次に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の感熱性粘着剤は、熱可塑性樹脂及び熱溶融性物質を含有し、熱膨張性粒子をさらに含有する。熱可塑性樹脂は、加熱により、粘着性、接着性を発現することができる。また、熱溶融性物質は、加熱により溶融し、熱可塑性樹脂等に粘着性を発現させる作用を有する。
本発明において、熱膨張性粒子とは、加熱により体積が増大し、その後、冷却された(加熱前の温度に戻った)場合でも、加熱前よりも体積が増大した状態を維持することができる粒子を意味する。したがって、例えば、熱可塑性樹脂からなる中空粒子のような内部に空隙を有する粒子は、加熱により内包空気の熱膨張が起きるが、その程度は小さく、さらに、冷却されるにつれて元の体積に戻ることから、熱膨張性粒子には該当しない。
熱膨張性粒子は、熱をトリガーにして体積が急激に増大し、増大した体積を冷却時にも維持することができ、例えば、熱可塑性樹脂の中に炭化水素等の低沸点溶媒が内包されており、加熱により膨張することが可能な粒子、熱分解性の物質が内包されており、加熱による分解により膨張することが可能な粒子等が挙げられる。このような熱膨張性粒子は、本発明の感熱性粘着剤を活性化する際の加熱によって膨張することができる。なお、熱可塑性樹脂の中に低沸点溶媒が内包されている粒子は、熱応答性に優れるため、好ましい。
熱膨張性粒子の具体例としては、熱膨張性マイクロカプセル(松本油脂製薬社製)が挙げられる。熱膨張性マイクロカプセルは、熱可塑剤樹脂からなる殻(シェル)によって低沸点溶媒が内包されており、加熱により殻(シェル)が軟化すると共に、低沸点溶媒のガス化が始まり、マイクロカプセルが膨張するものである。熱膨張性マイクロカプセルのさらなる特徴は、加熱を続けた場合(過剰な熱エネルギーが与えられた場合)に、薄くなった殻(シェル)のガス透過拡散性によって破裂することなく、内部に空隙を有した状態を維持することができる点である。この特性によって、加熱を続けた場合に破裂することなく、感熱粘着層の厚みを大きくすることができる。熱膨張性マイクロカプセルの殻(シェル)は、熱可塑性樹脂であればよく、具体的には、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル系共重合体;ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、これらの共重合体等が挙げられ、中でも、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル系共重合体を用いることが好ましい。熱膨張性マイクロカプセルの一例として、マツモトマイクロスフェアーFシリーズ(松本油脂製薬社製)が挙げられる。
熱膨張性粒子の膨張開始温度は、50〜160℃であることが好ましく、70〜100℃がさらに好ましい。熱膨張性粒子の膨張開始温度が50℃より低いと、保存環境下で膨張を引き起こし、ブロッキング等の現象を引き起こすことがある。また、熱膨張性粒子の膨張開始温度が160℃より高いと、加熱する際の熱エネルギーが大きくなる。
また、熱膨張性粒子の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、50〜200重量部であることが好ましい。これにより、熱膨張した熱膨張性粒子が熱可塑剤樹脂、熱溶融性物質等の感熱性粘着剤の成分と混ざり合うことができ、厚みがあり、柔軟性に優れる粘着層を形成することができる。熱膨張性粒子の添加量が、熱可塑性樹脂100重量部に対して、50重量部より少ないと、粘着層の厚みと柔軟性が不十分となることがあり、200重量部より多いと、熱膨張した熱膨張性粒子によって粘着性が低下することがある。一方、同様の材料として、膨張した状態の粒子を感熱性粘着剤に添加することも考えられるが、この場合には、膨張した状態の粒子が加熱前に存在するため、その断熱性によって、熱可塑性樹脂、熱溶融性物質等の成分が熱によって粘着性を発現する過程が妨害されてしまう。したがって、感熱性粘着剤を加熱する過程で膨張した状態の粒子を形成することが重要である。
本発明の感熱性粘着剤において、熱可塑性樹脂としては、ビニル系モノマーをグラフト共重合した天然ゴム、天然ゴム(ラテックス);ポリ酢酸ビニル、アクリル酸エステルの共重合体、メタクリル酸エステルの共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、合成ゴム、酢酸ビニル−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、ビニルピロリドン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル共重合体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。感熱性粘着剤中の熱可塑性樹脂の含有量は、10〜60重量%であることが好ましく、15〜50重量%がさらに好ましい。熱可塑性樹脂の含有量が10重量%未満及び60重量%を超えた場合には、粘着性が低下することがある。
熱溶融性物質は、常温では固体であるため、熱可塑性樹脂に可塑性を与えないが、加熱により溶融して熱可塑性樹脂を膨潤又は軟化させて粘着性を発現し、加熱により溶融した後、ゆっくりと結晶化するため、熱源を取り除いた後も粘着性を長時間持続することができるものである。このような熱溶融性物質としては、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードフェノール系化合物、エステル系化合物、リン系化合物(リン酸エステル系化合物、ホスフィン系化合物)等を用いることができる。
熱溶融性物質の融点は、70〜200℃であることが好ましく、80〜200℃がさらに好ましい。融点が70℃未満であると、通常の保存環境下で、感熱性粘着剤の粘着性が発現する等、保存上の不具合が生じることがあり、また、感熱性粘着剤を含有する塗布液を支持体に塗布、乾燥する際に、粘着性が発現する等の製造上の不具合が生じることがある。一方、融点が200℃を超えると、感熱性粘着剤の粘着性を発現させるために大量のエネルギーが必要となる。
また、熱溶融性物質を2種類以上混合して用いると、熱活性化エネルギーを低くすること(高感度化)が可能となり、特に、構造が類似している熱溶融性物質を2種類以上混合して用いると、このような効果が増大し、さらに、ディレード性も向上する。
ベンゾトリアゾール系化合物の具体例としては、5−クロロ−2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチル)ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ペンチル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−メチル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ペンチル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−メチル−3’−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)]ベンゾトリアゾール、メチレンビス[2−(2’−ヒドロキシ−5’−ドデカニルフェニル)ベンゾトリアゾール]等が挙げられる。
また、ホスフィン系化合物の具体例としては、トリ(2,4−キシリル)ホスフィン、トリ(2,5−キシリル)ホスフィン、トリ(2,6−キシリル)ホスフィン、トリ(3,4−キシリル)ホスフィン、トリ(3,5−キシリル)ホスフィン、トリス(o−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(m−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p−エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p−n−プロピルオキシフェニル)ホスフィン、トリス(m−t−ブトキシフェニル)ホスフィン、トリス(m−n−ブトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p−n−ブトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p−t−ブトキシフェニル)ホスフィン、トリス(m−t−ブトキシフェニル)ホスフィン等が挙げられる。
さらに、リン酸エステル系化合物の具体例としては、レゾルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート]、ヒドロキノンビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート]等が挙げられる。
本発明の感熱性粘着剤は、粘着付与剤をさらに含有してもよい。これにより、感熱性粘着剤の粘着力を向上させることができる。粘着付与剤としては、一般的な粘着剤に用いられるロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジン、これらのグリセリン、ペンタエリスリトール等とのエステル、樹脂酸ダイマー等)、テルペン系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂及びキシレン系樹脂を用いることができる。中でも、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジン、これらのグリセリン、ペンタエリスリトール等とのエステル、樹脂酸ダイマー等)、テルペン系樹脂(テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂)を用いることが好ましい。これらの粘着付与剤は、熱可塑性樹脂及び熱溶融性物質と相溶し、感熱性粘着剤の粘着力を向上させることができる。
また、粘着付与剤の融点又は軟化点は、80℃以上であることが好ましく、80〜200℃がさらに好ましい。粘着付与剤の融点又は軟化点が80℃未満になると、耐ブロッキング性が低下し、通常の保存環境下で保存上の不具合が生じることがある。
また、感熱性粘着剤中の粘着付与剤の含有量は、5〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がさらに好ましい。粘着付与剤の含有量が5重量%未満であると、粘着力が低下することがあり、30重量%を超えると、耐ブロッキング性が低下し、通常の保存環境下で保存上の不具合が生じることがある。
本発明の感熱性粘着剤は、ブロッキングを抑制するために、酸化チタン、アルミナ、コロイダルシリカ、カオリン、タルク等の無機物、ステアリン酸の金属塩、パラフィン、天然ワックス、合成ワックス、天然油脂、ポリスチレン粉末等の有機物を含有してもよく、さらに、必要に応じて、分散剤、消泡剤、増粘剤等を含有してもよい。
本発明の感熱性粘着材料は、本発明の感熱性粘着剤からなる感熱粘着層を基材の片面に有する。これにより、塩化ビニルラップやポリオレフィンラップ、特にダンボールに対する粘着力が強く、耐ブロッキング性に優れた感熱性粘着材料を得ることができる。
本発明の感熱性粘着材料の製造方法は、特に限定されないが、基材に感熱性粘着剤を含有する液体を塗布又は印刷する方法を用いることができる。このとき、乾燥条件は、熱溶融性物質が溶融しない温度範囲であることが好ましく、熱膨張性粒子が熱膨張しない温度範囲であることが好ましい。乾燥手段としては、熱風乾燥の他に、赤外線、マイクロ波、高周波による熱源等を使用することができる。
塗布方法としては、例えば、ブレード塗工法、グラビア塗工法、グラビアオフセット塗工法、バー塗工法、ロール塗工法、ナイフ塗工法、エアナイフ塗工法、コンマ塗工法、Uコンマ塗工法、AKKU塗工法、スムージング塗工法、マイクログラビア塗工法、リバースロール塗工法、4本又は5本ロール塗工法、ディップ塗工法、落下カーテン塗工法、スライド塗工法、ダイ塗工法等が挙げられる。
感熱性粘着層の塗布量は、乾燥塗工量で、通常、2〜35g/m2であり、5〜25g/m2が好ましい。感熱性粘着層の塗工量が2g/m2未満であると、加熱による接着を行う際に十分な接着力が得られないことがある。また、感熱性粘着層の塗工量が35g/m2を超えると、接着機能が飽和することがある。
本発明の感熱性粘着材料は、基材の感熱性粘着層を有する面と反対側の面に、ロイコ染料及び顕色剤を主成分とする感熱記録層を有することができる。
ロイコ染料としては、一般に、ロイコ系記録材料において、公知の、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の染料を用いることができる。このようなロイコ染料の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名:クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロロフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−{N−(3’−トリフルオロメチルフェニル)アミノ}−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6’−クロロ−8’−メトキシベンゾインドリノピリロスピラン、6’−ブロモ−3’−メトキシベンゾインドリノピリロスピラン、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−クロロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−ニトロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジエチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,4’−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(2’−メトキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−ヒドロキシ−4’−クロロ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−モルホリノ−7−(N−プロピルトリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロロフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4’−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,4’−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4’−ジメチルアミノ−2’−メトキシ)−3−(1’’−p−ジメチルアミノフェニル−1’’−p−クロロフェニル−1’’,3’’−ブタジエン−4’’−イル)ベンゾフタリド、3−(4’−ジメチルアミノ−2’−ベンジルオキシ)−3−(1’’−p−ジメチルアミノフェニル−1’’−フェニル−1’’,3’’−ブタジエン−4’’−イル)ベンゾフタリド、3−ジメチルアミノ−6−ジメチルアミノフルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド、3,3−ビス{2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル}−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−ビス{1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル}−5,6−ジクロロ−4,7−ジブロモフタリド、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−ナフタレンスルホニルメタン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリドフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオランスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン等が挙げられる。
また、顕色剤としては、フェノール性化合物、チオフェノール性化合物、チオ尿素誘導体、有機酸及びその金属塩等の電子受容性の種々の化合物を用いることができる。このような顕色剤の具体例としては、4,4’−イソプロピリデンビスフェノール、3,4’−イソプロピリデンビスフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(o−メチルフェノール)、4,4’−s−ブチリデンビスフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(o−t−ブチルフェノール)、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−2−メチル)フェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−2−メチル)フェノール、4,4’−ジフェノールスルホン、4,2’−ジフェノールスルホン、4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ベンジロキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジフェノールスルホキシド、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、プロトカテキュ酸ベンジル、没食子酸ステアリル、没食子酸ラウリル、没食子酸オクチル、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサヘプタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−プロパン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2−ヒドロキシプロパン、N,N’−ジフェニルチオ尿素、N,N’−ジ(m−クロロフェニル)チオ尿素、サリチルアニリド、5−クロロサリチルアニリド、o−クロロサリチルアニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、2−アセチルオキシ−3−ナフトエ酸の亜鉛塩、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸の亜鉛、アルミニウム、カルシウム等の金属塩、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、4−{β−(p−メトキシフェノキシ)エトキシ}サリチル酸、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、2,4’−ジフェノールスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジフェノールスルホン、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエンチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4’−チオビス(2−メチルフェノール)、3,4−ヒドロキシ−4’−メチル−ジフェニルスルホン、4,4’−チオビス(2−クロロフェノール)等が挙げられる。
また、基材上に感熱記録層を形成するためには、結合剤を用いて、ロイコ染料及び顕色剤を基材上に結合支持することが好ましい。結合剤としては、慣用の種々の結合剤を適宜用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸ブチル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等(エマルション);スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体等(ラテックス類)等が挙げられる。
また、感熱記録層は、填料として、種々の熱可融性物質を含有してもよい。熱可融性物質の具体例としては、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド類、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類、p−ベンジルビフェニル、ターフェニル、トリフェニルメタン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β−ベンジルオキシナフタレン、β−ナフトエ酸フェニルエステル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル、ジフェニルカーボネート、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジベンジルオキシナフタレン、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ジフェノキシブタン、1,4−ジフェノキシ−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、1,4−ビス(フェニルチオ)ブタン、1,4−ビス(フェニルチオ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、1,3−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p−(2−ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p−アリルオキシビフェニル、p−プロパギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1−ジフェニルエタノール、1,1−ジフェニルプロパノール、p−(ベンジルオキシ)ベンジルアルコール、1,3−ジフェノキシ−2−プロパノール、N−オクタデシルカルバモイル−p−メトキシカルボニルベンゼン、N−オクタデシルカルバモイルベンゼン、シュウ酸ジベンジル、1,5−ビス(p−メトキシフェニルオキシ)−3−オキサペンタン等が挙げられる。
また、感熱記録層は、必要に応じて、この種の感熱記録層に慣用される補助添加成分、例えば、界面活性剤、滑剤等を含有することができる。滑剤の具体例としては、高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、動物性、植物性、鉱物性又は石油系の各種ワックス類等が挙げられる。
本発明の感熱性粘着材料は、必要に応じて、基材と感熱記録層との間にアンダーコート層を設けたり、また、感熱記録層の上に画像信頼性を向上させる目的等で、例えば、水溶性樹脂を主成分とする保護層を設けたりすることもできる。この場合、これらの層を構成する成分としては、前述の填料、結合剤、熱可融性物質、界面活性剤等を用いることができる。さらに、保護層上又は保護層を設けない場合は直接感熱記録層の上に、印刷画像を形成することができ、印刷インクとしては、例えば、UV硬化性インクを用いることができる。
なお、感熱記録層は、公知の方法により形成することができる。例えば、ロイコ染料、顕色剤を別々に結合剤水溶液と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル等の分散機により、分散後の平均粒子径が1〜3μmになるまで粉砕分散した後、必要に応じて、填料、熱可融性物質(増感剤)分散液等と共に、一定処方で混合して塗布液を調製し、基材に塗布することによって感熱記録層を形成することができる。
本発明の感熱性粘着材料は、基材と感熱性粘着層との間に中間層をさらに有することが好ましい。また、上記のように、基材と感熱記録層の間にアンダーコート層を設けることができる。中間層及びアンダーコート層は、断熱性であることが好ましい。これにより、感熱記録層の熱感度が向上すると共に、熱活性時における感熱記録層の地肌発色を抑制することができる。さらに、熱活性時の熱エネルギーを効率よく活用することができる。中間層又はアンダーコート層が断熱性である場合は、以下、断熱層と言う。断熱層は、熱可塑性樹脂を殼とする中空度が30〜95%程度の中空粒子又はポーラスな顔料を含有することが好ましい。
断熱層に用いられる中空粒子は、内部に、空気や、その他の気体を含有する粒子で、既に発泡状態となっている。中空粒子の平均粒子径(粒子外径)は、0.2〜20μmであることが好ましく、0.5〜10μmがさらに好ましい。平均粒子径が0.2μmより小さいと、中空粒子を形成することが難しいと共に、断熱層の機能が不十分となることがある。また、平均粒子径が20μmより大きいと、塗布、乾燥後の断熱層の表面の平滑性が低下し、感熱性粘着層の塗布が不均一になることがある。したがって、このような中空粒子は、粒子径が上記の範囲にあると同時に、粒子径のバラツキが少ないことが望ましい。
さらに、中空粒子の中空度は、30%以上であることが好ましく、50%以上がさらに好ましい。中空度が30%未満であると、断熱性が不十分となり、熱エネルギーが基材を通じて外部へ放出され、感熱性粘着層の活性時の熱エネルギーの効率が低下することがある。なお、中空度とは、外径基準の体積に対する内径基準の体積の比を意味する。
中空粒子を形成する熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主成分とするモノマーを共重合することにより得られる樹脂であることが好ましい。
また、断熱層に用いられるポーラスな顔料としては、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等の有機顔料やシラス土等の無機顔料が挙げられる。
基材上に断熱層を形成する方法としては、中空粒子やポーラスな顔料を結着樹脂と共に水に分散させた分散液を基材上に塗布し、乾燥する方法が挙げられる。基材1m2当たり中空粒子やポーラスな顔料の塗布量は、1g以上であることが好ましく、2〜15gがさらに好ましい。また、結着樹脂の塗布量は、断熱層を基材に結着させる量であればよく、通常、中空粒子と結着樹脂との合計量に対して、2〜50重量%である。
断熱層を形成する際に使用される結着樹脂としては、従来公知の水溶性高分子及び/又はエマルションから適宜選択される。水溶性高分子の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。また、エマルションの具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体等のラテックス;ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン樹脂等のエマルション等が挙げられる。
なお、断熱層は、必要に応じて、フィラー、熱可融性物質(増感剤)、界面活性剤等をさらに含有することができる。フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリスチレン等の有機系微粉末を挙げることができる。また、熱可融性物質(増感剤)としては、融点が50〜200℃程度である物質を用いることができ、例えば、高級脂肪酸、そのエステル、アミド又は金属塩、各種ワックス類、芳香族カルボン酸とアミンとの縮合物、安息香酸フェニル、高級直鎖グリコール、3,4−エポキシヘキサヒドロフタル酸ジアルキル、高級ケトン、p−ベンジルビフェニル他の熱可融性有機化合物等が挙げられる。
また、感熱性粘着材料に用いられる基材は、特に限定されないが、上質紙、アート紙、コート紙等の紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、これらを貼り合わせたフィルム等を使用することができる。
断熱層を設ける塗工方法として、ブレード塗工法、グラビア塗工法、グラビアオフセット塗工法、バー塗工法、ロール塗工法、ナイフ塗工法、エアナイフ塗工法、コンマ塗工法、Uコンマ塗工法、AKKU塗工法、スムージング塗工法、マイクログラビア塗工法、リバースロール塗工法、4本又は5本ロール塗工法、ディップ塗工法、落下カーテン塗工法、スライド塗工法、ダイ塗工法等の公知の塗工方法が挙げられる。
本発明の感熱性粘着材料の形状は、特に限定されないが、ラベル状、シート状、ロール状等であることが好ましい。このような感熱性粘着材料は、感熱性粘着層の熱活性化(加熱)の前又は後でカットして使用することができる。この場合、感熱性粘着材料に、予め切れ目が形成されていてもよい。このようにして、感熱性粘着材料を、ラベル、タグ等の様々な用途に用いることができる。
本発明の感熱性粘着材料が貼付される被着体は、目的に応じて、大きさ、形状、構造、材質等を適宜選択することができる。被着体の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン、ナイロン等の樹脂板、SUS、アルミニウム等の金属板、封筒、ダンボール等の紙製品、ポリオレフィン製のラップ類、ポリ塩化ビニル製のラップ類、ポリエチレン製の不織布(封筒等)等が挙げられる。
これらの中でも、ダンボールは、一般に感熱性粘着材料を貼付することが難しいが、本発明の感熱性粘着材料の場合、強い粘着力を発現することができるため、ダンボールであっても強固に貼付することができる。
本発明の感熱性粘着材料の感熱性粘着層を熱活性化する方法は、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、熱風による活性化方法、熱ロールによる活性化方法、サーマルヘッドによる活性化方法、光を用いた光熱変換による活性化方法等が挙げられる。これらの中でも、サーマルヘッドによる活性化方法が好ましい。この場合、既存の感熱記録プリンタ装置を用いて、感熱性粘着材料の両面を加熱することにより、感熱記録層への記録と、感熱性粘着層の熱活性化とを行うことができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これら実施例によってなんら限定されるものではない。なお、以下に示す部は、重量部である。
(実施例1)
2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール30.0部、30重量%ポリビニルアルコール水溶液5.0部、界面活性剤アルキル−アリルスルホン酸塩0.15部及び水64.85部からなる混合物を、平均粒子径が1.0μmとなるようにサンドミルを用いて分散して熱溶融性物質の分散液(A液)を得た。このとき、平均粒子径は、粒径測定器LA−920(ホリバ社製)を用いて測定した。
50重量%のメタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体(ガラス転移温度−62℃)のエマルション20部、A液33.3部及び熱膨張性粒子マツモトマイクロスフェアーF−30VS(松本油脂製薬社製)(平均粒子径3〜7μm、膨張開始温度80〜85℃)10部からなる感熱性粘着剤の分散液(B液)を80g/m2の片面コート紙のコートされていない面に乾燥重量が16g/m2となるように塗布、乾燥し、感熱性粘着シートを得た。
(実施例2)
熱膨張性粒子として、マツモトマイクロスファーF−36(松本油脂製薬社製)(平均粒子径5〜15μm、膨張開始温度75〜85℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、感熱性粘着シートを得た。
(実施例3)
マツモトマイクロスフェアーF−30VSの添加量を5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、感熱性粘着シートを得た。
(実施例4)
マツモトマイクロスフェアーF−30VSの添加量を20部に変更した以外は、実施例1と同様にして、感熱性粘着シートを得た。
(実施例5)
マツモトマイクロスフェアーF−30VSの添加量を3部に変更した以外は、実施例1と同様にして、感熱性粘着シートを得た。
(実施例6)
マツモトマイクロスフェアーF−30VSの添加量を22部に変更した以外は、実施例1と同様にして、感熱性粘着シートを得た。
(実施例7)
50重量%のメタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体(ガラス転移温度−62℃)のエマルション20部、A液33.3部、10部の熱膨張性粒子マツモトマイクロスフェアーF−30VS及び50重量%の重合ロジン(軟化点145℃)のエマルション6.5部からなるB液を用いた以外は、実施例1と同様にして、感熱性粘着シートを得た。
(実施例8)
32重量%の中空粒子の分散体30部、50重量%のスチレン−ブタジエン共重合体(ガラス転移温度4℃)のラテックス10部及び水60部からなる混合物を攪拌分散して断熱層用塗液(C液)を調製した。なお、中空粒子としては、塩化ビニリデン及びアクリロニトリルを主成分とするモノマーを共重合することにより得られる樹脂からなり、平均粒子径が3.0μm、中空度が92%のものを用いた。
3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部、10重量%ポリビニルアルコール水溶液10部及び水70部からなる混合物を、平均粒子径が1.5μmとなるようにサンドミルを用いて分散して発色剤の分散液(D液)を調製した。
4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン10部、10重量%ポリビニルアルコール水溶液25部、炭酸カルシウム15部及び水50部からなる混合物を、平均粒子径が1.5μmとなるようにサンドミルを用いて分散して顕色剤の分散液(E液)を調製した。
次に、D液:E液=1:8(体積比)となるように混合攪拌して感熱記録層用塗液(F液)を調製した。
坪量60g/m2の上質紙の表面に乾燥重量が4g/m2となるようにC液を塗布、乾燥して断熱層を設けた。さらに、断熱層上に、乾燥重量が5g/m2となるようにF液を塗布、乾燥して感熱記録層を設けた。
水酸化アルミニウム20部、10重量%ポリビニルアルコール水溶液20部及び水40部からなる混合物を、平均粒子径が1μm以下になるように縦型サンドミルで粉砕、分散して保護層用分散液(F液)を調製した。
次に、F液10部、10重量%ポリビニルアルコール水溶液20部、12.5重量%エピクロヒドリン水溶液5部及び30重量%ステアリン酸亜鉛分散液2部からなる保護層用塗液(G液)を、感熱記録層上に、乾燥重量が3g/m2となるように塗布、乾燥して、保護層を設け、さらに、王研式平滑度が2000秒になるようにスーパーキャレンダー処理して感熱記録紙を作製した。
片面コート紙の代わりに、感熱記録紙を用い、感熱記録層が形成されていない面に、実施例1と同様にして感熱性粘着層を設けて感熱性粘着シートを作製した。
(実施例9)
41重量%の中空粒子の分散体14.6部、55.4重量%のアクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(ガラス転移温度−65℃)のエマルション(昭和高分子社製)21.7部及び水63.7部からなる混合物を攪拌分散して、中間層用塗液(H液)を調製した。なお、中空粒子としては、アクリロニトリル−塩化ビニリデン−メタクリル酸メチル共重合体からなり、平均粒子径が3.6μm、中空度が90%のものを用いた。
80g/m2の片面コート紙のコートされていない面に、H液を乾燥重量が5g/m2となるように塗布、乾燥して中間層を設けた。中間層上に、実施例1と同様にして、B液を乾燥重量が16g/m2となるように塗布乾燥し、感熱性粘着シートを得た。
(比較例1)
B液に熱膨張性粒子を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、感熱性粘着シートを得た。
(比較例2)
B液に熱膨張性粒子を添加しなかった以外は、実施例7と同様にして、感熱性粘着シートを得た。
(比較例3)
50重量%のメタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体(ガラス転移温度−62℃)のエマルション20部、A液33.3部及び10重量%の膨張粒子の分散体マツモトマイクロスフェアーF−30ED(松本油脂製薬社製)(平均粒子径30〜60μm)100部からなるB液を用いた以外は、実施例1と同様にして、感熱性粘着シートを得た。
(評価方法及び評価結果)
1)粘着力測定
感熱性粘着シートを40mm×150mmの長方形にカットして、感熱性粘着ラベルとし、感熱印字装置TH−PMD(大倉電気社製)を用いて、印加エネルギー0.5mJ/dot、印字スピード4ms/line、プラテン圧6kgf/lineのヘッド条件で熱活性化させた。次に、ダンボールに、2kgのゴムローラーで長手方向に貼り付けて、2分後に剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件で剥離させた。その時の粘着力をフォースゲージで測定し、0.1秒間隔でデータを読み取り、平均化した。なお、この試験は、常温環境(22℃、65%RH)で実施した。
2)経時粘着力測定
感熱性粘着シートを40mm×150mmの長方形にカットして、感熱性粘着ラベルとし、感熱印字装置TH−PMD(大倉電気社製)を用いて、印加エネルギー0.5mJ/dot、印字スピード4ms/line、プラテン圧6kgf/lineのヘッド条件で熱活性化させた。次に、ダンボールに、2kgのゴムローラーで長手方向に貼り付けて、22℃の乾燥条件で30日間保管した後に剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件で剥離させた。その時の粘着力をフォースゲージで測定し、0.1秒間隔でデータを読み取り、平均化した。なお、この試験は、常温環境(22℃、65%RH)で実施した。
表1に、上記の評価結果を示す。
なお、粘着性は、500gf/40mm以上を○、100gf/40mm以上500gf/40mm未満を△、100gf/40mm未満を×として判定した。
これより、実施例の感熱性粘着ラベルは、ダンボールに対する粘着性、特に、経時での粘着性が良好であることがわかる。