JP3802248B2 - マルチビーム走査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、マルチビーム走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
被走査面における複数走査線を同時に走査する「マルチビーム走査装置」が実用化されつつある。マルチビーム走査装置は、機械的な無理なしに走査による画像書込みを高速化できるメリットを有する。
ビーム(この明細書において「光ビーム」を意味する)を偏向する偏向器や走査光学系を「複数ビームに対して共通化」するために、同時に走査を行う複数のビームを「互いに近接したビーム群」として合成するビーム合成手段として、偏光分離膜を有する合成プリズムと1/2波長板を組み合わせたビーム合成手段が知られているが、合成プリズムや1/2波長板が高価であるため、マルチビーム走査装置の低コスト化の面で問題無しとしない。
このような高価なビーム合成手段を用いることなく、偏向器や走査光学系を複数ビームに共通化したマルチビーム走査装置が特開平9−146024号公報に開示されている。このマルチビーム走査装置では、複数光源からの各ビームは、互いに主走査方向において間隔を狭めつつ、偏向器の偏向反射面に入射するように構成されている。
【0003】
ところで、ポリゴンミラーに代表される偏向器は、ビームを反射する偏向反射面と、その回転軸が合致せず、これらは所定距離離れている。また、所謂「面倒れ」を補正するため、一般に光源側からのビームは、偏向反射面の近傍に主走査方向に長い線状に集光される。
偏向反射面とその回転軸とが所定距離離れていると、偏向反射面の回転に伴い、上記線状の集光部と偏向反射面とが相対的にずれる「サグ」が不可避的に発生する。上記線状の集光部は、被走査面上のスポットに対する、副走査方向における物点であり、物点としての線状の集光部がサグにより変動すると、走査光学系の像面湾曲、特に副走査像面湾曲(副走査方向の像面湾曲を云う)が劣化し、リニアリティ等の等速性も劣化し、スポット径(被走査面上に形成されるスポットの径)が大きくなって解像度の高い書込みができなくなってしまう。
サグは、走査光学系の光軸に対して非対称に発生するので、サグによる像面湾曲の劣化を補正する方法として、走査光学系に含まれるレンズのレンズ面の形状を主・副走査方向とも非対称な形状とする方法が知られている(特開平10−1488785号公報)。
マルチビーム走査装置において、上記特開平9−146024号公報開示のように光源側を構成し、面倒れ補正を行うため、各ビームを偏向器の偏向反射面近傍に主走査方向に長い線状に集光させると、各偏向ビームに対してサグが発生することになる。
このとき発生するサグは偏向ビームごとに異なっている。このため、特開平10−1488785号公報の補正方法を適用しても、1ビームに対しては像面湾曲の劣化を補正できても、他のビームでは、像面湾曲・等速性・スポット径等の光学特性はかえって劣化の程度がひどくなるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、マルチビーム走査装置に高価なビーム合成手段を用いず、各ビームにつき良好な光学特性を実現することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明のマルチビーム走査装置は、複数の光源と、複数の第1光学系と、第2光学系と、偏向器と、第3光学系とを有する。
「複数の光源」は、それぞれ独立にビームを放射する。
「複数の第1光学系」は、複数の光源をそれぞれ以後の光学系にカップリングする。即ち、複数の光源から放射されたビームの形態を、以後の光学系に適した光束形態とする。カップリング作用は、カップリング後のビームの形態を「平行光束」とするようなものでもよいし、「収束光束あるいは発散光束」とするようなものであってもよい。
第1光学系の数は、光源の数と同一でも良いし異なっても良い。例えば、光源の数が3である場合に、第1光学系の数を2とし、第1光学系の1つが、第1の光源をカップリングし、他の第1光学系が「第2および第3の光源をカップリングする」ようにすることもできる。
第2光学系は、複数の第1光学系からの各ビームを、主走査方向に長く、略線状に集光する。第2光学系としては、凸のシリンダレンズや凹シリンダミラーを用いることができるが、これに限らず、主・副走査方向にパワーを持つアナモフィックなレンズやミラーを用いることもできる。
「偏向器」は、各ビームの略線状の集光部の近傍に偏向反射面を有し、第2光学系側からの複数ビームを等角速度的に偏向するものであるが、偏向反射面とその回転軸が一定距離離れている。偏向器としてはポリゴンミラーや回転単面鏡、回転2面鏡等を用いることができる。
「第3光学系」は、偏向器により偏向された複数の偏向ビームを、これら複数の偏向ビームに共通の被走査面に向けて集光させ、被走査面の複数走査線を略等速的に走査する光学系であって、1以上のレンズを含む。即ち、第3光学系は、単一のレンズで構成することもできるし、2枚以上のレンズで構成することもでき、1以上のレンズのほかに、結像ミラー(結像機能を持つミラー)を有することもできる。
そして、第2光学系側からの複数ビームは、第3光学系における主走査方向の同じ側から偏向反射面に向かい、かつ、第2光学系から射出して偏向反射面に入射する複数のビームのうち少なくとも2つは偏向回転面内で開き角を有する。
「偏向回転面」は、偏向器における「偏向反射面の回転軸に直交する平面」を云い、上記「開き角」は、上記複数のビームのうちの少なくとも2つのビームの主光線を偏向回転面に、回転軸方向から射影した射影成分が、偏向反射面の側から第2光学系の側へ向かって、即ち、入射方向と逆方向に向かって「末広がりに開く角」をいう。
第3光学系の少なくとも1つの面(レンズ面もしくはミラー面)は、上記少なくとも2つのビームについて「副走査像面湾曲を補正するように、副走査曲率半径の主走査方向の変化が、対称軸を持たない非対称な形状」となっている。
第3光学系に含まれる結像素子の面には特殊な面形状が含まれる。このため、これら結像素子においては、面形状の対称軸としての光軸が存在するとは限らない。そこで、主走査方向に就き座標:Y、副走査方向に就き座標:Zとして、これらに直行する方向の座標軸:Xを考え、上記結像素子の面形状をX=f(Y,Z)と考え、面形状の中央部分にX軸を設定し、このX軸と面形状の交点位置をY,Z座標の0点とするとき、上記X軸をもって「光軸」とする。結像素子が、レンズであるときには、その両面に関するX軸が共通化され、したがって、この共通化されたX軸が光軸である。レンズ面では、X軸がY,Z座標に関する原点であり、この原点位置を「レンズ面の頂点」と呼べば、レンズ光軸は「レンズ両面の頂点を結ぶ直線」である。
このように面形状を考えるとき、XY面を「主走査断面」と呼び、主走査断面内における面形状を「主走査断面形状」という。また、XZ面に平行な面を「副走査断面」と呼び、この副走査断面内における面形状を「副走査断面形状」と呼ぶ。副走査断面形状における曲率半径が上記「副走査曲率半径」である。
副走査曲率半径の主走査方向における変化が「対称軸を持たない」とは、副走査曲率半径をrs(Y)とするとき、rs(Y)が対称軸を持たないことを云う。
なお、この発明のマルチビーム走査装置は、偏向器と被走査面との間に、第3光学系のほかに、光学系のレイアウトに応じて、光路屈曲用の折り返しミラーを1面以上有することができる。
以上の構成は、請求項1、2記載のマルチビーム走査装置に共通の構成であり、請求項1、2記載のマルチビーム走査装置の各特徴については後述する。
【0006】
上記のマルチビーム走査装置において、第3光学系の少なくとも1つの面(少なくとも2つのビームについて副走査像面湾曲を補正するように副走査曲率半径の主走査方向の変化が対称軸を持たない面と同じ面でも、異なる面でもよい)は、その主走査断面形状が、上記少なくとも2つのビームについて主走査像面湾曲(主走査方向の像面湾曲を云う)を補正するように、対称軸を持たない形状とすることができる(請求項4)。
次に、偏向器により偏向された各ビームの主光線が、被走査面上の走査線の方向と直交する状態を考える。ここで云う「主光線が、被走査面上の走査線の方向と直交する」とは、上記主光線が、第3光学系の結像作用の影響を受けない状態において、走査線の方向と直交する状態を云い、第3光学系を除いた状態において、マルチビーム走査装置の装置空間に対して一義的に定まる。
そこで、請求項1または2記載のマルチビーム走査装置において、偏向器により偏向された各ビームの主光線が、被走査面上の走査線の方向と直交するときの各主光線を「基準線」とするとき、第3光学系の少なくとも1つの結像素子(レンズもしくは結像ミラー)を、その光軸が、全ての基準線からみて「第2光学系側から偏向反射面に向かう光束側」にシフト(平行移動)するようにして配備することができる(請求項5)。全ての基準線は、これを前記「偏向回転面」に偏向器の回転軸方向から射影すれば、互いに平行になるが、特殊な場合として、全ての基準線もしくは一部の基準線の射影が互いに重なり合う場合も含まれる。
【0007】
上記請求項1または2または3または4または5記載のマルチビーム走査装置において、第3光学系の、少なくとも1つの結像素子(レンズまたは結像機能を持つミラー)を、基準線に対して、偏向回転面内でチルトして(光軸を偏向回転面内で基準線に対して傾けて)配備することができる(請求項6)。
請求項1記載のマルチビーム走査装置においては、上記開き角を有する2つのビームのうちの1つのビームの、両最周辺像高での副走査結像位置(副走査像面湾曲量)をS1(+),S1(-)、他の1つのビームの両最周辺像高での副走査結像位置をS2(+),S2(-)とするとき、これらが条件:
(S1(+)-S1(-))×(S2(+)-S2(-))<0 (1)
を満足する。
また請求項2記載のマルチビーム走査装置においては、上記開き角を有する2つのビームのうちの1つのビームの、両最周辺像高での主走査結像位置(主走査像面湾曲量)をM1(+),M1(-)、他の1つのビームの両最周辺像高での主走査結像位置をM2(+),M2(-)とするとき、こられが条件:
(M1(+)-M1(-))×(M2(+)-M2(-))<0 (2)
を満足する。
請求項3記載のマルチビーム走査装置においては、この条件(2)とともに、上記の条件(1)が満足される。
上記請求項1〜6の任意の1に記載のマルチビーム走査装置において、複数の光源を「2つの半導体レーザ」とし、第2光学系を「2つの半導体レーザからのビームに共通化されたシリンダレンズ」とし、偏向器を「ポリゴンミラー」とすることができる(請求項7)。また、請求項1〜7の任意の1に記載のマルチビーム走査装置において、第3光学系を2枚のレンズにより構成することができる(請求項8)。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1において、符号1,2は「複数の光源」としての2個の半導体レーザ(以下、LDと略記する)を示している。符号3,4は「複数の第1光学系」としてのカップリングレンズを示す。符号5は「第2光学系」としてのシリンダレンズを示し、符号7は「偏向器」としてのポリゴンミラー、符号7Bは偏向反射面、符号7Aは偏向反射面7Bの「回転軸」を示している。
符号11,12は第3光学系を構成する2個のレンズを示す。以下、レンズ11を「第1レンズ」、レンズ12を「第2レンズ」と称する。符号20は「被走査面」を示す。被走査面20は、実体的には「光導電性の感光体の感光面」である。また、第1レンズ11、第2レンズ12のそれぞれにつき、偏向反射面側の面を「第1面」、被走査面20側の面を「第2面」という。
図1の図面は、偏向反射面7Bの回転軸7Aに直交する「偏向回転面」を示している。LD1,2から放射された各ビームは、対応するカップリングレンズ3,4により以後の光学系に適合するビーム形態に変換される。カップリングされた各ビームは、前述の如く、平行光束となってもよいし、発散性もしくは収束性の光束となることもできるが、この実施の形態では、後述の具体的な実施例に示すように「弱い収束性の光束」とされる。
カップリングされた2ビームはシリンダレンズ5に入射し、副走査方向(図面に直交する方向)に収束され、偏向反射面7Bの近傍で、主走査方向に長く、略線状に集光する。
【0009】
第2光学系であるシリンダレンズ5側から偏向反射面7Bに入射してくる2ビームは、偏向反射面7Bに向かうに連れて互いに次第に近接する。即ち、偏向反射面7Bへ向かって入射してくる2ビームの主光線は、偏向反射面7の側からシリンダレンズ5の方へ向かって、開き角:γで末広がりに広がる。
図1に示す直線L1,L2は「基準線」である。基準線L1は、LD1から偏向反射面7に入射して反されたビームの主光線が、第3光学系の光学作用を受けないとしたときに、被走査面20における走査線の方向に直交するときの主光線に合致した仮想的な直線であり、基準線L2は、LD1から偏向反射面7に入射して反されたビームの主光線が、第3光学系の光学作用を受けないとしたときに、被走査面20における走査線の方向に直交するときの主光線に合致した仮想的な直線である。これら基準線L1,L2は、マルチビーム走査装置の装置空間に対して一義的に定まる。
図1において、記号:Δ1,Δ2は、第1レンズの基準線L1,L2に対するシフト量を表し、記号:αは第1レンズの、偏向回転面内におけるチルト量を表す。同様に、記号:Δ1’,Δ2’は、第2レンズの基準線L1,L2に対するシフト量を表し、記号:α’は第2レンズの、偏向回転面内におけるチルト量を表す。
偏向反射面7Bが回転軸7Aの回りに等速回転すると、偏向反射面7Bにより反射された2ビームは、偏向回転面内で相前後して等角速度的に偏向しつつ、第1,第2レンズ11,12を透過し、第1,第2レンズの作用により、被走査面20に向かって集光し、被走査面上にスポットを形成する。各ビームが被走査面20上に形成するスポットは、互いに、主・副走査方向に分離しており、被走査面20における2走査線を走査する。2つのスポットを副走査方向において互いに分離するため、LD1,2からのビームは、偏向回転面上に配備されたカップリングレンズ3,4の光軸に対し、互いに逆向きに微小距離ずれている。
【0010】
即ち、上に実施の形態を説明したマルチビーム走査装置は、複数の光源1,2と、これら複数の光源をそれぞれ以後の光学系にカップリングする複数の第1光学系3,4と、複数の第1光学系からの各ビームを、主走査方向に長く略線状に集光する第2光学系5と、各ビームの略線状の集光部の近傍に偏向反射面7Bを有し、第2光学系5側からの複数ビームを等角速度的に偏向し、偏向反射面7Bとその回転軸7Aが一定距離離れている偏向器7と、偏向器により偏向された複数の偏向ビームを被走査面20に向けて集光させ、被走査面の複数走査線を略等速的に走査する光学系であって、1以上のレンズ11,12を含む第3光学系とを有し、第2光学系5側からの複数ビームは、第3光学系における主走査方向の同じ側(図1の上方)から偏向反射面7に向かい、かつ、第2光学系5から射出して偏向反射面に入射する複数のビームのうち少なくとも2つは偏向回転面内で開き角:γを有する。そして、少なくとも2つのビームについて副走査像面湾曲を補正するように、第3光学系の少なくとも1つの面の、副走査曲率半径の主走査方向の変化が、対称軸を持たない非対称なものとして構成されるのである(請求項1、2)。
また、上記実施の形態では、複数の光源が2つの半導体レーザ1,2であり、第2光学系5が、2つの半導体レーザ1,2からのビームに共通化されたシリンダレンズであり、偏向器がポリゴンミラーである(請求項7)。そして、第3光学系は2枚のレンズ11,12により構成されている(請求項8)。
【0011】
図2は、偏向器における偏向反射面7Bの態位による偏向ビームの主光線の状態を+側周辺部と−側周辺部とについて示したものである。偏向反射面が、符号7Bで示す態位のときに、入射ビームの主光線がC点に入射し、反射ビームの主光線が「基準線」に合致するものとする。偏向反射面7Bの態位が、図の7B’や、7B''の場合には、反射ビーム主光線は、図の、周辺ビーム(+)主光線、周辺ビーム(−)主光線のようになる。
図2から明らかなように、偏向ビームは、+側でも−側でも、偏向反射面7Bによる反射点が、C点よりも、図の右側(第3光学系のある側)へずれることが分かる。入射ビームが、C点において「主走査方向に長く略線状に集光する」ものとすると、この集光部は(偏向反射面での反射により)周辺ビームでは、やはり図の右側へずれる。第3光学系の副走査方向の結像機能において、物点となるのは上記集光部であるから、仮に、第3光学系の結像機能が基準軸に対して主走査方向に対称的に設定されているとすると、上記集光部がC点からずれると、第3光学系による偏向ビームの副走査方向の結像点が集光点が第3光学系の縱倍率に応じてずれることになり、副走査像面湾曲が劣化する。このような像面湾曲劣化は、第3光学系を主走査対応方向へシフトさせたり、偏向回転面内でチルトさせたりすることにより、軽減させることができることが知られている。
【0012】
前述したように、シングルビーム走査装置においては、上記の如きサグを考慮して第3光学系の設計を行い、第3光学系中に、副走査曲率半径の主走査方向の変化が対称軸を持たず「非対称に変化」する面を1以上採用することにより、サグの影響を軽減ないし除去することが可能である。しかし、図1に示したような実施の形態において、LD1からのビームに対してこのような方法でサグの影響を補正すると、LD2からのビームに対しては却ってサグの影響が大きくなり、光学特性の劣化が著しくなる。
そこで、この発明では、開き角を有する少なくとも2つのビームについて、開き角を有することによる各ビームの偏向反射面でのサグの影響を軽減するように副走査像面湾曲を補正するために、上記第3光学系の少なくとも1つの面の、副走査曲率半径の主走査方向の変化が、対称軸を持たない非対称なものとするのである。
また、主走査方向に関しても上記サグの影響を軽減するように上記各ビームの主走査像面湾曲が補正される(請求項2)。
上に説明した実施の形態の場合に即して具体的に説明すると、LD1,2からのビームに対するサグ量は、各ビームが被走査面上に形成するスポットの像高:Yに対する関数として定まる。
そこで、LD1からのビームに対するサグをS1(Y)とし、LD2からのビームに対するサグをS2(Y)とすると、前述の通り、一般的にS1(Y)≠S2(Y)である。そこで、例えば「S(Y)={S1(Y)+S2(Y)}/2」というものを考えてみると、S(Y)は、LD1,2からの各ビームのサグを平均したものである。この平均されたサグ:S(Y)に基づく光学特性、特に副走査像面湾曲を十分補正できるように第3光学系を設計すると、サグ:S1(Y),S2(Y)の影響はS(Y)に対するものほどには補正されないが、サグ:S1(Y),S2(Y)の影響は、それぞれ同程度に補正されると考えられる。
あるいは、S(Y)として「{a・S1(Y)+b・S2(Y)}/(a+b)」を考え、a,bの組合せに応じて複数種のS(Y)を求め、これら複数種のS(Y)につき、副走査像面湾曲を補正し、各場合のうちでLD1,2からのビームに対するサグの影響が最もよく補正されるように第3光学系を設計することができる。
【0013】
【実施例】
以下、図1に示した実施の形態に関する具体的な実施例を3例挙げる。
複数の光源としての2個のLD1,2から射出するビームを、それぞれビーム1,ビーム2とする。
図1において、偏向反射面7Bに入射するビーム1と基準線L1とがなす角は60度、偏向反射面7Bに入射するビーム2と基準線L2とがなす角は63.6度である。従って、ビーム1,2の開き角:γ=3.6度である。
ビーム1,2は共に、カップリングされた後の光束形態が収束光束である。この収束光束が、以後の光学系の作用を受けないとしたとき、自然に集光する点を「自然集光点」という。ビーム1,2に対する自然集光点は、偏向反射面7Bから基準線L1,L2の方向において、被走査面側へ向かって1860mmの距離の位置にある。
偏向器としてのポリゴンミラー7は、偏向反射面数:6で、回転中心7Aから偏向反射面7Bまでの距離(内接円半径)が18mmのものである。
ビーム1の主光線が、偏向反射面7Bにより基準線L1として反射されるときの、ビーム1の偏向反射面7Bへの入射角は、偏向回転面内において30度、ビーム2の主光線が、偏向反射面7Bにより基準線L2(偏向回転面内において基準線L1と平行である)として反射されるときの、ビーム2の偏向反射面7Bへの入射角は、偏向回転面内において31.8度である。
第2光学系であるシリンダレンズ5は、ビーム1,2に対して共通であり、以下のデータにより特定される。
第1面(入射側面)の副走査曲率半径:R(シリンダ面)=24mm
第2面(偏向器側面):平面
中心肉厚:3mm
使用波長での屈折率:1.51375
偏向器7により反射されたビーム1,2の主光線が基準線L1,L2と一致するときのビーム1の、シリンダレンズ5から偏向反射面7Bまでの距離:43.6mm、ビーム2の、シリンダレンズ5から偏向反射面7Bまでの距離:43.6mmである。シリンダレンズ5の光軸は、偏向面7Bに向かうビーム1,2に対して副走査方向に±1.8度傾いており、ビーム1,2に対して共通に用いることができる。即ち、シリンダレンズ5を透過して偏向反射面7Bに向かうビーム1の主光線は、シリンダレンズ5の光軸に対して、副走査方向に+1.8度傾き、同じくビーム2の主光線は、シリンダレンズ5の光軸に対して、副走査方向に−1.8度傾いている。
以上、2個の光源から偏向器であるポリゴンミラーまでの光学系部分を説明したが、この光学系部分は、以下に挙げる実施例1〜3に共通である。なお、各実施例において、長さの次元を持つものの単位は「mm」である。
【0014】
実施例1
第3光学系における第1レンズの第1面は「共軸非球面」であり、光軸方向の座標:X、光軸に直交する面内における頂点からの距離:r(≧0)、近軸曲率半径:R1、円錐定数:K1,高次の係数:R1A3,R1A4,R1A5,R1A6,…を用いて、以下の式(A)で表現できる。
X=r2/[R1+R1・√{1-(1+K1)r2/R12}]+R1A3・r3+R1A4・r4+R1A5・r5+・・(A)第1レンズの第1面の、上記式におけるR1,K1,R1A3,R1A4,R1A5,R1A6,...は以下のように与えられる。
R1=-174.41,K1=-4.30 ,
R1A3= 1.500E-07
R1A4= 1.450E-08
R1A5=-1.000E-11
R1A6=-3.060E-11
R1A7= 0.000
R1A8=-2.698E-13
R1A9= 1.400E-18
R1A10= 4.737E-17
R1A11=-1.500E-20
R1A12= 6.760E-21
中心肉厚:D=22.0mm
使用波長に対する屈折率:N=1.52706 。
【0015】
第1レンズの第2面は、主走査断面形状が非円弧形状であり、副走査断面形状は直線(パワー:0)となっている。
主走査断面形状の非円弧形状は、光軸方向の座標:X、頂点からの距離:Y、近軸曲率半径:R、円錐定数:K、高次の係数:A3,A4,A5,A6,…として,以下の式(3)で表現できる。
X=Y2/[R+R・√{1-(1+K)Y2/R2}]+A3・Y3+A4・Y4+A5・Y5+… (3)
第1レンズの第2面における主走査断面形状は、式(3)におけるR,K,A3,A4,A5,A6,…は、以下のように与えられる。
R=-58.76,K=-0.113 ,
A3=-1.520E-07
A4= 4.977E-07
A5= 0.000
A6=-5.799E-11
A7= 0.000
A8= 1.392E-14
A9= 0.000
A10=-4.327E-17
A11= 1.900E-21
A12=-1.000E-23
これから分かるように、第1レンズの第2面の主走査断面形状は、3次の係数:A3および11次の係数:A11が0で無いため、X軸(光軸)に対して非対称で、対称軸を持たない。
なお、上の表記において、例えば「E-07」は、「10~7」を意味し、この数値が直前の数値にかかるのである。
【0016】
第3光学系の第2レンズは、両面とも「主走査断面形状が非円弧形状」であり、主走査断面形状は上記式(3)で表すことができる。
また、副走査曲率半径:rs(Y)は、主走査方向の座標をYとして、Y=0(光軸位置)での曲率半径:RS0、係数:a1,a2,a3,a4,a5,....を用いて、次の式(4)で表現できる。
【0017】
rs(Y)=RS0+a1・Y+a2・Y2+a3・Y3+a4・Y4+a5・Y5+… (4)
第2レンズの第1面の主走査断面形状
R=-341.72,K=-88.49 ,
A3=-1.650E-07
A4=-1.093E-07
A5= 0.000
A6=-1.154E-11
A7= 0.000
A8=-1.387E-15
A9= 0.000
A10= 2.570E-19
第2レンズの第1面の副走査曲率半径の主走査方向の変化
RS0=-37.25
a1=-3.000E-04
a2= 2.868E-03
a3= 1.312E-06
a4=-9.056E-07
a5=-2.529E-10
a6= 1.309E-11
a7=-1.833E-13
a8= 2.564E-14
a9= 2.986E-17
a10=-7.083E-18
a11= 1.541E-21
a12= 5.928E-22
中心肉厚:D=3.5mm
使用波長での屈折率:N=1.52706
第2レンズの第1面では、副走査曲率半径は奇数次の項が0でないため、主走査方向(Y方向)において光軸に非対称に変化しており、副走査曲率半径の変化は対称軸をもたない。また、主走査断面形状の非円弧形状も奇数次の項が0でなく、従って、X軸に関して非対称で、対称軸を持たない。
【0018】
第2レンズの第2面の主走査断面形状
R=-680.32,K=-79.39 ,
A3= 0.000E
A4=-2.376E-07
A5= 0.000
A6=-8.612E-12
A7= 0.000
A8=-1.278E-16
A9= 0.000
A10= 1.268E-21
第2レンズの第2面の副走査曲率の主走査方向の変化
RS0=-16.62
a1=a2=a3=・・・=0.0
これから分かるように、第2レンズの第2面では主走査断面形状の非円弧形状は、奇数次の項が0であるので光軸対称であり、副走査曲率半径はY方向に変化しない一定の値:RS0=-16.62をとる。
【0019】
基準線L1の偏向反射面での反射点と第1レンズ第1面との距離:45.6mm
第1レンズ第2面と第2レンズ第1面との距離:51.5mm
第2レンズ第2面と被走査面との距離:106.9mmである。
【0020】
また、基準線L1から第1レンズの第1面頂点までの距離:Δ1
基準線L2から第1レンズの第1面頂点までの距離:Δ2
基準線L1から第2レンズの第1面頂点までの距離:Δ1'
基準線L2から第2レンズの第1面頂点までの距離:Δ2'
(全て、偏向器7への入射光束側(図1の上方)をプラス方向とする。以下同じである)
基準線L1,L2に対する第1レンズの偏向面内の傾き角:α
基準線1,2に対する第2レンズの偏向面内の傾き角:α’
(反時計回りを正とする。以下同じである)
は、Δ1=-0.04mm,Δ2=0.00mm,Δ1'=-0.04mm,Δ2'=0.00mm,α=0度,α’=0度となり、第1レンズ、2の光軸は基準線L2と一致している。
上述の如く、第1レンズの第2面と、第2レンズの第1面とは非円弧形状を表す式(3)における高次係数に奇数項を用いており、従って、主走査断面形状は対称軸を持たない(請求項4)。
第1レンズの第2面における「X(Y)-X(-Y)」とYの関係を図3に示す。この図から明らかなように「X(Y)-X(-Y)」は0ではなく、従って、X(Y)は、X軸に対して非対称で対称軸を持たないことがわかる。このように、第3光学系内に非対称な主走査断面形状を含めることにより、主走査像面湾曲や等速性を、ビーム1およびビーム2に対して良好にすることができる。
また、実施例1では、M1(+)=-0.04,M1(-)=-0.03、M2(+)=-0.14,M2(-)=-0.15であり、(M1(+)-M1(-))×(M2(+)-M2(-))=-0.0001 <0となり、条件(2)を満足している(請求項2)。このことは、主走査像面湾曲の傾向が、ビーム1とビーム2とで互いに逆になることを意味している。
また上述のように、第2レンズの第1面は、(4)式の高次係数に奇数項を用いているので、副走査曲率半径が光軸に対して非対称に変化する(請求項1、2)。
第2レンズの第1面の副走査曲率半径:rs(Y)の主走査方向の変化につき「rs(Y)-rs(-Y)」のYに関する変化を図4に示す。この図から、rs(Y)≠rs(-Y)であり、副走査曲率半径が光軸に対して非対称に変化し、対称軸を持たないことが分かる。このように、副走査曲率半径が主走査方向に非対称に変化する面を用いることにより、ビーム1,2に対して、副走査像面湾曲を良好にすることができる。
また、実施例1は、S1(+)=-0.35,S1(-)=-0.03,S2(+)=-0.07,S2(-)=-0.15で、(S1(+)-S1(-))×(S2(+)-S2(-))=-0.004 < 0であり、条件式(1)を満足する(請求項1、3)。このことは、副走査像面湾曲の傾向が、ビーム1とビーム2とで互いに逆になることを意味している。
実施例1に関する像面湾曲及び等速性(理想像高からのずれ量×100/理想像向(%))を図7に示す。図から明らかなように、主・副走査像面湾曲、等速性とも、ビーム1,2に対して極めて良好である。なお、像面湾曲は、破線が主走査像面湾曲、実線が副走査像面湾曲である。
【0021】
実施例2
第3光学系の第1レンズの第1面は共軸非球面であり、前記共軸非球面の式(A)で表される。
第1レンズの第1面の、上記式におけるR1,K1,R1A3,R1A4,R1A5,R1A6,...は以下のように与えられる。
R1=-174.41,K1=-4.30 ,
R1A3= 0.000
R1A4= 1.410E-08
R1A5= 0.000
R1A6=-3.060E-11
R1A7= 0.000
R1A8=-2.700E-13
R1A9= 0.000
R1A10= 4.737E-17
R1A11= 0.000
R1A12= 6.560E-21
中心肉厚:D=22.0mm
使用波長での屈折率:N=1.52706 。
【0022】
第1レンズの第2面は、主走査断面形状が非円弧形状であり、副走査断面形状は直線(パワー:0)となっている。
主走査断面内の非円弧形状は、前記式(3)で表現できる。
第1レンズの第2面における主走査断面形状は、式(3)におけるR,K,A3,A4,A5,A6,…は、以下のように与えられる。
R=-58.8,K=-0.113 ,
A3= 0.000
A4= 4.977E-07
A5= 0.000
A6=-5.799E-11
A7= 0.000
A8= 1.392E-14
A9= 0.000
A10=-4.327E-17
これから分かるように、第1レンズの第2面の主走査断面形状は奇数次の項が0であるため、光軸に関して対称であり、光軸は対称軸である。
【0023】
第2レンズは両面とも主走査断面形状が非円弧形状であり、これらは前記式(3)で表現できる。副走査曲率半径の主走査方向の変化は、前記式(4)で表現できる。
【0024】
第2レンズの第1面の主走査断面形状
R=-341.72,K=-88.49,
A3= 0.000
A4=-1.093E-07
A5= 0.000
A6=-1.154E-11
A7= 0.000
A8=-1.387E-15
A9= 0.000
A10= 2.570E-19
従って、第2レンズの第1面の主走査断面形状は光軸対称形状である。
【0025】
第2レンズの副走査曲率半径の主走査方向の変化
RS0=-37.25
a2= 2.868E-03
a3= 1.550E-06
a4=-9.056E-07
a5=-2.529E-10
a6= 1.309E-11
a7=-1.833E-13
a8= 2.564E-14
a9= 2.986E-17
a10=-7.083E-18
a11= 1.541E-21
a12= 5.928E-22
中心肉厚:D= 3.5mm
使用波長での屈折率:N=1.52706
これから分かように、第2レンズの第2面における副走査曲率半径は、光軸に対して非対称であり、対称軸を持たない形状である。
【0026】
第2レンズの第2面の主走査断面形状
R=-680.32,K=-79.39,
A3= 0.000E
A4=-2.376E-07
A5= 0.000
A6=-8.612E-12
A7= 0.000
A8=-1.278E-16
A9= 0.000
A10= 1.268E-21
従って、第2レンズの第1面の主走査断面形状は光軸対称形状である。
【0027】
第2レンズの副走査曲率半径の主走査方向の変化
RS0=-16.62,a1=a2=a3=・・・=0.0
第2レンズの第2面で、主走査断面形状の非円弧形状は、奇数次の項が0であるので光軸対称であり、副走査曲率半径は、Y方向に変化しない一定の値:RS0=-16.62をとる。
基準線L1の偏向反射面での反射点と第1レンズ第1面との距離:45.6mm
第1レンズ第2面と第2レンズ第1面との距離:51.5mm
第2レンズ第2面と被走査面との距離:106.9mm、である。
【0028】
第2レンズの第1面は(4)式の高次係数に奇数項を用いており、副走査曲率半径は、光軸に対して非対称に変化している(請求項1)。
図5に、第2レンズ第1面の副走査曲率半径に関し「rs(Y)-rs(-Y)」のYに対する変化を示す。この図からも、副走査曲率半径の主走査方向の変化が光軸に対して非対称で、対称軸を持たない形状であることがわかる。
基準線L1から第1レンズの第1面頂点までの距離:Δ1
基準線L2から第1レンズの第1面頂点までの距離:Δ2
基準線L1から第2レンズの第1面頂点までの距離:Δ1'
基準線L2から第2レンズの第1面頂点までの距離:Δ2'
基準線L1,L2に対する第1レンズの偏向面内の傾き角:α
基準線L1,L2に対する第2レンズの偏向面内の傾き角:α’
は、Δ1=0.96mm,Δ2=1.00mm,Δ1'=0.96mm,Δ2'=1.00mm,α=0度,
α’=0度であり、第1レンズ,2とも、基準線L1、L2の両方に対して偏向反射面に向かう光束側にシフトしている(請求項5)。
【0029】
このように、第3光学系のレンズの少なくとも1つを、全ての基準線に対して入射光束側にシフトすることにより、光学特性を良好に補正できる。もちろん、実施例1に示したように、シフトを行わず、面の非対称性のみによっても補正は可能だが、シフトを組み合わせることにより、設計の自由度が増大し、補正が容易になる。
図8に、実施例2に関する像面湾曲と等速性を示す。この図は、図7に倣って描かれている。実施例2では、第1レンズ,2のシフトと、第2レンズの第1面における「副走査曲率半径の主走査方向に非対称な変化」との組合せにより図8に示すように、主・副走査方向についてビーム1,2とも像面湾曲・等速性が良好に補正される。また、実施例2では、主走査断面形状は対称軸を有している。
また、M1(+)=-0.09,M1(-)=0.00,M2(+)=-0.17,M2(-)=-0.21で、(M1(+)-M1(-))×(M2(+)-M2(-))=-0.0036 < 0となり、条件(2)を満足する(請求項2)。
さらに、S1(+)=-0.25,S1(-)=-0.13,S2(+)=0.03,S2(-)=-0.25で、(S1(+)-S1(-))×(S2(+)-S2(-))=-0.0336 < 0となり、条件式(1)を満足する(請求項1、3)。
即ち、主・副走査像面湾曲の傾向は、ビーム1とビーム2とで互いに逆になっている。
【0030】
実施例3
第3光学系の第1レンズの第1面は共軸非球面であり、前記式(A)で表される。
第1レンズの第1面の、上記式におけるR1,K1,R1A3,R1A4,R1A5,R1A6,...は以下のように与えられる。
R1=-174.41,K1=-4.30,
R1A3= 0.000
R1A4= 1.410E-08
R1A5= 0.000
R1A6=-3.060E-11
R1A7= 0.000
R1A8=-2.700E-13
R1A9= 0.000
R1A10= 4.737E-17
R1A11= 0.000
R1A12= 6.560E-21
中心肉厚:D=22.0mm
使用波長での屈折率:N=1.52706 。
【0031】
第1レンズの第2面は、主走査断面形状が非円弧形状であり、副走査断面形状は直線(パワー:0)となっている。
主走査断面形状の非円弧形状は前記式(3)で表すことができる。
第1レンズの第2面における主走査断面形状は、式(3)におけるR,K,A3,A4,A5,A6,…は、以下のように与えられる。
R=-58.8,K=-0.113 ,
A3= 0.000
A4= 4.977E-07
A5= 0.000
A6=-5.799E-11
A7= 0.000
A8= 1.392E-14
A9= 0.000
A10=-4.327E-17
第1レンズの第2面の主走査断面形状は奇数次の項が0であるため、光軸に関して対称であり、光軸は対称軸である。
【0032】
第2レンズは両面とも主走査断面形状が非円弧形状であり、これらは前記の式(3)で表現できる。副走査曲率半径の主走査方向の変化は、前記式(4)で表現できる。
第2レンズの第1面の主走査断面形状
R=-341.72,K=-88.49 ,
A3= 0.000
A4=-1.093E-07
A5= 0.000
A6=-1.154E-11
A7= 0.000
A8=-1.387E-15
A9= 0.000
A10= 2.570E-19
第2レンズの第1面の主走査断面形状は奇数次の項を含まないので、光軸対称形状である。
【0033】
第2レンズの第1面の副走査曲率半径の主走査方向の変化
RS0=-37.25
a2= 2.868E-03
a3= 1.312E-06
a4=-9.056E-07
a5=-2.529E-10
a6= 1.309E-11
a7=-1.833E-13
a8= 2.564E-14
a9= 2.986E-17
a10=-7.083E-18
a11= 1.541E-21
a12= 5.928E-22
中心肉厚:D= 3.5mm
使用波長での屈折率:N=1.52706
これから分かるように、第2レンズの第2面における副走査曲率半径は、光軸に対して非対称であり、対称軸を持たない。
【0034】
第2レンズの第2面の主走査断面形状
R=-680.32,K=-79.39 ,
A3= 0.000E
A4=-2.376E-07
A5= 0.000
A6=-8.612E-12
A7= 0.000
A8=-1.278E-16
A9= 0.000
A10= 1.268E-21
従って、第2レンズの第1面の主走査断面形状は光軸対称形状である。
第2レンズの第2面の副走査曲率半径の主走査方向の変化
RS0=-16.62,a1=a2=a3=・・・=0.0
第2レンズの第2面では主走査断面形状の非円弧形状は、奇数次の項が0であるので、光軸対称であり、副走査曲率半径は、Y方向に変化しない一定の値:RS0=-16.62をとる。
基準線L1の偏向反射面での反射点と第1レンズ第1面との距離:45.6mm 第1レンズ第2面と第2レンズ第1面との距離:51.5mm
第2レンズ第2面と被走査面との距離:106.9mm、である。
第2レンズの第1面は(4)式の高次係数に奇数項を用いており、副走査曲率半径が光軸に非対称で、対称軸を持たない形状である(請求項1)。
【0035】
図6に、第2レンズ第1面の、副走査曲率半径に関する「rs(Y)-rs(-Y)」のYに対する変化を示す。この図からも、副走査曲率半径が主走査方向に非対称で対称軸を持たないことが分かる。
【0036】
基準線L1から第1レンズの第1面頂点までの距離:Δ1
基準線L2から第1レンズの第1面頂点までの距離:Δ2
基準線L1から第2レンズの第1面頂点までの距離:Δ1'
基準線L2から第2レンズの第1面頂点までの距離:Δ2'
基準線L1,L2に対する第1レンズの偏向面内の傾き角:α
基準線L1,L2に対する第2レンズの偏向面内の傾き角:α’
は、Δ1=0.80mm,Δ2=0.84mm,Δ1'=0.71mm,Δ2'=0.75mm,α=-0.04度,α’=-0.17度であり、従って、第1,第2レンズとも、基準線L1,L2に対するシフトとチルトが与えられている。これらシフト、チルトと、上記レンズ形状により、主・副走査方向についてビーム1,2とも、像面湾曲及び等速性が良好に補正されている。なお、この例でも、主走査断面形状は、第1レンズ,第2レンズの第1,第2面とも光軸対称である。
また、M1(+)=-0.10,M1(-)=0.00,M2(+)=-0.18,M2(-)=-0.20で、(M1(+)-M1(-))×(M2(+)-M2(-))=-0.002 < 0となり、条件式(2)を満足する(請求項2)。
S1(+)=-0.29,S1(-)=-0.08,S2(+)=-0.01,S2(-)=-0.20で、(S1(+)-S1(-))×(S2(+)-S2(-))=-0.0399 < 0となり条件式(1)を満足する(請求項1、3)。
図9に、実施例3に関する像面湾曲および等速性を、図7に倣って示す。主・副走査方向についてビーム1,2とも、像面湾曲及び等速性が良好に補正されている。
なお、図1において、LD1,2の間に第3のLDを配備し、カップリングレンズ3,4の間に第3のカップリングレンズを配備して、第3のLDからのビームをカップリングするようにして、被走査面20上に3つのスポットを形成し、3走査線を走査するようにできる。あるいはまた、図1において、LD1,2に、副走査方向(図面に直交する方向)に第3,第4のLDを配備し、カップリングレンズ3を第1,第3のLDに共用し、カップリングレンズ4を第2,第4のLDに共用することにより、被走査面上の4走査線を走査するようにすることもできる。
【0037】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば新規なマルチビーム走査装置を実現できる。
この発明のマルチビーム走査装置は、上記の如く、複数ビームのうちの少なくとも2ビームにつき、サグの影響を考慮して像面湾曲や等速性を補正するので、サグの影響により像面湾曲や等速性の劣化の大きい2ビームにつき、像面湾曲や等速性を補正することにより、高密度化や高速化に適した良好なマルチビーム走査を実現できる。
この発明のマルチビーム走査装置は、高価なビーム合成プリズムによるビーム合成を行わないので、コストの低減化が可能である。
また、このマルチビーム走査装置では、複数の偏向ビームが主走査方向に分離するので、複数ビームを別個に同期検出することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のマルチビーム走査装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図2】偏向器によるサグを説明するための図である。
【図3】実施例1における第1レンズの第2面の主走査断面形状の非対称性を説明するための図である。
【図4】実施例1における第2レンズの第1面の副走査曲率半径の主走査方向に於ける変化の非対称性を説明するための図である。
【図5】実施例2における第2レンズの第1面の副走査曲率半径の主走査方向に於ける非対称性を説明するための図である。
【図6】実施例3における第2レンズの第1面の副走査曲率半径の主走査方向に於ける非対称性を説明するための図である。
【図7】実施例1のビーム1,2に関する像面湾曲および等速性を示す図である。
【図8】実施例2のビーム1,2に関する像面湾曲および等速性を示す図である。
【図9】実施例3のビーム1,2に関する像面湾曲および等速性を示す図である。
【符号の説明】
1 光源としてのLD
2 光源としてのLD
3 第1光学系としてのカップリングレンズ
4 第1光学系としてのカップリングレンズ
5 第2光学系としてのシリンダレンズ
7 偏向器としてのポリゴンミラー
7A ポリゴンミラーの回転軸
7B ポリゴンミラーの偏向反射面
11 第3光学系の第1レンズ
12 第3光学系の第2レンズ
20 被走査面

Claims (8)

  1. 複数の光源と、
    これら複数の光源をそれぞれ以後の光学系にカップリングする複数の第1光学系と、
    該複数の第1光学系からの各ビームを、主走査方向に長く略線状に集光する第2光学系と、
    上記各ビームの略線状の集光部の近傍に偏向反射面を有し、上記第2光学系側からの複数ビームを等角速度的に偏向し、上記偏向反射面とその回転軸が一定距離離れている偏向器と、
    該偏向器により偏向された複数の偏向ビームを共通の被走査面に向けて集光させ、被走査面の複数走査線を略等速的に走査する光学系であって、1以上のレンズを含む第3光学系とを有し、
    上記第2光学系側からの複数ビームは、第3光学系における主走査方向の同じ側から上記偏向反射面に向かい、かつ、上記第2光学系から射出して上記偏向反射面に入射する複数のビームのうち少なくとも2つは偏向回転面内で開き角を有し、
    上記少なくとも2つのビームについて、上記開き角を有することによる各ビームの上記偏向反射面でのサグの影響を軽減するように副走査像面湾曲を補正するために、上記第3光学系の少なくとも1つの面の副走査曲率半径の主走査方向の変化が、対称軸を持たない非対称なものであり、
    上記2つのビームのうちの1つのビームの、両最周辺像高での副走査結像位置をS1(+),S1(-)、他の1つのビームの両最周辺像高での副走査結像位置をS2(+),S2(-)とするとき、これらが条件:
    (S1(+)-S1(-))×(S2(+)-S2(-))<0 (1)
    を満足することを特徴とするマルチビーム走査装置。
  2. 複数の光源と、
    これら複数の光源をそれぞれ以後の光学系にカップリングする複数の第1光学系と、
    該複数の第1光学系からの各ビームを、主走査方向に長く略線状に集光する第2光学系と、
    上記各ビームの略線状の集光部の近傍に偏向反射面を有し、上記第2光学系側からの複数ビームを等角速度的に偏向し、上記偏向反射面とその回転軸が一定距離離れている偏向器と、
    該偏向器により偏向された複数の偏向ビームを共通の被走査面に向けて集光させ、被走査面の複数走査線を略等速的に走査する光学系であって、1以上のレンズを含む第3光学系とを有し、
    上記第2光学系側からの複数ビームは、第3光学系における主走査方向の同じ側から上記偏向反射面に向かい、かつ、上記第2光学系から射出して上記偏向反射面に入射する複数のビームのうち少なくとも2つは偏向回転面内で開き角を有し、
    上記少なくとも2つのビームについて、上記開き角を有することによる各ビームの上記偏向反射面でのサグの影響を軽減するように副走査像面湾曲を補正するために、上記第3光学系の少なくとも1つの面の副走査曲率半径の主走査方向の変化が、対称軸を持たない非対称なものであり、
    上記2つのビームについて、上記サグの影響を軽減するように上記第3光学系の主走査像面湾曲が補正され、
    上記2つのビームのうちの1つのビームの、両最周辺像高での主走査結像位置をM1(+),M1(-)、他の1つのビームの両最周辺像高での主走査結像位置をM2(+),M2(-)とするとき、こられが条件:
    (M1(+)-M1(-))×(M2(+)-M2(-))<0 (2)
    を満足することを特徴とするマルチビーム走査装置。
  3. 請求項2記載のマルチビーム走査装置において、
    上記2つのビームのうちの1つのビームの、両最周辺像高での副走査結像位置をS1(+),S1(-)、他の1つのビームの両最周辺像高での副走査結像位置をS2(+),S2(-)とするとき、これらが条件:
    (S1(+)-S1(-))×(S2(+)-S2(-))<0 (1)
    を満足することを特徴とするマルチビーム走査装置。
  4. 請求項1または2記載のマルチビーム走査装置において、
    少なくとも上記2つのビームについて主走査像面湾曲を補正するように、第3光学系の少なくとも1つの面の主走査断面形状が、対称軸を持たないことを特徴とするマルチビーム走査装置
  5. 請求項1または2または3または4記載のマルチビーム走査装置において、
    偏向器により偏向された各ビームの主光線が、被走査面上の走査線の方向と直交するときの各主光線を基準線とするとき、第3光学系の少なくとも1つの結像素子を、その光軸が、全ての上記基準線からみて、第2光学系側から偏向反射面に向かう光束側にシフトするように配備することを特徴とするマルチビーム走査装置。
  6. 請求項1または2または3または4または5記載のマルチビーム走査装置において、
    第3光学系の少なくとも1つの結像素子が、基準線に対して偏向回転面内でチルトして配備されることを特徴とするマルチビーム走査装置。
  7. 請求項1〜6の任意の1に記載のマルチビーム走査装置において、
    複数の光源が、2つの半導体レーザであり、
    第2光学系が、これら2つの半導体レーザからのビームに共通化されたシリンダレンズであり、
    偏向器がポリゴンミラーであることを特徴とするマルチビーム走査装置。
  8. 請求項1〜7の任意の1に記載のマルチビーム走査装置において、
    第3光学系が2枚のレンズにより構成されていることを特徴とするマルチビーム走査装置。
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