以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態にかかる基板端子洗浄装置に一例であるクリーニング装置101の主要な構成を示す模式斜視図を図1に示し、クリーニング装置101の模式平面図を図2に示す。
クリーニング装置101は、表示装置用基板パネル、例えば、液晶表示装置(液晶パネル)やプラズマディスプレイパネル(PDP)等のフラットディスプレイパネル用の基板パネルにおける表示部の周囲、すなわち縁部等に形成された端子部(あるいは端子部表面)を、洗浄体の一例である洗浄布に接触させて拭き取ることにより洗浄(あるいは清掃)を行う装置である。なお、本明細書において、「クリーニング」とは、洗浄又は清掃により、対象物に付着している汚れの除去を行うことであり、湿式クリーニング及び乾式クリーニングの両者を含むものである。
ここで、装置の具体的構成を説明するに先立って、このような基板パネルにおける端子部近傍の構造について、図3に示す模式図を用いて以下に説明する。なお、図3においては、基板パネル5が液晶パネルであるような場合を一例として、その構造を示している。
図3に示すように、基板パネル5は、ガラス基板パネル51をベース層とした多層構造を有している。具体的には、ガラス基板パネル51の図示上面には液晶52、カラーフィルタ53、別のガラス基板パネル54、さらに偏光板55が積層されており、ガラス基板パネル51の図示下面には偏光板56が積層された構造を有している。このように、それぞれの層が積層された構造を有する部分が、基板パネル5における表示部4となっており、この表示部4に対して、図示上面側からバックライト等の光源を用いて光を照射させることで、表示部4の図示下面側において所望の画像等を視認可能に表示させることが可能となっている。
また、図3に示すように、ガラス基板パネル51は、その他の層よりも大きく形成されて、表示部4の端部よりも突き出るように形成されている。このように表示部4の周囲において表示部4の表面よりも一段下がるように形成されたガラス基板パネル51の表面が電極面となっており、このような電極面が形成された部分が端子部6となっている。このような端子部6には、基板パネル5を外部の電子回路等と接続するための多数の電極端子(図示しない)が形成される。
例えば、表示部4と端子部6との境界に形成された段部3(図示上面側の段部)の高さは、例えば0.7mm程度であり、表示部4の周囲に沿って形成された端子部6の幅(すなわち長手方向とは直交する方向の長さ寸法)は例えば5mm程度となるように形成されている。なお、このような端子部6は、略方形状を有する表示部4の周囲における少なくとも一辺に形成されており、一般的には、上記略方形状の2辺若しくは3辺において、周縁部として形成されている。
本第1実施形態のクリーニング装置101は、このような構造を有する基板パネル5において、端子部6の表面の洗浄を行う装置である。
次に、クリーニング装置101の構成について、図1及び図2を用いて以下に説明する。図2に示すように、クリーニング装置101は、搬送供給される基板パネル5を解除可能に保持するとともに、基板パネル5における端子部6の洗浄のための位置決め動作を実施可能に当該保持された基板パネル5を、その表面沿いの方向である図示X軸方向又はY軸方向、さらに当該表面内(すなわちXY平面内)における回転方向であるθ方向に移動させる基板支持ステージ7(基板保持装置の一例)と、この基板支持ステージ7により保持された基板パネル5の端子部6に対して、クリーニング処理を行うクリーニングユニット10を備えている。
基板支持ステージ7は、四角形板状の基板パネル5の中央付近において、基板パネル5の下面が載置されるとともに、当該載置された基板パネル5を解除可能に吸着保持する基板保持プレート8と、この基板保持プレート8を図示X軸方向又はY軸方向に進退移動させるとともに、基板保持プレート8をθ方向に回転移動させるプレート移動装置9(第1の移動装置の一例)とを備えている。なお、このようなプレート移動装置9は、例えば、ボールねじ軸機構やシリンダ機構等を用いた駆動機構により構成することができる。また、プレート移動装置9は、上述のようにX軸方向、Y軸方向、及びθ方向における移動動作に加えて、基板パネル5の表面に直交する方向であるZ軸方向にも基板保持プレート8を移動させる機構を有しており、これにより、基板支持ステージ7により保持された基板パネル5を、全ての方向に移動させることができ、上記クリーニング処理のための確実な位置決めを行うことが可能となっている。
図1の模式斜視図に示すように、クリーニングユニット10は、基板支持ステージ7にて保持された基板パネル5の端子部6に対するクリーニング処理を行う洗浄ヘッド12と、帯状(テープ状)の洗浄布2がリールに巻き回された状態にて保持するとともに、上記クリーニング処理のために洗浄布2を、洗浄ヘッド12に供給する洗浄布供給部14と、当該クリーニング処理に用いられた洗浄布2をリールに巻き回させて回収する洗浄布回収部16とが備えられている。なお、洗浄布供給部14と洗浄布回収部16との間においては、一続きの帯状の洗浄布2が取り扱われ、洗浄布供給部14と洗浄布回収部16とが同期されて駆動されることで、一続きの洗浄布2が走行され、基板パネル5の端子部6のクリーニング処理毎に、洗浄ヘッド12に洗浄布2の新たな洗浄面を供給することができるように構成されている。なお、本第1実施形態においては、洗浄布2として、例えば、合成繊維を編み込んだ布材料を用いて、幅10〜13mm、厚さ0.3mm程度の大きさにテープ状に形成されたものが用いられる。
ここで、クリーニングユニット10の詳細な構造を説明するための模式説明図を図4に示す。図4に示すように、クリーニングユニット10は、洗浄布供給部14から供給される洗浄布2を洗浄ヘッド12へ案内するガイドローラ17と、洗浄ヘッド12から洗浄布回収部16へ回収される洗浄布2を案内するガイドローラ18とが備えられている。また、各々のガイドローラ17、18と洗浄布供給部14又は洗浄布回収部16との間には、供給又は回収される洗浄布2に対して張力を付与するテンションローラ19、20が備えられている。
また、図4に示すように、洗浄ヘッド12は、供給保持される洗浄布2を介して、基板パネル5の端子部6を解除可能に把持する一対のクランプ爪22と、この一対のクランプ爪22の開閉動作を行うエアチャック24とを備えている。また、この一対のクランプ爪22の間隙の中に、供給保持される洗浄布2の途中の部分を挿入させて導くガイドローラ21(ガイド手段の一例)が備えられている。
ここで、洗浄ヘッド12に対する洗浄布2の供給及び回収の経路について説明すると、洗浄布供給部14より供給された洗浄布2は、テンションローラ19及びガイドローラ17を経由して、図示上側のクランプ爪22の傾斜面22aに沿って走行されながら、当該上側のクランプ爪22の先端部22bへと供給される。このように供給された洗浄布2は上側のクランプ爪22の先端部22bから端子部6への当接面22cに沿って一対のクランプ爪22の間隙内に挿入され、ガイドローラ21にて反転され、図示下側のクランプ爪22の当接面22cに沿いながらその先端部22bへと供給される。この下側のクランプ爪22の先端部22bからは、傾斜面22aに沿って走行されながら、ガイドローラ18及びテンションローラ20を経由して、洗浄布回収部16に洗浄布2が回収される。従って、それぞれのクランプ爪22の外側の傾斜面22a及び先端部22bと、内側の当接面22cには、供給される洗浄布2が常時接触して保持された状態とされている。
また、図4に示すように、クリーニングユニット10には、クランプ爪22の開閉動作を行うエアチャック24に対して、第1の加圧力と、当該第1の加圧力よりも大きな第2の加圧力とを選択的に付与する圧力付与装置の一例である加圧力供給装置26が備えられている。この加圧力供給装置26は、例えば、上記第1の加圧力を発生させるための圧力源としての低圧源27(例えば、低圧の圧縮空気)と、上記第2の加圧力を発生させるための圧力源としての高圧源28(例えば、高圧の圧縮空気)とが接続されており、この低圧源と高圧源とを切り換えてエアチャック24へ選択的に加圧力を伝達するバルブ29を備えている。このように構成されていることにより、一対のクランプ爪22にて、基板パネル5の端子部6に対する把持を、第1の加圧力と第2の加圧力の2種類の加圧力を選択的に用いて実施することが可能となっている。なお、本第1実施形態において、第2の加圧力は、端子部6に対するクリーニング処理を行う際に必要な大きさに加圧力であり、これに対して、第1の加圧力は、第2の加圧力よりも小さな加圧力であって、この加圧力でもって把持されている間は、実質的なクリーニング処理は行われない。
また、上記第1の加圧力と第2の加圧力としては、例えば、上記端子部6に対するクリーニング処理を行う際に必要な大きさの加圧力である第2の加圧力の大きさを100%とした場合に、第1の加圧力は80%程度の大きさの力として設定することができる。なお、このようなそれぞれの加圧力の大きさは、基板パネル5の仕様(例えば、形成材料、厚み、段部の大きさ等)や求められる洗浄品質に基づいて設定されることが好ましい。
さらに、クリーニングユニット10には、洗浄ヘッド12を図示Y軸方向に沿って移動可能にその移動を案内するガイドレール30と、このようにガイドレール30により移動が案内された状態の洗浄ヘッド12を固定する弾性部材の一例であるシリンダ31とが備えられている。このような構成により、例えば、図4において、洗浄ヘッド12に対して図示Y軸方向左向きの外力が作用されたような場合に、ガイドレール30に沿って洗浄ヘッド12が図示Y軸方向左向きに移動され、当該移動によりシリンダ31内の流体が弾性圧縮されて、それに伴って、シリンダ31より洗浄ヘッド12に対して図示Y軸方向右向きの付勢力が付与される。上記外力と上記付勢力との釣り合いが採れるY軸上の位置にて、洗浄ヘッド12が停止することとなる。なお、本第1実施形態においては、シリンダ31が付勢力付与部の一例となっており、このようなシリンダ31が採用されるような場合の他に、弾性バネ等を採用することもできる。
また、図4に示すように、クリーニングユニット10には、このような洗浄ヘッド12への外力作用によるY軸方向に移動位置を検出する移動位置検出用センサ37が備えられている。この移動位置検出用センサ37は、具体的には、上述したように洗浄ヘッド12に対して図示Y軸方向左向きの外力が作用され、所定の位置にまで移動された場合に当該移動が行われたことを検出することが可能となっている。なお、この検出動作の具体的な内容については後述する。
また、図1、図2、及び図3に示すように、クリーニングユニット10には、洗浄布供給部14におけるリールと、洗浄布回収部16におけるリールとを同期させて回転駆動させることで、洗浄布2の供給及び回収を行う駆動モータ32が備えられている。さらに図1及び図2に示すように、クリーニング装置101には、クリーニングユニット10を支持しながらその図示X軸方向に沿っての進退移動を案内する2本のガイドレール33と、そのX軸方向沿いの進退移動を駆動するユニット移動装置34(第2の移動装置の一例)とが備えられている。ユニット移動装置34は、2個のローラ35に走行可能に係合され、かつ、クリーニングユニット10に固定された駆動ベルト36と、ローラ35を回転駆動させて駆動ベルト36を走行させることで、クリーニングユニット10のX軸方向沿いの進退移動を駆動する駆動モータ(図示しない)とを備えている。ただし、このような構成以外にも、例えばボールねじ軸機構などの様々な駆動機構を採用することができる。
また、クリーニング装置101には、それぞれの構成部の動作を制御するとともに、互いの動作を関連付けながら統括的にクリーニング処理を制御する制御装置38が備えられている。具体的には、制御装置38は、基板保持プレート8による基板パネル5の保持及び保持解除動作、プレート移動装置9による基板保持プレート8のXY移動、Z軸移動、及びθ回転移動、洗浄布供給部14及び洗浄布回収部16による洗浄布2の供給及び回収動作、エアチャック24による一対のクランプ爪22の開閉動作(把持動作)、加圧力供給装置26による加圧力の切り換え動作、ユニット移動装置34によるクリーニングユニット10の図示X軸方向沿いの移動動作のそれぞれの動作制御を行うことが可能となっている。また、移動位置検出用センサ37による検出結果情報は、制御装置38へ入力され、当該検出結果情報が入力されたことが、後述するように他の動作制御と関連付けられることとなる。
次に、このような構成を有するクリーニング装置101において、基板パネル5の端子部6に対するクリーニング処理を行う手順について、以下に説明する。当該説明にあたって、クリーニング処理の手順のフローチャートを図5に示し、それぞれの手順におけるクリーニング装置101の状態を示す模式説明図を図6から図11に示す。なお、以下に説明するクリーニング処理は、制御装置38により、クリーニング装置101におけるそれぞれの構成部の動作制御が互いに関連付けられながら統括的に実施されることにより行われる。
まず、図2に示すように、クリーニング装置101において、クリーニング処理が行われる基板パネル5が図示しない搬送装置により搬送されて、基板支持ステージ7の基板保持プレート8に載置されて保持される。その後、例えば、基板パネル5における基準マーク等が、図示しない認識装置により認識され、当該認識結果に基づいて、基板保持プレート8がプレート移動装置9により図示X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、又はθ軸方向に移動されることにより、図6に示すように、基板支持ステージ7による基板パネル5の保持位置及び保持姿勢が予め定められた状態となるように位置決めが行われる。
一方、クリーニングユニット10においては、駆動モータ32が駆動されて、洗浄布供給部14と洗浄布回収部16とにより、洗浄布2の供給動作及び回収動作が行われ、新たな洗浄布2が洗浄ヘッド12へ供給される。なお、このように供給又は回収される洗浄布2は、それぞれのテンションローラ19、20により所定の張力が付与された状態で、それぞれのガイドローラ17、18により案内されながら走行されることとなる。
その後、基板保持プレート8がプレート移動装置9により図示Y軸方向に移動されることにより、クリーニング処理の対象となる端子部6と、クリーニングユニット10との位置合わせが行われる(図5のフローチャートにおけるステップS1)。
具体的には、図7に示すように、クリーニング処理が行われる端子部の一部6が、洗浄ヘッド12において開状態とされている一対のクランプ爪22の間隙内に挿入されるように、基板パネル5が図示Y軸方向左側に移動される。基板パネル5の端子部6の表面において、段部3よりも離間された位置、例えば、端子部6の表面における幅方向(Y軸方向)の中間位置の上方又は下方にそれぞれのクランプ爪22の先端部22bが位置されるように、プレート移動装置9による基板パネル5の上記移動が行われる。なお、このような位置合わせが行われた状態においては、それぞれのクランプ爪22と端子部6とはまだ当接されていない状態にある。また、当該位置合わせの際には、ユニット移動装置34によりクリーニングユニット10の図示X軸方向沿いの移動が行われ、基板パネル5の端子部6の長手方向(X軸方向)における端部位置(すなわちクリーニング処理の開始位置)にクリーニングユニット10が位置決めされる。
このような位置決めの実施の後、加圧力供給装置26において、高圧源28及び低圧源27の2種類の圧力源の中からバルブ29により低圧源27が選択され、圧力連通管等を通じて第1の加圧力F1がエアチャック24に伝達される(ステップS2)。その後、図8に示すように、エアチャック24のより一対のクランプ爪22が閉方向に駆動されて、段部3より離間された位置において、それぞれのクランプ爪22により洗浄布2を介して、第1の加圧力F1でもって端子部6の把持が行われる(ステップS3)。すなわち、それぞれのクランプ爪22における当接面22c上に配置保持されている洗浄布2が、上記位置における端子部6の表面(表裏両面)に第1の加圧力F1により圧接された状態とされる。なお、このような状態においては、図8に示すように、それぞれのクランプ爪22の先端部22bと、基板パネル5における段部3との間には、互いに当接(すなわち洗浄布2を介して当接)しないような距離wが確保された状態とされている。
このように第1の加圧力F1でもっての圧接把持が行われた後、図9に示すように、プレート移動装置9により基板パネル5の図示Y軸方向左向きへの移動、すなわち、それぞれのクランプ爪22による把持状態を保ちながらのスライド移動が行われる。このスライド移動により、それぞれのクランプ爪22の先端部22bが洗浄布2を介して基板パネル5の段部3に当接されると、洗浄ヘッド12に対して図示Y軸方向左向きの外力が作用された状態となり、シリンダ31内の流体が弾性圧縮され、洗浄ヘッド12がそれぞれのガイドレール30に沿って図示Y軸方向左向きに移動されることとなる。この洗浄ヘッド12の移動量が所定の移動量に達したことが、移動位置検出用センサ37により検出されると、当該検出結果情報が制御装置38へ入力され、当該情報の入力を受けて制御装置38は、プレート移動装置9による基板パネル5の移動を停止させる。これにより、クランプ爪22の先端部22bが洗浄布2を介して確実に段部3に当接された状態とされる(ステップS4)。すなわち、本第1実施形態においては、移動位置検出用センサ37が段部当接検出手段の一例となっている。また、このような当接状態においては、シリンダ31内の流体が弾性圧縮されることにより生じる付勢力が、クランプ爪22の先端部22bから段部3に対して常時付勢された状態とされることとなる。なお、基板パネル5においては、図3に示すように、ガラス基板パネル51の上面側だけでなく、下面側にも小さな段部が形成されているが、両段部は同じ位置に形成されているため、それぞれのクランプ爪22の先端部22bが、各々の段部に当接された状態とされる。なお、基板パネル5において、一方の面にしか段部が形成されていないような場合にあっては、一方のクランプ爪22が段部に当接されることとなる。
また、このようにクランプ爪22が段部3に当接されて、図示Y軸方向左向きに洗浄ヘッド12が移動されることにより、洗浄布供給部14から洗浄布回収部16の間に供給配置されている洗浄布2には弛みが生じる恐れがあるが、図9に示すように、クリーニングユニット10に備えられている2個のテンションローラ19、20により洗浄布2に対して付与される張力でもって、当該弛みは除去される。
次に、制御装置38は、移動位置検出用センサ37から入力された検出結果情報に基づいて、加圧力供給装置26を制御して、バルブ29により選択されている低圧源27から高圧源28への切り換えを行う。これにより、加圧力供給装置26からエアチャック24へ伝達される加圧力が第1の加圧力から第2の加圧力へ切り換えられる(ステップS5)。その結果、図10に示すように、段部3に当接された状態で端子部6を圧接把持している一対のクランプ爪22により、より強い力である第2の加圧力F2でもっての圧接把持が行われることとなる。
その後、ユニット移動装置34によりクリーニングユニット10がそれぞれのガイドレール33に沿って、図示X軸方向沿いに所定の速度にて移動される。この移動動作により、段部3に当接されるとともに、第2の加圧力F2でもって確実に端子部6の表面に圧接された洗浄布2が、端子部6の表面を拭き取るようにして、その長手方向(X軸方向)に沿って移動され、端子部6の表面に付着した異物や汚れ等を除去するようにクリーニング処理が行われる(ステップS6)。当該端子部6の一方の端部に位置されていたクリーニングユニット10が、他方の端部にまで到達するように上記移動が行われると、この移動が停止される。
その後、ステップS7において、クランプ爪22による端子部6の加圧力が、第2の加圧力F2から第1の加圧力F1へと切り換えられ、当該切り換えの後、ステップS8において、クランプ爪22が段部より離間するように、クランプ爪22のスライド移動が行われ、そして最終的には、図11に示すように、エアチャック24によりそれぞれのクランプ爪22が開方向に駆動されることで、クランプ爪22による圧接把持が解除される(ステップS9)。すなわち、上記クリーニング処理が行われた後、クランプ爪22の圧接把持を解除する際には、クランプ爪22による圧接把持が行われる場合に手順と逆の手順にて当該解除が行われることとなる。その後、プレート移動装置9により基板パネル5が移動されて、クランプ爪22の間から端子部6が挿出される。なお、その後、当該クリーニング処理に使用された洗浄布2の表面(使用済みの表面)が次のクリーニング処理において用いられることが無いように、洗浄布供給部14と洗浄布回収部16による洗浄布2の供給及び回収動作のための走行が行われるが、この走行をより円滑に行うため、例えば、図11に示すように、一対のクランプ爪22の間に位置されていたガイドローラ21が可動される構成として、両クランプ爪22間より外側に移動された状態にて、上記洗浄布2の走行が行われるようにすることもできる。これで、基板パネル5における当該端子部6に対するクリーニング処理が完了する。
その後、クリーニング装置101において、例えば、プレート移動装置9により基板保持プレート8をθ方向に90度回転させるとともに、X、Y、又はZ軸方向に移動させることで、基板パネル5における別の端子部6とクリーニングユニット10との位置合わせを行い、図5に示す手順と同様な手順にて、当該別の端子部6に対するクリーニング処理が行われる。
基板パネル5における全ての端子部6に対するクリーニング処理が完了すると、基板支持ステージ7による基板パネル5の保持が解除されて、図示しない搬送装置に基板パネル5が受け渡され、クリーニング装置101より基板パネル5が排出される。これで、基板パネル5に対する一連のクリーニング処理が完了する。
このような一連のクリーニング処理によれば、図5に示すステップS1からS4における洗浄布2を段部3へ確実に当接された状態として、クリーニング処理を開始するための準備行う洗浄準備処理S10と、ステップS6における段部3に確実に当接された状態の洗浄布2を端子部6の表面に沿って移動させることで拭き取りによる洗浄を行う洗浄本処理S20と、この洗浄本処理が完了した後、洗浄布2の端子部6への当接を解除する洗浄解除処理S30との大きく3つの処理に分けてクリーニング処理が行われる。さらに、加圧力供給装置26により、洗浄準備処理S10が行われる際のクランプ爪22による圧接のための加圧力を第1の加圧力F1とし、洗浄本処理S20が行われる際の加圧力を第1の加圧力F1よりも大きな第2の加圧力F2とするように、加圧力の切り換え動作(ステップS5)が行われる。なお、洗浄解除処理S30が行われる際の加圧力が、第1の加圧力F1に戻されるように、洗浄本処理S20の完了後、加圧力の切り換え動作(ステップS7)が行われる。
洗浄準備処理において、洗浄布2の圧接のための加圧力としてより小さな力である第1の加圧力F1が選択されることにより、段部3から距離wだけ離間された位置においてクランプ爪22の把持により当接された状態の洗浄布2を、段部3へ向けて端子部6の表面に沿って円滑にスライド移動させることができる。また、このスライド移動の際は、クランプ爪22により洗浄布2が第1の加圧力F1でもって端子部6の表面に圧接された状態とされているため、当該洗浄布2が段部3を乗り上げて表示部4の表面に接触してしまうことを確実に防止しながら、洗浄布2を段部3の隅部分に確実に当接させることができる。このように洗浄布2が段部3へ当接された状態とさせることで、段部3から周端部までの間における端子部6の表面全体に洗浄布2を確実に当接させた状態とさせることができる。
このように端子部6の表面全体に洗浄布2を確実に当接させた状態にて、より大きな力である第2の加圧力F2への切り替えを行って、洗浄本処理S20を実施することにより、より大きな力で圧接された洗浄布2でもって、端子部6の表面に付着した汚れ等を効果的に除去することができる。
従って、基板パネル5における表示部4を損傷させてしまうことを確実に防止しながら、段部3の隅部分にまで洗浄布2を接触させた状態にて、端子部6の表面全体において洗浄されていない領域が残らないようにクリーニング処理を効果的に実施することができる。
また、洗浄準備処理S10において行われる段部3より離間した位置へのクランプ爪22の先端部22bの位置合わせは、段部3へクランプ爪22を介して洗浄布2が接触しない程度の精度があれば十分であるため、高精度な位置決めを不要することができる。さらに、その後のスライド移動による洗浄布2と段部3との当接は、基板パネル5が洗浄ヘッド12に対して近づくようにスライド移動されることにより行われるが、洗浄ヘッド12は当該移動方向において弾性部材であるシリンダ31を介して支持されているため、当該当接後、さらにスライド移動が継続されるような場合であっても、その移動量をシリンダ31内の流体の弾性圧縮により吸収させることができる。従って、このような段部3への当接のためのスライド移動においても高精度な位置決めを不要とすることができる。よって、高い位置決め精度が要求することなく、このように段部3への洗浄布2の当接を実現することができるクリーニング装置101を提供することができる。
また、上記段部3への洗浄布2の当接の検出は、シリンダ31の弾性圧縮による洗浄ヘッド12の移動位置を移動位置検出用センサ37により検出することで行うことができるため、例えば過剰に基板パネル5がスライド移動されて洗浄布2が表示部4へ乗り上げてしまうような状態が発生することを確実に防止することができ、表示部4の損傷の発生を防止することができる。
また、洗浄布2が段部3へ当接された状態においては、シリンダ31内の流体の弾性圧縮により生じた付勢力が段部3に対して付与された状態とされているため、その後の洗浄本処理S20において、端子部6の長手方向に洗浄布2のスライド移動が行われる際に、確実に段部3の隅部分にまで洗浄布2を当該付勢力でもって付勢された状態とすることができ、端子部6の表面全体に対してクリーニング処理を確実に実施することができる。
さらに、洗浄解除処理S30においては、第1の加圧力への切り換えを実施して、さらに洗浄布2の段部3からの離間を行った後、クランプ爪22による端子部6の圧接把持の解除を行っているため、当該解除動作の際に、クランプ爪22が表示部4に乗り上げてしまうこと等により当該表示部4を損傷させてしまうことを確実に防止することができる。
なお、上記第1実施形態においては、洗浄布2の段部3への当接を検出手段として、洗浄ヘッド12の移動位置を検出する移動位置検出用センサ37が用いられるような場合について説明したが、このような場合に代えて、例えば、シリンダ31より発生される付勢力の大きさを検出するようなセンサが用いられるような場合であってもよい。
また、洗浄ヘッド12あるいはクリーニングユニット10と基板パネル5との間の移動は、相対的に行われるものであれば、いずれの構成部が移動される場合であってもよく、様々な移動構成を採用することができる。
(第2実施形態)
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本発明の第2の実施形態にかかる基板端子洗浄装置の一例であるクリーニング装置201の主要な構成を示す模式斜視図を図12に示す。本第2実施形態のクリーニング装置201は、上記第1実施形態のクリーニング装置101とは、クリーニングユニットの構成が大きく異なっている。以下、この異なる構成を中心として説明を行う。なお、上記第1実施形態のクリーニング装置101が備える構成と同じ構成部分には、同じ参照番号を使用してその説明を省略する。
図12に示すように、クリーニング装置201は、搬送供給される基板パネル5を解除可能に保持する基板支持ステージ7と、この基板支持ステージ7により保持された基板パネル5の端子部6に対して、クリーング処理を行うクリーニングユニット210を備えている。
クリーニングユニット210は、基板支持ステージ7にて保持された基板パネル5の上面側において端子部6に対するクリーニング処理を行う第1のクリーニングヘッド部211と、この第1のクリーニングヘッド部211に隣接して配置された第2のクリーニングヘッド部212と、第1のクリーニングヘッド部211と基板パネル5に対して対称に配置され、その裏面側において端子部6に対するクリーニング処理を行う第3のクリーニングヘッド部213と、この第3のクリーニングヘッド部213に隣接して配置されるとともに、第2のクリーニングヘッド部212と基板パネル5に対して対称に配置された第4のクリーニングヘッド部214との合計4個のクリーニングヘッド部211〜214を備えている。
また、図12に示すように、クリーニングユニット210における図示上面側においては、帯状(テープ状)の洗浄布2がリールに巻き回された状態にて保持するとともに、上記クリーニング処理のために洗浄布2を、第1のクリーニングヘッド部211及び第2のクリーニングヘッド部212に供給する第1の洗浄布供給部215と、当該クリーニング処理に用いられた洗浄布2をリールに巻き回させて回収する第1の洗浄布回収部216とが備えられている。同様に、クリーニングユニット210における図示下面側においても、第2の洗浄布供給部217及び第2の洗浄布回収部218が備えられている。なお、第1の洗浄布供給部215と第1の洗浄布回収部216との間においては、一続きの帯状の洗浄布2が取り扱われ、同様に第2の洗浄布供給部217と第2の洗浄布回収部218との間においても、一続きの洗浄布2が取り扱われる。
ここで、クリーニングユニット210において、第1のクリーニングヘッド部211及び第2のクリーニングヘッド部212に関係する構成について、図13及び図14の模式構成図に示す。なお、図13は、図示X軸方向からクリーニングユニット210を見た場合の部分模式側面図であり、図14は、図13のクリーニングユニット210におけるA−A線矢視図である。また、クリーニングユニット210において、第1のクリーニングヘッド部211及び第2のクリーニングヘッド部212と、第3のクリーニングヘッド部213及び第4のクリーニングヘッド部214とは、基板パネル5に対して対称関係の構造を有しているため、それぞれのクリーニングヘッド部の構成を代表して、図13及び図14においては、第1のクリーニングヘッド部211及び第2のクリーニングヘッド部212の構成について説明を行うものとする。
図13及び図14に示すように、クリーニングユニット210の図示上面側においては、第1の洗浄布供給部215より図示X軸方向に沿って供給された洗浄布2を、当該X軸方向に沿っての走行を案内可能に支持する3つの支持部(支持用ローラ)である第1のローラ部221、第2のローラ部222、及び第3のローラ部223が備えられている。また、第1のローラ部221による洗浄布2の支持位置である第1の位置P1と、第2のローラ部222による支持位置である第2の位置P2と、第3のローラ部223による支持位置である第3の位置P3は、X軸方向に沿って略直線状に配置されている。
また、図13及び図14に示すように、それぞれのローラ部221〜223により支持された状態の洗浄布2における第1の位置P1と第2の位置P2との間の当接位置P11において、洗浄布2の図示上面に当接されるように第1のクリーニングヘッド部211が配置され、また、第2の位置P2と第3の位置P3との間の当接位置P12において、洗浄布2の図示上面に当接されるように第2のクリーニングヘッド部212が配置されている。また、第1のクリーニングヘッド部211は、当接位置P11にて、洗浄布2の一部と当接されるクリーニング部材当接部の一例であって当接用ローラ部の一例でもあるヘッドローラ部211aと、このヘッドローラ部211aを昇降させる昇降部211bとを備えている。同様に、第2のクリーニングヘッド部212も、当接位置P12にて、洗浄布2の一部と当接されるヘッドローラ部212aと、このヘッドローラ部212aを昇降させる昇降部212bとを備えている。
第1のクリーニングヘッド部211において、昇降部211bは、ヘッドローラ部211aに当接された状態の洗浄布2を、基板パネル5の表面における端子部6に接触させて所定の加圧力でもって加圧した状態とする加圧高さ位置と、洗浄布2と端子部6との接触を確実に解除して、基板支持ステージ7による基板パネル5の移動が行われた場合であっても、基板パネル5との干渉が確実に防止された高さ位置である加圧解除高さ位置との間で、ヘッドローラ部211aを昇降させることが可能となっている。同様に、第2のクリーニングヘッド部212においても、昇降部212bは、加圧高さ位置と加圧解除高さ位置との間で、ヘッドローラ部212aを昇降させることが可能となっている。なお、このような昇降部211b及び212bは、例えばシリンダ機構を用いて構成することができる。
また、それぞれの昇降部211b及び212bは、洗浄布2を端子部6に加圧させる上記所定の加圧力として、上記第1実施形態と同様に第1の加圧力F1と第2の加圧力F2とを選択的に加圧する機能を備えている。なお、このような機能は、上記第1実施形態と同様に、図示しない加圧力供給装置よりそれぞれの昇降部211b及び212bへ選択された加圧力が伝達されることにより実現することができる。
また、図13及び図14に示すように、クリーニングユニット210においては、昇降部211b及び212bは、共通フレーム224に支持されてその支持位置が固定されおり、さらにこの共通フレーム224を、図示X軸方向に沿って進退移動させる第3の移動装置の一例であるクリーニングヘッド移動装置230が備えられている。また、このクリーニングヘッド移動装置230及びそれぞれのローラ部221〜223は、共通フレーム224とは、分離されたメインフレーム225に支持されてその支持位置が固定されている。クリーニングユニット210においてこのような構成が採用されていることにより、それぞれのローラ部221〜223に対して相対的に、ヘッドローラ部211a及び211bをX軸方向に進退移動させることが可能となっている。すなわち、第1の位置P1と第2の位置P2との間における洗浄布2に対して、ヘッドローラ部211aによる当接位置P11を自由に可変させることが可能となっており、また、第2の位置P2と第3の位置P3との間における洗浄布2に対して、ヘッドローラ部212aによる当接位置P12を自由に可変させることが可能となっている。なお、このようなクリーニングヘッド移動装置230は、例えばシリンダ機構を用いて構成することができる。また、洗浄布2に当接しながらのこのような移動を考慮して、ヘッドローラ部211a及び212aの形状は、滑らかな形状とすることが好ましい。
また、このようなクリーニングユニット210における上面側の構成は、その下面側においても同様に備えられており、第3のクリーニングヘッド部213及び第4のクリーニングヘッド部214のそれぞれのローラ部に対する相対的な移動が可能となっている。
また、図12に示すように、クリーニング装置201においては、クリーニングユニット210の上記上面側の構成及び下面側の構成を一体的な状態で、図示X軸方向に進退移動させる第3の移動装置の一例であるユニット移動装置231が備えられている。具体的には、ユニット移動装置231は、上記上面側の構成におけるメインフレーム225と、このメインフレーム225に相当する下面側のメインフレーム(図示しない)とを、互いに一体的な状態にて、図示X軸方向に沿って進退移動させることが可能となっている。なお、このようなユニット移動装置231は、例えばボールねじ軸機構を用いて構成することができ、さらに、上記進退方向に沿ってその移動を高精度に案内する移動案内用レール等が用いられることが好ましい。
このようにユニット移動装置231により、クリーニングユニット210が、図示X軸方向手前側向きをそのクリーニング方向Dとして移動可能とされていることにより、それぞれのヘッドローラ部211a及び212aが加圧高さ位置に位置されて洗浄布2を端子部6の表面に加圧した状態で、当該洗浄布2をクリーニング方向Dに沿って移動させて、端子部6の表面を拭き取るようにクリーニングを行うことが可能となっている。なお、クリーニングユニット210におけるそれぞれの洗浄布供給部215、217、及び洗浄布回収部216、218には、洗浄布2に対して所定の張力を付与する図示しない張力付与部が備えられており、上記拭き取り状態において洗浄布2に対して弛みが生じないように構成されている。
さらにクリーニングユニット210には、このようなクリーニング処理の開始前の端子部6の表面状態の画像を撮像することで、当該表面の汚れ度合いを認識するクリーニング前確認用カメラ232と、クリーニング処理の実施後の端子部6の表面状態の画像を撮像することで、当該表面の汚れの除去度合いを認識するクリーニング後確認用カメラ233とが備えられている。
また、クリーニング装置201においては、基板支持ステージ7による基板パネル5の保持動作及び位置合わせ動作、クリーニングユニット210におけるそれぞれの動作、ユニット移動装置231によるクリーニングユニット210の移動動作、及びそれぞれの確認用カメラ232、233による認識動作を、互いに関連付けながら、統括的に制御を行う制御装置220が備えられている。
なお、図15に示すクリーニング装置201においては、長方形状を有する基板パネル5が、長手方向を図示Y軸方向に沿って基板支持ステージ7に保持された状態を示している。このように基板支持ステージ7は、基板パネル5をその表面沿いのあらゆる向きにおいて保持することが可能となっていることにより、基板パネル5の外周全体の縁部に設けられた端子部6に対して、クリーニング処理を施すことが可能となっている。
さらに、クリーニングユニット210においては、それぞれのクリーニングヘッド部211及び212が固定された共通フレーム224を、図示Y軸方向に沿って移動案内可能とするガイド部250が備えられている。このガイド部250は、図13に示すように、メインフレーム225に固定されるとともに、図示Y軸方向に沿って共通フレーム224がそれぞれのクリーニングヘッド部211及び212と一体的な状態で移動可能となるように当該移動を案内する機能を有している。また、供給フレーム224とメインフレーム225とは、弾性バネ251を介して図示Y軸方向において係合されている。このような弾性バネ251は、例えば、図13において、それぞれのクリーニングヘッド部211及び212に対して図示Y軸方向右向きの外力が作用されることで、ガイド部250に案内されながらそれぞれのクリーニングヘッド部211及び212が図示Y軸方向右向きに移動された場合に、当該外力と逆向きの付勢力をそれぞれのクリーニングヘッド部211及び212に付与する機能を有している。すなわち、本第2実施形態においては、弾性バネ251が付勢力付与部の一例となっている。
また、図13に示すように、クリーニングユニット210には、上述のようなそれぞれのクリーニングヘッド部211及び212と共通フレーム224との外力作用による移動位置を検出する移動位置検出用センサ252が備えられており、このセンサ252は予め設定された所定の移動位置にまで共通フレーム224が移動されたことを検出するとともに、その検出結果情報を制御装置220に入力させることが可能となっている。
また、図13に示すように、クリーニングユニット210には、それぞれのクリーニングヘッド部211及び212において、ヘッドローラ部211a及び212aに支持される洗浄布2の端部を基板パネル5が配置される側のローラ側面に回り込ませるように案内するガイド板253(ガイド部の一例)が備えられている。具体的には、図16及び図17の模式説明図に示すように、ヘッドローラ部211aの下方周面に支持された状態の洗浄布2の図示左側の端部が、ガイド板253とヘッドローラ部211aの側面との間で挟まれるようにして当該側面側へ回り込ませることが可能となっている。このようにヘッドローラ部211aの側面にまで洗浄布2を回り込ませるのは、後述するように当該洗浄布2を基板パネル5の段部3へ当接させるためである。
次に、このような構成を有するクリーニング装置201において、基板パネル5の端子部6に対してクリーニング処理を行う動作について、図16〜図20の模式説明図を用いて以下に説明する。なお、以下において説明するクリーニング処理は、クリーニング装置201が備える制御装置220によりそれぞれの構成部が互いに関連付けられて統括的に制御されることにより行われる。
まず、図12に示すように、クリーニング装置101において、クリーニング処理が行われる基板パネル5が、基板支持ステージ7に保持される。それとともに、クリーニングユニット210においては、それぞれの洗浄布供給部215及び217と洗浄布回収部216及び218とにより、洗浄布2の供給送り動作及び回収動作が行われ、新たな洗浄布2がそれぞれのローラ部221、222、及び223により支持された状態とされる。
その後、プレート移動装置9により基板パネル5が移動されることにより、クリーニングユニット210と基板パネル5においてクリーニング処理の対象となる端子部6との位置合わせが行われる。この位置合わせにおいては、それぞれのヘッドローラ部211a及び212aの端部が、端子部6の表面における段部から離間された位置の上方に位置されるように位置合わせが行われる。
上記位置合わせとともに、クリーニングユニット210の上面側の構成である第1のクリーニングヘッド部211及び第2のクリーニングヘッド部212においては、ヘッドローラ部211a及び212aがクリーニング方向Dの上流側に位置、すなわち、ヘッドローラ部211aの当接位置P11が第2の位置P2に近接するように、また、ヘッドローラ部212aの当接位置P12が第3の位置P3に近接するように、クリーニングヘッド移動装置230により移動されて位置された状態とされる。また、クリーニングユニット210の下面側の構成である第3のクリーニングヘッド部213及び第4のクリーニングヘッド部214においても同様に、それぞれのヘッドローラ部がクリーニング方向Dの上流側の位置へと位置された状態とされる。
その後、クリーニングユニット210の上面側の構成におけるそれぞれのクリーニングヘッド部211及び212において、ヘッドローラ部211a及び212aが、昇降部211b及び212bにより下降されて、加圧解除高さ位置から加圧高さ位置へと位置される。また、クリーニングユニット210の下面側の構成におけるそれぞれのクリーニングヘッド部213及び214においても、同様の動作が行われて、図示しない昇降部によりヘッドローラ部が上昇されて加圧解除高さ位置から加圧高さ位置へと位置される。なお、このとき、それぞれの昇降部による加圧力としては第1の加圧力が選択されて付与された状態とされる。このような状態においては、図16に示すように、ヘッドローラ部211aが洗浄布2を介して端子部6の端部近傍において段部3より離間されるように圧接した状態となっており、ヘッドローラ部211の洗浄布2の端部は段部3より距離wだけ離間された状態とされている。
その後、第1の加圧力F1での洗浄布2の圧接状態を保持しながら、プレート移動装置9により基板パネル5を、図16における図示Y軸方向右向きに移動させる。この移動により端子部6の表面に洗浄布2を圧接させているヘッドローラ部211aは、段部3へ近接するようにスライド移動されて、その側面に配置されている洗浄布2を介して段部3に当接される。この当接後もさらに基板パネル5の移動が継続されることにより、共通フレーム224がY軸方向に沿って案内されながら、弾性バネ251を引き延ばすように移動されることとなる。この移動により共通フレーム224が所定の移動位置に到達したことが移動位置検出用センサ252により検出されると、その検出結果情報が制御装置220へ入力されて、当該情報の入力に基づいてプレート移動装置9による基板パネル5の移動が停止される。この状態においては、ヘッドローラ部211aの側面の一部が洗浄布2を介して段部3へ当接されているとともに、弾性バネ251より伝達される付勢力でもって当該洗浄布2が段部3へ押し付けられた状態とされている。なお、ヘッドローラ部211aについて代表して説明を行ったが、その他のヘッドローラ部についても同時に同様な動作が行われ、それぞれの位置において洗浄布2を介して段部3へ当接された状態とされる。これにより、洗浄準備処理が完了する。
その後、昇降部211bによる加圧力が、第1の加圧力F1から第2の加圧力F2へと切り換えられて、図17に示すように、より大きな力でもって、端子部6の表面における段部3から端部までの間の領域全体に洗浄布2が圧接された状態とされる。洗浄本処理が開始される。
また、このような状態におけるクリーニングユニット210と基板パネル5の端子部6とのクリーニング方向D沿いにおける位置関係を図18の模式説明図に示す。図18に示すように、第1のクリーニングヘッド部211におけるヘッドローラ部211aは、高さ方向において加圧高さ位置に位置されているとともに、基板パネル5の表面沿いの方向において第2の位置P2に近接した位置に位置されており、また、第2のクリーニングヘッド212におけるヘッドローラ部212aは、高さ方向において加圧高さ位置に位置されているとともに、基板パネル5の表面沿いの方向において第3の位置P3に近接した位置に位置されている。さらに、第3クリーニングヘッド部213におけるヘッドローラ部213aも、高さ方向において加圧高さ位置に位置されるとともに、基板パネル5の表面沿いの方向において第2の位置P2に近接した位置に位置されている。そして、第4クリーニングヘッド部214におけるヘッドローラ部214aも、高さ方向において加圧高さ位置に位置されるとともに、基板パネル5の表面沿いの方向において第3の位置P3に近接した位置に位置されている。
また、基板パネル5の上面側と下面側において、それぞれのクリーニングヘッド部211〜214は、基板パネル5を対称面として、上下対称に配置されている。すなわち、第1のクリーニングヘッド部211のヘッドローラ部211aと、第3のクリーニングヘッド部213のヘッドローラ部213aとは、基板パネル5の表面沿いの方向において同じ位置、すなわち当接位置P11に位置されており、また、第2のクリーニングヘッド部212のヘッドローラ部212aと、第4のクリーニングヘッド部214のヘッドローラ部214aとは、基板パネル5の表面沿いの方向において同じ位置、すなわち当接位置P12に位置されている。このようにそれぞれのヘッドローラ部211a〜214aが基板パネル5を挟んで対称の位置関係を有していることにより、ヘッドローラ部11a及び13aにより洗浄布2を介在させながら基板パネル5の端子部6を表裏面から挟み込んだ状態とされ、また、ヘッドローラ部212a及び214aにより洗浄布2を介在させながら基板パネル5の端子部6を表裏面から挟み込んだ状態とされている。
次に、図18に示す状態において、ユニット移動装置231によりクリーニングユニット210のクリーニング方向Dに向けての移動を開始する。この移動においては、クリーニングユニット210は、クリーニング方向Dに向けて例えば移動速度V1(第1の移動速度、すなわち基板パネル5に対する移動速度)にてその移動が行われる。すなわち、当該移動により、第1の位置P1と第3の位置P3との間において支持されている洗浄布2は、第1の移動速度V1でもってクリーニング方向Dへ移動されることとなる。これにより、基板パネル5の端子部6の表面及び裏面に当接位置P11及びP12でもって当接されている洗浄布2の当接部分が、第2の加圧力により端子部6との圧接状態が保たれた状態で、クリーニング方向Dに向けて移動され、端子部6の表面及び裏面が洗浄布2により拭き取られてクリーニングされることとなる。なお、当該移動に際して、基板パネル5の上面側及び下面側において、それぞれのローラ部221、222、223、226、227、及び228は、互いに一体的な配置関係が保たれた状態とされる。
このユニット移動装置231によるクリーニングユニット210の移動の開始とともに、クリーニングヘッド移動装置230による共通フレーム224のクリーニング方向Dに向けての移動が開始される。具体的には、図19に示すように、クリーニングユニット210の上面側の構成において、第2の位置P2に近接した位置に位置されていたヘッドローラ部211aを第1の位置P1へ向けて移動されるとともに、第3の位置P3に近接した位置に位置されていたヘッドローラ部212aを第2の位置P2へ向けて移動させるように、上記クリーニングヘッド移動装置230による移動を移動速度V2でもって行う。また、このクリーニングユニット210の上面側の構成における移動と同期させて、下面側の構成においても、第2の位置P2に近接した位置に位置されていたヘッドローラ部213aを第1の位置P1へ向けて移動されるとともに、第3の位置P3に近接した位置に位置されていたヘッドローラ部214aを第2の位置P2へ向けて移動させるように、上記クリーニングヘッド移動装置230による移動を行う。
このようなクリーニングヘッド移動装置230による移動が行われることにより、それぞれのヘッドローラ部211a〜214aによる洗浄布2に対する当接位置P11、P12が可変されることとなる。すなわち、例えば、第1の位置P1と第2の位置P2との間にて支持された状態の洗浄布2を例にとって説明すると、当該洗浄布2の一部が当接位置P11にて端子部6の表面に第2の加圧力により圧接された状態にて、移動速度V1でもってクリーニング方向Dに向けて移動されながら、さらにその移動状態において、その当接位置P11が移動速度V2でもって第1の位置P1へ向けて移動されることとなる。従って、端子部6の表面に圧接される洗浄布2の当接部分を常に新しい清浄な状態の部分とすることができる。
なお、この移動状態をそれぞれのローラ部221〜223及び226〜228の基板パネル5に対する移動速度Vaと、それぞれのヘッドローラ部211a〜214aの基板パネル5に対する移動速度Vb(第2の移動速度)との関係で説明すると、Va=V1にてクリーニング方向Dへのローラ部の移動が行われ、Vb=V1+V2にてクリーニング方向Dへのヘッドローラ部の移動が行われることとなる。
その後、図20に示すように、第1のクリーニングヘッド部211のヘッドローラ部211a及び第3のクリーニングヘッド部213のヘッドローラ部213aが、クリーニング方向Dにおける端子部6の端部へと到達すると、ユニット移動装置231によるクリーニングユニット210の移動が停止される。また、当該状態においては、第1のクリーニングヘッド部211のヘッドローラ部211a及び第3のクリーニングヘッド部213のヘッドローラ部213aが、第1の位置P1に近接する位置にまで移動された状態とされるとともに、第2のクリーニングヘッド部212のヘッドローラ部212a及び第4のクリーニングヘッド部214のヘッドローラ部214aが、第2の位置P2に近接する位置にまで移動された状態とされ、当該状態においてクリーニングヘッド移動装置230による移動も停止される。
その後、それぞれのクリーニングヘッド部211〜214において、ヘッドローラ部211a〜214aが昇降部により加圧高さ位置から加圧解除高さ位置へと移動されて、端子部6の表裏面に対する洗浄布2の接触が解除される。なお、このような洗浄布2の接触の解除は、上記第1実施形態におけるクランプ爪22による圧接把持の解除の手順と同様に、第2の加圧力から第1の加圧力への切り換えを行い、さらに、段部3よりの離間動作が行われた後、当該解除動作が行われる(洗浄解除処理)。このように洗浄布2の接触が解除されると、第1の洗浄布供給部215及び第1の洗浄布回収部216により洗浄布2の送り動作及び回収動作が行われて、第1の位置P1と第3の位置P3との間において端子部6に接触した部分の洗浄布2を新たな洗浄布2に入れ替える。第2の洗浄布供給部217及び第2の洗浄布回収部218においても同様な動作を行い、洗浄布2における使用済みの部分を未使用の部分に入れ替える動作を行う。
その後、クリーニング装置201において、例えば、プレート移動装置9により基板保持プレート8をθ方向に90度回転させるとともに、X、Y、又はZ軸方向に移動させることで、基板パネル5の別の縁部における端子部6とクリーニングユニット210との位置合わせを行う。当該位置合わせの後、上述の同様な手順でもって当該別の端子部6に対してクリーニング処理を行う。
基板パネル5に対する全ての端子部6に対するクリーニング処理が完了すると、基板支持ステージ7による基板パネル5の保持が解除されて、図示しない搬送装置に基板パネル5が受け渡され、基板パネル5が排出される。これで、基板パネル5の端子部6に対する一連のクリーニング処理が完了する。
ここで、クリーニングユニット210によるクリーニング処理において用いられた洗浄布2における当接位置P11及びP12の位置の変化を、図18〜図20に示す状態と対応させて示す模式説明図を図21(A)〜(C)に示す。なお、図21(A)に示す状態は、図18の状態と対応しており、図21(B)に示す状態は、図19の状態と対応しており、図21(C)に示す状態は、図20の状態と対応している。
まず、図21(A)に示すように、クリーニング処理開始の際、すなわち洗浄本処理の開始の際の洗浄布2においては、当接位置P11における端子部6との当接領域R11は、第2の位置P2に近接した位置に配置されており、当接位置P12における端子部6との当接領域R12は、第3の位置P3に近接した位置に配置されている。
その後、それぞれのヘッドローラ部211a〜214aが、それぞれのローラ部221〜223及び226〜228に対して相対的に移動速度V2でもってクリーニング方向Dに移動されることにより、図21(B)に示すように、それぞれの当接領域R11、R12が、クリーニング方向Dに向けて移動された状態とされる。
さらにその後、クリーニング処理完了の際の洗浄布2においては、当接領域R11は第1の位置P1に近接した位置に配置されており、当接領域R12は第2の位置P2に近接した位置に配置されている。
上記第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様に段部3との間に隙間を空けることなく端子部6の表面全体に洗浄布2を圧接させた状態にてクリーニング処理を行うことができ、高精度かつ確実なクリーニング処理を実現することができる。また、このようにクリーニング処理の過程において、それぞれの当接領域R11、R12の移動が行われることにより、当接領域R11の軌跡領域R1が第1の位置P1と第2の位置P2との間に渡って配置され、また、当接領域R12の軌跡領域R2が第2の位置P2と第3の位置P3との間に渡って配置されることとなる。従って、上記第1実施形態のクリーニング方法のように、洗浄ヘッド等の移動によるクリーニング動作を実施している間において、洗浄布2の一部の限られた領域のみを使用するのではなく、端子部6への当接位置P11、P12を可変させながら、常に未使用の部分でもって拭き取りクリーニングを行うことができるとともに、洗浄布2全体を無駄なく効率的に使用することができる。よって、高い清浄性でもってのクリーニングを可能としながら、効率的に洗浄布を使用することができるクリーニング装置201を提供することができるという効果を上記第1実施形態による効果に加えて得ることができる。
また、このようなクリーニング装置201においては、端子部6に対するヘッドローラ部211a〜214aの移動の際に、端子部6に接触される洗浄布2の部分を常に異なる面とすることができるため、一度拭きとった汚れを端子部6に再付着させることを確実に防止することができ、特に近年長大化される液晶パネル等に対する端子部のクリーニング処理に適している。
なお、図21(C)に示すように、クリーニング処理が完了した時点において、当接領域R11の移動軌跡R1が第1の位置P1と第2の位置P2との間に収まり、かつ、当接領域R12の移動軌跡R2が第2の位置P2と第3の位置P3との間に収まるように、それぞれの位置P1〜P3が設定されるとともに、移動速度V1及びV2が設定されるようにすることが好ましい。
また、図18〜図20を用いたクリーニング処理の説明においては、第2のクリーニングヘッド部212のヘッドローラ部212aの当接位置P12が、基板パネル5の端子部6の端部に位置された状態にて、クリーニング処理が開始されるような場合について説明したが、本第2実施形態のクリーニング処理はこのような場合についてのみ限られるものではない。このような場合に代えて、例えば、図18において、第1のクリーニングヘッド部211のヘッドローラ部211aの当接位置P11が基板パネル5の端子部6の端部に位置された状態にて、クリーニング処理が開始されるような場合であってもよい。
また、同様に、図20に示すように、第1のクリーニングヘッド部211のヘッドローラ部211aの当接位置P11が基板パネル5の端子部6の端部に位置された状態にて、クリーニング処理が完了するような場合に代えて、さらにクリーニングユニット210の移動を行い、第2のクリーニングヘッド部212のヘッドローラ部212aの当接位置P12が基板パネル5の端子部6の端部にまで位置させた状態にて、クリーニング処理が完了されるような場合であってもよい。このような場合あっては、クリーニング方向Dにおいて端子部6の全ての領域を、2度拭き取ることができ、クリーニング性を向上させることができる。
また、上述の説明においては、クリーニング処理において、クリーニングヘッド移動装置230によるそれぞれのクリーニングヘッド部211、212の移動方向が、クリーニング方向Dと同じ向きであるような場合について説明したが、このような場合のみに限られず、クリーニング方向Dと逆向きに移動させるような場合であってもよい。ただし、図18から図20に示すように、クリーニング方向Dと同じ向きに移動させる方が、ユニット移動装置231によるクリーニングユニット210の移動範囲を小さくすることができ、クリーニング処理に要する時間を短縮することができるという観点、及び、クリーニング装置201全体の小型化という観点からは好ましい。なお、第1のクリーニングヘッド部211と第2のクリーニングヘッド部212とは、同じ向きに移動されるような場合のみに限られず、異なる向きに移動されるような場合であってもよい。
また、本第2実施形態のクリーニング装置201においては、基板支持ステージ7により保持された基板パネル5を固定して、当該基板パネル5に対してクリーニングユニット210を移動させることで、上記クリーニング処理を行うような場合について説明したが、このような場合についてのみ限られるものではない。このような場合に代えて、クリーニングユニット210を固定して、基板支持ステージ7により基板パネル5を移動させるような場合であっても良い。このような場合であっても、上記クリーニング処理のための両者の相対的な移動を行うことができるからである。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。