JP2007109539A - プラズマディスプレイパネルの製造方法およびその製造装置 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルの製造方法およびその製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基板搬送トレイやマスクなどにより持ち込まれるガスの影響を少なくして、特性の良好な保護膜を安定に製造するプラズマディスプレイパネルの方法および製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】表示電極と誘電体層が形成されたガラス基板の誘電体層上に保護膜を真空蒸着法によって形成するプラズマディスプレイパネルの製造装置であって、ガラス基板100(11)を予備加熱する予備加熱室31と、ガラス基板11に保護膜を形成する成膜室32と、予備加熱室31には酸素、窒素、水素、水蒸気、二酸化炭素のうちの少なくとも一つのガスを導入するガス導入口50と、ガス導入口50におけるガス導入量を制御するガス流量バルブ51とを備え、成膜室32には少なくとも酸素を導入するガス導入口45と、ガス導入口45における酸素導入量を制御するガス流量バルブ46とを備えている。
【選択図】図2

Description

本発明は、基板上に保護膜を形成するプラズマディスプレイパネルの製造方法とその製造装置に関し、特に誘電体層を覆う保護膜を有するプラズマディスプレイパネルにおいて、良質な保護膜を形成するために好適な製造方法とその製造装置に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す)は、前面パネルと背面パネルとを対向配置してその周縁部を封着部材によって封着した構造を有し、前面パネルと背面パネルとの間に形成された放電空間には、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)などの放電ガスが封入されている。
前面パネルは、ガラス基板に形成されたストライプ状の走査電極と維持電極とからなる複数の表示電極対と、表示電極対を覆う誘電体層と、誘電体層を覆う保護膜とを備えている。表示電極対は、それぞれ透明電極とその透明電極上に形成された金属材料のバス電極とによって構成されている。
一方、背面パネルは、ガラス基板に形成されたストライプ状の複数のアドレス電極と、アドレス電極を覆う下地誘電体層と、下地誘電体層上に形成され放電空間をアドレス電極毎に区画するストライプ状の隔壁と、隔壁間の下地誘電体層上と隔壁側面に形成された赤色、緑色、青色の蛍光体層とを備えている。
前面パネルと背面パネルとは表示電極対とアドレス電極とが直交するように対向配置され、それらの電極が交差する交差部に放電セルを形成している。放電セルはマトリクス状に配列されて、表示電極対の方向に並ぶ赤色、緑色、青色の蛍光体層を有する3個の放電セルがカラー表示のための画素を形成している。PDPは、走査電極とアドレス電極間、および、走査電極と維持電極間に所定の電圧を印加してガス放電を発生させ、そのガス放電で生じる紫外線によって蛍光体層を励起して発光させることによりカラー画像を表示している。
このような構造のPDPにおいて、保護膜は耐スパッタ特性が大きいこと、かつ2次電子放出係数の大きいことなどが要求されて、例えば、酸化マグネシウム(MgO)の保護膜が一般的に用いられている。これらの特性によって、誘電体層のスパッタを防止し、かつ放電電圧を低くするようにしている。
保護膜は、電子ビーム蒸着法やプラズマガンによる成膜法などにより形成されるが、成膜方法、成膜条件によって膜特性に大きな差が生じる。保護膜としての酸化マグネシウム(MgO)を電子ビーム蒸着法で形成する際に、蒸着室内の酸素ガスを始めとする各種ガスの分圧を一定の範囲に制御することによって、膜特性の良好な保護膜を安定に製造しようとする例が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−50804号公報
保護膜である酸化マグネシウム(MgO)膜は、その成膜過程における酸素欠損や不純物混入により膜物性が大きく変化する。一般に広く用いられている基板搬送型の成膜装置では、誘電体層までを形成したガラス基板をトレイに載せて成膜室で成膜する。成膜室を通過する際、トレイやマスクにも酸化マグネシウム(MgO)膜が付着する。ガラス基板を成膜室から大気中に取り出した時に、トレイやマスクに付着した酸化マグネシウム(MgO)が大気中の水分を吸着する。このトレイやマスクを用いて次のガラス基板を成膜室に搬送しながら酸化マグネシウム(MgO)膜を成膜する場合、トレイやマスクに吸湿されていた水分が成膜室に放出されてその一部が成膜室で解離して水素と酸素になり、これらのガスが成膜室内のガス分圧を変化させて酸化マグネシウム(MgO)膜の膜特性をばらつかせるいう課題があった。
これに対して、基板搬送型の成膜装置において、大気中で使用するトレイやマスクと、成膜室で使用するトレイやマスクとを分けることにより成膜室への水の持込量を減らすことによりガス分圧を安定させるという方法が用いられている。しかしながら、基板サイズが大型化し、基板のサイズが多様化することにより搬送機構が複雑になって装置の信頼性が低下することや、装置のコストが高くなるといった課題があった。
また、これらの課題に対して、基板受け渡し時の雰囲気を露点温度が低く水分が少ない状態にすることにより、成膜室への水分の持込量を減らしてガス分圧を安定させるという方法も用いられているが、この方法では大容量の排気能力を有するクライオポンプやターボ分子ポンプなどを複数台使用する必要がある。排気速度を変化させるには、成膜室とポンプの間にあるコンダクタンスバルブの開度を変化させたり、ポンプの台数を変更したりする必要があるが、この方法の場合、水分のみでなく他のガスに対する排気速度も変化してしまい、成膜室内のガス分圧を一定に保つのが困難である。また、ターボ分子ポンプの回転数を変更することにより排気速度を変化させる方法では、圧縮比が変わるために排気ガスの成分比が変化し、水の分圧を独立して制御することができないという課題があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされ、基板搬送トレイやマスクなどにより持ち込まれるガスの影響を少なくして、特性の良好な保護膜を安定に製造する方法および製造装置を提供することを目的とする。
このような課題を解決するために、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、基板上に表示電極を形成する電極形成ステップと、表示電極を覆って誘電体層を形成する誘電体層形成ステップと、誘電体層上に保護膜を形成する保護膜形成ステップとを備え、保護膜形成ステップが、誘電体層までが形成された基板を酸素、窒素、水素、水蒸気、二酸化炭素のうちの少なくとも一つのガス雰囲気中で加熱する予備加熱ステップと、少なくとも酸素を導入しながら誘電体層上に保護膜を真空蒸着法によって形成する成膜ステップとを含んでいる。
このような製造方法によれば、真空蒸着法で保護膜を形成する際のガス分圧を適性に制御することが可能となり、膜質の安定した保護膜を形成することが可能となる。
さらに、予備加熱ステップにおいて、誘電体層までが形成された基板を配置した容器内に酸素、窒素、水素、水蒸気、二酸化炭素のうちの少なくとも一つのガスを導入するとともに、ガスの流量を成膜ステップにおいて酸素を導入する際の酸素の流量の0.5倍〜1.5倍とすることが望ましい。このような製造方法によれば、PDPの保護膜として放電特性に優れた保護膜を実現すすことが可能となる。
さらに、成膜ステップにおいて成膜雰囲気のガス成分を検出するガス分析ステップをさらに備え、ガス分析ステップのガス分析結果に基づいて予備加熱ステップにおいて容器内に導入するガス流量を制御することことが望ましい。このような方法によれば、成膜ステップの情報を前のステップにフィードバックし、最適なガス導入を行って、特性の優れた保護膜を安定的に製造することができる。
また、本発明のプラズマディスプレイの製造装置は、表示電極と誘電体層が形成されたガラス基板の誘電体層上に保護膜を真空蒸着法によって形成するプラズマディスプレイパネルの製造装置であって、ガラス基板を予備加熱する予備加熱室と、ガラス基板に保護膜を形成する真空蒸着室と、予備加熱室には酸素、窒素、水素、水蒸気、二酸化炭素のうちの少なくとも一つのガスを導入する第1のガス導入手段と、第1のガス導入手段におけるガス導入量を制御する第1のガス導入量可変手段とを備え、真空蒸着室には少なくとも酸素ガスを導入する第2のガス導入手段と、第2のガス導入手段における酸素導入量を制御する第2のガス導入量可変手段とを備えている。
このような、製造装置によれば、真空蒸着法で保護膜を形成する際のガス分圧を適性に制御することが可能となり、膜質の安定した保護膜を形成することが可能となる。
さらに、真空蒸着室において、真空蒸着室内のガス成分を分析するガス分析手段を備え、ガス分析手段のガス分析結果に基づいて、第1のガス導入量可変手段と前記第2のガス導入量可変手段のうちの少なくとも一つを制御することが望ましい。
このような製造装置によれば、真空蒸着室の情報を前の予備加熱室にフィードバックし、最適なガス導入を行って、特性の優れた保護膜を安定的に製造することができる。
本発明によれば、PDPの保護膜を常に同一条件で安定して製造することが可能となり、耐スパッタ性を有した2次電子放出特性に優れたPDP用保護膜を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態における保護膜の製造方法およびその製造装置について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態)
本発明の保護膜の製造方法および保護膜の製造装置によって製造した保護膜は、PDPの誘電体層を保護する保護膜として有用である。そこで、まずこの保護膜が適用されるPDPについて説明する。
図1は交流面放電型PDPの構成を示す斜視図である。PDPの前面パネル100は、前面ガラス基板11の一主面上に形成したN本の走査電極12aとN本の維持電極12bとからなる表示電極対12と、その表示電極対12を覆うように形成した誘電体層13と、さらにその誘電体層13を覆うように形成した酸化マグネシウム(MgO)薄膜からなる保護膜14とを有している。走査電極12aと維持電極12bとは、透明電極に金属のバス電極をそれぞれ積層した構造である。
背面パネル200は、背面ガラス基板16の一主面上に形成したM本のアドレス電極17と、そのアドレス電極17を覆うように形成した下地誘電体層18と、下地誘電体層18上のアドレス電極17間に形成した隔壁19と、隔壁19間に塗布された蛍光体層20とを有する構造である。
前面パネル100と背面パネル200とを隔壁19を挟んで、表示電極対12とアドレス電極17とが直交するように対向させ、画像表示領域の周囲を封止部材により封止している。前面パネル100と背面パネル200との間に形成された放電空間21には、例えばネオン(Ne)とキセノン(Xe)の混合ガスの放電ガスが45kPa〜80kPaの圧力で封入されている。表示電極対12とアドレス電極17との交差部が放電セルとして動作する。
このような、前面パネル100の保護膜14を製造するための、本発明の実施の形態における保護膜の製造方法とその製造装置について説明する。図2は本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイパネルの製造装置である保護膜の製造装置の構成を示す側断面図、図3は同製造装置の真空蒸着室となる成膜室の平面図である。
図2に示す保護膜の製造装置は、酸化マグネシウム(MgO)を成膜する基板搬送型の電子ビーム蒸着装置である。図2に示すように、蒸着装置は基板搬入室30、基板の予備加熱室31、真空蒸着室となる成膜室32、基板冷却室33、基板取出室34より構成されている。PDPの誘電体層13までが形成された前面パネル100がトレイ35に載せられて、まず基板搬入室30に搬入される。その後、予備加熱室31に搬送されて予備加熱され、成膜室32に搬送されて保護膜としての酸化マグネシウム(MgO)膜が前面パネル100の誘電体層13上に成膜される。
成膜室32には蒸着材料40が収納された蒸着ハース41と電子銃42とが設置されていて、内部を高真空に排気するための複数の排気ポンプ43が接続されている。また、成膜室32には成膜中の各種のガス成分を測定するためのガス分析手段である四重極質量分析器(QMS)などのガス分析装置44が設置されている。成膜室32内には成膜室32に少なくとも酸素を導入する第2のガス導入手段であるガス導入口45とガス導入口45から成膜室32内に導入する酸素流量を制御する第2のガス導入量可変手段である流量バルブ46が設けられている。
成膜室32においては、排気ポンプ43によって成膜室32内を高真空状態とし、電子銃42から発射される電子ビーム47によって蒸着材料40を加熱して、その蒸気を前面ガラス基板11面に堆積することによって酸化マグネシウム(MgO)膜の保護膜が成膜される。なお、成膜室32内の前面ガラス基板11下部には蒸気の前面ガラス基板11への到達を制御するシャッター48が設けられている。
図3に示すように、成膜室32の側面には電子銃42および排気ポンプ43が成膜室32の隣接する側面に設置されている。装置の構成上、電子銃42と対向する側面に排気ポンプ43を設置してもよい。大面積パネルの製造装置の場合、図3に示すように蒸着ハース41と電子銃42は複数設けられるとともに、成膜室32内を高真空に排気するための排気手段としての排気ポンプ43も複数台設置される。なお、図3に示すように、電子ビーム47は蒸着ハース41において複数のビーム照射部49に照射されている。
また、図2に示すように、予備加熱室31には、酸素、窒素、水素、水蒸気、二酸化炭素のうちの少なくとも一つのガスを導入する第1のガス導入手段となるガス導入口50と、ガス導入口50のガス導入量を制御する第1のガス導入量可変手段となる流量バルブ51と、予備加熱室31内を減圧にするための排気ポンプ52とが設けられている。
なお、基板冷却室33にも、内部を減圧状態にするための排気ポンプ(図示せず)が接続されているとともに、予備加熱室31に接続される流量バルブ51と成膜室32に接続される流量バルブ46とは、成膜室32に設けられたガス分析装置44のガス分析結果に基づいてその開度などが制御されるように構成されている。
次に、PDPの保護膜14である酸化マグネシウム(MgO)膜の成膜工程について説明する。誘電体層13まで形成された前面パネル100をトレイ35に載せて基板搬入室30に投入する。次に予備加熱室31に搬送し、そこで真空に排気しながら前面パネル100を加熱ヒータによって加熱した後、成膜室32に矢印Aのように搬送する。成膜室32では一定の速度で搬送されながら誘電体層13上に保護膜14が形成される。保護膜14の形成が終了した後、前面パネル100はトレイ35とともに基板冷却室33に搬送され、真空中で所定の温度まで冷却した後、基板取出室34に搬送されて取り出され一連の作業が完了する。
成膜室32においては、電子銃42から出射された電子ビーム47を偏向させるとともに複数のビーム照射部49に集束させて、蒸着ハース41上に収納されたMgO粒塊の蒸着材料40に照射する。これにより蒸着材料40が加熱されて蒸発し、上方を移動する前面パネル100の誘電体層13上に保護膜14としての酸化マグネシウム(MgO)膜が堆積される。蒸着ハース41は低速度で回転して、電子ビーム44による蒸着材料40の加熱位置が常に移動するようにして局所的な蒸発消失を防いでいる。
このようにして形成される保護膜14である酸化マグネシウム(MgO)膜の物性は、その成膜過程での酸素欠損や不純物混入により変化する。その物性は成膜室32中の水および水から解離して発生する水素に対して敏感に変化することが確認されている。例えば酸化マグネシウム(MgO)膜において、酸素が欠損したり、H、OH、Cなどの不純物が混入したりすると、酸化マグネシウム(MgO)膜表面のMg原子とO原子との結合に乱れが生じて、結合に関与しない未結合手(ダングリングボンド)ができ2次電子放出係数を劣化させる。2次電子放出係数が劣化すると、放電開始電圧が高くなるとともに、PDP面内での電子放出特性のばらつきが面内の表示ばらつきや表示欠陥を発生させる。このような膜物性の変化によるPDPの表示品位の問題は、パネルサイズの大型化やパネルの高精細化などとともに特に大きな課題となる。
MgO膜の物性に大きな影響を及ぼす水の発生源としては、前面パネル100とともに成膜室32に投入されるトレイ35などに付着した酸化マグネシウム(MgO)膜に吸着している水が考えられる。この水を低減するために前述のように大気中で用いるトレイ35と真空中で用いるトレイ35を別のものとしたり、トレイ35が通過する大気の雰囲気を露点の低いドライな環境にしたりするという方法がとられている。しかしながら、これだけでは完全に水の成膜室32内への持込を防止することは不可能である。
発明者は、酸化マグネシウム(MgO)膜の特性を安定させるためには、成膜室32における酸素分圧に対する他のガスの分圧を一定範囲内とすることが重要であることを見出した。この方法として、成膜室32内に直接的にガスを導入して酸素分圧に対する他のガスの分圧を一定範囲内とする方法も考えられる。しかしながら、ビーム照射部49から飛散する粒子によるガス圧が成膜室32の圧力に比べて一桁程度高いため、蒸着領域内にガスの粒子が入り込む確率が非常に低く、雰囲気制御が十分にできないという問題点がある。
そこで、トレイ35にガスを積極的に付着させて蒸着雰囲気内に導入することで、導入したガスの影響を膜質に有効に反映させることが可能であることがわかった。
したがって、本発明の実施の形態では、予備加熱室31で酸素、窒素、水素、水蒸気、二酸化炭素のうちの少なくとも一つのガスを導入して、トレイ35などに積極的に付着させ、これらを成膜室32内に持ち込ませて、成膜室31内での酸素分圧に対する他のガスの分圧を一定範囲内とするものである。
図4は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の水蒸気導入に対する電子放出特性の結果を示す図であり、成膜室31内に直接水蒸気を導入した場合と、予備加熱室31内に水蒸気を導入した場合の、PDPとしての保護膜14からの電子放出特性である放電遅れ時間特性の結果を示している。電子放出特性の測定方法としては、特開2003−51259号公報で記載された方法を用いている。この結果より、成膜室32に直接水蒸気を導入するよりも、成膜前のステップである予備加熱室31に水蒸気を導入する方が、水蒸気導入の膜質に及ぼす影響の大きいことがわかる。
このような結果に基づき、本発明の実施の形態では、成膜室32での成膜室31内での酸素分圧に対する他のガスの分圧を一定範囲内とするために、成膜前のステップである予備加熱のステップでガス導入を行い、誘電体層13まで形成された前面パネル100やトレイ35に積極的にガスを付着させて成膜室32に導入するものである。
なお、本発明の実施の形態では、予備加熱室31に接続される流量バルブ51と成膜室32に接続される流量バルブ46とは、成膜室32に設けられたガス分析装置44のガス分析結果に基づいてその開度などが制御されるように構成されている。すなわち、成膜室32内でのガス分圧が一定となるように、予備加熱室31に導入するガス流量と成膜室32に導入する酸素粒とを、それぞれの流量バルブ51と流量バルブ46とで制御している。
また、予備加熱室31に導入されるガスの種類は、酸素、窒素、水素、水蒸気、二酸化炭素などが考えられるが、特に、トレイ35に付着した酸化マグネシウム(MgO)に吸着されやすい水蒸気の分圧と酸素の分圧とを一定範囲とするためには、水蒸気を導入ガスとする方がより効果的である。
また、トレイ35への水蒸気の吸着は、トレイ35毎に異なるが、実際の製造工程においては、それらのトレイ35を順次使用するため、すでに成膜室32内に投入されているトレイ35と予備加熱室31に投入されているトレイ35との間には、水蒸気吸着量に相関がある。そのため、それらの相関関係を考慮して、成膜室32でのガス分析結果に基づいて、予備加熱室31に導入するガス量を制御することによって、保護膜の膜質を安定化させる最適な制御が可能となる。
図5は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイの製造方法および製造装置で作成したPDPの放電特性を示す結果であり、縦軸には、成膜室32における酸素分圧に対する酸素以外のガスの総ガス圧を示している。図に示すように、放電遅れ時間の最適な値を1とすると、総ガス圧に対して酸素分圧を変化させると、放電遅れ時間が変化することがわかる。放電遅れ時間が短すぎる、すなわち、酸素分圧に対する総ガス圧が0.5以下では壁電荷の自己消去現象が見られ、逆に、放電遅れ時間が長いと、アドレス不良が発生し画像表示品質を損なう。そのため、本発明では、成膜室32での酸素分圧に対する総ガス圧を0.5倍〜1.5倍となるように、予備加熱室31へのガス導入量を制御している。これらの条件を満たす予備加熱室31へのガス量の実流量を、成膜室32に導入する酸素流量の0.5倍〜1.5倍とすると、成膜室32での酸素分圧に対する総ガス圧を0.5倍〜1.5倍とすることと同等であることを確認している。
なお、成膜装置の構成としては上述したもの以外に、例えば、温度プロファイルの設定条件に応じて、基板投入室30と成膜室32の間に予備加熱室31が一つ以上あるものや、また、成膜室32と基板取出室34の間にある基板冷却室33が一つ以上あるものなどでも構わないし、ガス導入を成膜室32に入る前の予備加熱室31以外に導入しても構わない。
また、前面パネル100に対する成膜膜室32内での酸化マグネシウム(MgO)の蒸着は搬送を停止して静止した状態で行っても搬送しながら行ってもどちらでも構わない。
また、成膜室32に配置される蒸着ハース41、電子銃42、排気ポンプ43などは装置の搬送速度や成膜を行う前面パネル100の大きさなどにより変わるものであり、図2、図3の数と異なるものでも構わない。
また、複数のガスを予備加熱室31に導入する場合、その導入方法としては、個々のガス毎にガス導入手段を設けて導入する方法や、予め、複数のガスを混合する装置を設けて混合した後、ガス導入手段を通じて導入する方法などが挙げられる。
なお、以上の説明においては、保護膜14を酸化マグネシウム(MgO)膜を蒸着で形成する例を用いて説明したが、材料として酸化マグネシウム(MgO)に限るものでなく酸化カルシウム(CaO)や酸化ストロンチウム(SrO)などの金属酸化物を成膜する場合に対しても同様の効果を得ることができる。
本発明によれば、PDPの保護膜として特性の優れた保護膜を安定に製造することができ、大画面表示装置の製造方法、製造装置として有用である。
交流面放電型PDPの構成を示す斜視図 本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイパネルの製造装置である保護膜の製造装置の構成を示す側断面図 同製造装置の真空蒸着室となる成膜室の平面図 同製造装置の水蒸気導入に対する電子放出特性の結果を示す図 同製造装置で作成したPDPの放電特性の結果を示す図
符号の説明
11 前面ガラス基板
12 表示電極対
12a 走査電極
12b 維持電極
13 誘電体ガラス層
14 保護膜
16 背面ガラス基板
17 アドレス電極
18 下地誘電体層
19 隔壁
20 蛍光体層
21 放電空間
30 基板搬入室
31 予備加熱室
32 成膜室
33 基板冷却室
34 基板取出室
40 蒸着材料
41 蒸着ハース
42 電子銃
43,52 排気ポンプ
44 ガス分析装置
45,50 ガス導入口
46,51 流量バルブ
47 電子ビーム
48 シャッター
49 ビーム照射部
100 前面パネル
200 背面パネル

Claims (5)

  1. 基板上に表示電極を形成する電極形成ステップと、前記表示電極を覆って誘電体層を形成する誘電体層形成ステップと、前記誘電体層上に保護膜を形成する保護膜形成ステップとを備え、前記保護膜形成ステップが、前記誘電体層までが形成された前記基板を酸素、窒素、水素、水蒸気、二酸化炭素のうちの少なくとも一つのガス雰囲気中で加熱する予備加熱ステップと、少なくとも酸素を導入しながら前記誘電体層上に前記保護膜を真空蒸着法によって形成する成膜ステップとを含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  2. 前記予備加熱ステップにおいて、前記誘電体層までが形成された前記基板を配置した容器内に酸素、窒素、水素、水蒸気、二酸化炭素のうちの少なくとも一つのガスを導入するとともに、前記ガスの流量を前記成膜ステップにおいて酸素を導入する際の酸素の流量の0.5倍〜1.5倍としたことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  3. 前記成膜ステップにおいて成膜雰囲気のガス成分を検出するガス分析ステップをさらに備え、前記ガス分析ステップのガス分析結果に基づいて前記予備加熱ステップにおいて前記容器内に導入するガス流量を制御することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  4. 表示電極と誘電体層が形成されたガラス基板の前記誘電体層上に保護膜を真空蒸着法によって形成するプラズマディスプレイパネルの製造装置であって、前記ガラス基板を予備加熱する予備加熱室と、前記ガラス基板に保護膜を形成する真空蒸着室と、前記予備加熱室には酸素、窒素、水素、水蒸気、二酸化炭素のうちの少なくとも一つのガスを導入する第1のガス導入手段と、前記第1のガス導入手段におけるガス導入量を制御する第1のガス導入量可変手段とを備え、前記真空蒸着室には少なくとも酸素ガスを導入する第2のガス導入手段と、前記第2のガス導入手段における酸素導入量を制御する第2のガス導入量可変手段とを備えたことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造装置。
  5. 前記真空蒸着室において、前記真空蒸着室内のガス成分を分析するガス分析手段を備え、前記ガス分析手段のガス分析結果に基づいて、前記第1のガス導入量可変手段と前記第2のガス導入量可変手段のうちの少なくとも一つを制御することを特徴とする請求項4に記載のプラズマディスプレイパネルの製造装置。
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