JP2006064112A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内周面に転動面を有する外方部材と、外周面に転動面を有する内方部材と、当該外方部材の転動面と内方部材の転動面との間に転動自在に配設された複数の転動体とを備えた転がり軸受において、外方部材、内方部材、転動体のうち少なくとも、外方部材ならびに内方部材は、C:0.3〜1.2質量%、Si:0.5〜2.0質量%、Mn:0.2〜2.0質量%、Cr:0.5〜2.0質量%、残部Fe及び不可避不純物を含有する鋼材からなり、且つ、摩擦係数を低下させる物質を0.1〜10質量%の割合で含有するグリース組成物を封入していることを特徴とする転がり軸受。
【選択図】図2
Description
一般に、このような軸受鋼からなる転がり軸受の定格疲れ寿命は、玉軸受であれば、L=(C/P)3、ころ軸受であれば、L=(C/P)10/3(ここで、L:定格疲れ寿命、C:基本動定格荷重、P:軸受荷重)で示される。
(1)内周面に転動面を有する外方部材と、外周面に転動面を有する内方部材と、当該外方部材の転動面と内方部材の転動面との間に転動自在に配設された複数の転動体とを備えた転がり軸受において、外方部材、内方部材、転動体のうち少なくとも、外方部材ならびに内方部材は、C:0.3〜1.2質量%、Si:0.5〜2.0質量%、Mn:0.2〜2.0質量%、Cr:0.5〜2.0質量%、残部Fe及び不可避不純物を含有する鋼材からなり、且つ、摩擦係数を低下させる物質を0.1〜10質量%の割合で含有するグリース組成物を封入していることを特徴とする転がり軸受。
(2)摩擦係数を低下させる物質がカーボンブラックであることを特徴とする上記(1)記載の転がり軸受。
(3)カーボンブラックの平均粒径が10〜300nmであることを特徴とする上記(2)記載の転がり軸受。
(4)摩擦係数を低下させる物質がカーボンナノチューブであることを特徴とする上記(1)記載の転がり軸受。
(5)カーボンナノチューブは、直径0.5〜15nmで、全長0.5〜50μmであることを特徴とする上記(4)記載の転がり軸受。
本願発明の転がり軸受は、その構成自体は制限されるものではなく、例えば図1に断面図として示す玉軸受1を例示することができる。この玉軸受1は、内輪10と外輪11との間に、保持器12を介して複数の転動体である玉13を転動自在に保持し、更に、内輪10と外輪11と玉13とで形成される軸受空間Sに、上記のグリース(図示せず)を充填し、シール部材14により封止して構成されている。
さらに、本願発明の転がり軸受において、外方部材、内方部材、転動体のうち少なくとも、外方部材ならびに内方部材は、下記に示す成分を含有する鋼材からなる。
炭素は、鋼に必要な強度と寿命を得るために必要な元素であるが、これが少なすぎると、十分な強度が得られないだけでなく、後述する浸炭窒化処理の際に、必要な硬化層深さを得るための熱処理時間が長くなり、熱処理コストの増大につながる。そのため、炭素含有量は0.3質量%以上、好ましくは、0.6質量%以上とする。また、逆に、炭素含有量が多すぎると、製鋼時に巨大炭化物が生成され、その後の焼入れ特性や転動疲労寿命に悪影響を与えたり、ヘッダー性が低下してコストの上昇を招く虞があるため、上限を1.2質量%とした。
Siは、製鋼時に脱酸剤として必要であるだけでなく、基地マルテンサイトを強化するとともに、焼戻し軟化抵抗性を高め、疲労寿命を延長するのに極めて有効な元素である。 また、浸炭窒化層の諸特性を満足するための、表面窒素濃度や残留オーステナイト量等をバランスよく確保するためには、なくてはならない必須元素である。その効果を十分に発揮させるためには、少なくとも0.5質量%以上、好ましくは、0.8質量%以上が必要である。しかしながら、Siは含有量が多すぎると、ヘッダー性、被削性等を低下させるだけでなく、浸炭窒化処理特性が低下して十分な硬化層深さや窒素拡散深さを確保できなくなる場合があり、完成品鋼球においては、後述する所定の表面品質が得られない場合があるため、上限を2.0質量%以下、好ましくは1.5質量%以下とした。また、Siを添加することで鋼材の摩擦を低減させることができる。
Mnは、Siと同様に、脱酸剤としての働きがある他、焼入性を向上させたり、また、転がり寿命に有効な残留オーステナイトの生成を促進させる作用があり、0.2質量%以上必要である。しかし、Mnは含有量が多すぎると、被削性、ヘッダー性を低下させるだけでなく、熱処理後においては、多量の残留オーステナイトが生成したりして、かえって耐疲労性が低下して良好な寿命が得られなくなる場合もあるため、上限を2.0質量%以下、好ましくは0.7質量%以下とした。
Crは、基地に固溶して焼入性、焼戻軟化抵抗性などを高めるとともに、高硬度の微細な炭化物または炭窒化物を形成して、軸受材料の硬さや熱処理時の結晶粒粗大化を防止して軸受寿命を高める作用がある。その効果を出すためには少なくとも0.5質量%以上、好ましくは1.3質量%以上必要であるが、2.0質量%を超えると、製鋼過程で巨大炭化物が生成して、その後の焼入れ特性や転動疲労寿命に悪影響を与えたり、ヘッダー性や被削性が低下するため、その上限は2.0質量%以下、好ましくは1.6質量%以下とした。
グリース組成物に使用される基油は特に限定されず、通常潤滑油の基油として使用されている油は全て使用することができる。好ましくは、低音流動性不足による低音起動時の異音発生や、高温で油膜が形成され難いために起こる焼付きを避けるために40℃における動粘度が、好ましくは10〜400mm2/sec、より好ましくは20〜250mm2/sec、更に好ましくは40〜150mm2/secである基油が望ましい。
ゲル構造を形成し、基油をゲル構造中に保持する能力があれば、特に制約はない。例えば、Li、Na等からなる金属石けん、Li、Na、Ba、Ca等から選択される複合金属石けん等の金属石けん類、ベントン、シリカゲル、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物等の非石けん類を適宜選択して使用できるが、グリース組成物の耐熱性を考慮するとウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物または、これらの混合物が好ましい。このウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物としては、具体的にはジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、ポリウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でもジウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物またはこれらの混合物がより好ましい。耐熱性、音響性を考慮すると、さらに好ましくは、ジウレア化合物を配合することが望ましい。
摩擦係数を低減させる物質の好ましい添加量は、グリース組成物全量に対して0.1〜10質量%である。添加量がこれより少ないと、十分な摩擦係数を低下させる性能を有することができず、これより多く含有するとグリースが硬化し、焼付き寿命が低下する恐れがあるため好ましくない。摩擦係数を低下させる性能を確かにし、焼付き寿命の低下を考慮するなら、グリース組成物全量に対して0.5〜5.0質量%が望ましい。上記の摩擦係数を低減させる物質として好ましいものは、取り扱いや入手のし易さなどの理由からカーボンブラックが挙げられるが、グリース組成物の中での分散性や音響特性などを考慮すると、平均粒径で10〜300nm程度のものを選択することが好ましい。また、カーボンナノチューブも好適に使用することができる。このカーボンナノチューブは、図2に模式的に示されるように、主に炭素六員環の網目状構造が丸まって、両末端が閉口したチューブ状を呈する炭素多面体である。尚、異径のチューブ接合部や末端の閉口部においては、炭素五員環や炭素七員環となっている場合もある。また、カーボンナノチューブ類として球状構造を採るものがあり、例えばC60,C70はフラーレンとして知られているが、本発明においてはこのフラーレンも使用できる。これらカーボンナノチューブは、直径が0.5〜15nmで、長さ0.5〜50μmのものが特に好ましい。また、カーボンブラックおよびカーボンナノチューブは導電性物質としての役割も果たすことができる。
潤滑性能をより一層高めるために、必要に応じて酸化防止剤、極圧剤、油性剤、防錆剤、金属不活性剤、粘度指数向上剤等種々の添加物を単独で、もしくは適宜組み合わせてグリース組成物に添加することができる。これらは何れも公知のもので構わず、また添加量も特に制限されるものではないが、通常は合計でグリース組成物全量の20質量%以下となるように調整される。
上記グリース組成物を調製する方法には特に制約はない。しかし、一般的には基油中で増ちょう剤を反応させて得られる。導電性物質は、得られたグリース組成物に所定量を配合することが好ましい。ただし、ニーダやロールミル等で導電性物質を添加した後に十分攪拌し、均一分散させる必要がある。この処理を行うときは、加熱するものも有効である。尚、上記製法において、酸化防止剤、防錆剤等その他の添加剤は、導電性物質と同時に添加することが工程上好ましい。
まず、転動体と平板試験片に、基油(PAO)、増ちょう剤(ジウレア化合物)、その他添加剤(アミノ酸系酸化防止剤)および表1で示す量のカーボンブラックまたはカーボンナノチューブを含有するグリースを塗布し、ボールオンディスク試験により転動体と平板試験片間の摩擦係数を測定した。なお、平板試験片には表1からなる化学成分の鋼材を用い、転動体には、焼入れ、焼戻しを施した硬さHRC62のSUJ2試験片を用いた。そして測定条件は、回転速度200rpm、荷重1kgf(9.8N)とした。
他の評価方法としては、はくり試験ならびに焼付き試験を行った。
10 内輪
11 外輪
12 保持器
13 玉
14 シール部材
S 軸受空間
Claims (5)
- 内周面に転動面を有する外方部材と、外周面に転動面を有する内方部材と、当該外方部材の転動面と内方部材の転動面との間に転動自在に配設された複数の転動体とを備えた転がり軸受において、外方部材、内方部材、転動体のうち少なくとも、外方部材ならびに内方部材は、C:0.3〜1.2質量%、Si:0.5〜2.0質量%、Mn:0.2〜2.0質量%、Cr:0.5〜2.0質量%、残部Fe及び不可避不純物を含有する鋼材からなり、且つ、摩擦係数を低下させる物質を0.1〜10質量%の割合で含有するグリース組成物を封入していることを特徴とする転がり軸受。
- 前記摩擦係数を低下させる物質がカーボンブラックであることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
- 前記カーボンブラックの平均粒径が10〜300nmであることを特徴とする請求項2記載の転がり軸受。
- 前記摩擦係数を低下させる物質がカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
- 前記カーボンナノチューブは、直径0.5〜15nmで、全長0.5〜50μmであることを特徴とする請求項4記載の転がり軸受。
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JP2004248713A JP2006064112A (ja) | 2004-08-27 | 2004-08-27 | 転がり軸受 |
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JP2013001849A (ja) * | 2011-06-17 | 2013-01-07 | Nok Kluber Kk | 導電性グリース組成物 |
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- 2004-08-27 JP JP2004248713A patent/JP2006064112A/ja active Pending
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