JP2008128270A - 冷却水ポンプ用転がり軸受 - Google Patents

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正樹 江上
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Abstract

【課題】水の浸入を原因とする転走面での剥離を効果的に防止でき、長期耐久性に優れた冷却水ポンプ用転がり軸受を提供する。
【解決手段】エンジンにより駆動するプーリに一端側を連接し、冷却水を循環するインペラに他端側を連接する回転軸10と、ハウジング11に固定された外輪3との間に介在する転動体4を備えてなり、転動体4の周囲にグリース7が封入され、かつ外輪3の両端部に固定された1対のシールユニット8によって、外輪3と回転軸10との間を密封してなる冷却水ポンプ用転がり軸受1であって、グリース7は、非水系基油および増ちょう剤からなるベースグリースに、少なくとも水分散剤を含む添加剤を配合してなる耐水グリースであり、水分散剤の配合量は、該耐水グリースの飽和水分量が 30〜60 重量%に設定される量である。
【選択図】図2

Description

本発明は冷却水ポンプ用転がり軸受に関し、特に自動車の水冷エンジン等に好適な冷却水ポンプ用転がり軸受に関する。
小型軽量化を目的としたFF(フロントエンジン・フロント駆動)車の普及により、またさらに居住空間の拡大により、自動車はエンジンルームの縮小を余儀なくされつつある。このため、自動車用関連補機は小型軽量化が一層進められるとともに、高性能、高出力のものがますます求められている。
エンジンを冷却するために用いられる冷却水ポンプの一般例を、図3によって説明する。図3は冷却水ポンプ12の斜視図である。冷却水ポンプ12は、エンジン出力をプーリ13で受けて、プーリ13駆動により回転する回転軸10と、この回転軸10を冷却水ポンプ12のハウジング11に回転自在に支持する複数個の転がり軸受1と、回転軸10に連接して冷却水を循環送水するインペラ14と、転がり軸受1への冷却水の浸入を防止するメカニカルシール15とから構成される。また、転がり軸受1のインペラ14側およびプーリ13側には、軸受への水の浸入を防止するとともに、軸受外部へのグリース漏洩を防止するため、ゴム成形体等からなるシールユニットが設けられている(図2参照)。
冷却水ポンプに用いられる転がり軸受の使用温度条件は厳しくなっており、軸受は 120℃をこえる温度にさらされる場合がある。ニトリルゴムは耐熱性の限界が 120℃程度のため、シールユニットのゴム成形体の材料としてニトリルゴムを用いると、ゴム成形体が熱劣化し、硬化して弾性が損なわれ、極端な場合はリップ部にクラックが生じ、シール性能が大幅に低下する場合がある。
また、冷却水に含まれるクーラントとの接触にともなう劣化により変形して、シール性能が低下する恐れがある。そのため、転がり軸受への冷却水の浸入を防止するべく、上述のメカニカルシールおよびシールユニットを設ける他に、さらに材質的な対策が施される場合がある。例えば、冷却水ポンプ用転がり軸受のシールユニットのゴム成形体の材料として、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−プロピレン3元共重合体を含む加硫可能なフッ素ゴム組成物、またはテトラフルオロエチレン−プロピレン2元共重合体を含む加硫可能なフッ素ゴム組成物を採用することにより、シール部材の変形を抑える方法が知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、上記のフッ素ゴム組成物を使用しても、冷却水中のクーラントとの接触により、経時劣化してしまい、シール性能が低下し水が軸受内部に侵入する可能性があるため、未だその性能は充分とはいえない。
シール性能が低下すると軸受内部に水が浸入し、以下のことが問題となる。水滴が負荷域に浸入した場合、油膜が途切れ潤滑性の面で不利である。油膜が途切れることにより金属接触が起こり、軸受転走面において摩耗、表面起点型の剥離、早期剥離が発生する危険がある。早期剥離とは表面近傍で起こる白色組織変化を伴った剥離や、転動体の転動方向とそれとは逆方向に表面近傍で亀裂が進展する剥離を指す。また、軸受内での水の存在状態によっては軸受内部に錆が発生する。
特開2002−181056号公報
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、水の浸入を原因とする転走面での剥離を効果的に防止でき、長期耐久性に優れた冷却水ポンプ用転がり軸受の提供を目的とする。
本発明の冷却水ポンプ用転がり軸受は、エンジンにより駆動するプーリに一端側を連接し、冷却水を循環するインペラに他端側を連接する回転軸と、ハウジングに固定された外輪との間に介在する転動体を備えてなり、上記転動体の周囲にグリースが封入され、かつ上記外輪の両端部に固定された1対のシールユニットによって、上記外輪と上記回転軸との間を密封してなる冷却水ポンプ用転がり軸受であって、上記グリースは、非水系基油および増ちょう剤からなるベースグリースに、少なくとも水分散剤を含む添加剤を配合してなる耐水グリースであり、上記水分散剤の配合量は、上記耐水グリースの飽和水分量が 30〜60 重量%に設定される量であることを特徴とする。
上記水分散剤が界面活性剤であることを特徴とする。
また、上記非水系基油が鉱油であり、上記増ちょう剤がウレア系化合物であることを特徴とする。
本発明の冷却水ポンプ用転がり軸受は、該軸受に封入されたグリースが、非水系基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、微小粒子としての水をグリース中に分散させることができる水分散剤を配合してなるので、軸受に浸入してきた水を微粒子として分散させることができる。そのため、グリース中に水が混入したとしても油膜形成の阻害を起こす水分の働きを抑制することができる。その結果、転走面における金属接触が抑制され、早期剥離を防止することができ、水分存在下において長期間耐久性の要求される冷却水ポンプ用転がり軸受に好適に利用することができる。
錆止め作用についても、軸受を構成する鋼と、塊状の水成分との接触を少なくできるため錆の発生を抑制することができる。
冷却水ポンプ用転がり軸受について、水の浸入を原因とする転走面での剥離を防止できる方法を鋭意検討した結果、グリース中に水を微粒子として分散させることができる水分散剤を配合することで飽和水分量を制御したグリースを封入した軸受は、水が浸入しても転がり接触部の潤滑性能が低下することなく持続することを見出した。これは飽和水分量を制御したグリースでは、浸入した水が微小な水粒子となってグリース中に均一に分散させられ、連続相であるグリースに閉じ込められるので、グリースが形成する油膜を破壊することができないため冷却水ポンプ用転がり軸受の耐久性が向上するものと考えられる。本発明はこのような知見に基づくものである。
本発明の冷却水ポンプ用転がり軸受を用いた冷却水ポンプ12の一例を図1により説明する。図1は、本発明の冷却水ポンプ用転がり軸受のシールユニットの断面図である。図1において、点線で示す矢印は冷却水の流れる方向を表わす。
図1に示すように、インペラ14が連接された回転軸10を、軸方向に離間して配設した複数個の転がり軸受1によりハウジング11に固定して構成されている。転がり軸受1は、インペラ14と転がり軸受1との間に配設されたメカニカルシール15により冷却水に直接接触しないよう密封されている。しかし、この冷却水ポンプ用転がり軸受1(以下、「軸受1」と略称することがある。)では、メカニカルシール15と回転軸10との摺接面は冷却水で潤滑されている状態のため、冷却水中の水蒸気等が軸受1内部に浸入して軸受1が劣化する問題が発生する。このため、軸受1のインペラ14側にシールユニットを設けて、インペラ14側から軸受1への水蒸気等の浸入を防止し、かつ軸受1からインペラ14側への潤滑グリース組成物の漏洩を防止している。また、軸受1の駆動プーリ13側にも、シールユニットを設けて、外部からの塵埃の侵入を防止し、かつ軸受1内に封入された後述する耐水グリースの外部への漏洩を防止している。
上記インペラ14側のシールユニットは、例えば図2に軸方向断面図として示す構造を有する。図2は図1の部分拡大断面図であり、本発明の冷却水ポンプ用転がり軸受のシールユニットを示す図である。図2中、点線で示す矢印は冷却水の流れる方向を表わす。
図2において、軸受1は、内輪2を形成する回転軸10と、外輪3と、この外輪3と回転軸10との間に介在する複数の転動体4と、この転動体4を保持する保持器5とから構成され、転動体4の周囲に後述する耐水グリース7が封入されている。シールユニット8はシール部材6(6a〜6e)とフリンガー9(9a〜9c)とからなる。外輪3の軸方向端部のシール溝3aには、シール部材6が配設されている。シール部材6は金属板6aとゴム成形体6bとからなり、ゴム成形体6bは3つのリップ部6c、6d、6eを備える。金属板6aは、断面が逆L字状であり、外輪3のシール溝3a内にかしめて取り付けられている。金属板6aの外方表面にはゴム成形体6bが密着している。
ゴム成形体6bは、ニトリルゴム、耐熱性に優れた標準的なフッ素ゴム組成物(例えば、FKM)、または、テトラフルオロエチレンと、プロピレンと、水素原子の一部がフッ素原子で置換された炭素数 2〜4 の不飽和炭化水素からなる架橋用単量体とを含む共重合体からなる加硫可能なフッ素ゴム組成物などからなる。また、ゴム成形体6bの断面は二分岐形状であり、その一方を形成する主リップ部6eは斜め左下に延在し、その他方を形成する副リップ部6dは斜め右下に延在している。また、金属板6aの中間位置において、ゴム成形体6bから図2中左方に延在するようにして、円筒状の第3リップ部6cが形成されている。
また、回転軸10上には、ステンレス製のフリンガー9が配設されている。フリンガー9は、回転軸10に嵌合する小円筒9cと、小円筒9cを同軸で包含する大円筒9aと、両円筒を半径方向に連接するフランジ部9bとからなっている。ゴム成形体6bの第3リップ部6cは、フリンガー9の大円筒9aの外周に摺接し、主リップ部6eは、小円筒9cの外周に摺接し、副リップ部6dは、回転軸10の外周面に摺接し、それぞれシールを達成している。
上記シールユニット8では、その外方から冷却水の蒸気や水滴が飛散してきたような場合、フリンガー9の外周面でこれを受け、シール部材6に冷却水が直接接触しないようになっている。これにより、シール部材6(特に、第3リップ部材6c)の変形や膨張を低減することができる。一方、軸受1の内部に封入された耐水グリースは、シール部材6の副リップ部6d及び主リップ部6eにより密封され、外部への漏れを防止できる構造になっている。
本発明に用いる耐水グリースは非水系基油および増ちょう剤からなるベースグリース中に、水を分散させることができる水分散剤を含む添加剤を配合して得られる耐水グリースであって、軸受に浸入してくる水に対し所定の親和性を有する。この親和性を示す数値を「飽和水分量」と呼び、下記式のように定義した。

飽和水分量(重量%)=グリース中に分散可能な最大水分量×100/(グリース重量+グリース中に分散可能な最大水分量)

本発明に用いる耐水グリースでは、水分散剤の配合量が上記式で表される該グリースの飽和水分量を 30〜60 重量%とできる量であり、好ましくは 40〜50 重量%の範囲である。この範囲であれば水分による油膜形成の阻害を抑制することができる。
飽和水分量が 30 重量%未満となる水分散剤の配合量では、水分を取り込みにくくなり、浸入した水は軸受内部で大きな水滴として存在し油膜形成を阻害する。また、60 重量%より大きい配合量であると軸受内部に多量の水分を保持しすぎてしまい、錆が発生する。
また、水分散剤の配合量は、グリース全体および水の合計量に対して、含水率 20 重量%のときに測定した水分散剤により分散している水の粒子径が 50μm 以下となる量であることが好ましい。50μm 以下の水滴であれば、耐水グリースによる油膜形成を水分が阻害することはない。好ましくは 30μm 以下、さらに好ましくは 5〜25μm の範囲である。50μm をこえると油膜形成を阻害し軸受寿命を極端に短くする。なお、本発明における水の粒子径とは、荷重 600 N 下でガラスプレート上に押し広げた含水率 20 重量%のベースグリース中に分散している水滴の直径を顕微鏡にて測定した数値である。
本発明において飽和水分量を制御することができる水分散剤としては、界面活性剤を使用できる。界面活性剤は、水が冷却水ポンプ用転がり軸受中に浸入しても、油膜切れや発錆を起こさないようにグリース中に水分を分散し水分を無害化させるために用いられる。グリースに浸入した水は界面活性剤により微小な水粒子となってグリース中に分散させられる。グリースは連続相として存在できるので、油膜切れが生じないと考えられる。
また、同様に連続相であるグリースに閉じ込められた不連続相である水粒子は軸受本体を構成する鋼と接触する確率も極めて低く、低い確率で鋼に付着した水粒子も軸受本体の回転に連動する転動体の回転によりすぐに連続相であるグリースに置換されるので鋼を発錆させることができないと考えられる。
本発明に使用できる界面活性剤は、連続相であるグリース中に水粒子を不連続相として捕捉し易いW/O(油相(グリース)中に水相が分散している状態)型の界面活性剤であり、界面活性剤の水と油とへの親和性の程度を表わすHLB( Hydrophilic-Lipophilic Balance )値が 5〜18 の範囲であることが好ましい。
本発明に用いる界面活性剤としては、具体的には、ポリアルキレングリコール系、カルボン酸アルキレングリコール系、カルボン酸ポリアルキレングリコール系等のグリコール系界面活性剤、カルボン酸グリセリン系、カルボン酸ポリオキシアルキルグリセリン系、カルボン酸グリセリル系等のグリセリン系界面活性剤、カルボン酸ポリグリセリル系、カルボン酸ポリオキシアルキレングリセリル系等のグリセリル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系、カルボン酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系等のエーテル系界面活性剤、カルボン酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルジエステル系、ソルビタンエステル系等のエステル系界面活性剤、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油系、カルボン酸ポリオキシアルキレン硬化ひまし油系等のひまし油系界面活性剤、カルボン酸ポリオキシアルキレントリメチロールプロパン系界面活性剤、金属スルフォネート系界面活性剤、ソルビタンエステル系界面活性剤等が挙げられる。なお、これらの界面活性剤は、単独でも、2種以上を併用してもよい。
本発明では上記界面活性剤のなかで、金属スルフォネート系界面活性剤、カルボン酸ポリアルキレングリコール系界面活性剤またはソルビタンエステル系界面活性剤を用いることが好ましい。特に好ましくは、Caスルフォネート、ステアリン酸ポリエチレングリコール、ソルビタンモノオレエート等である。
金属スルフォネート系界面活性剤、カルボン酸ポリアルキレングリコール系界面活性剤またはソルビタンエステル系界面活性剤は、下記配合量の範囲内において、飽和水分量を 30〜60 重量%の範囲内に制御することができる。
本発明に使用できる界面活性剤(水分散剤)の配合量は、上述したように該グリースの飽和水分量を 30〜60 重量%とできる量であり、具体的には非水系基油と増ちょう剤とからなるベースグリース 100 重量部に対して 0.4〜4 重量部であることが好ましい。より好ましくは、1〜4 重量部である。0.4 重量部未満の場合には飽和水分量を 30 重量%以上とすることができない場合があり、所期の効果を十分に得ることが困難になる。また、4 重量部をこえる場合には飽和水分量が 60 重量%をこえる場合が生じ、また、油膜形成率などの所期の効果が頭打ちになり、軸受寿命などのグリース特性を低下させる。
本発明において使用できるCaスルフォネートは、その塩基価が 50〜500 の範囲であることが好ましい。塩基価は、1分子中に含まれる塩基性物質の量を示し、添加剤が含有するCaの量が多い場合に高い数値となる。塩基性のCaスルフォネートは防錆性能を付与するだけではなく、極圧性能を付与することもできる。
例えば、本発明においてベースグリース 100 重量部に対し、Caスルフォネートを 0.5〜2 重量部配合する場合には、塩基価が 50 未満のときには極圧性能が不十分となり、塩基価が 500 をこえても、それ以上の効果は望めない。
本発明において使用できるソルビタンモノオレエートは、非イオン性の界面活性剤であり、界面活性剤の水と油とへの親和性の程度を表わすHLB値が 9 前後を有し、親油性の性質を有する。該ソルビタンモノオレエートは、上記Caスルフォネートと併用することが好ましい。
本発明において界面活性剤としてCaスルフォネートとソルビタンモノオレエートとを併用する場合の配合量は、ベースグリース 100 重量部に対し、Caスルフォネートを 0.5〜2 重量部、ソルビタンモノオレエートを 0.2〜1 重量部とすることが好ましい。
また、これらを単独で使用する場合は、Caスルフォネートを 1.5〜4 重量部、ソルビタンモノオレエートを 0.4〜2 重量部配合することが好ましい。
両者を上記範囲内で併用することにより、耐水グリースの飽和水分量を 30〜60 重量%に制御することができる。また、油膜形成率などの所期の効果が頭打ちになり、軸受寿命などのグリース特性を低下させる等のおそれがない。
本発明に使用できる非水系基油は、スピンドル油、冷凍機油、タービン油、マシン油、ダイナモ油等の鉱油、高度精製鉱油、流動パラフィン油、フィッシャー・トロプシュ法により合成されたGTL油、ポリブテン油、ポリ-α-オレフィン(以下、PAOと記す)油、アルキルナフタレン油、脂環式化合物等の炭化水素系合成油、または、天然油脂、ポリオールエステル油、リン酸エステル油、ポリマーエステル油、芳香族エステル油、炭酸エステル油、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、アルキルベンゼン油、フッ素化油等の非炭化水素系合成油等を使用できる。これら非水系基油は単独で、または 2 種類以上組み合せて用いることができる。
また、潤滑性能や価格を考慮すると、これらの非水系基油の中でも鉱油、PAO油、アルキルジフェニルエーテル油を使用することが好ましい。
本発明に使用できる非水系基油は、室温で液状を示し、40℃における動粘度が20〜200mm2 /sec である。好ましくは、30〜120 mm2/sec である。20 mm2/sec 未満の場合は、短時間で非水系基油が劣化し、生成した劣化物が非水系基油全体の劣化を促進するため、軸受の耐久性を低下させ短寿命となる。また、200 mm2/sec をこえると回転トルクの増加による軸受の温度上昇が大きくなるので好ましくない。
本発明においてベースグリース 100 重量部中に占める非水系基油の配合割合は、好ましくは 60〜99 重量部、さらに好ましくは 70〜95 重量部である。
非水系基油の配合割合が、60 重量部未満では、グリースが硬く低温時の潤滑性が悪い。また 99 重量部をこえると軟質で洩れ易くなる。
本発明において耐水グリースに使用できる増ちょう剤としては、ベントン、シリカゲル、フッ素化合物、リチウム石けん、リチウムコンプレックス石けん、力ルシウム石けん、カルシウムコンプレックス石けん、アルミニウム石けん、アルミニウムコンプレックス石けん等の石けん類、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物が挙げられる。耐熱性、コスト等を考慮するとウレア系化合物が望ましい。
ウレア系化合物は、例えば下記式(1)で表わされる。
Figure 2008128270
式中においてR2 は、炭素原子数 6〜15 の芳香族炭化水素基を、R1 およびR3 は、互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ炭素原子数 6〜12 の芳香族炭化水素基または炭素原子数 6〜20 の脂環族炭化水素基およびまたは炭素原子数 6〜20 の脂肪族炭化水素基から選ばれた少なくとも一つの基を、それぞれ示す。
ウレア系化合物は、イソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させることにより得られる。反応性のある遊離基を残さないため、イソシアネート化合物のイソシアネート基とアミン化合物のアミノ基とは略当量となるように配合することが好ましい。
式(1)で表されるジウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミンの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、3,3-ジメチル-4,4-ビフェニレンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜等が挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アニリン、p-トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
本発明においては、芳香族ジイソシアネートと、脂環族モノアミンおよび芳香族モノアミン、または芳香族モノアミン単体との反応で得られる脂環族−芳香族ウレア系化合物または芳香族ウレア系化合物が好ましい。特に好ましくは、脂環族モノアミンとしてシクロヘキシルアミンを、芳香族モノアミンとしてアニリンを併用する。
反応は、例えばモノアミン酸とジイソシアネート類を、70〜120℃程度の非水系基油中で十分に反応させた後、温度を上昇させ 120〜180℃で 1〜2 時間程度保持し、その後冷却し、ホモジナイザー、3 本ロールミル等を使用して均一化処理することによりなされ、各種配合剤を配合するためのベースグリースが得られる。
本発明においてベースグリース 100 重量部中に占める増ちょう剤の配合割合は、好ましくは 1〜40 重量部、さらに好ましくは 3〜25 重量部である。増ちょう剤の配合割合が 1 重量部未満では、増ちょう効果が少なくなり、グリース化が困難となり、40 重量部をこえるとグリースが硬くなりすぎ、所期の効果が得られにくくなる。
本発明に用いる耐水グリースには、機能を損なわない範囲で、必要に応じて上記界面活性剤(水分散剤)以外の公知の添加剤を添加できる。添加剤としては、例えば、有機亜鉛化合物、有機モリブデン化合物などの極圧剤、アミン系、フェノール系、イオウ系化合物などの酸化防止剤、イオウ系、リン系化合物などの摩耗抑制剤、多価アルコールエステルなどの防錆剤、ポリメタクリレート、ポリスチレン等の粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、エステル、アルコールなどの油性剤、などが挙げられる。また、白色組織変化を伴う早期剥離を抑制する添加剤としてモリブデン酸塩、有機酸塩、アルミニウム、銅などの金属微粉末を配合することもできる。これらを単独または 2 種類以上組み合せて添加できる。
本発明に用いる耐水グリースには、上記添加剤のなかでも、極圧性能を付与するための極圧剤と、酸化劣化を抑制するための酸化防止剤とを配合することが好ましい。極圧剤としては亜鉛ジチオフォスフェートを、酸化防止剤としてはアミン系酸化防止剤を用いることが特に好ましい。
亜鉛ジチオフォスフェートとしては、例えば下記式(2)で表わされる亜鉛ジアルキルジチオフォスフェートが挙げられ、グリースの極圧性能を付与するために配合するものである。
Figure 2008128270
式中においてR は、アルキル基を示す。アルキル基としては、一級アルキル基、二級アルキル基およびアリール基が挙げられるが、水に対する安定性や摩耗防止性等のバランスのよい二級アルキル基を用いることが好ましい。
亜鉛ジチオフォスフェートの配合量は、ベースグリース 100 重量部に対して 0.5〜2.0 重量部を配合することが好ましい。最も好ましくは、ベースグリース 100 重量部に対して 2.0 重量部である。0.5 重量部未満のときは極圧性能が不十分となり、所期の効果を十分に得ることが困難になり、また、2.0 重量部をこえて添加しても、それ以上の効果を得ることはできない。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル-1-ナフチルアミン、フェニル-2-ナフチルアミン、ジフェニル-p-フェニレンジアミン、ジピリジルアミン、フェノチアジン、N-メチルフェノチアジン、N-エチルフェノチアジン、3,7-ジオクチルフェノチアジン、p,p'-ジオクチルジフェニルアミン、N,N'-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤の配合量は、ベースグリース 100 重量部に対して 0.5〜2.0 重量部を配合することが好ましい。0.5 重量部未満のときは酸化防止性能が不十分となり、所期の効果を十分に得ることが困難になり、また、2.0 重量部をこえて添加してもそれ以上の効果は望めない。最も好ましくは、ベースグリース 100 重量部に対して 1 重量部である。
本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、これらの例によって何ら限定されるものではない。
実施例1〜実施例11および比較例1〜比較例6
非水系基油である鉱油に、増ちょう剤としてウレア化合物を均一に分散させた鉱油/ウレア系ベースグリース(JISちょう度No.2グレード、ちょう度:265〜295 )を準備した。
鉱油(新日本石油社製タービン100、40℃での動粘度:100 mm2/sec )2000 g 中で、ジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネー卜 231.7 g と、アニリン 86.2 g と、シクロヘキシルアミン 91.7 g とを反応させ、生成したウレア化合物を均一に分散させてベースグリースを得た。このベースグリースに、表1に示す配合で添加剤を配合して試験用グリースを得た。
得られた試験用グリースにつき、以下に記す油膜形成率試験、軸受寿命試験および飽和水分量測定に供し、油膜形成率、軸受寿命時間、飽和水分量および錆の発生有無を測定した。結果を表1に併記する。
<油膜形成率試験>
使用軸受:アンギュラ玉軸受7006ADLLB(外輪 S53C、内輪SUJ2)を使用した。
試験条件:得られた試験用グリースをアンギュラ玉軸受7006ADLLBに 1.0 g封入し、ラジアル荷重 8000 N 、アキシャル荷重 3000 N 、軸受回転数 1000 rpm にて回転させた状態で、注水量 1.0 ml/時間で 10 時間、注水したときの試験用グリースの油膜形成率を測定した。油膜形成率は電気抵抗法で測定した。
<軸受寿命試験>
使用軸受:アンギュラ玉軸受7006ADLLB(外輪 S53C、内輪SUJ2)を使用した。
試験条件:得られた試験用グリースをアンギュラ玉軸受7006ADLLBに 1.0 g封入し、ラジアル荷重 8000 N 、アキシャル荷重 3000 N 、軸受回転数 1000 rpm にて回転させた状態で、注水量 1.0 ml/時間で注水したときの軸受寿命を測定した。軸受寿命は外輪転動面、内輪転動面、鋼球のいずれか1つが剥離し振動が大きくなるまでの時間を軸受寿命とした。
<飽和水分量測定>
一定量を量り採った試験用グリースに水の混入割合を 5 重量%ずつ変化させて加え、ミクロスパーテルを用いて手動で撹拌し、加えた水を分散できた最大の水分量を求め、以下の式を用いて飽和水分量を算出した。分散できたかどうかは、試験用グリースをガラスプレートに採取し、厚さ 0.025 mm のスペーサシムをガラスプレートの両端に置き、その上から別のガラスプレートで挟み、ガラスプレート全体に 600 N の荷重を均一に負荷して、試験用グリースを広げ顕微鏡で観察したとき、グリース内に存在する最も大きい水滴の粒子径が 50μm 以下であるときを、分散できているとした。

飽和水分量(重量%)=グリース中へ分散可能な最大水分量×100/(試験用グリース重量+グリース中へ分散可能な最大水分量)
Figure 2008128270
表1に示すとおり、飽和水分量が 30〜60 重量%の領域(特に 40〜50 重量%)で、高い油膜形成率となる。
水が混入した場合、飽和水分量が 30 重量%未満のグリースや 60 重量%をこえるグリースでは油膜の形成が損なわれるため金属接触を起こすことや、錆が発生する。30〜60 重量%では油膜を形成できるため金属接触を起こす危険性は少ないため軸受寿命も長く、さらに錆の発生を抑制できる。
本発明の冷却水ポンプ用転がり軸受は、非水系基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、水をグリース中に分散させることができる水分散剤を配合して該グリースの飽和水分量が 30〜60 重量%に制御されている耐水グリースを封入してなるので、運転時にグリース中に水が混入したとしてもグリースの油膜形成の阻害を起こす水分の働きを抑制することができ、軸受の早期剥離を抑えることができ、潤滑条件が過酷になっても長寿命を得ることができる。そのため、水浸入の可能性がある環境下で、耐摩耗性とともに、長期間耐久性の要求されるエンジン冷却用の冷却水ポンプに用いられる転がり軸受として好適に利用できる。
冷却水ポンプ用転がり軸受を示す断面図である。 冷却水ポンプ用転がり軸受のシールユニットの断面図である。 冷却水ポンプの斜視図である。
符号の説明
1 転がり軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 シール部材
7 耐水グリース
8 シールユニット
9 フリンガー
10 回転軸
11 ハウジング
12 冷却水ポンプ
13 プーリ
14 インペラ
15 メカニカルシール

Claims (3)

  1. エンジンにより駆動するプーリに一端側を連接し、冷却水を循環するインペラに他端側を連接する回転軸と、ハウジングに固定された外輪との間に介在する転動体を備えてなり、前記転動体の周囲にグリースが封入され、かつ前記外輪の両端部に固定された1対のシールユニットによって、前記外輪と前記回転軸との間を密封してなる冷却水ポンプ用転がり軸受であって、
    前記グリースは、非水系基油および増ちょう剤からなるベースグリースに、少なくとも水分散剤を含む添加剤を配合してなる耐水グリースであり、前記水分散剤の配合量は、前記耐水グリースの飽和水分量が 30〜60 重量%に設定される量であることを特徴とする冷却水ポンプ用転がり軸受。
  2. 前記水分散剤が界面活性剤であることを特徴とする請求項1記載の冷却水ポンプ用転がり軸受。
  3. 前記非水系基油が鉱油であり、前記増ちょう剤がウレア系化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の冷却水ポンプ用転がり軸受。
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