JP5086568B2 - ホイールベアリング - Google Patents

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Description

本発明は、水が混入する危険のある環境下で使用される軸受に封入する耐水グリース、該グリースを封入した転がり軸受および自動車や鉄道車両用のホイールベアリングに関する。
水が浸入する環境下で使用される軸受の代表例として挙げることのできる自動車の車両用軸受(ホイールベアリング)は、1980年代になり、組込み性の向上を目的に第一世代ホイールベアリングと呼ばれる、背面合わせ軸受の外輪を一体化した複列アンギュラ玉軸受または複列円すいころ軸受が、自動車メーカで採用されるようになった。外輪を一体化することで、軸受組立て時に初期アキシャルすきまが適正値に設定されているため、自動車への組付け時に予圧調整が不要となった。次に、第一世代の外輪にフランジ部を設けた第二世代ホイールベアリングと呼ばれる複列軸受が開発された。これは標準軸受のみでは軽量化やサイズダウンに限界があり、軸受の周辺部品である軸(ハブ輪)やハウジング(ナックル)とユニット化することで、部品点数の削減と軽量化を図った結果である。ナックルへの固定を圧入からボルト締結に変えることで、車体への組付けも容易となった。さらに、第三世代ホイールベアリングでは、軸(ハブ輪)と軸受内輪を一体化し、余肉を削減するとともに、ラインの組立て性をさらに向上させている。最近では、ホイールベアリングと等速ジョイントを一体化した第四世代ハブジョイントも開発されている。
近年の自動車用ホイールベアリングは車体への組付け作業性、軽量化、小型化を考慮して、最近では第二世代、第三世代のホイールベアリングの採用が増加している。
軸受材質に着目すると、第一世代では内外輪ともに軸受鋼(例えばSUJ2)が用いられていたが、外輪にフランジが設けられる第二世代、第三世代のホイールベアリングでは、鍛造性が良く安価なS53Cなどの機械構造用炭素鋼が用いられるようになった。機械構造用炭素鋼は軌道部に高周波熱処理を施すことで、軸受部の転がり疲労強度を確保しているが、合金成分が少ないため表面強度が弱く、軸受鋼に比べ表面起点剥離への耐性が劣る。そのため、第一世代と同じ潤滑仕様では使用条件が厳しい場合に耐久性が劣ることがあった。
ホイールベアリングはその用途から晴天での走行のみならず雨天、悪路、海岸での走行など使用環境が非常に悪い条件で使用される。軸受内への水や異物の侵入はシールにより抑えられてはいるものの完全なものではない。したがって、軸受内に水や異物が侵入することは免れない。さらに、省エネの観点からもホイールベアリングの低トルク化が求められ、その方法の一つとしてシールの軽接触化が考えられる。したがって水が浸入する可能性がより高まり、軸受内の潤滑状態は悪くなる。この問題は各世代に共通のものであり、さらに軸受材料に構造用鋼を使用している第二世代、第三世代および第四世代のホイールベアリングでは潤滑状態が悪いと表面起点型剥離が発生する危険性が大きくなる。
耐水グリースの改良については、低粘度基油の採用による回転トルクの低減(特許文献1参照)や、静電気除去のための導電性の付与(特許文献2参照)が知られているが、水がグリースに混入した時に軸受性能を維持するための配慮はなされていなかった。
軸受中に水が混入すると以下のことが問題となる。水滴が負荷域に浸入した場合、油膜が途切れ潤滑性の面で不利である、油膜が途切れることにより金属接触が起こり、摩耗、表面起点型の剥離(ピーリングやスミアリングなど)、早期剥離が発生する危険がある。早期剥離とは表面近傍に白色組織変化を伴った剥離や転動体の転動方向とそれとは逆方向に表面近傍で亀裂が進展する剥離を指す。また、軸受内での水の存在状態によっては軸受内部に錆が発生する。
特開2003−239999号公報 特開2004−169862号公報
本発明は、このような問題に対処すべくなされたものであり、軸受運転時にグリース中に水が混入するような過酷な潤滑条件下でも、機械構造用炭素鋼などを用いた軸受の耐表面起点型剥離性を向上させる耐水グリース、および該グリースを用いた長寿命を示す転がり軸受およびホイールベアリングを提供することを目的とする。
本発明の耐水グリースは、非水系基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、添加剤としてCaスルフォネートと、ソルビタンモノオレエートと、亜鉛ジチオフォスフェートと、アミン系酸化防止剤とを配合してなる耐水グリースであって、上記耐水グリース中に分散できる飽和水分量が 30〜60 重量%であることを特徴とする。
本発明において、飽和水分量とは微小粒子としての水をグリース中に分散させることができる最大の水分量をいう。
上記ベースグリース 100 重量部に対し、上記Caスルフォネートを 0.5〜2 重量部、ソルビタンモノオレエートを 0.2〜1 重量部、それぞれ配合したことを特徴とする。
また、上記ベースグリース 100 重量部に対し、上記亜鉛ジチオフォスフェートを 2 重量部、上記アミン系酸化防止剤を 1 重量部、それぞれ配合したことを特徴とする。
また、上記Caスルフォネートの塩基価が 50〜500 であることを特徴とする。本発明において、塩基価とは1分子中に含まれる塩基性物質の量を示し、JIS K 2501 に規定される方法に基づき測定された数値である。
上記非水系基油が鉱油であり、上記増ちょう剤がウレア系化合物であることを特徴とする。
本発明の転がり軸受は、内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する転動体とを備え、この転動体の周囲に上記耐水グリースを封入してなることを特徴とする。
本発明のホイールベアリングは、上記耐水グリースが封入され、機械構造用炭素鋼からなる摺接部位を有する自動車用または鉄道車両用のホイールベアリングであることを特徴とする。
ここで、摺接部位とは、例えば後述の図1に示すようなホイールベアリングにおいてハブ輪1および内輪2を有する内方部材5と、外輪である外方部材3と、両部材間に介在する複列の転動体4、4との転がり接触部をいう。また、本発明の耐水グリースはホイールベアリング6において、内方部材5と、外方部材3と、両部材間を密封し複列の転動体4を軸方向に挟む形で取付けられた2個のシール部材7、8とに囲まれた環状空間に封入される。
本発明の耐水グリースは、軸受等に封入する耐水グリースであって、該グリースは、非水系基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、添加剤としてCaスルフォネートと、ソルビタンモノオレエートと、亜鉛ジチオフォスフェートと、アミン系酸化防止剤とを配合して耐水グリース中に分散できる飽和水分量を 30〜60 重量%に制御するので、軸受等に浸入してきた水を微粒子として分散させることができる。
そのため、グリース中に水が混入したとしても油膜形成の阻害を起こす水分の働きを抑制することができる。また、錆止め作用についても、軸受を構成する鋼と、塊状の水成分との接触を少なくできるため錆の発生を抑制することができる。
本発明のホイールベアリングは、機械構造用炭素鋼からなる摺接部位を有するホイールベアリングであって、該ホイールベアリングに上記耐水グリースを封入しているので、ホイールベアリングに水が混入しても油膜形成の阻害を起こす水分の働きを抑制することができる。このため、表面起点型剥離を抑えることができ、潤滑条件が過酷になっても長寿命を得ることができる。
機械構造用炭素鋼であり、かつ高周波熱処理を施された材料で一部が構成され、該材料を転動体との摺接部位に有し、水が浸入する危険のある箇所で使用される軸受の耐久性について検討した結果、軸受内に浸入した水を取り込み、分散できるような水との親和性を有するグリースに関し、水に対するグリースの親和性を添加剤により制御し最適化させた軸受は、軸受内に水が浸入しても軸受摺動面の潤滑性能が低下することなく長寿命になることを見出した。
グリース中に水を微粒子として分散させることができる所定の添加剤を配合し、飽和水分量を 30〜60 重量%に制御したグリースを封入した軸受は、水が浸入しても転がり接触部等の潤滑性能が低下することなく持続することを見出した。これは飽和水分量を制御したグリースは、浸入した水が微小な水粒子となってグリース中に分散させられ、連続相であるグリースに閉じ込められるので、グリースによる油膜形成を阻害することができないことにより軸受の耐久性が向上するものと考えられる。本発明はこのような知見に基づくものである。
本発明の耐水グリースは非水系基油と、増ちょう剤とからなるベースグリース中に、所定の添加剤を配合して得られる耐水グリースであって、軸受に浸入してくる水に対し所定の親和性を有する。この親和性を示す数値を「飽和水分量」と呼び、下記式のように定義した。

飽和水分量(重量%)=グリース中に分散可能な最大水分量×100/(グリース重量+グリース中に分散可能な最大水分量)

上記式で表される該グリースの飽和水分量を 30〜60 重量%に制御することを必須とする。さらに 40〜50 重量%の範囲とすることがより好ましい。この範囲であれば水分による油膜形成の阻害を抑制することができる。
飽和水分量が 30 重量%未満では水分を取り込みにくくなり、軸受内部で大きな水滴として存在し油膜形成を阻害する。また、60 重量%より大きいと軸受内部に多量の水分を保持し過ぎてしまい、錆が発生する。
本発明においてベースグリースに添加する添加剤としては、Caスルフォネートと、ソルビタンモノオレエートと、亜鉛ジアルキルジチオフォスフェートと、アミン系酸化防止剤とを必須とする。
Caスルフォネートおよびソルビタンモノオレエートは、界面活性剤であり水がホイールベアリング中に浸入しても、油膜切れや発錆を起こさないようにグリース中に水分を分散させ水分を無害化させるために用いられる。グリースに浸入した水は界面活性剤により微小な水粒子となってグリース中に分散させられる。グリースは連続相として存在できるので、油膜切れが生じないと考えられる。
また、同様に連続相であるグリースに閉じ込められた不連続相である水粒子はホイールベアリング本体を構成する構造鋼と接触する確率も極めて低く、低い確率で構造鋼に付着した水粒子もホイールベアリング本体の回転に連動する転動体の回転によりすぐに連続相であるグリースに置換されるので構造鋼を発錆させることができないと考えられる。
本発明に使用できるCaスルフォネートは、その塩基価が 50〜500 の範囲であることが好ましい。塩基価は、1分子中に含まれる塩基性物質の量を示し、添加剤が含有するCaの量が多い場合に高い数値となる。塩基性のCaスルフォネートは防錆性能を付与するだけではなく、極圧性能を付与することもできる。
すなわち、本発明においてベースグリース 100 重量部に対し、Caスルフォネートを 0.5〜2 重量部配合する場合には、塩基価が 50 未満のときには極圧性能が不十分となり、塩基価が 500 をこえても、それ以上の効果は望めない。
本発明に使用できるソルビタンモノオレエートは、非イオン性の界面活性剤であり、界面活性剤の水と油とへの親和性の程度を表わすHLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)値が 9 前後を有し、親油性の性質を有し、上記Caスルフォネートとともに、耐水グリース中の基油の分散性を確保するために使用する。
本発明において界面活性剤であるCaスルフォネートとソルビタンモノオレエートとの配合量は、ベースグリース 100 重量部に対し、Caスルフォネートを 0.5〜2 重量部、ソルビタンモノオレエートを 0.2〜1 重量部とすることが好ましい。
両者を上記範囲内で併用することにより、耐水グリースの飽和水分量を 30〜60 重量%に制御することができる。また、油膜形成率などの所期の効果が頭打ちになり、軸受寿命などのグリース特性を低下させる等のおそれがない。
本発明に使用できる亜鉛ジチオフォスフェートとしては、例えば下記式(1)で表わされる亜鉛ジアルキルジチオフォスフェートが挙げられ、グリースの極圧性能を付与するために配合するものである。
Figure 0005086568
(式中においてR は、アルキル基を示す。)
アルキル基としては、一級アルキル基、二級アルキル基およびアリール基が挙げられるが、水に対する安定性や摩耗防止性等のバランスのよい二級アルキル基を用いることが好ましい。
亜鉛ジチオフォスフェートの配合量は、ベースグリース 100 重量部に対して 0.5〜2.0 重量部を配合することが好ましい。最も好ましくは、ベースグリース 100 重量部に対して 2.0 重量部である。
0.5 重量部未満のときは極圧性能が不十分となり、所期の効果を十分に得ることが困難になり、また、2.0 重量部をこえて添加しても、それ以上の効果を得ることはできない。
本発明に使用するアミン系酸化防止剤は、グリースの酸化劣化を抑制するために配合するものである。アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、ジピリジルアミン、フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、p,p'−ジオクチルジフェニルアミン、N,N'−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤の配合量は、ベースグリース 100 重量部に対して 0.5〜2.0 重量部を配合することが好ましい。0.5 重量部未満のときは酸化防止性能が不十分となり、所期の効果を十分に得ることが困難になり、また、2.0 重量部をこえて添加してもそれ以上の効果は望めない。最も好ましくは、ベースグリース 100 重量部に対して 1 重量部である。
本発明の耐水グリースに使用できる非水系基油としては、例えば、鉱油、ポリ-α-オレフィン(以下、PAOと記す)油、エステル油、フェニルエーテル油、フッ素油、さらに、フィッシャートロプシュ反応で合成される合成炭化水素油(GTL基油)などが挙げられる。また、これらの混合物を使用できる。
鉱油としては、例えば、ナフテン系鉱油、パラフィン系鉱油、流動パラフィン、水素化脱ろう油などの通常潤滑油やグリースの分野で使用されているものをいずれも使用することができる。
PAO油としては、α-オレフィンの重合体、α-オレフィンとオレフィンとの共重合体、またはポリブテンなどが挙げられる。これらは、α-オレフィンの低重合体であるオリゴマーとし、その末端二重結合に水素を添加した構造である。また、α-オレフィンの一種であるポリブテンも使用でき、これはイソブチレンを主体とする出発原料から塩化アルミニウムなどの触媒を用いて重合して製造できる。ポリブテンは、そのまま用いても、水素添加して用いてもよい。
α-オレフィンのその他の具体例としては、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、1-ドコセン、1-テトラコセン等を挙げることができ、通常はこれらの混合物が使用される。
また、潤滑性能や価格を考慮すると、これらの非水系基油の中でも鉱油を使用することが好ましい。
本発明に使用できる非水系基油は、室温で液状を示し、40℃における動粘度が 30〜200 mm2 /sec である。好ましくは、40〜120 mm2/sec である。30 mm2/sec 未満の場合は、短時間で非水系基油が劣化し、生成した劣化物が非水系基油全体の劣化を促進するため、軸受の耐久性を低下させ短寿命となる。また、200 mm2/sec をこえると回転トルクの増加による軸受の温度上昇が大きくなるので好ましくない。
本発明においてベースグリース 100 重量部中に占める非水系基油の配合割合は、好ましくは 60〜99 重量部、さらに好ましくは 70〜95 重量部である。
非水系基油の配合割合が、60 重量部未満では、グリースが硬く低温時の潤滑性が悪い。また 99 重量部をこえると軟質で洩れ易くなる。
本発明の耐水グリースに使用できる増ちょう剤としては、ベントン、シリカゲル、フッ素化合物、リチウム石けん、リチウムコンプレックス石けん、力ルシウム石けん、カルシウムコンプレックス石けん、アルミニウム石けん、アルミニウムコンプレックス石けん等の石けん類、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物が挙げられる。耐熱性、コスト等を考慮するとウレア系化合物が望ましい。
ウレア系化合物は、例えば下記式(2)で表わされる。
Figure 0005086568
(R2 は、炭素原子数 6〜15 の芳香族炭化水素基を、R1 およびR3 は、互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ炭素数 6〜12 の芳香族基、脂環族基および脂肪族基から選ばれた少なくとも一つの基を、それぞれ示す。)
ウレア系化合物は、イソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させることにより得られる。反応性のある遊離基を残さないため、イソシアネート化合物のイソシアネート基とアミン化合物のアミノ基とは略当量となるように配合することが好ましい。
式(2)で表されるジウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミンの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、3,3-ジメチル-4,4-ビフェニレンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜等が挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アニリン、p-トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
本発明においては、芳香族ジイソシアネートと、脂環族モノアミンおよび芳香族モノアミン、または芳香族モノアミン単体との反応で得られる脂環族−芳香族ウレア系化合物または芳香族ウレア系化合物が好ましい。特に好ましくは、脂環族モノアミンとしてシクロヘキシルアミンを、芳香族モノアミンとしてアニリンを併用する。
反応は、例えばモノアミン酸とジイソシアネート類を、70〜120℃程度の非水系基油中で十分に反応させた後、温度を上昇させ 120〜180℃で 1〜2 時間程度保持し、その後冷却し、ホモジナイザー、3 本ロールミル等を使用して均一化処理することによりなされ、各添加剤を配合するためのベースグリースが得られる。
本発明においてベースグリース 100 重量部中に占める増ちょう剤の配合割合は、好ましくは 1〜40 重量部、さらに好ましくは 3〜25 重量部である。増ちょう剤の配合割合が 1 重量部未満では、増ちょう効果が少なくなり、グリース化が困難となり、40 重量部をこえるとグリースが硬くなりすぎ、所期の効果が得られにくくなる。
本発明の耐水グリースには、機能を損なわない範囲で、必要に応じてCaスルフォネート、ソルビタンモノオレエート、亜鉛ジチオフォスフェート、アミン系酸化防止剤以外の公知の添加剤を添加できる。
本発明の自動車や鉄道車両に使用されるホイールベアリングの一例(従動輪用第三世代ホイールベアリング)を図1に示す。図1は、ホイールベアリングの断面図である。
ホイールベアリング6は、ハブ輪1および内輪2を有する内方部材5と、外輪である外方部材3と、複列の転動体4、4とを備えている。ハブ輪1はその一端部に車輪(図示せず)を取付けるための車輪取付けフランジ1dを一体に有し、外周に内側転走面1aと、この内側転送面1aから軸方向に延びる小径段部1bとが形成されている。
本明細書においては、軸方向に関して「外」とは、車両への組付け状態で幅方向外側をいい、「内」とは、幅方向中央側をいう。
ハブ輪1の小径段部1bには、外周に内側転走面2aが形成された内輪2が圧入されている。そして、ハブ輪1の小径段部1bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部1cにより、ハブ輪1に対して内輪2が軸方向へ抜けるのを防止している。
外方部材3は、外周に車体取付けフランジ3bを一体に有し、内周に外側転走面3a、3aと、これら複列の外側転走面3a、3aに対向する内側転走面1a、2aとの間には複列の転動体4、4が転動自在に収容されている。
本発明の耐水グリースはシール部材7と、外方部材3と、シール部材8と、内方部材5と、ハブ輪1とに囲まれた空間に封入され、外方部材3と、内方部材5とに挟まれた複列の転動体4、4の周囲を被覆し、転動体4、4の転動面と、内側転走面1a、2aおよび外側転走面3a、3aとの転がり接触部の潤滑に供される。
本発明の耐水グリースは、ホイールベアリング以外の高負荷がかかる軸受にも使用することができる。
本発明のホイールベアリングに使用できる材質は、軸受鋼、浸炭鋼、または機械構造用炭素鋼を挙げることができる。これらの中で鍛造性が良く安価なS53Cなどの機械構造用炭素鋼を用いることが好ましい。該炭素鋼は一般に高周波熱処理を施すことで、軸受部の転がり疲労強度を確保した上で用いられる。しかし、機械構造用炭素鋼は高周波熱処理を施しても、合金成分が少ないため表面強度が弱く、軸受鋼に比べ摺接部位での表面起点型剥離への耐性が劣る。この表面起点型剥離の問題に対し、本発明の耐水グリースは摺接部位における潤滑性能を向上させることによって、ホイールベアリングに用いられる機械構造用炭素鋼の表面起点型剥離を防止することができる。
本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、これらの例によって何ら限定されるものではない。
実施例1〜実施例6および比較例1〜比較例3
非水系基油である鉱油に、増ちょう剤としてウレア化合物を均一に分散させた鉱油/ウレア系ベースグリース(JISちょう度No.2グレード、ちょう度:265〜295 )を準備した。
鉱油(新日本石油社製タービン100、40℃での動粘度:100 mm2/sec )2000 g 中で、ジフェニルメタン−4、4'−ジイソシアネー卜 231.7 g と、アニリン 86.2 g と、シクロヘキシルアミン 91.7 g とを反応させ、生成したウレア化合物を均一に分散させてベースグリースを得た。このベースグリースに、表1に示す配合で添加剤を配合して試験用グリースを得た。
得られた試験用グリースにつき、以下に記す油膜形成率試験、軸受寿命試験および飽和水分量測定に供し、油膜形成率、軸受寿命時間、飽和水分量および錆の発生有無を測定した。結果を表1に併記する。
<油膜形成率試験>
使用軸受:アンギュラ玉軸受7006ADLLBをホイールベアリングに模擬して使用した。
試験条件:得られた試験用グリースをアンギュラ玉軸受7006ADLLBに 1.0 g 封入し、ラジアル荷重 8000 N 、アキシャル荷重 3000 N 、軸受回転数 1000 rpm にて回転させた状態で、注水量 1.0 ml/時間で 10 時間、注水したときの試験用グリースの油膜形成率を測定した。
<軸受寿命試験>
使用軸受:アンギュラ玉軸受7006ADLLBをホイールベアリングに模擬して使用した。
試験条件:得られた試験用グリースをアンギュラ玉軸受7006ADLLBに 1.0 g 封入し、ラジアル荷重 8000 N 、アキシャル荷重 3000 N 、軸受回転数 1000 rpm にて回転させた状態で、注水量 1.0 ml/時間で注水したときの軸受寿命を測定した。軸受寿命は外輪転動面、内輪転動面、鋼球のいずれか 1 つが損傷し振動が大きくなるまでの時間を軸受寿命とした。
<飽和水分量測定>
一定量を量り採った試験用グリースに水の混入割合を 5 重量%ずつ変化させて加え、ミクロスパーテルを用いて手動で撹拌し、加えた水を分散できた最大の水分量を求め、以下の式を用いて飽和水分量を算出した。分散できたかどうかは、試験用グリースをガラスプレートに採取し、厚さ 0.025 mm のスペーサシムをガラスプレートの両端に置き、その上から別のガラスプレートで挟み、ガラスプレート全体に 600 N の荷重を均一に負荷して、試験用グリースを広げ顕微鏡で観察したとき、グリース内に存在する最も大きい水滴の粒子径が 50μm 以下であるときを、分散できているとした。

飽和水分量(重量%)=グリース中へ分散可能な最大水分量×100/(試験用グリース重量+グリース中へ分散可能な最大水分量)
Figure 0005086568
表1に示すとおり、水が浸入したときの軸受寿命は実施例1の添加剤組成で長寿命である。したがって、水が浸入しやすい環境下で使用される軸受、自動車足回り、鉄道車両、鉄鋼圧延機などの用途において効果的である。
本発明の耐水グリースは、非水系基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、所定の添加剤を配合して該グリースの飽和水分量が 30〜60 重量%に制御されていることから、該グリースを封入した軸受運転時にグリース中に水が混入したとしてもグリースの油膜形成の阻害を起こす水分の働きを抑制することができるので、軸受の表面起点型剥離を抑えることができ、軌道輪に構造用鋼を用いた軸受においても、潤滑条件が過酷になっても長寿命を得ることができる。そのため、常に水の浸入の可能性がある環境下で、耐摩耗性とともに、長期間耐久性の要求される自動車、鉄道車両のホイールベアリングや、建設機械、自動車電装補機などに用いる軸受の耐水グリースとして好適に利用することができる。
ホイールベアリングの断面図である。
符号の説明
1 ハブ輪
1a 内側転走面
1b 小径段部
1c 加締部
1d 車輪取付けフランジ
2 内輪
2a 内側転走面
3 外方部材
3a 外側転走面
3b 車体取付けフランジ
4 転動体
5 内方部材
6 ホイールベアリング
7 シール部材
8 シール部材

Claims (4)

  1. 耐水グリースが封入され、機械構造用炭素鋼からなる摺接部位を有する自動車用または鉄道車両用のホイールベアリングであって、
    前記耐水グリースが、非水系基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、添加剤としてCaスルフォネートと、ソルビタンモノオレエートと、亜鉛ジチオフォスフェートと、アミン系酸化防止剤とを配合してなる耐水グリースであって、
    前記ベースグリース 100 重量部に対し、前記Caスルフォネートを 0.5〜2 重量部、ソルビタンモノオレエートを 0.2〜1 重量部、それぞれ配合してなり、前記耐水グリース中に分散できる飽和水分量が 30〜60 重量%であることを特徴とするホイールベアリング
  2. 前記ベースグリース 100 重量部に対し、前記亜鉛ジチオフォスフェートを 2 重量部、前記アミン系酸化防止剤を 1 重量部、それぞれ配合したことを特徴とする請求項1記載のホイールベアリング
  3. 前記Caスルフォネートの塩基価が 50〜500 であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のホイールベアリング
  4. 前記非水系基油が鉱油であり、前記増ちょう剤がウレア系化合物であることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項記載のホイールベアリング
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