JP2007099584A - 多孔質導電性ジルコニア質焼結体およびそれよりなる真空チャック部材 - Google Patents

多孔質導電性ジルコニア質焼結体およびそれよりなる真空チャック部材 Download PDF

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Abstract

【課題】貫通気孔を有し、気体透過が可能な多孔質焼結体でありながら、静電気除去・帯電防止が可能な体積固有抵抗を有したジルコニア質焼結体およびそれよりなる真空チェック部材の提供。
【解決手段】(a)ZrOの結晶相が主として正方晶系ジルコニアからなるZrO−Y系ジルコニア質焼結体であって、(b)Y/ZrOモル比が2/98〜5/95の範囲にあり、(c)Tiを酸化物換算で4〜10重量%含有し、(d)気孔率が20〜50%、(e)平均貫通気孔径が0.5〜3μm、(f)体積固有抵抗値が10〜1010Ω・cm、(g)曲げ強さが80MPa以上、であることを特徴とする多孔質導電性ジルコニア質焼結体およびそれよりなる真空チェック部材。
【選択図】なし

Description

本発明は、通気性だけでなく静電気除去・帯電防止可能な電気導電性を有するジルコニア質焼結体およびそれよりなる真空チェック部材に関する。
近年の急速な情報通信の発展に伴い、半導体・液晶デバイスは益々高性能化しており、製造工程中で発生する静電気による不良などが大きな問題となっている。そのため、半導体・液晶デバイスの製造機器部品に静電気除去・帯電防止可能な電気導電性を有するセラミックスが採用されつつある。一方、ウェハーの加工時の保持に静電気を利用した静電チャックが使用されているが、ウェハー搬送用ロボットのウェハー保持には真空チャック(物体の一方側を真空にして物体を固定する手段)が使用されている。しかしながら、真空チャックは絶縁性の多孔質焼結体が主として使用されており、静電気除去・帯電防止ができないという問題点があった。
そこで、従来の静電気除去・帯電防止が可能なレベルの電気導電性を有する焼結体を多孔質にする考え方があり、従来の焼結体は特許文献1および2には電気導電性を発現させるためにNbC、TiC、TaC、BC、SiC等の導電性粒子を10〜40vol%添加することによって静電気除去・帯電防止可能なジルコニア焼結体が開示されているが、この焼結体内部に気孔を多く形成させた場合には導電性粒子がつながらなくなり、大幅に電気導電性が低下し、静電気除去・帯電防止ができなくなるという欠点がある。
一方、特許文献3には、ジルコニアに粒子径が0.2〜0.8μmの酸化チタンを添加し、Ar等の不活性ガス雰囲気で還元焼成することにより固有抵抗が10〜1011Ω・cmの静電気除去・帯電防止可能なジルコニア焼結体が開示されており、さらには特許文献4には、ジルコニア焼結体に極少量の導電性物質をナノレベル、分子レベルまたは原子レベルで制御した高強度導電性ジルコニア焼結体が開示されているが両者ともあくまでも緻密質焼結体に関してであり、多孔質とすることについては一切記載されていない。
また、多孔質に関する技術は、例えば特許文献5および6などに開示されているが、セラミックフィルターあるいは耐熱衝撃抵抗性を向上させるための多孔質焼結体であって、半導体・液晶デバイスの製造機器部品としての静電気除去・帯電防止可能なレベルの電気導電性を有した多孔質については一切開示されていない。
特開2002−53371号公報 特開2002−53372号公報 特開2003−261376号公報 特開2005−206421号公報 特公平5−21605号公報 特開2002−128563号公報
本発明の目的は、貫通気孔を有し、気体透過が可能な多孔質焼結体でありながら、静電気除去・帯電防止が可能な体積固有抵抗を有したジルコニア質焼結体およびそれよりなる真空チェック部材を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねてきた結果、Y/ZrOモル比、Al含有量、Ti含有量、気孔率、平均貫通気孔径、体積固有抵抗値などを制御することにより、気体透過が可能でかつ静電気除去・帯電防止が可能であるジルコニア質焼結体が得られることを見出し、ここに本発明を完成したものである。
即ち、本発明の第1は、(a)ZrOの結晶相が主として正方晶系ジルコニアからなるZrO−Y系ジルコニア質焼結体であって、(b)Y/ZrOモル比が2/98〜5/95の範囲にあり、(c)Tiを酸化物換算で4〜10重量%含有し、(d)気孔率が20〜50%、(e)平均貫通気孔径が0.5〜3μm、(f)体積固有抵抗値が10〜1010Ω・cm、(g)曲げ強さが80MPa以上、であることを特徴とする多孔質導電性ジルコニア質焼結体に関する。
本発明の第2は、請求項1記載の多孔質導電性ジルコニア質焼結体からなることを特徴とする真空チェック部材に関する。
以下に本発明の多孔質導電性ジルコニア質焼結体が充足すべき各要件について詳細に説明する。
(a)ZrOの結晶相が主として正方晶系ジルコニアであるZrO−Y系ジルコニア質焼結体である点について、
ジルコニア質焼結体に単斜晶系ジルコニアが大量に含有しているとその結晶周辺に微細なクラックが生じ、応力が負荷されるとこの微細なクラックを起点として微小破壊が起こり、摩擦、衝撃、圧壊等に対する抵抗性が低下するので好ましくない。一方、立方晶系ジルコニアを大量に含有していると結晶粒径が大きくなり、機械的特性の低下が起こるため、耐摩耗性等の低下が起こるため好ましくない。
なお、本発明では、ジルコニアの結晶相である単斜晶系ジルコニア(M)の存在の有無及び含有量、正方晶系ジルコニア(T)及び立方晶系ジルコニア(C)の量については以下の方法でX線回折により求める。即ち、焼結体及び加工した焼結体製品の表面は応力誘起相変態により正方晶系ジルコニアから単斜晶系ジルコニアに変態しており、真の結晶相を同定することができないので、焼結体表面を鏡面にまで研磨し、X線回折により、回折角27〜34度の範囲で測定し、単斜晶系ジルコニアの有無及び含有量を下記で示した式から求める。
Figure 2007099584
また、正方晶系ジルコニア及び立方晶系ジルコニアは、単斜晶系ジルコニアの有無を確認した方法と同様にして、X線回折により、回折角70〜77度の範囲で測定し、次式により求める。
Figure 2007099584
Figure 2007099584
なお、本発明においては上記X線回折から求まる正方晶系ジルコニアは85容積%以上であることが好ましく、一方、立方晶系ジルコニアは10容積%まで、好ましくは5容積%まで、単斜晶系ジルコニアは5容積%まで、好ましくは3容積%まで、それぞれ許容することができる。
(b)本発明の多孔質導電性ジルコニア質焼結体のY/ZrOモル比が2/98〜5/95である点について、
本発明においてはY/ZrOモル比は2/98〜5/95、好ましくは2.5/97.5〜4/96である。
通常ZrO原料中に少量含有することのあるHfOが混入していても良く、このHfO量を含めたZrOとHfOの合計量をZrO量とする。なお、HfOの含有量の上限は約3重量%である。
/ZrOモル比が2/98未満の場合には焼結体中の単斜晶系ZrO量が増加し、焼結体内部にクラックが発生して、粉砕機用部材として負荷のかかる状態ではクラックが進展し、割れや欠けが発生し、その結果、耐摩耗性の低下をきたすので好ましくない。一方、Y/ZrOモル比が5/95を越えると正方晶系ZrO量が低下し、立方晶系ZrO量が増加し、機械的特性が低下するので好ましくない。
他の稀土類酸化物の1種または2種以上で置換したものも、Y添加量の30モル%まで用いることができる。このような稀土類酸化物としては、CeO、Nd、Yb、Dy等が安価な点で好ましい。
なお、本発明においてはAlを0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%含有することが好ましい。AlはZrO結晶粒界にAl結晶粒子として存在するだけでなく、ZrO結晶粒界及び粒界極近傍に偏析している。Alの添加は焼結性の向上、微構造の均一化に効果があるだけでなく、ZrO結晶粒界の強化効果があるので耐摩耗性、耐衝撃性等の機械的特性をすぐれたものとする。Al含有量が0.05重量%未満の場合は、Al添加の効果がなく、5重量%を越える場合は、ZrO結晶粒界にAl結晶粒子が多く存在することになり耐久性の低下が起こるので好ましくない。
(c)本発明の多孔質導電性ジルコニア質焼結体のTiを酸化物換算で4〜10重量%含有している点について、
本発明においては、Tiを酸化物換算で4〜10重量%、好ましくは4〜8重量%含有していることが必要である。本発明においては、Tiがジルコニア結晶粒子に固溶し、結晶粒子内の粒界近傍に偏析し、さらにAr等の還元雰囲気中で焼成することで酸素欠損が起こり、電気導電性が発現するため、従来の導電性粒子を分散させた焼結体と異なり、気孔率を高くしても電気導電性の低下がすくない利点がある。
Tiが酸化物換算で4重量%未満の場合は体積固有抵抗が大きくなり、静電気除去・帯電防止ができなくなるので好ましくない。一方、10重量%を超える場合にはTiがジルコニアの安定化剤として働くため、立方晶系ジルコニア量が増加し、機械的特性が低下するので好ましくなく、さらには体積固有抵抗が低下し、導電率が高くなってしまい静電気を一気に除去してしまうため、大気摩擦によって超高電圧の放電が発生するので好ましくない。静電気除去スピードは、通常帯電圧が半減するまでの時間で示されるが、本発明においては、この半減時間を0.05〜2秒間程度、とくに0.1〜2秒間程度とすることが好ましい。この測定方法は、アルミホイールの上にセラミックスなどの絶縁体を置き、その上に測定する多孔質導電性ジルコニア質焼結体(φ90×5mm)をのせ、多孔質導電性ジルコニア質焼結体に1000Vの電圧をかけ、電圧をかけた後、多孔質導電性ジルコニア質焼結体とアース間の電圧を測定し、その電圧(帯電電圧)が印加電圧の50%、500Vになるまでの時間を求めるものである。
(d)本発明の多孔質導電性ジルコニア質焼結体の気孔率が20〜50%である点について、
本発明においては気孔率は20〜50%、好ましくは30〜50%である。
気孔率が20%未満の場合は貫通気孔が減少し、気体透過量が少なくなるため好ましくなく、気孔率が50%を超えると焼結体の強度等の機械的特性が低下するので好ましくない。
(e)本発明の多孔質導電性ジルコニア質焼結体の平均貫通気孔径が0.5〜3μmである点について、
平均貫通気孔径とは、焼結体の表面から裏面までつながっている気孔の平均気孔径を指す。その測定法は、バルブポイント法、すなわちφ20×2mmに加工したサンプルを用い、媒体としてフッ素系不活性液体を用いたASTM F316−86によるものである。
本発明においては平均貫通気孔径が0.5〜3μm、好ましくは1〜2.5μmである。
平均貫通気孔径が0.5μmを下回ると気体透過に要する圧力が高くなり、結果的に気体透過量が低下するので好ましくない。一方、平均貫通気孔径が3μmを超える場合には気体透過量が大きくなるが、強度等の機械的特性が低下するので好ましくない。さらに、気孔径が大きくなると単位面積当たりの気孔数が少なくなる傾向となり、真空チャックとしての吸着面積が結果的に少なくなるので好ましくない。
なお、本発明における気体透過量は、φ20×2mmに加工した焼結体を用いて、φ10mmの透過面積に100kPaの気体圧力をかけた場合、1500m/m/h以上、好ましくは1800m/m/h以上であり、上記気体透過量以上でないと真空チャックとしての機能を発揮できない。
(f)本発明の多孔質導電性ジルコニア質焼結体の体積固有抵抗が10〜1010Ω・cmである点について、
本発明においては焼結体の体積固有抵抗は10〜1010Ω・cm以下、好ましくは10〜10Ω・cmである。体積固有抵抗が1010Ω・cmを越える場合には静電・帯電防止に効果がないので好ましくない。一方、体積固有抵抗が10Ω・cm未満の場合は導電性が高すぎてしまい、静電気を一気に除去してしまうため、大気摩擦によって超高電圧の放電が発生するので好ましくない。
(g)本発明の多孔質導電性ジルコニア質焼結体の曲げ強さが80MPa以上である点について、
本発明における曲げ強さは80MPa以上、好ましくは100MPa以上であることが必要である。曲げ強さが80MPa未満の場合は、加工時の応力による割れや部材として負荷がかかると破損したりするので好ましくない。
本発明の多孔質導電性ジルコニア質焼結体は、とくに1μm以下、さらには0.5μm以下の結晶粒径からなる場合には、結晶粒子同士が強固に結合しているため加工面が滑らかでかつ高い平坦度が得られる。なお、下限は0.2μm程度までである。
本発明の多孔質導電性ジルコニア質焼結体の製造方法の一例を下記に示すが、本方法にとらわれることはない。
本発明では、液相法により精製したジルコニア粉体を使用することが好ましい。即ち、ZrOとYの含有量が所定のモル比となるようにジルコニウム化合物(例えばオキシ塩化ジルコニウム)の水溶液とイットリウム化合物(例えば塩化イットリウム)の水溶液を均一に混合し、加水分解し、水和物を得、脱水、乾燥させた後、500〜1000℃で仮焼し、Y、Al、SiO以外の不純物の少ない仮焼ジルコニア粉体を得る方法が採用される。Alを添加する場合は、ジルコニウム化合物とイットリウム化合物の水溶液を混合する際に塩の水溶液として所定量添加しても良いし、仮焼粉体の粉砕・分散時に水酸化物、炭酸化物、酸化物等の形態で添加しても良い。
Ti成分の添加は、仮焼したジルコニア粉体の粉砕、分散時にTiO、Ti、TiO等のチタン酸化物の形態で所定量添加する。なお、添加するチタン酸化物粉体粒子径は100nm以下、好ましくは50nm以下の粉体を用いることが必要である。あるいは熱分解して残存させることのできる水酸化物、有機金属化合物(例えばチタンテトラnブトキシド、チタンテトライソプロポキシドなど)等の形態で添加しても良い。チタン酸化物粉体粒子が100nmを越える場合には、ジルコニア質焼結体中でのTi成分の不均一性が大きくなり、体積固有抵抗値が高くなるだけでなく、気孔径分布が広くなったり、機械的特性の低下をきたすので好ましくない。
仮焼ジルコニア粉体は湿式により粉砕、分散し、平均粒子径が0.5μm、好ましくは0.4μm以下にする。平均粒子径が0.5μmを超える場合には焼結性が低下し、気孔形成には良いが、結晶粒子同士の結合力が弱くなるので目的とする気孔率が得られても機械的特性が低下するので好ましくない。気孔の形成は、気孔形成剤を目的とする気孔率になるように粉砕・分散スラリーに添加する。気孔形成剤の添加は均一に分散混合する必要があるので添加混合はホモジナイザー等の高剪断応力のかかる混合機を使用することが必要である。なお、気孔形成剤としては粒子径が5〜30μm、好ましくは5〜20μmからなるパラフィン系、ポリエチレン樹脂、多糖類、カーボン、ステアリン酸等が使用できる。粒子径が5μm未満の場合は気孔形成がしにくく、30μmを超える場合には気孔径が大きくなるので好ましくない。気孔率及び気孔径は上述した気孔形成剤の選択と後述する成形圧力及び焼成温度により制御することができる。
気孔形成剤を添加したスラリーに必要により公知の成形助剤(ワックスエマルジョン、PVA、アクリル系樹脂等)を加え、スプレードライヤー等の公知の方法で乾燥させて成形粉体を得る。
得られた成形粉体を用いて公知の成形方法、例えばプレス成形、ラバープレス成形等の方法により所定の形状に成形し、Ar等の雰囲気中で1250〜1650℃、好ましくは1300〜1500℃で焼成することにより本発明の多孔質導電性ジルコニア質焼結体とする。
本発明の多孔質導電性ジルコニア質焼結体は、静電気除去・帯電防止可能なレベルの電気導電性を有し、かつ気体透過が可能な多孔質であり、多孔質として高い機械的特性を有するため静電気の発生が悪影響を及ぼすウェハー等の半導体製品の真空チャック部材として有効であることが明らかである。
以下、実施例及び比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものでない。
実施例1〜6、比較例1〜7
純度99.5%のオキシ塩化ジルコニウムと純度99.9%の硝酸イットリウムを表1の組成となるように水溶液にて混合した。次にこの水溶液を加熱還流下で加水分解し、Yが固溶した水和ジルコニウムの沈殿物を生成させ、脱水、乾燥し、800℃で1時間仮焼し、得られたジルコニア粉体を湿式にて平均粒子径が0.3μmになるまで粉砕・分散した。また、比較例3は1200℃で1時間仮焼し、平均粒子径が0.8μmになるまで粉砕・分散した。Tiは一次粒子径20nmの酸化チタン粉体で所定量添加分散混合した。なお、比較例1のみは一次粒子径200nmの酸化チタン粉体を用いた。また、比較例3は気孔形成剤に粒子径が5〜50μmのステアリン酸を用いた。
得られた粉砕・分散スラリーに表1に示す気孔形成剤を添加し、さらにバインダーとしてアクリル樹脂を粉体に対し5重量%添加して、粉砕・分散したスラリーを1000℃前後の雰囲気中にスプレーして乾燥(SD乾燥)し、成形粉体を作製した。得られた成形粉体を用いて、成形圧1tonf/cmで冷間静水圧(CIP)成形法により成形し、大気中500℃で気孔形成剤及びバインダーを飛散後、Ar雰囲気中で1200〜1650℃で焼成して、50×50×5mmの角板およびφ90×5mmの丸板を作製した。
得られた焼結体を用いて気孔率、平均貫通気孔率、気体透過量、平均結晶粒径、曲げ強さ、体積固有抵抗を測定した結果を表2に示す。
気孔率はアルキメデス法(JIS R1634に準拠)により測定した、平均貫通気孔径はバブルポイント法、すなわちφ20×2mmに加工したサンプルを用いてASTM F316−86により媒体としてフッ素系不活性液体を用いて測定した。
気体透過量は平均貫通気孔径を測定したサンプルと同じサンプルを用いて気体圧力100kPaをかけた時の気体透過量を測定した。
平均結晶粒径は鏡面加工したサンプルをサーマルエッチングして走査電子顕微鏡にて1個の結晶の長径と短径を測定し、その平均値を結晶粒子1個の粒子径として、任意に100個測定した平均値を平均結晶粒径とした。
曲げ強さは3×4×50mmに切断・加工したサンプルを用いてJIS R1601に従って各10本測定し、その平均値を求めた。
体積固有抵抗はφ20×2mmに加工したサンプルの両面に電極を施し、高抵抗計を用いて極性反転測定法にてバイアス電圧50V、バイアス電圧印加時間15秒/サイクル(プラス方向に電圧を15秒間、マイナス方向に15秒間かける操作を1サイクルとするものである)、極性反転サイクル数4回/測定(本操作を4回繰り返す)の条件で測定した。抵抗値の読み取りは、電圧をかけて15秒後の抵抗の絶対値を読み取り、1サイクルあたりプラス方向とマイナス方向に2回抵抗の絶対値が読み取れるので、2回×4サイクル=8回で、8個の抵抗の絶対値を平均して、その平均値から体積固有抵抗を算出する。なお、多孔質の場合、気孔に水分が存在すると抵抗が大幅に低下する場合があるので、真空下で測定した。
実施例1および比較例5の焼結体を用いて、アルミホイールの上にセラミックスなどの絶縁体を置き、その上に測定する多孔質導電性ジルコニア質焼結体(φ90×5mm)をのせ、多孔質導電性ジルコニア質焼結体に1000Vの電圧をかけ、電圧をかけた後、多孔質導電性ジルコニア質焼結体とアース間の電圧を測定し、その電圧(帯電電圧)と減衰時間(帯電電圧減衰時間)との関係を測定し、帯電電圧が印加電圧の50%、500Vになるまでの帯電電圧減衰時間を測定した。帯電電圧と帯電電圧減衰時間との関係を図1に示す。
本発明の多孔質導電性ジルコニア質焼結体は、帯電電圧が500Vになる時間が0.05秒以上であるのに対し、気孔率、平均貫通気孔径等が本発明の範囲内であっても体積固有抵抗値が範囲外である比較例5は帯電電圧が500Vになる時間が0.03秒と短く、静電気除去・帯電防止に適していないことが明らかである。
Figure 2007099584
Figure 2007099584
実施例1、実施例4および比較例5のジルコニア質焼結体における帯電電圧と帯電電圧減衰時間との関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. (a)ZrOの結晶相が主として正方晶系ジルコニアからなるZrO−Y系ジルコニア質焼結体であって、(b)Y/ZrOモル比が2/98〜5/95の範囲にあり、(c)Tiを酸化物換算で4〜10重量%含有し、(d)気孔率が20〜50%、(e)平均貫通気孔径が0.5〜3μm、(f)体積固有抵抗値が10〜1010Ω・cm、(g)曲げ強さが80MPa以上、であることを特徴とする多孔質導電性ジルコニア質焼結体。
  2. 請求項1記載の多孔質導電性ジルコニア質焼結体からなることを特徴とする真空チェック部材。
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