JP2007316115A - 走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 全ての被走査面上において像面湾曲、スポット回転、そして走査線湾曲を低減することができる走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置を得ること。
【解決手段】 光束を出射する光源手段と、光源手段から出射した光束を偏向走査する回転多面鏡と、回転多面鏡で偏向走査された光束を被走査面上に結像させる結像光学系とを有し、回転多面鏡は複数の異なる倒れ角をもつ偏向面を有しており、光源手段から出射した光束は該異なる倒れ角をもつ複数の偏向面で偏向しており、異なる倒れ角をもつ偏向面により偏向された光束はそれぞれ異なる倒れ角に対応した被走査面上に各々導光され、回転多面鏡への入射光束が副走査面となす角をθmi、回転多面鏡からの出射光束が副走査面となす角をθmoとするとき、0.8≦cos{(θmi−θmo)/2}を全ての角θmoにおいて満足すること。
【選択図】 図1

Description

本発明は走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置に関し、例えば電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタやデジタル複写機、マルチファンクションプリンタ(多機能プリンタ)等の画像形成装置に好適なものである。
従来よりレーザービームプリンタ(LBP)やデジタル複写機、マルチファンクションプリンタ等の走査光学装置においては画像信号に応じて光源手段から光変調され出射した光束を利用している。
この光束を、例えば回転多面鏡(ポリゴンミラー)より周期的に偏向させ、fθ特性を有する結像光学系によって感光性の記録媒体(感光ドラム)面上にスポット状に集束させている。
そして回転多面鏡の回動によって被走査面上を光走査して画像記録を行っている。
図13は従来の走査光学装置の要部概略図である。
同図において光源91から出射した発散光束はコリメータレンズ92により平行光束に変換され、絞り93によって該光束を制限して副走査断面内(副走査方向)にのみ所定の屈折力を有するシリンドリカルレンズ94に入射している。
シリンドリカルレンズ94に入射した略平行光束のうち主走査断面内(主走査方向)においてはそのままの状態で射出する。
また副走査断面内においては集束して光偏向器としての回転多面鏡(ポリゴンミラー)95の偏向面(反射面)95aにほぼ線像として結像している。
そして回転多面鏡95の偏向面95aで偏向された光束をfθ特性を有する結像光学系96を介して被走査面としての感光ドラム面97上に導光する。
そして回転多面鏡95を矢印A方向に回転させることによって、該感光ドラム面97上を矢印B方向(主走査方向)に光走査して画像情報の記録を行っている。
近年、オフィスにおけるドキュメントのカラー化が進み、レーザービームプリンタやデジタル複写機等の画像形成装置においてもカラー画像を高速に出力できることが求められている。
このような環境の下、カラー画像形成装置はその生産性の高さから走査光学装置や感光体、現像器を色相毎に用意し、それを並列に配置した所謂タンデム型のカラー画像形成装置が主流となっている。
このタンデム型の画像形成装置に用いる走査光学装置は従来より様々な形態の装置が知られている。(特許文献1参照)。
特許文献1では、ミラー面の倒れ角を4種類有するポリゴンミラー(回転多面鏡)を用いて、単一のレーザユニットからの光束を時分割で4色の感光ドラム面上に走査する走査光学装置を開示している。
このタイプの走査光学装置は従来、色毎に必要であった光源とその結像手段(入射光学系)を共通化することが可能となり、タンデムタイプの小型化及びコンパクト化に寄与するものである。
特開平11−218991号公報
しかしながらこのタイプの走査光学装置を実現させようとした場合、以下に示す問題点がある。
即ち、特許文献1の図2及び図3に開示されているような主走査面内における画像非有効部から光束を光偏向器に入射させるタイプでは、光偏向器から出射した光束の主走査面に対する角度(副走査方向の出射角)が画角により大きく異なるという問題点がある。
これは一定の倒れ角をもった偏向面が主走査方向に回転走査することにより該偏向面の法線が移動し、実効的な倒れ角が変化することにより生じるものである。
例えば図11(A)に示すようにXY平面において入射光束に対して偏向面が正対した状態で該偏向面がθt倒れている場合、出射光束はXY平面に対し2θt傾き出射される。
一方、図11(B)に示すとおり、偏向面が倒れ角θtを保ったままZ軸を回転中心として角度θa回転した場合、実効的な倒れ角はθt cosθaとなる。
よって、出射光束がXY平面に対してなす角も2θt cosθaと前者より小さくなる。
そして角度θaは画角により変化するため出射光束がXY平面に対してなす角も変化することとなる。
図12は比較例における回転多面鏡からの出射光束の主走査面に対する角度θsoの変化を示す図である。
同図においては偏向面の倒れ角θt=3.0°、入射光束が副走査面となす角θmi=90°、回転多面鏡からの最軸外出射光束が副走査面となす角θmo max=±45°としたときの出射光束の主走査面に対する角度θsoの変化を示している。
この比較例において上記角度θaは22.5〜67.5°と大きく変化するため、同図に示すように出射光束の主走査面に対する角度θsoの変化も2.3〜5.6°(変化率58.9%)と大きく変化する。
さらにこの角度変化は光軸に対し非対称に変化しているため、このような光束を被走査面上に走査線として結像させることは困難である。
本発明は全ての被走査面上において像面湾曲、スポット回転、そして走査線湾曲を低減することができる走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置の提供を目的とする。
請求項1の発明の走査光学装置は、
光束を出射する光源手段と、
該光源手段から出射した光束を偏向走査する回転多面鏡と、
該回転多面鏡で偏向走査された光束を被走査面上に結像させる結像光学系と、を有する走査光学装置において、
該回転多面鏡は複数の異なる倒れ角をもつ偏向面を有しており、
該光源手段から出射された光束は該異なる倒れ角をもつ複数の偏向面で偏向されており、
該異なる倒れ角をもつ偏向面により偏向された光束はそれぞれ異なる倒れ角に対応した被走査面上に各々導光され、
該回転多面鏡の偏向面へ入射した光束が前記結像光学系の光軸となす主走査方向の入射角度をθmi、該回転多面鏡の偏向面から出射した光束が該結像光学系の光軸となす主走査方向の出射角度をθmoとするとき、
0.8≦cos{(θmi−θmo)/2}
を全ての主走査方向の出射角度θmoにおいて満足することを特徴としている。
請求項2の発明は請求項1の発明において、
前記主走査方向の入射角度θmiが、
|θmi|≦10
を満足することを特徴としている。
請求項3の発明は請求項1の発明において、
前記回転多面鏡の偏向面へ入射した光束が前記結像光学系の光軸となす副走査方向の入射角度をθsi、該回転多面鏡から出射した光束が該結像光学系の光軸となす副走査方向の出射角度をθsoとするとき、前記異なる倒れ角をもつ偏向面により偏向された複数の光束全てにおいて、
|θsi|<|θso|
を満足することを特徴としている。
請求項4の発明は請求項3の発明において、
前記副走査方向の入射角度θsiが、
|θsi|≦2
を満足することを特徴としている。
請求項5の発明は請求項1から4の何れか1項の発明において、
前記被走査面の数は前記回転多面鏡の偏向面の数の倍数、もしくは約数であることを特徴としている。
請求項6の発明は請求項1から5の何れか1項の発明において、
前記被走査面の数は前記光源手段の数の倍数であることを特徴としている。
請求項7の発明は請求項1から6の何れか1項の発明において、
前記光源手段は複数の発光部を有することを特徴としている。
請求項8の発明は請求項1から7の何れか1項の発明において、
前記光源手段から出射した光束は前記結像光学系の一部もしくは全部の結像光学素子を介し前記回転多面鏡に至ることを特徴としている。
請求項9の発明のカラー画像形成装置は、
請求項1から8のいずれか1項に記載の走査光学装置と、前記複数の被走査面に配置された複数の感光体と、前記走査光学装置で走査された光束によって前記複数の感光体上に形成された静電潜像をトナー像として現像する複数の現像器と、前記現像されたトナー像を被転写材に転写する複数の転写器と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器とを有することを特徴としている。
請求項10の発明のカラー画像形成装置は、
請求項1から8のいずれか1項に記載の走査光学装置と、外部機器から入力したコードデータを画像信号に変換して前記走査光学装置に入力せしめるプリンタコントローラとを有していることを特徴としている。
本発明によれば全ての被走査面上において像面湾曲、スポット回転、そして走査線湾曲等の光学特性を良好に補正することが可能となり、これにより小型でかつ高精細印字に適した走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置を達成することができる。
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
図1は本発明の実施例1における走査光学装置の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)である。
図2(A),(B)は各々本発明の実施例1における走査光学装置の副走査方向の要部断面図(副走査断面図)である。
本実施例における走査光学装置は偏向面の角度を4種類に傾けた回転多面鏡(ポリゴンミラー)を有する。
そして回転多面鏡の1つの面に対して一色分のデータ(例えばC(シアン)、BK(ブラック)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)等の色分)を順番に照射し、カラー画像を形成するものである。
尚、図2(A),(B)は簡単のためC(シアン)、BK(ブラック)感光体へ向かう光束の要部断面図のみ図示しているが、不図示のM(マゼンタ)、Y(イエロー)感光体へ向かう光路も存在する。
ここで主走査方向とは回転多面鏡の回転軸と後述する第2の光学系(結像光学系)の光軸に垂直な方向(光束の走査方向)を示し、副走査方向とは回転多面鏡の回転軸と平行な方向(像担持体の移動方向)を示す。
さらに主走査面とは回転多面鏡の回転軸に直交し、かつ画像中央部に向かう光束の偏向面上の偏向点を含む面、副走査面とは主走査面と直交し、かつ第2の光学系の光軸を含む面と定義する。
本実施例において光源手段である半導体レーザ1から出射された光束は第1の光学系としての集光レンズ(コリメータレンズ)2により発散光束に変換された後、絞り3により光束幅を制限される。
その後、光束は副走査方向のみ屈折力(パワー)を有するシリンドリカルレンズ4に入射し、さらに主走査方向に屈折力を有する結像光学系6の一部を通過する。
そして副走査方向は回転多面鏡(ポリゴンミラー)5の偏向面5a(5c,5k,5y,5m)近傍に一旦結像する。また主走査方向は平行光束に変換され、回転多面鏡5の偏向面5a(5c,5k,5y,5m)に入射する。
回転多面鏡5はモーター等の駆動手段(不図示)により図中矢印A方向に一定速度で回転している。本実施例における回転多面鏡5は上記の如く複数の異なる面倒れ角を有する偏向面5a(5c,5k,5y,5m)から成っている。
回転多面鏡5により偏向走査された光束は偏向面5aにより異なる4通りの副走査方向の出射角を与えられ、fθ特性を有する結像光学系6に入射する。
本実施例において結像光学系6は主走査方向のみ屈折力を有する結像光学素子としての非球面シリンダレンズ61と、主に副走査方向に屈折力を有する結像光学素子としての非球面トーリックレンズ62より構成される。
ここで非球面シリンダレンズ61は4本の光束で共用されており、非球面トーリックレンズ62はそれぞれの光束に対して1枚ずつ計4枚(62c,62k,62m.62y)配置されている。
そしてこれらの光束は不図示の折り返しミラーにより偏向された後、被走査面であり、C、M、Y、Bkに対応する4つの感光ドラム面8(8c,8k,8y,8m)上に導光される。
そして回転多面鏡5を図中矢印A方向に回転させることによって、感光ドラム面8上を図中矢印B方向(主走査方向)に光走査している。これにより感光ドラム面8上に走査線を形成し、カラー画像記録を行っている。
尚、図2は上記の如く偏向面毎の光路を示しており、そのうちのC、BK光路のみ図示している。さらに回転多面鏡から被走査面までの光路を直線上に描いている。
しかし実際には非球面シリンダレンズ61と非球面トーリックレンズ62間に配置された折り返しミラーにより光路が偏向され、各色C、M、Y、Bkに対応する感光ドラム面8(8c,8k,8y,8m)へ導光されている。
尚、集光レンズ2、シリンドリカルレンズ4、非球面トーリック61等の各要素は入射光学系の一要素を構成している。また集光レンズ2とシリンドリカルレンズ4を1つの光学素子(アナモフィックレンズ)として一体的に構成しても良い。
図3は本実施例の回転多面鏡の要部斜視図、図4は本実施例の回転多面鏡の要部断面図である。
ここで図3、図4を用い異なる面倒れ角を有する回転多面鏡に関し説明する。
本実施例の回転多面鏡5における偏向面数は4面であり、その偏向面の面倒れ角は偏向面5c:+3°、偏向面5m:+1.5°、偏向面5y:−1.5°、偏向面5k:−3°であり、面倒れ数は4通りである。
ここで「面倒れ角」とは、回転多面鏡5の回転軸に対して傾いている角度である。尚、各偏向面の面倒れ角の差分は1°以上であることが望ましい。
このように本実施例では全ての偏向面5c,5m.5y,5kが異なる面倒れ角を有し、ぞれぞれの偏向光束を異なる色相の感光ドラム面上に導光するような分離素子としての役割も担っている。
各偏向面5c,5m.5y,5kの面倒れ角差を1.5°と3°とし、均等にしていないのは、後述する光軸上(θsi=0°)から光束を入射させるためである。
尚、本実施例において光源数は1個、偏向面数は4面、面倒れ数は4通り、被走査面数は4面としているが、本実施例はこれに限定されることなく、例えば以下の表1のような組み合わせにおいても効力を発揮する。
つまり被走査面の数は回転多面鏡の偏向面の約数であれば良く、また被走査面の数は偏向面の面倒れ数の倍数であれば良く、さらに被走査面の数は光源手段の数の倍数であれば良いことが分かる(約数、倍数は1を含む)。
なお光源数が2とは後述する実施例2に示す如く一つの回転多面鏡の異なる偏向面に同時に光束を入射させ対向走査させることを意味している。
また本実施例においては1色当たりの偏向面は実質的に1面となってしまうが、装置の高速化、高解像化にあたっては一つの光源手段当たりの発光部(発光点)数を増やす、つまりマルチビーム光源を用いることにより解決可能である。
次に回転多面鏡への入射光束の入射角について説明する。
先に説明したとおり面倒れ角を有する偏向面による走査では、出射光束の主走査面に対する角度が走査角に応じて変化する。
ここで偏向面の面倒れ角をθt、回転多面鏡への入射光束が副走査面となす角、つまり主走査方向における入射角をθmi、回転多面鏡からの出射光束が副走査面となす角、つまり回転多面鏡からの出射光束が結像光学系の光軸となす主走査方向における出射角をθmoとする。
このとき出射光束の主走査面に対する角度θso(θmo)は、
θso(θmo)=2θtcos{(θmi−θmo)/2} ‥‥(1)
と記すことができる。
上記式(1)の右辺は入射光束に対し偏向面が正対したときに最大値となり、その値が2θtとなることから、出射光束の主走査面に対する角度の走査角に対する比は、
θso(θmo)/θso max=cos{(θmi−θmo)/2} ‥‥(2)
となる。ここで比は1となるのが好ましい。
出射光束の主走査面に対する角度の走査角に対する比が小さいと走査線の湾曲補正やスポット回転補正が困難となり、走査光学装置として十分な性能を得ることができない。
このため、この比は0.8以上、望ましくは0.9以上とする必要がある。
したがって、
0.8≦cos{(θmi−θmo)/2} ‥‥(3)
さらに望ましくは、
0.9≦cos{(θmi−θmo)/2} ‥‥(3a)
を満足するよう入射角を設定するのが良い。
ここで角度θmo、θmiは有効走査範囲内での角度を対象としている。
具体的には、回転多面鏡への入射光束が結像光学系の光軸となす主走査方向における入射角(回転多面鏡への入射光束が副走査面となす角)θmiは、
|θmi|≦10 ‥‥(4)
さらに望ましくは
θmi=0 ‥‥(4a)
とするのが良い。
一方、副走査方向における入射角、つまり入射光束が主走査面となす角θsiは光偏向器からの出射光束が主走査面となす角θsoより小さくする必要がある。
即ち、
|θsi|<|θso| ‥‥(5)
とするのが良い。
より具体的には、入射光束が主走査面と成す角θsiを、
|θsi|≦2 ‥‥(6)
さらに望ましくは
θsi=0 ‥‥(6a)
とするのが良い。
これは副走査方向の偏向角が大きいと結像光学素子の収差補正が難しくなること、一つの被走査面に向かう光束を偏向する偏向面が複数ある場合、回転多面鏡の面偏心による照射位置変化(ピッチムラ)が発生するためである。
またこのような配置故、結像光学素子のうち回転多面鏡近傍の結像光学素子を回避して該回転多面鏡へ光束を入射させることは実質的に困難である。
そこで本実施例では回転多面鏡へ入射する光束を結像光学系の一部もしくは全部の結像光学素子を通過させる、所謂ダブルパス光学系より構成している。
本実施例では回転多面鏡からの出射光束の主走査面に対する角度が走査角に応じて変化することを低減するため、光源手段からの光束を非球面シリンダレンズ61の光軸上を通過させて回転多面鏡5に入射させている。
つまり回転多面鏡への入射光束が副走査面となす角θmi、主走査面となす角θsiをともに0°としている。
これにより上式(2)は、
θso(θmo)/θso max=cos(θmo/2)
となり、本実施例における最大走査角θmo maxが±45°であることから、
θso min/θso max=0.92
となる。これは上記条件式(3)及び(3a)を満足している。
図5に本実施例における回転多面鏡からの出射光束の主走査面に対する角度θsoの変化を示す。
同図及び上記数値計算より、全画角において出射光束の主走査面に対する角度は5.5〜6.0°であり、変化率にして約8%となっており、前述の図12に示す比較例に対し十分低減されていることが分かる。
また光軸に対して非対称であった角度変化も対称となっており、光軸に対して対称な形状を有するレンズで収差補正が可能となっている。さらに副走査方向の偏向角を最低限とすることで、走査光学装置として十分な光学性能を確保している。
表2に本実施例における走査光学装置の設計値、図6にM(マゼンタ)光路、偏向面倒れ角θt=3.0°における近軸性能(図中上から像面湾曲、歪曲収差、走査線湾曲、副走査倍率一様性)を示す。
同図より偏向面からの出射光束の主走査面に対する角度変化を低減したことにより、走査光学装置の諸収差(像面湾曲、歪曲収差、走査線湾曲、副走査倍率一様性)は良好に補正されていることが分かる。
本実施例における結像光学素子の面形状の表現式は以下のとおりである。なお結像光学素子の形状は10次までの関数として表せる非球面形状により構成している。
例えば、結像光学素子と光軸との交点を原点とし、光軸方向をX軸、主走査断面内において光軸と直交する軸をY軸としたとき、主走査方向と対応する母線方向が、
(但し、Rは母線曲率半径,K,B4,B6,B8,B10は非球面係数)
なる式で表されるものである。
また副走査方向と対応する子線方向が、
なる式で表されるものである。
Sは母線方向の各々の位置における母線の法線を含み主走査面と垂直な面内に定義される子線形状である(即ちSは母線の法線方向の長さである。)。
ここで主走査方向に光軸からY離れた位置における副走査方向の曲率半径(子線曲率半径)Rs*が、
(但し、Rsは光軸上の子線曲率半径,D2,D4,D6,D8,D10は子線変化係数)
なる式で表されるものである。
なお結像光学素子の面形状表現式及び非球面係数の次数はこれに限ることなく、他においても本発明の効果を得られることは明白である。
さらに本実施例においては、偏向面の倒れによって発生する被走査面上のスポット回転、走査線湾曲を補正するため、非球面トーリックレンズ62はその光軸を主走査面に垂直な方向へ偏心させ配置されている。
その偏心量は偏向面の倒れ角により異ならせる必要があるため、c、m、y、k各々の非球面トーリックレンズにおいて異なっている。
このように本実施例では4面の被走査面に対して光源手段、入射光学系を1つに共用化することが可能となり、そのときの課題であった回転多面鏡からの出射光束の主走査面に対する角度の変化率を低減している。
これにより結像光学素子の面形状を複雑にすることなく、該結像光学素子のZ方向(副走査方向)の偏心のみで、像面湾曲、走査線湾曲、波面収差を補正することを可能としている。
図7は本発明の実施態様のカラー画像形成装置の要部概略図である。
図7において、160はカラー画像形成装置、110は実施例1に示した構成を有する走査光学装置、121,122,123,124は各々像担持体としての感光ドラム(感光体)、131,132,133,134は各々現像器、151は搬送ベルトである。
尚、装置内には複数の現像器131,132,133,134で現像されたトナー像を被転写材に転写する複数の転写器(不図示)や、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器(不図示)等が配置されている。
図7において、カラー画像形成装置160には、パーソナルコンピュータ等の外部機器152からR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色信号が入力する。
これらの色信号は、装置内のプリンタコントローラ153によって、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、B(ブラック)の各画像データ(ドットデータ)に変換される。
これらの画像データは、それぞれ走査光学装置110に入力される。そして、走査光学装置110からは、各画像データに応じて変調された光ビーム141,142,143,144が出射され、これらの光ビームによって感光ドラム121,122,123,124の感光面が主走査方向に走査される。
本実施例におけるカラー画像形成装置は上述の如く走査光学装置110からの各々の画像データに基づいた4本の光ビームを用いて各色の潜像を各々対応する感光ドラム121,122,123,124面上に形成している。その後、記録材に多重転写して1枚のフルカラー画像を形成している。
前記外部機器152としては、例えばCCDセンサを備えたカラー画像読取装置が用いられても良い。
この場合には、このカラー画像読取装置と、カラー画像形成装置160とで、カラーデジタル複写機が構成される。
このように本実施例では上述の如く異なる面倒れ角を有する偏向面からなる回転多面鏡を用いた走査光学装置において、該回転多面鏡への主走査方向及び副走査方向の入射角を最適な範囲に設定している。
これにより同走査光学装置の課題であった回転多面鏡からの出射光束の主走査面に対する角度変化を低減することが可能となる。さらに全ての被走査面上において像面湾曲、スポット回転、走査線湾曲等の光学特性を良好に補正することが可能となり、小型でかつ高精細印字に適した走査光学装置及びそれを用いたカラー画像形成装置を実現することができる。
なお、本実施例固有の特徴として、4面の被走査面に対して光源手段、入射光学系を1つに共通化することが可能となること、出射光束の主走査面に対する角度変化が光軸対称となり結像光学素子を光軸対称で製作できること等が挙げられる。これにより容易な構成で一層の小型化を可能とすることができる。
図8は本発明の実施例2における走査光学装置の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)である。
図9(A),(B)は各々本発明の実施例2における走査光学装置の副走査方向の要部断面図(副走査断面図)である。
図8、図9において前記図1、図2に示した要素と同一要素には同符番を付している。尚、図8、図9においては回転多面鏡に対して左右の光学系の構成が同一のため、左側の光学系の一部を省略して図示している。
本実施例において前述の実施例1と異なる点は光源手段の数を2個にし、一つの回転多面鏡5の異なる偏向面に同時に光束を入射させ対向走査させ、より高速走査に適応させた点である。
さらに主走査方向における入射角(入射光束の副走査面に対する角度)θmiを変更した点である。その他の構成及び光学的作用は実施例1と同様であり、これにより同様な効果を得ている。
即ち、本実施例において走査光学装置の光源数は2個であり、一つの回転多面鏡5の異なる偏向面上に同時に光束を入射させ、該回転多面鏡5を挟み対向方向に同時に光束を走査させている。
したがって被走査面8(8c,8k,8y,8m)の数を前述の実施例1と同様に4面とする場合、面倒れ数は2通りでよく、実質的に2面回転多面鏡とすることができる。さらに光源手段中の発光部数が同一であれば、実施例1と比較して相対的に高速走査可能となる。
次に本実施例の回転多面鏡5への入射光束の入射角について説明する。
本実施例においても前述の実施例1と同様、光源手段1からの光束を非球面シリンドリカルレンズ61を含む入射光学系を通過させて回転多面鏡5へ導光しているものの、光軸上は通過させず入射光束が副走査面となす角θmiを10°としている。
尚、入射光束が主走査面となす角(副走査方向における入射角)θsiは前述の実施例1と同様0°としている。
これは回転多面鏡5への入射光束が非球面シリンドリカルレンズ61に入射するときに生じる表面反射による静止ゴーストを避けるためである。
また入射光束が副走査面となす角(主走査方向における入射角)θmiを10°とすることにより、被走査面への静止ゴーストの遮光を容易とするとともに、光源手段1への戻り光も低減している。
図10に本実施例における回転多面鏡からの出射光束の主走査面に対する角度θsoの変化を示す。
本実施例においても前述の実施例1と同様、θmo max=±45°、θt=3°であり、上述のθmi=10°を考慮すると、出射光束の主走査面に対する角度の走査角に対する比は、
θso min/θso max=cos{(θmi−θmo max)/2}
=0.89
となる。これは上記条件式(3)を満足している。
同図及び上記数値計算より、全画角において出射光束の主走査面に対する角度は5.3〜6.0°であり、変化率にして約11%となっており、前述の図12に示す比較例に対し十分低減されていることが分かる。
尚、本実施例においても実施例1と同様、偏向面からの出射光束の主走査面に対する角度変化を低減したことにより、走査光学装置の諸収差(像面湾曲、歪曲収差、走査線湾曲、副走査倍率一様性)は良好に補正されている。
このように本実施例では上述の如く異なる面倒れ角を有する偏向面からなる回転多面鏡を用いた走査光学装置において、該回転多面鏡への主走査方向及び副走査方向の入射角を最適な範囲に設定している。
これにより同走査光学装置の課題であった回転多面鏡からの出射光束の主走査面に対する角度変化を低減することが可能となる。
さらに全ての被走査面上において像面湾曲、スポット回転、走査線湾曲等の光学特性を良好に補正することが可能となり、小型でかつ高精細印字に適した走査光学装置及びそれを用いたカラー画像形成装置を実現することができる。
尚、本実施例の固有の特徴として、一つの回転多面鏡に対し光源手段を対向させ光束入射させることにより、実施例1と比較して相対的に高速走査が可能なことである。
また光源手段からの入射光束が副走査面となす角θmiを微少な有限角とすることにより、結像光学素子からのゴースト光の除去を容易にすることが可能である。
これにより本実施例では小型のみならず高速で、しかも高精細に適した走査光学装置の実現を可能としている。
本発明の実施例1における走査光学装置の主走査断面図 本発明の実施例1における走査光学装置の副走査断面図 本発明の実施例1における回転多面鏡の斜視図 本発明の実施例1における回転多面鏡の断面図 本発明の実施例1における回転多面鏡からの出射光束の主走査面に対する角度変化を示す図 本発明の実施例1における走査光学装置の近軸性能を示す図 本発明の実施例1における画像形成装置を示す図 本発明の実施例2における走査光学装置の主走査断面図 本発明の実施例2における走査光学装置の副走査断面図 本発明の実施例2における回転多面鏡からの出射光束の主走査面に対する角度変化を示す図 倒れ角を有する偏向面により偏向された光束の出射角の変化を説明する説明図 比較例における回転多面鏡からの出射光束の主走査面に対する角度変化を示す図 従来の走査光学装置における要部斜視図
符号の説明
1 光源手段
2 集光レンズ
3 絞り
4 シリンドリカルレンズ
5 回転多面鏡(ポリゴンミラー)
5a(5c,5k,5y,5m) 偏向面
6 第2の光学系
61 非球面シリンダレンズ
62 非球面トーリックレンズ
8(8c,8k) 被走査面(感光ドラム)
110 走査光学装置
121、122、123、124 像担持体(感光ドラム)
131、132、133、134 現像器
141、142、143、144 光ビーム
151 搬送ベルト
152 外部機器
153 プリンタコントローラ
160 カラー画像形成装置

Claims (10)

  1. 光束を出射する光源手段と、
    該光源手段から出射した光束を偏向走査する回転多面鏡と、
    該回転多面鏡で偏向走査された光束を被走査面上に結像させる結像光学系と、を有する走査光学装置において、
    該回転多面鏡は複数の異なる倒れ角をもつ偏向面を有しており、
    該光源手段から出射された光束は該異なる倒れ角をもつ複数の偏向面で偏向されており、
    該異なる倒れ角をもつ偏向面により偏向された光束はそれぞれ異なる倒れ角に対応した被走査面上に各々導光され、
    該回転多面鏡の偏向面へ入射した光束が前記結像光学系の光軸となす主走査方向の入射角度をθmi、該回転多面鏡の偏向面から出射した光束が該結像光学系の光軸となす主走査方向の出射角度をθmoとするとき、
    0.8≦cos{(θmi−θmo)/2}
    を全ての主走査方向の出射角度θmoにおいて満足することを特徴とする走査光学装置。
  2. 前記主走査方向の入射角度θmiが、
    |θmi|≦10
    を満足することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
  3. 前記回転多面鏡の偏向面へ入射した光束が前記結像光学系の光軸となす副走査方向の入射角度をθsi、該回転多面鏡から出射した光束が該結像光学系の光軸となす副走査方向の出射角度をθsoとするとき、前記異なる倒れ角をもつ偏向面により偏向された複数の光束全てにおいて、
    |θsi|<|θso|
    を満足することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
  4. 前記副走査方向の入射角度θsiが、
    |θsi|≦2
    を満足することを特徴とする請求項3に記載の走査光学装置。
  5. 前記被走査面の数は前記回転多面鏡の偏向面の数の倍数、もしくは約数であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の走査光学装置。
  6. 前記被走査面の数は前記光源手段の数の倍数であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の走査光学装置。
  7. 前記光源手段は複数の発光部を有することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の走査光学装置。
  8. 前記光源手段から出射した光束は前記結像光学系の一部もしくは全部の結像光学素子を介し前記回転多面鏡に至ることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の走査光学装置。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の走査光学装置と、前記複数の被走査面に配置された複数の感光体と、前記走査光学装置で走査された光束によって前記複数の感光体上に形成された静電潜像をトナー像として現像する複数の現像器と、前記現像されたトナー像を被転写材に転写する複数の転写器と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器とを有することを特徴とするカラー画像形成装置。
  10. 請求項1から8のいずれか1項に記載の走査光学装置と、外部機器から入力したコードデータを画像信号に変換して前記走査光学装置に入力せしめるプリンタコントローラとを有していることを特徴とするカラー画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007322876A (ja) * 2006-06-02 2007-12-13 Toshiba Corp 光走査装置、画像形成装置、光走査方法
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