JP2006064112A - 転がり軸受 - Google Patents

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Shinji Fujita
慎治 藤田
Yasuo Murakami
保夫 村上
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Abstract

【課題】高温高速高荷重の条件下での使用に対する耐性を向上した、より長寿命である転がり軸受を提供する。
【解決手段】内周面に転動面を有する外方部材と、外周面に転動面を有する内方部材と、当該外方部材の転動面と内方部材の転動面との間に転動自在に配設された複数の転動体とを備えた転がり軸受において、外方部材、内方部材、転動体のうち少なくとも、外方部材ならびに内方部材は、C:0.3〜1.2質量%、Si:0.5〜2.0質量%、Mn:0.2〜2.0質量%、Cr:0.5〜2.0質量%、残部Fe及び不可避不純物を含有する鋼材からなり、且つ、摩擦係数を低下させる物質を0.1〜10質量%の割合で含有するグリース組成物を封入していることを特徴とする転がり軸受。
【選択図】図2

Description

本発明はグリースを封入した転がり軸受に関し、特に自動車の電装部品、エンジン補機であるオルタネータや中間プーリ、カーエアコン用電磁クラッチ、ガスヒートポンプ等のような高温高速高荷重条件下で使用される部品に使用される転がり軸受に関する。
一般に、玉軸受の転動体及び内外輪の材料として、SUJ2等の軸受鋼鋼材がよく使用されている。これらの材料は、一般には、焼入れ、焼戻しして、硬さをHRC58〜62程度に硬化させて、必要な疲労寿命を確保されている。
一般に、このような軸受鋼からなる転がり軸受の定格疲れ寿命は、玉軸受であれば、L=(C/P)3、ころ軸受であれば、L=(C/P)10/3(ここで、L:定格疲れ寿命、C:基本動定格荷重、P:軸受荷重)で示される。
近年、製鋼技術の飛躍的進歩によって、鋼の清浄度が格段に向上したことによって、清浄な油浴潤滑下で、上記計算寿命を満足することなく早期に転がり疲れによるフレーキングが生じて市場不具合が発生することは、ほとんどなくなっている。
しかしながら、オルタネータをはじめとした電装補機用の軸受は、エンジンの作動と同時に、高速回転に伴う高振動、高荷重(重力加速度で4G〜20G位)がベルトを介して作用する。そのため、従来のオルタネータ用軸受には、固定輪である外輪の軌道面に組織変化を伴った早期はくりを生じて軸受の寿命を短くする原因になっている。
この組織変化を伴った早期はくりの対策としては、軸受材料を高Cr化にすることが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
ところで、自動車は小型軽量化を目的としたFF車の普及により、さらには居住空間拡大の要望により、エンジンルーム空間の減少を余儀なくされ、電装部品やエンジン補機の小型軽量化がより一層進められており、それに組み込まれる各部品も高性能高出力化がますます求められている。しかし、小型化により出力の低下は避けられず、例えばオルタネータやカーエアコン用電磁クラッチでは高速化することにより出力の低下分を補っており、それに伴って中間プーリも高速化することになる。
更に、静粛性向上の要望によりエンジンルームの密閉化が進み、エンジンルーム内の高温化が促進されるため、これらの部品は高温に耐えることも必要となっている。最近では特に使用温度が高くなる傾向にあり、例えばオルタネータではラジエータの冷却水によりオルタネータ内部の熱を冷却するため、軸受温度が160〜200℃になることがある。
焼付き寿命を延長させるために、種々の提案がなされており、グリースの増ちょう剤組成を変更することも数多く試みられており、ウレア化合物を増ちょう剤に用いることが一般的である(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
特許第3009254号公報(特許請求の範囲) 特開平5−98280号公報(特許請求の範囲) 特許第1817330号公報(特許請求の範囲)
先に述べたように、焼付き寿命低下に関しては、これまでグリースの増ちょう剤組成を変更することや、ウレア化合物を増ちょう剤に用いることによって、長寿命化を図っていた。しかしながら、今後さらなる高温高速高荷重の条件下で使用されることが予想されるため、さらなる改良が望まれる。そこで、本発明は、高温高速高荷重の条件下での使用に対する耐性を向上した、より長寿命である転がり軸受を提供することを目的とする。
本願発明者らは、上記目的を達成するために、焼付きに至るメカニズムについて鋭意研究したところ、特定の組成からなる鋼材を用いた軸受と、摩擦係数を低下させる物質を添加した潤滑剤を併用することにより、摩擦係数を低下させ、転動体と外方部材ならびに内方部材との間で発生する接線力を低下させ、発熱量を抑えることができることを見出した。また、あわせて、接線力低下により、電装補機用軸受に見られる組織変化に伴うクラック発生、伝播を結果的に遅延させることができ、長寿命化が図れることを見出した。
その結果、具体的手段としては、Siを0.5〜2.0質量%の割合で含有し、通常使用されるSUJ2の軸受鋼材よりも摩擦係数の低い鋼材からなる軸受と、摩擦係数を低下させる物質を0.1〜10質量%の割合で含有するグリース組成物を封入したグリースを併用し、転動体と外方部材ならびに内方部材との摩擦を低減させた。
即ち、本願発明における転がり軸受は、以下の(1)〜(5)に示す通りである。
(1)内周面に転動面を有する外方部材と、外周面に転動面を有する内方部材と、当該外方部材の転動面と内方部材の転動面との間に転動自在に配設された複数の転動体とを備えた転がり軸受において、外方部材、内方部材、転動体のうち少なくとも、外方部材ならびに内方部材は、C:0.3〜1.2質量%、Si:0.5〜2.0質量%、Mn:0.2〜2.0質量%、Cr:0.5〜2.0質量%、残部Fe及び不可避不純物を含有する鋼材からなり、且つ、摩擦係数を低下させる物質を0.1〜10質量%の割合で含有するグリース組成物を封入していることを特徴とする転がり軸受。
(2)摩擦係数を低下させる物質がカーボンブラックであることを特徴とする上記(1)記載の転がり軸受。
(3)カーボンブラックの平均粒径が10〜300nmであることを特徴とする上記(2)記載の転がり軸受。
(4)摩擦係数を低下させる物質がカーボンナノチューブであることを特徴とする上記(1)記載の転がり軸受。
(5)カーボンナノチューブは、直径0.5〜15nmで、全長0.5〜50μmであることを特徴とする上記(4)記載の転がり軸受。
本発明の転がり軸受は、特定の組成からなる摩擦係数の低い鋼材を用いた軸受と、摩擦係数を低下させる物質を含有するグリース組成物を封入したグリースとを併用することで、転動体と外方部材ならびに内方部材との摩擦を低減させることができる。その結果、焼付き寿命を改善するだけでなく、組織変化に伴うクラック発生、伝播を結果的に遅延させることができるため、長寿命化が図れる。
以下に、本願発明における記載事項及び数値限定等の臨界的意義について述べる。
本願発明の転がり軸受は、その構成自体は制限されるものではなく、例えば図1に断面図として示す玉軸受1を例示することができる。この玉軸受1は、内輪10と外輪11との間に、保持器12を介して複数の転動体である玉13を転動自在に保持し、更に、内輪10と外輪11と玉13とで形成される軸受空間Sに、上記のグリース(図示せず)を充填し、シール部材14により封止して構成されている。
さらに、本願発明の転がり軸受において、外方部材、内方部材、転動体のうち少なくとも、外方部材ならびに内方部材は、下記に示す成分を含有する鋼材からなる。
[C含有量]
炭素は、鋼に必要な強度と寿命を得るために必要な元素であるが、これが少なすぎると、十分な強度が得られないだけでなく、後述する浸炭窒化処理の際に、必要な硬化層深さを得るための熱処理時間が長くなり、熱処理コストの増大につながる。そのため、炭素含有量は0.3質量%以上、好ましくは、0.6質量%以上とする。また、逆に、炭素含有量が多すぎると、製鋼時に巨大炭化物が生成され、その後の焼入れ特性や転動疲労寿命に悪影響を与えたり、ヘッダー性が低下してコストの上昇を招く虞があるため、上限を1.2質量%とした。
[Si含有量]
Siは、製鋼時に脱酸剤として必要であるだけでなく、基地マルテンサイトを強化するとともに、焼戻し軟化抵抗性を高め、疲労寿命を延長するのに極めて有効な元素である。 また、浸炭窒化層の諸特性を満足するための、表面窒素濃度や残留オーステナイト量等をバランスよく確保するためには、なくてはならない必須元素である。その効果を十分に発揮させるためには、少なくとも0.5質量%以上、好ましくは、0.8質量%以上が必要である。しかしながら、Siは含有量が多すぎると、ヘッダー性、被削性等を低下させるだけでなく、浸炭窒化処理特性が低下して十分な硬化層深さや窒素拡散深さを確保できなくなる場合があり、完成品鋼球においては、後述する所定の表面品質が得られない場合があるため、上限を2.0質量%以下、好ましくは1.5質量%以下とした。また、Siを添加することで鋼材の摩擦を低減させることができる。
[Mn含有量]
Mnは、Siと同様に、脱酸剤としての働きがある他、焼入性を向上させたり、また、転がり寿命に有効な残留オーステナイトの生成を促進させる作用があり、0.2質量%以上必要である。しかし、Mnは含有量が多すぎると、被削性、ヘッダー性を低下させるだけでなく、熱処理後においては、多量の残留オーステナイトが生成したりして、かえって耐疲労性が低下して良好な寿命が得られなくなる場合もあるため、上限を2.0質量%以下、好ましくは0.7質量%以下とした。
[Cr含有量]
Crは、基地に固溶して焼入性、焼戻軟化抵抗性などを高めるとともに、高硬度の微細な炭化物または炭窒化物を形成して、軸受材料の硬さや熱処理時の結晶粒粗大化を防止して軸受寿命を高める作用がある。その効果を出すためには少なくとも0.5質量%以上、好ましくは1.3質量%以上必要であるが、2.0質量%を超えると、製鋼過程で巨大炭化物が生成して、その後の焼入れ特性や転動疲労寿命に悪影響を与えたり、ヘッダー性や被削性が低下するため、その上限は2.0質量%以下、好ましくは1.6質量%以下とした。
その他、MoやV等の炭化物形成促進元素もCrと同様の作用効果が得られるので、素材費や加工性低下によるコストアップが生じない範囲で、それぞれ選択的に0〜2質量%程度添加してもよい。
また、その他残部は、実質的にFeからなるが、不可避不純物としてS、P、Al、Ti、O等を含有する。これらの元素は、表面起点型フレーキングには特に際立った影響はないとされているが、その品質が著しく悪い場合には、内部起点型フレーキングが生じるようになるので、コストアップを招くような厳しい不純物規制は行わないが、通常、軸受材料として使用できる清浄度規制(JIS G 4805)を満足する品質(ベアリング クオリティー)レベルとする。
本願発明では、上記の転がり軸受に、下記に示す成分からなるグリースを充填する。
[基油]
グリース組成物に使用される基油は特に限定されず、通常潤滑油の基油として使用されている油は全て使用することができる。好ましくは、低音流動性不足による低音起動時の異音発生や、高温で油膜が形成され難いために起こる焼付きを避けるために40℃における動粘度が、好ましくは10〜400mm2/sec、より好ましくは20〜250mm2/sec、更に好ましくは40〜150mm2/secである基油が望ましい。
具体例としては、鉱油系、合成油系または天然油系の潤滑油などが挙げられる。前記鉱油系潤滑油としては、鉱油を減圧蒸留、油剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製等を、適宜組み合わせて精製したものを用いることができる。前記合成油系潤滑基油としては、炭化水素系油、芳香族系油、エステル系油、エーテル系油等が挙げられる。前期炭化水素系油としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−デセンオリゴマー、1−デセンとエチレンコオリゴマーなどのポリ−α−オレフィンまたはこれらの水素化物などが挙げられる。前記芳香族系油としては、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、などのアルキルベンゼン、あるいはモノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン、ポリアルキルナフタレンなどのアルキルナフタレンなどが挙げられる。前記エステル系油としては、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチル・アセチルシノレートなどのジエステル油、あるいはトリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテートなどの芳香族エステル油、さらにはトリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールベラルゴネートなどのポリオールエステル油、さらにはまた、多価アルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油などが挙げられる。前記エーテル系油としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテルなどのポリグリコール、あるいはモノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテルなどのフェニルエーテル油などが挙げられる。その他の合成潤滑基油としてはトリクレジルフォスフェート、シリコーン油、パーフルオロアルキルエーテルなどが挙げられる。前記天然油系潤滑基油としては、牛脂、豚脂、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油等の油脂系油またはこれらの水素化物が挙げられる。これらの基油は、単独または混合物として用いることができ、上述した好ましい動粘度に調整される。
[増ちょう剤]
ゲル構造を形成し、基油をゲル構造中に保持する能力があれば、特に制約はない。例えば、Li、Na等からなる金属石けん、Li、Na、Ba、Ca等から選択される複合金属石けん等の金属石けん類、ベントン、シリカゲル、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物等の非石けん類を適宜選択して使用できるが、グリース組成物の耐熱性を考慮するとウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物または、これらの混合物が好ましい。このウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物としては、具体的にはジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、ポリウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でもジウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物またはこれらの混合物がより好ましい。耐熱性、音響性を考慮すると、さらに好ましくは、ジウレア化合物を配合することが望ましい。
[摩擦係数を低減させる物質:カーボンブラック、カーボンナノチューブ]
摩擦係数を低減させる物質の好ましい添加量は、グリース組成物全量に対して0.1〜10質量%である。添加量がこれより少ないと、十分な摩擦係数を低下させる性能を有することができず、これより多く含有するとグリースが硬化し、焼付き寿命が低下する恐れがあるため好ましくない。摩擦係数を低下させる性能を確かにし、焼付き寿命の低下を考慮するなら、グリース組成物全量に対して0.5〜5.0質量%が望ましい。上記の摩擦係数を低減させる物質として好ましいものは、取り扱いや入手のし易さなどの理由からカーボンブラックが挙げられるが、グリース組成物の中での分散性や音響特性などを考慮すると、平均粒径で10〜300nm程度のものを選択することが好ましい。また、カーボンナノチューブも好適に使用することができる。このカーボンナノチューブは、図2に模式的に示されるように、主に炭素六員環の網目状構造が丸まって、両末端が閉口したチューブ状を呈する炭素多面体である。尚、異径のチューブ接合部や末端の閉口部においては、炭素五員環や炭素七員環となっている場合もある。また、カーボンナノチューブ類として球状構造を採るものがあり、例えばC60,C70はフラーレンとして知られているが、本発明においてはこのフラーレンも使用できる。これらカーボンナノチューブは、直径が0.5〜15nmで、長さ0.5〜50μmのものが特に好ましい。また、カーボンブラックおよびカーボンナノチューブは導電性物質としての役割も果たすことができる。
[その他の添加剤]
潤滑性能をより一層高めるために、必要に応じて酸化防止剤、極圧剤、油性剤、防錆剤、金属不活性剤、粘度指数向上剤等種々の添加物を単独で、もしくは適宜組み合わせてグリース組成物に添加することができる。これらは何れも公知のもので構わず、また添加量も特に制限されるものではないが、通常は合計でグリース組成物全量の20質量%以下となるように調整される。
上記の成分から調製されるグリースにおいて、摩擦係数を低下させる物質添加後のグリースちょう度が、NLGI No.1〜3であることが、より望ましい。
[製法]
上記グリース組成物を調製する方法には特に制約はない。しかし、一般的には基油中で増ちょう剤を反応させて得られる。導電性物質は、得られたグリース組成物に所定量を配合することが好ましい。ただし、ニーダやロールミル等で導電性物質を添加した後に十分攪拌し、均一分散させる必要がある。この処理を行うときは、加熱するものも有効である。尚、上記製法において、酸化防止剤、防錆剤等その他の添加剤は、導電性物質と同時に添加することが工程上好ましい。
以下に示す実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明を評価するための各試験に際し、実施例ならびに比較例の試験体は、表1に示す化学成分を有する鋼材およびグリースから作製した。その後、熱処理(スブ焼入れ:820〜860℃、浸炭、浸炭窒化焼入れ:920〜960℃(Cp=0.8〜1.2、NH3=3〜5質量%)、油あるいはガス焼入れ:820〜960℃、焼戻し:160〜180℃)を施して各試験に使用した。
Figure 2006064112
(摩擦係数比)
まず、転動体と平板試験片に、基油(PAO)、増ちょう剤(ジウレア化合物)、その他添加剤(アミノ酸系酸化防止剤)および表1で示す量のカーボンブラックまたはカーボンナノチューブを含有するグリースを塗布し、ボールオンディスク試験により転動体と平板試験片間の摩擦係数を測定した。なお、平板試験片には表1からなる化学成分の鋼材を用い、転動体には、焼入れ、焼戻しを施した硬さHRC62のSUJ2試験片を用いた。そして測定条件は、回転速度200rpm、荷重1kgf(9.8N)とした。
測定結果は、表1中に、従来の軸受鋼平板試験片である比較例1に対する摩擦力の比(以下、摩擦係数比と称する)として示してある。
(寿命比:はくり試験・焼付き試験)
他の評価方法としては、はくり試験ならびに焼付き試験を行った。
はくり試験に関しては、実施例及び比較例ともに、試験軸受には接触ゴムシール付き深溝玉軸受(JIS呼び番号6303)を用い、軸受すきまを10〜15μmとした。なお、内輪及び外輪は表1に示す化学成分を含有する鋼材からなるものを、転動体は摩擦係数比の試験と同様のSUJ2試験片を用いた。この試験軸受に、摩擦係数比の測定に用いたグリースと同様のグリースを2.3g充填した。また、保持器には4−6ナイロン製のものを用いた。そして特開平09−89724号に開示される急加減速試験装置を用いて、回転速度を所定時間毎(例えば9秒毎)に9000rpmと18000rpmとに切替えて試験を行った。荷重条件は、P(負荷荷重)/C(動定格荷重)=0.10、試験温度を80℃一定にした。
更に、この時の軸受の計算寿命は1350時間であり、従って、試験打ち切り時間を1500時間とした。まず、試験体をそれぞれ10個ずつ用意して、はくりなどの異常が生じるまでの時間を測定した。初期振動の5倍上昇した場合、試験を中断し、はくりの有無を確認した。そして10個の試験体の結果からL10寿命を求めた。10個の試験体全てに対し、試験打ち切り時間までにはくりなどの異常が生じなかった場合には、L10寿命を1500時間とした。測定結果は、従来の仕様である比較例1に対する寿命比として表1中に示してある。
次に焼付き試験について述べる。本試験においてもはくり試験と同様の試験軸受およびグリースを用い、軸受すきまを10〜15μmとし、この試験軸受にグリースを2.3g充填した。保持器には4−6ナイロン製のものを用いた。そしてはくり試験と同様の急加減速試験装置を用い、内輪回転速度を20000rpm、荷重条件は、P(負荷荷重)/C(動定格荷重)=0.08、試験温度を140℃一定にした。
そして、焼付きが生じて軸受外輪温度が150℃以上に上昇したとき、試験を終了した。試験は試験体各10個について行い、試験打ち切り時間ははくり試験の場合と同様に、1500時間とした。測定結果も、はくり試験と同様に比較例1に対する寿命比として表1中に示してある。
さらに、表1の結果をグラフ化したものを図3〜5に示す。まず、表1から明らかなように、グリース中にカーボンブラックやカーボンナノチューブを含まない比較例1に対し、実施例はいずれもカーボンブラックまたはカーボンナノチューブを含み、摩擦係数比が従来の約8割以下に低下していることがわかる。また寿命比の結果を見ても、実施例は、はくり試験では比較例1の3〜9倍に、焼付け試験では2〜4倍の寿命を呈しており、いずれも良好な寿命延長効果が認められる。従って、カーボンブラックやカーボンナノチューブは摩擦係数を低減させる物質として有効であり、その結果、寿命を延長できたと言える。
図3は、カーボンブラック量またはカーボンナノチューブ量に対する摩擦係数比の関係を示すグラフである。ここから明らかなように、実施例1のようにカーボンブラックを微量でも添加すると確実に摩擦係数が低下し、また添加量の増加に伴いさらに低下しているのがわかる。
図4は、カーボンブラック量またはカーボンナノチューブ量に対するはくり寿命比の関係を示すグラフである。はくり寿命は摩擦係数と同様の相関が取れており、カーボンブラックまたはカーボンナノチューブの添加量が多くなるに連れて、はくり寿命が改善されることがわかる。
図5は、カーボンブラック量またはカーボンナノチューブ量に対する焼付き寿命比の関係を示すグラフである。実施例1に示すようにカーボンブラックを0.15質量%添加することで大幅な改善が見られ、さらに添加すると3倍以上の寿命を示した。しかし5質量%を超えると寿命が落ち始め、8〜10質量%の添加では0.15質量%の添加時と同程度まで低下した。そして比較例2に示すように12質量%の添加では、グリースのちょう度が低下したために、大幅に焼付き寿命の低下が見られ、カーボンブラックまたはカーボンナノチューブを添加していない比較例1より低い値となった。従って、過剰に添加すると摩擦係数の低下やはくり寿命の延長には大きく貢献するが、焼付き寿命は極端に低下することがわかった。そのため、カーボンブラックまたはカーボンナノチューブ添加量を好ましくは10質量%以下とすると、ある程度の摩擦係数の低下とはくり寿命の延長が図れ、同時に焼付き寿命を2倍以上延長することができる。また、カーボンブラックまたはカーボンナノチューブ添加量のさらに好ましい範囲は、3倍以上の焼付き寿命の延長が可能となる0.5質量%〜5.0質量%である。
本発明の転がり軸受の一実施形態を示す断面図である。 カーボンナノチューブを表す模式図である。 カーボンブラック量またはカーボンナノチューブ量と摩擦係数比の関係を表すグラフである。 カーボンブラック量またはカーボンナノチューブ量とはくり寿命比の関係を表すグラフである。 カーボンブラック量またはカーボンナノチューブ量と焼付け寿命比の関係を表すグラフである。
符号の説明
1 玉軸受
10 内輪
11 外輪
12 保持器
13 玉
14 シール部材
S 軸受空間

Claims (5)

  1. 内周面に転動面を有する外方部材と、外周面に転動面を有する内方部材と、当該外方部材の転動面と内方部材の転動面との間に転動自在に配設された複数の転動体とを備えた転がり軸受において、外方部材、内方部材、転動体のうち少なくとも、外方部材ならびに内方部材は、C:0.3〜1.2質量%、Si:0.5〜2.0質量%、Mn:0.2〜2.0質量%、Cr:0.5〜2.0質量%、残部Fe及び不可避不純物を含有する鋼材からなり、且つ、摩擦係数を低下させる物質を0.1〜10質量%の割合で含有するグリース組成物を封入していることを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記摩擦係数を低下させる物質がカーボンブラックであることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
  3. 前記カーボンブラックの平均粒径が10〜300nmであることを特徴とする請求項2記載の転がり軸受。
  4. 前記摩擦係数を低下させる物質がカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
  5. 前記カーボンナノチューブは、直径0.5〜15nmで、全長0.5〜50μmであることを特徴とする請求項4記載の転がり軸受。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013001849A (ja) * 2011-06-17 2013-01-07 Nok Kluber Kk 導電性グリース組成物

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