JP2007077925A - 車輌用エンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】車輌用エンジンにおいて、排気管の形状及びレイアウトを複雑化することなく、オイルフィルター又はオイルクーラーを、簡単に交換できるようにすることを目的としている。
【解決手段】クランクケース1の下面に、該クランクケース1とは別体のオイルパン8を取り付け、オイルポンプからオイル供給経路を介してエンジン内の各注油箇所にオイルを供給し、注油後のオイルをオイルパンに戻す車輌用エンジンである。前記オイル供給経路の途中に配置されるオイルフィルター16又はオイルクーラー15を、前記オイルパン8の前面、側面又は後面に取り付けている。好ましくは、オイルパン8の前面にオイルフィルター16を取り付け、クランクケース1の下部の前面にオイルクーラー15を取り付け、オイルクーラー15とオイルフィルター16とを、左右方向に少なくとも部分的に重なるように配置している。
【選択図】図2

Description

本発明は、クランクケースの下面に、該クランクケースとは別体のオイルパンを取り付け、オイルポンプから、オイル供給経路を介してエンジン内の各注油箇所にオイルを供給し、注油後のオイルをオイルパンに戻す車輌用エンジンに関する。
車輌用エンジンにおいて、オイルポンプからエンジン内の各注油箇所に至るオイル供給経路の途中には、一般に、オイルフィルターが配置されると共に、必要に応じてオイルクーラーが配置されている(特許文献1)。図8は従来技術の一例を示す自動二輪車用エンジンの正面図であり、クランクケース100の下面にオイルパン103が取り付けられており、オイルフィルター104とオイルクーラー105は、クランクケース100の下部の前面に、左右に並ぶように、かつ、前方突出状に取り付けられている。なお、上記のような従来技術の他に、クランクケースの下面に取り付けられるオイルパンの下面に、下方突出状にオイルフィルターを取り付けた従来技術もある。
特開平1−211609号公報
自動二輪車用エンジン又は鞍乗型四輪走行車用エンジンでは、通常、排気管がエンジンの前側からエンジンの下側を通って後方へ延びるように配置されており、特に、図8のように、4つの気筒が進行方向と直角方向に配列された並列4気筒エンジンでは、4本の排気管110がエンジンの前方を通過しており、これら排気管110によりオイルフィルター104及びオイルクーラー105の大部分を前方から覆っているので、オイルフィルター104及びオイルクーラー105の交換作業時、排気管110が邪魔になり、着脱作業に手間がかかる。
オイルフィルター104やオイルクーラー105の交換作業を、前方から容易に行えるようにするためには、エンジン前方の排気管110を、前方視で、オイルフィルター104及びオイルクーラー105を迂回するように配管することになるが、排気管110の形状及びレイアウトが複雑になると共に、排気経路長が必要以上に長くなり、排気管の製造にも手間がかかるようになる。また、排気管長が大略等長にならず、実車上において、実質的にレイアウトが成り立たたない。
また、図8のように、オイルフィルター104及びオイルクーラー105の両方をクランクケース100の前面に取り付ける構造では、クランクケース100自体にオイルフィルター104の取付部及びオイルクーラー105の取付部の両方を形成しなければならず、しかも、オイルフィルター104とオイルクーラー105との間を連通するオイル通路も鋳抜き等で形成しなければならず、クランクケース100の製造にも手間がかかる。
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、オイルフィルター又はオイルクーラーの取付位置を工夫することにより、排気管の形状及びレイアウトを複雑化することなく、オイルフィルター又はオイルクーラーの交換作業(着脱作業)が容易に行えるようにすること、及びクランクケースの鋳造を簡素化することを目的としている。
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、クランクケースの下面に、該クランクケースとは別体のオイルパンを取り付け、オイルポンプからオイル供給経路を介してエンジン内の各注油箇所にオイルを供給し、注油後のオイルを前記オイルパンに戻す車輌用エンジンにおいて、前記オイル供給経路の途中に配置されるオイルフィルター又はオイルクーラーを、前記オイルパンの前面、側面又は後面に取り付けている。
上記構成によると、(1)オイルフィルター又はオイルクーラーを、クランクケースよりも形状が単純で、軽量かつ小さなオイルパンに取り付けているので、クランクケースにオイルフィルター取付部又はオイルクーラー取付部を形成する従来構造に比べ、オイルフィルター取付部又はオイルクーラー取付部の形成が簡単であり、しかも、クランクケースの製造も容易になる。
(2)オイルフィルター又はオイルクーラーは、クランクケースの下端よりも下方に位置しているので、オイルフィルター又はオイルクーラーをオイルパンの前面に取り付けている場合でも、シリンダヘッドからシリンダ及びクランクケースの前側を下方に延びる排気管を、前方視で、複雑に曲げ加工することなく、オイルフィルター又はオイルクーラーを避けるように配置することができ、排気管の形状及びレイアウトの自由度が増える。すなわち、排気管の形状及びレイアウトを複雑化することなく、オイルフィルター又はオイルクーラーの交換作業を容易に行えるようにすることができる。特に自動二輪車においては、バンク角を大きくすることもできる。
(3)オイルフィルター又はオイルクーラーをオイルパンの左右の側面に取り付けている場合には、排気管が邪魔になることなく、オイルフィルター又はオイルクーラーの交換作業が車輌の側方から簡単に行え、また、排気管のレイアウトも複雑化することはない。
(4)オイルフィルター又はオイルクーラーをオイルパンの後面に取り付けている場合には、排気管が邪魔になることなく、オイルフィルター又はオイルクーラーの交換作業が行え、また、排気管のレイアウトが複雑化することもない。
(5)オイルポンプ及び各注油箇所は、クランクケース及びシリンダ内に配設あるいは存在しているが、オイルフィルターをクランクケースの下端よりも下方に配置している場合には、オイルフィルターは、オイルボンプから吐出されるオイル内のコンタミナントを除去すると共に、コンタミナントをオイルフィルター内に効率良く溜めることができ、オイルフィルターとしての機能が向上する。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車輌用エンジンにおいて、前記オイルパンの前面に前記オイルフィルター及び前記オイルクーラーの一方を取り付け、前記クランクケースの下部の前面に他方を取り付け、前記オイルフィルターと前記オイルクーラーとが左右方向に少なくとも部分的に重なるように配置している。
上記構成によると、オイルフィルター及びオイルクーラーをエンジンの前側に配置した構造において、オイルフィルター及びオイルクーラーを上下に分けて配置すると共に、左右方向に少なくとも部分的に重なる位置に配置しているので、図8のように、クランクケースの前壁にオイルフィルターとオイルクーラーを左右に並べて配置する構造と比較して、エンジンの前側に配置される排気管を、複雑に曲げることなく、オイルフィルター及びオイルクーラーを前方視で迂回できるように配置することができる。また、オイルフィルターとオイルクーラーとの間のオイル通路又は配管も簡素に形成できる。
一般に、自動二輪車用エンジンのラジエターは、エンジンの前方に配置されているが、オイルクーラーをエンジンの前面に配置しているので、ラジエターとオイルクーラーとの距離が短くなり、オイルクーラーとラジエターとの間の冷却液水ホースを短くすることができる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の車輌用エンジンにおいて、前記オイルポンプの吐出口から前記オイルパンに取り付けた前記オイルフィルター又は前記オイルクーラーに至るオイル供給経路の構成部材として、前記クランクケース及び前記オイルパンとは別体のオイル通路管を、前記クランクケース内又は前記オイルパン内に配置している。
上記構成によると、オイルポンプからオイルフィルター又はオイルクーラーに至るオイル通路をすべてクランクケース及びオイルパンの壁内に形成する構造に比べ、クランクケース及びオイルパンの構造を簡素化できる。すなわち、オイルポンプからオイルフィルター又はオイルクーラーまでのオイル通路の大部分を、クランクケースの壁内に形成するとすれば、クランクケースの鋳造時に、オイル通路形成用の長いピン(中子)が必要となるが、長いピンを使用して鋳造すると、鋳造時にピンが僥んだり、折れたりするおそれがあり、製造が困難になる。また、鋳造後に、オイル通路の端部にプラグを装着する必要もある。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の車輌用エンジンにおいて、前記オイル通路管は、前記クランクケースと前記オイルパンとにより、上下から挟持されている。
上記構成によると、オイル通路管を固定するための特別の固定金具は必要なく、オイルパンの組付作業により、同時に固定することができ、着脱が容易である。
請求項5記載の発明は、請求項3又は4記載の車輌用エンジンにおいて、前記オイル通路管にリリーフ弁を設けている。
上記構成によると、クランクケースあるいはオイルパンにリリーフ弁取付部を形成する必要がなく、クランクケース及びオイルパンの形状が複雑化するのを防ぎ、製造を容易にすることができる。
要するに本発明によると、排気管の形状及びレイアウトを複雑化することなく、オイルフィルター又はオイルクーラーの交換作業を容易に行えると共に、オイルフィルター又はオイルクーラーの取付部を、クランクケースよりも形状が単純で、軽量かつ小さなオイルパンに簡単に形成することができる。
添付の図1〜図7は、自動二輪車用の並列4気筒エンジンに本発明を適用した例であり、これらの図面に基づいて本発明の―実施の形態を説明する。
[エンジンの概要]
図1は上記エンジンの左側面図であり、説明の都合上、クランク軸7の軸長方向を左右方向とし、具体的には、ライダーから見た右と左をそれぞれエンジンの右と左とし、クランク軸7の軸長方向と直交する水平方向のシリンダ4配置側を前方として、以下、説明する。
図1において、エンジンの外殻は、上部クランクケース部材2と下部クランクケース部材3よりなる上下二つ割り構造のクランクケース1と、前記上部クランクケース部材2の前端部の上面に上部クランクケース部材2と一体に形成されたシリンダ(シリンダブロック)4と、該シリンダ4の上面に締結されたシリンダヘッド5と、該シリンダヘッド5の上面に締結されたヘッドカバー6と、前記下部クランクケース部材3の下面に締結されたオイルパン8と、から主構成され、クランクケース1の左端部には、ジェネレータカバー10及び出力チェーンカバー(出力スプロケットカバー)11等が取り付けられ、ジェネレータカバー10の後下方には水ポンプ13が設けられ、下部クランクケース部材3の前端のオイルクーラー取付面50にオイルクーラー15が取り付けられ、オイルパン8の前端のオイルフィルター取付面59にオイルフィルター(二次フィルター)16が取り付けられている。
シリンダ4及びシリンダヘッド5の前方にはラジエクー36が配置されており、該ラジエター36の下端部の冷却水出口36bは、後方へ延びる冷却水ホース38により冷却水ポンプ13の吸込口13aに接続され、ラジエター36の上端部の冷却水入口36aは、後方に延びる冷却水ホース41により、シリンダヘッド5の後面に設けられた冷却水出口部42に接続されており、該冷却水出口部42にはサーモスタット43が内蔵されている。冷却水ポンプ13の冷却水吐出口13bは、冷却水ホース39を介して、シリンダ4の前面に形成された冷却水入ロ部40に接続されている。該冷却水入口部40及び前記シリンダヘッド5の冷却水出ロ部42は、シリンダ4内及びシリンダヘッド5内の(図示しない)冷却水通路及び冷却水ジヤケットに連通している。
シリンダヘッド5の後面には、後上方に向いて開口する吸気通路入口18が気筒毎に形成され、各吸気通路入口18にはそれぞれスロットルボディ(又は気化器)19が接続されている。シリンダヘッド5の前面には、前向きに開口する排気通路出口20が気筒毎に形成され、各排気通路出口20には気筒毎に排気管21がそれぞれ接続されている。
シリンダ4の背面から上部クランクケース部材2の上面に亘り、ブリーザ室30とバランサ室31とが、左右に並ぶように配置されると共に、シリンダ4及び上部クランクケース部材2と一体に形成されており、両室30、31はそれぞれ上端が開口し、両開口は、両室30、31共用の蓋32により閉塞されている、ブリーザ室30の後側にはスタータモータ34が取り付けられている。
図2は図1のエンジンの正面図であり、オイルパン8は、底の浅い扁平状に形成されると共に、左端部にメインのオイル溜まりとなる底の深い凹部61が形成されている。該凹部61の左右幅は、オイルパン8全体の左右幅の概ね1/3強〜1/2程度であり、凹部61の前面に、前述のようにオイルフィルター16が前方突出状に取り付けられている。前記オイルクーラー15は、下部クランクケース部材3の前面の左端部に前方突出状に取り付けられており、下方のオイルフィルター16に対し、左右方向に部分的に重なるように配置されている。
シリンダヘッド5からエンジンの前方を下方に延びる4本の排気管21は、オイルパン8の凹部61の右側面とオイルパン8の扁平部分の下面とで形成される空間部S1の前部に集束すると共に、後方へ湾曲している。前記排気管21の集束過程において、最も左側の排気管(第1気筒用排気管)21は、下部クランクケース部材3の左端部前方位置で、前方視で、オイルフィルター16から右方に外れるように曲げられている。上記のように排気管21をレイアウトすることにより、オイルパン8の左端部の凹部61の前面に取り付けられたオイルフィルター16の前方は、遮蔽物が全くない露出状態となり、また、下部クランクケース部材3の左端部の前面に取り付けられたオイルクーラー15の前方は、一部が排気管21によって覆われているが、前方視で、半分以上が露出した状態となっている。
図3はエンジンの右側面図であり、オイルパン8の扁平部分の下方には、前記空間部S1から略水平に後方に延びる一本の太径の触媒管22が配置され、該触媒管22の前端入口に前記集束された4本の排気管21が接続され、触媒管22の後端には左右2本の排気管23が接続され、該2本の排気管23は後車輪の左右両側に延びて排気マフラーにそれぞれ接続されている。
[オイルクーラー15の構造及び取付]
図3において、オイルクーラー15は水冷式であり、オイルクーラー15の冷却水入口15aは、冷却水ホース46を介して前記シリンダ4の冷却水入口部40に接続され、冷却水出口15bは冷却水ホース47を介して前記ラジエター36の第2の冷却水入口36cに接続されている。
オイルクーラー15の後端部の外周には、径方向の外方に突出するボルト挿通用のボス部49が複数個形成されており、該ボス部49に挿通したボルト48によって、下部クランクケース部材3の前面に形成された前記オイルクーラー取付面50に、オイルクーラー15が着脱可能に取り付けられている。前記ボス部49は、図2に示すように、前方から見て、左端の排気管21で覆われていない位置に形成されている。
[オイルフィルター16の構造及び取付]
図4は下部クランクケース部材3及びオイルパン8の縦断側面図であり、この図4において、オイルフィルター16は、有底筒形の外側ケース58と、該外側ケース58の後端に固着されると共にオイル出ロ孔54aを有する底板54と、該底板54の中心に貫通状に固着されたオイル出ロ管55と、外側ケース58内に配置された環状のエレメント16aと、から主構成されている。前記オイル出ロ管55の外周面はおねじ部になっており、該オイル出ロ管55を、凹部61の前面に形成されたオイル通路57のめねじ部に螺着することにより、オイルフィルター16をオイルフィルター取付面59に取り付けている。前記底板54とオイルフィルター取付面59の間には環状シール(パッキン)60が挟着されている。
[オイルパン及びオイル経路]
図6はオイルパン8の平面図であり、該オイルパン8は、平面視で概ね矩形状に形成されると共に、前半部の左端部が左方に張り出している。オイルパン8の前半部のうち、左側半分弱程度の領域(オイルパン全体の面積の概ね1/4〜1/5の領域)に、前述のように凹部61に形成されている。
オイルパン8の底面には、凹部61の前端部の左右端部に、オイルフィルター16の濾過済側空間部に連通するオイル通路75と、オイルフィルター16の未濾過側空間部に連通するオイル通路70が、いずれも上方突出状の筒状壁内に形成されると共に上向きに開口している。後者のオイル通路70の上端部には、該オイル通路70と同芯にオイル通路管67接続用の嵌合凹部69が形成され、該嵌合凹部69よりも右後方に一定距離れた位置(オイルパン8の概ね中央位置近傍)にも、オイル通路管67接続用の嵌合凹部71が形成され、該嵌合凹部71も上方に突出する筒状壁内に形成されている。
オイルパン8の扁平部分には、オイルパン8内のオイルを前記凹部61内に導くために複数本のガイドリブ74が形成されると共に、ストレーナ(一次フィルター)81を下から当接支持するための3個の支持突起92が形成されている。
前記凹部61の周囲には、間隔を置いて油面変動防止板62取付用の複数のボス部91が上方突出状に形成されており、該ボス部91上に、凹部61の上側を覆う平板状の油面変動防止板62が蔵置され、複数本のボルト63によりオイルパン8に固着されている。
油面変動防止板62の後端部には、オイル戻しホース53を挿通するための切欠き64と、ストレーナ81に形成された吸込管66を挿通するための切欠き65が、平面視で、だるま状に形成され、油面変動防止板62の前側右端部には、前記オイル通路管67を配置するための切欠き68が形成されている。
図5はオイルパン8を左側前上方から見た斜視図であり、前記ストレーナ81は、凹部61の後端部の上方位置から、右後方に延びるように配置されており、該ストレーナ81の左隣に前記オイル戻しホース53が配置されている。該オイル戻しホース53は、ストレーナ81の左端に一体に形成された一対の円弧状のクランプ82により保持されると共に、凹部61内に延びて、底面近傍で開口している。オイル戻しホース53の上端部は、図1の下部クランクケース部材3及び上部クランクケース部材2内に形成されたオイル戻し通路を介してブリーザ室30の下端オイル成分排出孔に連通している。
図5に戻り、前記オイル通路管67の前端部には下向きに開口する筒状のオイル出口部67bが形成され、該オイル出口部67bはオイルパン8の前記嵌合凹部69に嵌合し、オイル通路管67の後端部には上向きに開口する筒状のオイル入ロ部67aが形成され、該オイル入口部67aはオイルパン8の前記嵌合凹部71に嵌合している。オイル通路管67の途中には、下側の凹部61に臨むリリーフ弁73が設けられている。
図4において、オイルパン8を下部クランクケース部材3の下面に締着することにより、オイル通路管67の前端オイル出口部67bが、下部クランクケース部材3に形成された嵌合凹部95とオイルパン8の前記嵌合凹部69との間で上下から扶持され、後端オイル人口部67aが、下部クランクケース部材3内に設けられたオイルポンプ86の吐出口86bの嵌合凹部44とオイルパン8の前記嵌合凹部71との間で上下から狭持される。
前記ストレーナ81の外殻は上下二つ割り構造となっており、上下のケース部材81a、81b間に網板状のフィルターエレメント83が狭持されている。ストレーナ81の前端部に一体に形成された前記吸込管66は、凹部61内を下方へ延び、凹部61の底面近くで開口している。ストレーナ81の上端オイル出口85は、オイルポンプ86のオイル吸込口86aに接続している。このストレーナ81は、オイルパン8を下部クランクケース部材3の下面に締着することにより、オイルポンプ86のオイル吸込ロ86aとオイルパン8の前記支持突起92との間で上下から狭持される。
オイルポンプ86の吐出口86bは下向きに開口すると共に、前述のように前記オイル通路管67の後端オイル入口部67aに接続し、オイル通路管67の前端オイル出ロ部67bは、前述のようにオイル通路70を介してオイルフィルター16の未濾過側空間部に連通している。環状エレメント16aの内部の濾過済側空間部は、オイル出口管55、オイル通路57、88及び図5に示す上向きのオイル通路75を介して、図7に示す下部クランクケース部材3のオイル通路96に連通し、該オイル通路96は、前方に延びるオイル通路98を介してオイルクーラー15のオイル入口に連通している。オイルクーラー15のオイル出口は、後方へ延びるオイル通路97を介してメインギャラリ90に連通している。該メインギャラリ90は、図4に示すジャーナル支持壁内に形成されて上方に延びるオイル通路99を介して、クランク軸7の軸受部分に連通すると共に、図示しないがエンジンの他の注油箇所、たとえば変速機構等にオイル通路を介して連通している。
[エンジン運転中のオイル循環]
図4において、エンジン運転中、オイルパン8の凹部61内のオイル(たとえばオイルレベルL1)は、吸込管66及びストレーナ81内を通り、オイル吸込ロ86aからオイルポンプ86に吸い込まれ、オイルポンプ86で加圧されたオイルは、オイル吐出口86bから、オイル通路管67及びオイルパン8の前壁内のオイル通路70を通り、オイル入口孔54aからオイルフィルター16に入り、エレメント16aにより濾過される。濾過後のオイルは、オイルフィルター16の中央部のオイル出口管55からオイルパン8の前壁内のオイル通路88、75を通り、さらに、図7に示す下部クランクケース部材3の壁内のオイル通路96,98を通ってオイルクーラー15の軸芯部分からオイルクーラー15内に入り、冷却水との熱交換によって冷却される。冷却後のオイルは、下部クランクケース部材3の側壁に形成されたオイル通路97からメインギャラリ90に入り、各種オイル通路を介して各注油箇所に圧送される。そして、各潤滑箇所を潤滑した後のオイルは、オイルパン8(図5)に戻る。
[エンジン運転中の冷却水の循環]
図1において、ラジエター36の冷却水出口36bから冷却水ホース38を介して冷却水ポンプ13に吸い込まれた冷却水は、冷却水吐出口13bから冷却水ホース39を介してシリンダ4の冷却水入口部40に圧送され、大部分はシリンダ4内の冷却水ジャケットからシリンダヘッド5の冷却水ジャケットに供給され、シリンダ4及びシリンダヘッド5等を冷却し、使用後の冷却水は、サーモスタット43が開いている場合には、冷却水出I口部42から冷却水ホース41を介してラジエター36の冷却水入口36aに戻される。
図2において、前記シリンダ4の冷却水入ロ部に40に供給された冷却水の一部は、冷却水ホース46を介してオイルクーラー15に供給され、オイルを冷却した後、冷却水ホース47を介してラジエター36(図3)に戻される。
[オイルフィルター16及びオイルクーラー15の着脱]
図4において、オイルフィルター16は、オイルフィルター16自体を回転することにより、出ロ管55をオイル通路57のめねじ部から取り外す。この取外作業において、オイルフィルター16の前方は、図2から明らかなように排気管21によっては覆われておらず、したがって、作業者は前方から簡単にオイルフィルター16を取り外すことができる。
オイルクーラー15は、前方から工具によってボルト48を外すことにより、下部クランクケース部材3から取り外す。この取外作業において、各ボルト48は、排気管21によって前方から覆われていない位置に位置しているので、作業者は前方から簡単にボルト48を外すことができ、しかも、ボルト48を取り外した後は、そのまま下方に取り出すことができる。なお、冷却水ホース39が左側のボルト48の一部を前方から覆っているが、冷却水ホース39は僥み可能なゴム等でできているので、簡単に曲げることができ、オイルクーラー15の取り外しに邪魔になることはない。
[実施の形態の作用効果]
(1)図2のように、オイルフィルター16を、下部クランクケース部材3の下側のオイルパン8の前面に取り付けているので、エンジン前方に配置される排気管21の形状及びレイアウトを複雑にすることなく、オイルフィルター16の前方を空き空間にすることができ、これにより、オイルフィルター16の交換作業において、作業者は、排気管21に邪魔されることなく、前方からオイルフィルター16を簡単に着脱できる。特に、該実施の形態のオイルフィルター16は、図4のようにおねじ部を有する出口管55を、オイルパン8のオイル通路57のめねじ部に直接螺着する構造であるので、着脱のためには、オイルフィルター16の前方に、ねじ部の螺合長さ以上の前後方向のスペースを確保する必要があるが、オイルフィルター16の前方に排気管21を配置していないことにより、オイルフィルター16を前方から簡単に着脱できる。
(2)図2において、オイルフィルター16をオイルパン8の前面に前方突出状に取り付けているので、たとえば、自動二輪車において、オイルパン8の左右の側面に側方突出状にオイルフィルター16を取り付ける場合に比べ、バンク角を大きくすることができる。
(3)図2において、下部クランクケース部材3の前面に取り付けられるオイルクーラー15は、排気管21により一部が前方から覆われているが、該実施の形態のオイルクーラー15は、ボルト48により取り付ける構造であり、しかも、ボルト48及びボス部49の前方には排気管21は配置されていないので、前方から六角レンチあるいはボックスレンチ等を挿入し、ボルト48を簡単に外すことができ、しかも、その後、オイルクーラー15を下方あるいは前方に簡単に取り外すことができる。
(4)図2において、オイルクーラークーラ15及びオイルフィルター16は、いずれもエンジンの左端部に寄せて配置すると共に、左右方向に互いに部分的に重なるように配置しているので、従来のようにクランクケースの下部の前面に左右に並ぶように配置する構造に比べ、左端の排気管21のみを湾曲させるだけで、下側のオイルフィルター16は前方に露出させ、上側のオイルクーラー15は一部が隠れる程度で、残りを前方に露出させることができ、排気管21の形状及びレイアウトが複雑化せず、また、排気管21の製造が容易になると共に、排気経路長も短くなる。
(5)図4において、下部クランクケース部材3に設けられたオイルポンプ86の吐出口86bから、オイルフィルター16が取り付けられたオイルパン8の前壁までのオイル供給経路を、クランクケース1及びオイルパン8とは別体のオイル通路管67により構成しているので、たとえば、下部クランクケース部材3の側壁内にオイル通路を形成する場合に比べ、下部クランクケース部材3及びオイルパン8の形状を簡素化できると共に、製造も容易になる。ちなみに、下部クランクケース部材3の側壁内にオイルポンプ86の吐出口86bからオイルパン8の前壁に至るオイル通路を形成しようとすれば、オイル通路形成用の中子として、長い鋳抜き用ピンを用いなければならず、鋳造時に、前記ピンが撓んだり、あるいは折れたりする可能性があり、製造が困難である。
(6)図4において、下部クランクケース部材3及びオイルパン8とは別体のオイル通路管67にリリーフ弁73を設けているので、クランクケース1あるいはオイルパン8にリリーフ弁取付部を形成する必要がなく、クランクケース1及びオイルパン8の形状が複雑化するのを防ぎ、製造を容易にすることができる。
(7)図4において、前記オイル通路管67は、前後の筒状の出口部67bと入口部67aを、下部クランクケース部材3とオイルパン8とに形成された各嵌合間部95,44,69、71で上下から狭持することにより、所定位置に固定しているので、特別の固定金具は必要なく、オイルパン8の組付作業により、同時に固定することができ、着脱が容易である。
(8)図4において、オイル通路管67は、下部クランクケース部材3とオイルパン8との合わせ面と概ね同じ高さに配置されると共にリリーフ弁73を備え、しかも、該リリーフ弁73は凹部61に上方から臨んでいるので、たとえば、冷寒時、オイルクーラー15内でオイルが停滞した時、リリーフ弁73から逃がされるオイルを、直接オイルパン8内に戻すことができる。また、オイルポンプ86にエア噛みが生じても、オイルポンプ86からオイルが吐出された直後に、リリーフ弁73によって速やかにエアを逃がすことが可能である。
(9)図4において、オイルパン8の凹部61の上側に、油面変動防止板62を配置しているので、急加速時あるいは急減速時に、凹部61内のオイルが移動しても、凹部61外に流れ出るのを防止することができ、オイルポンプ86のエア噛み現象を防止することができる。また、凹部61の上方に位置するピストンの上下運動により、該ピストンの下側空間の空気が下方へ押し下げされても、凹部61の上側に配置された油面変動防止板62で遮蔽されることにより、前記押下げられた空気は凹部61内のオイルには作用せず、凹部61内のオイルが波打つことを抑制できる。
[他の実施の形態]
(1)前記実施の形態では、図2のように、オイルパン8の前面にオイルフィルター16を、下部クランクケース部材3の前面にオイルクーラー15を取り付けているが、これとは逆に、オイルパン8の前面にオイルクーラー15を、下部クランクケース部材3の前面にオイルフィルター16を取り付ける構造とすることもできる。この場合、下側に配置されるオイルクーラー15は、オイルクーラー15の中心部に設けられたおねじ部をオイルパンのめねじ部に螺着することにより固定する固定構造とし、一方、上側に配置されるオイルフィルター16は、ボス部及びボルトによる固定構造とすることもできる。
(2)オイルフィルター及び/又はオイルクーラーを、オイルパンの左右いずれかの側面に取り付ける構造とすることもできる。この構造によると、排気管が全く邪魔になることなく、車体側方からオイルフィルター及び/又はオイルクーラーの交換作業を行うことができる。
(3)オイルフィルター及び/又はオイルクーラーを、オイルパンの後面に取り付ける構造とすることもできる。この構造によると、排気管が全く邪魔になることなく、車体後方からオイルフィルター及び/又はオイルクーラーの交換作業を行うことができる。
本発明にかかる車輌用エンジンは、自動二輪車の他に、鞍乗型四輪走行車等の車輌用エンジンにも適用可能である。
本発明を適用した自動二輪車用並列4気筒エンジンの左側面図である。 図1のエンジンの正面図である。 図1のエンジンの右側面図である。 下部クランクケース部材及びオイルパンの縦断側面図である。 図1のエンジンのオイルパンを左側前上方から見た斜視図である。 図1のエンジンのオイルパンの平面図である。 図1の右前端部の底面図である。 従来例の正面図である。
符号の説明
1 クランクケース
2 上部クランクケース部材
3 下部クランクケース部材
8 オイルパン
15 オイルクーラー
16 オイルフィルター
50 オイルクーラー取付面
59 オイルフィルター取付面
67 オイル通路管
73 リリーフ弁
86 オイルポンプ

Claims (5)

  1. クランクケースの下面に、該クランクケースとは別体のオイルパンを取り付け、オイルポンプからオイル供給経路を介してエンジン内の各注油箇所にオイルを供給し、注油後のオイルを前記オイルパンに戻す車輌用エンジンにおいて、
    前記オイル供給経路の途中に配置されるオイルフィルター又はオイルクーラーを、前記オイルパンの前面、側面又は後面に取り付けていることを特徴とする車輌用エンジン。
  2. 前記オイルパンの前面に前記オイルフィルター及び前記オイルクーラーの一方を取り付け、前記クランクケースの下部の前面に他方を取り付け、前記オイルフィルターと前記オイルクーラーとが左右方向に少なくとも部分的に重なるように配置していることを特徴とする請求項1記載の車輌用エンジン。
  3. 前記オイルポンプの吐出口から前記オイルパンに取り付けた前記オイルフィルター又は前記オイルクーラーに至るオイル供給経路の構成部材として、前記クランクケース及び前記オイルパンとは別体のオイル通路管を、前記クランクケース内又はオイルパン内に配置していることを特徴とする請求項1又は2記載の車輌用エンジン。
  4. 前記オイル通路管は、前記クランクケースと前記オイルパンとにより、上下から挟持されていることを特徴とする請求項3記載の車輌用エンジン。
  5. 前記オイル通路管にリリーフ弁を設けていることを特徴とする請求項3又は4記載の車輌用エンジン。
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