JP2004254012A - 圧電振動体の支持構造 - Google Patents

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Makoto Wakasugi
信 若杉
Takao Kasai
隆夫 河西
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Abstract

【課題】クリスタルインピーダンス及び機械抵抗の値を規定値内に保持しながら、十分な接合力を持つ圧電振動体の支持構造。
【解決手段】水晶振動体2の励振電極21から延在する引出電極23は、スパッタリング又は蒸着により形成された薄膜であり、第一層がTi膜23a、第二層がPd膜23bである。水晶振動体2を接合するセラミックパッケージの接続電極31は、第一層がメタライズ層31a、第二層がAu31bでありメッキにより形成されている厚膜である。Auを主成分とするスタッドバンプ4が予め接続電極31へワイヤボンディングにより形成され、超音波接合により水晶振動体2の引出電極23と圧接されている。スタッドバンプ4のAuの拡散領域4bは引出電極23側において、第一層にまで達しないため、接合強度の劣化を防げる。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電振動体の支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子機器の小型化薄型化の要求に応えて、その電子回路も高密度化され、回路基板に実装される電子部品は、薄型高密度の実装に適するように、他の一般の電子部品同様に小型チップ化されて、回路基板の片面だけで半田付けできる表面実装型(SMD)のものが多く出現している。近年、携帯用通信機器等の普及に伴い、ますます電子部品の更なる小型化、軽量化、そしてコストダウンの要求が強まっている。
【0003】
圧電振動子においても、同様の事情により小型のSMD製品が要求されている。従来の半田や導電性接着剤による圧電振動体の支持方法では、振動体の位置が不安定になりやすいことや接着剤からガスが発生するなどで電気特性を劣化させる問題があった。そこで、特許文献1や特許文献2などに開示されているような、スタッドバンプを活用して圧電振動体を支持する構造の圧電振動子が提案されている。これらのものは、圧電振動体とこれを取り付けたパッケージ部材との間にスタッドバンプによる隙間を生じる。従って、この隙間によって圧電振動体と取付部材との熱膨張係数の差により発生する水平方向の歪みを吸収することができる。また、圧電振動体が精度良く水平を保って接続されるなどの効果がある。
【0004】
例えば、特許文献1のものは、振動片の励振電極の引出端子と、パッケージ部材上の導電路とを対向させ、この間に導電性粒状金属を介在させて、熱圧着により接合させることを特徴とする圧電振動子である。
【0005】
また、特許文献2のものは、圧電振動素子を表面実装型パッケージ内に片持ち保持にて電気的機械的に接続する圧電共振子であって、上記圧電振動素子の片面上のAgパッド電極と上記表面実装型パッケージ内底面上のAuメタライズ内部端子との接続をAuバンプにて行ったものにおいて、上記Auメタライズ内部端子とAuバンプとの接続を、超音波を併用した低温加熱による熱圧着接合法にて実施したことを特徴とする。
【0006】
図5は、従来の圧電振動体である水晶振動体の支持構造を示す要部拡大断面図である。図5において、80は水晶振動体であり、81は水晶の表面に形成された励振電極から延在する引出電極である。励振電極と同じ構成である引出電極81の構成はCr膜81a(膜厚:約200Å)を下地としてAu膜81b(膜厚:1200〜1300Å)を蒸着又はスパッタリングで積層して形成したものが一般的である。
【0007】
82は、Auワイヤからワイヤボンディング手法により、予め一方の電極側に形成されたスタッドバンプである。83は水晶振動体80を接合するセラミックパッケージの接続電極であり、接続電極83は下地であるメタライズ層83a上にAuメッキ層83bが積層されている。従来の水晶振動体80の支持構造では、水晶振動体80の引出電極81のAu膜81bとセラミックパッケージの接続電極83のAuメッキ層83bとがスタッドバンプ82のAu82aとの固相拡散により接合している。84はスタッドバンプ82のAu82aが引出電極81のAu膜81bへ拡散したAuの拡散領域を示しており、85はスタッドバンプ82のAu82aが接続電極83のAuメッキ層83bへ拡散したAuの拡散領域を示している。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−8684号公報(第4頁〜第5頁、図1〜図4)
【特許文献2】
特開2000−232332号公報(第4頁〜第5頁、図1〜図5)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示すように、ここで、Au膜81bの膜厚は上記のように薄いので、接合時又は接合後の熱履歴により、Auの拡散領域84の先端は下地のCr膜81aの表面に達しやすく、一旦達した場合にはCr膜81aとの境界面で、Crの酸化膜が破壊されて密着力が低下するという問題がある。そこで、Auの拡散領域84を越えるようにAu膜81bの膜厚を厚くしようとすれば、図6に示すように、今度はクリスタルインピーダンス及び機械抵抗の値が規定値を超えてしまうという問題があった。なお、メッキ膜である接続電極83のAuメッキ層83bの厚みは、引出電極81のAu膜81bに比較して十分大きいので、Auの拡散領域85はメタライズ層83aまでは達しないので、上記のような問題は起きない。
【0010】
本発明は、以上のような従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、クリスタルインピーダンス及び機械抵抗の値を規定値内に保持しながら、十分な接合力を持つスタッドバンプを用いた圧電振動体の支持構造を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するための本発明の手段は、励振電極を備えた圧電振動体を、接続電極を備えたパッケージに電気的機械的に接続して支持する圧電振動体の支持構造において、前記振動体の励振電極はTi(チタン)膜の下地上にPd(パタジウム)膜を積層した構造であり、前記励振電極を延在させた引出電極と前記接続電極とは、Auを主成分とするスタッドバンプを介して接続したことを特徴とする。
【0012】
また、前記励振電極の厚さは、前記Ti膜が約100μm、Pd膜が約1500μmであることを特徴とする。
【0013】
また、前記スタッドバンプは1乃至3%のPdを含有することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態である圧電振動体の支持構造を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態である水晶振動子の一部を切除した平面図、図2は図1のX−X断面を示す断面図である。図3はこの水晶振動子に使用される振動体を示しており、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(a)のA−A矢視図である。図4はこの水晶振動子の振動体の支持構造を示す要部拡大断面図である。
【0015】
まず、本発明の実施の形態である水晶振動子の構成を説明する。図1、図2において、1は本発明の圧電振動体の支持構造を適用した実施の形態である水晶振動子であり、2は圧電振動体である音叉形の水晶振動体、3はこの水晶振動子1のパッケージを構成するセラミック基板である。31はセラミック基板3に形成された水晶振動体2を搭載するための接続電極であり、32は外部との接続用の端子電極である。5は圧電デバイス用パッケージを構成するフランジ付きキャップ状の蓋部材である。
【0016】
35はセラミック基板3の上面外縁部に枠状にメタライズ形成された蓋部材5の接合部である。接続電極31、端子電極32及び蓋部材接合部35はいずれもメタライズ層の上にAuメッキが施されている。33は接続電極31と端子電極32とを電気的に接続するために、セラミック基板3の内部を上下面に平行に走る内部配線であり、34は同じくセラミック基板3の厚み方向に走る内部配線である。4はAuを主成分とするワイヤから形成されたスタッドバンプであり、予め一方の電極表面に超音波をかけて圧接された後、両電極間に挟まれ固相拡散により両電極と接合されている。51は蓋部材5に予め形成されているAu/Sn合金等の低い溶融温度を有する金属材から成るロー材層であり、蓋部材5はロー材層51を介して蓋部材接合部35に接合されている。
【0017】
次に、水晶振動体2の電極構造について説明する。図3において、21及び22は一対のTi−Pd(Ti下地の上にPd蒸着)膜から成る励振電極、23及び24は励振電極21及び22からの各々の延在部である一対の引出電極であり、これらの電極パターンは水晶振動体2の上下面で同形に形成されている。25及び26は音叉枝部の両側面に形成されたTi−Pdから成る側面電極である。27は周波数を粗調整するための粗調用パターンであり、Cr−Au(Cr下地の上にAu蒸着)膜の上にAuメッキが施されている。28は同じく微調整するための微調用パターンであり、励振電極21、22と同じ膜構成になっている。ここでTiの膜厚は約100Å、Pdの膜厚は約1500Åである。
【0018】
以上の水晶振動体2の電極の形成方法は、本出願人の出願である特開平05−315881号公報に開示されている。電極膜の精度向上のために、従来の電極構造Cr−Auに対してTi−Pdを採用したものである。本出願人は、この電極構造の水晶振動体2をセラミック基板3の接続電極31にスタッドバンプ4を用いて接合することを試み、従来のものよりも好条件で接合できる圧電振動体の支持構造であることを見いだした。
【0019】
次に、本発明の実施の形態の作用・効果について説明する。すなわち、図4において、スタッドバンプ4のAu4aの拡散は、従来のAu膜81bに対するものと比較して、Pd膜23bに対するものの方が進行しにくい。したがって、比較的薄いPd膜23bであっても、Auの拡散領域4bは下地のTi膜23aまで達しない。このために引出電極23、24とスタッドバンプ4との接合力は劣化しない。Pdの比抵抗は108nΩmと、Auの比抵抗22nΩmの約5倍であるが、Pd膜を薄くできることからクリスタルインピーダンス(CI規格55kΩ)に悪影響を与えないで済む。
【0020】
なお、スタッドバンプに使用するAuワイヤは、必ずしも純度の高いものでなくてもよく、例えば1乃至3%のPdを含有させたAuワイヤが知られている(USP4717066)が、このPd入りAuワイヤを用いて実験したところ、1バンプ当たり120gと十分なシェア強度を得ることができた。この場合には、スタッドバンプ形成の過程でワイヤの切れ端は、長さが短くかつバラツキが小さくなるので、ボンディングツールにより振動体を接合する際に振動体の姿勢が安定し、水平方向の位置ズレが発生しにくくなり、組立位置精度が向上するという特有の効果が得られた。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、励振電極を備えた圧電振動体を、接続電極を備えたパッケージに電気的機械的に接続して支持する圧電振動体の支持構造において、前記振動体の励振電極はTi膜の下地上にPd膜を積層した構造であり、前記励振電極を延在させた引出電極と前記接続電極とをAuを主成分とするスタッドバンプを介して接続したので、クリスタルインピーダンス及び機械抵抗の値を規定値内に保持しながら、パッケージに対する振動体の接合強度を確保しつつ、位置精度の向上を図ることができた。したがって、圧電振動体の一層の薄型化小型化が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である水晶振動子の部分切除平面図である。
【図2】図1のX−X断面を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態である水晶振動体を示す平面図及び側面図である。
【図4】本発明の実施の形態である水晶振動子の要部拡大断面図である。
【図5】従来の水晶振動子の要部拡大断面図である。
【図6】励振電極の膜厚とCI値との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
2 水晶振動体(圧電振動体)
4 スタッドバンプ
21 励振電極
23、24 引出電極
23a Ti膜
23b Pd膜
31 接続電極

Claims (3)

  1. 励振電極を備えた圧電振動体を、接続電極を備えたパッケージに電気的機械的に接続して支持する圧電振動体の支持構造において、前記振動体の励振電極はTi(チタン)膜の下地上にPd(パラジウム)膜を積層した構造であり、前記励振電極を延在させた引出電極と前記接続電極とは、Auを主成分とするスタッドバンプを介して接続したことを特徴とする圧電振動体の支持構造。
  2. 前記励振電極の厚さは、前記Ti膜が約100μm、Pd膜が約1500μmであることを特徴とする請求項1記載の圧電振動体の支持構造。
  3. 前記スタッドバンプは1乃至3%のPdを含有することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の圧電振動体の支持構造。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006190777A (ja) * 2005-01-05 2006-07-20 Pioneer Electronic Corp バンプ形成方法
JP2007096899A (ja) * 2005-09-29 2007-04-12 Seiko Epson Corp 圧電振動片の製造方法、圧電振動片の接合構造、圧電デバイス
JP2010187326A (ja) * 2009-02-13 2010-08-26 Seiko Instruments Inc 圧電振動子の製造方法、圧電振動子および発振器

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