JP3913424B2 - 走査光学系および光走査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走査光学系および光走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光走査装置は、デジタル複写機やレーザプリンタ、ファクシミリ、レーザプロッタ、レーザ製版装置等の画像形成装置に関連して広く知られている。そしてこの光走査装置に用いられる走査光学系は、光偏向器により偏向するビーム(光束)を被走査面上に走査用の光スポットとして集光する光学系である。
このような光走査装置に対し、走査の高密度化、高速化が要請されている。また光走査装置を用いる画像形成装置の、レイアウト上の理由等により、走査光学系に「長いバック長」が要請されることが多い。
「バック長」は、走査光学系を構成する結像素子(レンズや凹面鏡等)のうちで、最も被走査面側に配備されるものから、被走査面に至る距離である。
光走査装置を用いる画像形成装置では一般に、光導電性の感光体を帯電手段により均一帯電し、光走査装置による光走査で情報書込みを行って静電潜像を形成し、この静電潜像を現像手段により現像してトナー画像を得、このトナー画像を記録媒体上に転写定着して、所望の記録画像を得る。
このような画像形成装置で、帯電手段や現像手段は、その機械的な構成により感光体に対する機械的な位置関係が限定されるので、その配備位置には自由度が少ない。これに対して光走査装置の光学系は、光源から被走査面(実体的には上記感光体の感光面)に至る光学配置に相当の自由度があるため、画像形成装置における帯電手段や現像手段のレイアウトに対応して光学設計を行うことが可能であるため、レイアウト上の要請により上記の如きバック長の長い走査光学系が求められることがあるのである。
【0003】
例えば、図16は、光走査装置114を用いた画像形成装置の1例を略示している。光導電性の感光体100は円筒状に形成されて矢印方向へ等速回転し、帯電手段(コロナ放電式のものを示しているが、帯電ローラ等の接触式のものであることもある)112により均一帯電され、光走査装置114による書込みで静電潜像を形成される。この静電潜像は現像手段116により現像され、現像により得られた可視像は、転写手段(ローラ式のものを示しているが、転写・分離チャージャ式のものであることもある)120により記録媒体(転写紙やオーバヘッドプロジェクタ用のプラスチックシート等)Sに転写される。記録媒体Sは、転写された可視像を定着手段122により定着されて装置外へ排出される。
図16において、符号118はトナーホッパを示す。トナーホッパ118は、貯蔵したトナーを、必要に応じて現像手段116に補給するようになっており、ホッパごと交換できるようになっている。
光走査装置114は光偏向器1141以後が描かれている。光偏向器1141により偏向されたビームは、レンズ1142,1143を透過し、ミラー1144,1145により光路を屈曲され、レンズ1146を透過して光走査装置114から射出し、感光体100を光走査する。
この例で、レンズ1142,1143,1146が走査光学系の実体をなし、バック長は、レンズ1146の感光体100側の面から感光体100に至る距離である。
トナーホッパ118を頻繁に交換するユーザの負担を軽減するため、トナーホッパの貯蔵トナー量を増大させてトナーホッパ交換期間を長くすることが行われており、それに伴いトナーホッパ118が大型化し、走査光学系114に長いバック長が要求されるのである。
【0004】
近来、光走査の「走査密度」も1200dpiあるいは2400dpiといった高密度が要請されている。光走査の高密度化には、被走査面上に集光させる光スポットのスポット径を小さくする必要がある。このためには、走査光学系の結像倍率がなるべく小さいことが好ましい。しかし、走査結像倍率を小さくしようとすると、通常は、最も被走査面に近い結像素子を被走査面に近付ける必要があり、このようにすると、前記長いバック長を実現することが難しくなる。また、被走査面に近接した結像素子は、その主走査方向の長さが長大化して、製造が容易でなく、製造コストが高くなりやすい。
光走査を高速化できる方法として、被走査面の複数走査線を同時走査する「マルチビーム方式」が注目され、モノリシックな半導体レーザアレイの発光源を副走査方向に並べたLDアレイ方式や、複数の半導体レーザからのビームを合成するビーム合成方式の光源を用いるマルチビーム方式の光走査装置が実現されつつある。このようなLDアレイ方式やビーム合成方式の光源を用いると、シングルビーム方式の光走査装置の場合と同様、光源から被走査面に至る光路上の光学系を複数ビームで共通化して使用できるので、機械的変動に対して安定性のよいマルチビーム方式の光走査装置が可能になる。
1200dpiあるいは2400dpiといった高密度の光走査を、マルチビーム方式の光走査で実現するには、光源における発光源の間隔(LDアレイ方式では、LDアレイにおける各発光源の間隔、ビーム合成方式では、合成されたビームの仮想的な発光源間隔)を小さくする必要がある。
【0005】
例えば、複数ビームが同時走査する複数走査線のピッチが1走査線分である場合、即ち、所謂隣接走査の場合で、2400dpiの走査密度を実現しようとすると、光源に於ける発光源の間隔は一般に10μmよりも小さいものになる。
光源として、モノリシックな半導体レーザアレイを用いる場合を考えると、モノリシックな半導体レーザアレイでは、発光源の間隔が10μmよりも小さくなると、1つの発光源の点滅が隣接する発光源の点滅に「熱的・電気的」に影響するようになり、個々の発光源を独立して変調制御することが難しくなる。
また、光源としてビーム合成方式のものの場合であると、合成されたビームの仮想的な発光源の副走査方向の間隔を極めて小さく、しかも、精度良く調整する必要があり、ビーム合成に伴う調整が面倒である。
光源における発光源の間隔をある程度大きくして、なおかつ高密度のマルチビーム走査を実現するには、隣接ビームが被走査面上で1走査線分以上の間隔をあけて走査を行う、所謂「飛越し走査」を行えばよい。しかし、隣接ビームが飛び越す走査線数(飛越し次数)が大きくなると、「ビームが走査光学系を通過する位置」が、ビームごとに副走査方向に大きく異なるようになる。そうなると、走査光学系の光学作用がビーム毎に同じにならず、特に、副走査方向の倍率が光スポットの像高と共に変動し、走査線ピッチが「像高と共に大きく変動する」ことになる。従って、飛越し走査における飛越し次数は、あまり大きくない「適正な次数」であることが必要である。
高密度の光走査を実現するには、マルチビーム走査方式においても、被走査面上に結像する個々の光スポットのスポット径を小さくする必要があることは当然であり、このために、光源と被走査面との間に配備される光学系の横倍率を小さくすることが必要であること、各偏向ビームを被走査面上に集光するための走査光学系の倍率も極力小さく抑えることが必要であることは、シングルビーム方式の場合と何ら変わらない。
1200dpiや2400dpiといった高密度の光走査をマルチビーム方式の光走査で実現するには、飛越し走査を行うことにより、光源における発光源間隔が極端に狭くならないようにしつつ、飛越し次数を適当にし、走査線ピッチの像高による大きな変動を抑えるのが良い。
また、マルチビーム方式、シングルビーム方式を問わず、走査光学系は、なるべく横倍率が小さく、バック長が長いものであることが好ましい。また、マルチビームでは、光源と光偏向器間に配備される光学系を複数ビームに共通化することが、機械的変動に対する光走査の安定性の観点から望ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは先に、シングルビーム方式、マルチビーム方式を問わず、走査光学系のバック長を確保しつつ副走査方向の横倍率を小さくし、小径の光スポットを実現できる走査光学系の実現を課題として、
「光偏向器により偏向されるビームを被走査面上に光スポットとして集光させる光学系であって、
2枚のレンズにより構成され、
光偏向器側のレンズは、主走査方向に正の屈折力、副走査方向に負の屈折力を有するものであり、
被走査面側のレンズは副走査方向に正の屈折力を有し、
中心像高の副走査方向横倍率:β2が、条件:
0.5≦|β2|≦1.0
を満足することを特徴とする走査光学系」
を提案した(特願平10−300868号)。
【0007】
シングルビーム方式でもマルチビーム方式でも、光走査装置の「副走査方向の横倍率(光源から被走査面に至る光路上に配備される全光学系の、副走査方向に関する横倍率)」は、光源と光偏向器との間に配備される光学系の副走査方向の横倍率:|β1| と、光偏向器以後に配備される走査光学系の副走査方向の横倍率:|β2|との積で与えられる。ここで、副走査方向において、被走査面近傍像点に共役な走査光学系の物点と、被走査面近傍像点との横倍率を|β2|とする。
上記|β1|は、カップリングレンズの焦点距離:fcupとシリンドリカルレンズ(線像結像光学系)の焦点距離:fcylとの比であり、一般に、
|β1|=|fcyl/fcup|≧4
が必要である。即ち、|β1|が4より小さいと、カップリングレンズの焦点距離が大きくなり、光の利用効率を確保するのに開口数を大きくしなければならず、カップリングレンズの設計製作が困難になる。また、線像結像光学系の焦点距離が短くなり、光偏向器の周囲での光学配置の相互干渉が生じ易く、光学的なレイアウトが困難になる。
しかし、半導体レーザアレイの寿命を考慮しながらの出力アップや、露光エネルギーの小さい感光体の利用により光利用効率低下を補うことをすれば、開口数を下げることで焦点距離が30mm程度までのカップリングレンズを設計・製作することは可能であり、この場合には、
|β1|=|fcyl/fcup|≧3
でもよい。
上記|β2|は、|β2|≧0.5が「実用的に使える範囲」である。
|β2| が0.5より小さいと、一般に、被走査面側のレンズが、感光体に近づき過ぎ、該レンズの主走査方向の全長が長くなるため、加工が困難になり、レンズの製造コストも高くなる。また「長いバック長の確保」も難しい。
従って、全系の副走査横倍率:|β|としては、
|β1|・|β2|=4×0.5=2倍
程度が下限となる。また、走査光学系が拡大倍率(|β2| >1)であると、バック長を長く取ることができるが、マルチビーム方式の場合に、レーザアレイの発光源ピッチが狭くなってしまうため、むやみに|β2|を大きくすることもできない。
このような観点から先願では、走査光学系は、副走査方向横倍率:|β2|が|β2|≧0.5 の範囲で縮小型であること、即ち、
0.5≦|β2|≦1.0
であることが望ましいとしている。
【0008】
本発明者らの先願による走査光学系は、主走査方向においては、光偏向器側のレンズに正の屈折力を与えて、fθ特性等の「等速度特性」を確保するとともに、副走査方向においては、光偏向器側から順に「負・正の屈折力配分」とすることにより所謂「レトロフォーカス型」としている。このため、実際のレンズ配置におけるよりも被走査面側に「副走査方向の後側主点」を配置でき、バック長を長くとることが可能となり、走査光学系を「副走査方向で縮小型」にすることが可能になる。そして、副走査方向の横倍率;|β2| を、
0.5≦|β2|≦1.0
の範囲とすることにより、被走査面側レンズの「主走査方向のレンズ全長の長大化」を有効に抑えることができる。
また、この走査光学系は、上記の如く「副走査方向においてレトロフォーカス型」であるため、「FNo.(Fナンバ)」を小さくでき、且つ、副走査方向を縮小型にできるので、光スポット径を「より小さく絞る」ことができ、光走査の高密度化に容易に対応できる。また、副走査方向を縮小型にしたことに伴い、「光偏向器の偏向反射面の面倒れの影響」も縮小され、面倒れに起因する「走査線ピッチムラ」が小さくなる。
【0009】
また、光源と光偏向器の間の光学系が同じである場合、上記条件を満たす走査光学系を用いることにより、全系横倍率を小さくできるので、走査光学系をLDアレイ方式の光源を用いるマルチビーム方式の光走査装置に用いる場合、半導体レーザアレイの発光源ピッチを大きくでき、発光源相互の熱的・電気的干渉を軽減できる。また、ビーム合成方式の光源を用いるマルチビーム方式では、合成されたビームの仮想的な発光源の間隔をある程度大きくとることができるので、ビーム合成に要求される精度が緩和される。
例えば、前記の「全系の副走査方向の横倍率」として、|β|=2としてみると、走査密度と半導体レーザアレイの発光源ピッチ(単位:μm)の関係は、走査密度:1200dpi、2400dpiの各々につき、以下の一覧のようになる。
上記において、例えば「3次飛越し」とあるのは、被走査面を走査する隣接ビームが「2走査線を介して同時走査」する場合であり、以下同様である。
【0010】
一般に、光走査装置の「全系の副走査方向の横倍率:|β|」は、上記2倍より大きくした方が、走査光学系は製作し易くなるが、反面、半導体レーザアレイの発光源ピッチは上記のものより更に小さくなり、半導体レーザアレイを光源とする場合、その製造が困難になる。特に、10μm以下の発光源間隔の半導体レーザアレイでは発光源相互の熱的・電気的干渉が大きく、個々の発光源が「独立した発光源として機能」するようなものを製造することは極めて困難であり、かかる半導体レーザアレイの使用は実用的でない。10μm以上、好ましくは15μm以上の発光源間隔をもった半導体レーザアレイは、熱的・電気的干渉が小さい範囲で使うことができ、また15μm以上の発光源間隔でも、上に示したように、飛越し走査により2400dpiを実現できる。
【0011】
以上の本発明者らによる先願の走査光学系では、半導体レーザアレイの発光源ピッチを大きくするため、走査光学系を「副走査方向で縮小型」で、副走査方向の横倍率;|β2| を、
0.5≦|β2|≦1.0
の範囲とし、さらにバック長を長く取るために副走査方向にレトロフォーカス型とすることで、被走査面側レンズの「主走査方向のレンズ全長の長大化」を有効に抑えることができ、走査光学系のバック長を確保しつつ副走査方向の横倍率を小さくし、小径の光スポットを実現している。
しかし、この先願による走査光学系を用いた光走査装置では、4ビームを1200dpiで5次飛び越し走査したとき、走査線曲がり量が9μm、ピッチ変動が最大0.17μm発生している。この値は小さな値であるが、先願の走査光学系では共軸非球面と回転軸を持つトロイダル面を使っているので、これ以上の低減は困難である。しかし、さらに高性能な光走査装置では、さらに小さな走査線曲がり量やピッチ変動が求められている。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、さらに使い易く高性能な走査光学系を実現するために、バック長をさらに長く取り、走査線曲がりやピッチ変動をさらに小さくすることを目的としている。
すなわち、本発明は、長いバック長を確保しつつ走査線曲がりやピッチ変動を抑えることができる走査光学系の実現を課題としている。また、本発明は、上記走査光学系を使用することにより、走査線曲がりやピッチ変動が抑えられ、高密度化に適応できるシングルビーム方式及びマルチビーム方式の光走査装置の実現を他の課題としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の走査光学系は「光偏向器により偏向されるビームを被走査面上に光スポットとして集光させる走査光学系」であって、以下の如き特徴を有する(請求項1)。
即ち、走査光学系は、2枚のレンズにより構成される。
光偏向器側に近いレンズは、「レンズ面の第一面と第二面は、主・副走査方向で曲率が異なり、主走査方向に正の屈折力を有し、且つ副走査方向に負の屈折力を有する」ものであり、被走査面側に近いレンズは、「レンズ面の第一面と第二面は、主・副走査方向で曲率が異なり、副走査方向に正の屈折力を有する」ものである。
そして、上記2枚のレンズの4つのレンズ面のうち、少なくとも2つのレンズ面は、副走査方向の曲率が主走査方向に変化し、上記少なくとも2つのレンズ面のうちの少なくとも1つのレンズ面は、副走査方向の曲率変化が主走査方向に非対称であり、中心像高における副走査方向の横倍率:β2 と、任意の像高における副走査方向の横倍率:β h が、条件:
(1) 0.93≦|β h /β 2 |≦1.07
を満足する。
【0014】
この請求項1記載の走査光学系において、走査光学系の中心像高における副走査方向の横倍率:β2 は、条件:
(2) 1.0≦|β 2 |≦1.4
を満足することが好ましい(請求項2)。
この請求項2記載の走査光学系においては、副走査方向の曲率が主走査方向に変化する面における曲率変化が「2つ以上の極値」を有し、そのうちの少なくとも1つの極値は、その主走査方向の位置:he が、+像高側または−像高側の、光軸からの有効レンズ高さ:hmax に対し、条件:
(3) |he/hmax|≧0.5
を満足することが好ましい(請求項3)。
ここで、「副走査方向の曲率」は、レンズ面を「レンズ面近傍において主走査方向に直交する仮想的な平断面(以下、「副走査断面」という)で切断」したとき、副走査断面内におけるレンズ面の曲率をいう。従って、上記「副走査方向の曲率が主走査方向に変化する」とは、上記副走査断面の位置を主走査方向に変化させたとき、副走査断面の位置に応じて、副走査方向の曲率が変化することを意味する。
上記請求項3記載の走査光学系においては、副走査方向の曲率が主走査方向に変化する少なくとも2つのレンズ面は、「面間に空気間隔を有する」ことが好ましい(請求項4)。
上記請求項1〜4の何れか1つに記載の走査光学系は勿論、シングルビーム方式の光走査装置に使用できるが、「光偏向器で同時に偏向される複数ビームを被走査面上に、複数の光スポットとして集光する」ために用いることもできる(請求項5)。
【0015】
請求項6記載の光走査装置は、シングルビーム方式の光走査装置である。
即ち、この光走査装置は、「光源からのビームを、カップリングレンズにより以後の光学系にカップリングし、カップリングされたビームを線像結像光学系により、光偏向器の偏向反射面近傍に主走査方向に長い線像として結像させ、上記光偏向器により等角速度的に偏向させ、偏向ビームを走査光学系により、被走査面上に光スポットとして集光させ、上記被走査面を走査するシングルビーム方式の光走査装置において、上記走査光学系として、請求項1〜4の何れか1つに記載の走査光学系を用いたこと」を特徴とする。
【0016】
請求項7記載の光走査装置は、マルチビーム方式の光走査装置である。
即ち、この光走査装置は、「複数の発光源からのビームを、カップリングレンズにより以後の光学系にカップリングし、カップリングされた複数ビームを共通の線像結像光学系により、光偏向器の偏向反射面近傍に主走査方向に長く、副走査方向に分離した複数の線像として結像させ、上記光偏向器により同時に等角速度的に偏向させ、各偏向ビームを共通の走査光学系により、被走査面上に、副走査方向に分離した複数の光スポットとして集光し、これら複数の光スポットにより複数の走査線を同時に走査するマルチビーム方式の光走査装置において、複数の偏向ビームに共通の走査光学系として、請求項5記載の走査光学系を用いたこと」を特徴とする。尚、カップリングレンズは複数ビームに対して、個別的としても共通化してもよい。
この請求項7記載のマルチビーム方式の光走査装置において、光源として「複数の発光源が副走査方向に配列したモノリシックな半導体レーザアレイ」を用いることができる(請求項8)。
【0017】
本発明では、2枚のレンズからなる走査光学系において、「走査線曲がりやピッチ変動」をさらに小さくするために、4つのレンズ面の全てを「主・副走査方向で曲率(あるいは曲率半径)が異なる」ようにし、「バック長」をさらに長くとるために、副走査方向の横倍率:β2は、条件:
(2) 1.0≦|β2|≦1.4
を満足する「やや拡大型」としている。
さらに、走査光学系をを大きくせずにコンパクト性を維持するために、「副走査方向でレトロフォーカス型」、即ち主走査方向では光偏向器側に近いレンズは正の屈折力を有して等速走査特性を確保し、副走査方向では光偏向器側から順に負の屈折力/正の屈折力を有する「レトロフォーカス型」となり、より被走査面側に寄った所に副走査方向の後側主点を配置できるので、走査光学系をコンパクトにできるようにした。
【0018】
ところで、良好な光走査を行うには、被走査面上の光スポットの径(主走査方向の径は、信号の電気的な補正である程度対処できるが、副走査方向の径はこのような補正ができないので、特に副走査方向のスポット径)が、像高によって大きく変化しないことが重要である。このことは高密度の光走査では特に重要になってくる。「被走査面上の光スポットの副走査方向の径が、像高によって大きく変化しない」ためには、走査光学系の副走査方向の横倍率が像高により大きく変化しないことが必要である。また、走査光学系の副走査方向の横倍率の、像高による変動は、マルチビーム走査方式においては「同時に走査される走査線のピッチ(走査線ピッチという)が像高と共に変化する問題」となって現れる。
従って、マルチビーム方式の光走査において、走査線ピッチの「像高による変動」を抑えるには「マルチビーム走査光学系の副走査方向横倍率を、像高間で一定に補正する」ことが必要である。
このことは、走査光学系を構成する2枚のレンズのレンズ面の内の、少なくとも2つのレンズ面で副走査方向の曲率を主走査方向に変化させ、副走査方向のベンディングにより「副走査方向の主点位置を像高に応じて調整する」ことにより実現できる。
【0019】
また、一般に、光偏向器であるポリゴンミラーの回転中心は、走査光学系の光軸から「hだけずらし」て設置されるため、ビーム偏向に伴い偏向反射面での反射点が変位し、副走査方向の横倍率は「主走査方向において非対称的に変化」する。この非対称な横倍率変化は、上記2つのレンズ面の少なくとも1面を「副走査曲率変化の非対称な面」とすることで補正できる。
このとき、シングルビーム方式でもマルチビーム方式でも、有効主走査領域内における「副走査方向の横倍率変化」は10%以下であることが好ましく、より好ましくは7%以下が良い。
請求項1,2記載の発明では、中心像高における副走査方向の横倍率:β2と、任意の像高における副走査方向の横倍率:βhが、条件:
(1) 0.93≦|βh/β2|≦1.07
を充足することにより、上記7%以下の副走査方向横倍率変化を実現している。
また、マルチビーム方式での光走査の場合、副走査方向の横倍率変化が7%以下であれば、「1200dpiで7次飛越し走査」を行う場合でも、同時走査ピッチ:148.19μmに対し、10.37μmのピッチ変動となり、1200dpiでの隣接ピッチ:21.17μmの略半分に抑えられる。飛越し走査の場合、ピッチ変動が「隣接ピッチの略半分」であることは、走査線ピッチ変動に対する許容限界であり、5次飛越しや3次飛越しならばさらにピッチ変動を小さく抑えることができる。
【0020】
ところで、一般に、倍率を一定に保とうとすると、高次曲線状の像面湾曲を発生しやすく、特にレンズ枚数が少ない光学系ではaH2+bH4(a,bは係数、Hは像高)で表されるサジタル(副走査方向に対応)像面湾曲が発生し易い。このサジタル像面湾曲も、ポリゴンミラー回転中心のずれ:hによる「偏向に伴うサグ」により、主走査方向に非対称な像面湾曲となる。
上記高次曲線状の像面湾曲は、副走査方向の曲率の変化に「複数個の極値」を持たせることにより、レンズ面でのパワーを高次関数的に変化させることで補正できる。このときの副走査方向の像面湾曲の「最大膨らみ位置」の像高:Hnは、有効書込高さを「Hm」としたとき次式で表される。(参考:近藤文雄著「レンズ設計技法(光学工業技術協会)」p146−P148)
Hn=(1/√2)×Hm=0.71×Hm
上記像高:0.71×Hm近傍の「像面湾曲の膨らみ」を補正するには、その位置に対応するレンズ面位置の近傍に、副走査方向の曲率変化の極値を持たせることが有効となる。また、4次を超える高次の像面湾曲も補正することも考慮して、請求項3記載の発明では、上記極値の位置:heがレンズの有効高さ:hmaxとともに、前記条件(3)を満足するようにしている。
【0021】
上記請求項1,2記載の走査光学系のように、少なくとも2つのレンズ面で「副走査方向の曲率を主走査方向に変化させ、副走査方向でベンディングさせて副走査方向の主点位置を調整する」場合、これら2つのレンズ面の面間隔が広い方が、主点位置の変化量を大きくとることができ、ベンディングにより副走査方向の横倍率を調整できる範囲が広くなる。このため、請求項4記載の発明では、走査光学系の中で、上記2つのレンズ面の間隔を大きく取れるように、これらの2つのレンズ面間に空気間隔を有するようにした。尚、後述の実施例では、上記2つのレンズ面間として、光偏向器側のレンズの射出側レンズ面と被走査面側のレンズの入射側レンズ面の間を空気間隔としているが、上記2つのレンズ面間を、光偏向器側のレンズの入射側レンズ面と被走査面側のレンズの入射側レンズ面として、その間には光学材料と空気間隔を有するようにしてもよい。
また、請求項5記載の発明のように、請求項1〜4の何れか1つに記載の光学系を複数ビームのマルチビーム走査光学系に適用することで、走査線曲がりや、ピッチ変動の極めて小さい安定なマルチビーム走査光学系が得られる。
そして、請求項7記載のマルチビーム方式の光走査装置のように、請求項5記載の走査光学系を用い、カップリングされた各ビームに就き、線像結像光学系から走査光学系までを、複数ビームに共通化することにより、線像結像光学系以下をシングルビーム方式の光走査装置と同様に構成することができ、機械的変動に対し、極めて安定性の良いマルチビーム走査装置を実現できる。
マルチビーム方式の光走査装置の場合、光源としては、「複数の発光源が副走査方向に配列したモノリシックな半導体レーザアレイ」を用いることができる(請求項8)が、ビーム合成方式のものでも利用できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成・動作及び作用について図面を参照して詳細に説明する。
図13に、本発明の光走査装置の実施の1形態を要部のみ示す。
図13に示す光走査装置はシングルビーム方式のものである。
半導体レーザである光源1Aから放射されたビームは発散性の光束で、カップリングレンズ2により、以後の光学系にカップリングされる。カップリングされたビームの形態は、以後の光学系の光学特性に応じ、弱い発散性の光束や弱い集束性の光束となることも、平行光束となることもできる。
カップリングレンズ2を透過したビームは、アパーチュア3の開口部を通過する際、光束周辺部を遮断されて「ビーム整形」され、「線像結像光学系」であるシリンドリカルレンズ4に入射する。シリンドリカルレンズ4は、パワーの無い方向を主走査方向に向け、副走査方向には正のパワーを持ち、入射してくるビームを副走査方向に集束させ、「光偏向器」であるポリゴンミラー5の偏向反射面近傍に集光させる。
偏向反射面により反射されたビームは、ポリゴンミラー5の等速回転に伴い等角速度的に偏向しつつ、「走査光学系」をなす2枚のレンズ6,7を透過し、折り曲げミラー8により光路を折り曲げられ、「被走査面」の実体をなす光導電性の感光体9上に光スポットとして集光し、被走査面を光走査する。
尚、ビームは、光走査に先立ってミラー10に入射し、レンズ11により受光素子12に集光される。受光素子12の出力に基づき、光走査の書込み開始タイミングが決定される。
【0023】
「走査光学系」は、光偏向器5により偏向されるビームを、被走査面9上に光スポットとして集光させる光学系であって、2枚のレンズ6,7により構成される。光偏向器5側に近いレンズ6は、「レンズ面の第一面(入射側の面)と第二面(射出側の面)は、主・副走査方向で曲率が異なり、主走査方向に正の屈折力を有し、且つ副走査方向に負の屈折力を有する」ものであり、被走査面9側に近いレンズ7は、「レンズ面の第一面(入射側の面)と第二面(射出側の面)は、主・副走査方向で曲率が異なり、副走査方向に正の屈折力を有する」ものである。そして、走査光学系の中心像高における副走査方向の横倍率:β2は、条件:
(2) 1.0≦|β2|≦1.4
を満足する(請求項2)。
【0024】
また、この実施の形態において、レンズ6,7の4つのレンズ面のうち、少なくとも2つのレンズ面は、副走査方向の曲率が主走査方向に変化し、上記少なくとも2つのレンズ面のうちの少なくとも1面は、副走査方向の曲率変化が主走査方向に非対称で、中心像高の副走査方向横倍率:β2、任意像高の副走査方向横倍率:βhが条件:
(1) 0.93≦|βh/β2|≦1.07
を満足し(請求項1)、上記主走査方向に非対称な曲率変化は2以上の極値を有し、そのうちの少なくとも1つの極値は、その主走査方向の位置:he が、+像高側または−像高側の、光軸からの有効レンズ高さ:hmaxに対し、条件:
(3) |he/hmax|≧0.5
を満足する(請求項3)。
そして、副走査方向の曲率が主走査方向に変化する少なくとも2つのレンズ面が、面間に空気間隔を有する(請求項4)。
即ち、図13に実施の形態を示すシングルビーム方式の光走査装置は、光源からのビームをカップリングレンズ2により以後の光学系にカップリングし、カップリングされたビームを線像結像光学系4により光偏向器5の偏向反射面近傍に主走査方向に長い線像として結像させ、光偏向器5により等角速度的に偏向させ、偏向ビームを共通の走査光学系6,7により、被走査面9上に光スポットとして集光し、被走査面9を光走査する光走査装置であって、走査光学系6,7として、請求項1,2,3,4記載の走査光学系を用いたものである(請求項6)。
【0025】
次に、図14に、本発明のマルチビーム方式の光走査装置の実施の1形態を示す。繁雑を避けるため、混同の虞れが無いと思われるものについては、図13におけるものと同一の符号を付した。
光源1は半導体レーザアレイであって、4つの発光源ch1〜ch4を等間隔で副走査方向に配列したものである。発光源ch1〜ch4の相互の間隔は、10μm以上である。
4つの発光源ch1〜ch4から放射された4ビームは、図に示すように「楕円形のファーフィールドパターン」の長軸方向が主走査方向に向いた発散性の光束であるが、4ビームに共通のカップリングレンズ2により、以後の光学系にカップリングされる。カップリングされた各ビームの形態は、以後の光学系の光学特性に応じ、弱い発散性の光束や弱い集束性の光束となることも、平行光束となることもできる。
カップリングレンズ2を透過した4ビームは、アパーチュア3により、それぞれビーム整形され、「共通の線像結像光学系」であるシリンドリカルレンズ4の作用により、それぞれ副走査方向に集束され、ポリゴンミラー5の偏向反射面近傍に、それぞれが主走査方向に長い線像として、互いに副走査方向に分離して結像する。偏向反射面により等角速度的に偏向された4ビームは、走査光学系である2枚のレンズ6,7を透過し、折り曲げミラー8により光路を折り曲げられ、感光体9上に、副走査方向に分離した4つの光スポットとして集光し、被走査面上の4走査線を同時に光走査する。ビームの1つは、光走査に先立ってミラー10に入射し、レンズ11により受光素子12に集光される。受光素子12の出力に基づき、4ビームの光走査の書込み開始タイミングが決定される。
【0026】
「走査光学系」は、光偏向器5により同時に偏向される4ビームを、被走査面9上に4つの光スポットとして集光させる光学系であって、2枚のレンズ6,7により構成される。これらレンズ5,6は、図13に即して説明したのと同様のものであり、光偏向器5側に近いレンズ6は、「レンズ面の第一面と第二面は、主・副走査方向で曲率が異なり、主走査方向に正の屈折力を有し、且つ副走査方向に負の屈折力を有する」ものであり、被走査面9側に近いレンズ7は、「レンズ面の第一面と第二面は、主・副走査方向で曲率が異なり、副走査方向に正の屈折力を有する」ものである。そして、走査光学系の中心像高における副走査方向の横倍率:β2は、条件:
(2) 1.0≦|β2|≦1.4
を満足する(請求項2)。
また、図13の実施の形態と同様、レンズ6,7の4つのレンズ面のうち、少なくとも2つのレンズ面は、副走査方向の曲率が主走査方向に変化し、上記少なくとも2つのレンズ面のうちの少なくとも1面は、副走査方向の曲率変化が主走査方向に非対称であり、中心像高の副走査方向横倍率:β2、任意像高の副走査方向横倍率:βhが、条件(1)を満足し(請求項1)、非対称な曲率変化は2以上の極値を有し、そのうちの少なくとも1つの極値は、その主走査方向の位置:he が、+像高側または−像高側の、光軸からの有効レンズ高さ:hmaxに対し、条件(3)を満足する(請求項3)。
即ち、図14に実施の形態を示すマルチビーム方式の光走査装置は、複数の発光源ch1〜ch4からのビームを、共通のカップリングレンズ2により以後の光学系にカップリングし、カップリングされた複数ビームを、共通の線像結像光学系4により、光偏向器5の偏向反射面近傍に主走査方向に長く、副走査方向に分離した複数の線像として結像させ、光偏向器5により同時に等角速度的に偏向させ、偏向ビームを共通の走査光学系6,7により、被走査面9上に、副走査方向に分離した複数の光スポットとして集光し、これら複数の光スポットにより複数走査線を同時走査するマルチビーム走査装置であって、共通の走査光学系6,7として、請求項5記載のマルチビーム走査光学系を用いたものであり(請求項7)、光源として、複数の発光源ch1〜ch4が副走査方向に配列したモノリシックな半導体レーザアレイ1を用いたものである(請求項8)。尚、半導体レーザアレイ1の発光源ch1〜ch4の相互の間隔は10μm以上、好ましくは15μm以上である。
【0027】
次に、図15に、本発明のマルチビーム方式の光走査装置の実施の別形態を示す。この光走査装置は、光源としてビーム合成方式のものを用いるものである。光源1−1,1−2は半導体レーザであって、それぞれ単一の発光源を持つ。光源1−1,1−2から放射された各ビームは、カップリングレンズ2−1,2−2によりカップリングされる。カップリングされた各ビームの形態は、以後の光学系の光学特性に応じ、弱い発散性の光束や弱い集束性の光束となることも、平行光束となることもできる。
カップリングレンズ2−1,2−2を透過した各ビームは、アパーチュア3−1,3−2によりビーム整形され、ビーム合成プリズム20に入射する。ビーム合成プリズム20は、反射面と、偏光分離膜と1/2波長板とを有する。光源1−2からのビームは、ビーム合成プリズム20の反射面と、偏光分離膜とに反射されてビーム合成プリズム20を射出する。光源1−1からのビームは1/2波長板により偏光面を90度旋回され、偏光分離膜を透過してビーム合成プリズム20から射出する。このようにして、2ビームが合成される。カップリングレンズ2−1,2−2の光軸に対する光源1−1,1−2の発光部の位置関係の調整により、ビーム合成された2ビームは互いに副走査方向に微小角をなしている。ビーム合成された2ビームは、共通の線像結像光学系であるシリンドリカルレンズ4により、ポリゴンミラー5の偏向反射面近傍に、それぞれが主走査方向に長い線像として、互いに副走査方向に分離して結像する。
ポリゴンミラー5により等角速度的に偏向された2ビームは、走査光学系をなす2枚のレンズ6,7を透過し、折り曲げミラー8により光路を折り曲げられ、光導電性の感光体9上に、副走査方向に分離した2つの光スポットとして集光し、被走査面上の2走査線を同時に光走査する。尚、ビームの1つが同期検知されることは図14の形態と同様である。
【0028】
「走査光学系」は、光偏向器5により同時に偏向される上記2ビームを、被走査面9上に2つの光スポットとして集光させる光学系であって、2枚のレンズ6,7により構成され、光偏向器5側に近いレンズ6は、「レンズ面の第一面と第二面は、主・副走査方向で曲率が異なり、主走査方向に正の屈折力を有し、且つ副走査方向に負の屈折力を有する」ものであり、被走査面9側に近いレンズ7は、「レンズ面の第一面と第二面は、主・副走査方向で曲率が異なり、副走査方向に正の屈折力を有する」ものである。そして、走査光学系の中心像高における副走査方向の横倍率:β2は、条件(2)を満足する(請求項2)。
この実施の形態においても、レンズ6,7の4つのレンズ面のうち、少なくとも2つのレンズ面は、副走査方向の曲率が主走査方向に変化し、上記少なくとも2つのレンズ面のうちの少なくとも1面は、副走査方向の曲率変化が主走査方向に非対称であり、中心像高の副走査方向横倍率:β2、任意像高の副走査方向横倍率:βhが条件(1)を満足し(請求項1)、非対称な曲率変化は2以上の極値を有し、そのうちの少なくとも1つの極値は、その主走査方向の位置:he が、+像高側または−像高側の、光軸からの有効レンズ高さ:hmaxに対し、条件(3)を満足する(請求項3)。
即ち、図15に実施の形態を示すマルチビーム走査装置は、複数の発光源1−1,1−2からのビームを、カップリングレンズ2−1,2−2により以後の光学系にカップリングし、カップリングされた複数ビームを、共通の線像結像光学系4により、光偏向器5の偏向反射面近傍に主走査方向に長く、副走査方向に分離した複数の線像として結像させ、光偏向器5により同時に等角速度的に偏向させ、偏向ビームを共通の走査光学系6,7により、被走査面9上に、副走査方向に分離した複数の光スポットとして集光し、これら複数の光スポットにより複数走査線を同時走査するマルチビーム走査装置であって、共通の走査光学系6,7として、請求項5記載のマルチビーム走査光学系を用いたものである(請求項7)。
【0029】
【実施例】
以下、上に示した3種の実施の形態の光走査装置に共通に用いられる走査光学系について、具体的な例として2つの実施例を挙げて説明する。
【0030】
(実施例1)
本実施例は、図14に即して実施の形態を説明したマルチビーム方式の光走査装置に用いられる走査光学系の具体例である。ここで図1に、図14に示す光走査装置の光源1から被走査面9に至る光学系の主走査断面上の光学配置を示す。光源側からのビームの光路は、シリンドリカルレンズ4と光偏向器であるポリゴンミラー5との間で、ミラー41により屈曲される。光源側からの4ビームは、ポリゴンミラー5の偏向反射面に入射し、偏向反射面により反射された4ビーム(偏向ビーム)は、走査光学系の2枚のレンズ6,7へ入射する。そして、レンズ6,7を通過した4ビームは被走査面9上に集光され、副走査方向に分離した4つの光スポットとして被走査面9を光走査する。被走査面9は勿論、実体的には図16に示したような画像形成装置の感光体の表面である。
【0031】
以下、具体的なデータを挙げる。
光源1である半導体レーザアレイは、4つの発光源ch1,ch2,ch3,ch4を有する。これら発光源が副走査方向に配列するように、半導体レーザアレイの態位が設定される。
マルチビーム走査は、4つの光スポットによる「5次飛越し走査(隣接する2つの光スポットの間に4走査線が介在する)」である。
「半導体レーザアレイ1」
発光源数:4 (ch1〜ch4)
発光源ピッチ(副走査方向に隣接する発光源間の距離):30.0μm
「カップリングレンズ2」
焦点距離:21.96mm
カップリング作用:コリメート作用
「シリンドリカルレンズ4」
副走査方向の焦点距離:69.994mm
|β1|=|fcyl/fcup|=69.994/21.96≒3.2
「ポリゴンミラー5」
偏向反射面数:5面
内接円半径:25mm
走査光学系の光軸とポリゴンミラー回転軸との距離:h=10.7mm
ポリゴンミラー入射角(光源側からのビームの入射方向(副走査方向に直交する面への射影状態における入射方向)と走査光学系の光軸とがなす角):60度
走査光学系の副走査方向のFナンバー(FNo.)=28.3
【0032】
以下、具体的なデータを挙げる。データ表記の記号につき説明すると、曲率半径を、主走査方向につき「Rm」、副走査方向につき「Rs0」、屈折率を「n」で表す。尚、以下のデータにおける「Rm,Rs0」は、円弧形状以外については「近軸曲率半径」である。また、「x」はマルチビーム走査光学系の光軸上の面間隔、「y」は主走査方向で、ポリゴンミラーへのビーム入射側が+である。
また、ポリゴンミラー5の偏向反射面の面番号を0、走査光学系のポリゴンミラー側のレンズ6の入射側レンズ面(第一面)の面番号を1、射出側レンズ面(第二面)の面番号を2、被走査面側のレンズ7の入射側レンズ面(第一面)の面番号を3、射出側レンズ面(第二面)の面番号を4とする。
【0033】
【0034】
上記走査光学系において、2枚のレンズ6,7の4つのレンズ面のうち、少なくとも2つのレンズ面は、副走査方向の曲率(副走査断面内の曲率)が主走査方向に変化する面である。また、これらの面は、光軸を含み主走査方向に平行な平断面(以下、「主走査断面」という)内におけるレンズ面形状が「非円弧形状」である。
ここで「副走査方向の曲率が主走査方向に変化するレンズ面の式」は、光軸における主走査断面内の近軸曲率半径:Rm、光軸からの主走査方向の距離をY、主走査断面内の円錐常数をK、高次の係数をA1,A2,A3,A4,A5,A6,・・とし、副走査方向における主走査断面からのレンズ高さをZ、光軸を含む副走査断面内の曲率半径をRs0とし、主走査方向の座標:Yにおける副走査断面内における曲率をCsとして、光軸方向のデプスをXとして次の多項式(4)で表す。
ここに、主走査方向の座標:Yの位置における副走査断面内の曲率:Csは、次式(5)で表される。
Cs=(1/Rs0)
+B1・Y+B2・Y2+B3・Y3+B4・Y4+B5・Y5+・・ (5)
ここで、係数:B1,B2,B3,B4,B5,・・のうちのB1,B3,B5,・・に「ゼロ以外の数値」を代入した場合、副走査断面内の曲率が主走査方向に非対称となる。この場合、このレンズ面は回転対称軸を持たないので、光軸は「レンズ面の形状を表す座標原点を通るX軸」を意味している。
下記の表1〜4に、マルチビーム走査光学系における上記面番号1,2,3,4のレンズ面の面形状を特定するための各係数の値を記す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
ここで、図2は本実施例における走査光学系のポリゴンミラー側のレンズ6の第一面(面番号1)と第二面(面番号2)の副走査方向の曲率半径(曲率の逆数)の主走査方向の変化を示す図であり、図3は本実施例における走査光学系の被走査面側のレンズ7の第一面(面番号3)と第二面(面番号4)の副走査方向の曲率半径の主走査方向の変化を示す図である。
また、図4、図5は、本実施例の光走査装置の副走査方向に30μmピッチで配列された4つの発光源ch1,ch2,ch3,ch4からのビームに対する像面湾曲(実線:副走査方向、破線:主走査方向)と等速度特性(実線:リニアリティ、破線:fθ特性)を示す図であり、図4(a),(b)がそれぞれ発光源ch1,ch2からのビームに対応し、図5(a),(b)がそれぞれ発光源ch3,ch4からのビームに対応する。
また、図6は、1200dpiを4ビームで「5次飛び越し走査」したときの走査線の状態を示す図である。尚、図の上方における走査線の空きは、飛び越し走査で書き始めた時に空く間隙である。
【0040】
表1〜4及び図2,3から明らかなように、本実施例の走査光学系においては、ポリゴンミラー5側のレンズ6の第一面(面番号1)と第二面(面番号2)は主・副走査方向で曲率(曲率半径)が異なり、主走査方向で正、副走査方向で負の屈折力を持ち、被走査面9側のレンズ7の第一面(面番号3)と第二面(面番号3)も主・副走査方向で曲率(曲率半径)が異なり、主走査方向で正、副走査方向で正の屈折力を持つ。そして、走査光学系の中心像高の副走査方向横倍率:β2は、
|β2|=1.12
であり、請求項2の条件(2)を満たしている。
また、本実施例の走査光学系においては、図2,3に示すように、上記2枚のレンズ6,7の4つのレンズ面が、副走査方向の曲率(曲率半径)が主走査方向に変化し、2つのレンズ面(本実施例ではレンズ6の第二面(面番号2)とレンズ7の第一面(面番号3))は、副走査方向の曲率変化が主走査方向に非対称であり、任意の像高における副走査方向の横倍率をβhとしたとき、
|βh/β2|=1±0.01
以内であり、請求項1の条件(1)を満たしている。
さらに、図3(a)に示すように、レンズ7の第一面(面番号3)の副走査方向の曲率半径が主走査方向に非対称に変化し、2つ以上の極値を有しており、そのうちの少なくとも1つの極値は、主走査方向の位置:he が+像高側または−像高側の光軸からの有効レンズ高さ:hmax に対し、
|he/hmax|≧0.5
であり、請求項3の条件(3)を満たしている。
さらに、本実施例の走査光学系では、2つのレンズ面(レンズ6の第二面(面番号2)とレンズ7の第一面(面番号3))は、副走査方向の曲率変化が主走査方向に非対称であり、間に空気間隔を有している(請求項4)。そして、このレンズ6の第二面(面番号2)とレンズ7の第一面(面番号3)で副走査方向にベンディングを行い副走査横倍率を一定化している。
また、本実施例は、30μmピッチで副走査方向に配列した4つの発光源ch1〜ch4から出射され、ポリゴンミラー5により同時に偏向される4ビームを、被走査面9上に4つの光スポットとして集光するために用いられるマルチビーム走査光学系である(請求項5)。
【0041】
本実施例の走査光学系は、副走査方向においてポリゴンミラー側から順に負・正の屈折力配分とした「レトロフォーカス型」で、且つやや拡大型(|β2|=1.12)とすることにより、走査光学系の副走査方向の共役長(ポリゴンミラー5の偏向反射面から被走査面9に至る距離):316.21mmに対し、その半分以上の長さをバック長:163.48mmとすることができる。
また、走査光学系の2枚のレンズ6,7の4つのレンズ面の全てを主・副走査方向で曲率(曲率半径)が異なるようにすることにより、走査線曲がりは、1μm以下に抑えられ、副走査方向のピッチ変動は0.07μmである。
さらに、図4、図5の収差図に示すように、主・副走査方向の像面湾曲も0.35mm以下に抑えられ、リニアリティは0.3%程度である。
また、本実施例では、図6に示すように、30μmピッチで副走査方向に配列した4つの発光源ch1〜ch4を有する4ビーム半導体レーザアレイを用いて、1200dpiで「5次飛び越し走査」を実現している。
尚、本実施例においては、走査光学系の副走査方向のFNo.は28.3であり、従来、例えば特開平8−297256号公報に記載されているマルチビーム走査光学系のFNo.:52〜73.5に比べて明るく、ビームスポット径をより小さく絞ることができ、高密度化を図れる。
【0042】
(実施例2)
本実施例は、図14に即して実施の形態を説明したマルチビーム方式の光走査装置に用いられる走査光学系の別の具体例である。ここで図7に、図14に示す光走査装置の光源1から被走査面9に至る光学系の主走査断面上の光学配置を示す。光源側からのビームの光路は、シリンドリカルレンズ4と光偏向器であるポリゴンミラー5との間で、ミラー41により屈曲される。光源側からの4ビームは、ポリゴンミラー5の偏向反射面に入射し、偏向反射面により反射された4ビーム(偏向ビーム)は、走査光学系の2枚のレンズ6,7へ入射する。そして、レンズ6,7を通過した4ビームは被走査面9上に集光され、副走査方向に分離した4つの光スポットとして被走査面9を光走査する。被走査面9は勿論、実体的には図16に示したような画像形成装置の感光体の表面である。
【0043】
以下、具体的なデータを挙げる。
光源1である半導体レーザアレイは、4つの発光源ch1,ch2,ch3,ch4を有する。これら発光源が副走査方向に配列するように、半導体レーザアレイの態位が設定される。
マルチビーム走査は、4つの光スポットによる「5次飛越し走査(隣接する2つの光スポットの間に4走査線が介在する)」である。
「半導体レーザアレイ1」
発光源数:4 (ch1〜ch4)
発光源ピッチ(副走査方向に隣接する発光源間の距離):24.0μm
「カップリングレンズ2」
焦点距離:21.96mm
カップリング作用:コリメート作用
「シリンドリカルレンズ4」
副走査方向の焦点距離:69.994mm
|β1|=|fcyl/fcup|=69.994/21.96≒3.2
「ポリゴンミラー5」
偏向反射面数:5面
内接円半径:25mm
走査光学系の光軸とポリゴンミラー回転軸との距離:h=10.7mm
ポリゴンミラー入射角(光源側からのビームの入射方向(副走査方向に直交する面への射影状態における入射方向)と走査光学系の光軸とがなす角):60度
走査光学系の副走査方向のFナンバー(FNo.)=27.3
【0044】
以下、具体的なデータを挙げる。尚、データ表記の記号の意味に関しては実施例1と同じあるので説明を省略する。
また、偏向反射面の面番号及び、走査光学系の2枚のレンズ6,7の面番号に関しても実施例1と同じである。
【0045】
【0046】
上記走査光学系において、2枚のレンズ6,7の4つのレンズ面のうち、少なくとも2つのレンズ面は、副走査方向の曲率(副走査断面内の曲率)が主走査方向に変化する面である。また、これらの面は、光軸を含み主走査方向に平行な平断面(以下、「主走査断面」という)内におけるレンズ面形状が「非円弧形状」である。
ここで「副走査方向の曲率が主走査方向に変化するレンズ面の式」は、実施例1の式(4),(5)と同じであり、以下に示す係数の意味も実施例1と同じである。
下記の表5〜8に、マルチビーム走査光学系における2つのレンズ6,7の面番号1,2,3,4のレンズ面の面形状を特定するための各係数の値を記す。
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
ここで、図8は本実施例における走査光学系のポリゴンミラー側のレンズ6の第一面(面番号1)と第二面(面番号2)の副走査方向の曲率半径(曲率の逆数)の主走査方向の変化を示す図であり、図9は本実施例における走査光学系の被走査面側のレンズ7の第一面(面番号3)と第二面(面番号4)の副走査方向の曲率半径の主走査方向の変化を示す図である。
また、図10、図11は、本実施例の光走査装置の副走査方向に24μmピッチで配列された4つの発光源ch1,ch2,ch3,ch4からのビームに対する像面湾曲(実線:副走査方向、破線:主走査方向)と等速度特性(実線:リニアリティ、破線:fθ特性)を示す図であり、図10(a),(b)がそれぞれ発光源ch1,ch2からのビームに対応し、図11(a),(b)がそれぞれ発光源ch3,ch4からのビームに対応する。
また、図12は、1200dpiを4ビームで「5次飛び越し走査」したときの走査線の状態を示す図である。尚、図の上方における走査線の空きは、飛び越し走査で書き始めた時に空く間隙である。
【0052】
表5〜8及び図8,9から明らかなように、本実施例の走査光学系においては、ポリゴンミラー5側のレンズ6の第一面(面番号1)と第二面(面番号2)は主・副走査方向で曲率(曲率半径)が異なり、主走査方向で正、副走査方向で負の屈折力を持ち、被走査面9側のレンズ7の第一面(面番号3)と第二面(面番号3)も主・副走査方向で曲率(曲率半径)が異なり、主走査方向で正、副走査方向で正の屈折力を持つ。そして、走査光学系の中心像高の副走査方向横倍率:β2は、
|β2|=1.38
であり、請求項2の条件(2)を満たしている。
また、本実施例の走査光学系においては、図8,9に示すように、上記2枚のレンズ6,7の4つのレンズ面が、副走査方向の曲率(曲率半径)が主走査方向に変化し、2つのレンズ面(本実施例ではレンズ6の第二面(面番号2)とレンズ7の第一面(面番号3))は、副走査方向の曲率変化が主走査方向に非対称であり、任意の像高における副走査方向の横倍率をβhとしたとき、
|βh/β2|=1±0.01
以内であり、請求項1の条件(1)を満たしている。
さらに、本実施例の走査光学系では、2つのレンズ面(レンズ6の第二面(面番号2)とレンズ7の第一面(面番号3))は、副走査方向の曲率変化が主走査方向に非対称であり、間に空気間隔を有している(請求項4)。そして、このレンズ6の第二面(面番号2)とレンズ7の第一面(面番号3)で副走査方向にベンディングを行い副走査横倍率を一定化している。
また、本実施例は、24μmピッチで副走査方向に配列した4つの発光源ch1〜ch4から出射され、ポリゴンミラー5により同時に偏向される4ビームを、被走査面9上に4つの光スポットとして集光するために用いられるマルチビーム走査光学系である(請求項5)。
【0053】
本実施例の走査光学系は、副走査方向においてポリゴンミラー側から順に負・正の屈折力配分とした「レトロフォーカス型」で、且つやや拡大型(|β2|=1.38)とすることにより、走査光学系の副走査方向の共役長(ポリゴンミラー5の偏向反射面から被走査面9に至る距離):316.21mmに対し、その半分以上の長さをバック長:187.23mmとすることができる。
また、走査光学系の2枚のレンズ6,7の4つのレンズ面の全てを主・副走査方向で曲率(曲率半径)が異なるようにすることにより、走査線曲がりは、1μm以下に抑えられ、副走査方向のピッチ変動は0.07μmである。
さらに、図10、図11の収差図に示すように、主・副走査方向の像面湾曲も0.14mm以下に抑えられ、リニアリティは0.2%程度である。
また、本実施例では、図12に示すように、24μmピッチで副走査方向に配列した4つの発光源ch1〜ch4を有する4ビーム半導体レーザアレイを用いて、1200dpiで「5次飛び越し走査」を実現している。
尚、本実施例においては、走査光学系の副走査方向のFNo.は27.3であり、従来(例えば特開平8−297256号公報)で提案されたマルチビーム走査光学系のFNo.:52〜73.5に比べて明るく、ビームスポット径をより小さく絞ることができ、高密度化を図れる。
【0054】
以上、走査光学系の具体的な実施例として、図14の光走査装置に適用する場合を例に上げて説明したが、実施例1,2の走査光学系は、単一ビームの半導体レーザ光源を用いた図13の構成のシングルビーム方式の光走査装置の走査光学系としても好適に用いることができる(請求項6)。
また、マルチビーム光源としては、半導体レーザアレイに限らず、図15のように、単一ビームの半導体レーザを複数用いてビーム合成する方式の光源を用いても小さなピッチ変動のマルチビーム光走査装置が実現できる。
尚、上記実施例1,2では、走査光学系の2枚のレンズ6,7をプラスチック材料で構成しているが、勿論レンズにガラス材料を使ってもよく、またプラスチック材料とガラス材料を組み合わせてもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、新規な走査光学系と光走査装置を実現できる。
本発明の走査光学系は、副走査方向において光偏向器側から順に負・正の屈折力配分とした「レトロフォーカス型」であり、且つ副走査方向の横倍率をやや拡大型(条件:(2) 1.0≦|β2|≦1.4)としたことにより、実際のレンズ配置におけるよりも被走査面側に「副走査方向の後側主点」を配置できるので、シングルビーム方式とマルチビーム方式を問わず、長いバック長を確保することができ、且つ走査線曲がりやピッチ変動を抑えることができる。
そして、このような走査光学系をマルチビーム方式の光走査装置に用いることにより、長いバック長を確保しつつ走査線曲がりやピッチ変動を抑えることができ、高密度化に適応できる高性能なマルビーム方式の光走査装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例を示す図であって、光走査装置の光源から被走査面に至る光学系の主走査断面上の光学配置を示す図である。
【図2】第一の実施例における走査光学系の光偏向器側のレンズの第一面(面番号1)と第二面(面番号2)の副走査方向の曲率半径の主走査方向の変化を示す図である。
【図3】第一の実施例における走査光学系の被走査面側のレンズの第一面(面番号3)と第二面(面番号4)の副走査方向の曲率半径の主走査方向の変化を示す図である。
【図4】第一の実施例の光走査装置において、4つの発光源(ch1,ch2,ch3,ch4)のうちの2つの発光源(ch1,ch2)からのビームに対する像面湾曲と等速度特性を示す図である。
【図5】第一の実施例の光走査装置において、4つの発光源(ch1,ch2,ch3,ch4)のうちの別の2つの発光源(ch3,ch4)からのビームに対する像面湾曲と等速度特性を示す図である。
【図6】第一の実施例の光走査装置において、1200dpiを4ビームで5次飛び越し走査したときの走査線の状態を示す図である。
【図7】本発明の別の実施例を示す図であって、光走査装置の光源から被走査面に至る光学系の主走査断面上の光学配置を示す図である。
【図8】第二の実施例における走査光学系の光偏向器側のレンズの第一面(面番号1)と第二面(面番号2)の副走査方向の曲率半径の主走査方向の変化を示す図である。
【図9】第二の実施例における走査光学系の被走査面側のレンズの第一面(面番号3)と第二面(面番号4)の副走査方向の曲率半径の主走査方向の変化を示す図である。
【図10】第二の実施例の光走査装置において、4つの発光源(ch1,ch2,ch3,ch4)のうちの2つの発光源(ch1,ch2)からのビームに対する像面湾曲と等速度特性を示す図である。
【図11】第二の実施例の光走査装置において、4つの発光源(ch1,ch2,ch3,ch4)のうちの別の2つの発光源(ch3,ch4)からのビームに対する像面湾曲と等速度特性を示す図である。
【図12】第二の実施例の光走査装置において、1200dpiを4ビームで5次飛び越し走査したときの走査線の状態を示す図である。
【図13】本発明に係るシングルビーム方式の光走査装置の実施の1形態を示す斜視図である。
【図14】本発明に係るマルチビーム方式の光走査装置の実施の1形態を示す斜視図である。
【図15】本発明に係るマルチビーム方式の光走査装置の実施の別形態を示す斜視図である。
【図16】走査光学系に長いバック長を必要とする構成の画像形成装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 光源
2 カップリングレンズ
3 ビーム整形用のアパーチュア
4 線像結像光学系としてのシリンドリカルレンズ
5 光偏向器としてのポリゴンミラー
6 走査光学系を構成するレンズ
7 走査光学系を構成するレンズ
9 被走査面
Claims (8)
- 光偏向器により偏向されるビームを被走査面上に光スポットとして集光させる走査光学系であって、
2枚のレンズにより構成され、
光偏向器側に近いレンズのレンズ面の第一面と第二面は、主・副走査方向で曲率が異なり、主走査方向に正の屈折力を有し、且つ副走査方向に負の屈折力を有し、
被走査面側に近いレンズのレンズ面の第一面と第二面は、主・副走査方向で曲率が異なり、副走査方向に正の屈折力を有し、
上記2枚のレンズの4つのレンズ面のうち、少なくとも2つのレンズ面は、副走査方向の曲率が主走査方向に変化し、
上記少なくとも2つのレンズ面のうちの少なくとも1つのレンズ面は、副走査方向の曲率変化が主走査方向に非対称であり、
中心像高における副走査方向の横倍率:β2 と、任意の像高における副走査方向の横倍率:β h が、条件:
(1) 0.93≦|β h /β 2 |≦1.07
を満足することを特徴とする走査光学系。 - 請求項1記載の走査光学系において、
走査光学系の中心像高における副走査方向の横倍率:β2 は、条件:
(2) 1.0≦|β 2 |≦1.4
を満足することを特徴とする走査光学系。 - 請求項2記載の走査光学系において、
副走査方向の曲率が主走査方向に非対称に変化するレンズ面における曲率変化が、2つ以上の極値を有し、そのうちの少なくとも1つの極値は、主走査方向の位置:he が+像高側または−像高側の光軸からの有効レンズ高さ:hmax に対し、条件:
(3) |he/hmax|≧0.5
を満足することを特徴とする走査光学系。 - 請求項2または3記載の走査光学系において、
副走査方向の曲率が主走査方向に変化する少なくとも2つのレンズ面は、少なくとも面間に空気間隔を有することを特徴とする走査光学系。 - 請求項1〜4の何れか1つに記載の走査光学系において、
光偏向器により同時に偏向される複数ビームを、被走査面上に複数の光スポットとして集光するために用いられることを特徴とする走査光学系。 - 光源からのビームを、カップリングレンズにより以後の光学系にカップリングし、カップリングされたビームを線像結像光学系により、光偏向器の偏向反射面近傍に主走査方向に長い線像として結像させ、上記光偏向器により等角速度的に偏向させ、偏向ビームを走査光学系により、被走査面上に光スポットとして集光させ、上記被走査面を走査するシングルビーム方式の光走査装置において、
上記走査光学系として、請求項1〜4の何れか1つに記載の走査光学系を用いたことを特徴とする光走査装置。 - 複数の発光源からのビームを、カップリングレンズにより以後の光学系にカップリングし、カップリングされた複数ビームを共通の線像結像光学系により、光偏向器の偏向反射面近傍に主走査方向に長く、副走査方向に分離した複数の線像として結像させ、上記光偏向器により同時に等角速度的に偏向させ、各偏向ビームを共通の走査光学系により、被走査面上に、副走査方向に分離した複数の光スポットとして集光し、これら複数の光スポットにより複数の走査線を同時に走査するマルチビーム方式の光走査装置において、
複数の偏向ビームに共通の走査光学系として、請求項5記載の走査光学系を用いたことを特徴とするマルチビーム方式の光走査装置。 - 請求項7記載のマルチビーム方式の光走査装置において、
複数の発光源が副走査方向に配列されたモノリシックな半導体レーザアレイを光源として用いたことを特徴とするマルチビーム方式の光走査装置。
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