JP2007046047A - 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型樹脂組成物 Download PDF

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史和 荒木
Tsutomu Yamashita
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Abstract

【課題】 従来の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物では、近年電気・電子部材用等の基材として使用が増加している、50〜90重量%のスチレンからなるスチレン共重合樹脂の基材との密着性が不十分であった。
【解決手段】 下記式(1)を満たしウレタン結合を有しない分子量300以下のモノマー(A)およびウレタン(メタ)アクリレート(B)を含有し、50〜90重量%のスチレンからなるスチレン共重合樹脂の基材との密着性を有する硬化物を与えることを特徴とする、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
420 ≦ 36×(SPA)+(MA) ≦ 600 (1)
[式中、(SPA)および(MA)は、それぞれ(A)の溶解度パラメータおよび分子量を表す。]
【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、50〜90重量%のスチレンからなるスチレン共重合樹脂の基材との密着性に優れた硬化物を与える活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に関する。
従来、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、放射線により硬化させ、得られる硬化物は優れた弾性を有するため、光学部材(プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー等)、電気・電子部材(フレキシブルプリント配線板用ソルダーレジスト、メッキレジスト 、多層プリント配線板用層間絶縁膜、感光性光導波路等)、シーリング材、接着剤、および紙、プラスチック等のコーティング剤として広く使用されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開平07−330858号公報 特開平11− 12340号公報
最近、これらの目的に用いられる部材用の基材として、スチレン含量の高い(50〜90重量%)樹脂(例えばスチレン共重合樹脂のシート)が用いられるようになってきた。
しかしながら、50〜90重量%のスチレンからなるスチレン共重合樹脂の基材との密着性は、上記従来の樹脂組成物を硬化させた硬化物では不十分という問題がある。本発明の目的は、50〜90重量%のスチレンからなるスチレン共重合樹脂の基材との密着性に優れる硬化物を与える活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、下記式(1)を満たしウレタン結合を有しない分子量300以下のモノマー(A)およびウレタン(メタ)アクリレート(B)を含有し、50〜90重量%のスチレンからなるスチレン共重合樹脂の基材との密着性を有する硬化物を与えることを特徴とする、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物;該組成物を硬化させてなる硬化物;並びに、該組成物を、50〜90重量%のスチレンからなるスチレン共重合樹脂の基材の少なくとも片面の少なくとも一部に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とする被覆物の製造方法である。

420 ≦ 36×(SPA)+(MA) ≦ 600 (1)

[式中、(SPA)および(MA)は、それぞれ(A)の溶解度パラメータおよび分子量を表す。]
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、活性エネルギー線照射で硬化物を与え、該硬化物は50〜90重量%のスチレンからなるスチレン共重合樹脂の基材との密着性に優れる。
本発明におけるモノマー(A)は、下記式(1)を満たし、ウレタン結合を有しない数平均分子量300以下のモノマーである。

420 ≦ 36×(SPA)+(MA) ≦ 600 (1)

[式中、(SPA)および(MA)は、それぞれ(A)の溶解度パラメータおよび分子量
を表す。]
ここで溶解度パラメータ(以下SPと略記)は次式で求められるものである。

SP=(ΔH/V)1/2

但し、式中、ΔHはモル蒸発熱(cal/モル)、Vはモル体積(cm3/モル)を表
す。また、ΔHおよびVは、「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,FEBRUARY,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.
FEDORS.(151〜153頁)」に記載の原子団のモル蒸発熱(△ei)の合計(
ΔH)と、モル体積(△vi)の合計(V)を用いることができる。
式(1)において、下限420未満では取り扱いが困難になり、上限600を超えると50〜90重量%のスチレンからなるスチレン共重合樹脂の基材(以下、スチレン共重合樹脂の基材と略記。)への密着性が悪くなる。また、(A)の分子量が300を超えるとスチレン共重合樹脂の基材との密着性が悪くなる。
モノマー(A)の具体例としては、例えば芳香族不飽和炭化水素[炭素数(以下、Cと略記)8〜18、例えばスチレン、ジビニルベンゼン)およびアクリロイル基含有モノマー{C4〜18、例えば1価モノマー〔脂肪族(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等]、脂環含有(メタ)アクリレート[シクロヘキシル(メタ)アクリレート等]、芳香環含有(メタ)アクリレート[ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート)等]、複素環含有化合物[テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン等]等〕および2価モノマー〔脂肪族ジ(メタ)アクリレート[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等]、脂環含有ジ(メタ)アクリレート[ジメチロールシクロトリデカンジアクリレート等]等〕}が挙げられる。
(A)の含有量は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の重量に基づいて硬化性の観点から好ましい下限は15%、さらに好ましくは20%、とくに好ましくは30%、硬化物の強度の観点から好ましい上限は75%、さらに好ましくは70%、とくに好ましくは65%である。
(A)の屈折率は、好ましくは1.50〜1.58、さらに好ましくは1.51〜1.57である。屈折率がこの範囲の場合、スチレン共重合樹脂の基材との密着性がより優れる傾向にある。
ウレタン(メタ)アクリレート(B)は、(メタ)アクリロイル基を有するモノ−またはポリオール(a1)からなる活性水素原子含有成分(a)とポリイソシアネート成分(b)から形成されるウレタン結合および(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。
(a1)としては、次のものが挙げられる。
(a11)(メタ)アクリル酸のアルキレンオキシド(以下AOと略記)(C2〜4)付加物〔分子量116〜数平均分子量[以下、Mnと略記、測定はゲルパーミエイションク
ロマトグラフィー(GPC)法による。]5,000〕
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、−2−ヒドロキシプロピル、−2−ヒドロキシブチルおよびこれらのAO付加物(分子量160〜Mn5,000)等
(a12)(a11)のε−カプロラクトン付加物(分子量230〜Mn5,000)
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル−ε−カプロラクトン2モル付加物等
(a13)ジオール(Mn300〜5,000)のモノ(メタ)アクリレート
ジオール[Mn300〜5,000で後述の(a16)を構成するポリオール以外のもの、例えばポリカーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール]のモノ(メタ)アクリレート
(a14)エポキシドとヒドロキシ(メタ)アクリル酸の反応生成物
3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ビフェノキシ−2−ヒドロキシプロプル(メタ)アクリレート等
(a15)(メタ)アクリル酸と3官能以上のポリオール(分子量92〜Mn5,000)の反応生成物およびそのAO1〜100モル付加物
グリセリンモノ−およびジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ−およびジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ−、ジ−およびトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンモノ−、ジ−およびトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−およびペンタ(メタ)アクリレートおよびそれらのAO付加物(付加モル数1〜100)等
(a16)(メタ)アクリル酸とブタジエンポリオール、イソプレンポリオール、水添ブタジエンポリオールおよび水添イソプレンポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオール(Mn300〜5,000)との反応生成物
これらのうち後述のポリイソシアネート成分(b)との反応性の観点から好ましいのは(a14)、およびさらに好ましいのは(a11)および(a15)である。
活性水素原子含有成分(a)には、硬化物の靭性の観点からさらに上記(a1)以外のポリオール(a2)[(a2)には、前記(a13)、(a15)および(a16)を構成する(メタ)アクリロイル基を有しないポリオールが含まれる。]を含有させてもよい。
(a2)には、2価アルコール(C2〜20またはそれ以上)、例えばC2〜12の脂肪族2価アルコール〔(ジ)アルキレングリコール[エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−、2,3−、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよび3−メチルペンタンジオール(以下それぞれEG、DEG、PG、DPG、BD、HD、NPGおよびMPDと略記)、ドデカンジオール等]等〕、C6〜10の脂環式骨格を有する2価アルコール[1,3−および1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等]、C8〜20の芳香脂肪族2価アルコール[キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等];
3価〜8価またはそれ以上の多価アルコール、例えば(シクロ)アルカンポリオールおよびそれらの分子内もしくは分子間脱水物[グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールおよびジペンタエリスリトール(以下それぞれGR、TMP、PE、SOおよびDPEと略記)、1,2,6−ヘキサントリオール、エリスリトール、シクロヘキサントリオール、マンニトール、キシリトール、ソルビタン、ジグリセリンその他のポリグリセリン等]、糖類およびその誘導体[ショ糖、グルコース、フラクトース、マンノース、ラクトース、グルコシド(メチルグルコシド等)等];
ポリエーテルポリオール[上記2価アルコール、3価〜8価またはそれ以上の多価アルコールもしくは多価フェノールのAO付加物(分子量150〜Mn20,000)、ポリテトラメチレングリコール(以下、PTMGと略記)(Mn400〜10,000)等]、ポリエステルポリオール{Mn200〜20,000、例えば上記2価アルコールとジカルボン酸〔脂肪族ジカルボン酸[C4〜C30、例えばコハク酸、アジピン酸、マレイン
酸、フマル酸]、芳香(脂肪)族ジカルボン酸[C8〜30、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸(無水物)、キシリレンジカルボン酸]からなるポリエステルポリオール}、Mn200〜10,000の、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレンポリオールおよび水添ポリイソプレンポリオール、並びにこれらのポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレンポリオールおよび水添ポリイソプレンポリオールのAO1〜300モル付加物;等が含まれる。
上記多価フェノールには、C6〜18の2価フェノール、例えば単環2価フェノール(ハイドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ウルシオール等)、ビスフェノール(ビスフェノールA、F、C、B、ADおよびS、ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン等)、および縮合多環2価フェノール[ジヒドロキシナフタレン(例えば1,5−ジヒドロキシナフタレン)、ビナフトール等];並びに3価〜8価またはそれ以上の多価フェノール、例えば単環多価フェノール(ピロガロール、フロログルシノール等)、および1価もしくは2価フェノール(フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール等)のアルデヒドもしくはケトン(ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド、グリオキザール、アセトン等)低縮合物(例えばフェノールもしくはクレゾールノボラック樹脂、レゾールの中間体、フェノールとグリオキザールもしくはグルタールアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノール、およびレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノール)が含まれる。
これらのうち硬化物の靭性の観点から、好ましいのは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、さらに好ましいのはポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールである。
ポリイソシアネート(以下、PIと略記することがある。)成分(b)には、例えば下記のもの、およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
(b1)C(NCO基中のCを除く、以下同じ)6〜20の芳香族ポリイソシアネート
ジイソシアネート(以下、DIと略記)、例えば1,3−および/または1,4−フェ
ニレンDI、2,4−および/または2,6−トリレンDI(TDI)、4,4’−および/または2,4’−ジフェニルメタンDI(MDI)、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンDI、およびm−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート;および3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えば粗製TDI、粗製MDI(ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート)および4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート
(b2)C2〜18の脂肪族ポリイソシアネート
DI、例えばエチレンDI、テトラメチレンDI、ヘキサメチレンDI(HDI)、ヘプタメチレンDI、オクタメチレンDI、ノナメチレンDI、デカメチレンDI、ドデカメチレンDI、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンDI、リジンDI、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、2,6−ジイソシアナトエチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネートおよびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI);および3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えば1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートおよびリジンエステルトリイソシアネート(リジンとアルカノールアミンの反応生成物のホスゲン化物、例えば2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−および/または3−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート)
(b3)C4〜45の脂環式ポリイソシアネート
DI、例えばイソホロンDI(IPDI)、2,4−および/または2,6−メチルシクロヘキサンDI(水添TDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−DI(水添MDI)、シクロヘキシレンDI、メチルシクロヘキシレンDI、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレートおよび2,5−および/または2,6−ノルボルナンDI、ダイマー酸DI(DDI);および3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えばビシクロヘプタントリイソシアネート
(b4)C8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート
m−および/またはp−キシリレンDI(XDI)、ジエチルベンゼンDIおよびα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンDI(TMXDI)
(b5)上記(b1)〜(b4)の変性体
カルボジイミド、ウレタン、ウレア、イソシアヌレート、ウレトイミン、アロファネート、ビウレット、オキサゾリドンおよび/またはウレトジオン基を有する変性体〔例えばMDI、TDI、HDI、IPDI等のウレタン変性体[ポリオール(前記(a2)等と過剰のPIとを反応させて得られるNCO末端ウレタンプレポリマー]、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、トリヒドロカルビルホスフェート変性体、およびこれらの混合物。
これらのうち耐光性の観点から好ましいのは(b2)、(b3)、並びに(b5)のうち脂肪族PI(b2)のイソシアヌレート変性体である。
ウレタン化反応によるウレタン(メタ)アクリレート(B)の製造において、(b)のNCO基と(a)の水酸基の当量比は、特に限定されないが、貯蔵安定性の観点から好ましくは1:10〜10:1、さらに好ましくは1:5〜2:1、とくに好ましくは1:4〜1:1である。
(B)の製造においては、ウレタン化触媒を用いてもよい。ウレタン化触媒には、金属化合物(有機ビスマス化合物、有機スズ化合物、有機チタン化合物等)、3級アミンおよび4級アンモニウム塩が含まれる。
金属化合物のうち、有機ビスマス化合物には、有機ビスマスカルボキシレート、有機ビスマスアルコキシドおよびジカルボニル基を有する化合物とビスマスとのキレート化合物が含まれる。
有機ビスマスカルボキシレートは、一般式Bi(OCOR)3 で表され、Rとしては1価の、脂肪族[C1〜20、例えばアルキル(メチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−、sec−およびt−ブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシルおよびドデシル)炭化水素基およびアルケニル(1−、2−およびi−プロペニル、1−、2−および3−ブテニル)基]、芳香(脂肪)族(C6〜20、例えばフェニル、トルイル、キシレニル、ベンジル、フェネチルおよびヘキシルフェニル)炭化水素基および脂環式(C3〜10、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロオクチル)炭化水素基等が挙げられる。これらのRのうち耐加水分解性の観点から好ましいのはC2〜12の脂肪族、およびC5〜10の脂環式炭化水素基である。
有機ビスマスカルボキシレートの具体例としては、ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)、ビスマストリ(デカノエート)等が挙げられる。
有機ビスマスアルコキシドは、一般式Bi(OR)3 で表され、Rは上記と同じで、耐加水分解性の観点から好ましいRも上記と同じである。
有機ビスマスアルコキシドの具体例としては、トリ−2−エチルへキシロキシビスマス等が挙げられる。
ジカルボニル基を有する化合物とビスマスとのキレート化合物を構成するジカルボニル基を有する化合物には、C4〜15、例えばアセチルアセトン、アセチル酢酸、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートが含まれ、該キレート化合物にはこれらとBiのキレート化合物が含まれる。該キレート化合物の具体例としては、ビス(アセチルアセトン)ビスマス等が挙げられる。
有機スズ化合物には、2価のスズ化合物(スタナスオクトエート等)および4価のスズ化合物(トリメチルチンラウレート、トリメチルチンヒドロキサイド、ジメチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンマレエート等)が含まれる。
有機チタン化合物には、テトラアルキル(C2〜12)チタネート、アルキレンジカルボン酸(C2〜12)チタンが含まれる。
3級アミンには、トリエチレンジアミン、テトラアルキル(C1〜3)アルキレン(C2〜6)ジアミン(テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキシレンジアミン等)およびジアザビシクロアルケン化合物{例えば1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7〔DBU[登録商標、サンアプロ(株)製]〕}が含まれる。
4級アンモニウム塩には、テトラアルキル(C1〜4)アンモニウムブロマイド、テトラアルキル(C1〜4)アンモニウムパークロレートが挙げられる。
ウレタン化触媒の使用量は、(a)と(b)の合計重量に基づいて通常1%以下、反応性および透明性の観点から好ましくは0.001〜0.5%、さらに好ましくは0.05〜0.2%である。
(a)と(b)のウレタン化反応の条件は、特に限定されず、例えば、(a)と(b)を混合し、通常40〜100℃、反応性および該混合物の安定性の観点から好ましくは60〜95℃で、2〜20時間反応させて(B)を製造することができる。また、必要により溶剤(酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン等)で希釈して反応させてもよい。
溶剤の使用量は、(a)と(b)の合計重量に基づいて通常5,000%以下、下限は混合物の取り扱い性の観点から、上限は反応速度の観点から、好ましくは10〜1,000%である。
ウレタン化反応は、常圧、減圧または加圧のいずれでも行うことができる。ウレタン化反応の進行状況は、例えば反応系のNCO%および水酸基価を測定することにより判断することができる。
(B)のMnは、取り扱いやすさと硬化性の観点から好ましくは1,000〜30,0000、さらに好ましくは1,500〜25,000、とくに好ましくは2,000〜20,000である。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中の(B)の含有量(重量%)は、硬化物の強度の観点から好ましい下限は25%、さらに好ましくは30%、とくに好ましくは35%、硬化性の観点から好ましい上限は85%、さらに好ましくは80%、とくに好ましくは70%である。
本発明における(A)と(B)の重量比は、硬化物の強度および硬化性の観点から好ましくは15/85〜75/25、さらに好ましくは20/80〜70/30、とくに好ましくは30/70〜65/35である。
本発明の組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりさらに、ウレタン結合を有しない分子量400〜Mn4,000のその他のモノマー(C)を含有させてもよい。(C)には下記のものおよびこれらの混合物が含まれる。
(C1)[アルキル(C1〜20)]フェノール(C6〜30)のAO1〜30モル付加物の(メタ)アクリレートで分子量400〜Mn2,000のもの
フェノールのプロピレンオキシド(以下、POと略記)8モル付加物の(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのエチレンオキシド(以下、EOと略記)8モル付加物の(メタ)アクリレート等
(C2)ビスフェノール(C13〜Mn1,000)のAO2〜30モル付加物のジ(メタ)アクリレートで分子量400〜Mn2,000のもの
ビスフェノールAのEO2モルまたはビスフェノールA、−Fおよび−SのPO4モル付加物の各ジ(メタ)アクリレート等
(C3)ポリエステル(メタ)アクリレート(分子量400〜Mn4,000)
多価(2〜4価)カルボン酸、多価(2価〜8価またはそれ以上)アルコールおよび(メタ)アクリロイル基含有化合物のエステル化反応により得られる複数のエステル結合と複数の(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル(メタ)アクリレート等
上記多価(2〜4価)カルボン酸としては、芳香(脂肪)族多価カルボン酸[C8〜30、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸(無水物)およびトリメリット酸(無水物)、キシリレンジカルボン酸]が挙げられる。
上記多価(2価〜8価またはそれ以上)アルコールとしては、前記(a2)として例示したものが挙げられる。
上記(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、C3〜30、例えば(メタ)アクリル酸およびヒドロキシアルキル(C2〜4)(メタ)アクリレート[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等]が挙げられる。
上記(C1)〜(C3)のうち、スチレン共重合樹脂の基材との密着性および硬化物の屈折率の観点から好ましいのは、(C1)および/または(C2)である。
(C)の使用量は、硬化物の最適な弾性の観点から(A)の重量に基づいて好ましくは2,000%以下、さらに好ましくは10〜1,000%、とくに好ましくは20〜300%である。
さらに本発明の組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりさらに塗料、インキに使用される種々の添加剤(D)を含有させてもよい。(D)には、無機微粒子(D1)、有機顔料(D2)、分散剤(D3)、消泡剤(D4)、レベリング剤(D5)、シランカップリング剤(D6)、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)(D7)、スリップ剤(D8)、酸化防止剤(D9)および紫外線吸収剤(D10)が含まれる。
(D)の合計の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常60%以下、好ましくは0.005〜50%である。
(D1)としては、アルミナ[酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナホワイト(アルミナ水和物)、シリカアルミナ(アルミナとシリカの融着物、アルミナの表面にシリカをコーティングしたもの等)]、ジルコニア、炭化タングステン、炭化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ダイヤモンド、カーボンブラック(チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等)、シリカ(微粉ケイ酸、含水ケイ酸、ケイ藻、コロイダルシリカ等)、ケイ酸塩(微粉ケイ酸マグネシウム、タルク、ソープストーン、ステアライト、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ソーダ等)、炭酸塩[沈降性(活性、乾式、重質または軽質)炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等]、クレー(カオリン質クレー、セリサイト質クレー、バイロフ
ィライト質クレー、モンモリロナイト質クレー、ベントナイト、酸性白土等)、硫酸塩[硫酸アルミニウム(硫酸バンド、サチンホワイト等)、硫酸バリウム(バライト粉、沈降性硫酸バリウム、リトポン等)、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム(石コウ)(無水石コウ、半水石コウ等)等]、鉛白、雲母粉、亜鉛華、酸化チタン、活性フッ化カルシウム、セメント、石灰、亜硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、アスベスト、ガラスファイバー、ロックファイバーおよびマイクロバルーン等が挙げられる。
これらのうち硬化物の耐擦傷性および組成物、硬化物の着色抑制の観点から好ましいのはアルミナ、シリカ、ケイ酸塩、炭酸塩、硫酸塩および酸化チタン、さらに好ましいのはシリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウムおよび酸化チタンである。
(D1)は、2種以上併用してもよく、また2種以上が複合化(例えばシリカに酸化チタンが融着)されたものでもよい。(D1)の形状は、特に限定されず、例えば不定形状、球状、中空状、多孔質状、花弁状、凝集状および粒状のいずれでもよい。(D1)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常50%以下、硬化物の可撓性の観点から好ましくは30%以下、さらに好ましくは3〜25%である。
(D2)としては、下記のものが挙げられる。
(1)アゾ系顔料
不溶性モノアゾ顔料(トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ファストエローG等)、不溶性ジスアゾ顔料(ジスアゾイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP等)、アゾレーキ(溶性アゾ顔料)(レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B等)、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等
(2)多環式顔料
フタロシアニンブルー、インダントロンブルー、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等
(3)染つけレーキ
塩基性染料(ビクトリアピュアブルーBOレーキ等)、酸性染料(アルカリブルートーナー等)等
(4)その他
アジン系顔料(アニリンブラック等)、昼光けい光顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料等
(D2)の使用量は、組成物の全重量に基づいて、通常50%以下、硬化物の可撓性の観点から好ましくは40%以下、さらに好ましく30%以下である。
(D3)としては、有機分散剤[高分子分散剤(Mn2,000〜500,000)および低分子分散剤(分子量100〜Mn2,000未満)]および無機分散剤が挙げられる。
高分子分散剤としては、ナフタレンスルホン酸塩[アルカリ金属(NaおよびK等)塩、アンモニウム塩等]のホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩(上記に同じ)、ポリアクリル酸塩(上記に同じ)、ポリ(2〜4)カルボン酸(マレイン酸/グリセリン/モノアリルエーテル共重合体等)塩(上記に同じ)、カルボキシメチルセルロース(Mn1,000〜10,000)およびポリビニルアルコール(Mn1,000〜100,000)等が挙げられる。
低分子分散剤としては、下記のものが挙げられる。
(1)ポリオキシアルキレン型
脂肪族アルコール(C4〜30)、[アルキル(C1〜30)]フェノール、脂肪族(C4〜30)アミンおよび脂肪族(C4〜30)アミドのAO(C2〜4)1〜30モル付加物
脂肪族アルコールとしては、n−、i−、sec−およびt−ブタノール、オクタノール、ドデカノール等;(アルキル)フェノールとしては、フェノール、メチルフェノールおよびノニルフェノール等;脂肪族アミンとしては、ラウリルアミンおよびメチルステアリルアミン等;および脂肪族アミドとしては、ステアリン酸アミド等が挙げられる。
(2)多価アルコール型
C4〜30の脂肪酸(ラウリン酸、ステアリン酸等)と多価(2〜6またはそれ以上)アルコール(例えばGR、PE、SOおよびソルビタン)のモノエステル化合物
(3)カルボン酸塩型
C4〜30の脂肪酸(前記に同じ)のアルカリ金属(上記に同じ)塩
(4)硫酸エステル型
C4〜30の脂肪族アルコール(前記に同じ)および脂肪族アルコールのAO(C2〜4)1〜30モル付加物の硫酸エステルアルカリ金属(前記に同じ)塩等
(5)スルホン酸塩型
[アルキル(C1〜30)]フェノール(前記に同じ)のスルホン酸アルカリ金属(前記に同じ)塩
(6)リン酸エステル型
C4〜30の脂肪族アルコール(前記に同じ)および脂肪族アルコールのAO(C2〜4)1〜30モル付加物のモノまたはジリン酸エステルの塩[アルカリ金属(前記に同じ)塩、4級アンモニウム塩等]
(7)1〜3級アミン塩型
C4〜30の脂肪族アミン[1級(ラウリルアミン等)、2級(ジブチルアミン等)および3級アミン(ジメチルステアリルアミン等)]塩酸塩、トリエタノールアミンとC4〜30の脂肪酸(前記に同じ)のモノエステルの無機酸(塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸等)塩
(8)4級アンモニウム塩型
C4〜30の4級アンモニウム(ブチルトリメチルアンモニウム、ジエチルラウリルメチルアンモニウム、ジメチルジステアリルアンモニウム等)の無機酸(上記に同じ)塩等が挙げられる。
無機分散剤としては、ポリリン酸のアルカリ金属(前記に同じ)塩およびリン酸系分散剤(リン酸、モノアルキルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステル等)等が挙げられる。
(D3)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常10%以下、好ましくは0.05〜5%である。
(D4)としては、低級アルコール(C1〜6)(メタノール、ブタノール等)、高級アルコール(C8〜18)(オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール等)、高級脂肪酸(C10〜20)(オレイン酸、ステアリン酸等)、高級脂肪酸エステル(C11〜30)(グリセリンモノラウリレート)、リン酸エステル(トリブチルホスフェート、テトラデカノールEO2モル付加物リン酸エステル等)、金属石けん(ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)、ポリエーテル[ポリエチレングリコール(以下、PEGと略記)(Mn200〜10,000)、ポリプロピレングリコール(以下、PPGと略記)(Mn200〜10,000)等]、シリコーン(ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル等)および鉱物油系(シリカ粉末を鉱物油に分散させたもの)等が挙げられる。
(D4)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3%以下、好ましくは0.01〜2%である。
(D5)としては、PEG型非イオン界面活性剤(ノニルフェノールEO1〜40モル
付加物、ステアリン酸EO1〜40モル付加物等)、多価アルコール型非イオン界面活性剤(ソルビタンパルミチン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸トリエステル等)、フッ素系界面活性剤(パーフルオロアルキルEO1〜50モル付加物、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベタイン等)、変性シリコーンオイル[ポリエーテル変性シリコーンオイル、(メタ)アクリレート変性シリコーンオイル等]等が挙げられる。
(D5)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3%以下、好ましくは0.1〜2%である。
(D6)としては、アミノ基含有シランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−フェニルアミノフロピルトリメトキシシラン等)、ウレイド基含有シランカップリング剤(ウレイドプロピルトリエトキシシラン等)、ビニル基含有シランカップリング剤[ビニルエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等]、メタクリレート基含有シランカップリング剤(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等)、エポキシ基含有シランカップリング剤(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等)、イソシアネート基含有シランカップリング剤(γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等)、ポリマー型シランカップリング剤(ポリエトキシジメチルシロキサン、ポリエトキシジメチルシロキサン等)、カチオン型シランカップリング剤[N−(N−ベンジル−β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等]等が挙げられる。
(D6)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常10%以下、好ましくは0.5〜7%である。
(D7)としては、無機チクソトロピー性付与剤[ベントナイト、有機処理ベントナイト(表面ワックスコーティング処理ベントナイト等)および極微細表面処理炭酸カルシウム(コロイダル炭酸カルシウム等)等]および有機チクソトロピー性付与剤(水添ヒマシ油ワックス、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸アルミニウム、重合アマニ油等)が挙げられる。
(D7)の使用量は本発明の組成物の全重量に基づいて、通常20%以下、好ましくは0.5〜10%である。
(D8)としては、高級脂肪酸エステル(ステアリン酸ブチル等)、高級脂肪酸アミド(エチレンビスステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等)、金属石けん(ステアリン酸カルシウム、オレイン酸アルミニウム等)、ワックス[パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス等)等]およびシリコーン(例えばジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイルおよびフルオロシリコーンオイル)等が挙げられる。
(D8)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常5%以下、好ましくは0.01〜2%である。
(D9)としては、ヒンダードフェノール化合物〔トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル〕およびアミン化合物(n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミノメチルメタクリレート等)が挙げられる。
(D9)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3%以下、好ましくは0.005〜2%である。
(D10)としては、ベンゾトリアゾール化合物[2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等]、トリアジン化合物〔2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール〕、ベンゾフェノン(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等)、シュウ酸アニリド化合物(2−エトキシ−2’−エチルオキサリック酸ビスアニリド等)が挙げられる。
(D10)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3%以下、好ましくは0.005〜2%である。
上記(D1)〜(D10)の間で添加剤が同一で重複する場合は、それぞれの添加剤が該当する添加効果を奏する量を他の添加剤としての効果に関わりなく使用するのではなく、他の添加剤としての効果も同時に得られることをも考慮し、使用目的に応じて使用量を調整するものとする。
本発明の組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により、さらに熱硬化触媒(E)および/または光重合開始剤(F)を含有させることができる。(E)および/または(F)を加えたものは、電子線以外に熱および/または紫外線でも硬化させることができ、耐薬品性および耐擦傷性に優れた硬化物を得ることができる。熱により硬化させる場合は、通常50〜200℃、好ましくは80〜180℃のオーブンで1分〜20時間加熱処理することが望ましい。紫外線により硬化する場合の紫外線の照射量は、通常10〜10,000mJ/cm2である。
(E)としては、過酸化物(t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド等)およびアゾ化合物(アゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビスイソバレロニトリル等)等が挙げられる。これらのうち組成物の安定性、反応性の観点から好ましいのはt−ブチルパーオキシベンゾエートおよびメチルエチルケトンパーオキシドである。
(F)としては、ヒドロキシベンゾイル化合物(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインアルキルエーテル等)、ベンゾイルホルメート化合物(メチルベンゾイルホルメート等)、チオキサントン化合物(イソプロピルチオキサントン等)、ベンゾフェノン(ベンゾフェノン等)、リン酸エステル化合物(1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等)、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。これらのうち硬化物の着色防止の観点から好ましいのは2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよび1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドである。
(E)および(F)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、それぞれ通常20%以下、好ましくは0.1〜10%である。
本発明の組成物は、モノマー(A)とウレタン(メタ)アクリレート(B)、および必要により(C)〜(F)を加えて混合することにより製造することができる。(A)と(B)の配合順序については、(A)が活性水素原子を有する場合は、(B)の製造におけるウレタン化反応終了後に加えるのが好ましく、(A)が活性水素原子を有しない場合は、(B)の製造におけるウレタン化反応時および/または反応終了後のいずれの段階で加えてもよい。必要により加える(C)〜(F)については、添加のタイミングは特に限定
されないが、(A)と(B)の配合後に加えるのが好ましい。
本発明の組成物を混合する方法としては、撹拌翼の付いたステンレス製反応槽等を用いて、通常20〜80℃、好ましくは30〜60℃で混合する方法が挙げられ、混合時間は通常10分〜12時間、好ましくは1〜3時間である。
本発明の組成物は、塗工の際に、塗工に適した粘度に調整するために、必要に応じて溶剤で希釈した塗料とすることができる。溶剤の使用量は、該組成物の重量に基づいて通常2,000%以下、好ましくは10〜500%である。また、塗料の粘度は、使用時の温度(通常5〜60℃)で、通常5〜500,000mPa・s、安定塗工の観点から好ましくは50〜10,000mPa・sである。
該溶剤としては、本発明の組成物中の樹脂分を溶解するものであれば特に限定されない。具体的には、芳香族炭化水素(C7〜10、例えばトルエン、キシレンおよびエチルベンゼン)、エステルまたはエーテルエステル(C4〜10、例えば酢酸エチル、酢酸ブチルおよびメトキシブチルアセテート)、エーテル(C4〜10、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、EGのモノエチルエーテル、EGのモノブチルエーテル、PGのモノメチルエーテルおよびDEGのモノエチルエーテル)、ケトン(C3〜10、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトンおよびシクロヘキサノン)、アルコール(C1〜10、例えばメタノール、エタノール、n−およびi−プロパノール、n−、i−、sec−およびt−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコールおよびベンジルアルコール)、アミド(C3〜6、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、スルホキシド(C2〜4、例えばジメチルスルホキシド)、水、およびこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
これらの溶剤のうち好ましいのは沸点が70〜100℃のエステル、ケトンおよびアルコール、さらに好ましいのは酢酸エチル、メチルエチルケトン、i−プロパノールおよびこれらの混合物である。
本発明の組成物は、必要により溶剤で希釈して、スチレン共重合樹脂の基材の少なくとも片面の少なくとも一部に塗布し、必要により乾燥させた後、後述する活性エネルギー線を照射して硬化させることにより基材の表面および/または裏面の少なくとも一部に硬化物を有する被覆物を得ることができる。
該塗工に際しては、通常用いられる装置、例えば塗工機[バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター(サイズプレスロールコーター、ゲートロールコーター等)、エアナイフコーター、スピンコーター、ブレードコーター等]が使用できる。塗工膜厚は、硬化乾燥後の膜厚として、通常0.5〜300μm、乾燥性、硬化性の観点から好ましい上限は250μm、耐擦傷性、耐溶剤性、耐汚染性の観点から好ましい下限は1μmである。
本発明の組成物を溶剤で希釈して使用する場合は、塗工後に乾燥するのが好ましい。乾燥方法としては、例えば熱風乾燥(ドライヤー等)が挙げられる。乾燥温度は、通常10〜200℃、塗膜の平滑性および外観の観点から好ましい上限は150℃、乾燥速度の観点から好ましい下限は30℃である。
本発明における活性エネルギー線には、紫外線、電子線、X線、赤外線および可視光線が含まれる。これらの活性エネルギー線のうち硬化性と樹脂劣化の観点から好ましいのは紫外線と電子線である。
本発明の組成物を紫外線照射で硬化させるに際しては、種々の紫外線照射装置〔アイグランデージ[商品名、アイグラフィック(株)製]、メタルハライドランプ等〕を使用することができる。紫外線の照射量は、通常10〜10,000mJ/cm2、組成物の硬
化性の観点から好ましい下限は、100mJ/cm2、硬化物の可撓性の観点から好まし
い上限は5,000J/cm2である。
本発明の組成物を電子線照射で硬化させるに際しては、種々の電子線照射装置[例えばエレクトロンビーム、岩崎電気(株)製]を使用することができる。電子線の照射量は、通常0.5〜20Mrad、組成物の硬化性の観点から好ましい下限は1Mrad、硬化物の可撓性、並びに硬化物(コーティング膜)または基材の損傷を避けるとの観点から、好ましい上限は15Mradである。
本発明の組成物は、通常、活性エネルギー線(紫外線、電子線、X線等)により硬化させるが、必要により熱硬化触媒を含有させた場合は熱で硬化させることができる。
本発明の組成物は、スチレン共重合樹脂の基材に適用され、例えば該基材のコーティング剤、接着剤、シーリング材として使用することができる。該基材のスチレン含量が50重量%未満では寸法安定性が悪くなり、90重量%を超えると耐光性が悪くなることから、該スチレン共重合樹脂の基材は、光学部材(プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー等)や電気・電子部材(フレキシブルプリント配線板用ソルダーレジスト、メッキ
レジスト 、多層プリント配線板用層間絶縁膜、感光性光導波路等)等を構成する基材と
して近年使用が増加している。
このようなスチレン共重合樹脂としては、Mn3,000〜200,000、例えばスチレン−アルキル(C1〜20)(メタ)アクリレート共重合体、スチレン−オレフィン(C2〜20)共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体およびスチレン−マレイン酸エステル共重合体等が挙げられる。
また、本発明の組成物はその他の基材のコーティング剤、接着剤、シーリング材などとしても使用することができる。その他の基材としては、例えば紙(薄葉紙、紙間強化紙、チタン紙、ラテックス含浸紙および石膏ボード用原紙等)、プラスチック{プラスチックフィルム(塩化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレンおよびポリメチルメタクリレート等のフィルム)、プラスチック板〔ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートおよびメチルメタクリレート/スチレン共重合物[共重合比(重量比)55/45〜95/5]の板等〕等}、ガラス板、銅板、鉄板等が挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。以下において「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を表す。
製造例1
撹拌機、冷却管および温度計を備えた反応容器にPTMG[商品名:PTMG−1000、三菱化学(株)製、Mn1,000]100部、IPDI 33.3部およびウレタン化触媒としてビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)(2−エチルヘキサン酸50%溶液)(以下同じ。)0.05部を仕込み、80℃で4時間反応させ、その後2−ヒドロキシエチルアクリレート11.6部を加え(NCO/OH当量比=1:1)、100℃で6時間反応させてウレタンアクリレート(B−1)を得た。(B−1)のMnは3,500であった。
製造例2
撹拌機、冷却管および温度計を備えた反応容器にビスフェノールAのEO2モル付加物[商品名:BP−2P、三洋化成工業(株)製、]100部、XDI 63.8部を加え80℃で4時間反応させ、その後2−ヒドロキシエチルアクリレート 11.6部を加え、ウレタン化触媒0.05部を仕込み(NCO/OH当量比=1:1.08)、80℃で6時間反応させてウレタンアクリレート(B−2)を得た。(B−2)のMnは4,000であった。
実施例1〜7、比較例1〜2
表1に示す重量比に従って配合し、樹脂組成物(実施例1〜7、比較例1〜2)を得た。
該配合成分は下記のとおりである。
モノマー(A−1):ベンジルアクリレート[SPA=11.2、MA=162、36
×(SPA)+(MA)=565.2、屈折率=1.56]
モノマー(A−2):エチレングリコールジメタアクリレート[SPA=10.8、MA
=198、36×(SPA)+(MA)=567、屈折率=1.5
0]
モノマー(A−3):フェノキシエチルアクリレート[SPA=10.9、MA=192
、36×(SPA)+(MA)=584.4、屈折率=1.55]
モノマー(A−4):スチレン[SPA=9.0、MA=104、36×(SPA)+(
A)=428、屈折率=1.57]
モノマー(A’−1):ビスフェノールAのEO4モル付加物のジアクリレート[SPA
=10.9、MA=512、36×(SPA)+(MA)=904.
4、屈折率=1.56]
モノマー(A’−2):イソボルニルアクリレート[SPA=11.1、MA=208、
36×(SPA)+(MA)=607.6、屈折率=1.49]
光重合開始剤(F−1):イルガ184[商品名、チバ・スペシャリティケミカルズ(株
)製]
消泡剤(D4−1) :テトラデカノールEO2モル付加物リン酸エステル
上記モノマーの屈折率はアッベ屈折率計[(株)アタゴ製]を用いて25℃にて測定した。得られた組成物の25℃での粘度は、BL型粘度計[東京計器(株)製]にて測定した。さらに、該組成物を用いて下記方法で硬化物サンプルを作成し、基材との密着性を測定した。結果を表1に示す。
(サンプルの作成)
該組成物をメチルメタアクリレート−スチレン共重合板[共重合比(重量比)メチルメタアクリレート:スチレン=30:70]上に、硬化後の厚みが100μmになるように塗工した後、塗工側にガラス板を張り合わせ、ニップローラーで挟んで空気を押し出した。紫外線をガラス板側から1,000mJ/cm2照射して硬化後、ガラス板を取り外して硬化物を得た。なお、実施例7のサンプル作成の際には、ガラス板に離型剤[商品名「ダイフリー」、ダイキン工業(株)製]をスプレー塗布した後に、上記張り合わせを行った。
(試験法)
得られた硬化物の性能を次の方法で評価した。
(i)硬化物密着性
硬化物の表面にナイフで1mm幅に碁盤目(10×10個)を入れ、その上にセロハンテープを貼り付け90度剥離試験を行う。このときの共重合板からの硬化物の密着性を下記の基準で評価する。

(評価基準) ○ すべての碁盤目が剥離しない
× 1個以上の碁盤目が剥離する
本発明の組成物を硬化させてなる硬化物は、50〜90重量%のスチレンからなるスチレン共重合樹脂の基材との密着性に優れることからこれらの基材用のコーティング剤、接着剤またはシーリング材として好適に用いられ、また、該基材以外のプラスチック、紙等の基材用のコーティング剤、接着剤またはシーリング材としても幅広く用いられる。

Claims (6)

  1. 下記式(1)を満たしウレタン結合を有しない分子量300以下のモノマー(A)およびウレタン(メタ)アクリレート(B)を含有し、50〜90重量%のスチレンからなるスチレン共重合樹脂の基材との密着性を有する硬化物を与えることを特徴とする、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。

    420 ≦ 36×(SPA)+(MA) ≦ 600 (1)

    [式中、(SPA)および(MA)は、それぞれ(A)の溶解度パラメータおよび分子量
    を表す。]
  2. (A)が、1.50〜1.58の屈折率を有する請求項1記載の組成物。
  3. (A)と(B)の重量比が、15/85〜75/25である請求項1または2記載の組成物。
  4. さらに、熱硬化触媒および/または光重合開始剤を含有させてなる請求項1〜3のいずれか記載の組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の組成物を硬化させてなる硬化物。
  6. 請求項1〜4のいずれか記載の組成物を、50〜90重量%のスチレンからなるスチレン共重合樹脂の基材の少なくとも片面の少なくとも一部に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とする被覆物の製造方法。
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