JP2007107400A - エンジンの給油装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】クランクシャフトを回転自在に支承するとともに下部にはオイルが貯留されるクランクケースと、クランクケース内に固定配置されるオイルストレーナと、該オイルストレーナを介してクランクケース内の下部のオイルを吸入するオイルポンプとを備えるエンジンの給油装置において、クランクケースに施すべき加工工数を低減して加工工程を分散し、加工効率の向上を図るとともにオイル温度を低下させることを可能とする。
【解決手段】クランクケース21の一部を覆って該クランクケース21に結合されるクランクケースカバー53に、オイルポンプ68に通じるオイル吸入通路78が設けられ、オイルストレーナ61がクランクケース21とは別部材である接続管79を介してオイル吸入通路78に連通される。
【選択図】 図3

Description

本発明は、クランクシャフトを回転自在に支承するとともに下部にはオイルが貯留されるクランクケースと、前記クランクケース内に固定配置されるオイルストレーナと、該オイルストレーナを介して前記クランクケース内の下部のオイルを吸入するオイルポンプとを備えるエンジンの給油装置に関する。
シリンダ軸線を含む平面で一対のケース半体が相互に結合されて成るクランクケース内に、一方のケース半体で支持されるオイルストレーナが配置され、一方のケース半体に、オイルポンプが取付けれるとともにオイルストレーナおよびオイルポンプ間を結ぶオイル吸入通路が設けられるようにした給油装置が、たとえば特許文献1によって既に知られている。
特開平11−311126号公報
ところが、上記特許文献1で開示された給油装置では、クランクケースを相互に構成する一対のケース半体の一方に、オイル吸入通路形成のための加工を施さねばならず、クランクケースへの加工が集中しており、加工効率が優れているとは言い難い。しかもクランクケースに設けられるオイル吸入通路を通る間にシリンダブロック側からの熱がオイルの温度に影響を及ぼしている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、クランクケースに施すべき加工工数を低減して加工工程を分散し、加工効率の向上を図るとともにオイル温度を低下させることを可能としたエンジンの給油装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、クランクシャフトを回転自在に支承するとともに下部にはオイルが貯留されるクランクケースと、前記クランクケース内に固定配置されるオイルストレーナと、該オイルストレーナを介して前記クランクケース内の下部のオイルを吸入するオイルポンプとを備えるエンジンの給油装置において、前記クランクケースの一部を覆って該クランクケースに結合されるクランクケースカバーに、前記オイルポンプに通じるオイル吸入通路が設けられ、前記オイルストレーナが前記クランクケースとは別部材である接続管を介して前記オイル吸入通路に連通されることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記クランクケースカバーは、平板状の端壁部を有して有底筒状に形成され、前記オイル吸入通路の少なくとも一部が前記端壁部内に形成されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の構成に加えて、前記オイルポンプが、前記クランクケースカバーの内面に取付けられることを特徴とする。
さらに請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記オイル吸入通路の少なくとも一部が、型成形される前記クランクケースカバーの型抜き方向と同一方向に延びて形成されることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、クランクケースの一部を覆って該クランクケースに結合されるクランクケースカバーにオイル吸入通路が設けられ、オイルストレーナおよびオイル吸入通路間が、クランクケースとは別部材である接続管を介して連通されるので、クランクケースに施すべき加工工数を低減して加工工程を分散して加工効率の向上を図ることができ、またオイル吸入通路を流通するオイルにシリンダブロック側からの熱による影響が及ぶことを回避してオイル温度を低下することができる。
また請求項2記載の発明によれば、オイル吸入通路を流通するオイルを、クランクケースカバーの外面が触れている外気で冷却することが可能となる。
請求項3記載の発明によれば、オイルポンプをクランクケースとは離間して配置した構造のため、オイルポンプにクランクケースからの熱の影響が及び難く、ひいてはオイルの温度上昇を避けることができる。
さらに請求項4記載の発明によれば、クランクケースカバーの型成形時にオイル吸入通路の少なくとも一部を同時に形成することができ、加工工数の低減が可能となる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
図1〜図5は本発明の一実施例を示すものであり、図1はスクータ型自動二輪車の左側面図、図2はエンジンの要部右側面図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図3の4−4線に沿うエンジンの縦断面図、図5は図2の5−5線断面図である。
先ず図1において、スクータ型自動二輪車の車体フレームFは、前輪WFを軸支するフロントフォーク11を操向可能に支承するヘッドパイプ12から後下がりに延びてステップフロア15を支持する前部フレーム13と、前部フレーム13の後部から後上がりに延びて乗員用シート16を支持する後部フレーム14とから成る。車体フレームFには、エンジンEと、該エンジンEの動力を無段階に変速して後輪WRに伝達するベルト式の無段変速機Mとから成るパワーユニットPが懸架リンク17を介して上下揺動可能に懸架され、後部フレーム14およびパワーユニットP間には、パワーユニットPの上下揺動を緩衝するリヤクッション18が設けられる。
図2〜図4を併せて参照して、前記エンジンEのエンジン本体20は、クランクケース21と、前傾姿勢でクランクケース21の前端に結合されるシリンダブロック22と、シリンダブロック22の前端に結合されるシリンダヘッド23と、シリンダヘッド23に結合されるヘッドカバー24とを備える。また図1で明示するように自動二輪車の進行方向前方を向いた状態でクランクケース21の左側面には前記無段変速機Mを収納する変速機ケース25が結合されており、クランクケース21から後方に延びる変速機ケース25の後部に後輪WRが軸支される。
シリンダブロック22にはクランクケース21内まで延びる円筒状のシリンダライナ26が結合されており、該シリンダライナ26にピストン27が摺動自在に嵌合される。一方、自動二輪車の幅方向に延びる軸線を有するクランクシャフト28がクランクケース21に回転自在に支承されており、このクランクシャフト28は、軸方向に間隔をあけて対向する一対のクランクウエブ28a,28bと、それらのクランクウエブ28a,28b間を結ぶクランクピン28cとを一体に有し、前記クランクピン28cに、前記ピストン27がコネクティングロッド29を介して連結される。
図4に注目して、前記ピストン27の頂部を臨ませる燃焼室31がシリンダブロック22およびシリンダヘッド23間に形成されており、前記燃焼室31に通じ得る吸気ポート32がシリンダヘッド23の上部側面に開口するようにしてシリンダヘッド23に設けられ、前記燃焼室31に通じ得る排気ポート33がシリンダヘッド23の下部側面に開口するようにしてシリンダヘッド23に設けられる。
またシリンダヘッド23には、前記吸気ポート32から前記燃焼室31への混合気の流入を制御する吸気弁34と、前記燃焼室31から前記排気ポート33への排ガスの流通を制御する排気弁35とが開閉作動可能に配設されており、吸気弁34および排気弁35を開閉駆動する動弁機構36が、シリンダヘッド23およびヘッドカバー24間に形成された動弁室37に収納される。
而して前記動弁機構36は、前記クランクシャフト16から1/2の減速比で伝達される動力によって回転するカムシャフト38と、該カムシャフト38に設けられる吸気側カム39に従動して揺動することで吸気弁34を開閉駆動する吸気側ロッカアーム40と、前記カムシャフト38に設けられる排気側カム41に従動して揺動することで排気弁35を開閉駆動する排気側ロッカアーム42とを備える。
而して図1で示すように、前記吸気ポート32に通じる吸気管43がシリンダヘッド23の上部側面に接続されており、この吸気管43は、変速機ケース25の上方に配置されるエアクリーナ44に気化器45を介して接続される。
前記クランクケース21は、シリンダ軸線すなわちシリンダライナ26の軸線を含むとともにクランクシャフト28の軸線に直交する平面PLに沿う結合面で分割可能に結合される一対のケース半体21a,21bから成るものであり、クランクシャフト28は、該クランクシャフト28が一体に備える一対のクランクウエブ28a,28bの外方で前記クランクケース21の両ケース半体21a,21bにリング状のメタル軸受48,49を介して回転自在に支承される。またコネクティングロッド29の大端部29aはクランクシャフト28のクランクピン28cにリング状のメタル軸受50を介して連結される。
左側のケース半体21aから突出したクランクシャフト28の一端部には、無段変速機Mの一部を構成するドライブプーリ51が装着されており、このドライブプーリ51へのベルトの巻掛け半径は、クランクシャフト28の回転速度に応じた重錘52の変位によって変化する。
また右側のケース半体21bには、クランクケース21の右側面を覆うクランクケースカバー53が結合されるものであり、該クランクケースカバー53は、平板状の端壁部53aを有して有底筒状に形成され、クランクケースカバー53の開口端がクランクケース21におけるケース半体21bに結合される。
クランクケース21内には、クランクシャフト28における両クランクウエブ28a,28bおよびクランクピン28cを収容するクランク室54が形成されており、クランクケース21に設けられる隔壁55を前記クランク室54との間に介在させたオイル貯留室56が、前記クランクケース21の下部および前記クランクケースカバー53で形成される。
前記隔壁55の下部には、クランク室54内の下部に落下したオイルを収集するオイル収集孔57が設けられるとともに、オイル収集孔57からオイル貯留室56へのオイルの流通だけを許容するリード弁58が配設される。而してオイル貯留室56内にはオイルが貯留されることになる。
前記クランクケース21をケース半体21aとともに構成するケース半体21bの下部において前記オイル貯留室56の一部を構成する部分内には、オイルストレーナ61が固定配置される。このオイルストレーナ61は、相互に結合される下部ケース62および上部ケース63間に濾過部材64が挟持されて成るものであり、吸入管65がその下端開口部すなわち吸入口66を下方に向けて開口するようにして下部ケース62に一体に形成される。しかも吸入口66は、シリンダ軸線を含むとともにクランクシャフト28の軸線に直交する平面PLの近傍すなわちクランクケース21における両ケース半体21a,21bの結合面の近傍に配置される。
オイル貯留室56内のオイルは前記オイルストレーナ61を介してオイルポンプ68で吸入されるものであり、このオイルポンプ68は、クランクシャフト28と同軸にしてクランクケースカバー53における端壁部53aの内面に取付けられる。
図5を併せて参照して、オイルポンプ68は、トロコイド式のものであり、クランクケースカバー53における端壁部53aの内面ならびに該端壁部53aに締結されるポンプケース69間に、ポンプ軸70に固定されるインナーロータ71と、該インナーロータ71に噛み合うアウターロータ72とが収納されて成り、ポンプケース69を回転自在に貫通するポンプ軸70の一端部がクランクシャフト28の他端部に同軸にかつ相対回転不能に連結される。すなわちオイルポンプ68は、クランクシャフト28で回転駆動されることになる。
ところで前記オイルポンプ68の内方側で前記クランクシャフト28には、発電機73のアウターロータ74が固定される。またアウターロータ74とともに発電機73を構成するインナーステータ75が前記ポンプケース69に固定される。また前記アウターロータ74には一方向クラッチ76を介してギヤ77が連結されており、このギヤ77は、図示しない始動用モータに連動、連結される。
前記クランクケースカバー53には、前記オイルポンプ68に通じるオイル吸入通路78が設けられ、オイルストレーナ61は、クランクケース21とは別部材である接続管79を介して前記オイル吸入通路78に連通される。
クランクケースカバー53の端壁部53aには、オイルストレーナ61側に延びる管部53bが一体に設けられる。また前記接続管79は、オイルストレーナ61における上部ケース63に一体に形成されるものであり、接続管79の先端部が前記管部53bの先端部に液密に嵌合される。
前記オイル吸入通路78は、前記管部53b内に形成されて前記接続管79内に通じる上流側通路部78aと、クランクケースカバー53の端壁部53a内に形成される下流側通路部78bとから成るものであり、下流側通路部78bは、前記上流側通路部78aとオイルポンプ68の吸込み口80とを結ぶように直線状に延びて端壁部53a内に形成される。
しかもクランクケースカバー53は、鋳造等による型成形で形成されるものであり、前記上流側通路部78aは、型成形されるクランクケースカバー53の型抜き方向90と同一方向に延びるように形成される。また下流側通路部78bは、型成形後にオイルポンプ68とは反対側からの穿孔加工により形成されるものであり、下流側通路部78bのオイルポンプ68とは反対側の端部開口部は蓋部材91で閉じられる。
而してオイル吸入通路78の少なくとも一部、この実施例では下流側通路部78bがクランクケースカバー53の端壁部53a内に形成され、オイル吸入通路78の少なくとも一部、この実施例では上流側通路部78aが、型成形されるクランクケースカバー53の型抜き方向90と同一方向に延びて形成されることになる。
オイルポンプ68の吐出口81は、図5で明示するように、クランクケースカバー53における端壁部53aの外面に取付けられたオイルフィルタ82に接続されており、このオイルフィルタ82で浄化されたオイルは、クランクケースカバー53の前部側面に取付けられたオイルクーラ83に前記端壁部53aに設けられたオイル通路84を経て導かれる。またオイルクーラ83で冷却されたオイルは、クランクシャフト28の軸線と平行に延びてクランクケース21に設けられるメインギャラリー86に、クランクケースカバー53に設けられたオイル通路85を経て導かれる。
またメインギャラリー86に導かれたオイルは、クランクケース21に設けられた一対のオイル通路87,88から上方に送られ、クランクシャフト28を支承するメタル軸受48,49の潤滑に用いられる。さらにクランクシャフト28には、クランクピン28cおよびコネクティングロッド29間のメタル軸受50側に、前記メタル軸受49側からオイルを導くオイル通路89が設けられる。
次にこの実施例の作用について説明すると、クランクケース21の一部を覆って該クランクケース21に結合されるクランクケースカバー53に、オイルポンプ68に通じるオイル吸入通路78が設けられ、オイルストレーナ61がクランクケース21とは別部材である接続管79を介してオイル吸入通路78に連通されるので、クランクケース21を構成する一対のケース半体21a,21bに施すべき加工工数を低減して加工工程を分散して加工効率の向上を図ることができ、またオイル吸入通路78を流通するオイルにシリンダブロック22側からの熱による影響が及ぶことを回避してオイル温度を低下することができる。
またクランクケース21内に固定配置されるオイルストレーナ61の吸入口66は、シリンダ軸線を含むとともにクランクシャフト28の軸線に直交する平面PLの近傍に配置されており、スクータ型自動二輪車の旋回時やエンジン本体21の振動によってオイル貯留室56内のオイルの上面が左右に多少傾動しても、吸入口66が空気を吸い込むことを防止することができる。
またクランクケースカバー53は、平板状の端壁部53aを有して有底筒状に形成されるものであり、オイル吸入通路78の少なくとも一部、この実施例では下流側通路部78bが端壁部53a内に形成されるので、オイル吸入通路78を流通するオイルを、クランクケースカバー53の外面が触れている外気で冷却することが可能となる。
またオイルポンプ68が、クランクケースカバー53における前記端壁部53aの内面に取付けられるので、オイルポンプ68をクランクケース21とは離間して配置した構造とすることができ、それによりオイルポンプ68にクランクケース21からの熱の影響が及び難くなり、ひいてはオイルの温度上昇を避けることができる。
さらにオイル吸入通路78の少なくとも一部、この実施例では上流側通路部78aが、型成形されるクランクケースカバー53の型抜き方向90と同一方向に延びて形成されるので、クランクケースカバー53の型成形時にオイル吸入通路78の少なくとも一部(この実施例では上流側通路部78a)を同時に形成することができ、加工工数の低減が可能となる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
スクータ型自動二輪車の左側面図である。 エンジンの要部右側面図である。 図2の3−3線断面図である。 図3の4−4線に沿うエンジンの縦断面図である。 図2の5−5線断面図である。
符号の説明
21・・・クランクケース
28・・・クランクシャフト
53・・・クランクケースカバー
53a・・・端壁部
61・・・オイルストレーナ
68・・・オイルポンプ
78・・・オイル吸入通路
79・・・接続管
90・・・型抜き方向

Claims (4)

  1. クランクシャフト(28)を回転自在に支承するとともに下部にはオイルが貯留されるクランクケース(21)と、前記クランクケース(21)内に固定配置されるオイルストレーナ(61)と、該オイルストレーナ(61)を介して前記クランクケース(21)内の下部のオイルを吸入するオイルポンプ(68)とを備えるエンジンの給油装置において、前記クランクケース(21)の一部を覆って該クランクケース(21)に結合されるクランクケースカバー(53)に、前記オイルポンプ(68)に通じるオイル吸入通路(78)が設けられ、前記オイルストレーナ(61)が前記クランクケース(21)とは別部材である接続管(79)を介して前記オイル吸入通路(78)に連通されることを特徴とするエンジンの給油装置。
  2. 前記クランクケースカバー(53)は、平板状の端壁部(53a)を有して有底筒状に形成され、前記オイル吸入通路(78)の少なくとも一部が前記端壁部(53a)内に形成されることを特徴とする請求項1記載のエンジンの給油装置。
  3. 前記オイルポンプ(68)が、前記クランクケースカバー(53)の内面に取付けられることを特徴とする請求項1または2記載のエンジンの給油装置。
  4. 前記オイル吸入通路(78)の少なくとも一部が、型成形される前記クランクケースカバー(53)の型抜き方向(90)と同一方向に延びて形成されることを特徴とする請求項1記載のエンジンの給油装置。
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