JP2007106348A - スクータ型車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】快適性の向上や、重心位置の自由度を向上させて様々な車両のコンセプトへの幅広い対応が図られたスクータ型車両を提供する。
【解決手段】車体カバーの内部にヘッドパイプと着座シートの前端との間を略水平方向に延びて設けられた左右一対のフレーム部材を備え、左右の足載せ板を車体カバーの左右外側に設け、エンジンを左右のフレーム部材の間に設け、シリンダブロックのシリンダ軸を前後方向に延びて設け、クランクシャフトの中心軸を左右方向に延びて設け、側面視において左右の足載せ板の上面よりも上方に位置させて設けている。
【選択図】図8

Description

本発明は、着座シートの下方に左右の足載せ板と車体カバーとを備え、車体カバーの内部にエンジンが配設されたスクータ型車両に関する。
スクータ型車両などの二輪車では、高速走行時などの乗り心地を向上させるためや、車体を傾ける必要がある旋回性を向上させるため、車両の重心位置の最適化が必要とされている。二輪車の中ではエンジンが重量物になっており、エンジンの構造物の中で特に重量の大きい部材としてクランクシャフトなどが挙げられる。
スクータ型車両は、車両の前後中央部に配置される運転者用の着座シートの下部に、足載せ板と車体カバーとを備え、エンジンがこの車体カバーの内部に配設されている。従来、並列型(いわゆる「横置き」)の2気筒エンジンを搭載した大型のスクータ型車両が知られている(例えば、特許文献1参照)が、より快適な運転環境で走行させるための一つの手法として、さらなる多気筒化が望まれている。
大型のスクータ型車両では、足載せ板が左右一対に分かれて設けられることがあり、これら左右の足載せ板はそれぞれ車体カバーの左右外側を前後に延びて設けられる。このような形態において運転者は、運転者用の着座シートに着座し、車体カバーを跨ぐようにして左右の足をそれぞれの足載せ板に載せ置いた姿勢になって車両を操縦する。
特開2003−335284号公報
スクータ型車両は、運転者が無理せず両足を足載せ板に載せ置けるように設計される必要がある。このように安定した運転姿勢を確保するため、スクータ型車両は、着座シートに対する足載せ板の上下位置が制約を受けるとともに、車体カバーの左右方向長さ(左右の足載せ板の間隔)が制約を受けることになる。
例えば特許文献1によると、左右方向にシリンダ室が並ぶ2気筒エンジンが配設された従来のスクータ型車両では、重量物であるクランクシャフトの中心軸位置が足載せ板とほぼ同じ高さにある。このため、車両の重心位置が足載せ位置の近くの比較的低い位置となっているが、旋回性や快適性などに対する車両コンセプトによっては、比較的高い重心位置が好ましいとされる場合がある。さらに、このように足載せ板の近傍にクランクシャフトなどのエンジンの稼動部が配設されていると、走行時に稼動部の振動が足載せ板に伝わりやすくなる場合があり、運転者の足への振動低減も課題となる。
このような課題に鑑み、本発明は、幅広く様々なコンセプトへの対応が図られたスクータ型車両を提供することを目的とする。
上記目的達成のため、本発明に係るスクータ型車両は、着座シートの下方に左右の足載せ板と車体カバーとを備え、車体カバーの内部にエンジンが配設されたスクータ型車両において、車両の前端部に略上下方向に延びて設けられたヘッドパイプと、車体カバーの内部にヘッドパイプと着座シートの前端との間を略水平方向に延びて設けられた左右一対のフレーム部材とを備え、左右の足載せ板を車体カバーの左右外側に設け、エンジンをピストンと、ピストンと連動して回転するクランクシャフトと、内部に形成されたシリンダ室にピストンを摺動自在に収容するシリンダブロックとから構成し、このエンジンを左右のフレーム部材の間に設け、シリンダブロックのシリンダ軸を前後方向に延びて設け、クランクシャフトの中心軸を左右方向に延びて設け、側面視において左右の足載せ板の上面よりも上方に位置させて設けている。
また、ピストンと、クランクシャフトと、ピストンおよびクランクシャフトに連結されたコンロッドとから構成されるエンジンの稼動部を、足載せ板の上面よりも上方に位置して設けることが好ましい。なお、シリンダブロックの内部に3つのシリンダ室を並んで形成し、これらシリンダ室のそれぞれにピストンを配設し、シリンダブロックを、3つのシリンダ室を左右方向に並べ、左右のフレーム部材の間に左右のフレーム部材のそれぞれに近接して設けることが好ましい。
また、シリンダブロックと、シリンダブロックの後方に結合されて内部にクランクシャフトを回転自在に収容するクランクケースとにより、一体のユニットハウジングを構成し、クランクケースに、クランクシャフトからの動力が伝達されて回転する入力軸と、入力軸からの動力が伝達されて回転して後輪に出力する出力軸とから構成される動力伝達機構を配設し、入力軸をクランクシャフトの後方に設け、出力軸を入力軸の下方に設けることが好ましい。そして、シリンダブロックの前方に結合されてピストンとともに燃焼室を形成するシリンダヘッドを備えてユニットハウジングを構成し、燃焼室と外部とを連通して燃焼室内のガスを外部に排出するための排気管を、車体カバーの内部において、シリンダヘッドから下方に延びて設けることが好ましい。
また、エンジンの前端に設けられるヘッドカバーを、左右のフレーム部材の間に左右のフレーム部材のそれぞれに近接して設け、エンジンの冷却水を冷却するためのラジエータを、車体カバーの内部において、ヘッドカバーの下方に設けることが好ましい。
このように構成される本発明に係るスクータ型車両によると、クランクシャフトの中心軸が側面視において足載せ板の上面よりも上方に配置される。このように、エンジンの構造物の中で重量物とされるクランクシャフトが足載せ板よりも高い位置に配置されるため、従来の形態と比べてエンジンの重心位置を高くすることができ、車両の重心位置の高位置化が図られることにより、幅広く様々なコンセプトへの対応が図られる。
また、クランクシャフトとともにピストンおよびコンロッドなどのエンジンの稼動部を左右の足載せ板の上面より上方に配置すると、従来のように足載せ板とほぼ同じ高さに稼動部を配置する形態と比べ、足載せ板と稼動部とが遠ざかり、エンジンの稼動に伴う振動が足載せ板に伝わりにくくなる。このため、足に伝わる振動が低減され、快適性の向上が図られる。
また、シリンダブロックに3つのシリンダ室を設け、シリンダブロックを左右のフレーム部材の間に左右のフレーム部材のそれぞれに近接して設けると、エンジンの要求排気量が3気筒に分散され、静粛性の向上や動力性能の向上が図られる。
なお、クランクシャフトの中心軸が従来と比べて高い位置に配置されるため、クランクシャフトの下方には所定のデッドスペースが形成されることになる。ここで、シリンダブロックとクランクケースとから一体のユニットハウジングを構成し、クランクケースの内部に動力伝達機構の入力軸および出力軸を配置することにより、このデッドスペースを有効利用できる。また、クランクシャフトの中心軸が高く配置されることによりエンジン側と後輪側とで高低差が生じるが、スペースを有効利用した軸配置により、この高低差を解消して高位置側のエンジンからの動力を低位置側の後輪に効率よく伝達できるパワーユニット(エンジンおよび動力伝達機構)を構成できる。また、この軸配置により、パワーユニットの前後方向への小型化が図られる。
また、シリンダブロックの前方に結合されるシリンダヘッドから下方に延びて排気管を設けると、同様にエンジンの下方に形成されるスペースを利用して排気管の取り回し空間を広く確保できる。したがって、排気性能の向上が図られ、エンジンの動力性能の向上が図られる。
また、ヘッドカバーを左右のフレーム部材の間にフレーム部材に近接させて設け、このヘッドカバーの下方にラジエータを設けると、同様にエンジンの下方に形成されるスペースが有効利用され、エンジンの小型化が図られる。また、前端に位置するヘッドカバーがフレーム部材間を塞ぐように配設されることから、車両前方からの走行風をラジエータ側に流すことができ、冷却性能の向上が図られる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。なお、図中の矢印Uの向きを上方、矢印Fの向きを前方、矢印Rの向きを右方として説明する。図8には、本発明に係るスクータ型車両である二輪車MCの左側面図を示しており、図9には二輪車のフレーム構造を部分的に示している。
二輪車MCは、車両前端部に設けられたヘッドパイプ201と、ヘッドパイプ201から後方に延びる左右一対のアッパメンバ202と、アッパメンバ202から枝分かれして下方に一体に延びて成形されてエンジンEを内方に配置させる左右一対のダウンメンバ203と、結合部202aを介してアッパメンバ202に結合され、アッパメンバ202の上部から後方斜め上方に延びて設けられる左右一対のシートレール204と、シートレール204を下方から支持するサポートフレーム205と、アッパメンバ202の上部から後方に延びてステップフロアを載せるフロアブラケット206とから構成されるフレーム構造を有して構成される。
また、二輪車MCは、ヘッドパイプ201に操舵自在にフロントフォーク207が取り付けられる。フロントフォーク207の下端には前輪211が回動自在に取り付けられ、上端には操舵用ハンドル208が取り付けられる。アッパンメンバ202には後輪揺動ピボット軸213が取り付けられており、このピボット軸213と後輪212とにリアフォーク209が枢結され、リアフォーク209が揺動自在になるとともに後輪212が回動自在になる。それぞれ左右一対とされるアッパメンバ202とダウンメンバ203とにより挟まれた空間には、エンジンEが配置される。
図10に示すように、フロアブラケット206は、アッパメンバ202から左右且つ斜め下方に延びて設けられた前部サブパイプ206a,206aと、前部サブパイプ206aから斜め後方且つ斜め下方に延びて設けられたメインパイプ206b,206bと、メインパイプ206bの後端部とアッパメンバ202の後端部との間を連結した後部サブパイプ206c,206cとから構成されて左右一対になっている。左右のメインパイプ206b,206bのそれぞれに所定のフロア部材が被せられ、左右一対のステップフロア215が成形される。
このようなフレーム構造を有する二輪車には、フレーム構造を覆ってカバー部材220が取り付けられる。カバー部材220は、ヘッドパイプ201などの前部を覆う前部カバー部材221と、この前部カバー部材221の後方に備える中間部カバー部材222と、この中間部カバー部材222の後方に備えられて車両後方部を覆う後部カバー部材223と、後部カバー部材223の上部に着脱自在に取り付けられ、シートレール204の上方に位置する着座シート部材224とから構成される。
中間部カバー部材222は、アッパメンバ202およびダウンメンバ203を覆うように取り付けられており、内部にパワーユニットPUを収容する。また、前部カバー部材221は前輪211の上部を覆うように取り付けられており、二輪車MCが走行状態になると、図8に破線矢印で示す前方からの走行風Wが、前部カバー部材221と前輪211との間を抜け、中間カバー部材222の内部に導入されるようになっている。
着座シート部材224は、前方に形成された運転者用シート224aと、運転者用シート224aの後方に形成された同乗者用シート224bとを備えるタンデム型シートになっている。ステップフロア215は、フレーム構造を構成するフロアブラケット206の上方に取り付けられて左右一対になっており、着座シート部材224に着座した運転者および同乗者が走行時に足を載せ、安定した走行姿勢を確保させる。また、着脱自在の着座シート224の下側には、ヘルメットなどを収容するための収容ボックスが形成されている。
このような二輪車MCに搭載されるパワーユニットPUについて図1〜図7を参照して説明する。パワーユニットPUは、エンジンEと動力伝達機構TMとからなる。また、パワーユニットPUは、ヘッドカバー1と、シリンダヘッド2と、シリンダブロック3と、ロアケース4と、サイドカバー5と、ベベルギヤケース6とから構成され、これら各部材が結合されて一体のユニットハウジングHを成形する。なお、ヘッドカバー1と、シリンダヘッド2と、シリンダブロック3と、ロアケース4と、サイドカバー5とからエンジンE側のハウジングが形成され、ロアケース4と、サイドカバー5と、ベベルギヤケース6とから動力伝達機構TM側のハウジングが形成されており、ロアケース4によりエンジン側のハウジングと動力伝達機構側のハウジングとが一体になっている。
シリンダブロック3は、左右に並ぶ3つのシリンダボア3a,3b,3cを内部に形成するシリンダ部3Aと、上下割りのクランクケース12Aの上側ケース半体である上クランクケース部3Bとが一体の大型のハウジング部材になっている。シリンダブロック3は、シリンダ軸11Aを前傾させて配設され、シリンダ部3Aを前方に位置させ、上クランクケース部3Bを後方に位置させる。各シリンダボア3a〜3cには、ピストン11がシリンダ軸11A方向に摺動自在に配設される。
ロアケース4は、上下割りのクランクケース12Aの下側ケース半体である下クランクケース部4Aと、動力伝達機構TMを内部に収容する変速機ケース部4Bとが一体の大型のハウジング部材になっており、下クランクケース部4Aが上クランクケース部3Bに接合してシリンダブロック3の後方に結合される。このように、本構成例のクランクケース12Aは、シリンダブロック3の上クランクケース部3Bとロアケース4の下クランクケース部4Bとからなり、クランクケース12Aの内部にクランク室12Bが形成され、このクランク室12Bにクランクシャフト12が収容されて回転自在に支持される。なお、シリンダブロックの上クランクケース部3Bと、ロアケース4の下クランクケース部4Aおよび変速機ケース部4Bとは、右側面が開放されており、サイドカバー5がこれらの右側面を覆って結合される。
シリンダブロック3およびロアケース4は、シリンダ軸11Aが鉛直方向に延びる向きではシリンダブロック3とロアケース4との接合面12Cが水平方向に延びて形成されるが、本構成例ではシリンダ軸11Aが略水平方向に前傾されるため、接合面12Cが側面視において後上方から前下方に向けて傾斜して略上下方向に延びて形成される。クランクシャフト12は、中心軸12dが左右方向に延びて配設されており、中心軸12dを接合面12C上に位置させて配置される。
図3に示すように、クランクシャフト12は、ウェブ12bを一体に成形した4つのジャーナル12aと、ウェブ12b,12b間を連結する3つのクランクピン12cとから構成され、エンジンEの構成部材の中では特に重量物になっている。ピストン11は、コンロッド13を介して対応するクランクピン12cと連結されている。これにより、ピストン11の往復動するとコンロッド13が揺動してクランクシャフト12が連動して回転してエンジンEが稼動する。このように、ピストン11と、クランクシャフト12と、コンロッド13とから、エンジンEの稼動部が構成される。
なお、本構成例のエンジンEは、シリンダ軸11Aがクランクシャフト12の中心軸12dと交差しないように設定されたオフセットクランク式に構成されており、パワーユニットPUを車両に配設することにより、側面視においてシリンダ軸11Aがクランクシャフト12の中心軸12dに対して上方を前後方向に延びるようになっている。したがって、シリンダ軸11Aの延長線がクランクシャフト12の中心軸12dと交わる形態のエンジンEと比べ、クランクシャフト12の中心軸12dに対するシリンダボア3a〜3cの位置が高くなる。
さらに、クランクシャフト12の中心軸12dは、側面視においてステップフロア215の上面よりも上方に位置するようにしてパワーユニットPUが配設される。そして、クランクシャフトの上方をシリンダ軸11Aが延びるようになっているとともに、シリンダ軸11Aは前傾されるものの完全に水平になるまでは傾けられておらず、前方に向かうにつれて上方に向けて延びている。このため、ピストン11およびコンロッド13は、クランクシャフト12よりもさらに上方に位置し、ステップフロア215からさらに遠ざかった位置に配設される。このように本構成例のエンジンEの稼動部は、全体的にステップフロア215の上面よりも上方に設けられている。
シリンダブロック3のシリンダ部3Aの前部には、シリンダヘッド2が結合される。シリンダヘッド2の内壁面と、ピストン11の上面と、シリンダボア3a〜3cの内周面とにより囲まれて3つの燃焼室9が形成される。シリンダヘッド2には、図示しない点火プラグが先端部を各燃焼室9に臨ませた状態で取り付けられる。
シリンダヘッド2には、各燃焼室9に開口する吸気口21および排気口24が形成されている。また、シリンダヘッド2の内部には、一端が吸気口21に連通されて他端が外部に連通される吸気通路22と、一端が排気口24に連通されて他端が外部に連通される排気通路25とが形成されている。吸気通路22の外部接続口23には、図示しない吸気マニホールドが取り付けられる。吸気マニホールドには燃料噴射弁を備えた吸気装置およびエアクリーナが取り付られる。排気通路25の外部接続口26には、U字状に成形された排気マニホールド27がシリンダヘッド2の下方に延びて取り付けられる。
シリンダヘッド2の前部にはヘッドカバー1が結合され、ヘッドカバー1およびシリンダヘッド2により囲まれて動弁室10が形成される。動弁室10には、吸気口21を開閉する吸気バルブ14おおび排気口24を開閉する排気バルブ15が設けられる。両バルブ14,15は、バルブスプリング14a,15aにより、常には吸気口21および排気口24を閉じる方向に付勢されている。
動弁室10には、シリンダヘッド2とヘッドカバー1との間にカムシャフトホルダ7が介設されており、カム18,19が一体に成形された吸気および排気カムシャフト16,17が、シリンダヘッド2およびカムシャフトホルダ7により挟まれて回転自在に支持される。吸気カムシャフト16のカム18は吸気バルブ14の上端に当接し、排気カムシャフト17のカム19は排気バルブ15の上端に当接している。両カムシャフト16,17が回転すると、吸気および排気バルブ14,15がカム18,19によりバルブスプリング14a,15aの付勢力に抗して押し下げられ、吸気バルブ14が吸気口21を開放して排気バルブ15が排気口24を開放する。吸気口21が開放されると吸気装置からの混合気が燃焼室9に供給され、排気口24が開放されると燃焼室9の内部のガスが排気通路26に導かれて外部に排出される。
両カムシャフト16,17は、クランクシャフト12の回転がカム伝動機構30により伝達されて回転する。図2,図5に示すようにカム伝動機構30は、クランクシャフト12の回転をアイドルシャフト32に設けられたアイドルギヤ列33により伝達し、さらにアイドルギヤ列33の回転をチェーン伝動機構により両カムシャフト16,17に伝達するように構成されている。
本構成例では、アイドルシャフト32は、回転軸である第1アイドルシャフト34と、固定軸である第2アイドルシャフト35とからなる。アイドルギヤ列33は、第1アイドルシャフト34に設けられてカムドライブギヤ31と噛合する第1アイドルギヤ36と、第1アイドルシャフト34に設けられた第2アイドルギヤ37と、第2アイドルシャフト35上を回転自在に設けられて第2アイドルギヤ37と噛合する第3アイドルギヤ38とからなる。また、チェーン伝動機構は、第2アイドルシャフト34に設けられて第3アイドルギヤ38とともに回転するカムドライブスプロケット39と、両カムシャフト16,17にそれぞれ設けられたカムドリブンスプロケット40,41と、3つのスプロケット39〜41の間に掛け渡されたカムチェーン42とからなる。
カム伝動機構30は、カムドライブギヤ31、アイドルギヤ列33、3つのスプロケット39〜41の回転比に応じて、クランクシャフト12が二回転すると両カムシャフト16,17を一回転させる。なお、第1アイドルシャフト34はクランクシャフト12と同一の回転速度で回転し、第2アイドルギヤ37の回転が第3アイドルギヤ38に1/2の回転速度で伝達される。カムチェーン42は、右シリンダボア3cの右方に位置してシリンダブロック3およびシリンダヘッド2の内部を連通して形成されたチェーン室30aの内部に配設される。このように第2アイドルシャフト35がクランクシャフト12の下方に位置していることから、チェーン室30aは、右シリンダボア3cの側方において下方に偏位して配置されており、チェーン室30aのオフセットにより右シリンダボア3cの右上方に形成されたスペースには、ブリーザ室46が形成されている。
アイドルシャフト32はクランクシャフト12に対して下方に位置し、第2アイドルシャフト35は第1アイドルシャフト34に対して前方に位置する。クランクシャフト12は、クランクケース12Aの接合面12Cに形成された4つのクランクジャーナル部12Dによりジャーナル12aが支持されて回転自在になっており、中心軸12dを接合面12C上に位置させている。また、第1アイドルシャフト34は、クランクケース12Aの接合面12Cの左右両端に形成されたアイドルジャーナル部12Eにより支持されて回転自在になっており、クランクシャフト12と同様に中心軸34dを接合面12C上に位置させている。このように、クランクシャフト12および第1アイドルシャフト34は、上下クランクケース部3B,4Aにより挟まれて支持されている。
また、図5に示すようにシリンダブロック3の上クランクケース部3Bの内部空間には、エンジンEを始動させるための始動装置50が設けられる。始動装置50は、電動のスタータモータ51を有し、減速ギヤ列52によりスタータモータ51の駆動力をクランクシャフト12に伝達するように構成されている。
スタータモータ51は、シリンダブロック3の左側面に形成されたモータ取付孔3dに嵌着されてシリンダブロック3に取り付けられ、出力軸をシリンダブロック3の内部に位置させている。減速ギヤ列52は、スタータモータ51の出力軸に取り付けられたスタータピニオン53と、スタータドライブギヤ55、スタータアイドルギヤ56およびスタータドリブンギヤ57からなるスタータギヤ列54とから構成される。スタータギヤ列54は、第1および第2アイドルシャフト34,35に設けられている。スタータドリブンギヤ57は、第1アイドルシャフト34に設けられたワンウェイクラッチ58に取り付けられている。
このような始動装置50によると、ハンドル近傍のセルスイッチの操作によりスタータモータ51が駆動されてスタータピニオン53が回転し、スタータギヤ列53を介して第1アイドルシャフト34を回転させる。第1アイドルシャフト34が回転すると、第1アイドルギヤ36およびカムドライブギヤ31が回転し、クランクシャフト12が回転駆動されてエンジンEが始動する。エンジンEが始動してアイドル状態になると、クランクシャフト12の回転速度がスタータドリブンギヤ57の回転速度を越えてワンウェイクラッチ58によりスタータドリブンギヤ57が空転する。
また、図5に示すようにクランクシャフト12と同じ回転速度で回転する第1アイドルシャフト34に設けられた第1アイドルギヤ36は、左右非対称に成形されて一部が肉厚になっている。この肉厚部36aがバランサウェイトとして機能する。さらに、この肉厚部36aを貫通して円形孔が成形されており、この円形孔には、比重の大きい材料(タングステンなど)により成形されたウェイト部材36bが取り付けられる。このように、カム駆動ギヤ31、第1アイドルギヤ36、第1アイドルシャフト34およびバランサウェイト36a,36bからバランサ機構が構成されており、ピストン11が一往復するとバランサウェイト36a,36bが一回転して振動の打ち消しが図られる。
以上のように、第1アイドルシャフト34は、カム伝動機構30、始動装置50およびバランサ機構のシャフトとして共用されているとともに、カムドライブギヤ31および第1アイドルギヤ36は、同じくクランクシャフト12との動力伝達を行うためのギヤ列として共用されており、各機構に専用の軸やギヤ列が複数省略され、エンジンEの小型化が図られている。
図2に示すようにロアケース4の下クランクケース部4Aの内部空間には、下方に位置して、すなわち、第1アイドルシャフト34の後方に位置して、ポンプシャフト97が左右に延びて回転自在に配設される。ポンプシャフト97は、第1アイドルシャフト34の回転がポンプ伝動機構98を介して伝達されて駆動される。図2,図5に示すようにポンプ伝動機構98は、第1アイドルシャフト34に一体に成形されたポンプドライブスプロケット98aと、ポンプシャフト97に設けられてポンプシャフト97と一体に回転するポンプドリブンスプロケット98bと、両スプロケット98a,98bの間に掛け渡されたポンプチェーン98cとから構成されている。
ポンプシャフト97の左端部にはオイルポンプが取り付けられており、ポンプシャフト97の回転により駆動される。オイルポンプが駆動されると、オイルパン8に蓄えられた潤滑油が、オイルパン8に設けられたストレーナから吸入されて吸入配管に導かれる。吸入配管に導かれてオイルポンプに流入した潤滑油は、ポンプ吐出油路に圧送され、ロアケース4およびシリンダブロック3の内部に形成された油路を通り、シリンダボア3a〜3cの側方を延びて形成されるメインギャラリ65に導かれる。このメインギャラリ65とクランクジャーナル部12Dやアイドルジャーナル部12Eのそれぞれとを連通する油路が形成されており、この油路を介して潤滑油が各潤滑部に供給される。
また、図6に示すように本構成例のエンジンEの冷却装置は、冷却水を圧送するウォーターポンプ81と、冷却水を冷却するためのラジエータ86と、冷却水の水温調整を行うための図示しないサーモスタットとから構成され、各装置間およびシリンダボア3a〜3cの周囲を囲むようにして形成されたウォータージャケット83とを接続する各配管や通路が設けられている。
ウォーターポンプ81は、吐出配管接続部81a、ラジエータ配管接続部81bおよびバイパス配管接続部81cの3つの配管接続部が一体に成形されたケーシング部材を有して構成され、ポンプシャフト97の右端部に取り付けられている。ケーシング内部にはポンプシャフト97と一体に回転する図示しないインペラが取り付けられており、ポンプシャフト97が回転してインペラが回転すると、ラジエータ配管接続部81bやバイパス配管接続部81cからケーシング内部に吸引された冷却水が吐出配管接続部81aから外部に圧送される。このように、本構成例ではオイルポンプおよびウォーターポンプ81の駆動軸が共用され、エンジンEの小型化が図られている。
吐出配管接続部81aには、図示しない吐出配管が接続されている。この吐出配管は、サイドカバー5に形成された取出開口82からユニットハウジングHの外部を延び、図1に示すようにシリンダブロック3のシリンダ部3Aに取り付けられた配管接続部84に接続される。この配管接続部84は、シリンダブロック3の内部に形成された冷却水通路85に連通し、さらにこの冷却水通路85を介してウォータージャケット83に連通している。
ウォーターポンプ81から吐出された冷却水がウォータージャケット83に流入することにより、エンジンEが冷却される。ウォータージャケット83の通過時の熱交換により温度上昇した冷却水は、図示しない配管を介してラジエータ86に導かれて冷却され、配管86aを介してラジエータ配管接続部81bからウォーターポンプ81に還流される。なお、冷却水をウォータージャケット83からラジエータ86に導く配管には、サーモスタットが介装されており、サーモスタットとウォーターポンプ81のバイパス配管接続部81cを繋ぐ図示しないバイパス配管が設けられている。サーモスタットを通過する冷却水の温度が所定温度以下であると、ウォータージャケット83からの冷却水がラジエータ86を経由せずにバイパス配管に導かれてウォーターポンプ81に還流されるように構成されている。
次に、動力伝達機構TMについて説明する。図4,図7に示すように動力伝達機構TMは、プライマリギヤ列101と、多板クラッチ105と、変速機構110と、ベベルギヤ列121と、プロペラシャフト取付部材125とから構成され、ロアケース4のミッションケース部4Bとベベルギヤケース6との内部に収容される。ベベルギヤケース6は、ロアケース4のミッションケース部4Bの左側面に結合される。また、変速機構110は、クランクシャフト12と平行で左右方向に延びて回転自在に配設されたメインシャフト111およびカウンタシャフト112を有して構成される。
プライマリギヤ列101は、クランクシャフト12と一体に回転するプライマリドライブギヤ102と、メインシャフト111上を回転自在に設けられたプライマリドリブンギヤ103とからなる。プライマリドリブンギヤ103は大径になっており、クランクシャフト12の回転を大きな減速比で減速してプライマリドリブンギヤ103に伝達するように構成されている。
図2に示すようにプライマリドライブギヤ102は、カム伝動機構30のカムドライブギヤ31と同一の歯車である。カムドライブギヤ31はカム伝動機構30および動力伝達機構TMのギヤとして共用されており、クランクシャフト12に対する取付部材が削減されてクランクシャフト12の軸方向の小型化が図られる。プライマリドリブンギヤ103は、メインシャフト111に取り付けられた多板クラッチ105のアウタクラッチ106と一体に回転する。多板クラッチ105は、メインシャフト111の右端部に取り付けられており、レリーズ機構150の作動に応じて、アウタクラッチ106に設けたアウタプレート108と、メインシャフト111と一体に回転するインナクラッチ107に設けたインナプレート109とを係脱させ、プライマリギヤ列101の回転をメインシャフト111に断続自在に伝達する。
変速機構110は、クランクシャフト12の後方且つ僅かに下方に配設されるメインシャフト111と、メインシャフト111の下方に配設されたカウンタシャフト112と、メインシャフト111およびカウンタシャフト112に設けられた6組の変速ギヤ列G1〜G6と、変速段を変更するためのシフトドラム機構113とから構成される。変速ギヤ列G1〜G6は、メインシャフト111に設けられた駆動変速ギヤM1〜M6と、カウンタシャフト112に設けられた従動変速ギヤC1〜C6との対応するギヤ同士が常時噛み合わされた状態になっており、いずれか1組の変速ギヤ列のみをメインシャフト111およびカウンタシャフト112と一体に回転させる。
図7に示すようにシフトドラム機構113は、図示しないシフトペダルのペダル操作に応じて回転するシフトスピンドル114と、シフトスピンドル114の回転に応じて回転するシフトドラム116と、シフトドラム116の外周面に形成された溝に係合してシフトドラム116の回転に応じてシフトドラム116の軸方向に移動するシフトフォーク117と、シフトフォーク117の移動をガイドするフォークシャフト118とから構成されている。このシフトフォーク117の移動により、駆動および従動変速ギヤのうち所定のギヤを軸方向に移動させ、メインシャフト111およびカウンタシャフト112と一体に回転する変速ギヤ列G1〜G6が変更される。
ベベルギヤ列121は、カウンタシャフト112の先端に一体に成形されたベベルドライブギヤ122と、シャフト取付部材125の一端部に一体に成形されたベベルドリブンギヤ123とから構成される。シャフト取付部材125は、一端部の端面に固定孔125bが成形され、他端部にスプライン125aが形成される。固定孔125bには支持シャフト126が取り付けられ、ベベルギヤケース6の内部に設けられたベアリング146によりこの支持シャフト126が回転自在に支持される。スプライン125aに後輪に向けて延びるシャフト本体が取り付けられ、このシャフト本体およびシャフト取付部材125によりプロペラシャフトが構成される。このプロペラシャフトにより、カウンタシャフト112の回転出力が後輪に伝達される。シャフト取付部材125は予めベベルギヤケース6に取り付けられる。さらに、ベベルドライブギヤ122が形成されるカウンタシャフト112の左端部を支持するベアリング144は軸受ホルダ130により保持される。この軸受ホルダ130は、予めベベルギヤケース6に取り付けられ、ベベルギヤ列121は予め噛合した状態でベベルギヤケース6に収容された状態とされる。
さらに、ベベルギヤケース6には、メインシャフト111の左端部が支持され、予めメインシャフト111がベベルギヤケース6に組み付けられており、変速ギヤ列G1〜G6を噛合させた状態になっている。また、シフトスピンドル114、シフトドラム116およびフォークシャフト118の左端部も、予めベベルギヤケース6に支持される。
本構成例においては、予めベベルギヤケース6にメインシャフト111、カウンタシャフト112、変速ギヤ列G1〜G6、シフトドラム機構113、ベベルギヤ列121、プロペラシャフト取付部材125、軸受ホルダ130およびレリーズ機構150が組み付けられ、このようなベベルギヤケース6をロアケース4を覆って取り付けることにより、動力伝達機構TMの構成部材をミッションケース部4Bの内部空間に収容させる。このとき、メインシャフト111、カウンタシャフト112、シフトスピンドル116、シフトドラム117およびフォークシャフト119の右端部をロアケース4に支持させる。この後、メインシャフト111の右端部からプライマリドリブンギヤ103および多板クラッチ105が取り付けられ、サイドカバー5がロアケース4の右側面を覆って結合される。
このようにベベルギヤケース6に動力伝達機構TMの構成部材を予め組み付けた状態としてベベルギヤケース6をロアケース4に結合させるようになっており、変速ギヤ列G1〜G6やベベルギヤ列120の組立性がよく、動力伝達機構TMをユニットハウジングHの内部に簡単に収容させて組み付けることができる。
このような本構成例のパワーユニットPUは、クランクケース12Aを形成するシリンダブロック3およびロアケース4の接合面12Cが側面視において略上下方向に延びており、クランクシャフト12の中心軸12dをこの接合面12C上に位置させ、カム伝動機構30、始動装置50およびバランサ機構の軸として共用される第1アイドルシャフト34の中心軸34dを同じく接合面12C上に位置させてクランクシャフト12の下方に配置している。クランクシャフト12の後方、すなわち、ロアケース4の内部空間の後上方にメインシャフト111を配置し、その下方にカウンタシャフト112を配置している。
なお、プライマリギヤ列101はプライマリドリブンギヤ103を大径にしてクランクシャフト12の回転を大きな減速比で減速させてメインシャフト111に伝達するように構成されることから、クランクシャフト12とメインシャフト111との軸間寸法は長くなる。このため、クランクシャフト12の下方に配置される第1アイドルシャフト34と、メインシャフト111の下方に配置されるカウンタシャフト112との間にスペースが形成されるが、このスペースにオイルポンプおよびウォーターポンプ81の駆動軸であるポンプシャフト97が配置されている。
さらに、第2アイドルシャフト35が、接合面12Cの下方に中心軸34dを位置させる第1アイドルシャフト34の前方に配置されることから、カムドライブスプロケット39が前下方に位置してチェーン室30aのカムドライブスプロケット39側が下方にオフセットされる。このオフセットによりチェーン室30aのカムドライブスプロケット39側の上方にデッドスペースが形成され、ここにブリーザ室46が形成される。これにより、スペースが有効利用されてパワーユニットPUを小型化できる。このとき、従来のようにヘッドカバー1の内部にブリーザ室46を形成する必要がなく、ヘッドカバー1の容量を小型化できる。特に、本構成例のようにパワーユニットPUがシリンダ軸11Aを前傾させて車両に配設される場合には、パワーユニットPUが前後方向に小型化され、車両への配設自由度が向上する。
さて、図8〜図10に示すように、このようなパワーユニットPUのシリンダヘッド2の下方には、上記の通りU字状の排気マニホールド27が各燃焼室9から延設されている。各排気マニホールド27は端部で合流される配管構造になっており、下流側に図示しない消音器が取り付けられる。また、ヘッドカバー1の下方、すなわち、排気マニホールド27の前方には、冷却装置を構成するラジエータ86が取り付けられる。
パワーユニットPUは、シリンダブロック3はシリンダ部3Aよりもシリンダヘッド2の容量が大きいが、このシリンダヘッド2は、運転者が足を跨ぐ部分よりも前方に配置されている。これにより、エンジンEのハウジングが、左右一対のアッパメンバ202およびダウンメンバ203の間に挟まれた空間に設けられており、ヘッドカバー1、シリンダヘッド2、シリンダブロック3はそれぞれ、左右のアッパメンバ202およびダウンメンバ203に近接して配置される。これにより、アッパメンバ202およびダウンメンバ203の前端部がヘッドカバー1により覆われるようにしてエンジンEが二輪車MCに配設される。
このように構成される本構成例のスクータ型車両によると、クランクシャフト12の中心軸12dが側面視においてステップフロア215よりも上方に配置される。このように、クランクシャフト12がステップフロア215よりも高い位置に配置されることから、従来の形態と比べてエンジンEの重心位置を高くすることができ、車両の重心位置の高位置化が図られることにより、幅広く様々なコンセプトへの対応が図られる。
また、クランクシャフト12とともにピストン11およびコンロッド13などのエンジンEの稼動部を左右のステップフロア215よりも上方に配置することにより、稼動部をステップフロア215とほぼ同じ高さに配置する従来の形態と比べ、ステップフロア215とエンジンEの稼動部とが遠ざかり、エンジンEの稼動に伴う振動がステップフロア215に伝わりにくくなる。このため、足に伝わる振動が低減され、快適性が向上する。
また、シリンダブロック3に3つのシリンダボア3a〜3cを設け、シリンダブロック3を左右一対のアッパメンバ202の間に挟まれた空間に配置している。これにより、エンジンEの要求排気量が3気筒に分散され、静粛性の向上や動力性能の向上が図られる。また、容量が大きくなる傾向にあるシリンダヘッド2およびヘッドカバー1を、中間カバー部材222の内部において前方側に位置させている。このため、足幅による制約を受ける部分については、シリンダブロック3が位置し、その前方にシリンダヘッド2が配設される。したがって、3気筒のエンジンを左右のアッパメンバ202に近接させて3つのシリンダボア3a〜3cを有するシリンダブロック3を配置できるようになっている。
また、クランクシャフト12の中心軸12dが高い位置に配設されており、また、シリンダ軸11Aは、前傾されて略水平方向に延びるものの、前方に延びるに従って上方に指向している。また、エンジンEがオフセットクランク式になっており、側面視においてクランクシャフト12の中心軸12dよりも上方をシリンダ軸11Aが通過するように設定されている。
そして、クランクシャフト12の中心軸12dが従来と比べて高い位置に配置されるため、クランクシャフト12の下方には、所定のデッドスペースが形成される。ここで、本構成例のパワーユニットPUは、シリンダブロック3とロアケース4とから一体のユニットハウジングHを構成し、ロアケース4の内部に動力伝達機構のメインシャフト111およびカウンタシャフト112を配置しており、メインシャフト111がクランクシャフト12の後方に配置し、カウンンタシャフト112をメインシャフト111の下方に配置している。このような軸配置により、クランクシャフト12を高位置に配置することにより形成されるスペースを有効に利用できるとともに、動力伝達機構TMの前後方向に対する小型化が図られる。また、クランクシャフト12が高位置化することによってクランクシャフト12と後輪との間に従来よりも大きな高低差が生じるが、メインシャフト111およびカウンタシャフト112の上下配置によってこのような高低差が解消され、カウンタシャフト112から後輪への動力の取り出しを高低差の少なくして無理無く行うことができる。
また、このように動力伝達機構TMが小型化されることにより、リアフォーク209の前端部分を支持する後輪揺動ピボット軸213を従来よりも前方に配置することができるようになる。これにより、リアフォーク209を長くしてパワーユニットPUを車両に配設することができるため、凹凸路面を走行したときのリアフォーク209の揺動作動(揺動角)を小さくすることができる。したがって、凹凸路面の走行中における車体(フレーム)の前後方向(上下方向)への振動が低減され、快適性の向上が図られる。
本構成例のパワーユニットPUは、燃焼室9に連通する排気通路25が下方に延びて形成されており、排気接続口26が下方に向けて開口している。そして、シリンダヘッド2の排気接続口26から下方に延びて設けられる排気マニホールド27が、この新たに形成されたスペースに配設されている。このように、排気マニホールド27の取り回し空間を広く確保して、U字状の排気マニホールド27をコンパクトに収容することができ、効率の良い排気を行わせてパワーユニットPUの性能向上が図られる。なお、シリンダ軸11Aはクランクシャフト12の中心軸12dに対して上方にオフセットされていることから、シリンダヘッド2の下方には、より大きなスペースを確保することができ、排気マニホールド27の取り回し空間を広く確保できる。
さらに、シリンダヘッド2の前方にはヘッドカバー1が結合されており、このヘッドカバー1がアッパメンバ202およびダウンメンバ203の間に挟まれた空間を覆うようにして配設されている。なお、ヘッドカバー1の下方には、シリンダヘッド2と同様にして下方にスペースが形成される。本構成例の二輪車MCは、このスペースに冷却装置を構成するラジエータ86を配設している。このような構成の二輪車MCが走行状態になると、前方からの走行風Wが中間カバー部材222の内部に導かれてアッパメンバ202およびダウンメンバ203の前端部分に到達する。到達した走行風Wはこの前端部分を覆うように配置されたヘッドカバー1により、アッパメンバ202により挟まれる空間への流れが遮られ、図示するように走行風Wを下方に位置するラジエータ86側に流すことができる。これにより、ラジエータ86による冷却水の冷却効率の向上が図られる。また、スペースの有効利用によりエンジンEの小型化が図られる。さらに、冷却水ポンプは、ロアケース4の内部において、ユニットハウジングHの下端を形成するオイルパン8に近接して配置されたポンプシャフト97にウォーターポンプ81が取り付けられている。このように、パワーユニットPUにおいて共に下方に位置するウォーターポンプ81とラジエータ86との間を繋ぐ配管構造をコンパクトに構成することができる。
なお、排気マニホールド27は、このようなラジエータ86の後方に配設されることになる。したがって、ラジエータ86に吹き付けられた走行風Wを効率よく排気マニホールド27に導くことができ、排気マニホールド27の冷却を効率良く行うことができる。なお、ラジエータ86を通過して温められた走行風の温度は、排気マニホールド27の温度よりも充分に低い温度になっている。
本発明に係るスクータ型車両に搭載されるパワーユニットのエンジンを示す右側断面図である。 上記パワーユニットの左側断面図である。 上記エンジンを後方から見た断面図である。 上記パワーユニットの動力伝達機構を後方から見た断面図である。 図2の矢印V-V方向に見た正断面図である。 ウォーターポンプの取付位置を示すシリンダブロックおよびロアケースの右側断面図である。 シフトドラム機構の断面図である。 本発明に係るスクータ型車両である二輪車の左側面図である。 上記二輪車のフレーム構造を部分的に示す左側面図である。 上記フレーム構造を車両前方から見た正面図である。
符号の説明
MC 二輪車
PU パワーユニット
E エンジン
TM 動力伝達機構
H ユニットハウジング
1 ヘッドカバー
2 シリンダヘッド
3 シリンダブロック
3a シリンダボア
4 ロアケース
9 燃焼室
11 ピストン
12 クランクシャフト
12A クランクケース
13 コンロッド
27 排気マニホールド
34 第1アイドルシャフト
35 第2アイドルシャフト
86 ラジエータ
97 ポンプシャフト
111 メインシャフト
112 カウンタシャフト
201 ヘッドパイプ
202 アッパメンバ
203 ダウンメンバ
215 ステップフロア
220 カバー部材
222 中間カバー部材
224 着座シート部材

Claims (6)

  1. 着座シートの下方に左右の足載せ板と車体カバーとを備え、前記車体カバーの内部にエンジンが配設されたスクータ型車両において、
    車両の前端部に略上下方向に延びて設けられたヘッドパイプと、前記車体カバーの内部に前記ヘッドパイプと前記着座シートの前端との間を略水平方向に延びて設けられた左右一対のフレーム部材とを備え、
    前記左右の足載せ板が、前記車体カバーの左右外側に設けられ、
    前記エンジンが、ピストンと、前記ピストンと連動して回転するクランクシャフトと、内部に形成されたシリンダ室に前記ピストンを摺動自在に収容するシリンダブロックとから構成され、前記左右のフレーム部材の間に設けられ、
    前記シリンダブロックのシリンダ軸が前後方向に延びて設けられ、前記クランクシャフトの中心軸が、左右方向に延び、側面視において前記左右の足載せ板の上面よりも上方に位置して設けられることを特徴とするスクータ型車両。
  2. 前記ピストンと、前記クランクシャフトと、前記ピストンおよび前記クランクシャフトに連結されたコンロッドとから構成される前記エンジンの稼動部が、前記足載せ板の上面よりも上方に位置して設けられることを特徴とする請求項1に記載のスクータ型車両。
  3. 前記シリンダブロックの内部に3つの前記シリンダ室が並んで形成され、前記3つのシリンダ室のそれぞれに前記ピストンが配設されており、
    前記シリンダブロックが、前記3つのシリンダ室を左右方向に並べ、前記左右のフレーム部材の間に前記左右のフレーム部材のそれぞれに近接して設けられることを特徴とする請求項2に記載のスクータ型車両。
  4. 前記シリンダブロックと、前記シリンダブロックの後方に結合されて内部に前記クランクシャフトを回転自在に収容するクランクケースとにより、一体のユニットハウジングが構成され、
    前記クランクケースに、前記クランクシャフトからの動力が伝達されて回転する入力軸と、前記入力軸からの動力が伝達されて回転して後輪に出力する出力軸とから構成される動力伝達機構が配設されており、
    前記入力軸が前記クランクシャフトの後方に設けられ、前記出力軸が前記入力軸の下方に設けられることを特徴とする請求項2または3に記載のスクータ型車両。
  5. 前記ユニットハウジングが、前記シリンダブロックの前方に結合されて前記ピストンとともに燃焼室を形成するシリンダヘッドを備えて構成され、
    前記燃焼室と外部とを連通して前記燃焼室内のガスを外部に排出するための排気管が、前記車体カバーの内部において、前記シリンダヘッドから下方に延びて設けられることを特徴とする請求項4に記載のスクータ型車両。
  6. 前記エンジンの前端に設けられるヘッドカバーが、前記左右のフレーム部材の間に、前記左右のフレーム部材のそれぞれに近接して設けられ、
    前記エンジンの冷却水を冷却するためのラジエータが、前記車体カバーの内部において、前記ヘッドカバーの下方に設けられることを特徴とする請求項3に記載のスクータ型車両。
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