JP2007041513A - 光走査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】プロセスユニット等の形状、配置の自由度を高め、光走査装置及びこれを組み込んだ露光装置、画像形成装置の小型化を可能とする。
【解決手段】偏向前光学系からの光線を主走査方向に走査する回転多面鏡と、当該回転多面鏡5で走査される光線を像面に結像させる2枚のミラー23,25とを備えた光走査装置である。上記回転多面鏡5側の第1のミラー23が主走査方向に負のパワーを持ち、像面側の第2のミラー25が主走査方向に正のパワーを持つように構成した。これにより、回転多面鏡5の反射面5Aと像面との間の光路長の増大を抑えつつ、最終の結像素子と像面との間の距離を確保して、プロセスユニット等の形状、配置の自由度を高め、装置の小型化を可能とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、回転多面鏡で走査された光線を像面に結像させる2枚のミラーを備えた光走査装置に関するものである。
露光装置の偏向後光学系にレンズを使った走査光学系では、色消しという、波長の変動に対してビーム位置や結像位置をずれにくくする設計的制約があった。これは、波長の違いにより、レンズ材料の屈折率が異なってくるためである。これに対して、ミラーは波長依存性が少ないという利点を有することから、走査光学系にミラーを使用する発明がなされている。この例としては、特許文献1に記載されたレーザ走査装置がある。
このレーザ走査装置では、図1及び図2のように、偏向後光学系において2枚のミラーを用いているが、この2枚のミラーの主走査方向パワーは、正、正となっている。
このため、2枚のミラーによる主点は、第1のミラーと第2のミラーの間に位置し、最終の結像素子の面から像面までの距離は、fθミラーのfの値より大きく取ることができない。
また、特許文献2や特許文献3には、1枚のミラーを用いた装置があるが、この場合、主点はミラー面に位置する。このため、最終の面から像面間距離は、fθミラーのf値とほぼ同等の値となる。
また、安価な成形品を使った光学素子を使用したものとして、プラスチックレンズ2枚組みを使ったものがあるが、屈折率、形状への温度、湿度の影響を抑える為には、レンズそのものに大きなパワーを与えられないという制約がある。この為、最終の結像素子と像面との間の距離を稼ごうとすると、有効画角を小さくし、画像周波数を上げる必要があった。成形品にアルミ蒸着を施してミラーとして用いると、屈折率への温度、湿度の影響は除去できる。過去には、第1のミラーを正のパワーを持つ凹形状にしたものがあるが、像側主点が第2のミラーよりも回転多面鏡側となり、最終の結像素子と像面間距離が短くなってしまっていた。
回転多面鏡の面の出入り(回転中心から、反射面までの距離が、それぞれの面により異なる場合のばらつき量)の影響を受けない様にする為に、回転多面鏡へは、主走査方向に対し、ほぼ平行光とされた光線が入射するものと考える(図4参照)。この場合、fθ特性のfの値は、ほぼ、結像系の合成された焦点距離と等しくなる。この為、像面側主点から、合成焦点距離だけ進んだところが像面となる。
特開2001―56445号公報 特開2001−13441号公報 特開2001−13442号公報
最終の結像素子と像面との間の距離を確保する1つの方法としては、fの値を大きくする方法があるが、これを行うと、同じ幅を走査する際のθの値が小さくなる。この場合、下記2点の短所がある。
(1)θの値が小さくなると、1画素に相当する、レーザON/OFFの周波数である画像周波数を上げてしまう。
ビーム位置は、h=fθの関係になるように設計される。1画素の大きさをΔh、1画素を形成するときの振り角をΔθとすると、Δh=fΔθとなる。画像周波数は、ビームの偏向角速度をω、1画素を形成する時間をΔTとした際には、Δh=fωΔTとなる。よって、画像周波数は、1/△T=fω/△hとなる。これは、画像周波数がfに比例することを示しており、fを大きくすると画像周波数が上がってしまう。
(2)θの値が小さくなると、回転多面鏡の反射面と結像素子の最終面までの距離も、fに比例して大きくなるため、全体の光路長が長くなり、ユニットが大型化してしまう。
他の方法としては、主走査方向の像側主点を最終の結像素子よりも像面側に持ってくる方法がある。
近軸光線理論を使い、φ1、φ2のパワーを持った2つの光学素子がd2の距離でおかれた際を考える。
合成されたパワーは
φt=φ1+φ2−d2×φ1×φ2 ………(式1)
物点側主点位置は、1つ目の光学素子から
Δ1=d2(φ2/φt) …………………(式2)
像面側主点位置は、2つ目の光学素子から
Δ2=−d2(φ1/φt) ………………(式3)
となる。なお、△1、△2は、+側が像面側となる。
ここで、主走査方向においては、平行光に近い光線が光学素子に入射して像面で結像するためには、合成パワーφtを正に設定する必要がある。
像面側主点位置を、第2の光学素子よりも、像面側に持ってくるには△2>0とするパワー配分にすればよい。
素子間の距離はプラスであるためd2>0である。前述のように、合成パワーは正であるためφt>0である。以上の条件と(式3)から、φ1<0であれば、△2>0を実現することができる。
さらに、合成パワーを正とする為には、次の条件が必要である。まず、(式1)を書き換えて
φt=φ1+φ2(1−d2×φ1
と表される。d2>0、φ1<0であるから、(1−d2×φ1)>0、φ1<Oであるから、φt>0である為には、少なくともφ2>Oである必要がある。正確にはφ2>−[φ1/(1−d2×φ1)]である必要がある。
よって、2枚構成の光学系で、物点側を負、像面側を正のパワーを持つ光学素子で構成すれば、像側主点を像面側光学素子よりも像面側へ持ってくることができる(図3参照)。
2枚構成のレンズでは、軸上収差の色消しを目的として、偏向器側のパワーをマイナスとし、偏向器側レンズの材質を高屈折率、高分散材質の物としたものは開発されている。この目的は、レンズに特有の問題である色消しにある。一方、ミラーにおいては、波長によるパワーの変化がないため、色消しというレンズに特有の問題はなく、上記レンズのようなパワー配置の検討は、これまで行われていなかった。
上記課題を解決するために本発明は、偏向前光学系からの光線を主走査方向に走査する回転多面鏡と、当該回転多面鏡で走査される光線を像面に結像させる2枚のミラーとを備えた光走査装置であって、上記回転多面鏡側の第1のミラーが主走査方向に負のパワーを持ち、像面側の第2のミラーが主走査方向に正のパワーを持つものである。
これにより、回転多面鏡の反射面と像面との間の光路長の増大を抑えつつ、最終の結像素子と像面との間の距離を確保して、プロセスユニット等の形状、配置の自由度を高め、光走査装置及びこれを組み込んだ露光装置、画像形成装置の小型化を可能とする。
以下、本発明に係る光走査装置を備えた露光装置の最良な実施の形態について説明する。
[第1実施形態]
本実施形態に係る光走査装置を組み込んだ露光装置は、偏向前光学系からの光線を主走査方向に走査する回転多面鏡と、当該回転多面鏡で走査される光線を像面に結像させる2枚のミラー(上記回転多面鏡側の第1のミラーと、像面側の第2のミラー)とを備えたものである。露光装置の具体例は後述の実施例において詳述する。この露光装置において、上記回転多面鏡側の第1のミラーが主走査方向に負のパワーを持ち、像面側の第2のミラーが主走査方向に正のパワーを持つものである。この構成により、ミラーによる走査光学系において、T.T.(上記回転多面鏡の反射面と像面との間の光路長)の増大を抑えつつ、最終の結像素子と像面との間の距離を確保することにより、プロセスユニット等の形状、配置の自由度を高め、露光装置及びこれを組み込んだ画像形成装置の小型化が可能となる。以下、具体的に述べる。
2枚構成のミラーにて、偏向器(回転多面鏡)側の主走査方向のパワーを負、像面側のミラーの主走査方向のパワーを正として、走査光学系に必要とされる特性である、fθ特性、走査線の曲がり、面倒れ補正機能及び結像特性を満足しつつ、主走査方向主点位置を像面側へ持ってくる様にする構成が可能かどうかを検討した。
レンズの場合には、それぞれ1つのレンズにつき、入射面形状、出射面形状、厚さ、屈折率、分散の設計自由度があり、これらの最適化を行うことにより、主走査方向のパワー配分を偏向器側マイナスパワー、像面側プラスパワーとすることが可能であった。また、入射光に対し、出射光は光学素子の反対側から出て行くため、副走査方向に関しては、レンズ軸を光線に対して傾けなくとも問題は発生しなかった。
これに対してミラーにおいては、下記の制約がある。
(1) それぞれ1つのミラーにつき、1面の面形状のコントロールしかできない。1つの光学素子につき、形状をコントロールできる面数が1面減り、厚さ、屈折率、分散もコントロールできない。
(2) ミラーの場合、光学素子に対し、出射光は入射光と同じ側に出射される。この為、
i) 第2のミラーにより、第1のミラーの上流側の光路を遮らない。
ii) 第1のミラーにより、第2のミラーの下流側の光路を遮らない。
という条件を満たす様、ミラー面を副走査方向に傾ける必要がある。
このような制約の上で、ミラー2枚構成にて、主走査方向の物点側を負、像面側を正のパワーを持つ光学素子で構成しても、走査光学系に必要とされる特性が実現可能であることが、検討の結果、明らかになった。即ち、結像素子を2枚のミラーとし、主走査方向に対し,1つ目のミラーが負のパワーを持ち、2つ目のミラーが正のパワーを持つようにすることで、次のような効果がある。
回転多面鏡の面の出入り(回転中心から、反射面までの距離が、それぞれの面により異なる場合のばらつき量)の影響を受けない様にする為に、回転多面鏡へは主走査方向に対し、ほぼ平行光とされた光線が入射するものと考える(図4参照)。この場合、fθ特性のfの値は、ほぼ、結像系の合成された焦点距離と等しくなる。この為、像面側主点から、合成焦点距離だけ進んだところが像面となる。
主走査方向に対し、1つ目のミラーが負のパワーを持ち、2つ目のミラーが正のパワーを持つようにすることにより、主走査方向の像側主点を最終の結像素子よりも像面に持ってくる。図3に示す様に、像側主点位置が第2の光学素子である2つ目のミラーよりも像面側にシフトするため、2つ目のミラーと像面の間の距離を大きく保つことができる。
これにより、回転多面鏡の反射面と像面との間の光路長の増大を抑えつつ、2つ目のミラーと像面との間の距離を確保して、プロセスユニット等の形状、配置の自由度を高め、光走査装置及びこれを組み込んだ露光装置、画像形成装置の小型化を図ることができる。
[第2実施形態]
本実施形態に係る光走査装置を組み込んだ露光装置は、上述した第1実施形態に加えて、各ミラーの副走査方向の要件を限定したものである。
本実施形態に係る露光装置では、上述した第1実施形態の各ミラーにおいて、上記第1のミラーが副走査方向に負のパワーを持ち、上記第2のミラーが副走査方向に正のパワーを持つように構成して、像側主点が、主走査方向及び副走査方向ともに、第2のミラーよりも像面側に位置するようにした。
設計的又は製造公差の両方の場合を含め、回転多面鏡に斜めにビームを入射させた場合、回転多面鏡の面の出入りの影響が、副走査方向の走査線のずれとなって現れる。副走査方向に関しては、回転多面鏡の面倒れの影響を補正する為、回転多面鏡の反射点と、像面は共役な関係に設定される。面の出入りの影響は、まず、面の出入りにより反射点がずれることである。また、斜めに光線が入射すると、反射点のずれにより、回転多面鏡上での副走査方向位置のずれが発生し、これが、結像光学系により、副走査方向の倍率分だけ拡大(縮小)されて、像面に投影されると考えることができる。この為、副走査方向倍率の絶対値は小さくしたいが、この為には、像側主点の位置を像面に近くする必要がある。
一方で、主走査方向と同じ考え方で、光学素子は、像面から離れた箇所に配置したい。
このことから、副走査方向においても、第1のミラーが負のパワーを持ち、第2のミラーが正のパワーを持つという関係をたもつことにより、主、副走査方向で、望ましい特性を得つつ、第2のミラーと像面との間の距離を保つことができる。
[第3実施形態]
本実施形態に係る露光装置は、上述した第2実施形態における各ミラーの副走査方向の要件をさらに限定したものである。
本実施形態に係る露光装置では、上述した第2実施形態の各ミラーにおいて、第1ミラーの副走査方向パワーの絶対値を、第2のミラーの副走査方パワーの絶対値よりも大きくなるように設定している。
このように、第1ミラーの副走査方向パワーの絶対値を、第2のミラーの副走査方パワーの絶対値よりも大きくすることで、像面側主点位置をさらに像面に近づけることができる。
具体的構成は次のようになる。後述する(式3’)より、像面側主点位置を、第2のレンズ面よりも、像面に近づける為には、φ’が負で、その絶対値が大きいほどよい。一方で、面倒れ補正機能を持たせる為には、回転多面鏡の反射面と像面を共役な関係にする必要があり、このためには合成パワーφ’tが正である必要がある。通常は、(式1’)の右辺のφ’+φ’を正としているが、ここでは、φ’+φ’は負とし、−d2×φ’1×φ’を正としてd2を大きくとって|φ’+φ’|<|−d2×φ’×φ’|とすることで、合成パワーを正とする構成でも、走査光学系として性能を十分満足できることを確認できた。
[第4実施形態]
本実施形態に係る光走査装置を組み込んだ露光装置は、上述した各実施形態における各ミラーの副走査方向の要件をさらに限定したものである。
本実施形態に係る露光装置では、偏向後光学系の2枚のミラーを、副走査方向に非対称な、主走査方向及び副走査方向のそれぞれの位置により、主走査方向及び副走査方向の曲率を変化させたものである。
この偏向後光学系の2枚のミラーによって、良好な、fθ特性、走査線の曲がり、結像特性、面倒れ特性を得ることができる。
[第5実施形態]
本実施形態に係る露光装置は、上述した各実施形態における各ミラーの基材の線膨張係数の要件をさらに限定したものである。
本実施形態に係る露光装置では、回転多面鏡側のミラーの基材の線膨張係数の方を、像面側のミラーの基材の線膨張係数よりも大きくしている。
これにより、所定の温度の際の単体の素子のパワーをφ10、φ20、温度が上記所定の温度から△t度変化した際のミラーの単体のパワーをφ1、φ2、とする。ミラー面が熱膨張により変化する為、それぞれ下記の式が成り立つ。
φ1=φ10/(1+α1×△t)
φ2=φ20/(1+α2×△t)
ここに、α1は第1のミラーの基材の線膨張係数、α2は第2のミラーの基材の線膨張係数である。
一方で、2枚の光学素子の合成された主点位置は、前述の(式2)、(式3)であらわされる。
反射点と第1のミラーの間の距離をd、第2のミラーと像面間距離をdと置くと、合成された光学素子の像側主点から像面までの距離は、
−△2
となる。
まず、主走査方向について考える。
ほぼ、平行なビームを偏向後光学系に入射した場合、結像位置は、主点から合成された焦点距離ftだけ離れた場所になる為、温度の変化によらず、像面位置が一定である為には、
t−(d−△2)=1/φt−(d−△2) ………(式4)
が温度の関数でないことが必要となる。
よって、(式4)を温度変化量△tで微分した値が0になればよい。
d(1/φt−(d2−△2))/d(△t)=0 ……(式5)
ここに、d、d2,dの線膨張係数は、ミラーの基材の膨張率よりも十分小さいと仮定して、温度の関数とはならないとおき、(式5)をα1について解くと
α1=−α2(−1+d2φ102φ20/φ10 ……(式6)
を得る。(式6)で、φ10が負の際には、d2φ10も負となる為、
(−1+d2φ102>1
また、ここで検討した範囲では、主走査方向については、第1のミラーのパワーの絶対値よりも、第2のミラーのパワーの絶対値が大きい範囲で解を得ている。この為
−φ20/φ10>1
この2つの値、即ち1よりも大きい値を掛け合わせると、1よりも大きい値となる為、(式6)より
α1>α2
が望ましいことが判る。
次に副走査方向を考える。
下記のφ’10、φ’20は副走査方向の所定の温度の際のパワーを示し、主走査方向の値と異なる値を使うものに関しては『’』をつけて区別する。
φ’=φ’10/(1+α1×△t)
φ’=φ’20/(1+α2×△t)
合成されたパワーは下記式で表される。
φ’t=φ’+φ’−d2×φ’×φ’ ……(式1’)
レンズの結像方式より、物点、合成物点側主点間光路長をS’1、合成された像面側主点と像面との間隔をS’2、第1のミラー面から合成物点側主点間距離を△’1、第2のミラー面から合成像側主点間距離を△’とおくと、
△’1=d2(φ’/φ’t) ……………………(式2’)
△’=−d2(φ’1/φ’t) …………………(式3’)
S’1=d+△’1
光学素子の近軸結像公式より、
1/S'1+1/S’=φ’t
これをS’について解くと、結像位置は,
S’=−S’1/(1−φ’tS’1) ………………(式7)
と表される。
一方で、像側主点位置と像面間距離は、
−Δ’ ……………………………………(式8)
で表される。
そして、(式7)と(式8)の差が、結像点のずれ量となる。これを温度変化量△tで微分して、これが0となる時、温度変化の影響が出ないこととなる。
即ち、
d[(d−△’)−S’]/d[△t]=0
これをα1について解くと、
α1=−α2(−d2−d1+d21φ’102φ’20/(d 2φ’10)…(式9)
を得る。
今回の、特性を得たパワー配置では、−(−d3−d1+d21φ’102φ’20/(d 2φ’10)>1となっており、この場合も、α1>α2を得ている。即ち、第1のミラーの基材の線膨張係数が、第2のミラーの綾膨張係数よりも大きいことが望ましい。
[第6実施形態]
本実施形態に係る露光装置は、上述した各実施形態における各ミラーの具体的な構造を限定したものである。
本実施形態に係る露光装置は、上記回転多面鏡側の第1のミラーが主走査方向に負のパワーを持ち、像面側の第2のミラーが主走査方向に正のパワーを持つものである。具体的には、結像素子を2枚のミラーで構成し、主走査方向に負のパワーを持つ第1のミラーは主走査方向に凸の形状を持ち、主走査方向に正のパワーを持つ第2のミラーは主走査方向に凹の形状を持っている。さらに、第1のミラーは副走査方向に凸の形状を持ち、第2のミラーは副走査方向に凹の形状を持っている。これにより、像側主点が、主、副走査方向とも、第2のミラーよりも像面側に位置している。
第1のミラーの副走査方向の曲率の絶対値が、第2のミラーの副走査方向の曲率の絶対値よりも大きくなるように設定されている。さらに、各ミラーは、副走査方向に非対称な、自由曲面となっている。回転多面鏡側の第1のミラーの基材の線膨張係数の方が、像面側の第2のミラーの基材の線膨張係数よりも大きく設定している。
この構造により、上記各実施形態と同様の効果を奏する。
[第7実施形態]
本実施形態に係る光走査装置を組み込んだ露光装置は、各ミラーの具体的な配置構造を限定したものである。
本実施形態に係る露光装置は、図5に示すように、回転多面鏡に対して、第1のミラーが副走査方向に関して所定の方向(図5において上側)にずれており、第2のミラーが、第1のミラーに対し、上記所定の方向と同じ方向(図5において上側)にずれている。この際に、2枚のミラーによって反射された以降の折り返しを展開した状態の副走査方向断面をみた場合、光線が第1のミラーから見て、上記所定の方向(図5において上側)を通っている。
即ち、図5において、回転多面鏡よりも第1のミラーが副走査方向の上側にずれ、第1のミラーよりも第2のミラーが副走査方向の上側にずれ、さらに第1のミラーよりも第2のミラーで反射された光線が副走査方向の上側にずれるように構成されている。
これにより、第1及び第2のミラーを使用する際に、その配置位置の制限が緩くなり、光路設計上の自由度を上げることができる。
この光路設計の従来例として、特開2001−56445号公報及び特開2000−275557号公報に記載のものがある。
特開2001−56445号公報では、2枚のミラーを用いているが、回転多面鏡と第1のミラーはほぼ同じ高さで、第2のミラーは所定の方向にずれている。第2のミラーで反射された光線は、第1のミラーに対して、所定の方向と反対側(図2において下側)を通っている。
特開2001−56445号公報及び特開2000−275557号公報に示されている様に、第2のミラーで反射された後の光路が、回転多面鏡の反射面と第1のミラーとの間を通るようにすると、次のような制約がある。
a)光軸方向に関しては、回転多面鏡と第1のミラーとの間に、第2のミラーを配置する必要が生じる。
b)第2のミラーからの反射光を、回転多面鏡と第1のミラーとの間の走査線に対して、大きな角度を持たせる必要がある。
a)の制約無しにfθ特性、面倒れ特性、走査線の曲がり、集光特性を最適化すると、[(回転多面鏡から第1のミラーまでの光路長)<(第1のミラーから第2のミラーまでの光路長)]となり、第2のミラーからの反射光を、回転多面鏡と第1のミラーとの間を通すと、図6に示す様になり、回転多面鏡、または、第1のミラーに光線がぶつかってしまう。
さらに、多くの本数のビームを通すことを考えたとき、図7に示すように、さらに、回転多面鏡と第1のミラーとの間に全ての光線を通すことに対して制約が生じる。
b)の制約からは、第2ミラーが主走査方向にパワーを持つものを入射光線に対し大きく傾けると、傾き角が大きければ大きいほど、第2ミラーによって生ずる走査線の曲がりが大きくなってしまう。これを、補正する為に、主走査方向の全体の形状と、副走査方向の非球面形状が大きな制約を受け、他の性能、fθ特性、面倒れ特性、副走査方向の集光特性の最適化が難しくなってしまう。
また、従来は、副走査方向に対して光線が交差していた。即ち、光線を、回転多面鏡の多面鏡面に対し垂直に出し、第1のミラーにより所定の方向へ傾けて反射させた後、第2のミラーで反射させて、この第2のミラーからの反射光が、回転多面鏡と第1のミラーとの間の走査線に交差するような光路を採っていた。
この方式では、平面図で見た際に、第2のミラーの位置が、回転多面鏡と、第1ミラーの間にあることが望ましい形となっていた。このため、[(回転多面鏡と第1のミラーとの間の光路長)>(第1のミラーと第2のミラーとの間の光路長)]とするとともに、第1のミラーでの折り曲げ角度を大きく採る必要があった為、この範囲内で最適な構成をとる必要があった。
これに対して、本実施形態の係る露光装置は次の構成にした。
副走査方向に対し、回転多面鏡からは、多面鏡面に対して斜めに出射し、第1のミラーにより所定の方向へ光線を傾けて反射した後、第2のミラーからの反射光が、回転多面鏡と第1のミラーとの間の走査線に交差しないような光路を採る。
この方式では、第2ミラーの位置に対する制約が少なくなり、[(回転多面鏡と第1のミラーとの間の光路長)<(第1のミラーと第2のミラーとの間の光路長)]とできるとともに、第1のミラーでの折り曲げ角度を大きく取る必要がなくなる。
具体的な構成は次のようになる。
各ミラーへの主光線の入射点を原点とし、右手系の局所座標系を取る。X方向は、入射光の方向と平行で、反射ごとに光線の進む方向と同じ方向が−、+を切り替えることとする。局所座標系において、X軸からZ軸へ向かう方向が角度の+となる。
また、Y方向を所定の光線が走査される方向と平行で、全ての光線に対し同じ方向とする。この時に、X軸からみた、ミラー面の法線角度の正弦が同符号となる光路を採る。
これにより、第1のミラー、第2のミラーの配置の制約を緩和し、第2ミラーの主走査方向全体形状、副走査方向断面形状の制約を緩和することにより、fθ特性、集光特性、面倒れ特性、副走査方向の集光特性を改善できる。
[第8実施形態]
本実施形態に係る光走査装置を組み込んだ露光装置は、上述した各実施形態における各ミラーの具体的な配置構造を限定したものである。本実施形態に係る露光装置は、第1の実施形態と第7実施形態とを組み合わせて構成している。
この構成により、各実施形態の効果をそれぞれ持つことができる。さらに、この組み合わせでは、ミラー法線を入射光に対して角度を持たせて、結像素子が光路を邪魔しないように配置した際に、主走査方向のパワーを持たせて斜めにすることで生じる走査線曲がりを、配置自体の効果により、抑えることができる。これにより、非球面化の効果を結像特性、面倒れ補正特性等に集中し、改善することができる。
さらに、第3実施形態で述べたように、d2を大きくとることを可能にする為、副走査方向の像側主点位置を像面側へ大きく持っていくことができる。このことから、副走査方向横倍率βを抑えることができる。これができることによって、後述の第12実施形態と第13実施形態に対しても有効となる。
次に、走査線の曲がりを抑えるミラー配置を求めるために、主走査方向には曲率を持ち、副走査方向へは曲率を持たないミラーを仮定し、走査線のずれが生じない条件を求める。
図8は、偏向後光学系のミラーの副走査方向曲率を0とした際のミラーと光路の主光線を副走査断面方向の平面に投影したものである。実線で走査方向の中央部、破線で両端部の様子を示し、走査線の曲がり量を検討する。各ミラーへの主光線の入射点を原点とし、右手系の局所座標系を取る。X方向は、入射光の方向と平行で、反射ごとに光線の進む方向と同じ方向が−、+を切り替えることとする。図面上は、それぞれの局所座標系において、X軸からZ軸へ向かう方向が角度の+となる。また、Y方向を所定の光線が走査される方向と平行で、全ての光線に対し同じ方向とする。
第1のミラーヘの入射角度がα1のとき、ミラー反射面に垂直方向にδ(入射光側にずれる方向をマイナス、入射光と反対側にずれる方向をブラスとする)だけずれている時の、反射光の中央部と両端部の主光線のずれ量は、下記の様に求めることができる。
∠FAD=2α
反射後の中央部と両端部の光線の主光線に対する垂直方向のずれ量は、
DF=δ/cos(∠DAC)×sin(∠FAD)=δ/cos(α1)×sin(2α)=2δsin(α) …(式10)
である。この量は、他のミラーによって折り返された後も、この量のまま保存される為、他のミラーのずれによって発生するずれ量を全部足し合わせれば、被走査面へ入射する光のずれ量が求められる。
図8のようなミラー2枚の場合、入射光から見た右手系座標系での、X軸に対するミラー法線方向がそれぞれα1、α2であり、それぞれのミラーの光線が通過する領域の両端部を結ぶ直線と中央部のずれ量がδ、δの場合、出射光位置のずれ量は、
2(δ×sin(α1)+δ×sin(α2)) …………(式11)
となる。
ミラーの主走査方向の曲率半径をr(ここに、rは、ミラー面が凸のときにプラス、凹のときにマイナスの符号をとるものとする)、ミラー上を光線が走査される領域の走査方向の幅をιとすると、ミラーの光線が通過する領域の両端部を結ぶ直線と中央部のずれ量δとの間には、
δ=r×(1−cos(arctan(ι/2/r)))≒1/2/r×(ι/2) …(式12)
の関係が成り立つ。
この(式12)より、δ≒1/2/r×(ι/2)であるから、(式11)は、
1/4×(ι /r×sin(α)+ι /r×sin(α2))…(式13)
であり、これがほぼ0になれば、2枚組みミラーを出射する光は重ねることができる。即ち、下記の(式14)が2枚組みミラーを出射する光を重ねることができる条件式となる。
1/4×(ι /r×sin(α)+ι2 /r2×sin(α2))=0…(式14)
これをα2について解いて
sin(α2)=−ι /ι ×r/r×sin(α)…(式15)
が条件となる。
ここで、rは凸であるので+、rは凹であるので−である。このため、(式15)の−ι /ι ×r/rは+となり、sin(α2)とsin(α)の符号は同じとなることが判る。
これは、図の様な関係、即ち、2枚組みのfθミラーから構成され、回転多面鏡に対して、第1のミラーが副走査方向に関して所定の方向(図8における上側)にずれており、第2のミラーが、第1のミラーに対し、上記所定の方向と同じ方向(図8における上側)にずれている。この際に、2枚のミラーによって反射された以降の折り返しを展開した状態の副走査方向をみた場合、光線が第1のミラーから見て、上記所定の方向(図8における上側)を通ることを意味する。
このような配置にすることで、2枚組みミラーの副走査方向への法線方向を、走査線の曲がりを補正する為だけに、主走査方向によって変える必要がなくなる為、結像特性、面倒れ補正特性等に合わせて各主走査方向位置での副走査方向形状を決めることができ、これらの特性を改善することができる。
[第9実施形態]
本実施形態に係る露光装置は、第6の実施形態と第7実施形態とを組み合わせて構成したものである。
本実施形態に係る露光装置は、結像素子を2枚のミラーで構成され、主走査方向に負のパワーを持つ第1のミラーは主走査方向に凸の形状を持ち、主走査方向に正のパワーを持つ第2のミラーは主走査方向に凹の形状を持っている。さらに、第1のミラーは副走査方向に凸の形状を持ち、第2のミラーは副走査方向に凹の形状を持っている。これにより、像側主点が、主、副走査方向とも、第2のミラーよりも像面側に位置している。
また、第1のミラーの副走査方向の曲率の絶対値が、第2のミラーの副走査方向の曲率の絶対値よりも大きくなるように設定されている。さらに、各ミラーは、副走査方向に非対称な、自由曲面となっている。回転多面鏡側の第1のミラーの基材の線膨張係数の方が、像面側の第2のミラーの基材の線膨張係数よりも大きく設定している。
さらに、各部材は、回転多面鏡よりも第1のミラーが副走査方向の上側にずれ、第1のミラーよりも第2のミラーが副走査方向の上側にずれ、さらに第1のミラーよりも第2のミラーで反射された光線が副走査方向の上側にずれるように構成されている。
この構造により、上記各実施形態と同様の効果を奏する。
[第10実施形態]
本実施形態に係る光走査装置を組み込んだ露光装置は、線膨張による影響を最小限に抑えたものである。即ち、2枚以上のミラーを使用する際に、線膨張係数の大きい樹脂を基材とし、それに、アルミを蒸着したミラーを使用しても、温度変化による特性の変化を抑えることができるようにしたものである。
2枚のミラーにより構成させる走査光学系用結像素子において、それぞれの基材が異なり、その線膨張係数をα1、α2、それぞれの主走査方向パワーをφ10、φ20、副走査方向パワーをφ’10、φ’20、2つのミラー間光路長をd2、偏向器反射点、第1のミラー間光路長をdとした際に、
|α2−α1i|>|α1−α1i
かつ
|α2−α’1i|>|α1−α’1i
ここに、α1iは(式6)の値、α’1iは(式9)の値であり、
α1i=−α2(−1+d2φ10φ20/φ10
α’1i=−α2(−d2−d+d2φ’10φ20/(d φ’10
であると、共通の基材を使用した際よりも、温度変化によるデフォーカス発生を抑えることができる。
従来は、単一の基材にてミラーを作成していたため、両方共できるだけ小さな線膨張係数の材質を選ぶ必要があった。
これに対して、本実施形態では、線膨張係数の絶対値を最小にするのではなく、最適な組み合わせを選ぶようにした。
2枚のミラーにより構成させる走査光学系用結像素子において、それぞれの基材が異なり、その線膨張係数をα1、α2、それぞれの主走査方向パワーをφ10、φ20、副走査方向パワーをφ’10、φ’20、2つのミラー間光路長をd2、偏向器反射点と第1のミラーとの間の光路長をdとした際に、
|α2−α1i|>|α1−α1i
かつ
|α2i−α’1i|>|α1−α’1i
ここに、
α1i=−α2(−1+d2φ10φ20/φ10
α’1i=−α2(−d2−d+d2φ’10φ20/(d φ’10
とする。
主走査方向で、結像位置が変動しない条件はα1iで表した(式6)、副走査方向で、結像位置が変動しない条件はα’1iで表した(式9)であり、それぞれこれに近い線膨張係数のものを選べば、温度変動が発生しても結像特性の変動を抑え、デフォーカス発生によりビーム径が変動することを抑えることができる。
さらに、主走査方向に関しては、fθ特性の変動を小さくでき、副走査方向に関しては、面倒れ補正機能の変動を抑える効果も持つ。
少なくとも、第1のミラーの材質を、第2のミラーの材質のα2と同じ線膨張係数を使う場合に対して、(式6)及び(式9)で求められる線膨張係数α1i、α’1iに近い場合には、その効果を得ることができる。
即ち、
|α2−α1i|>|α1−α1i
かつ
|α2−α’1i|>|α1−α’1i
であれば効果がある。
[第11実施形態]
本実施形態に係る露光装置は、2枚のミラーのパワーを最適な状態に調整したものである。
2枚のミラーにより構成させる走査光学系用結像素子おいて、主走査方向または副走査方向またはその両方の第1のミラーのパワーを負、第2のミラーのパワーを主走査方向及び副走査方向の両方共に正とし、第1のミラーの基材の線膨張係数を第2のミラーの基材の線膨張係数よりも大きくする。
従来は、単一の基材にてミラーを作成していたため、両方のパワーをトータルパワーと同じ符号として、パワーを分散することにより温度変化の影響を抑えていた。最初の素子のパワーを負、最終の素子のパワーを正とした場合に最適な基材の組み合わせを検討する。
例えば、第1のミラーをPMMA、第2のミラーをPCとすれば、
PMMAの線膨張係数:6.9×10−5(/度)
PCの線膨張係数:6.2×10−5(/度)
であり、両方をPCにした時、あるいは、両方をPMMAとした時よりも、温度変化の影響を抑えることができる。
[第12実施形態]
本実施形態に係る光走査装置を組み込んだ露光装置は、偏向手段反射面と第1のミラーと第2のミラーとの間の光路長を調整したものである。
具体的には、(偏向手段反射面と第1のミラーとの間の光路長)<(第1のミラーと第2のミラーとの間の光路長)と設定した。
これは、ミラーを使用する際に、ミラー法線を入射光に対し角度を持たせて、結像素子が光路を邪魔しないように配置した際に、入射光に対するミラー法線の角度を小さくしても実装可能とするためである。
従来のように、(偏向手段反射面と第1のミラーとの間の光路長)>(第1のミラーと策2のミラーとの間の光路長)の場合には、偏向手段反射面と第1のミラーとの間の走査線を、第2ミラーが遮らない様に、偏向手段反射面と第1のミラーとの間の光線と、第1のミラーと第2のミラーとの間の光線間の角度を大きく持たせる必要があり、配置からくる走査線曲がりを補正するために、ミラー形状をねじれた形にする必要があり、結像特性上不利になっていた。
これに対して本実施形態では、回転多面鏡を挟む第1ミラーと反対側、即ち回転多面鏡を挟む光線の無い側に、第2のミラーを配置することにより、小さな角度にしても、第2ミラーが、偏向手段反射面と第1のミラーとの間の光路を遮らないようにする。
このため、(偏向手段反射面と第1のミラーとの間の光路長)<(第1のミラーと第2のミラーとの間の光路長)となるように、偏向手段反射面と第1のミラーと第2のミラーとを配設した。
a)第1のミラーの入射光に対する第1のミラー面の傾きは小さい方が良い。第1のミラー面で、主走査方向にパワーを持つことにより、副走査方向断面からみた反射点がずれ、副走査方向に傾けた際に主走査方向位置によって、走査線に曲がりの成分が発生する量を極力抑えたい。
b)回転多面鏡と第1のミラーとの間の光線の光路を遮らない様に、第2のミラーを配置する必要があり、角度を小さくした上で、第2のミラー端部と回転多面鏡、第1のミラー間の光線間の光路長を保つには、第1のミラー、第2のミラー間光路長が長い方がよい。
さらに、これが、角度の制約条件にならない為には回転多面鏡、第1のミラー間の光線が無い場所に第2のミラーを置くことが望ましい。
問題として、回転多面鏡に対してぶつからない様にする必要があるが、回転多面鏡は使用領域から0.5mm程度の余裕があれば精度を保つことができる。
一方、パワーを持った面では、通常2〜3mm程度の余裕が必要であり、程度としては、回転多面鏡を回避する方が簡単である。
これに加え、上述したように、副走査方向の像側主点位置を像面側へ大きく持っていくことができ、第2のミラーと像面との間の光路長を大きく取って、実装上の自由度を増やすとともに、副走査方向横倍率βを抑えることができる。これができることによって、後述の第13実施形態に対しても有効となる。
[第13実施形態]
本実施形態に係る光走査装置を組み込んだ露光装置は、各素子間の光路長と副走査方向のパワー及び横倍率を調整したものである。
2枚組みの光学素子を用い、第1の光学素子の副走査方向パワーを負、第2の光学素子の副走査方向パワーを正とする。この2枚組みの光学素子の光路長と副走査方向のパワー及び横倍率を次の関係にする。
[(最終素子と像面との間の光路長)/(偏向器の反射点と最終の素子との間の光路長)]>(2×副走査方向横倍率)
副走査方向横倍率<0.5
[(最終素子と像面との間の光路長)/(偏向器の反射点と最終の素子との間の光路長)]>1.5
これは、設計的に、もしくは、組み立てのばらつき等の影響により、回転多面鏡の入射面に対し、斜めに光線が入射する光学系において、副走査方向の回転多面鏡の面の出入りの副走査方向ビーム位置に対する影響を抑えたいためである。この為に、副走査方向の横倍率を抑える。
その一方で、上記T.T.の増大を抑えつつ、最終の結像素子と像面間距離を確保することにより、プロセスユニット等の形状、配置の自由度を高め、M/Cとして小型化を可能とする。
従来の特開平4−277715号公報では、副走査方向の横倍率を1.2倍以下に抑える構成が検討されている。これらを実施している例を見ると、最終結像素子から像面までの距離が非常に短くなっており、実装上の制約がかなり大きくなってしまっている。横倍率を抑えることと、最終結像素子から像面までの距離を大きくすることは相反する要求であった。
これに対して本実施形態では、面倒れ補正機能を有する走査光学系の場合、偏向器の反射面の副走査面と、像面は共役な関係を持つ様設計される。この際の副走査倍牽をβと規定する。
偏向面に斜めに入射した場合、回転多面鏡上のビームの副走査方向の位置は、面の出入りにより変化してしまう。この様子を図9に示す。回転多面鏡上の面の出入り量は非常に小さい為、これによる、回転多面鏡の反射面と、像面間での横倍率はほとんど変わらない。このため、面の出入り量を△、入射光線と、回転多面鏡の法線の角度をα、回転多面鏡に対する、副走査方向の入射角度をθ、副走査方向横倍率をβとおくと、回転多面鏡上のビーム位置ずれ量は、△×tanθ/cosαであり、この像となる像面での位置の変動量は、β×△×tanθ/cosαとなる。
上記考察により、ある程度の△を許容しつつ、像面での位置変動を抑える為には、副走査方向横倍率βをできるだけ小さくすればよいことが判る。
即ち、斜め入射の光学系に対し、面の出入りの影響を抑える方策として、横倍率を抑えるという方法を考案した。この為の、解決策として、最終の光学素子を像面に近づけ、最終の光学素子に面倒れ補正機能を持たせるということが考えられるが、これでは、実装の自由度が小さくなる。なんとか、最終の光学素子と像面との間の距離を大きくとりたいが、この為に、上記T.T.を長くするようなことはしたくない。
走査光学系に必要とされる、fθ特性、面倒れ補正機能、主走査方向、副走査方向の像面湾曲補正、走査領域全域にわたる均一なビーム径の要求を満足しつつ、これをどこまで実現できるかを検討した。
1枚レンズを使用した場合、薄肉光学系では、
(最終素子−像面間光路長)/(偏向器反射点−最終の素子間光路長)≒副走査方向横倍率となる。目標としては、この関係に対し、副走査方向横倍率を半分程度にしたい。
(最終結像素子−像面間距離)≒(最終結像素子位置から合成像側主点までの距離)+1/((1/焦点距離)−(1/(回転多面鏡反射面−物点側主点)))
であるが、焦点距離を大きくすると、画像周波数を高める必要がある。これは、採用したくない。
この為、副走査方向の物点側主点位置、及び、像面側主点位置を像面側へ持ってくる様にする。
回転多面鏡反射点−物点側主点間光路長を大きくし、像側主点−像面間光路長を短くして倍率を小さくする為、副走査方向についても第一のミラーのパワーを負、第2のミラーのパワーを正とする。
検討の結果この関係は、少なくとも2枚組みの光学素子(本発明の場合、ミラーについて記述)を用い、第1の光学素子の副走査方向パワーを負、第2の光学素子の副走査方向パワーを正とした場合、
[(最終素子−像面間光路長)/(偏向器反射点−最終の素子間光路長)]>2×副走査方向横倍率
を実現する解を得ることができた。さらに詳細に言えば、
0.2<β(.24138,.3186,.3322,.3779)<0.5
(最終素子−像面間光路長)/(偏向器反射点−最終の素子間光路長)=404/250=1.612>1.5の構成は可能であることが判った。
[第14実施形態]
本実施形態に係る光走査装置を組み込んだ露光装置は、第8の実施形態と第13実施形態とを組み合わせて構成したものである。
第8の実施形態の効果により、第2のミラーと像面間距離を大きくとることができる。また、第8の実施形態の構成にすることで可能となる第13実施形態を実現すれば、回転鏡へ偏向前光学系からの光線を斜めに入射させても、面の出入りによる副走査方向ビーム位置の変動を抑えることができる。
[第15実施形態]
本実施形態に係る光走査装置を組み込んだ露光装置は、第9の実施形態と第13実施形態とを組み合わせて構成したものである。
この構造により、上記各実施形態と同様の効果を奏する。
[第16実施形態]
複数の光線を走査し、第2のミラーから反射された後に、その一部の光線のみを折り返すことにより光線の分離を行うミラーを持ち、分離する位置は、第2のミラーでの折り返し点が、ポリゴンミラーから副走査方向に遠い方の光線が、第2のミラーに近い。
複数の走査線を1セットの光学系で提供する際に、上記T.T.を抑え、結像用ミラーの大きさを抑えつつ、特性を良くしたい。
従来、レンズを使用したものがあったが、レンズを使用したものでは、波長がずれた際にも、走査線の幅が変化しないような構成にする為には、レンズ厚が厚くなり、コスト高になってしまっていた。また、レンズ厚を薄くしたものでは、波長がずれた際に、走査線の幅がかわってしまうという問題があった。
これに対して本実施形態では、波長の影響を受けないミラーを使用することとする。ミラーを使用する際に問題となる、入射光と出射光が光学素子の同じ方向となり、ミラー近傍では光路が重なり合うという問題が発生するが、これを解決する構成を案出した。この構成は次のようになる。
複数の光線を走査し、第2のミラーから反射された後に、その一部の光線のみを折り返すことにより光線の分離を行うミラーを持ち、分離する位置は、第2のミラーでの折り返し点が、ポリゴンミラーから副走査方向に遠い方の光線での位置が、第2のミラーに近い構成とした。
この構成により、第7実施形態で言及した図5からも判る様に、第2ミラー後のビームの走査光線軌跡の副走査断面を見ると、第1ミラー、第2ミラー間の光線と分離できるのは、副走査方向で上側(ポリゴンミラーから副走査方向に遠い方)の光線の方が、光路の上流側、即ち、第2ミラー側となる。
光線RAY12を光線RAY22、RAY32、RAY42から分離する分離点が一番目に、第2ミラーからの光軸方向距離の小さいところ、即ち、第2ミラーから一番近いところにあり、光線RAY22を光線RAY32、RAY42から分離する分離点が2番目に、第2ミラーからの光軸方向距離の小さいところにあり、光線RAY32を光線RAY42から分離する分離点が第2ミラーからの光軸方向距離の一番大きいところ、即ち、第2ミラーから一番遠いところにある。
このため、分離する位置を、第2のミラーでの折り返し点がポリゴンミラーから副走査方向に遠い方の光線が、第2のミラーに近い様に置くことで、第2ミラー後の光路長を短くした上で、第2ミラーに一番近い位置で分離できる光線の分離後の光路長を長くすることができる。
第2ミラー後の光路長を短くできるということは、ユニットの小型化を可能にする。また、ミラーの角度ずれの影響は、ミラー配置後の光路長に比例する。例えば、ミラーがα傾いたとすると、光線は2α傾き、これが距離Lだけ進むと、ずれ量は、L×tan(2α)となる。これを考えると、Lを小さくすることになる為、角度ずれの影響も小さくすることができる。
一番上流側で分離できる光線の分離後の光路長を長くすることにより、感光体ピッチ、感光体と光学系との間の距離を稼ぐことができ、大型のプロセスユニットにも対応可能となる。
[第17実施形態]
本実施形態に係る光走査装置を組み込んだ露光装置は、第16の実施形態において、第2のミラー上でのそれぞれのビームの間隔を、下流側で分離される光線間の間隔ほど大きく取ったものである。
この構成により、回転多面鏡の面の出入りの影響を小さくする為に副走査方向横倍率βを小さく抑えていることから、像面に近づくにつれて、それぞれの光線の間隔が小さくなっている。
このことから、第2のミラー上での光線の間隔は、
RAY1−RAY2間隔<RAY2−RAY3間隔<RAY3−RAY4間隔
の様に、下流側で分離される光線間の間隔ほど大きく取っている。
[第18実施形態]
本実施形態は、複数の走査線を1セットの光学系で提供し、分離手段によってそれぞれの走査線を離れた位置へ導く光学系において、偏向器の回転多面鏡厚を小さくしたものである。これは、回転多面鏡厚∝風損の関係があるためである。偏向器の回転多面鏡厚を小さくすることで、モータパワーを小さくして発熱を抑え、騒音を抑えると共に、回転数を上げる。
従来の偏向器はミラー厚が厚くなってしまっていた。このため、モータパワーが大きくなり、コスト、発熱、騒音が大きくなっていた。このため、回転数を上げることが難しくなっていた。
これに対して本実施形態では、複数のビームを走査するもので、第7実施形態と第13実施形態とを組み合わせたものである。さらに、複数のビームが回転多面鏡と第1のミラーの間で、副走査方向に交差する構成とした。
この場合、さらに第12実施形態を組み合わせてもよい。
これにより、偏向器の回転多面鏡厚を小さくしてモータパワーを小さくし、発熱を抑え、騒音を抑えると共に、回転数を上げることができる。
[第19実施形態]
本実施形態は、結像用ミラーの大きさを抑え、回転多面鏡の厚さを抑えた上で、最初の分離点から像面までの距離を稼いだ光学系である。
具体的には、複数のビームを走査するもので、第8実施形態と第13実施形態とを組み合わせたものである。さらに、複数のビームが回転多面鏡と第1のミラーの間で、副走査方向に交差する構成とした。
この場合、さらに第12実施形態を組み合わせてもよい。
これにより、最初の分離点から像面までの距離を稼ぐことができる。
[実施例]
以下に、本発明の実施形態に係る具体的な露光装置を、図面を参照して詳細に説明する。
図11には、この発明の実施の形態である露光装置が示されている。
図11(a)は、画像形成装置に組み込まれる露光装置の第2のミラーまでを、平面方向(以下に説明する偏向装置の回転軸方向)から見た状態を、図11(b)は、図11(a)に示した平面方向と直交する方向(同偏向装置の回転軸と垂直な方向)から見た状態で、偏向装置の反射点から被走査面までの間に配置される光学部材を通過する光ビームに関し、偏向装置による偏向角が0°の位置で見た状態を、それぞれ示している。なお、この種の露光装置においては、それぞれの光線にて潜像を形成する、それぞれの画像形成部にて、滅法混色を用いてカラー画像を形成することから、通常、Yすなわちイエロー(黄)、Mすなわちマゼンタ(深紅)、Cすなわちシアン(青紫)、およびKすなわち黒(黒、墨入れ用)の色成分に色分解された4種類の画像データと・Y,M,CおよびKのそれぞれに対応して各色成分ごとに画像を形成するさまざまな装置が4組ずつ利用されることから、以下に説明する際に、参照符号に、Y,M,CおよびKを付加することで、色成分ごとの画像データとそれぞれに対応する装置を識別することとする。
図11(b)に示されるように、露光装置は、周知の滅法混色法に基づいて色分解された色成分のそれぞれに対応する画像を形成する第1ないし第4の光線LY、LM、LCおよびLKを走査させる。各感光体58(Y、M、CおよびK、以下、第1ないし第4の全ての露光系を構成する要素に対する共通な説明については、参照符号に「*」を付加して、代表して説明する)は、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒のそれぞれの画像の露光に利用される第3ミラー37Y、37M,37Cおよび37Kにより露光装置から外部に出射された4線のレーザビームL*の走査線の、それぞれに対応する位置に、58Y、58M、58Cおよび58Kの順で直列に配置されている。
露光装置の各ミラー37Y、37M、37Cおよび37Kにより、各感光体ドラム58*に案内されるレーザビームL*は、4個の半導体レーザアレイ素子から出射され、各ミラー37Y、37M、37Cおよび37Kに対応されるそれぞれの感光体ドラム58*の外周面の所定の位置に、図示しない各帯電装置と各現像装置との間から照射される。
露光装置は、4個のレーザアレイ素子3Y、3M、3Cおよび3Kと、偏向装置5と、偏向前光学系7*と、偏向後光学系9とを有している。
4個のレーザアレイ素子3Y、3M、3Cおよび3Kは、図示しない画像形成装置の4組の画像形成部のそれぞれにより形成される色分解された色成分毎の画像に対応する4色分の画像データに対応するレーザビームを発生する1つのパッケージに2つの発光点を持つ。偏向装置5は、回転可能に形成された複数の反射面5aを含み、個々の反射面5aを所定の速度で回転することにより、それぞれのレーザアレイ素子を出射されたレーザビームを所定の位置に設けられた被走査面すなわち、4組の画像形成部の4つの感光体ドラム58Y、58M、58C、58Kに向けて所定の角速度で偏向する。偏向前光学系7*は、各レーザアレイ素子3*と偏向装置5との間に設けられ、各レーザビームL*のそれぞれの断面ビームスポット形状を所定の形状に整えるとともに、各レーザビームを4組のレーザビーム群として配列する。偏向後光学系9は、偏向装置5により偏向(反射)されたレーザビームを感光体ドラム58*に結像させる。
なお、ここでは、偏向装置5によりそれぞれのレーザビームが偏向(連続的に、直線状に反射)される方向(反射面5aが回転される方向に平行な方向)を主走査方向、この主走査方向に直交し、折り返しミラーによる祈り返し展開時の、偏向装置5の反射面5aが回転される際の回転軸の軸方向に平行な方向を副走査方向と呼ばれる。
各レーザアレイ素子から放射された8本のレーザビームは、それぞれのレーザアレイ素子に近接して設けられた4個のコリメータレンズ11Y、11M、11C、11Kにより平行光に近いビームに変換される。なお、偏向後光学系9のレンズの適切な選択により全てのコリメータレンズは.有限焦点レンズに置き換えられることもある。
各コリメータレンズによりコリメートされた8本、4組のレーザビームは、それぞれ、コリメータレンズの後ろ側焦点位置に置かれた絞り13Y、13M、13Cおよび13Kにより所定の断面ビーム形状が与えられ、互いに対をなす2本のレーザビームLYaおよびLYb、LMaおよびLMb、LCaおよびLCb、LKaおよびLKb相互に、偏向装置5で偏向される方向と直交する方向である副走査方向に関して所定の間隔に整列される。これらは、先の断面図(FIG.5、FIG.7)で示された、Ray1aをLYa、Ray1bをLYb、Ray2aをLMa、Ray2bをLMb、Ray3aをLCa、Ray3bをLCb、Ray4aをLKa、Ray4bをLKbとして使用している。
ここで、レーザアレイ素子からは、それぞれ2本ずつの光線が出ているが、1つのレーザアレイから出射された光はほぼ重なりあっている為、特にこの2本を分けて説明する必要のない場合には、これを1本の光として説明を行っている。すなわち、光線L*というときには、L*aとL*bを総称した言い方とする。
図12に合成用折り返しミラーと、合成用折り返しミラーで折り返された後の各光線の関係を示す。
コリメータレンズ11Kによりコリメートされた光線LKは、シリンダレンズ17Kにより少なくとも副走査方向側について収束性が与えられたのち、レーザ合成ミラー19Y、19M、19Cとは副走査方向にずれた空間を順に通って偏向装置5の反射面5aに案内される。
同様に、コリメータレンズ11とによりコリメートされた光線LCは、シリンダレンズ17Cにより少なくとも副走査方向側について収束性力が与えられたのちレーザ合成ミラー19Cで反射され、レーザビームLYに対して主走査方向に関しては、概ね重なるよう、かつ副走査方向にはレーザビームLKよりも内側(偏向装置5の反射面5aの副走査方向長さの中心寄り)を通るよう位置合わせされ、レーザ合成ミラー19M、19Yとは副走査方向にずれた空間を順に通って、偏向装置5の反射面5aに案内される。
また、コリメータレンズ11Mによりコリメートされた光線LMは、シリンダレンズ17Mにより少なくとも副走査方向側について収束性が与えられたのちレーザ合成ミラー19Mで反射され、レーザ合成ミラー19Cにより折り返されるレーザビームLCに対して主走査方向に関して概ね重なるように位置合わせされ、レーザ合成ミラー19Yとは副走査方向にずれた光路を通って偏向装置5の反射面5aに案内される。
さらに、コリメータレンズ11Yによりコリメートされた光線LYは、シリンダレンズ17Yにより少なくとも副走査方向側について収束性が与えられたのち折り返しミラー19Yで反射され、レーザ合成ミラー19Mにより折り返されたレーザビームLMに対して主走査方向に関して概ね重なるよう、かつ副走査方向に関してレーザビームLMよりも外側で偏向装置5の反射面5aの副走査方向長さの中心に対してレーザビームLKと反対側になるように位置合わせされ、偏向装置5の反射面5aに案内される。
偏向装置5の各反射画5aの回転により順次偏向された8本(4組)のレーザビームは、第1ないし第2の結像ミラー23、および25(偏向後光学系9)を順に通過されることにより、それぞれのミラーで所定の結像特性が与えられ、結像状態(被走査面で、1点に光線が集まる理想状態からのずれ)および結像位置(主走査方向および副走査方向の主光線の位置)、断面ビーム径およびその形状、収差状態等が最適に設定されて、被走査面(感光体ドラム58*の外周面)に案内される。
これにより、走査線の曲がりが小さく、偏向装置の反射面を形成する回転多面鏡の面の傾きのばらつきによる副走査位置の変動を抑え(面倒れ補正)、主走査方向へのビームの走査速度を一定にする為のfθ特性を保った上で、結像位置を走査領域全体で均一とする為の像面湾曲を抑えるという機能を持たせている。
被走査面に案内される各レーザビームは、『少なくとも副走査方向に対し光線を曲げる機能を持つ、平面でない結像光学手段である、偏向後結像素子9』の下流、即ち、偏向後結像素子9と被走査面の間に、光線を分離する分離ミラーであるミラー33Y、33M、33C、及び、光路を折り返すための折り返しミラー34K、及び、それらのミラーで折り返された光を、それぞれ、さらに離れた場所に導く為の折り返しミラー、35Yおよび37Y、35Mおよび37M、35Cおよび37C、35Kおよび37Kのそれぞれにより順次折り曲げられ、防塵ガラス39*を通って被走査面に照射される。
分離用ミラー、及び、折り返しミラーの33Y、33M、33C、34K、35Y、35M、35C、35K、37Y、37M、37Cおよび37Kのそれぞれは、通常のフロートガラスの一方の面に、反射面を構成するアルミニウムなどの金属層が、例えば蒸着により所定厚さに形成されたものである。
偏向後光学系は、2枚組みの結像ミラーから構成され、回転多面鏡に対して、第1のミラーが副走査方向に関して所定の方向(図11中の上側)にずれており、第2のミラーが、第1のミラーに対し、上記所定の方向と同じ方向(図11中の上側)にずれている。この際に、2枚のミラーによって反射された以降の折り返しを展開した状態の副走査方向断面を示す図10(b)をみた場合、光線が第1のミラーから見て、上記所定(図10(b)中の上側)の方向を通っていることが判る。
ここで、第2のミラー25から反射された後に、その一部の光線のみを折り返すことにより光線の分離を行うミラー33Y、33M、33Cを持ち、分離する位置は、第2のミラー25での折り返し点が、ポリゴンミラーから副走査方向に遠い方の光線が、第2のミラー25に近い関係となっている。
まず、第1のミラー23と第2のミラー25の間の光路を遮光しないで分離ミラーを置ける順は、光路の上流で、第2のミラーでの反射点が副走査方向に関してポリゴンミラーと離れている光線順と在っている.図11(b)からもわかるように、LY、LM、LCの光線の順で、上流側で分離が可能となっている。
第2のミラーから、像面間で、この順と同じ順に、各光線同士が互いに空間を持つ様に偏向前光学系からの光軸を配置している。この為、第2のミラー25から像面の間で、LYとLMの間が一番上流側で分離ミラーを挿入する為の間隔を持っており、次にLMとLCの間、次にLCとLKの間という順で空間を確保できる様にしている。
ここで、回転多面鏡の面の出人りの影響を小さくする為に副走査方向横倍率を小さく抑えていることから、像面に近づくにつれて、それぞれの光線の間隔が小さくなっている。
このことから、第2のミラー上での光線の間隔は
LY−LM間隔<LM−LC間隔<LC−LK間隔
の様に、下流側で分離される光線間の間隔ほど大きく取っている。
これにより、第2ミラー後の光路長を短くした上で、一番第2ミラーに近い位置で分離できる光線の分離後の光路長を長くすることができる。
第2ミラー後の光路長を短くできるということは、ユニットの小型化を可能にし、また、ミラーの角度ずれの影響は、ミラー配置後の光路長に比例する。例えば、ミラーがα傾いたとすると、光線は2α傾き、これが距離Lだけ進むと、ずれ量は、L×tan(2α)ずれる。これを考えると、Lを小さくすることになる為、角度ずれの影響も小さくすることができる。
一番上流側で分離できる光線の分離後の光路長を長くすることにより、感光体ピッチ、感光体−光学系間距離を稼ぐことができ、大型のプロセスユニットにも対応可能となる。
図14に示す表1には、本実施例の偏向前光学系の光学データ、図15に示す表2には、本実施例の偏向後光学系の光学データ、図16に示す表3には、結像ミラーの形状を表すデータ及び、近軸の主要値を記載している。表3の式では、一部、副走査方向、主走査方向の式を共通に示す式であらわしている為、副走査方向を表す『’』を省略している。
また、表1、2、4、5(表4は図17に、表5は図18にそれぞれ示す)での厚みの記号は、一度反射する毎に±が入れ替わる局所座標を使用して記述してある為、近軸光での検討に使用した光路長とは符号が異っている。
表3及び表6(表6は図19に示す)に示したミラーの曲率は、ミラー面に対し入射光の進行方向側に曲率の中心がある場合を+、入射光の進行方向と反対側に曲率の中心がある場合を−とすると、面形状1の符号が±逆となる為、第1ミラーは、主走査方向、副走査方向共に正、第2ミラーの曲率は主走査方向、副走査方向共に負となる。これは、第1ミラーの形状が主走査方向、副走査方向共に凸、第2ミラーの形状が主走査方向、副走査方向共に凹であることを示している。
また、それぞれのミラーのパワーについても、第1ミラーは、主走査方向、副走査方向共に負、第2ミラーは主走査方向、副走査方向共に正であることが示されている。
さらに、第1ミラーの副走査方向パワーの絶対値は、第2のミラーの副走査方パワーの絶対値よりも大きい。
また、主点位置△も記載しているが、物点側主点△1、像側主点△2ともに、正の値をとっている。これは、物点側主点は、第1のミラーよりも像面側、像側主点は、第2のミラーよりも像面側に位置することを意味しており、ミラーから像面までの距離を確保して、実装上の自由度を増すことに貢献している。
また、表3、表6に、偏向後光学系中のミラー形状を規定する式および係数を示しているが、2枚のミラーは、z方向にも奇数次数の0でない係数を持つ項を持っており、副走査方向に非対称な形状となっている。さらに、Σa1_m×y^l×Z^m=Σal_m×y×zの項の係数も、0でない項を高次に渡りもっており、主走査方向、副走査方向位置により、主走査方向、副走査方向の曲率が非対称に変化していることが判る。
これらの項により、2枚構成のミラーにて、結像特性、fθ特性、走査線の曲がり、面倒れ補正の機能を十分満足するものとすることができる。
さらに、表2、表5に示す様に、第1のミラーの基材はPMMA、第2のミラーの基材はPCである。
PMMAの線膨張係数:6.9×10−5(/度)
PCの線膨張係数:6.2×l0−5(/度)
であり、第1のミラーの基材の線膨張係数の方を大きくすることにより、両方をPCで構成するよりも温度による熱膨張の影響を小さくしている。
表3、6中の線膨張係数比α1i/α2はそれぞれ(式6)、(式9)で求められた、それぞれ主走査方向、副走査方向の温度変化による変動を起こさない線膨張係数の理想的な比を表したものである。実際には、中央部分での値であるが、それぞれのミラーは急激なパワー変化を持っていないため、実用的には十分全体を代表した値となっている。
表3の場合、理想的には、主走査方向で、線膨張係数比が7.5、副走査方向の線膨張係数比が22.8となっているが、PMMAとPCの比は1.1程度である。同じ素材であるよりは補正効果はあるが、コストアップを許し、第2ミラーをガラスとして線膨張係数を72×10−7とすることにより、その比を9.5とすることが性能的には望ましい。
この場合にも、第1のミラーの基材の線膨張係数が、第2のミラーの基材の線膨張係数に比べ大きくなっていることはいうまでもない。
第1ミラーをPMMAとした場合には、第2ミラーがPCの場合、ガラスの場合両方の場合に、理想値からのずれが大きい場合については
|α2−α1i|>|α1−α1i
かつ
|α2−α’1i|>|α1−α’1i
ここに、
α1i=−α2(−1+d2φ10φ20/φ10
α’1=−α2(−d2−d+d2φ’10φ20/(d φ’10
を満足している。第2ミラーがガラスの場合、|α2−α1i|>|α1−α1i|を満たしているが、|α2−α1i|、|α1−α1i|の値そのものが小さいため、問題とはならない。
また、表2、5の下に示している(偏向手段反射面と第1のミラーとの間の光路長)と(第1のミラー間と第2のミラーとの間の光路長)との値を比べると、
(偏向手段反射面と第1のミラーとの間の光路長)<(第1のミラーと策2のミラーとの間の光路長)
の関係を満足している。
さらに、それぞれの光線について、
(最終素子と像面との間の光路長)/(偏向器反射点と最終の素子との間の光路長)>2×副走査方向横倍率)を満足していることが示されている。
また、
副走査方向横倍率<0.5
(最終素子と像面との間の光路長)/(偏向器反射点と最終の素子との間の光路長)>1.5
である。
光線の光路をさらに拡大した図を図13に示す。横軸の原点は、偏向器の反射面の位置であり、縦軸が副走査方向位置を表す。副走査方向位置が0近辺で横軸の−100から0までの光路は、偏向前光学系の光路を、回転多面鏡による折り返しを展開して付け加えたものである。複数のビームが回転多面鏡と第1のミラーの間において、副走査方向に交差することにより、回転多面鏡の厚みを低減している様子が示されている。
なお、本実施例では、複数ビームを供給する光学系について述べているが、その内の1つを使用した、シングルビームの際であってもよい。この場合も、上記各実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
2枚のミラーを用いた従来の偏向後光学系を示す平面図である。 2枚のミラーを用いた従来の偏向後光学系を示す側面図である。 主点の位置について説明する模式図である。 偏向器の回転多面鏡および像面までの、面の出入りが有る場合の光の状態を示す概略平面図である。 副走査方向の光線通過位置を示す模式図である。 光線位置と光路長との関係を示す模式図である。 光線位置と光軸方向位置との関係を示す模式図である。 第1のミラーと第2のミラーとで反射される光線の光路を示す模式図である。 偏向器の回転多面鏡の面の出入りが、副走査方向の像面ビーム位置に影響を及ぼすことを説明してその量を説明するための模式図である。 (a)は折り返しミラーを全て展開した際の光学系の平面図、(b)は偏向後光学系を示す側面断面図、(c)は偏向前光学系を示す側面断面図である。 (a)は偏向後光学系の折り返しミラーを全て展開した際の光学系の平面図、(b)は偏向後光学系を示す側面断面図、(c)は偏向前光学系を示す側面断面図である。 偏向前光学系を示す側面断面図である。 各光線の光線位置と光軸方向位置との関係を示す模式図である。 偏向前光学系の光学データを示す表1である。 偏向後光学系の光学データを示す表2である。 結像ミラーの形状を表すデータ及び近軸の主要値を示す表3である。 偏向前光学系の光学データを示す表4である。 偏向後光学系の光学データを示す表5である。 結像ミラーの形状を表すデータ及び近軸の主要値を示す表6である。
符号の説明
3Y、3M、3C、3K:レーザアレイ素子、5:偏向装置、5a:反射面、7:偏向前光学系、9:偏向後光学系、11Y、11M、11C、11K:コリメータレンズ、13Y、13M、13C、13K:絞り、17C、17K:シリンダレンズ、19Y、19M、19C:レーザ合成ミラー23:第1結像ミラー、25:第2結像ミラー、33Y、33M、33C:ミラー、34K:折り返しミラー、35Y、35M、35C、35K:折り返しミラー、37Y、37M,37C、37K:第3ミラー、58Y、58M、58C、58K:感光体ドラム、LYa、LYb、LMa、LMb、LCa、LCb、LKa、LKb:レーザビーム。

Claims (21)

  1. 偏向前光学系からの光線を主走査方向に走査する回転多面鏡と、当該回転多面鏡で走査された光線を像面に結像させる2枚のミラーとを備えた光走査装置であって、
    上記回転多面鏡側の第1のミラーが、主走査方向に負のパワーを持ち、像面側の第2のミラーが、主走査方向に正のパワーを持つことを特徴とする光走査装置。
  2. 上記第1のミラーが、副走査方向に負のパワーを持ち、上記第2のミラーが、副走査方向に正のパワーを持ち、像側主点が、主走査方向及び副走査方向ともに、上記第2のミラーよりも像面側に位置することを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  3. 上記第1のミラーの副走査方向のパワーの絶対値が、上記第2のミラーの副走査方向のパワーの絶対値よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の光走査装置。
  4. 上記偏向後光学系が、副走査方向に非対称で、かつ主走査方向及び副走査方向の位置により、主走査方向及び副走査方向の曲率を変化させた2枚のミラーを含むことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  5. 上記回転多面鏡側のミラーの基材の線膨張係数の方を、像面側のミラーの基材の線膨張係数よりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  6. 上記第1のミラーが主走査方向及び副走査方向に凸の形状を持ち、上記第2のミラーが主走査方向及び副走査方向に凹の形状を持つことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  7. 偏向前光学系からの光線を主走査方向に走査する回転多面鏡と、当該回転多面鏡で走査された光線を像面に結像させる2枚のミラーとを備えた光走査装置であって、
    像面側の第2ミラーが、上記回転多面鏡側の第1のミラーに対し、副走査方向の所定にずれ第2のミラーで反射された光線が、第1のミラーの副走査方向の上記所定の方向と同じ方向を通ることを特徴とする光走査装置。
  8. 偏向前光学系からの光線を主走査方向に走査する回転多面鏡と、当該回転多面鏡で走査された光線を像面に結像させる2枚のミラーとを備えた光走査装置であって、
    上記回転多面鏡側の第1のミラーが、主走査方向に負のパワーを持ち、像面側の第2のミラーが、主走査方向に正のパワーを持ち、
    上記第2のミラーが上記第1のミラーに対し副走査方向のいずれか一方にずれ、上記第2のミラーで反射された光線が上記第1のミラーの副走査方向の上記一方の方向と同じ方向を通ることを特徴とする光走査装置。
  9. 偏向前光学系からの光線を主走査方向に走査する回転多面鏡と、当該回転多面鏡で走査された光線を像面に結像させる2枚のミラーとを備えた光走査装置であって、
    上記回転多面鏡側の第1のミラーが主走査方向及び副走査方向に凸の形状を持ち、上記像面側の第2のミラーが主走査方向及び副走査方向に凹の形状を持つと共に、
    上記第1のミラーが副走査方向のいずれか一方にずれ、上記第2のミラーが第1のミラーと同じように副走査方向の一方にずれ、上記第2のミラーで反射された光線が上記第1のミラーの副走査方向の一方を通ることを特徴とする光走査装置。
  10. 偏向前光学系からの光線を主走査方向に走査する回転多面鏡と、当該回転多面鏡で走査された光線を像面に結像させる2枚のミラーとを備えた光走査装置であって、
    上記回転多面鏡側の第1のミラーの線膨張係数をα1、上記像面側の第2のミラーの線膨張係数をα2、それぞれの主走査方向パワーをφ10、φ20、それぞれ副走査方向パワーをφ’10、φ’20、2つのミラー間の光路長をd2、偏向器反射点と第1のミラーとの間の光路長をdとした際に、
    |α2−α1i|>|α1−α1i
    かつ
    |α2−α’1i|>|α1−α’1i
    ここに、
    α1=−α2(−1+d2φ10φ20/φ10
    α’1=−α2(−d2−d+d2φ’10φ20/(d φ’10
    の関係を有することを特徴とする光走査装置。
  11. 上記第1のミラーの主走査方向または副走査方向またはその両方のパワーを負、上記第2のミラーのパワーを主走査方向及び副走査方向の両方共に正とし、第1のミラーの基材の線膨張係数を第2のミラーの基材の線膨張係数よりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  12. 偏向前光学系からの光線を主走査方向に走査する回転多面鏡と、当該回転多面鏡で走査された光線を像面に結像させる2枚のミラーとを備えた光走査装置であって、
    偏向手段反射面と上記回転多面鏡側の第1のミラーと上記像面側の第2のミラーとの間の光路長を
    (偏向手段反射面と第1のミラーとの間の光路長)<(第1のミラーと第2のミラーとの間の光路長)
    と設定したことを特徴とする光走査装置。
  13. 偏向前光学系からの光線を主走査方向に走査する回転多面鏡と、当該回転多面鏡で走査された光線を像面に結像させる2枚のミラーとを備えた光走査装置であって、
    上記回転多面鏡側の第1のミラーの副走査方向パワーを負、上記像面側の第2のミラーの副走査方向パワーを正とすると共に、この2枚組みの光学素子の光路長と副走査方向のパワー及び横倍率を
    [(第2のミラーと像面との間の光路長)/(偏向器の反射点と第2のミラーとの間の光路長)]>(2×副走査方向横倍率)
    の関係にしたことを特徴とする光走査装置。
  14. 偏向前光学系からの光線を主走査方向に走査する回転多面鏡と、当該回転多面鏡で走査された光線を像面に結像させる2枚のミラーとを備えた光走査装置であって、
    上記回転多面鏡側の第1のミラーが、主走査方向及び副走査方向に負のパワーを持ち、像面側の第2のミラーが、主走査方向及び副走査方向に正のパワーを持つと共に、各ミラーが副走査方向に非対称で、かつ主走査方向及び副走査方向の位置により、主走査方向及び副走査方向の曲率を変化させ、
    上記第1のミラーの副走査方向のパワーの絶対値が、上記第2のミラーの副走査方向のパワーの絶対値よりも大きいと共に、上記第1のミラーが副走査方向のいずれか一方にずれ、上記第2のミラーが上記第1のミラーと同じように副走査方向の一方にずれ、上記第2のミラーで反射された光線が上記第1のミラーの副走査方向の一方を通ると共に、
    各ミラーの光路長と副走査方向のパワー及び横倍率を
    [(第2のミラーと像面との間の光路長)/(偏向器の反射点と第2のミラーとの間の光路長)]>(2×副走査方向横倍率)
    副走査方向横倍率<0.5
    [(第2のミラーと像面との間の光路長)/(偏向器の反射点と第2のミラーとの間の光路長)]>1.5
    の関係にしたことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  15. 上記第1のミラーが主走査方向及び副走査方向に凸の形状を持ち、上記第2のミラーが主走査方向及び副走査方向に凹の形状を持つと共に、
    上記第1のミラーが副走査方向のいずれか一方にずれ、上記第2のミラーが第1のミラーと同じように副走査方向の一方にずれ、上記第2のミラーで反射された光線が上記第1のミラーの副走査方向の一方を通り、
    上記第1の光学素子の副走査方向パワーを負、第2の光学素子の副走査方向パワーを正とすると共に、この2枚組みの光学素子の光路長と副走査方向のパワー及び横倍率を
    [(最終素子と像面との間の光路長)/(偏向器の反射点と最終の素子との間の光路長)]>(2×副走査方向横倍率)
    副走査方向横倍率<0.5
    [(最終素子と像面との間の光路長)/(偏向器の反射点と最終の素子との間の光路長)]>1.5
    の関係を有することを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  16. 偏向前光学系からの光線を主走査方向に走査する回転多面鏡と、当該回転多面鏡で走査された光線を像面に結像させる2枚のミラーとを備えた光走査装置であって、
    複数の光線を走査して上記像面側の第2のミラーから反射された後に、その一部の光線のみを折り返すことにより光線の分離を行う複数のミラーを持ち、これらのミラーで分離する位置を、各光線のうち上記第2のミラーでの折り返し点が上記偏向器から副走査方向に遠い方の光線での分離する位置を、第2のミラーに近くに設定したことを特徴とする光走査装置。
  17. 上記第2のミラー上でのそれぞれのビームの間隔を、下流側で分離される光線間の間隔ほど大きく取ったことを特徴とする請求項16に記載の光走査装置。
  18. 走査される光線が複数本あると共に、当該複数本の光線を主走査方向に走査させる上記回転多面鏡厚を小さくしたことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  19. 上記第1の光学素子の副走査方向パワーを負、第2の光学素子の副走査方向パワーを正とすると共に、この2枚組みの光学素子の光路長と副走査方向のパワー及び横倍率を
    [(最終素子と像面との間の光路長)/(偏向器の反射点と最終の素子との間の光路長)]>(2×副走査方向横倍率)
    副走査方向横倍率<0.5
    [(最終素子と像面との間の光路長)/(偏向器の反射点と最終の素子との間の光路長)]>1.5
    の関係にしたことを特徴とする請求項8に記載の光走査装置。
  20. 偏向手段反射面と第1のミラーと第2のミラーとの間の光路長を
    (偏向手段反射面と第1のミラーとの間の光路長)<(第1のミラーと第2のミラーとの間の光路長)
    と設定したことを特徴とする請求項19に記載の光走査装置。
  21. 偏向前光学系からの光線を主走査方向に走査する回転多面鏡と、当該回転多面鏡で走査された光線を像面に結像させる2枚のミラーとを備えた光走査装置であって、
    偏向前光学系を複数有し、上記回転多面鏡と上記回転多面鏡側の第1のミラーの間で、上記複数の偏向前光学系から出射された光線が副走査方向で交差することを特徴とする光走査装置。
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