JP2005049510A - 光走査装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】4つの光源3からの光をその偏向後の走査面が副走査方向に交差するように光偏向装置5に入射し、光偏向装置5で偏向された複数の偏向光を偏向後光学系21でそれぞれ分離して、離れた複数の感光体ドラム4上に導く光走査装置である。上記偏向手段により偏向された複数の偏向光のうち副走査方向両側の最外郭光を、互いに非対称な光路とする。副走査方向両側の最外郭光のうち、上流側で他と分離される光線と偏向後光学系21の光軸との反射面5a上での副走査方向距離を、下流側で分離される光線と上記光軸との距離よりも小さくした。光路の上流側で他と分離される最外郭光の主光線の交点は、下流側で分離される最外郭光の交点よりも上流側に位置する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の光源からの光を単一の偏向手段で偏向させ、その後分離して複数の走査線上に導き結像させる光走査装置に関し、例えば、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の画像用の4つの光を単一のポリゴンミラーで偏向させて複数の走査線上に導き結像させる光走査装置に適用し得るものである。
【0002】
【従来の技術】
複数の走査線を走査する手段であって、(1)走査光学系ユニットを複数並べる必要を無くし、スキャナモータ個数を減らすことのできる方式で、(2)走査線内の光量むら発生等の弊害を起こさない様に、光源の偏向、波長(波長が異なると、fθ特性、ビーム径等も異なってきてしまう)を異ならせる必要がないものとしては、下記の様なものがある。
【0003】
従来技術A
特許文献1には、複数の光線を、1セットのポリゴンミラーへ入射させ、偏向後(反射後)の光を、一部の偏向後光学部品を共用して走査させる光走査装置が示されている。この光走査装置では、ポリゴンミラーへ入射する複数の光線は、ポリゴンミラー反射面の法線と平行方向へ入射する。
【0004】
従来技術B、C
特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7で開示されているように、1つのポリゴンミラー、1セットの光学素子を用いて、複数の離れた走査線上に走査を行う走査光学系が提案されている。これらは、偏向後光学系内において、走査面が交差するように入射させることにより、ポリゴンミラー厚を小さくすることを目指しており、また、共通レンズに対し、副走査方向にパワーを持たせることを可能にしたものである。
【0005】
従来技術D
特許文献8では、ポリゴンミラー上の一点に、ポリゴンミラー法線に対し、副走査方向に傾いた光線を入射させ、ポリゴンミラー厚を薄くした状態で、複数のビームを走査する発明が記載されている。この場合には、それぞれの光線について、副走査方向にパワーを持つ複数のミラーを組み合わせ、その配置、もしくは曲率を変えることにより、副走査方向の横倍率を変化させ、走査線の曲がり量を同じ、もしくは曲がりを無くす様にしている。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第5251055号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平7−256926号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平8−122672号公報
【0009】
【特許文献4】
特開平8−122673号公報
【0010】
【特許文献5】
特開平8−136839号公報
【0011】
【特許文献6】
特開平8−136840号公報
【0012】
【特許文献7】
特開2000−162523号公報
【0013】
【特許文献8】
特開2000−180749号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術Aでは、偏向後光学系以降で光線を分離する際に必要となる空間分だけ、ポリゴンミラー面でも間隔を空けておく必要があるため、必然的にポリゴンミラー厚及び偏向後光学系の高さを大きくする必要があった。ポリゴンミラーを厚くすると、ポリゴンミラーを回転させる際の風損が大きくなる。さらに、ポリゴンミラーを高速で回転させるためには大きなパワーのモータが必要となるとともに、消費電力、騒音が大きくなる。また、モータの温度上昇が大きくなるため、冷却が必要となる等の問題があった。
【0015】
さらに、レンズの高さが増すことにより、レンズのコストアップ、ユニットの大型化等の問題がある。また、ここに示されているPrior Art(Fig.1)では、ポリゴンミラー面上で一点に集める構成になっているが、従来技術Dの公知例の問題点にあるように、走査線の曲がりが起こってしまう。この結果、多色の潜像を作成し、後にこれを重ね合わせるような場合には、走査線の曲がりに起因する色ずれ(複数の色成分の像を重ね合わせて像を作る際に、その場所がずれることにより、色相が変わるとともに線、点の太さが変わってしまうこと)が発生してしまう。
【0016】
従来技術Bの、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6においては、偏向後の走査面が交差する様にポリゴンミラーへ複数光線を入射させ、全ての光線が、共通のレンズを通る例が示されている。これは、ポリゴンミラー厚を抑えつつ、偏向後光学系の特性により、走査線の曲がりを抑えている例である。これらの場合、副走査方向両側の最外郭光が対称になるように構成されており、まだポリゴンミラー厚が厚くなっている。さらに、温度変化、レーザ波長の変動に対して副走査方向ビーム位置が変動しないように、光線を副走査方向の主点を通すような構成になっているが、この場合、従来技術Aよりは改善しているものの、まだポリゴンミラー厚が厚くなっている。
【0017】
従来技術Cの特許文献7についても、副走査方向最外郭光が対称になるように構成されており、まだポリゴンミラー厚が厚くなっている。
【0018】
従来技術Dの方式では、被走査面をM面とすると、個別のミラーのみで、2×M個、また、共用するfθレンズも2個必要となり、M=2の場合でも、6個、M=4の場合には、個別ミラー8個+fθレンズ2枚の10個の光学素子が必要となり、部品点数が増してしまうと共に、個別円筒ミラーのばらつきの影響(例えば、母線の曲がり等)も大きなものとなっている。また、基本的には、走査線の曲がりが発生するものであり、その量を個別の円筒ミラーにより同じにしようとするものであった。
【0019】
本発明は、ポリゴンミラー等の偏向手段を薄く維持した状態で、像の相対位置ずれ(色ずれ)を小さくし、結像特性を向上させることを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために第1の発明に係る光走査装置は、複数の光源からの光をその偏向後の走査面が副走査方向に交差するように偏向手段に入射し、当該偏向手段で偏向された複数の偏向光を分離手段でそれぞれ分離して、離れた複数の走査線上に導く光走査装置において、上記偏向手段により偏向された複数の偏向光のうち副走査方向両側の最外郭光を、互いに非対称な光路とすることを特徴とする。
【0021】
上記構成により、偏向後の副走査方向両側の最外郭光を互いに非対称な光路とすることで、偏向手段の偏向面の一点に複数の光源からの光が集中することがなくなる。これにより、走査線の曲がりが抑えられ、この走査線の曲がりに起因する色ずれ(像の相対位置ずれ)を防止でき、結像特性が向上する。
【0022】
第2の発明に係る光走査装置は、複数の光源からの光をその偏向後の走査面が副走査方向に交差するように偏向手段に入射し、当該偏向手段の偏向面で偏向された複数の偏向光を偏向後光学系でそれぞれ分離して、離れた複数の走査線上に導く光走査装置において、上記偏向手段により偏向された複数の偏向光のうち副走査方向両側の2つの最外郭光の主光線であって、光路の上流側で他と分離される光線と上記偏向後光学系の光軸との上記偏向面上での副走査方向距離が、光路の下流側で他と分離される光線と上記光軸との上記偏向面上での副走査方向距離よりも小さいことを特徴とする。
【0023】
上記構成により、複数の光源からの光を偏向手段の偏向面の一点に集中させることなく偏向させ、偏向後の複数の光を効率的に分離することができる。
【0024】
第3の発明に係る光走査装置は、複数の光源からの光をその偏向後の走査面が副走査方向に交差するように偏向手段に入射し、当該偏向手段の偏向面で偏向された複数の偏向光を偏向後光学系でそれぞれ分離して、離れた複数の走査線上に導き結像させる光走査装置において、上記偏向手段により偏向された複数の偏向光のうち副走査方向両側の2つの最外郭光の主光線が上記偏向後光学系の光軸と交わる交点であって、光路の上流側で他と分離される最外郭光の主光線の交点が、光路の下流側で他と分離される最外郭光の主光線の交点よりも上流側に位置することを特徴とする。
【0025】
上記構成により、第2の発明と同様に、複数の光源からの光を偏向手段の偏向面の一点に集中させることなく偏向させ、偏向後の複数の光を効率的に分離することができる。
【0026】
第4の発明に係る光走査装置は、複数の光源からの光をその偏向後の走査面が副走査方向に交差するように偏向手段に入射し、当該偏向手段の偏向面で偏向された複数の偏向光を偏向後光学系でそれぞれ分離して、離れた複数の走査線上に導き結像させる光走査装置において、一番下流側で互いに分離される2つの光線の上記偏向面上での距離が、一番上流側で互いに分離される2つの光線の上記偏向面上での距離よりも大きいことを特徴とする。
【0027】
上記構成により、第2の発明と同様に、複数の光源からの光を偏向手段の偏向面の一点に集中させることなく偏向させ、偏向後の複数の光を効率的に分離することができる。
【0028】
第5の発明に係る光走査装置は、複数の光源からの光をその偏向後の走査面が副走査方向に交差するように偏向手段に入射し、当該偏向手段の偏向面で偏向された複数の偏向光を偏向後光学系でそれぞれ分離して、離れた複数の走査線上に導き結像させる光走査装置において、光路の一番下流側で互いに分離される2つの光線の主光線が作る走査面の交わるポイントが、光路の一番上流側で互いに分離される2つの光線の主光線が作る走査面の交わるポイントよりも、光路の下流側に位置することを特徴とする。
【0029】
上記構成により、第2の発明と同様に、複数の光源からの光を偏向手段の偏向面の一点に集中させることなく偏向させ、偏向後の複数の光を効率的に分離することができる。
【0030】
第6の発明に係る光走査装置は、上記第1乃至第5のいずれかの発明に係る光走査装置において、上記偏向手段により偏向された複数の偏向光のうち副走査方向両側の最外郭光の主光線が、上記偏向手段の偏向面から、上記偏向後光学系の光軸に対して副走査方向にほぼ同じ傾きで逆方向に出射することを特徴とする。
【0031】
上記構成により、第2の発明と同様に、複数の光源からの光を偏向手段の偏向面の一点に集中させることなく偏向させ、偏向後の複数の光を効率的に分離することができる。
【0032】
第7の発明に係る光走査装置は、上記第1乃至第5のいずれかの発明に係る光走査装置において、上記偏向後光学系が、アッベ数の異なる硝材を組み合わせた複数レンズによって構成されたことを特徴とする。
【0033】
上記構成により、第2の発明と同様に、複数の光源からの光を偏向手段の偏向面の一点に集中させることなく偏向させ、偏向後の複数の光を効率的に分離することができる。
【0034】
第8の発明に係る光走査装置は、上記第7の発明に係る光走査装置において、アッベ数が一番小さいレンズに、副走査方向へ負のパワーを持たせたことを特徴とする。
【0035】
上記構成により、偏向後の複数の光を効率的に分離することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光走査装置の最良の実施形態について説明する。
【0037】
図1は、偏向後光学系の光路の副走査方向断面図であって、副走査方向に拡大したものである。図2は、光走査装置の光路をミラーによる折り返しを展開して平面方向から見た平面図である。図3は、図2に示した平面方向と直交する方向(同光偏向装置の回転軸と垂直な方向)から見た状態であって、ミラーによる折り返しを展開せず、光偏向装置の反射点から被走査面までの間に配置される光学部材を通過する光ビームに関し、光偏向装置による偏向角が0°の位置で見た側面図である。図4は、光偏向装置5の反射面5a面の出入り、光偏向装置5からの副走査方向出射角度、偏向後光学系21の副走査方向の特性、走査位置の副走査方向のずれの関係を説明するための図である。図5は、光偏向装置5からの出射角を一定として、出射高さを振った際の光路を、近軸光線追跡式をつかって計算したグラフである。図6は、光学素子主点位置での光線高さの差を1と固定し、入射高さの差、傾きの差を振った際の光路の差を示すグラフである。図7は、第1の実施例に係る光路図の副走査方向断面であって、副走査方向に引伸ばしたものである。図8は、第1の実施例に係る主光線の光路図の副走査方向断面であって、副走査方向に引伸ばしたものである。図9は、第2の実施例に係る光路図の副走査方向断面であって、副走査方向に引伸ばしたものである。図10は、第2の実施例に係る主光線の光路図の副走査方向断面で、副走査方向に引伸ばしたものである。図11は、図10の交差点付近の拡大図である。図12〜図15は軸周り傾き等の値を示す表である。図16〜図21は軸周り傾き等の値を示す表である。
【0038】
本実施形態に係る光走査装置は、レーザビームを走査する装置である。例えば、電子写真方式の画像形成装置、特にレーザビームを用いて画像に対応する潜像を形成し、その潜像を可視化して画像を得る画像形成装置に用いて好適な光走査装置である。
【0039】
光走査装置は主に、偏向前光学系と、光偏向装置と、偏向後光学系とから構成されている。これら偏向前光学系、光偏向装置及び偏向後光学系を概説する。
【0040】
偏向前光学系は、光源からの複数のレーザビームを光偏向装置に導くための光学系である。この偏向前光学系は、光源としての複数の半導体レーザ素子、複数のレンズおよび所定の形状の開口を有するaperture stop等を有して構成されている。偏向前光学系は、各光源からの個々のレーザビームのビーム断面形状を所定の形状に整えて、光偏向装置の所定の位置に向けて各レーザビームを案内する。
【0041】
光偏向装置は、偏向前光学系からのレーザビームを偏向後光学系に偏向させるための装置である。ここでは、ポリゴンミラーを用いてレーザビームを反射させることで、所定方向へ偏向させている。なお、屈折を利用する場合もある。ガルバノミラー等を用いる場合もある。
【0042】
光偏向装置は具体的には、複数(まれに1面)の反射体(ミラー面)を有するポリゴンミラーと、このポリゴンミラーを所定の速度で回転させるモータとを含んで構成されている。光偏向装置は、個々の反射体を連続して回転させながら、偏向前光学系からの個々のレーザビーム(断面ビーム形状が所定の形状に整えられたレーザビーム)を連続して反射(偏向)させる。これにより、反射体の回転方向(主走査方向)に沿って、潜像保持体の幅方向の一端から他端に案内されるレーザビームを生成する。即ち、ポリゴンミラーの各反射体に照射された個々のレーザビームは、ポリゴンミラーの各反射体が回転されることにより、反射角が連続的に変更されて、主走査方向に偏向される。
【0043】
偏向後光学系は、光偏向装置で偏向されたレーザビームを分離して各潜像保持体に導き結像させるための光学系である。偏向後光学系は、主走査方向に長いfθレンズもしくはfθミラーや主走査方向に長く形成された複数のミラー等を含んで構成されている。このfθレンズ等によって、ポリゴンミラーの各反射体の反射点(反射体の回転角に応じて連続的に変化する反射点)と、潜像保持体上で各レーザビームが到達する結像位置との間の距離に拘りなく、上記反射体で連続して反射された各レーザビームを、潜像保持体上の所定の位置に、その軸方向に沿った方向に概ね直線上に走査させながら結像させる。なお、各レーザビームは、光走査装置の大きさの制約により、多くの場合、複数の平面ミラーにより、光偏向装置と感光体ドラムとの間で、任意回数折り曲げられる。また、各レーザビームがずっと発光している際に、被走査面と、レーザビームの主光線との交わる点を結んでできる線は、走査線と呼ばれる。この走査線上に走査されるレーザビームを画像に合わせてon/offさせることにより、走査線上の所定の箇所に、潜像を書き込むことができる。
【0044】
次に、図面を参照して詳細に説明する。
【0045】
図2は、カラープリンタ装置に組み込まれる光走査装置の光路を、ミラーによる折り返しを展開して平面方向(以下に説明する光偏向装置の回転軸方向)から見た状態を示している。図3は、図2に示した平面方向と直交する方向(同光偏向装置の回転軸と垂直な方向)から見た状態であって、ミラーによる折り返しを展開せず、光偏向装置の反射点から被走査面までの間に配置される光学部材を通過する光ビームに関し、光偏向装置による偏向角が0°の位置で見た状態を示している。
【0046】
光偏向装置5はただ1つだけ設けられている。この光偏向装置5は、レーザビームL(Y、M、CおよびB)を反射させて連続的に方向を変える。各レーザビームLY、LM、LCおよびLBは、色成分毎の画像データに対応する光ビームであって、第1ないし第4の半導体レーザ素子(以下に説明する通り、実際にはそれぞれ2つの発光チップを含む光源であるレーザアレイ)3Y、3M、3Cおよび3Bから出射される。各レーザアレイ3(Y、M、CおよびB)から出射されて光偏向装置5で反射された4群すなわち4色(各2本)のレーザビームL(Y、M、CおよびB)は、対応する画像形成部に収容された各感光体ドラム4(Y、M、CおよびB)に向けて所定の線速度で連続的に偏向される。
【0047】
なお、各レーザアレイ3Y、3M、3Cおよび3Bは、1つのパッケージに2つの発光チップ(図示せず)が設けられている。これにより、色成分毎の画像データに対応して、2本のレーザビームL(a)とL(b)すなわちLY(a+b)、LM(a+b)、LC(a+b)ならびにLB(a+b)が出射するようになっている。但し、個々のレーザアレイ3(Y、M、CおよびB)から放射されるそれぞれ2本のレーザビームLY(a+b)、LM(a+b)、LC(a+b)およびLB(a+b)は、実際には、概ね重なりあっている。このため、それぞれのレーザビームを識別して説明する必要のない場合には、それぞれの色成分毎に、レーザビームLY、LM、LCおよびLBと表示する。
【0048】
各レーザアレイ3(Y、M、CおよびB)は、図2に示すように配置されている。イエロ画像用レーザアレイ3Yは、出射されたレーザビームLYが光偏向装置5の反射面に直接入射する位置に配置されている。マゼンタ画像用レーザアレイ3M、シアン画像用レーザアレイ3Cおよび黒画像用レーザアレイ3Bは、イエロ画像用レーザアレイ3YのレーザビームLYに対して所定の角度で配置されている。イエロ画像用レーザアレイ3YのレーザビームLYの線上には合成ミラー7M、7Cおよび7Bがそれぞれ設けられている。各合成ミラー7M、7Cおよび7Bは、所定角度で配置されている。この各合成ミラー7M、7Cおよび7Bにより、各レーザアレイ3M、3Cおよび3BからのレーザビームLM、LCおよびLBは、平面方向から見た状態でレーザビームLYに概ね重なり合うように折り返される。なお、各レーザビームL(Y、M、CおよびB)は、副走査方向(光偏向装置5により偏向される方向と直交する方向)に設定角度で配列されている。具体的には、後述する。
【0049】
各レーザアレイ3(Y、M、CおよびB)と各合成ミラー7M、7Cおよび7Bとの間には、レーザアレイ3(Y、M、CおよびB)からのレーザビームL(Y、M、CおよびB)の断面ビーム形状を所定の形状に整える光源側光学系である偏向前光学系9Y、9M、9Cおよび9Bが配置されている。
【0050】
各偏向前光学系9Y、9M、9Cおよび9Bは、コリメートレンズ11Y、11M、11Cおよび11Bと、絞り13Y、13M、13Cおよび13Bと、シリンダレンズ15Y、15M、15Cおよび15Bとから構成されている。
【0051】
コリメートレンズ11Y、11M、11Cおよび11Bは、各レーザアレイ3(Y、M、CおよびB)からのレーザビームL(Y、M、CおよびB)をコリメートする。なお、各コリメートレンズ11Y、11M、11Cおよび11Bは、後述する偏向後光学系21に用いられる複数のレンズの材質および形状の適切な選択により、有限焦点レンズ、あるいは、発散度を抑える正のパワーを持ったレンズに置き換えることも可能である。
【0052】
各絞り13Y、13M、13Cおよび13Bは、各コリメートレンズ11Y、11M、11Cおよび11Bの後側焦点に設けられ、各コリメートレンズ11Y、11M、11Cおよび11BでコリメートされたレーザビームL(Y、M、CおよびB)を所定の断面ビーム形状に成形する。
【0053】
各シリンダレンズ15Y、15M、15Cおよび15Bは、各レーザビームL(Y、M、CおよびB)を、少なくとも副走査方向に収束性を与えて、光偏向装置5の反射面5aに案内する。
【0054】
この偏向前光学系9Y、9M、9Cおよび9Bによって、光偏向装置5の反射面5aに所定の断面ビーム形状で案内された各レーザビームL(Y、M、CおよびB)は、反射面5aで反射される。このとき、反射面5aは回転しているため、各レーザビームL(Y、M、CおよびB)は、順次反射方向が変化されながら、感光体ドラム4(Y、M、CおよびB)の軸線方向に沿って連続的に走査される。
【0055】
光偏向装置5の下流側には偏向後光学系21が設けられている。この偏向後光学系21は、第1ないし第4の結像レンズ23、25、27および29を備えて構成されている。各結像レンズ23、25、27および29は、非平面を含む光学媒体である。この各結像レンズ23、25、27および29によって、各レーザビームL(Y、M、CおよびB)の進行方向(結像位置)を変化させる。即ち、光偏向装置5の反射面5aで反射されて各結像レンズ23、25、27および29を順に通過された各レーザビームL(Y、M、CおよびB)を、少なくとも副走査方向に関して、その進行方向(結像位置)を変化させることができるようになっている。
【0056】
次に、1組の光偏向装置5、1組の偏向後光学系21を通した後に、光線を複数の走査線に分ける例を図3に示している。ここでは、光偏向装置5への入射光を副走査方向に傾けることにより、光偏向装置5の反射面5a上でのビーム間隔を低減し、光偏向装置5の厚さを低減している。
【0057】
この図からも判るように、複数ビームが副走査方向に空間的に離れた箇所を、走査線間隔の約半分づつの間隔(この場合ドラム間隔と同じ)で作り、この空間的に離れた場所に各光路折り返し用平面ミラー33Y、33M、33C、33B、35Y、35M、35C、37Y、37Mおよび37Cを挿入し、ビームを分離させている。
【0058】
即ち、偏向後光学系21のそれぞれの結像レンズ23、25、27および29により
1)結像面が、走査面全域にわたって、ほぼ、像面に一致している
2)光偏向装置5により偏向された際に、像面にて偏向角に概ね比例した像高に照射される(fθ特性が良好である)
3)各レーザアレイ3(Y、M、CおよびB)の1点から出射されたビームが、結像点にて概ね1点に集光される
4)光偏向装置5の反射面5aの倒れが、副走査方向ビーム位置に影響しないように、反射面5aの反射点と像面を、走査線全域に渡って共役な関係とするという諸特性が最適に設定された各レーザビームL(Y、M、CおよびB)は、個々の色成分に対応して後段に位置されている各光路折り返し用平面ミラー33Y、33M、33C、33B、35Y、35M、35C、37Y、37Mおよび37Cにより順に折り返され、対応する感光体ドラム4(Y、M、CおよびB)の外周面に案内される。
【0059】
なお、第1ないし第4の結像レンズ23、25、27および29の下流側には、光走査装置1の内部を防塵するための防塵ガラス39Y、39M、39Cおよび39Bが設けられている。これらの防塵ガラス39Y、39M、39Cおよび39Bは、画像形成ユニットからのトナーや、用紙(被転写材)が微粉体となった紙粉等が光走査装置1内に侵入するのを抑止する。
【0060】
この際の光路として、副走査方向の最外郭光を非対称光路としたところ、一般の走査光学系に要求される性能である、fθ特性、面倒れ特性、結像特性、複数の走査線により複数の潜像を形成してこれを重ね合わせるカラー用走査光学系に要求される走査線の直線性、複数ビームの主走査方向相対位置ずれが小さいこと(fθ特性が均一であること)、複数ビームの副走査方向相対位置ずれが小さいこと(走査線の曲がり、傾きが同じであること)等の性能を出せることが確認できた。
【0061】
近軸光学理論を使って、光学素子上でのビーム間距離を同じとした場合、どのようにすれば、光偏向装置5上での光線間隔を小さくできるかを検討する。図3の偏向後光学系21の光路の副走査方向断面図で、副走査方向に拡大したものを図1に示す。
【0062】
図中のハッチングされた楕円で示されている場所が、光線を分離するために各光路折り返し用平面ミラー33Y、33M、33Cを挿入する空間を確保した場所である。この場所を確保するためには、図1の矢印で示された方向に光路を持っていく必要がある。
【0063】
一方で、光偏向装置5の反射面5aへの入射角が大きくなると、反射面5aの出入り(光偏向装置5の回転軸中心からレーザビームの反射点までの距離がばらつくこと)の影響による、副走査方向ビーム位置変動が大きくなってしまう。
【0064】
副走査方向倍率と、反射面5aの出入りによる副走査方向ビーム位置ずれとの関係は下記の通りである。
【0065】
光偏向装置5に対するレーザビームの入射角(光偏向装置5の反射面5aの垂線に沿って、かつ反射面5aに直交して副走査方向へ広がる平面への投影図における、レーザビームの入射光と垂線とのなす角)をαとすると、図4のように、反射面5aの出入りδによって、反射面5a上での副走査方向ビーム位置が、δ×tanαだけずれてしまう。
【0066】
光偏向装置5の反射面5aと像面(感光体ドラム4の表面)との副走査方向の横倍率をβとすると、像面では、ビーム位置が副走査方向にβ×δ×tanαだけ変動してしまう。この結果、αが大きくなると、像面でのビーム位置が大きく変動し、像の相対位置ずれ(色ずれ)が大きくなって結像特性が低下するため、入射角αは小さいことが望ましい。
【0067】
このため、入射角αを小さく保って、像の相対位置ずれ(色ずれ)を小さくして結像特性を向上させた状態で、どのようにすれば、光偏向装置5の厚さを小さくできるかを検討する。即ち、副走査方向の両端のレーザビーム(図1におけるLYとLB)の傾き角を同じ(又はほぼ同じ)にして符号を逆とした条件で、どのようにすれば、図1の矢印方向にレーザビームを動かしつつ、光偏向装置5の反射面5aでのビーム間隔を小さくして、光偏向装置5の厚さを小さくできるかを、近軸光線追跡式を使って検討する。
【0068】
光偏向装置5の反射面5aでの高さをh0、入射角をu0とし、反射面5aを物点、被走査面を像面とし、偏向後光学系21の副走査方向の合成パワーを1/f、物点と偏向後光学系21の副走査方向の合成された物点側主点までの距離をe1、偏向後光学系21の副走査方向の合成された像面側主点までの距離をe2とすると、
偏向後光学系21の副走査方向の合成された物点側主点での高さ、傾きは
h1=h0−e1×u0
u1=u0
偏向後光学系21の副走査方向の合成された像面側主点での高さ、傾きは
h1’=h1
u1’=(1/f)×h1+u1
像面での高さ、傾きは
h2=h1’−e2×u1’
u2=u1’
と表される。
【0069】
偏向後光学系21に面倒れ補正機能を持たせるため、副走査方向に対しては、物点と像面を共役な関係に保つ必要があるため
(1/e1)+(1/e2)=1/f
物点、像面間距離を1とし、倍率を−2.669090309となるように、
e1=0.272547121
e2=0.727452879
とおくと、
1/f=5.043749794
となる。
【0070】
反射面5aの出入りの影響は、上述した光偏向装置5に対する入射角α及び副走査方向の横倍率βに比例するため、光偏向装置5から副走査方向への出射角をできるだけ小さくした上で、光偏向装置5の厚みを薄く抑えるのが望ましい。
【0071】
このため、複数のレーザビームのうち両端のレーザビーム(光線)の傾き角をほぼ同じとし、符号を反対にすると仮定し、光偏向装置5からの出射角u0を一定として、出射高さh0を振ったものを、図5に示す。
【0072】
この図から下記のように結論づけることができる。
【0073】
最も像面側で分離される光線(図1でいうとLB)は、像面に近い場所で偏向後光学系21の光軸から大きく離れている必要があり、反射面5aでの光線高さも高くないといけないが、最も偏向後光学系21側で分離される光線(図1でいうとLY)は、反射面5aでの光線高さを低くしても影響は少ない。
【0074】
最も偏向後光学系21側で分離される光線(図1でいうとLY)は、偏向後光学系21の光軸からの距離を小さく、最も像面側で分離される光線(図1でいうとLB)は、距離を大きく取ることにする。
【0075】
さらに、副走査方向両端を通る光線の主光線が、偏向後光学系21の光軸と交わる位置を次のようにする。即ち、最も偏向後光学系21側で分離される光線(図1でいうとLY)と偏向後光学系21の光軸との交わる点を、最も像面側で分離される光線(図1でいうとLB)と偏向後光学系21の光軸との交わる点よりも光偏向装置5側に近い位置に設定した。
【0076】
一方、上記偏向前光学系9Y、9M、9Cおよび9Bや偏向後光学系21は、複数のレンズによって構成したが、各光線と光軸の交わる箇所を変えることから、各レンズに光線が均等に入射及び出射しない場合が起こる。この場合、各レンズの温度変化による屈折率の変動や、半導体レーザの波長変動によって、ビーム位置変動が起こってしまう。これを緩和するために、上記各レンズは、アッベ数の異なる硝材を組み合わせたレンズとする。さらに、アッベ数が一番小さいレンズに、副走査方向へ負のパワーを持たせる。
【0077】
次に、LYとLM、LCとLBの分離場所の違いについて考察する。
【0078】
先の式と別の光線を考えると、偏向後光学系21の副走査方向の合成された物点側主点での高さ、傾きは
H1=H0−e1×U0
U1=U0
偏向後光学系21の副走査方向の合成された像面側主点での高さ、傾きは
h1’=h1
U1’=(1/f)×H1+U1
像面での高さ、傾きは
H2=H1’−e2×U1’
U2=U1’
と表される。
【0079】
先の式で表されたビームとの差をとると、
となり、式としては、ビーム位置の差とビーム位置の適用式は同じものがつかえることが判る。
【0080】
ここで、光学素子主点位置での光線高さの差を1と固定し、入射高さの差Δh0、傾きの差Δu0を振った際の光路の差を図6に示す。物点が横軸の0の箇所、像面が1に相当する。
【0081】
図6から下記のことが判る。
【0082】
光学素子上でのビーム間距離を同じとした場合、どのようにすれば、光偏向装置5の反射面5a上での光線間隔を小さくできるかを検討する。
【0083】
一番像面側(光路の下流側)で分離される2つの光線(図1でいうとLCとLB)は、像面に近い場所で互いに大きく離れている必要があり、反射面5aでの距離も大きくないといけないが、偏向後光学系21側で分離する2つの光線(図1でいうとLYとLM)は、反射面5aでの距離を小さくしても影響は少ない。
【0084】
一番像面側(光路の下流側)で分離される2つの光線(図1でいうとLCとLB)は、反射面5a上での距離を大きく取り、一番偏向後光学系21側(光路の上流側)で分離される2つの光線(図1でいうとLYとLM)は、反射面5a上での距離を小さくとる。
【0085】
像面側で分離される2つの光線の走査面の交わるポイントは、偏向後光学系21側で分離される2つの光線の走査線の交わるポイントよりも、反射面5aから遠い。
【0086】
一方、上記偏向前光学系9Y、9M、9Cおよび9Bや偏向後光学系21は、複数のレンズによって構成したが、各光線と光軸の交わる箇所を変えることから、各レンズに光線が均等に入射及び出射しない場合が起こる。この場合、各レンズの温度変化による屈折率の変動や、半導体レーザの波長変動によって、ビーム位置変動が起こってしまう。これを緩和するために、上記各レンズは、アッベ数の異なる硝材を組み合わせたレンズとする。さらに、アッベ数が一番小さいレンズを、副走査方向に、負のパワーを持たせる。アッベ数及び正負パワーの異なるレンズを適宜組み合わせて、ビーム位置変動を補正する。
【0087】
本願発明の特徴部分は次のようになる。
【0088】
3以上の複数の光源(ここでは4つの光源)からの光を偏向手段(光偏向装置5)に、偏向後光学系21内において、複数光線の偏向後の走査面が交差するように入射し、偏向手段からの偏向された光を、偏向後光学系21にて所定の距離を持つ3以上の走査線上に結像させ、偏向後光学系21の光路の下流側に、複数の光線を分離するためのミラーを、光線が空間的に分離している箇所に配置し、それぞれ離れた走査線上に導く手段を有する走査光学系において、副走査方向の最外郭光を非対称な光路としている。
【0089】
副走査方向の最外郭光線の主光線で、光路の一番上流側(光偏向装置5側)で分離される光線(図1でいうとLY)の、光偏向装置5の反射面5a上での偏向後光学系21の光軸からの副走査方向の距離が、光路の一番下流側(像面側)で分離される光線(図1でいうとLB)の、上記距離よりも小さい。
【0090】
また、副走査方向の最外郭光線の主光線が偏向後光学系21の光軸と交わる位置が、光路の一番上流側(光偏向装置5側)で分離される光線(図1でいうとLY)の方が、光路の一番下流側(像面側)で分離される光線(図1でいうとLB)よりも上流側にある(ポリゴンミラー側に近い)。
【0091】
副走査方向の最外郭光線の主光線が、光偏向装置5の反射面5aから、偏向後光学系21の光軸に向かって、副走査方向にほぼ同じ傾き(傾き方向は逆)をもって出射する。
【0092】
一番下流側(像面側)で分離される光線間の距離(図1でいうとLCとLB)は、一番上流側(結像光学手段側)で分離される光線間の距離(図1でいうとLYとLM)よりも、光偏向装置5の反射面5a上での距離が大きい。
【0093】
光路の一番下流側(像面側)で分離される2つの光線(図1でいうとLCとLB)の主光線が作る走査面の交わるポイントは、光路の一番上流側(偏向後結像光学素子側)で分離される2つの光線(図1でいうとLYとLM)の主光線が作る走査面の交わるポイントよりも、光路の下流側に有る(偏向器偏向面から遠い)。
【0094】
偏向後光学系21は、アッベ数の異なる硝材を組み合わせた複数レンズから構成する。これらのレンズのうち、アッベ数が一番小さいレンズに、副走査方向へ負のパワーを持たせる。
【0095】
偏向後光学系21の各結像レンズ23、25、27および29は次のように設定されている。
【0096】
1枚目の結像レンズ23は、主走査方向と副走査方向の曲率を0以外として、独立に設定され、非円弧形状を含む成形レンズである自由曲面成形レンズである。材質は光学硝材のBK7である。アッベ数は、νd=64.1、νe:63.9である。主走査方向、副走査方向とも正のパワーを持っているが、パワーの値は、主走査、副走査方向で異なっている。
【0097】
2枚目の結像レンズ25は、入射面が主走査方向へ曲率を持つ凹のシリンダ面、出射面が副走査方向へ曲率を持つ凹のシリンダ面となっている。硝材はSF6である。アッベ数は、νd=25.4、νe:25.2と、他のレンズ(23、27、29)に比べ小さくなっている。主走査方向、副走査方向とも負のパワーを持っているが、パワーの値は、主走査、副走査方向で異なっている。
【0098】
3枚目の結像レンズ27は、入射面がシリンダ面、出射面が球面で、平面形状が両凸となっている。主走査方向に正のパワーを持つ。材質は光学硝材のBK7である。アッベ数は、νd=64.1、νe:63.9である。
【0099】
4枚目の結像レンズ29は、副走査方向に曲率を持つレンズである。即ち、一方面が平面、他方面が凸面の、副走査方向に正のパワーを持つシリンダレンズである。材質は、光学硝材のBK7である。アッベ数は、νd=64.1、νe:63.9である。
【0100】
ここで、図12〜図15に示す表について説明する。
【0101】
同じ行に、偏芯、傾きがある場合には、その面にて、偏芯を行い、その次に傾けることを示す。「←」は、共通部品、または、同一の部品を共用するため、値が同じであることを示す。また、偏向前光学系9Y、9M、9Cおよび9Bでは、光線は、x方向の+方向へ、偏向後光学系21では、光線は、x方向の一方向へ進むとする。ここに、y方向は主走査方向、z方向は副走査方向を示す。z方向(副走査方向)の曲率に「←」がある場合には、主走査方向と同じ曲率であり、球面であることを示す。
【0102】
表1のY軸周り傾きから判る様に、LYは−0.026329935(有効桁数の関係で表示は−0.03となっている)radian、LBは0.024883296radian、(LM:0.01600004、LC:0.025289228)の傾きを持って偏向器の偏向面(光偏向装置5の反射面5a)に入射される。このときの光偏向装置5からの出射光は、振り角のセンタ値のときに、副走査方向に、LY:−0.026342033、LB:−0.024893637radian、(LM:−0.016011416、LC:−0.025303195)となっており、副走査方向の最外郭を通る2つの光線LY、LBの偏向器の偏向面である、光偏向装置5の反射面5aからの副走査方向の出射角は、符号が反対で、絶対値はほぼ同じとなっている。
【0103】
次に、図8を基に、光偏向装置5の反射面5aでの光線位置について説明する。
【0104】
副走査方向の最外郭光LY、LBを偏向後光学系21の光軸に対し、副走査方向に非対称な光路としている。
【0105】
偏向面である光偏向装置5の反射面5aでの位置は、LY:−3.706、LM:−1.5805、LC:2.128、LB:4.98である。副走査方向の最外郭光線の主光線で、光路の一番上流側(偏向後光学系21側)で分離される光線(本実施例でいうとLY)の、反射面5a上での偏向後光学系21の光軸からの副走査方向の距離3.706が、光路の一番下流側(像面側)で分離される光線(本実施例でいうとLB)の、上記距離4.98よりも小さくなっている。
【0106】
また、副走査方向の最外郭光線の主光線が上記光軸と交わる位置が、光路の一番上流側(偏向後光学系21側)で分離される光線(本実施例でいうとLY)の方が、光路の一番下流側(像面側)で分離される光線(本実施例でいうとLB)よりも上流側(光偏向装置5側)に位置している。
【0107】
光偏向装置5の反射面5aでの副走査方向位置は、LY:−3.706、LM:−1.5805、LC:2.128、LB:4.98であり、反射面5aでの副走査方向のLYとLM間距離:2.1255、LMとLC間距離:3.7085、LCとLB間距離:2.852となっている。一番下流側(像面側)で分離される光線間の距離(本実施例でいうとLCとLB)は、一番上流側(結像光学手段側)で分離される光線間の距離(本実施例でいうとLYとLM)よりも、反射面5a上での距離が大きい。
【0108】
また、光路の一番下流側(像面側)で分離される2つの光線(本実施例でいうとLCとLB)の主光線が作る走査面の交わるポイントは、光路の一番上流側(偏向後結像光学素子側)で分離される2つの光線(本実施例でいうとLYとLM)の主光線が作る走査面の交わるポイントよりも、光路の下流側(光偏向装置5の反射面5aから遠い場所)に位置している。
【0109】
これと、公知技術との差異は次のようになる。
【0110】
従来技術Aでは、ポリゴン入射光が、副走査方向に対し垂直なため、前述のように、ポリゴン厚が厚くなり、風損大となる。
【0111】
従来技術B、Cでは、副走査方向で最外郭を通る光路が対称となっており、ポリゴンミラー厚が本発明を利用した場合にくらべ厚くなってしまう。また、LY、LMの交わる点と、LC、LBの交わる点もほぼ同じとなっている。
【0112】
従来技術Dは、最終の2つのレンズ、光学素子が各々の走査線毎に異なるため、それぞれの部品の取り付けの傾き、そり等にばらつきがあると、走査線の傾き、走査線の曲がり等がばらつき、色ずれが発生してしまう。また、このような配置では、走査線の曲がりは発生してしまい、それをいかに合わせるかということになるが、異なるミラー面で走査される光線の曲がり方向は、像面にて反対になってしまうため、色ずれ発生は免れない。
【0113】
次に、偏向後光学系21が、2枚組みレンズの場合の例を説明する。
【0114】
1枚目の結像レンズは、主走査方向と副走査方向の曲率を0以外とし、独立に設定した、非円弧形状を含む、成形レンズである自由曲面成形レンズとした。硝材はS−FTM16である。アッベ数は、νd=35.3、νe:35.0とし、2枚目のレンズに比べて小さくしている。主走査方向、副走査方向とも負のパワーを持っているが、パワーの値は、主走査、副走査方向で異なっている。
【0115】
2枚目の結像レンズは、主走査方向と副走査方向の曲率を0以外とし、独立に設定した、非円弧形状を含む、成形レンズである自由曲面成形レンズとした。材質は光学硝材のBK7である。アッベ数は、νd=64.1、νe:63.9とした。主走査方向、副走査方向とも正のパワーを持っているが、パワーの値は、主走査・副走査方向で異なっている。
【0116】
このように、偏向後光学系21は、アッベ数の異なる硝材を組み合わせた2枚のレンズで構成した。そして、アッベ数が一番小さいレンズ(1枚目のレンズ)に、副走査方向に、負のパワーを持たせた。
【0117】
ここで、表2(図16〜図21)について説明する。
【0118】
表2のY軸周り傾きから判る様に、LWは−0.053951729radian、LBは0.054553095radian、(LM:−0.017656744、LC:0.018259439)の傾きを持って光偏向装置5の反射面5a(ポリゴンミラーの反射面)に入射される。この時の光偏向装置5からの出射光は、振り角のセンタ値のときに、副走査方向に、LY:0.058975285、LB:−0.060432285radian(LM:0.019102133、LC:−0.021227532)となっており、副走査方向の最外郭を通る2つの光線LY、LBの、偏向器の偏向面である、ポリゴンミラー反射面からの副走査方向の出射角は、符号が反対で、絶対値はほぼ同じとなっている。
【0119】
以上により、光偏向装置5の反射面5aの一点に複数の光源からの光が集中することがなくなり、走査線の曲がりが抑えられ、この走査線の曲がりに起因する色ずれ(像の相対位置ずれ)を防止でき、結像特性が向上する。
【0120】
また、複数の光源からの光を反射面5aの一点に集中させることなく偏向させるため、偏向後の複数の光を効率的に分離することができる。
【0121】
次に、第2実施例について説明する。
【0122】
図9は、第2の実施例に係る光路図の副走査方向断面であって、副走査方向に引き伸ばしたものである。図10は、第2の実施例に係る主光線の光路図の副走査方向断面であって、副走査方向に引伸ばしたものである。図11は、図10の交差点付近の拡大図である。
【0123】
副走査方向の最外郭光LY、LBを偏向後光学系の系の光軸に対し、副走査方向に非対称な光路としている。
【0124】
偏向面である、光偏向装置5の反射面5aでの位置は、LY:−0.8675、LM:−0.338、LC:0.1305、LB:1.074であり、副走査方向の最外郭光線の主光線で、光路の一番上流側(偏向後光学系21側)で分離される光線(本実施例でいうとLY)の、光偏向装置5の反射面5a上での偏向後光学系21の光軸からの副走査方向の距離0.8675が、光路の一番下流側(像面側)で分離される光線(本実施例でいうとLB)の、上記距離1.074よりも小さい。
【0125】
副走査方向の最外郭光線の主光線が光軸と交わる位置が、光路の一番上流側(偏向後光学系21側)で分離される光線(本実施例でいうとLY)の方が、光路の一番下流側(像面側)で分離される光線(本実施例でいうとLB)よりも上流側に位置する。即ち、光偏向装置5側に近い位置となっている。
【0126】
光偏向装置5の反射面5aでの副走査方向位置は、LY:−0.8675、LM:−0.338、LC:0.1305、LB:1.074であり、反射面5aでの副走査方向のLYとLM間距離:0.5295、LMとLC間距離:0.4685、LCとLB間距離:0.9435となっている。一番下流側(像面側)で分離される光線間の距離(本実施例でいうとLCとLB)0.9435は、一番上流側(結像光学手段側)で分離される光線間の距離(本実施例でいうとLYとLM)0.5295よりも、光偏向装置5の反射面5a上での距離が大きくなっている。
【0127】
光路の一番下流側(像面側)で分離される2つの光線(本実施例でいうとLCとLB)の主光線が作る走査面の交わるポイントは、光路の一番上流側(偏向後光学系21側)で分離される2つの光線(本実施例でいうとLYとLM)の主光線が作る走査面の交わるポイントよりも、光路の下流側に位置する。即ち、光偏向装置5の反射面5aから遠い位置となっている。
【0128】
この場合も、上記第1の実施例と同様の作用、効果を奏する。
【0129】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明によれば、次のような優れた効果を奏することができる。
【0130】
偏向後の副走査方向両側の最外郭光を互いに非対称な光路とすることで、偏向手段の偏向面の一点に複数の光源からの光が集中することがなくなるって、走査線の曲がりが抑えられ、この走査線の曲がりに起因する色ずれ(像の相対位置ずれ)を防止でき、結像特性が向上する。
【0131】
また、複数の光源からの光を偏向手段の偏向面の一点に集中させることなく偏向させるため、偏向後の複数の光を効率的に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】偏向後光学系の光路の副走査方向断面図である。
【図2】光走査装置の光路をミラーによる折り返しを展開して平面方向から見た平面図である。
【図3】図2に示した平面方向と直交する方向(同光偏向装置の回転軸と垂直な方向)から見た状態であって、ミラーによる折り返しを展開せず、光偏向装置の反射点から被走査面までの間に配置される光学部材を通過する光ビームに関し、光偏向装置による偏向角が0°の位置で見た側面図である。
【図4】光偏向装置5の反射面5a面の出入り、光偏向装置5からの副走査方向出射角度、偏向後光学系21の副走査方向の特性、走査位置の副走査方向のずれの関係を説明するための図である。
【図5】光偏向装置5からの出射角を一定として、出射高さを振った際の光路を、近軸光線追跡式をつかって計算したグラフである。
【図6】光学素子主点位置での光線高さの差を1と固定し、入射高さの差、傾きの差を振った際の光路の差を示すグラフである。
【図7】第1の実施例に係る光路図の副走査方向断面であって、副走査方向に引伸ばしたものである。
【図8】第1の実施例に係る主光線の光路図の副走査方向断面であって、副走査方向に引伸ばしたものである。
【図9】第2の実施例に係る光路図の副走査方向断面であって、副走査方向に引伸ばしたものである。
【図10】第2の実施例に係る主光線の光路図の副走査方向断面で、副走査方向に引伸ばしたものである。
【図11】図10の交差点付近の拡大図である。
【図12】軸周り傾き等の値を示す図表である。
【図13】レンズに近軸パワーを示す図表である。
【図14】レンズ面係数を示す図表である。
【図15】レンズ面係数を示す図表である。
【図16】軸周り傾き等の値を示す図表である。
【図17】レンズに近軸パワーを示す図表である。
【図18】レンズ面係数を示す図表である。
【図19】レンズ面係数を示す図表である。
【図20】レンズ面係数を示す図表である。
【図21】レンズ面係数を示す図表である。
【符号の説明】
L:レーザビーム、3:レーザアレイ、4:各感光体ドラム、5:光偏向装置、7:合成ミラー、9:偏向前光学系、11:コリメートレンズ、13:絞り、15:シリンダレンズ、5a:反射面、21:偏向後光学系、23,25,27,29:結像レンズ、33,35,37:光路折り返し用平面ミラー、39:防塵ガラス。
Claims (8)
- 複数の光源からの光をその偏向後の走査面が副走査方向に交差するように偏向手段に入射し、当該偏向手段で偏向された複数の偏向光を分離手段でそれぞれ分離して、離れた複数の走査線上に導く光走査装置において、
上記偏向手段により偏向された複数の偏向光のうち副走査方向両側の最外郭光を、互いに非対称な光路とすることを特徴とする光走査装置。 - 複数の光源からの光をその偏向後の走査面が副走査方向に交差するように偏向手段に入射し、当該偏向手段の偏向面で偏向された複数の偏向光を偏向後光学系でそれぞれ分離して、離れた複数の走査線上に導く光走査装置において、
上記偏向手段により偏向された複数の偏向光のうち副走査方向両側の2つの最外郭光の主光線であって、光路の上流側で他と分離される光線と上記偏向後光学系の光軸との上記偏向面上での副走査方向距離が、光路の下流側で他と分離される光線と上記光軸との上記偏向面上での副走査方向距離よりも小さいことを特徴とする光走査装置。 - 複数の光源からの光をその偏向後の走査面が副走査方向に交差するように偏向手段に入射し、当該偏向手段の偏向面で偏向された複数の偏向光を偏向後光学系でそれぞれ分離して、離れた複数の走査線上に導き結像させる光走査装置において、
上記偏向手段により偏向された複数の偏向光のうち副走査方向両側の2つの最外郭光の主光線が上記偏向後光学系の光軸と交わる交点であって、光路の上流側で他と分離される最外郭光の主光線の交点が、光路の下流側で他と分離される最外郭光の主光線の交点よりも上流側に位置することを特徴とする光走査装置。 - 複数の光源からの光をその偏向後の走査面が副走査方向に交差するように偏向手段に入射し、当該偏向手段の偏向面で偏向された複数の偏向光を偏向後光学系でそれぞれ分離して、離れた複数の走査線上に導き結像させる光走査装置において、
一番下流側で互いに分離される2つの光線の上記偏向面上での距離が、一番上流側で互いに分離される2つの光線の上記偏向面上での距離よりも大きいことを特徴とする光走査装置。 - 複数の光源からの光をその偏向後の走査面が副走査方向に交差するように偏向手段に入射し、当該偏向手段の偏向面で偏向された複数の偏向光を偏向後光学系でそれぞれ分離して、離れた複数の走査線上に導き結像させる光走査装置において、
光路の一番下流側で互いに分離される2つの光線の主光線が作る走査面の交わるポイントが、光路の一番上流側で互いに分離される2つの光線の主光線が作る走査面の交わるポイントよりも、光路の下流側に位置することを特徴とする光走査装置。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光走査装置において、
上記偏向手段により偏向された複数の偏向光のうち副走査方向両側の最外郭光の主光線が、上記偏向手段の偏向面から、上記偏向後光学系の光軸に対して副走査方向にほぼ同じ傾きで逆方向に出射することを特徴とする光走査装置。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光走査装置において、
上記偏向後光学系が、アッベ数の異なる硝材を組み合わせた複数レンズによって構成されたことを特徴とする光走査装置。 - 請求項6に記載の光走査装置において、
アッベ数が一番小さいレンズに、副走査方向へ負のパワーを持たせたことを特徴とする光走査装置。
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