出値は、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域(バッファ)に所定量ずつ格納保持される。
連通弁60が開放されて主通路45の第1通路45aと第2通路45bとが互いに連通している場合、制御圧センサ73の出力値は、増圧リニア制御弁66の低圧側の液圧を示すと共に減圧リニア制御弁67の高圧側の液圧を示すので、この出力値を増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の制御に利用することができる。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67が閉鎖されていると共に、連通弁60が非通電状態にあって主通路45の第1通路45aと第2通路45bとが互いに分離されている場合、制御圧センサ73の出力値は、マスタシリンダ圧を示す。更に、連通弁60が開放されて主通路45の第1通路45aと第2通路45bとが互いに連通しており、各増圧制御弁51〜54が開放される一方、各減圧制御弁56〜59が閉鎖されている場合、制御圧センサの73の出力値は、各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLのブレーキ圧(ホイールシリンダ圧)を示す。
更に、ブレーキECU70に接続されるセンサには、上述のブレーキストロークセンサ25も含まれる。ブレーキストロークセンサ25は、ブレーキペダル24の操作量(ペダルストロークSPS)を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。ブレーキストロークセンサ25の検出値も、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域(バッファ)に所定量ずつ格納保持される。なお、ブレーキストロークセンサ25に加えて、ブレーキペダル24の操作状態を検出するペダル踏力センサや、ブレーキペダル24が踏み込まれたことを検出するブレーキスイッチがブレーキECU70に接続されてもよい。
図3は、本実施形態の車両制動装置におけるブレーキ回生協調制御を説明するためのフローチャートである。本実施形態におけるブレーキ回生協調制御は、電動モータ6やハイブリッドECU7等を含む回生ブレーキユニットによって駆動輪たる前輪9FR,9FLに付与される回生制動トルクと、液圧ブレーキユニット20により各車輪に付与される摩擦制動トルクとの和である総制動トルクをドライバーにより要求される制動トルクと一致させるためのものである。
ブレーキ回生協調制御の実行が許容されると、図3に示されるように、まず、ブレーキECU70がブレーキストロークセンサ25からの信号に基づいてドライバーにより要求された要求総制動トルクFを算出する(S1)。更に、ブレーキECU70は、ハイブリッドECU7から回生制動トルクの上限値に関する情報を取得した上で(S2)、要求される回生制動トルクを設定すると共に、算出した要求回生制動トルクをハイブリッドECU7に与える(S3)。S2では、ハイブリッドECU7からブレーキECU70に対して、電動モータ6の回転数等に基づいて定まる回生制動トルクの上限値である発電側上限値と、バッテリ12の充電容量等に基づいて定まる上限値である蓄電側上限値とが送信される。また、S3では、発電側上限値、蓄電側上限値および要求総制動トルクFのうちの最小値が要求回生制動トルクとして設定される。
S3にてブレーキECU70から要求回生制動トルクを示す信号を受け取ると、ハイブリッドECU7は、要求回生制動トルクを示す信号をモータECU14に与える。モータECU14は、電動モータ6により左右の前輪9FR、9FLに対して付与される制動トルクを要求回生制動トルクと一致させるための制御信号を電力変換装置11に送出する。そして、電動モータ6の実回転数といった回生ブレーキユニットの作動状態を示す情報がモータECU14からハイブリッドECU7に与えられる。ハイブリッドECU7は、これらの情報から、電動モータ6の作動により実際に得られている実回生制動トルクFを算出し、実回生制動トルクFをブレーキECU70に送信する(S4)。
ブレーキECU70は、ハイブリッドECU7から実回生制動トルクFを受け取ると、要求総制動トルクFから実回生制動トルクFを減じることにより、液圧ブレーキユニット20に発生させるべき制動トルクである要求液圧制動トルクを算出する(S5)。そして、ブレーキECU70は、算出した要求液圧制動トルクに基づいて各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLの目標液圧を算出し、増圧リニア制御弁66や減圧リニア制御弁67に対する供給電流Iの値を決定する(S6)。かかる図3のルーチンは、ブレーキ回生協調制御の実行が許容される間、所定時間おきに繰り返される。
ブレーキ回生協調制御に際しては、図4(A)に示されるように、回生ブレーキユニットを優先して作動させ、増圧リニア制御弁66の制御により不足する制動力を液圧ブレーキユニット20に発生させるとよい。また、図4(B)に示されるように、液圧ブレーキユニット20を優先して(先に)作動させると共に、回生ブレーキユニットにより発生される回生制動トルク分だけ、減圧リニア制御弁67の制御により液圧ブレーキユニット20の制動トルクを減少させてもよい。これらの制御の何れかが適宜実行されるようにすれば、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の何れか一方に何らかの異常が発生しても、予め定められた制御精度の範囲内においてブレーキ回生協調制御を適切に実行することが可能となる。
そして、本実施形態の液圧ブレーキユニット20は、上述のブレーキ回生協調制御に際して、あるいは、それ自体単独で制動力を発生する際に、次のモードA,B,C,DおよびEの何れかのもとで作動する。
図5は、モードAのもとで作動する液圧ブレーキユニット20の電磁制御弁の開閉状態を示す系統図である。同図に示されるように、モードAのもとでは、マスタ圧カット弁64とレギュレータ圧カット弁65との双方が閉鎖されると共に、ストロークシミュレータカット弁68と連通弁60とが開放される。また、モードAのもとでは、増圧制御弁51〜54が開放される一方、減圧制御弁56〜59が閉鎖され、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドに対する供給電流Iが制御される。
液圧ブレーキユニット20がモードAのもとで作動する場合、図5に示されるように、各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、マスタシリンダ32およびレギュレータ33の双方から遮断される一方、増圧リニア制御弁66等を介してアキュムレータ35と連通させられる。そして、各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLにおけるブレーキ圧(ホイールシリンダ圧)は、制御圧センサ73の出力値に基づいて増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67への供給電流Iを制御することにより調整される。また、この場合、ストロークシミュレータカット弁68を介してマスタシリンダ32とストロークシミュレータ69とが接続され、ストロークシミュレータ69によりブレーキペダル24を操作するドライバーに対する反力が創出される。このようなモードAのもとでは、各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して所望圧力のブレーキオイルを安定的に供給すると共に、ブレーキ圧の変動を小さくして制御性を向上させることが可能となる。
図6は、モードBのもとで作動する液圧ブレーキユニット20の電磁制御弁の開閉状態を示す系統図である。同図に示されるように、モードBのもとでは、マスタ圧カット弁64が閉鎖される一方、レギュレータ圧カット弁65が開放され、ストロークシミュレータカット弁68と連通弁60とが開放される。また、モードBのもとでも、増圧制御弁51〜54が開放される一方、減圧制御弁56〜59が閉鎖されるが、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドに対する供給電流Iは制御されない。
液圧ブレーキユニット20がモードBのもとで作動する場合、図6に示されるように、各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、マスタシリンダ32から遮断され、増圧リニア制御弁66が制御されずに閉鎖状態に保たれることから、アキュムレータ35からも遮断される。そして、各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、レギュレータ33と連通させられ、レギュレータ33から供給されるブレーキオイルにより作動させられる。
図7は、モードCのもとで作動する液圧ブレーキユニット20の電磁制御弁の開閉状態を示す系統図である。同図に示されるように、モードCのもとでは、マスタ圧カット弁64およびレギュレータ圧カット弁65の双方が開放され、ストロークシミュレータカット弁68と連通弁60との双方が閉鎖される。また、モードCのもとでも、増圧制御弁51〜54が開放される一方、減圧制御弁56〜59が閉鎖されるが、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドに対する供給電流Iは制御されない。
液圧ブレーキユニット20がモードCのもとで作動する場合、図7に示されるように、各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、増圧リニア制御弁66が制御されずに閉鎖状態に保たれることから、アキュムレータ35から遮断される。そして、モードCのもとでは、前輪側のディスクブレーキユニット21FRおよび21FLがマスタシリンダ32に連通させられる一方、後輪側のディスクブレーキユニット21RRおよび21RLがレギュレータ33に連通させられる。更に、モードCのもとでは、連通弁60が閉鎖されることから、前輪側の第1通路45aと後輪側の第2通路45bとは互いに独立した状態に保たれ、前輪側のディスクブレーキユニット21FRおよび21FLはマスタシリンダ32から供給されるブレーキオイルにより作動させられる一方、後輪側のディスクブレーキユニット21RRおよび21RLは、レギュレータ33から供給されるブレーキオイルにより作動させられる。このように、モードCのもとで作動する液圧ブレーキユニット20は、いわゆる前後配管系統を構成する。
図8は、モードDのもとで作動する液圧ブレーキユニット20の電磁制御弁の開閉状態を示す系統図である。同図に示されるように、モードDのもとでは、マスタ圧カット弁64が開放される一方、レギュレータ圧カット弁65が閉鎖され、更に、ストロークシミュレータカット弁68と連通弁60との双方が閉鎖される。また、モードDのもとでは、増圧制御弁51〜54が開放される一方、減圧制御弁56〜59が閉鎖され、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドに対する供給電流Iが制御される。
液圧ブレーキユニット20がモードDのもとで作動する場合、図8に示されるように、増圧リニア制御弁66が制御されて開放されると共に連通弁60が閉鎖されることから、後輪側のディスクブレーキユニット21RRおよび21RLは、アキュムレータ35と連通させられる。また、モードDのもとでは、連通弁60が閉鎖されると共に、マスタ圧カット弁64が開放される一方、レギュレータ圧カット弁65が閉鎖されることから、前輪側のディスクブレーキユニット21FRおよび21FLは、マスタシリンダ32と連通させられる。これにより、モードDのもとでは、後輪側のディスクブレーキユニット21RRおよび21RLのブレーキ圧が、アキュムレータ圧センサ72の出力値に基づいて増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67への供給電流Iを調整することにより制御され、前輪側のディスクブレーキユニット21FRおよび21Fは、マスタシリンダ32から供給されるブレーキオイルにより作動させられる。
図9は、モードEのもとで作動する液圧ブレーキユニット20の電磁制御弁の開閉状態を示す系統図である。同図に示されるように、モードEのもとでは、マスタ圧カット弁64が開放される一方、レギュレータ圧カット弁65が閉鎖され、更に、ストロークシミュレータカット弁68と連通弁60との双方が閉鎖される。また、モードEのもとでは、増圧制御弁51〜54が開放される一方、減圧制御弁56〜59が閉鎖され、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドに対する供給電流Iは制御されない。
液圧ブレーキユニット20がモードEのもとで作動する場合、図9に示されるように、増圧リニア制御弁66が制御されず閉鎖状態に保たれ、かつ、連通弁60が閉鎖されることから、後輪側のディスクブレーキユニット21RRおよび21RLは、マスタシリンダ32、レギュレータ33およびアキュムレータ35の何れもとも連通しないことになる。すなわち、モードEのもとでは、マスタ圧カット弁64を介してマスタシリンダ32と連通する前輪側のディスクブレーキユニット21FRおよび21FLのみが、マスタシリンダ32から供給されるブレーキオイルにより作動させられる。
なお、図10に、上述のモードA〜Eのもとでの液圧ブレーキユニット20の状態を表として示す。
上述のモードA〜Eは、ブレーキECU70により所定時間おきに繰り返し実行されるモード選択プログラムに従って選択される。基本的には、液圧ブレーキユニット20が正常であり、かつ、高応答が要求されない場合には、モードAが選択される。すなわち、回生ブレーキユニットと液圧ブレーキユニット20とを用いたブレーキ回生協調制御中には、液圧ブレーキユニット20は、基本的にモードAのもとで作動する。また、液圧ブレーキユニット20が正常であり、かつ、高応答が要求される場合には、モードAとモードBとの双方が選択され、各ディスクブレーキユニット21FR〜21RRに対してレギュレータ33およびアキュムレータ35の双方からブレーキオイルが供給される。これにより、各ディスクブレーキユニット21FR〜21RRに対するブレーキオイルの流入量を増加させて、ブレーキ圧を速やかに増加させることが可能となる。
更に、ハイブリッドECU7とブレーキECU70との間の通信異常あるいはハイブリッドシステム側の異常が認められた場合にも、モードAまたはモードBが選択される。このように主にハイブリッドシステム側に異常が認められるような場合には、一般に回生制動が停止させられるので、アキュムレータ35に蓄圧された液圧をできる限り利用すべく、モードAまたはモードBが選択される。
また、電気系統等が正常であり、かつ、アキュムレータ圧が正常であるにも拘わらず、レギュレータ圧が低い場合、レギュレータ33に何らかの機械的な異常が発生していると考えられるので、この場合、モードDが選択される。更に、レギュレータ33に何らかの機械的な異常が発生したとみなされる場合、モードAまたはモードCが選択されてもよい。また、アキュムレータ圧が設定値よりも小さい場合には、ポンプ36の異常やアキュムレータ35における液漏れ等が発生していると考えられることから、この場合、モードEが選択される。更に、ブレーキECU70の異常が発生した場合には、モードCが選択される。
上述のように、ブレーキ回生協調制御中には、液圧ブレーキユニット20は、基本的にモードAのもとで作動し、各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLには、増圧リニア制御弁66等により調圧されたブレーキオイルが供給される。この際、増圧リニア制御弁66等は、ハイブリッドECU7から送信された実回生制動トルクFを要求総制動トルクFから減じたトルク値に応じた圧力のブレーキオイルが各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLに供給されるようにブレーキECU70により制御される。なお、要求総制動トルクFは、レギュレータ圧PREGが十分に高い場合、レギュレータ圧センサ71により検出されるレギュレータ圧PREGに応じて定められ、レギュレータ圧PREGが比較的低い場合、ブレーキストロークセンサ25により検出されるペダルストロークSPSまたはレギュレータ圧センサ71により検出されるレギュレータ圧PREGに応じて定められる。従って、ブレーキ回生協調制御を正常に実行する上では、ブレーキストロークセンサ25やレギュレータ圧センサ71の正常な作動が不可欠となり、ブレーキストロークセンサ25やレギュレータ圧センサ71に何らかの異常が発生した場合、その異常を速やかに検知した上で、液圧ブレーキユニット20の動作モードを変更することが必要となる。
このため、本実施形態の車両制動装置では、ブレーキストロークセンサ25やレギュレータ圧センサ71の異常を検出するために、図11および図12に示される異常検出ルーチンが実行される。かかる異常検出ルーチンは、ブレーキECU70により所定時間おきに繰り返し実行されるものである。
図11に示されるように、ブレーキECU70は、異常検出ルーチンの実行タイミングになると、まず、ブレーキ回生協調制御が実行されているか否か判定する(S10)。ブレーキ回生協調制御が実行されていない場合には(S10におけるNo)、それ以降の異常検出処理はスキップされ、次の実行タイミングが到来した段階で、異常検出ルーチンが実行されることになる。一方、ブレーキ回生協調制御が実行されていると判断した場合(S10におけるYes)、ブレーキECU70は、レギュレータ圧センサ71の出力値の時間変化率dPREG/dtと、ブレーキストロークセンサ25の出力値の時間変化率dSPS/dtとを算出する(S12)。すなわち、S12において、ブレーキECU70は、レギュレータ圧センサ71の出力値の今回値(最新値)から前回値を減じた値をサンプリング周期で除することによりレギュレータ圧PREGの時間変化率dPREG/dtを算出すると共に、ブレーキストロークセンサ25の出力値の今回値(最新値)から前回値を減じた値をサンプリング周期で除することによりペダルストロークSPSの時間変化率dSPS/dtを算出する。
S12にて時間変化率dPREG/dtおよび時間変化率dSPS/dtを算出すると、ブレーキECU70は、S12にて算出したレギュレータ圧PREGの時間変化率dPREG/dtの絶対値が予め定められた閾値α(ただし、αは正の実数である)を下回っているか否か判定する(S14)。また、ブレーキECU70は、レギュレータ圧PREGの時間変化率dPREG/dtの絶対値が閾値αを下回っていると判断すると(S14におけるYes)、更に、ペダルストロークSPSの時間変化率dSPS/dtの絶対値が予め定められた閾値β(ただし、βは正の実数である)を下回っているか否か判定する(S16)。
レギュレータ圧PREGの時間変化率dPREG/dtの絶対値が上記閾値α以上であると判断された場合(S14におけるNo)、またはペダルストロークSPSの時間変化率dSPS/dtの絶対値が上記閾値β以上であると判断された場合(S16におけるNo)。それ以降の異常検出処理はスキップされ、次の実行タイミングが到来した段階で、異常検出ルーチンが実行されることになる。これに対して、レギュレータ圧PREGの時間変化率dPREG/dtの絶対値が閾値αを下回っており(S14におけるYes)、かつ、ペダルストロークSPSの時間変化率dSPS/dtの絶対値が閾値βを下回っていると判断すると(S16におけるYes)、ブレーキECU70は、S12にて算出した時間変化率dPREG/dtおよび時間変化率dSPS/dtから、両者の比δ=dPREG/dSPSを算出する(S18)。
次いで、ブレーキECU70は、レギュレータ圧センサ71により検出されたレギュレータ圧PREG(今回値)が予め定められた閾値PR1を下回っているか否か判定する(S20)。そして、レギュレータ圧PREGが上記閾値PR1を下回っていると判断した場合(S20におけるYes)、ブレーキECU70は、S18にて算出した時間変化率dPREG/dtと時間変化率dSPS/dtとの比δが予め定められた第1の正常範囲外にあるか否かを判定する(S22)。すなわち、S22では、比δが当該第1の正常範囲を規定する下限値KL1よりも小さく、かつ、上限値KH1(ただし、KL1<KH1である)よりも大きいか否かが判定される。
また、レギュレータ圧PREGが上記閾値PR1以上であると判断した場合(S20におけるNo)、ブレーキECU70は、レギュレータ圧PREG(今回値)が予め定められた閾値PR2(ただし、PR1<PR2である)を下回っているか否か判定する(S24)。そして、レギュレータ圧PREGが上記閾値PR2を下回っていると判断した場合(S24におけるYes)、ブレーキECU70は、S18にて算出した時間変化率dPREG/dtと時間変化率dSPS/dtとの比δが予め定められた第2の正常範囲外にあるか否かを判定する(S26)。すなわち、S26では、比δが当該第2の正常範囲を規定する下限値KL2よりも小さく、かつ、上限値KH2(ただし、KL2<KH2である)よりも大きいか否かが判定される。
更に、レギュレータ圧PREGが上記閾値PR2以上であると判断した場合(S24におけるNo)、ブレーキECU70は、レギュレータ圧PREG(今回値)が予め定められた閾値PR3(ただし、PR2<PR3である)を下回っているか否か判定する(S28)。そして、レギュレータ圧PREGが上記閾値PR3を下回っていると判断した場合(S28におけるYes)、ブレーキECU70は、S18にて算出した時間変化率dPREG/dtと時間変化率dSPS/dtとの比δが予め定められた第3の正常範囲外にあるか否かを判定する(S30)。すなわち、S30では、比δが当該第3の正常範囲を規定する下限値KL3よりも小さく、かつ、上限値KH3(ただし、KL3<KH3である)よりも大きいか否かが判定される。
また、レギュレータ圧PREGが上記閾値PR3以上であると判断した場合(S28におけるNo)、ブレーキECU70は、S18にて時間変化率dPREG/dtと時間変化率dSPS/dtとの比δが予め定められた第4の正常範囲外にあるか否かを判定する(S32)。すなわち、S32では、比δが当該第4の正常範囲を規定する下限値KL4よりも小さく、かつ、上限値KH4(ただし、KL4<KH4である)よりも大きいか否かが判定される。なお、S20,S24およびS28にて用いられる閾値PR1,PR2およびPR3は、ストロークシミュレータ69のバネ特性の切替点に応じて定められる値である。
S22,S26,S30またはS32において、時間変化率dPREG/dtと時間変化率dSPS/dtとの比δが正常範囲内にあると判断された場合(S22,S26,S30またはS32におけるNo)、それ以降の処理はスキップされ、次の実行タイミングが到来した段階で、異常検出ルーチンが実行されることになる。これに対して、S22,S26,S30またはS32において、時間変化率dPREG/dtと時間変化率dSPS/dtとの比δが正常範囲内にはないと判断した場合(S22,S26,S30またはS32におけるYes)、ブレーキECU70は、図示されない所定のカウンタを1だけインクリメントした上で(S34)、当該カウンタのカウント値が予め定められた閾値nを上回っているか否か判定する(S36)。
カウンタのカウント値が閾値n以下であると判断された場合(S36におけるNo)、S22,S26,S30またS32における判断、すなわち、時間変化率dPREG/dtと時間変化率dSPS/dtとの比δが正常範囲内にはないとする判断が一時的なエラー等に起因する可能性もあることから、この場合、それ以降の処理は一旦スキップされる。一方、カウンタのカウント値が閾値nを上回っていると判断された場合(S36におけるYes)、S22,S26,S30またS32における判断は一時的なエラー等に起因するとは認められないことから、この場合、ブレーキECU70は、ブレーキ回生協調制御を中止すべく、ブレーキ回生協調制御の実行を禁止するためのフラグをONし(S38)、所定の手順に従って液圧ブレーキユニット20の新たな作動モード(例えばモードE)を選択する(S40)。S40の処理の後、所定時間が経過すると再度S10の処理が実行されるが、この場合、S38にてブレーキ回生協調制御が中止されていることから、S12以降の処理はスキップされ、異常検出ルーチンは実質的に実行されないことになる。
上述のように、本実施形態の車両制動装置では、レギュレータ圧センサ71の出力値PREGの時間変化率dPREG/dtとブレーキペダルの操作速度に対応するブレーキストロークセンサ25の出力値の時間変化率dSPS/dtとの比δと、当該比δについて予め定められた第1から第4の正常範囲の何れかとが比較される(S22,S26,S30またはS32)。これにより、ブレーキストロークセンサ25およびレギュレータ圧センサ71の少なくとも何れか一方の出力値が一定値に固着してしまうようなトラブルが発生しても、そのような異常を確実に検出することが可能となる。
すなわち、センサ25,71の出力値が一定値に固着するようなトラブルが発生した場合にドライバーがブレーキペダル24を踏み増したり、戻したりすると、ブレーキストロークセンサ25およびレギュレータ圧センサ71の一方の出力値は変動しないのに対して、他方の出力値は変動することになる。言い換えれば、ブレーキストロークセンサ25とレギュレータ圧センサ71との双方が正常であれば、時間変化率dPREG/dtと時間変化率dSPS/dtとの比δは所定範囲内の値となる。従って、時間変化率dPREG/dtと時間変化率dSPS/dtとの比δが予め定められている正常範囲内にあるか否かを判定することにより、センサを二重に設けることなく、ブレーキストロークセンサ25とレギュレータ圧センサ71との間で両者の異常を低コストかつ高精度に検出することが可能となる。
また、本実施形態では、上述のように、レギュレータ圧センサ71の出力値PREGの大きさに応じて、時間変化率dPREG/dtと時間変化率dSPS/dtとの比δの正常範囲が変更される。
すなわち、4段階のバネ特性を有するストロークシミュレータ69を備えた液圧ブレーキユニット20では、正常時におけるレギュレータ圧PREGとペダルストロークSPSとの相関線が、図13に示されるように、設計中央線を中心としてブレーキストロークセンサ25の測定誤差によるバラツキ、レギュレータ圧センサ71の測定誤差によるバラツキおよびストロークシミュレータ69の公差に起因するバラツキを考慮して定められる範囲(図13におけるハッチング部)に含まれる。従って、ブレーキストロークセンサ25の出力値の時間変化率dPREG/dtとレギュレータ圧センサ71の出力値PREGの時間変化率dSPS/dtとの比δの正常範囲は、ブレーキペダル24の操作量や、ブレーキペダル24の操作量に応じた値となるレギュレータ圧PREGに応じて変化する。
そして、本実施形態では、ストロークシミュレータ69が4段階のバネ特性を有することから、ブレーキストロークセンサ25とレギュレータ圧センサ71との双方が正常であれば、時間変化率dPREG/dtと時間変化率dSPS/dtとの比δの正常範囲も、基本的に、ペダルストロークSPSおよびそれに応じたレギュレータ圧PREGが変化してストロークシミュレータ69のバネ特性が切り替わるたびに変化する。つまり、時間変化率dPREG/dtと時間変化率dSPS/dtとの比δの正常範囲は、ストロークシミュレータ69のバネ特性の切替点に対応したレギュレータ圧PREGあるいはペダルストロークSPSを境にして複数定められ得る。
このような点を考慮して、本実施形態では、S20,S24およびS28にてストロークシミュレータ69のバネ特性の切替点に応じて定められる閾値PR1,PR2およびPR3に基づいてレギュレータ圧センサ71の出力値(レギュレータ圧PREG)の大きさが判定される。そして、S22,S26,S30またはS32では、レギュレータ圧PREGから定まるストロークシミュレータ69のバネ特性に応じた正常範囲と時間変化率dPREG/dtと時間変化率dSPS/dtとの比δとが比較される。このようにして時間変化率dPREG/dtと時間変化率dSPS/dtとの比δと比較する正常範囲を変更することにより、第1から第4の正常範囲をそれぞれ必要以上に広くとる必要がなくなるので、ブレーキストロークセンサ25やレギュレータ圧センサ71の異常検出精度を極めて良好に向上させることが可能となる。
なお、図13からわかるように、ストロークシミュレータ69のバネ特性は、ペダルストロークSPSに応じて変化するものでもあることから、ストロークシミュレータ69のバネ特性の切替点に応じて定められるペダルストロークの閾値S,SおよびSを定めてもよく、この場合、S20,S24およびS28では、閾値S,SおよびSに基づいてペダルストロークSPSの大きさが判定されればよい。そして、S22,S26,S30またはS32では、ペダルストロークSPSから定まるストロークシミュレータ69のバネ特性に応じた正常範囲と時間変化率dPREG/dtと時間変化率dSPS/dtとの比δとが比較されればよい。
また、図11および図12に示される異常検出ルーチンでは、レギュレータ圧PREGの時間変化率dPREG/dtの絶対値が閾値α以上である場合(S14におけるNo)、またはペダルストロークSPSの時間変化率dSPS/dtの絶対値が閾値β以上である場合、ブレーキストロークセンサ25およびレギュレータ圧センサ71に関する異常判定が中止される。
すなわち、ブレーキストロークセンサ25とレギュレータ圧センサ71との双方が正常である場合にブレーキペダル24の操作速度が比較的急峻に高められると、流体抵抗等の影響による応答性の違いに起因して、例えばレギュレータ圧PREGの時間変化率dPREG/dtに対してペダルストロークSPSの時間変化率dSPS/dtが相対的に小さくなることがある。より詳細には、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69とがストロークシミュレータカット弁68を介して連通されるモードAのもとでは、ストロークシミュレータカット弁68が有する絞り要素の影響によってマスタ通路61における流体抵抗が高まり、ペダルストロークSPSの変動速度が低下することにより、レギュレータ圧の時間変化率dPREG/dtに対してペダルストロークの時間変化率dSPS/dtが相対的に小さくなる。
そして、このような場合、ブレーキストロークセンサ25の出力値の時間変化率dSPS/dtとレギュレータ圧センサ71の出力値PREGの時間変化率dPREG/dtとの比δと正常範囲とを比較すると、センサ25および71が正常であるにも拘らず、時間変化率dSPS/dtと時間変化率dPREG/dtとの比δが正常範囲から外れてしまい、何れのセンサ25,71に異常があると判断されてしまうおそれがある。従って、本実施形態のように、ブレーキストロークセンサ25の時間変化率dSPS/dtおよびレギュレータ圧の時間変化率dPREG/dtの少なくとも何れか一方の絶対値が閾値αまたはβ以上である場合、すなわち、ブレーキペダル24の操作速度が高いと判断される場合には、異常判定を中止すると好ましい。これにより、各センサ25,71が正常であるにも拘らず、何れかに異常があると判断されてしまうことを良好に抑制して異常検出精度を向上させることが可能となる。
なお、図11および図12の異常検出ルーチンは、モードAに関連して説明されたが、これに限られるものではない。すなわち、上記異常検出ルーチンは、液圧ブレーキユニット20の作動モードがモードCである場合にも利用され得る。すなわち、モードCのもとでは、連通弁60により主通路45の第1通路45aと第2通路45bとが互いに分離され、制御圧センサ73の出力値がブレーキペダル24の操作量に応じたマスタシリンダ圧を示すことから、上記異常検出ルーチンは、ブレーキストロークセンサ25、レギュレータ圧センサ71および制御圧センサ73の異常検出にも利用され得る。同様に、モードDおよびモードEのもとでも、連通弁60により主通路45の第1通路45aと第2通路45bとが互いに分離され、制御圧センサ73の出力値がブレーキペダル24の操作量に応じたマスタシリンダ圧を示すことから、上記異常検出ルーチンは、モードDまたはモードEのもとでブレーキストロークセンサ25と制御圧センサ73との異常検出にも利用され得る。
また、上記異常検出ルーチンは、レギュレータ圧センサ71の代わりに、マスタ圧カット弁64の上流側にマスタシリンダ圧を検出するマスタ圧センサが設けられる場合に、当該マスタシリンダ圧センサとブレーキストロークセンサ25との異常検出にも利用され得る。更に、本実施形態の車両制動装置は、回生ブレーキユニットと液圧ブレーキユニット20とを組み合せたものとして説明されたが、本発明を適用可能な車両制動装置は、これに限られるものではない。すなわち、本発明が液圧ブレーキユニットのみからなる車両制動装置に適用され得ることはいうまでもない。
本発明の一実施形態に係る車両制動装置が適用された車両を示す概略構成図である。 図1の車両制動装置を構成する液圧ブレーキユニットの系統図である。 図1の車両制動装置におけるブレーキ回生協調制御を説明するためのフローチャートである。 (A)および(B)は、ブレーキ回生協調制御時におけるブレーキ操作力と制動力との相関を例示するグラフである。 図1の車両制動装置を構成する液圧ブレーキユニットの動作モードの一例を説明するための系統図である。 図1の車両制動装置を構成する液圧ブレーキユニットの動作モードの一例を説明するための系統図である。 図1の車両制動装置を構成する液圧ブレーキユニットの動作モードの一例を説明するための系統図である。 図1の車両制動装置を構成する液圧ブレーキユニットの動作モードの一例を説明するための系統図である。 図1の車両制動装置を構成する液圧ブレーキユニットの動作モードの一例を説明するための系統図である。 図1の車両制動装置を構成する液圧ブレーキユニットの動作モードを説明するための図表である。 図1の車両制動装置において実行される異常検出ルーチンを説明するためのフローチャートである。 図1の車両制動装置において実行される異常検出ルーチンを説明するためのフローチャートである。 図1の車両制動装置におけるレギュレータ圧とペダルストロークとの相関を説明するためのグラフである。
符号の説明
1 車両、2 エンジン、3 動力分割機構、4 モータジェネレータ、5 変速機、6 電動モータ、7 ハイブリッドECU、8 ドライブシャフト、9FR、9FL 前輪、10 エンジンECU、11 電力変換装置、12 バッテリ、14 モータECU、20 液圧ブレーキユニット、21FR,21FL,21RR,21RL ディスクブレーキユニット、22 ブレーキディスク、23 ブレーキキャリパ、24 ブレーキペダル、25 ブレーキストロークセンサ、30 液圧発生装置、31 ブースタ、32 マスタシリンダ、33レギュレータ、34 リザーバ、35 アキュムレータ、35a リリーフバルブ、36 ポンプ、36a モータ、37,38,39 流体通路、40 液圧アクチュエータ、41,42,43,44 個別通路、45 主通路、45a 第1通路、45b 第2通路、46,47,48,49 減圧通路、51,52,53,54 増圧制御弁、55 減圧通路、56,57,58,59 減圧制御弁、60 連通弁、61 マスタ通路、62 レギュレータ通路、63 アキュムレータ通路、64 マスタ圧カット弁、65 レギュレータ圧カット弁、66 増圧リニア制御弁、67 減圧リニア制御弁、68 ストロークシミュレータカット弁、69 ストロークシミュレータ、70 ブレーキECU、71 レギュレータ圧センサ、72 アキュムレータ圧センサ、73 制御圧センサ。

Claims (6)

  1. ドライバーによるブレーキペダルの操作に応じて車両に設けられた複数の車輪に制動力を付与する車両制動装置において、
    前記ブレーキペダルの操作量に応じた圧力の作動液を供給可能な液圧発生源と、
    前記ブレーキペダルの操作状態を検出するペダル操作状態検出手段と、
    前記液圧発生源から供給される作動液の圧力を検出する圧力検出手段と、
    前記ペダル操作状態検出手段の出力値の時間変化率と前記圧力検出手段の出力値の時間変化率との比が予め定められた正常範囲内にない場合に、前記ペダル操作状態検出手段および前記圧力検出手段の少なくとも何れかに異常が発生していると判断する異常判定手段とを備えることを特徴とする車両制動装置。
  2. 前記異常判定手段は、前記ペダル操作状態検出手段の出力値の時間変化率および前記圧力検出手段の出力値の時間変化率の少なくとも何れか一方の絶対値が所定の閾値以上である場合、前記ペダル操作状態検出手段および前記圧力検出手段に関する異常判定を中止することを特徴とする請求項1に記載の車両制動装置。
  3. 前記異常判定手段は、前記ペダル操作状態検出手段の出力値または前記圧力検出手段の出力値の大きさに応じて前記正常範囲を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の車両制動装置。
  4. 前記ブレーキペダルの操作量に応じてドライバーのペダル踏力に対する反力を創出するストロークシミュレータを更に備え、このストロークシミュレータは、前記反力を創出するために多段階のバネ特性を有すると共に、前記異常判定手段は、前記ストロークシミュレータのバネ特性の段階に応じて前記正常範囲を変更すること請求項3に記載の車両制動装置。
  5. 前記液圧発生源は、前記ブレーキペダルの操作量に応じた液圧を発生するマスタシリンダと、作動液を蓄えるリザーバと、ポンプにより昇圧された作動液を蓄えるアキュムレータと、前記リザーバおよび前記アキュムレータを圧力源として前記マスタシリンダにおける液圧と一定の関係をもった液圧を発生するレギュレータとを含み、前記圧力検出手段は、前記マスタシリンダまたは前記レギュレータから供給される作動液の圧力を検出することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の車両制動装置。
  6. ブレーキペダルの操作量に応じた圧力の作動液を供給可能な液圧発生源と、前記ブレーキペダルの操作状態を検出するペダル操作状態検出手段と、前記液圧発生源から供給される作動液の圧力を検出する圧力検出手段とを備え、ドライバーによる前記ブレーキペダルの操作に応じて車両に設けられた複数の車輪に制動力を付与する車両制動装置の異常検出方法において、
    前記ペダル操作状態検出手段の出力値の時間変化率と前記圧力検出手段の出力値の時間変化率との比が予め定められた正常範囲内にない場合に、前記ペダル操作状態検出手段および前記圧力検出手段の少なくとも何れかに異常が発生していると判断することを特徴とする車両制動装置の異常検出方法。
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