JP3784591B2 - 走査結像光学系・光走査装置および画像形成装置 - Google Patents

走査結像光学系・光走査装置および画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、走査結像光学系・光走査装置および画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光源からの1以上のビームを光偏向器により偏向させ、1以上の偏向ビームを走査結像光学系により被走査面上に光スポットとして集光させ、被走査面の光走査を行う光走査装置は、デジタル複写装置やレーザプリンタ、レーザプロッタ、レーザ製版装置等の画像形成装置に関連して広く知られている。
近来、このような光走査装置に対して走査の高密度化が要請され、光スポットの小径化と安定化の要求が益々高まってきている。
光走査装置における光偏向器としては「回転多面鏡」が一般的である。回転多面鏡は偏向反射面とその回転中心とが合致していない。このため、光源側からのビームを偏向させる際、偏向反射面の回転に伴い、偏向ビームの偏向の起点(偏向反射面による反射点)が変動する「光学的サグ」が不可避的に発生する。
【0003】
上記回転中心は、走査結像光学系の光軸に対して、主走査方向にずれて配備されることが多い。このような場合には、上記光学的サグの発生が、走査結像光学系の光軸に対して非対称的になる。このような非対称的な光学的サグは、光軸対称に設計された走査結像光学系に対しては、像面湾曲や光学倍率、fθ特性等の等速度特性を劣化させる原因となる。
スポット径の安定した良好な光スポットで良好な光走査を実現するには、上記非対称な光学的サグを考慮して設計された走査結像光学系が必要となる。
また、スポット径の小さい良好な光スポットを実現するには、像面湾曲や光学倍率等の幾何光学的な光学性能とともに、波動光学的な波面収差を各像高間で一定に設定することが好ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、光偏向器の偏向反射面の回転中心が、偏向反射面と分離して、走査結像光学系の光軸から−側にずれて配置された光走査装置において、走査結像光学系の、像面湾曲や光学倍率を良好に補正し、安定性のよい光スポットを実現することを課題とする。
この発明はまた、上記光走査装置において、スポット径の小さい良好な光スポットの実現を別の課題とする。
そして、この発明は上記光走査装置を用いる画像形成装置において、良好な画像形成を実現することを他の課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の走査結像光学系は「光源からの1以上のビームを光偏向器により偏向させ、1以上の偏向ビームを走査結像光学系により被走査面上に光スポットとして集光させ、被走査面の光走査を行い、且つ、光偏向器の偏向反射面の回転中心が、偏向反射面と分離して走査結像光学系の光軸から−側にずれて配置された光走査装置」における走査結像光学系であって、1以上のレンズを含む結像光学素子により構成される。
光源からのビームは1以上であるから、走査結像光学系が用いられる光走査装置としてはシングルビーム式のものもマルチビーム式のものも可能である。
光偏向器は、上記の如く「光偏向器の偏向反射面の回転中心が、偏向反射面と分離」したものである。このような光偏向器としては「回転多面鏡」をはじめ、「偏向反射面が回転中心軸とずれている回転2面鏡や回転単面鏡」を挙げることができる。光偏向器の回転中心は、走査結像光学系の光軸から−側にずれて配置されるが、主走査方向において「走査結像光学系の光軸」に対し、光源側からのビームが光偏向器に入射する側を「走査結像光学系の光軸の+側」とする。したがって、上記「走査結像光学系の光軸から−側」は、主走査方向において、光源側からのビームが光偏向器に入射する側と反対側である。
また、走査結像光学系は「1以上のレンズを含む結像光学素子」により構成されるから、最小限1枚のレンズで構成することができ、2枚以上のレンズで構成することもできるし、1枚以上のレンズと結像作用を持つミラー(凹面鏡や凸面鏡、凹や凸のシリンダミラー)の組み合わせにより構成することもできる。
走査結像光学系の結像光学素子は、後述する実施例におけるように、シフトを与えられて配備されることもある。上記「走査結像光学系の光軸」は、このような場合、シフト量を0と考えたときに、走査結像光学系の光軸が配備されるべき「基準的な光軸」を言う。
【0006】
以下の説明において、主走査断面、複走査断面は以下の如く定義される。
「主走査断面」は、レンズ光軸を含み、主走査方向に平行な仮想的な平断面を言う。
「副走査断面」は、レンズ面の近傍において、主走査方向に直交する仮想的な平断面をいう。なお、「光軸」は、各レンズ面において、主走査断面と副走査断面の交線に平行な方向で、レンズ面形状を解析表現するときの主・副走査方向の原点を通る軸を言う。
【0007】
また、走査結像光学系の像面において、上に説明した「走査結像光学系の光軸の+側」を「+像高側」、「走査結像光学系の光軸の−側」を「−像高側」と言う。
このとき、主走査方向の座標:Yに応じて、+像高側での副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値を|r ( Y+ ) |、光軸上の副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値を|r ( ) |、−像高側での副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値を|r ( Y− ) |とする。
請求項1記載の走査結像光学系は、以下の如き特徴を有する。即ち、上記1以上のレンズのレンズ面中に、副走査断面内の近軸曲率半径が、主走査方向の座標:Yに応じて非対称に変化し、+像高側での副走査断面内の、近軸曲率半径の絶対値:|r(Y+)|、光軸上の副走査断面内の、近軸曲率半径の絶対値:|r(0)|、−像高側での、副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(Y−)|が、関係:
|r(Y+)|>|r(0)|>|r(Y−)|
を満足する面を有する。
請求項1記載の走査結像光学系においては、1以上のレンズの、レンズ面中の少なくとも1面を、主走査断面内が円弧または非円弧で、副走査断面内が非円弧形状である「副非円弧面」とすることができる(請求項2)。この場合、副非円弧面の、副走査断面内の非円弧形状を、主走査方向の座標:Yに応じて変化させることができる(請求項3)。
上記請求項1〜3の任意の1に記載の走査結像光学系は、同時に偏向される複数の偏向ビームを、被走査面上に、副走査方向に分離した複数の光スポットとして集光するものであることができる(請求項4)。
【0008】
請求項5記載の光走査装置は「光源からの単一のビームを、カップリングレンズにより以後の光学系にカップリングし、カップリングされたビームを線像結像光学系により、光偏向器の偏向反射面近傍に主走査方向に長い線像として結像させ、光偏向器により等角速度的に偏向させ、偏向ビームを走査結像光学系により、被走査面上に光スポットとして集光させて被走査面を光走査し、且つ、光偏向器の偏向反射面の回転中心が、偏向反射面と分離して走査結像光学系の光軸から−側にずれて配置されたシングルビーム方式の光走査装置」であって、走査結像光学系として、上記請求項1〜3の任意の1に記載のものを用いたことを特徴とする。
請求項6記載の光走査装置は「複数の発光源からのビームをカップリングレンズにより以後の光学系にカップリングし、カップリングされた複数ビームを共通の線像結像光学系により、光偏向器の偏向反射面位置近傍に主走査方向に長く、副走査方向に分離した複数の線像として結像させ、光偏向器により同時に等角速度的に偏向させ、複数の偏向ビームを共通の走査結像光学系により、被走査面上に、副走査方向に分離した複数の光スポットとして集光し、これら複数の光スポットにより複数走査線を同時に光走査し、且つ、光偏向器の偏向反射面の回転中心が、偏向反射面と分離して走査結像光学系の光軸から−側にずれて配置されたマルチビーム方式の光走査装置」であって、複数の偏向ビームに対する共通の走査結像光学系として、請求項4記載のものを用いたことを特徴とする。
請求項6記載の光走査装置においては、光源として、複数の発光源が1列に配列された「モノリシックな半導体レーザアレイ」を用いることができる(請求項7)。この場合、光源としての半導体レーザアレイの、発光源の間隔は、10μm以上であることが好ましい(請求項8)。
【0009】
この発明の画像形成装置は「感光媒体の感光面に光走査装置による光走査を行って潜像を形成し、この潜像を可視化して画像を得る画像形成装置」であって、感光媒体の感光面の光走査を行う光走査装置として、請求項5〜8の任意の1に記載のものを用いたことを特徴とする(請求項9)。
この場合において、感光媒体として光導電性の感光体を用い、感光面の均一帯電と光走査装置の光走査とにより形成される静電潜像を、トナー画像として可視化するように構成することができる(請求項10)。トナー画像は、シート状の記録媒体(転写紙やオーバヘッドプロジェクタ用のプラスチックシート)に定着される。
請求項9記載の画像形成装置において、感光媒体として、例えば銀塩写真フィルムを用いることもできる。この場合、光走査装置による光走査により形成された潜像は通常の銀塩写真プロセスの現像手法で可視化できる。このような画像形成装置は例えば「光製版装置」として実施できる。
また請求項10記載の画像形成装置は、具体的にはレーザプリンタやレーザプロッタ、デジタル複写機、ファクシミリ装置等として実施できる。
【0010】
「副走査方向の屈折力が主走査方向に非対称的である面」を用いることにより、副走査方向における像面湾曲や光学倍率に対する、前述の「非対称的な光学的サグ」の影響を有効に補正することができる。また、主走査断面内の形状を非円弧形状とすることにより、fθ特性等の等速度特性や主走査方向の像面湾曲等を良好に設定することが可能である。
【0011】
また、副走査断面内の近軸曲率半径が、主走査方向に非対称に変化するレンズ面で、+像高側での副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(Y+)|と走査レンズの光軸上の副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(0)|の関係で、|r(Y+)|>|r(0)|となる領域が存在する面を含むことで、副走査方向の像面湾曲の補正、及び副走査方向横倍率を、像高間で一定に補正することが可能となる。
請求項1記載の発明のように「副走査断面内の近軸曲率半径が、主走査方向の座標:Yに応じて非対称に変化し、+像高側での副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(Y+)|、光軸上の副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(0)|、−像高側での副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(Y−)|が、関係:
|r(Y+)|>|r(0)|>|r(Y−)|
を満足する面を有する」ように構成することで、副走査方向の像面湾曲の補正、及び副走査方向の横倍率を、像高間で一定に補正することが可能となる。
【0012】
請求項2、3記載の発明のように、1以上のレンズの、レンズ面中の少なくとも1面を「副非円弧面」とすることにより、特に、副非円弧面の、副走査断面内の非円弧形状を主走査方向の座標:Yに応じて変化させることにより、被走査面上の波面収差を良好に補正することができ、光スポットの各像高毎に、主・副走査方向共に像面湾曲を良好に補正しつつ、各像高毎で瞳(副非円弧面における偏向ビームのビーム断面)上の波面収差を確実に補正できるため、小径で安定した光スポットを得ることが可能となる。
また、この発明の走査結像光学系を用いるマルチビーム方式の光走査装置において、LDアレイ方式の光源を用いる場合(請求項7)、発光源間における熱的・電気的な相互作用の影響を除去するには、発光源間隔をある程度大きく取ることが必要である。請求項8記載の発明のように、半導体レーザアレイの発光源の間隔を10μm以上とすることにより、発光源間の熱的・電気的な影響を有効に軽減して良好なマルチビーム方式の走査を行うことが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図15に、この発明の「マルチビーム方式の光走査装置」の、実施の1形態を示す。光源1は半導体レーザアレイであって、4つの発光源ch1〜ch4を等間隔で1列に配列したものである。この実施の形態では4つの発光源は、副走査方向に配列しているが、半導体レーザアレイ1を傾け、発光源の配列方向が主走査方向に対して傾くようにしてもよい。
4つの発光源ch1〜ch4から放射された4ビームは、図に示すように「楕円形のファーフィールドパターン」の長軸方向が主走査方向に向いた発散性の光束であるが、4ビームに共通のカップリングレンズ2により、以後の光学系にカップリングされる。カップリングされたビームの形態は、以後の光学系の光学特性に応じ、弱い発散性の光束や弱い集束性の光束となることも、平行光束となることもできる。
カップリングレンズ2を透過した4ビームは、アパーチャ3により「ビーム整形」され、「共通の線像結像光学系」であるシリンドリカルレンズ4の作用により、それぞれ副走査方向に集束され、「光偏向器」である回転多面鏡5の偏向反射面近傍に、それぞれが主走査方向に長い線像として、互いに副走査方向に分離して結像する。
偏向反射面により等角速度的に偏向された4ビームは「走査結像光学系」をなす2枚のレンズ6、7を透過し、折り曲げミラー8により光路を折り曲げられ、「被走査面」の実体をなす感光体9上に、副走査方向に分離した4つの光スポットとして集光し、被走査面の4走査線を同時に光走査する。
4ビームのうちの1つは、光走査に先立ってミラー10に入射し、レンズ11により受光素子12に集光される。受光素子12の出力に基づき、4ビームの書込開始タイミングが決定される。
「走査結像光学系」は、光偏向器5により同時に偏向される4ビームを、被走査面9上に4つの光スポットとして集光させる光学系であって、2枚のレンズ6、7により構成される。
【0014】
図16に、マルチビーム方式の光走査装置の、実施の別形態を示す。この光走査装置は、光源としてビーム合成方式のものを用いるものである。
光源1−1、1−2は半導体レーザで、それぞれ単一の発光源を持つ。光源1−1、1−2から放射された各ビームは、カップリングレンズ2−1、2−2によりカップリングされる。カップリングされた各ビームの形態は、以後の光学系の光学特性に応じ、弱い発散性の光束や弱い集束性の光束となることも、平行光束となることもできる。
カップリングレンズ2−1、2−2を透過した各ビームはアパーチャ3−1、3−2により「ビーム整形」され、ビーム合成プリズム20に入射する。ビーム合成プリズム20は反射面と偏光分離膜と1/2波長板とを有する。光源1−2からのビームは、ビーム合成プリズム20の反射面と、偏光分離膜とに反射されてビーム合成プリズム20を射出する。光源1−1からのビームは1/2波長板により偏光面を90度旋回され、偏光分離膜を透過してビーム合成プリズム20から射出する。このようにして2ビームが合成される。カップリングレンズ2−1、2−2の光軸に対する光源1−1、1−2の「発光部の位置関係の調整」により、ビーム合成された2ビームは互いに副走査方向に微小角をなしている。 ビーム合成プリズム20の射出部にはビーム整形用のアパーチャが配備されて、各ビームをビーム整形する。
ビーム合成された2ビームは「共通の線像結像光学系」であるシリンドリカルレンズ4の作用により「光偏向器」である回転多面鏡5の偏向反射面近傍に、それぞれが主走査方向に長い線像として互いに副走査方向に分離して結像する。
偏向反射面により等角速度的に偏向された2ビームは「走査光学系」をなす2枚のレンズ6、7を透過し、折り曲げミラー8により光路を折り曲げられ、「被走査面」の実体をなす感光体9上に、副走査方向に分離した2つの光スポットとして集光し、被走査面の2走査線を同時に光走査する。
【0015】
ミラー8により反射されたビームの1つは、光走査に先立って受光素子12に集光される。受光素子12の出力に基づき、2ビームの光走査の書込開始タイミングが決定される。このようにするかわりに、2つのビームを主走査方向にも分離し、各ビームを光走査に先立って受光素子12に集光し、受光素子12の出力に基づき、2ビームの書込開始タイミングを各々個別に決定するようにしてもよい。
「走査結像光学系」は、光偏向器5により同時に偏向される2ビームを、被走査面9上に2つの光スポットとして集光させる光学系であって、2枚のレンズ6、7により構成される。
【0016】
【実施例】
以下、具体的な例として、参考例を2例と実施例を1例、具体例として挙げる。以下の各例において、レンズ面形状の表現は以下の式による。
「主走査断面内における非円弧形状」
主走査断面内の近軸曲率半径:R、光軸からの主走査方向の距離:Y、円錐定数:K、高次の係数:A、A、A、A、A、A、・・、光軸方向のデプス:Xを用いて次の周知の多項式(1)で表す。
X=(Y/R)/[1+√{1−(1+K)(Y/R}]
+AY+A+A+A+A+A・・ (1)
式(1)において、奇数次の係数:A、A、A、・・が0以外の値を持つと非円弧形状は「主走査方向に非対称形状」となる。
「副走査断面内における曲率」
副走査断面内で曲率(非円弧形状では近軸曲率)が主走査方向(光軸位置を原点とする座標:Yで表す)に変化する場合、次の式(2)で表す。
(Y)={1/R(0)}
+BY+B+B+B+B+B+・・(2)
(0)は、「副走査断面内における光軸上(Y=0)」おける曲率半径を表す。
式(2)において、Yの奇数次係数:B、B、B、・・が0以外の値を持つと、副走査断面内の曲率の、主走査方向の変化は非対称である。勿論、「座標:Yで特定される副走査断面」内における曲率半径(非円弧形状では近軸曲率半径)は、式(2)の左辺:C(Y)の逆数である。
【0017】
「副非円弧面」
副走査断面の主走査方向の位置(光軸位置を原点とする座標):Y、副走査方向の座標:Zを用い、(3)で表す。
Figure 0003784591
式(3)における「CS」は、式(2)で定義されたCS(Y)である。また、「KS」は、次の式(4)で定義される。
S(Y)=C0(0)+C1Y+C22+C33+C44+C55+・・(4)
式(3)において、F1、F3、F5、…、G1、G3、G5、…等が0以外の値を持つと、副走査断面内の非円弧量が主走査方向に非対称となる。
すなわち、副非円弧面を表す一般式(3)において、右辺第1〜2行は、主走査方向の座標:Yのみの関数で「主走査断面内の形状」を表す。右辺の第3行以下は、副走査断面のY座標が決まるとZの各次数の項の係数が一義的に決まり、座標:Yにおける「副走査断面内の非円弧形状」が定まる。
図11は、ある座標:Yにおける副走査断面内における円弧である「副円弧」と、2種の非円弧形状である副非円弧a,bを示している。式(3)の右辺第3行目が副非円弧aを示し、2次曲面を表す。また、非球面高次補正量として、式(3)の右辺第4行以下を加えたものが副非円弧bである。
図中の「Δ’」と「Δ+Δ’」とは、上記副非円弧a,bにおける「非円弧量」である。これら非円弧量は、座標:Yに応じて変化するように設定することも、座標:Yにかかわらず一定であるように設定することも可能である。
なお、副非円弧面等の解析的表現は、上に挙げたものに限らず種々のものが可能であり、この発明における副非円弧面等の形状が上記式による表現に限定されるものではない。
【0018】
具体例1〜3は、図15に即して実施の形態を説明したマルチビーム方式の光走査装置に用いられる走査結像光学系の具体的な例である。これらの例の「光源1から被走査面9に至る光学配置」を図1に示す。光源1は何れも半導体レーザアレイであり、発光源は図1の図面に直交する方向へ配列される。
図示の如く、走査結像光学系を構成する2枚のレンズ6,7において、レンズ6の入射側面を面6a、射出側面を面6b、レンズ7の入射側面を面7a、射出側面を面7bとし、偏向反射面以後の面間隔を図示の如く、D1〜D5とする。
【0019】
具体例1(参考例)
光源1:半導体レーザアレイ
発光源数:4、発光源の間隔:14μm、波長:780nm
カップリングレンズ2
焦点距離:27mm、カップリング作用:コリメート作用
アパーチャ3:開口形状:矩形
主走査方向開口幅:9.0mm、副走査方向開口幅:1.9mm
シリンドリカルレンズ4
副走査方向の焦点距離:58.69mm
回転多面鏡5
偏向反射面数:5、内接円半径:20mm
光源側からのビームの入射角(副走査方向に直交する面への射影状態における入射方向と走査光学系の光軸とがなす角):60度
走査方法:1200dpi、隣接走査
「回転多面鏡と被走査面との間にある光学系のデータ」
データ表記の記号につき説明すると、曲率半径を、主走査方向につき「R」、副走査方向につき「R」、屈折率を「n」で表す。
以下のデータで、「R,R」は、円弧形状以外については「近軸曲率半径」である。また、Xは面間隔(前述のD1(i=0)〜D5(i=4))、Yはシフト量(回転多面鏡5による偏向ビームの主光線が走査線と直交する状態を基準として、レンズ光軸の「主走査方向におけるずれ量」を言い、図1において上方を正とする)を表す。
i(面番) Rmisi(0) X Y n
偏向反射面 0 ∞ ∞ 55.84 0.225
レンズ6 1(面:6a) -309.83 -42.49 30.94 0 1.52398
2(面;6b) -81.44 -3654.71 69.52 0.227
レンズ7 3(面:7a) -129.99 119.29 10.71 0 1.52398
4(面:7b) -151.53 -50.75 149.20 0
面番:0(偏向反射面)のシフト:Y(=0.225)は、レンズ6の光軸の「基準光軸に対する「+方向のずれ」であり、面番:2のシフト:Y(=0.227)は、レンズ7の光軸の基準光軸に対する「+方向のずれ」を表す。
以下の具体例2,3においても同様である。
レンズ面の主走査方向と副走査方向の係数を表1〜表4に挙げる。なお、表2〜表4の表記は表1にならっている。即ち、左の欄の数値は面番号を表し、中間の列は主走査方向の係数、右の欄は副走査方向の係数を表す。
【0020】
【表1】
Figure 0003784591
【0021】
【表2】
Figure 0003784591
【0022】
【表3】
Figure 0003784591
【0023】
【表4】
Figure 0003784591
【0024】
レンズ7の射出側面(第4面)の副走査方向の係数を表5に挙げる。
【0025】
【表5】
Figure 0003784591
【0026】
具体例2(実施例)
具体例2は、請求項1記載の走査結像光学系に関する実施例である。
光源1:半導体レーザアレイ
発光源数:4、発光源の間隔:30μm、波長:655nm
カップリングレンズ2
焦点距離:22mm、カップリング作用:コリメート作用
アパーチャ3:開口形状:矩形
主走査方向開口幅:7.7mm、副走査方向開口幅:2.8mm
シリンドリカルレンズ4
副走査方向の焦点距離:70mm
回転多面鏡5
偏向反射面数:5、内接円半径:25mm
光源側からのビームの入射角:60度
走査方法:1200dpi、5次飛び越し走査
「回転多面鏡と被走査面との間にある光学系のデータ」
i(面番) Rmisi(0) X Y n
偏向反射面 0 ∞ ∞ 45.86 0.08
レンズ6 1(面:6a) -253.38 -48.33 35.36 0 1.52716
2(面;6b) -82.35 -61.82 56.40 0.07
レンズ7 3(面:7a) -272.52 -34.63 12.5 0 1.52716
4(面:7b) -272.52 -21.63 166.10 0
レンズ面の主走査方向と副走査方向の係数を、表1〜4にならって、表6〜表9に挙げる。
【0027】
【表6】
Figure 0003784591
【0028】
【表7】
Figure 0003784591
【0029】
【表8】
Figure 0003784591
【0030】
【表9】
Figure 0003784591
【0031】
レンズ7の射出側面(第4面)の、副走査方向の係数を表10に挙げる。
【0032】
【表10】
Figure 0003784591
【0033】
具体例3(参考例)
光源1:半導体レーザアレイ
発光源数:4、発光源の間隔:14μm、波長:780nm
カップリングレンズ2
焦点距離:27mm、カップリング作用:コリメート作用
アパーチャ3:開口形状:矩形
主走査方向開口幅:9.0mm、副走査方向開口幅:1.6mm
シリンドリカルレンズ4
副走査方向の焦点距離:58.69mm
回転多面鏡5
偏向反射面数:5、内接円半径:20mm
光源側からのビームの入射角:60度
走査方法:1200dpi、隣接走査
「回転多面鏡と被走査面との間にある光学系のデータ」
i(面番) Rmisi(0) X Y n
偏向反射面 0 ∞ ∞ 72.56 0.406
レンズ6 1(面:6a) 1616.43 -50.14 35.00 0 1.52398
2(面;6b) -146.51 -199.81 61.93 0.403
レンズ7 3(面:7a) 400.87 -72.03 14.00 0 1.52398
4(面:7b) 824.88 -27.59 158.52 0
レンズ面の主走査方向と副走査方向の係数を、表1〜4にならって、表11〜表14に挙げる。
【0034】
【表11】
Figure 0003784591
【0035】
【表12】
Figure 0003784591
【0036】
【表13】
Figure 0003784591
【0037】
【表14】
Figure 0003784591
【0038】
レンズ7の射出側面(第4面)の、副走査方向の係数を表15に挙げる。
【0039】
【表15】
Figure 0003784591
【0040】
なお、各具体例において、光偏向器である回転多面鏡の回転中心の、走査結像光学系の光軸(上記「基準光軸」)からの−方向の「ずれ量」は、以下の通りである。
具体例番号 具体例1 具体例2 具体例3
回転中心のずれ量 8mm 10.7mm 8mm
図2に具体例1に関する収差図を示す。図1の左図は像面湾曲図であり、実線は副走査方向、破線は主走査方向の像面湾曲を示している。図1の右図は等速度特性であり、実線はリニアリティ、破線はfθ特性を表している。図から明らかなように、像面湾曲・等速度特性ともに極めて良好である。
副走査方向のスポット径が像高によって大きく変化しないことが高密度の光走査では特に重要になってくるが、「被走査面上の光スポットの副走査方向の径が、像高によって大きく変化しない」ためには、走査光学系の副走査方向の横倍率が像高により大きく変化しないことが必要である。また、走査結像光学系の、副走査方向の横倍率の像高による変動は、マルチビーム走査方式においては「同時に走査される走査線のピッチ(走査線ピッチという)が像高と共に変化する」問題となって現れる。従って、マルチビーム方式において、走査線ピッチの「像高による変動」を抑えるには「マルチビーム走査光学系の副走査方向横倍率を、像高間で一定に補正する」ことが必要である。
図3に示すように、具体例1の副走査方向横倍率比(像高:0における副走査方向の横倍率:β2と像高:hにおける横倍率:βhの比)は略1で殆ど変動しない。
具体例2に関する収差図を図7に、副走査方向横倍率の比を図6に示す。
具体例3に関する収差図を図10に、副走査方向横倍率の比を図9に示す。具体例2,3においても、像面湾曲・等速度特性・副走査光学倍率変化が極めて良好に補正されている。特に、具体例2においては、副走査光学倍率変化が極めて良好に補正され、実質的に無変動である。これは、具体例2が「副走査断面内の近軸曲率半径が、主走査方向の座標:Yに応じて非対称に変化し、+像高側での副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(Y+)|、光軸上の副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(0)|、−像高側での副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(Y−)|が、関係:
|r(Y+)|>|r(0)|>|r(Y−)|
を満足する面(面6b、7a)を有する」ためである。
【0041】
図4に、具体例1のレンズ6,7の各面の、近軸曲率半径の主走査方向の変化を示す。面6a面及び面7bは、副走査断面内の近軸曲率半径が「主走査対応方向に対称に変化」する面であり、面6b及び面7aが「非対称に変化」する面である。
面6b面は、+像高側に副走査断面内の曲率半径の極値を持ち、副走査断面内の曲率半径の、主走査方向の変化には|r(Y+)|>|r(0)|となる領域が存在する。
図5に、具体例2におけるレンズ6,7の各面の、副走査断面内の近軸曲率半径の、主走査方向の変化を示す。面6a及び面7bは、副走査断面内の近軸曲率半径が主走査対応方向に対称に変化する面であり、面6b及び面7a面が非対称に変化する面である。また、面6b及び面7aの、副走査断面内の曲率半径の、主走査方向の変化には、それぞれ、|r(Y+)|>|r(0)|となる領域が存在する。
図8に、具体例3に関するレンズ6,7の各面の、近軸曲率半径の主走査方向の変化を示す。面6a及び面7bは、副走査断面内の近軸曲率半径が主走査対応方向に非対称に変化する面であり、面6b及び面7aは、対称に変化する面である。また、面6a及び面7bの、副走査断面内の曲率半径の、主走査方向の変化には、それぞれ|r(Y+)|>|r(0)|となる領域が存在する。
【0042】
また、具体例2の走査結像光学系ではレンズ6の面6b及びレンズ7の面7aが、図5に示すように、副走査断面内の曲率半径は、副走査断面の主走査方向の座標:Yに応じて非対称に変化しており、+像高側での副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(Y+)|、像高:0での近軸曲率半径の絶対値:|r(0)|−像高側での副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(Y−)|が、関係:
|r(Y+)|>|r(0)|>|r(Y−)|
を満足する。
具体例1で、光スポットの小径化(像面上で1/e径で30μm程度)を狙ったときの「深度曲線」を図12に示す。具体例2で、光スポットの小径化(像面上で1/e径で30μm程度)を狙ったときの深度曲線を図13に示す。具体例3で、光スポットの小径化(像面上で1/e径で30μm程度)を狙ったときの深度曲線を図14に示す。何れの実施例の場合も、主・副走査方向ともに非円弧形状の面を有することにより良好な深度が得られている。
【0043】
上に挙げた具体例1〜3の走査結像光学系は、光源1からの1以上のビームを光偏向器5により偏向させ、1以上の偏向ビームを走査結像光学系6,7により被走査面9上に光スポットとして集光させ、被走査面9の光走査を行い、且つ、光偏向器5の偏向反射面の回転中心が、偏向反射面と分離して走査結像光学系の光軸から−側にずれて配置された光走査装置における走査結像光学系であって、1以上のレンズ6,7を含む結像光学素子により構成される。
具体例1の走査結像光学系は、1以上のレンズ6,7の少なくとも1面(面6b)が、主走査断面内が非円弧で、且つ副走査断面内の近軸曲率半径が主走査方向の座標:Yに応じて変化し、近軸曲率半径の極値が面の光軸上にない面であり、さらに、1以上のレンズの少なくとも2面(面6b,面7a)は、副走査断面内の近軸曲率半径が、主走査方向の座標:Yに応じて非対称に変化する面である。
また、具体例1〜3の走査結像光学系は何れも、副走査断面内の近軸曲率半径が、主走査方向の座標:Yに応じて非対称に変化し、+像高側での副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(Y+)|が、光軸上の副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(0)|に対して、関係:|r(Y+)|>|r(0)|を満足する領域が存在する面(具体例1において面6b,7a、実施例2において面6b,7a、実施例3において面6a,7b)を含む。
具体例2の走査結像光学系は、1以上のレンズのレンズ面中に、副走査断面内の近軸曲率半径が、主走査方向の座標:Yに応じて非対称に変化し、+像高側での副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(Y+)|、光軸上の副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(0)|、−像高側での副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(Y−)|が、関係:|r(Y+)|>|r(0)|>|r(Y−)|
を満足する面(面6b,7a)を有する(請求項1)。
【0044】
また、具体例1〜3の走査結像光学系は何れも、1以上のレンズの、レンズ面中の少なくとも1面(面7b)が、主走査断面内非円弧で、副走査断面内が非円弧形状である副非円弧面であり、且つ、これら副非円弧面は何れも、副走査断面内の非円弧形状が、主走査方向の座標:Yに応じて変化する。
また、上記具体例1〜3の走査結像光学系は、図15に示すマルチビーム方式の光走査装置に用いられ、同時に偏向される複数の偏向ビームを、被走査面上に、副走査方向に分離した複数の光スポットとして集光する。従って、図15の光走査装置の走査光学系として上記実施例1〜3の任意のものを用いたものは、複数の発光源ch1〜ch4からのビームをカップリングレンズ2により以後の光学系にカップリングし、カップリングされた複数ビームを共通の線像結像光学系4により、光偏向器5の偏向反射面位置近傍に主走査方向に長く、副走査方向に分離した複数の線像として結像させ、光偏向器5により同時に等角速度的に偏向させ、複数の偏向ビームを共通の走査結像光学系6,7により、被走査面9上に、副走査方向に分離した複数の光スポットとして集光し、これら複数の光スポットにより複数走査線を同時に光走査し、且つ、光偏向器5の偏向反射面の回転中心が、偏向反射面と分離して走査結像光学系6,7の光軸から−側にずれて配置されたマルチビーム方式の光走査装置において、複数の偏向ビームに対する共通の走査結像光学系として、上記請求項4記載のものを用いたものであり、光源1として、複数の発光源ch1〜ch4が1列に配列されたモノリシックな半導体レーザアレイが用いられ、半導体レーザアレイの発光源ch1〜ch4の間隔は10μm以上である。
【0045】
また、図16に実施の形態を示した光走査装置では、光源装置として、2つの発光源を、実施例1〜3の半導体レーザ1における2つの発光源ch2、ch3の配列と等価なものとして構成することもでき、このような光源装置の場合に、上記請求項1の走査結像光学系は好適に適用することができる。
また、図15のマルチビーム方式の光走査装置に、上記具体例2のものを走査結像光学系として用いた場合、光源1における発光源ch1〜ch4の任意のものを「単一発光源」に置きかえ得ることは当然であり、このような光走査装置は、光源からの単一のビームを、カップリングレンズ2により以後の光学系にカップリングし、カップリングされたビームを線像結像光学系4により、光偏向器5の偏向反射面近傍に主走査方向に長い線像として結像させ、光偏向器により等角速度的に偏向させ、偏向ビームを走査結像光学系6,7により、被走査面9上に光スポットとして集光させて被走査面を光走査し、且つ、光偏向器の偏向反射面の回転中心が、偏向反射面と分離して走査結像光学系の光軸から−側にずれて配置されたシングルビーム方式の光走査装置で、走査結像光学系として請求項1〜3の何れかに記載のものを用いた光走査装置(請求項5)である。
【0046】
上記各具体例において、走査光学系の副走査方向のFナンバは、大きくても28近傍であり、従来、例えば特開平8−297256号で提案されたマルチビーム走査光学系のFナンバ:52〜73.5に比して明るく、ビームスポット径を「より小さく絞る」ことができ、高密度化を図れる。
また、上記各実施例では、走査光学系の2枚のレンズ6、7をプラスチック材料で構成しているが、勿論、ガラス材料を使ってもよく、またプラスチック材料とガラス材料を組み合わせてもよい。
【0047】
図17は、画像形成装置の実施の1形態を示している。
感光媒体としての光導電性の感光体100は、円筒状に形成されて矢印方向へ等速回転し、帯電手段(コロナ放電式のものを示しているが、帯電ローラ等の接触式のものとしてもよい)112により均一帯電され、光走査装置114による書込で静電潜像を形成される。この静電潜像は、現像手段116により現像され、現像により得られた可視像は、転写手段(ローラ式のものを示しているが、転写・分離チャージャ式のものとしてもよい)120によりシート状の記録媒体(転写紙やオーバヘッドプロジェクタ用のプラスチックシート等)Sに転写される。記録媒体Sは、転写された可視像を定着手段122により定着されて装置外へ排出される。
図17において、符号118は「トナーホッパー」を示す。トナーホッパー118は、貯蔵したトナーを、必要に応じて現像手段116に補給するようになっており、ホッパーごと交換できるようになっている。
光走査装置114は光偏向器1141以後が描かれている。光偏向器1141により偏向されたビームは、レンズ1142を透過し、ミラー1144、1145により光路を屈曲され、レンズ1146を透過して光走査装置114から射出して感光体100を光走査する。この例で、レンズ1142、1146が走査結像光学系の実体をなし、具体例2におけるレンズ6,7に対応する。図の「バック長」は、レンズ1146の感光体100側の面から感光体100に至る距離である。
トナーホッパー118を交換するユーザの負担を軽減するため、トナーホッパーの貯蔵トナー量を増大させてトナーホッパー交換期間を長くすることが行われており、それに伴いトナーホッパー118が大型化し、走査光学系114に長いバック長が要求されるが、上記実施例1〜3に示した各走査光学系は、何れも「長いバック長(各実施例における面番4のX)」を有するので、長いバック長を要する画像形成装置に有効に用いることができる。
即ち、感光媒体100の感光面に光走査装置114による光走査を行って潜像を形成し、該潜像を可視化して画像を得る画像形成装置であって、感光媒体100の感光面の走査を行う光走査装置114として、前記請求項5〜8の任意の1に記載のものを用いたものであり(請求項9)、感光媒体100が「光導電性の感光体」であり、感光面の均一帯電と光走査装置の走査とにより形成される静電潜像が、トナー画像として可視化されるものである(請求項10)。
【0048】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、光偏向器の偏向反射面の回転中心が、偏向反射面と分離して、走査結像光学系の光軸から−側にずれて配置された光走査装置において、走査結像光学系の、像面湾曲や光学倍率を良好に補正し、安定性のよい光スポットを実現することが可能である。
また、この発明の光走査装置によれば、この発明の走査結像光学系を用いることにより、スポット径の小さい良好な光スポットを実現可能であり、この発明の画像形成装置は、この発明の光走査装置を用いることにより、良好な画像形成を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の走査結像光学系を用いる光走査装置の実施例の光学配置を説明するための図である。
【図2】具体例1に関する収差図(像面湾曲と等速度特性)を示す図である。
【図3】具体例1に関する走査結像光学系の、副走査方向の光学倍率(光軸上の倍率で規格化してある)の、像高による変化を示す図である。
【図4】具体例1における走査結像光学系の、各レンズ面の副走査断面内における曲率半径の主走査方向における変化を示す図である。
【図5】具体例2における走査結像光学系の、各レンズ面の副走査断面内における曲率半径の主走査方向における変化を示す図である。
【図6】具体例2に関する走査結像光学系の、副走査方向の光学倍率(光軸上の倍率で規格化してある)の、像高による変化を示す図である。
【図7】具体例2に関する収差図(像面湾曲と等速度特性)を示す図である。
【図8】具体例3における走査結像光学系の、各レンズ面の副走査断面内における曲率半径の主走査方向における変化を示す図である。
【図9】具体例3に関する走査結像光学系の、副走査方向の光学倍率(光軸上の倍率で規格化してある)の、像高による変化を示す図である。
【図10】具体例3に関する収差図(像面湾曲と等速度特性)を示す図である。
【図11】副非円弧面を説明するための図である。
【図12】具体例1で、光スポットの小径化(像面上で1/e2径で30μm程度)を狙ったときの深度曲線である。
【図13】具体例2で、光スポットの小径化(像面上で1/e2径で30μm程度)を狙ったときの深度曲線である。
【図14】具体例3で、光スポットの小径化(像面上で1/e2径で30μm程度)を狙ったときの深度曲線である。
【図15】マルチビーム方式の光走査装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図16】マルチビーム方式の光走査装置の実施の別形態を説明するための図である。
【図17】画像形成装置の実施の1形態を説明するための図である。
【符号の説明】
1 光源(半導体レーザアレイ)
2 カップリングレンズ
3 アパーチャ
4 シリンドリカルレンズ(線像結像光学系)
5 回転多面鏡(光偏向器)
6,7 走査結像光学系を構成するレンズ
9 被走査面

Claims (10)

  1. 光源からの1以上のビームを光偏向器により偏向させ、1以上の偏向ビームを走査結像光学系により被走査面上に光スポットとして集光させ、上記被走査面の光走査を行い、且つ、上記光偏向器の偏向反射面の回転中心が上記偏向反射面と分離して上記走査結像光学系の光軸から−側にずれて配置された光走査装置における走査結像光学系であって、
    1以上のレンズを含む結像光学素子により構成され、
    上記1以上のレンズのレンズ面中に、
    副走査断面内の近軸曲率半径が、主走査方向の座標:Yに応じて非対称に変化し、+像高側での副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(Y+)|、光軸上の副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(0)|、−像高側での副走査断面内の近軸曲率半径の絶対値:|r(Y−)|が、関係:
    |r(Y+)|>|r(0)|>|r(Y−)|
    を満足する面を有することを特徴とする走査結像光学系。
  2. 請求項1記載の走査結像光学系において、
    1以上のレンズの、レンズ面中の少なくとも1面が、主走査断面内が円弧または非円弧で、副走査断面内が非円弧形状である副非円弧面であることを特徴とする走査結像光学系。
  3. 請求項2記載の走査結像光学系において、
    副非円弧面の、副走査断面内の非円弧形状が、主走査方向の座標:Yに応じて変化することを特徴とする走査結像光学系。
  4. 請求項1〜3の任意の1に記載の走査結像光学系において、
    同時に偏向される複数の偏向ビームを、被走査面上に、副走査方向に分離した複数の光スポットとして集光することを特徴とする走査結像光学系。
  5. 光源からの単一のビームを、カップリングレンズにより以後の光学系にカップリングし、カップリングされたビームを線像結像光学系により、光偏向器の偏向反射面近傍に主走査方向に長い線像として結像させ、上記光偏向器により等角速度的に偏向させ、偏向ビームを走査結像光学系により、被走査面上に光スポットとして集光させて上記被走査面を光走査し、且つ、上記光偏向器の偏向反射面の回転中心が、上記偏向反射面と分離して上記走査結像光学系の光軸から−側にずれて配置されたシングルビーム方式の光走査装置において、
    走査結像光学系として、請求項1〜3の任意の1に記載のものを用いたことを特徴とするシングルビーム方式の光走査装置。
  6. 複数の発光源からのビームをカップリングレンズにより以後の光学系にカップリングし、カップリングされた複数ビームを共通の線像結像光学系により、光偏向器の偏向反射面位置近傍に主走査方向に長く、副走査方向に分離した複数の線像として結像させ、上記光偏向器により同時に等角速度的に偏向させ、複数の偏向ビームを共通の走査結像光学系により、被走査面上に、副走査方向に分離した複数の光スポットとして集光し、これら複数の光スポットにより複数走査線を同時に光走査し、且つ、上記光偏向器の偏向反射面の回転中心が、上記偏向反射面と分離して上記走査結像光学系の光軸から−側にずれて配置されたマルチビーム方式の光走査装置において、
    複数の偏向ビームに対する共通の走査結像光学系として、請求項4記載のものを用いたことを特徴とするマルチビーム方式の光走査装置。
  7. 請求項6記載の光走査装置において、
    光源として、複数の発光源が1列に配列されたモノリシックな半導体レーザアレイを用いたことを特徴とするマルチビーム方式の光走査装置。
  8. 請求項7記載の光走査装置において、
    半導体レーザアレイの発光源の間隔が、10μm以上であることを特徴とするマルチビーム方式の光走査装置。
  9. 感光媒体の感光面に光走査装置による光走査を行って潜像を形成し、上記潜像を可視化して画像を得る画像形成装置であって、
    感光媒体の感光面の光走査を行う光走査装置として、請求項5〜8の任意の1に記載のものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項9記載の画像形成装置において、
    感光媒体が光導電性の感光体であり、感光面の均一帯電と光走査装置の光走査とにより形成される静電潜像が、トナー画像として可視化されることを特徴とする画像形成装置。
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