JP2007096899A - 圧電振動片の製造方法、圧電振動片の接合構造、圧電デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バンプ52を用いてパッケージ30の接続電極40に接合されるパッド電極44a,44bと、このパッド電極と一体に形成する励振電極46,47とを、圧電体29の表面に形成する電極形成工程を備える圧電振動片の製造方法であって、電極形成工程では、下地層54を形成してから、この下地層54より表層側に金を主成分とする層56を形成するようになっており、電極形成工程の際及び/又はその後に、パッド電極44a,44bの金を主成分とする層56のみに、さらに金を主成分とする膜58を形成する。
【選択図】図2
Description
図6はこの圧電デバイスの例示としての圧電振動子1であり、図6(a)は圧電振動子1の概略分解斜視図、図6(b)は図6(a)の圧電振動片とパッケージとを接合してA−A線の位置で切断した場合の端面図である(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、圧電振動片2は、例えば水晶からなる圧電体7の表面に励振電極4とパッド電極3を有しており、この励振電極4とパッド電極3とは一体に形成され、図6(b)に示すように、ともに、クロムを主成分とする下地層3aと、この下地層3aよりも外側に導通性を向上するための金を主成分とする膜状の表層3bとを備えている。そして、予めパッケージ8の接続電極6の上に形成しておいた金からなるバンプ5の上にパッド電極3を載置し、パッド電極3を上から加圧しながら超音波を印加して、接続電極6とパッド電極3と接合している。
しかも、圧電振動片のパッド電極と励振電極とを一体に形成しているが、厚膜形成工程では、パッド電極の金を主成分とする層のみに、金を主成分とする膜を形成しているので、励振電極の部分の膜厚はパッド電極のように厚くなることはない。したがって、圧電振動片の振動特性に悪影響を及ぼすこともない。
かくして、本発明によれば、バンプを用いて圧電振動片を正確に位置決めすると共に、優れた振動特性を有する圧電振動片の製造方法を提供できるという作用効果を発揮する。
第2の発明の構成によれば、周波数調整のための錘付工程で錘を形成する際に、厚膜形成工程の金を主成分とする膜を形成しているので、圧電振動片の製造工程の中で、厚膜形成工程を特別に増やさなくても、金を主成分とする膜を形成でき、製造コストを抑えられる。
かくして、本発明によれば、バンプを用いて圧電振動片を正確に位置決めすると共に、優れた振動特性を有する圧電振動片の接合構造を提供できるという作用効果を発揮する。
第5の発明の構成によれば、パッド電極の金を主成分とする層の膜厚は、2000Å以上であり、バンプの下地層への到達を確実に防止できた。したがって、バンプとパッド電極との接合強度を十分に得て、良好な振動特性を発揮できる。なお、金を主成分とする層の膜厚の上限については、パッド電極の膜は、上述のように、基本的に圧電振動片の振動特性に影響を及ぼさないので大き過ぎても構わず、例えば、パッケージに圧電振動片を収容して蓋封止した際、蓋体と圧電振動片とが接触しない程度であってもよい。
第6の発明の構成によれば、下地層はクロムを主成分としているので、圧電体の水晶との接続強度を強固に得られる。また、この下地層のクロムは表層側の金を主成分とする層に拡散し易いが、上述のように、金の膜厚を大きくしているので、その拡散を有効に抑制できる。
第7の発明の構成によれば、下地層はニッケルを主成分とするので、下地層をクロムにする場合に比べて、表層側の金を主成分とする層に拡散し難い。
図1および図2は、本発明の実施形態を示す圧電デバイス10であって、図1は圧電デバイス10の概略平面図であり、図2は図1のB−B線概略断面図である。
これらの図において、圧電デバイス10は、表面実装型の圧電振動子を構成した例を示しており、圧電デバイス10は、パッケージ30内に圧電振動片20を収容している。
すなわち、図2に示されるように、この実施形態では、パッケージ30は、下から第1の基板30b、第2の基板30aを積層して形成されている。
第2の基板30aは、図2に示されるように、その内側に所定の孔を形成することで、第1の基板30bに積層した場合に、パッケージ30の内側に圧電振動片20を収容する内部空間S1を形成するようにされている。
本実施形態の蓋体39は、蓋封止した後であっても、圧電振動片20に設けられた金(Au)を主成分とする錘50にレーザ光LBをあてて、質量削減方式で周波数調整できるように、光を透過する材料、例えばガラスから形成されている。
そして、各バンプ52,52の上に、短絡しないように圧電振動片20のパッド電極44a,44bを載置し、所謂超音波熱圧着、あるいは超音波溶着によって、各バンプ52,52とパッド電極44a,44bとが接合される。すなわち、各バンプ52,52の上にパッド電極44a,44bを載置して、圧電振動片20の上面(図2の上)から加重F1をかけながら、超音波を与えて各バンプ52,52とパッド電極44a,44bとを接合するようにしている。
このバンプ52とパッド電極44a,44bとの接合構造については、後で詳細に説明する。
なお、この下地層56には、クロム(Cr)ほど水晶との接合強度が高くはない他の材料を用いてもよく、その際、後述するバンプ接合の際に、金(Au)と拡散する恐れが少ないニッケル(Ni)を用いることが好ましい。
そして、パッド電極44bの金を主成分とする層56の表面のみに、さらに金を主成分とする膜(表層)58を形成することにより、パッド電極44bの金を主成分とする層56,58の膜厚が、励振電極47の金を主成分とする層56の膜厚に比べて大きくなっている。
これに対し、パッド電極44bの金を主成分とする膜(以下、「表層」という)58の膜厚は、本実施形態では1500Å以上とされ、この表層58とパッド電極44bの金を主成分とする層56とで、金を主成分とする層56,58の膜厚は2000Å以上となるように形成されている。
なお、表層58は、振動に関与する振動腕24,26には形成されていないので、圧電振動片20の振動特性に悪影響を与えることがない。そのため、表層58の膜厚は、極端に言えば、例えば、振動腕24,26が振動した際に蓋体39に接触しないようになっていれば、その厚みは問われない。
なお、このように表層58と錘50を同時に形成したために、錘50の膜厚が大きくなり過ぎたとしても、周波数調整の際にレーザ光を照射して質量を削減することができるため問題はない。
図3ないし図5は、上述した圧電デバイスの製造方法を説明するための図であり、図3は圧電デバイスの工程図、図4は図3のST1およびST2の工程を説明するための図であり、図5は図3のST3およびST5の工程を説明するための図である。
なお、図4(b)〜(d)は図4(a)のC−C線切断端面を示している。また、図5(e)は圧電振動片の裏面側を上に向けた図であり、図5(f)はパッド電極付近の拡大縦断面図である。
(圧電振動片の製造方法)
本実施形態の圧電振動片の製造方法では、ウエハーから複数の圧電振動片を形成するようになっており、図4(a)に示すように、1枚のウエハー60から複数の圧電体29,・・・の外形を形成する(図3のST1:外形形成)。すなわち、水晶の単結晶から切り出された水晶材料でなるウエハーの表面に、図示しない耐蝕膜およびレジスト配置し、露光後感光したレジストを除去してからエッチング液に浸し、外形を形成する。
なお、このウエハー60から形成される複数の圧電振動片の各々は同じ構成であるので、以下、図4(a)のC−C線の位置で切断される圧電振動片についてのみ説明する。
なお、本実施形態では、以上のように電極形成工程(図3のST2)の後に、厚膜形成工程(図3のST3)を行なっているが、電極形成工程の際に、例えばフォトリソグラフィー技術を用いてエッチングにより表層58(図2参照)を形成してもよく、また、電極形成工程および厚膜形成工程の双方の工程で、2度以上にわたって金を主成分とする膜を形成するようにして、表層58を形成してもよい。
この際、バンプ52はパッド電極44bの下地層54側に達しようとするが、上述のように、金を主成分とする層56のバンプ52側には、同じく金を主成分とする膜(表層58)が存在するので、この表層58により膜厚を大きくした分、バンプ52の下地層54への到達を防止することができる。
そして、この蓋封止の際にロウ材43から発生したガスが圧電振動片20に付着すると、圧電振動片20の振動周波数が僅かにシフトする。このため、この僅かにシフトした周波数を調整するため、図2に示すように、レーザ光LBを透明な蓋体39を透過させて、錘50に照射して、質量削減方式で周波数を微調整して(図3のST7:周波数微調整)、圧電デバイスを完成させる。
なお、錘50は、図2に示されるように、先端部26aの表層58側(図2の下側)に形成されているため、レーザ光LBを照射した際に、溶融した錘50が圧電振動片20に付着しないようになっている。
例えば、図1ないし図5で示した表層58は1層のみとなっているが、2層以上の構造になっていてもよい。
また、図1ないし図5では圧電デバイス10の例として圧電振動子を図示したが、圧電発振器、フィルタ、ジャイロ等その名称を問わずに適用できるものである。
Claims (7)
- 圧電体の表面に、バンプに接合するパッド電極と、このパッド電極と一体である励振電極とを形成する電極形成工程を備える圧電振動片の製造方法であって、
前記電極形成工程では、下地層を形成してから、この下地層より表層側に金を主成分とする層を形成するようになっており、
前記電極形成工程の際及び/又はその後に、前記パッド電極の金を主成分とする層のみに、さらに金を主成分とする膜を形成する厚膜形成工程を有する
ことを特徴とする圧電振動片の製造方法。 - 前記電極形成工程の後に、前記圧電振動片の周波数を調整するためのレーザ光が照射される錘を形成する錘付工程を有しており、この錘付工程で錘を形成する際に、前記厚膜形成工程の前記金を主成分とする膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片の製造方法。
- 圧電体の表面に励振電極を有し、この励振電極と一体に形成されたパッド電極を有する圧電振動片を、パッケージの接続電極にバンプにより接合するようにした圧電振動片の接合構造であって、
前記パッド電極および励振電極は、下地層とこの下地層より表層側に金を主成分とする層とを備えており、
前記パッド電極の金を主成分とする層の膜厚は、前記励振電極の金を主成分とする層の膜厚に比べて大きい
ことを特徴とする圧電振動片の接合構造。 - 圧電体の表面に励振電極を有し、この励振電極と一体に形成されたパッド電極を有する圧電振動片と、前記パッド電極とバンプにより接合される接続電極を有するパッケージとを備えた圧電デバイスであって、
前記パッド電極および励振電極は、下地層とこの下地層より表層側に金を主成分とする層とを備えており、
前記パッド電極の金を主成分とする層の膜厚は、前記励振電極の金を主成分とする層の膜厚に比べて大きい
ことを特徴とする圧電デバイス。 - 前記パッド電極の金を主成分とする層の膜厚は、2000Å以上であることを特徴とする請求項4に記載の圧電デバイス。
- 前記圧電体は水晶から形成されており、前記下地層はクロムを主成分とすることを特徴とする請求項4または5に記載の圧電デバイス。
- 前記下地層はニッケルを主成分とすることを特徴とする請求項4または5に記載の圧電デバイス。
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