JP2007091860A - ハブベアリング用グリースおよびハブベアリング - Google Patents

ハブベアリング用グリースおよびハブベアリング Download PDF

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Abstract

【課題】ブベアリング運転時にグリース中に水が混入するような過酷な潤滑条件下でも、機械構造用炭素鋼を用いたハブベアリングの耐表面起点型剥離性を向上させるハブベアリング用グリース、および該グリースを用いた長寿命を示すハブベアリングを提供する。
【解決手段】非水系基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、水を該グリース中に均一に分散させることができる添加剤を配合して得られるハブベアリング用グリースであって、上記添加剤が界面活性剤であり、上記増ちょう剤は、下記式(1)で表されるウレア系化合物であり、かつ上記ベースグリース 100 重量部に対して 1〜40 重量部配合され、ハブベアリング6には該ハブベアリング用グリースを封入する。
Figure 2007091860

(式中、R2 は、炭素原子数 6〜15 の芳香族炭化水素基を、R1 およびR3 は、脂環族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選ばれた少なくとも一つの炭化水素基をそれぞれ示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車の車輪を回転自在に支持するためのハブベアリング用グリースおよびハブベアリングに関する。
1970年代までの自動車用ハブベアリングは、ISO規格に適合する標準軸受を2個配列する設計が主流であった。1980年代になり、組込み性の向上を目的に第一世代ハブベアリング(以下、GEN1と記す)と呼ばれる、背面合わせ軸受の外輪を一体化した複列アンギュラ玉軸受、または複列円すいころ軸受が、自動車メーカで採用されるようになった。外輪を一体化することで、軸受組立て時に初期アキシャルすきまが適正値に設定されているため、自動車への組付け時に予圧調整が不要となった。次に、GEN1の外輪にフランジ部を設けた第二世代ハブベアリング(以下、GEN2と記す)と呼ばれる複列軸受が開発された。これは標準軸受のみでは軽量化やサイズダウンに限界があり、軸受の周辺部品である軸(ハブ輪)やハウジング(ナックル)とユニット化することで、部品点数の削減と軽量化を図った結果である。ナックルへの固定を圧入からボルト締結に変えることで、車体への組付けも容易となった。さらに、第三世代ハブベアリング(以下、GEN3と記す)では、軸(ハブ輪)と軸受内輪を一体化し、余肉を削減するとともに、ラインの組立て性をさらに向上させている。最近では、ハブベアリングと等速ジョイントを一体化した第四世代ハブジョイント(以下、GEN4と記す)も開発されている。
前述のように組付けの作業性が大幅に向上すること、圧入が不要となったためバネ下重量軽減による走行安定性の改善や燃費向上に有効な軽合金製ナックルの採用が可能となることから、最近ではGEN2およびGEN3の採用が増加している。
軸受材質に着目すると、GEN1までは通常の軸受鋼(例えばSUJ2)が用いられていたが、外輪にフランジが設けられるGEN2およびGEN3では、鍛造性が良く安価なS53Cなどの機械構造用炭素鋼が用いられるようになった。機械構造用炭素鋼は軌道部に高周波熱処理を施すことで、軸受部の転がり疲労強度を確保しているが、合金成分が少ないため表面強度が弱く、軸受鋼に比べ表面起点剥離への耐性が劣る。そのため、GEN1と同じ潤滑仕様では使用条件が厳しい場合に耐久性が劣ることがあった。
ホイールベアリングはその用途から晴天での走行のみならず雨天、悪路、海岸での走行など使用環境が非常に悪い条件で使用される。軸受内への水分や異物の侵入はシールにより抑えられてはいるものの完全なものではない。したがって、軸受内に水分や異物が侵入することは免れない。さらに、省エネの観点からもハブベアリングの低トルク化が求められ、その方法の一つとしてシールの軽接触化が考えられる。したがって水が浸入する可能性がより高まり、軸受内の潤滑状態は悪くなる。この問題は各世代に共通のものであり、さらに軸受材料に構造用鋼を使用しているGEN2、GEN3およびGEN4のハブベアリングでは潤滑状態が悪いと表面起点型剥離が発生する危険性が大きくなる。
ハブベアリング用グリースの改良については、低粘度基油の採用による回転トルクの低減(特許文献1参照)や、静電気除去のための導電性の付与(特許文献2参照)が知られているが、水分がグリースに混入した時に軸受性能を維持するための配慮はなされていなかった。
軸受中に水分が混入すると以下のことが問題となる。水滴が負荷域に浸入した場合、油膜が途切れ潤滑性の面で不利である、油膜が途切れることにより金属接触が起こり、表面起点型の剥離が発生する危険がある。また、軸受内での水の存在状態によっては軸受内部に錆が発生する。
特開2003−239999号公報 特開2004−169862号公報
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ハブベアリング運転時にグリース中に水が混入するような過酷な潤滑条件下でも、機械構造用炭素鋼を用いたハブベアリングの耐表面起点型剥離性を向上させるハブベアリング用グリース、および該グリースを用いた長寿命を示すハブベアリングを提供することを目的とする。
本発明のハブベアリング用グリースは自動車の車輪を回転支持するハブベアリングに封入するハブベアリング用グリースであって、該グリースは、非水系基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、水を該グリース中に均一に分散させることができる添加剤を配合して得られることを特徴とする。
また、上記添加剤が界面活性剤であることを特徴とする。
上記増ちょう剤は、下記式(1)で表されるウレア系化合物であり、かつ上記ベースグリース 100 重量部に対して 1〜40 重量部配合されることを特徴とする。
Figure 2007091860
(式中、R2 は、炭素原子数 6〜15 の芳香族炭化水素基を、R1 およびR3 は、脂環族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選ばれた少なくとも一つの炭化水素基をそれぞれ示す。)
本発明のハブベアリングは機械構造用炭素鋼からなる摺接部位を有するハブベアリングであって、該ハブベアリングに上記ハブベアリング用グリースを封入したことを特徴とする。
ここで、摺接部位とは、例えば後述の図1に示すようなハブベアリングにおいてハブ輪および内輪を有する内方部材と、外輪である外方部材と、両部材間に介在する複列の転動体との転がり接触部をいう。また、グリースはハブベアリングにおいて、内方部材と、外方部材と、両部材間を密封し複列の転動体を軸方向に挟む形で取付けられた2個のシール部材とに囲まれた環状空間に封入される。
本発明のハブベアリング用グリースは、自動車の車輪を回転支持するハブベアリングに封入するハブベアリング用グリースであって、該グリースは、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、水をグリース中に均一に分散させることができる添加剤を配合してあるので、軸受に浸入してきた水分を非常に小さな粒子として分散させることができる。そのため、グリース中に水が混入したとしても油膜形成の阻害を起こす水分の働きを抑制することができる。このため、表面起点型剥離を抑えることができ、潤滑条件が過酷になっても長寿命を得ることができる。
錆止めに対しても、軸受を構成する鋼と、水との接触を少なくできるため錆の発生を抑制することができる。
本発明のハブベアリングは、機械構造用炭素鋼であり、かつ高周波熱処理を施された材料で一部が構成され、該材料を転動体との摺接部位に有するハブベアリングであって、該ハブベアリングの転がり接触部を、グリースにより潤滑する。
このようなハブベアリングの耐久性について検討した結果、水をグリース中に均一に分散させることができる添加剤を配合したグリースを封入したハブベアリングは、転がり接触部の潤滑性能が向上することを見出した。本発明はこのような知見に基づくものである。
本発明に使用できる、水をグリース中に均一に分散させることができる添加剤としては、界面活性剤を使用する。本発明において界面活性剤は、水分がハブベアリングのグリースに浸入しても、油膜切れや発錆を起こさないようにグリース中の水分を無害化させるために用いられる。グリースに浸入した水分は界面活性剤により微小な水粒子となってグリース中に分散させられる。不連続相である水粒子は連続相であるグリースに閉じ込められるので、グリースによる油膜形成を阻害することができない。
また、同様に連続相であるグリースに閉じ込められた不連続相である水粒子はハブベアリング本体を構成する構造鋼と接触する確率も極めて低く、低い確率で構造鋼に付着した水粒子もハブベアリング本体の回転に連動する転動体の回転によりすぐに連続相であるグリースに置換されるので構造鋼を発錆させることができない。
本発明に使用できる界面活性剤は、連続相であるグリース中に水粒子を不連続相として捕捉し易いW/O(油相(グリース)中に水相が分散している状態)型の界面活性剤であり、界面活性剤の水と油への親和性の程度を表わすHLB(Hydrophilic-lipophilic Balance) 値が 3〜7 の範囲であることが好ましい。
本発明に用いる界面活性剤としては、具体的には、ポリアルキレングリコール系、カルボン酸アルキレングリコール系、カルボン酸ポリアルキレングリコール系等のグリコール系添加剤、カルボン酸グリセリン系、カルボン酸ポリオキシアルキルグリセリン系、カルボン酸グリセリル系等のグリセリン系添加剤、カルボン酸ポリグリセリル系、カルボン酸ポリオキシアルキレングリセリル系等のグリセリル系添加剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系、カルボン酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系等のエーテル系添加剤、カルボン酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルジエステル系、ソルビタンエステル系等のエステル系添加剤、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油系、カルボン酸ポリオキシアルキレン硬化ひまし油系等のひまし油系添加剤、カルボン酸ポリオキシアルキレントリメチロールプロパン系添加剤、金属スルフォネート系添加剤等が挙げられる。これらのなかで金属スルフォネート系添加剤、ソルビタンエステル系添加剤が好ましい。
本発明に使用できる界面活性剤の配合割合は、ベースグリース 100 重量部に対して 0.1〜20 重量部、好ましくは 1〜10 重量部である。0.1 重量部未満の場合には所期の効果を十分に得ることが困難になり、また、20 重量部をこえる場合には効果は頭打ちになりグリース特性を低下させる。
本発明のハブベアリング用グリースに使用できる基油としては、例えば、鉱油、ポリ−α−オレフィン(以下、PAOと記す)油、エステル油、フェニルエーテル油、フッ素油、さらに、フィッシャートロプシュ反応で合成される合成炭化水素油(GTL基油)などが挙げられる。また、これらの混合物を使用できる。
鉱油としては、例えば、ナフテン系鉱油、パラフィン系鉱油、流動パラフィン、水素化脱ろう油などの通常潤滑油やグリースの分野で使用されているものをいずれも使用することができる。
PAO油としては、α−オレフィンの重合体、α−オレフィンとオレフィンとの共重合体、またはポリブテンなどが挙げられる。これらは、α−オレフィンの低重合体であるオリゴマーとし、その末端二重結合に水素を添加した構造である。また、α−オレフィンの一種であるポリブテンも使用でき、これはイソブチレンを主体とする出発原料から塩化アルミニウムなどの触媒を用いて重合して製造できる。ポリブテンは、そのまま用いても、水素添加して用いてもよい。
α−オレフィンのその他の具体例としては、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン等を挙げることができ、通常はこれらの混合物が使用される。
また、潤滑性能や価格を考慮すると、これらの基油の中でも、鉱油、または、鉱油と合成炭化水素油との混合油を使用することが好ましい。
本発明に使用できる基油は、室温で液状を示し、40℃における動粘度が 30〜200 mm2/sec である。好ましくは、40〜120 mm2/sec である。30 mm2/sec 未満の場合は、短時間で基油が劣化し、生成した劣化物が基油全体の劣化を促進するため、軸受の耐久性を低下させ短寿命となる。また、200 mm2/sec をこえると回転トルクの増加による軸受の温度上昇が大きくなるので好ましくない。
本発明に使用する基油の配合割合は、ベースグリース 100 重量部に対して好ましくは 60〜99 重量部、さらに好ましくは 70〜95 重量部である。
基油の配合割合が、65 重量部未満では、グリースが硬く低温時の潤滑性が悪い。また 98 重量部をこえると軟質で洩れ易くなる。
本発明のハブベアリング用グリースに使用できる増ちょう剤としては、アルミニウム、リチウム、ナトリウム、バリウム、カルシウム、複合アルミニウム、複合リチウム、複合ナトリウム、複合バリウム、複合カルシウムなどの金属石けん類、およびジウレア化合物、ポリウレア化合物などのウレア系化合物が挙げられる。耐久性、耐フレッティング性などを考慮するとウレア系化合物が好ましい。
ウレア系化合物は、例えば下記式(1)で表わされる。
Figure 2007091860
(R2 は、炭素原子数 6〜15 の芳香族炭化水素基を、R1 およびR3 は、脂環族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選ばれた少なくとも一つの炭化水素基をそれぞれ示す。)
ウレア系化合物は、イソシアネート化合物とアミン化合物を反応させることにより得られる。反応性のある遊離基を残さないため、イソシアネート化合物のイソシアネート基とアミン化合物のアミノ基とは略当量となるように配合することが好ましい。
反応は、例えばモノアミン酸とジイソシアネート類を、70〜120℃程度の基油中で十分に反応させた後、温度を上昇させ 120〜180℃で 1〜2 時間程度保持し、その後冷却し、ホモジナイザー、3 本ロールミル等を使用して均一化処理することによりなされ、各種配合剤を配合するためのベースグリースが得られる。
式(1)で表されるジウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミンの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ビフェニレンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜等が挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アニリン、p−トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
本発明においては、芳香族ジイソシアネートと、脂環族モノアミンおよび芳香族モノアミン、または芳香族モノアミン単体との反応で得られる脂環族−芳香族ウレア系化合物または芳香族ウレア系化合物が好ましい。
本発明に使用する増ちょう剤の配合割合は、ベースグリース 100 重量部に対して好ましくは 1〜40 重量部、さらに好ましくは 3〜25 重量部である。増ちょう剤の配合量が 1 重量部未満では、増ちょう効果が少なくなり、グリース化が困難となり、40 重量部をこえるとグリースが硬くなりすぎ、所期の効果が得られにくくなる。
本発明のハブベアリング用グリースには、機能を損なわない範囲で、必要に応じて公知の添加剤を添加できる。添加剤としては、例えばアミン系、フェノール系、イオウ系化合物などの酸化防止剤、イオウ系、リン系化合物などの摩耗抑制剤、金属スルホネート、多価アルコールエステルなどの防錆剤、金属スルホネート、金属フォスフェートなどの清浄分散剤などが挙げられる。これらは単独または2種類以上組み合せて添加することができる。
本発明のハブベアリングの一例(従動輪用第三世代ハブベアリング)を図1に示す。図1は、ハブベアリングの断面図である。ハブベアリング6は、ハブ輪1および内輪2を有する内方部材5と、外輪である外方部材3と、複列の転動体4、4とを備えている。ハブ輪1はその一端部に車輪(図示せず)を取付けるための車輪取付けフランジ1dを一体に有し、外周に内側転走面1aと、この内側転送面1aから軸方向に延びる小径段部1bとが形成されている。
本明細書においては、軸方向に関して「外」とは、車両への組付け状態で幅方向外側をいい、「内」とは、幅方向中央側をいう。
ハブ輪1の小径段部1bには、外周に内側転走面2aが形成された内輪2が圧入されている。そして、ハブ輪1の小径段部1bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部1cにより、ハブ輪1に対して内輪2が軸方向へ抜けるのを防止している。
外方部材3は、外周に車体取付けフランジ3bを一体に有し、内周に外側転走面3a、3aと、これら複列の外側転走面3a、3aに対向する内側転走面1a、2aとの間には複列の転動体4、4が転動自在に収容されている。
本発明のハブベアリング用グリースはシール部材7と、外方部材3と、シール部材8と、内方部材5と、ハブ輪1とに囲まれた空間に封入され、外方部材3と、内方部材5とに挟まれた複列の転動体4、4の周囲を被覆し、転動体4、4の転動面と、内側転走面1a、2aおよび外側転走面3a、3aとの転がり接触部の潤滑に供される。
本発明のハブベアリング用グリースは、ハブベアリング以外の高負荷がかかる軸受にも使用することができる。
本発明のハブベアリングに使用できる材質は、軸受鋼、浸炭鋼、または機械構造用炭素鋼を挙げることができる。これらの中で鍛造性が良く安価なS53Cなどの機械構造用炭素鋼を用いることが好ましい。該炭素鋼は一般に高周波熱処理を施すことで、軸受部の転がり疲労強度を確保した上で用いられる。しかし、機械構造用炭素鋼は高周波熱処理を施しても、合金成分が少ないため表面強度が弱く、軸受鋼に比べ摺接部位での表面起点型剥離への耐性が劣る。この表面起点型剥離の問題に対し、本発明のハブベアリング用グリースは摺接部位における潤滑性能を向上させることによって、ハブベアリングに用いられる機械構造用炭素鋼の表面起点型剥離を防止することができる。
本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、これらの例によって何ら限定されるものではない。
実施例1〜実施例2
基油である鉱油に、増ちょう剤としてウレア化合物を均一に分散させた鉱油/ウレア系ベースグリース(JISちょう度No.2グレード、ちょう度:265〜295 )を準備した。
鉱油(新日本石油社製タービン100、40℃での動粘度:100 mm2/sec )2000 g 中で、ジフェニルメタン−4、4'−ジイソシアネー卜 231.7 g と、アニリン 86.2 g と、シクロヘキシルアミン 91.7 g とを反応させ、生成したウレア化合物を均一に分散させてベースグリースを得た。このベースグリースに、表1に示す配合で添加剤を配合してハブベアリング用グリースを得た。
得られたハブベアリング用グリースにつき、以下に記す油膜形成率試験および水分散確認試験に供し、油膜形成率、水との混ざり方、および水粒子径を測定した。結果を表1に併記する。
油膜形成率試験
使用軸受:アンギュラ玉軸受7006ADLLBをハブベアリングに模擬して使用した。
試験条件:得られたハブベアリング用グリースをアンギュラ玉軸受7006ADLLBに 1.0 g 封入し、ラジアル荷重 650 N 、アキシャル荷重 200 N 、軸受回転数 1000 rpm にて回転させた状態で、注水量 0.35 ml/時間で 10 時間、注水したときのグリースの油膜形成率を測定した。
水分散確認試験
水がグリース中に分散している程度を確認するため、次のように実施した。
水とグリースとの合計量 100 重量部に対して含水量が 20 重量部になるように水とグリースとを混合して撹拌した混合物をガラスプレートに採取し、厚さ 0.025 mm のシムをガラスプレートの両端に置き、その上から別のガラスプレートで挟み、ガラスプレート全体に均一に荷重を負荷して、グリースを広げ、顕微鏡にてグリース内に存在する水滴の粒子径を測定した。
実施例3および比較例1〜比較例2
基油である鉱油に、増ちょう剤としてウレア化合物を均一に分散させた鉱油/ウレア系ベースグリース(JISちょう度No.2グレード、ちょう度:265〜295 )を準備した。
鉱油(新日本石油社製スーパーオイルC、 40℃での動粘度:100 mm2/sec )2000 g 中で、ジフェニルメタン−4、4'−ジイソシアネー卜 234.8 g と、アニリン 174.8 g とを反応させ、生成したウレア化合物を均一に分散させてベースグリースを得た。このベースグリースに、表1に示す配合で添加剤を配合してハブベアリング用グリースを得た。
得られたハブベアリング用グリースにつき、実施例1と同様に評価した。結果を表1に併記する。
Figure 2007091860
表1において水をグリース中に均一に分散させることができたグリース中の水粒子径は微小であった。また油膜形成率では水の分散が均一になるグリースでは油膜の形成を維持しているが、水の分散が不均一になるグリースでは油膜が形成されなかった。
以上のことから、グリース中に水が混入した場合、水を均一に分散させることのできないグリースは油膜を形成できず表面起点型剥離を起こす恐れがあるが、水を均一に分散させることのできるグリースは油膜を形成することができるため表面損傷の発生を防止できる。
本発明のハブベアリング用グリースは、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、水をグリース中に均一に分散させることができる添加剤を配合して得られるので、ハブベアリング運転時にグリース中に水が混入したとしてもグリースの油膜形成の阻害を起こす水分の働きを抑制することができるので、自動車用ハブベアリングにおける表面起点型剥離を抑えることができ、軌道輪に構造用鋼を用いた軸受においても、潤滑条件が過酷になっても長寿命を得ることができる。そのため、耐摩耗性とともに、長期間耐久性の要求される鉄道車両、建設機械、自動車電装補機などに好適に利用することができる。
ハブベアリングの断面図である。
符号の説明
1 ハブ輪
1a 内側転走面
1b 小径段部
1c 加締部
1d 車輪取付けフランジ
2 内輪
2a 内側転走面
3 外方部材
3a 外側転走面
3b 車体取付けフランジ
4 転動体
5 内方部材
6 ハブベアリング
7 シール部材
8 シール部材

Claims (4)

  1. 自動車の車輪を回転支持するハブベアリングに封入するハブベアリング用グリースであって、該グリースは、非水系基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、水を該グリース中に均一に分散させることができる添加剤を配合して得られることを特徴とするハブベアリング用グリース。
  2. 前記添加剤が界面活性剤であることを特徴とする請求項1記載のハブベアリング用グリース。
  3. 前記増ちょう剤は、下記式(1)で表されるウレア系化合物であり、かつ前記ベースグリース 100 重量部に対して 1〜40 重量部配合されることを特徴とする請求項1または請求項2記載のハブベアリング用グリース。
    Figure 2007091860
    (式中、R2 は、炭素原子数 6〜15 の芳香族炭化水素基を、R1 およびR3 は、脂環族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選ばれた少なくとも一つの炭化水素基をそれぞれ示す。)
  4. 機械構造用炭素鋼からなる摺接部位を有するハブベアリングであって、該ハブベアリングに請求項1、請求項2または請求項3記載のハブベアリング用グリースを封入したことを特徴とするハブベアリング。
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