JP4298213B2 - 走査光学系および光走査装置および画像形成装置 - Google Patents

走査光学系および光走査装置および画像形成装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、走査光学系および光走査装置および画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光走査装置は、デジタル複写装置やレーザプリンタに関連して広く知られている。走査光学系は光走査装置に用いられ、光偏向器により偏向される光束を被走査面上に光スポットとして集光する光学系である。
【0003】
従来、レンズ系として構成された走査光学系のレンズ構成枚数は、1枚から複数枚まで様々である。コスト的には1枚構成のものが有利であるが、レンズ1枚で構成される走査光学系は、複数枚構成のものに比して設計パラメータ数が極端に少なく、単純なレンズ面形状では「良好な収差補正」が難しい。
【0004】
レンズ1枚構成の走査光学系における収差や等速度特性を、特殊なレンズ面形状の採用によって良好に補正することが提案されている(特開平9−33850号公報、特開平10−90620号公報、特開平10−148755号公報)。
【0005】
光走査装置は近来、光走査の高密度化が強く要請され、それに応えるべく、光スポットの小径化・安定化が追求されている。このような光スポットの小径化・安定化には、幾何光学的な収差補正のみでは足らず、波動光学的な収差の補正が重要である。上記各公報には、このような波動光学的な収差補正に関しては言及されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上述したところに鑑み、レンズ1枚構成でありながら、幾何光学的な収差のみならず波動光学的な収差も良好に補正可能である新規な走査光学系、かかる走査光学系を有する光走査装置、画像形成装置の実現を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の走査光学系は「光偏向器により偏向される光束を、被走査面上に光スポットとして集光させる走査光学系」であって、以下の特徴を有する(請求項1)。
【0008】
即ち、走査光学系は1枚のレンズにより構成され、そのレンズ形状は、主走査断面内の形状が両凸形状、副走査断面内の形状が両凸形状を有し、両面共にアナモフィックな面である。
【0009】
主走査断面内における、入射側面の曲率半径:Rm1、射出側面の曲率半径:Rm2は、条件:
(1) |Rm1|>|Rm2
を満足する。
【0010】
また、副走査断面内における、入射側面の曲率半径:Rs1、射出側面の曲率半径:Rs2は、条件
(2) |Rs1|>|Rs2
を満足する。なお、これら曲率半径は、当該レンズ面の主・副走査断面内の形状が非円弧形状であるときは「近軸曲率半径」を言うものとする。
【0011】
「主走査断面」は、レンズ光軸を通り、主走査方向に平行な仮想的な平断面である。「副走査断面」は、走査光学系であるレンズの、主走査方向の任意の位置で、主走査方向に直交する仮想的な平断面である。
【0012】
請求項1記載の走査光学系は「少なくとも1面が、主走査断面内の形状が非円弧形状である」ことができる(請求項2)。
【0013】
請求項1、2記載の走査光学系はともに「両面が特殊面」である。
【0014】
「特殊面」は、副走査断面内の曲率が主走査方向に沿って連続的に変化する面である。即ち、副走査断面の位置を主走査方向に変化させたとき、副走査断面の位置に応じて、副走査方向の曲率が変化するレンズ面である。
【0015】
請求項1、2記載の走査光学系はともに、少なくとも一方の特殊面が「副走査断面内の曲率の変化が、主走査方向において、光軸に関して非対称」である。
【0016】
請求項1、2記載の走査光学系はともに、中心像高における副走査方向の横倍率:βが、条件:
(3) 0.5≦|β|≦3.0
満足する。
【0017】
「走査光学系の副走査方向の横倍率:|β|」は、この明細書において、副走査方向において、被走査面近傍の像点に共役な走査光学系の物点と、被走査面近傍像点との横倍率と定義される。横倍率:|β|のうちで、光スポットの像高:0(中心像高)におけるものが上記|β|である。
【0018】
上記請求項1または2記載の走査光学系において、中心像高における副走査方向の横倍率:βと、任意像高における副走査方向の横倍率:βは、条件:
(4) 0.9≦|β|≦1.1
を満足することが好ましい(請求項3)。
【0019】
また、上記請求項1〜3の任意の1に記載の走査光学系において、有効書込幅:W、有効書込幅内における、副走査像面湾曲の幅:Fは、条件:
(5) F/W<0.001
を満足することが好ましい(請求項4)。
「有効書込幅」は光走査により画像書込みを有効に行いうる光走査領域を言う。
「副走査像面湾曲」は、副走査方向の像面湾曲を言う。また、主走査方向の像面湾曲を「主走査像面湾曲」と言う。
【0020】
上記請求項1〜4の任意の1に記載の走査光学系は「光偏向器により偏向され、主走査方向に収束性の光束」を入射されることができる(請求項5)。
【0021】
請求項1〜5の任意の1に記載の走査光学系は「主走査方向において、被走査面上の光スポットの光走査を等速化する機能を有し、副走査方向において、光偏向器の面倒れを補正する機能を有する」ことができる(請求項6)。
上記請求項1〜6の任意の1に記載の走査光学系は「樹脂製のレンズとして成形された」ものであることができる(請求項7)。
【0022】
請求項1〜7の任意の1に記載の走査光学系は「同時に偏向される複数光束を、被走査面上に、副走査方向に分離した複数の光スポットとして集光する」ものであることができる(請求項8)。即ち、この発明の走査光学系はマルチビーム方式の光走査装置の走査光学系として用いることができる。
【0023】
請求項9記載の光走査装置は「光源からの光束をカップリングレンズにより以後の光学系にカップリングし、カップリングされた光束を、線像結像光学系により、光偏向器の偏向反射面位置近傍に主走査方向に長い線像として結像させ、光偏向器により偏向させ、偏向光束を走査光学系により被走査面上に光スポットとして集光させ、被走査面を光走査するシングルビーム方式の光走査装置」であって、走査光学系として請求項1〜7の任意の1に記載のものを用いたことを特徴とする。
【0024】
請求項10記載の光走査装置は「複数の発光源からの光束をカップリングレンズにより以後の光学系にカップリングし、カップリングされた複数光束を、共通の線像結像光学系により、光偏向器の偏向反射面位置近傍に、主走査方向に長く、副走査方向に分離した複数の線像として結像させ、光偏向器により同時に偏向させた複数の偏向光束を、共通の走査光学系により、被走査面上に、副走査方向に分離した複数の光スポットとして集光し、これら複数の光スポットにより複数走査線を同時に光走査するマルチビーム方式の光走査装置」であって、共通の走査光学系として請求項8記載のものを用いたことを特徴とする。
【0025】
「カップリングレンズ」は、複数光束に対して、個別的としても良いし、共通化してもよい。
【0026】
この請求項10記載の光走査装置における光源として「複数の発光源が1列に配列されたモノリシックな半導体レーザアレイ」を用いることができる(請求項11)。
【0027】
この発明の画像形成装置は「感光性の像担持体に対して光走査装置による光走査を行って、画像を形成する画像形成装置」であって、像担持体の光走査を行う光走査装置として請求項9〜11の任意の1に記載のものを用いたことを特徴とする(請求項12)。
【0028】
「感光性の像担持体」としては種々のものの使用が可能である。例えば、像担持体として「銀塩フィルム」を用いることができる。この場合、光走査による書込みで潜像が形成されるが、この潜像は通常の銀塩写真プロセスによる処理で可視化することができる。このような画像形成装置は「光製版装置」や、CTスキャン画像等を描画する「光描画装置」として実施できる。
【0029】
感光性の像担持体としてはまた「光走査の際に光スポットの熱エネルギにより発色する発色媒体(ポジの印画紙)」を用いることもでき、この場合には、光走査により直接に可視画像を形成できる。
【0030】
感光性の像担持体としてはまた「光導電性の感光体」を用いることができる。光導電性の感光体としては、酸化亜鉛紙のようにシート状のものを用いることもできるし、セレン感光体や有機光半導体等「ドラム状あるいはベルト状で繰り返し使用されるもの」を用いることもできる。
【0031】
光導電性の感光体を像担持体として用いる場合には、感光体の均一帯電と、光走査装置による光走査により静電潜像が形成される。静電潜像は現像によりトナー画像として可視化される。トナー画像は、感光体が酸化亜鉛紙のようにシート状のものである場合は感光体上に直接的に定着され、感光体が繰り返し使用可能なものである場合には、転写紙やOHPシート(オーバヘッドプロジェクタ用のプラスチックシート)等のシート状記録媒体に転写・定着される。
【0032】
光導電性の感光体からシート状記録媒体へのトナー画像の転写は、感光体からシート状記録媒体へ直接的に転写(直接転写方式)しても良いし、感光体から一旦中間転写ベルト等の中間転写媒体に転写した後、この中間転写媒体からシート状記録媒体へ転写(中間転写方式)するようにしてもよい。
このような画像形成装置は、光プリンタや光プロッタ、デジタル複写装置等として実施できる。
【0033】
また、この発明の画像形成装置は、上記感光体を複数個、シート状記録媒体の搬送路に沿って配置し、複数の光走査装置を用いて感光体ごとに静電潜像を形成し、これらを可視化して得られるトナー画像を同一のシート状記録媒体に転写・定着して合成的にカラー画像や多色画像を得る「タンデム式の画像形成装置」として実施することができる。
【0034】
若干説明を補足する。
この発明の、レンズ1枚構成の走査光学系は、主走査断面内・副走査断面内ともに「両凸形状」となっているので、走査光学系の有するべき主走査・副走査方向の正のパワーを入射側と射出側の各レンズ面に分配することで「波面収差の劣化」を抑えることが可能になる。
【0035】
このように波面収差の劣化を抑制できるため、被走査面上の光スポットのスポット径を小径化することが可能となり、高密度書込への対応が可能となる。
波面収差の劣化を有効に抑えるには、入射側面の曲率半径を、射出側面の曲率半径に対して大きくするのが好ましく、上記条件(1)および(2)を満足することにより、波面収差の劣化を有効に抑えることが可能になる。
【0036】
光スポットのスポット径を小径化するには波面収差の劣化を抑える必要があるが、これを走査光学系だけで行うには限界がある。この場合、走査光学系に入射する「光束の形態」も波面収差補正のパラメータとすることにより、波面収差の劣化を容易に規制できるようになる。請求項5記載の走査光学系のように、走査光学系に入射する光束を「主走査方向に収束性」とすると、走査光学系の主走査方向の曲率を小さくすることができるため、波面収差の劣化を抑えつつ等速度特性を良好にするというバランスを取り易くなる。
【0037】
中心像高における副走査方向の横倍率:βは、大略|β|=(走査光学系の射出側レンズ面から被走査面までの距離)/(光偏向器の偏向の起点から走査光学系の入射側レンズ面までの距離)で表すことができるが、条件(3)の下限値:0.5を超えて小さくなると、走査光学系は被走査面側に近づき、走査光学系が大きくなりコスト増加につながる。
【0038】
逆に上限値:3.0を超えて大きくなると、走査光学系は光偏向器側に近づき、これを樹脂の成形品とした場合(請求項7)、光偏向器の発熱の影響を受け易く、変形したりして光学性能を劣化させ易い。また、縦倍率が大きくなるため、走査光学系の光軸方向の位置変動により、偏向光束の結像位置が被走査面に対してずれやすく、スポット径が変動し易くなるため、部品の加工精度、取付精度が厳しくなる。
【0039】
この発明の走査光学系は「両レンズ面ともアナモフィックな面」であるので、主走査方向においてfθ特性等の「等速度特性」を確保しつつ、副走査方向において「光偏向器の面倒れ」を補正する機能を実現することが可能になる(請求項6)。また、各面がアナモフィックであるので、副走査方向のパワーを各面に無理無く配分することができる。
【0040】
ところで、マルチビーム方式の光走査においては「同時に光走査される走査線のピッチ(走査線ピッチという)の偏差」を小さく抑えることが重要である。
【0041】
「走査線ピッチの偏差」は、「隣接する走査線ピッチの像高間の最大値と最小値の差」として定義される。
【0042】
また、良好な光走査を行うには、被走査面上の光スポットの径(主走査方向の径は、信号の電気的な補正である程度対処できるが、副走査方向の径はこのような補正ができないので、特に副走査方向のスポット径)が、像高によって大きく変化しないことも重要で、高密度の光走査では特に重要である。
【0043】
「被走査面上で、光スポットの副走査方向の径が、像高によって大きく変化しない」ためには、走査光学系の副走査方向の横倍率:|β|が、像高により大きく変化しないことが必要である。
【0044】
また、副走査方向の横倍率:|β|の像高による変動は、マルチビーム方式の光走査においては、「同時に光走査される走査線の走査線ピッチが像高と共に変化する」問題を生じる。従って、マルチビーム方式の光走査において「走査線ピッチの像高による変動」を抑えるには「走査光学系の副走査方向の横倍率を、像高間で一定に補正する」ことが必要である。
【0045】
このことは、少なくとも1面に特殊面を採用することで達成できる。また、光偏向器として一般的なポリゴンミラーは、その回転中心が走査光学系の光軸からずらして設置されるため、光束偏向に伴って偏向反射面での反射点が変位し、偏向光束の偏向の起点が変動する「光学的なサグ」が発生する。サグが存在すると、走査光学系の光軸に関して+像高側と−像高側とで、光束の通る経路が異なり、副走査方向の横倍率が「主走査方向において非対称に変化」する。
【0046】
このような非対称な横倍率変化は、上記「特殊面」の少なくとも一方を「副走査断面内の曲率の主走査方向における変化が光軸に関して非対称な面」とすることで補正できる。
【0047】
「副走査断面内の曲率の主走査方向における変化が光軸に関して非対称な面」は、例えば
(a)副走査断面内の曲率半径が、光軸から主走査方向に離れるにつれて左右非対称に単調増加する面
(b)副走査断面内の曲率半径が、光軸から主走査方向に離れるにつれて左右非対称に単調減少する面
(c)副走査断面内の曲率半径の主走査方向における変化の極値が、光軸外にある面
(d)副走査断面内の曲率半径が、主走査方向の+像高側から−像高側に向かって単調増加する面
(e)副走査断面内の曲率半径が、主走査方向の+像高側から−像高側に向かって単調減少する面
(f)副走査断面内の曲率半径の主走査方向における変化が、極値を2以上有する面
等、種々の面が考えられるが、これらのような「光軸として一般的な回転対称軸を持たない」すべての面を指す。これらのどれが「曲率の変化が非対称な面」として採用されるかは設計条件により定まる。
【0048】
なお、このような非対称形状のレンズにおける「光軸」は、この明細書においては、レンズ面形状を決定する基準座標系における「主走査・副走査方向に直交的な基準軸」を言うものとする。
【0049】
光走査がシングルビーム方式である場合でもマルチビーム方式である場合でも、有効書込幅内における「副走査方向の横倍率:|β|の変化」は10%以下であることが好ましく、より好ましくは7%以下がよい。即ち、中心像高における前記横倍率:|β|と任意像高:|β|の比:|β/β|は条件(4)を満足することが好ましく、より好ましくは
0.93≦|β/β|≦1.07
を満足することが好ましい。
【0050】
特に、マルチビーム方式での光走査の場合、副走査方向の横倍率変化が7%以下であれば、「1200dpiで7次飛び越し光走査」を行う場合でも、同時走査線ピッチ148.19μmに対し10.37μmのピッチ変動となり、1200dpiでの隣接ピッチ:21.17μmの略半分に抑えられる。
【0051】
良好な光走査を行うには、被走査面上に光スポットを形成する偏向光束のビームウェスト位置が、像高によって大きくばらつかないことも重要である。特に副走査方向におけるビームウェスト位置が被走査面に対して、像高によって大きくばらつかないためには、走査光学系の副走査像面湾曲が像高により大きく変化しないことが必要である。
【0052】
即ち、有効書込幅:W内における副走査像面湾曲の(変化)幅:Fは、条件(5)を満足することが好ましい。
【0053】
条件(4)を満足しつつ条件(5)を満足するには、副走査像面湾曲についても「光学的なサグ」を考慮する必要がある。この「光学的なサグ」の影響は、一般に「走査光学系の、副走査方向の横倍率の変化」に与える影響とは必ずしも一致しない。このため、横倍率の非対称的な変化を補正し、同時に、副走査像面湾曲の非対称性を補正するには、「副走査断面内の曲率の主走査方向における変化が光軸に関して非対称な特殊面」を走査光学系の両面に採用することが好ましいこともある。
【0054】
この発明の光走査装置をマルチビーム方式に適用する場合、カップリングされた各光束につき、線像結像光学系から走査光学系までを「複数光束に共通化」することにより、線像結像光学系以下をシングルビーム方式の光走査装置と同様に構成できるので、機械的変動に対し極めて安定性のよいマルチビーム方式の光走査装置を実現できる。
【0055】
マルチビーム方式の光走査装置の光源としては、LDアレイ方式のものも「ビーム合成方式のもの」も利用できる。LDアレイ方式の光源を用いる場合、発光源の間隔を10μm以上とすることにより、発光源間の熱的・電気的な影響を有効に軽減して良好なマルチビーム方式の光走査を行うことが可能になる。
【0056】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を説明する。
図1は、光走査装置の実施の1形態を要部のみ示している。この光走査装置はシングルビーム方式のものである。
【0057】
半導体レーザである光源1から放射された発散性の光束はカップリングレンズ2により以後の光学系にカップリングされる。カップリングレンズ2により変換された光束の形態は、以後の光学系の光学特性に応じ、弱い発散性の光束や弱い集束性の光束となることも、平行光束となることもできる。
【0058】
カップリングレンズ2を透過した光束は、アパーチャ3の開口部を通過する際、光束周辺部を遮断されて「ビーム整形」され、「線像結像光学系」であるシリンドリカルレンズ4に入射する。シリンドリカルレンズ4は、パワーのない方向を主走査方向に向け、副走査方向には正のパワーを持ち、入射してくる光束を副走査方向に集束させ、「光偏向器」であるポリゴンミラー5の偏向反射面近傍に「主走査方向に長い線像」として集光させる。
【0059】
偏向反射面により反射された光束は、ポリゴンミラー5の等速回転に伴い等角速度的に偏向しつつ、「走査光学系」をなす1枚のレンズ6を透過し、折り曲げミラー7により光路を折曲げられ、「被走査面」の実体をなす光導電性の感光体(感光性の像担持体)8上に光スポットとして集光し、被走査面を光走査する。
【0060】
偏向光束は感光体8の光走査に先立ってミラー9により反射され、レンズ10により受光素子11に集光される。受光素子11の出力に基づき、光走査の書込開始タイミングが決定される。
【0061】
「走査光学系」は、光偏向器5により偏向される光束を被走査面8上に光スポットとして集光させる光学系であって、1枚のレンズ6により構成される。レンズ6は、主走査断面内・副走査断面内共に両凸形状であり、両面ともに主走査方向・副走査方向のパワーの異なるアナモフィックな面である。
【0062】
またレンズ6は、入射側面・射出側面の主・副走査断面内の曲率半径:Rm1、Rs1、射出側面の曲率半径:Rm2、Rs2が、条件:
(1) |Rm1|>|Rm2
(2) |Rs1|>|Rs2
を満足するものが用いられる。
レンズ6はまた上述の条件(3)を満足するが、条件(4)、(5)の1以上を満足するものであることが好ましい。
【0063】
また、この実施の形態において、レンズ6は、偏向反射面位置近傍と被走査面である感光体8とを副走査方向に関して、幾何光学的に共役関係とする機能を有するアナモフィックな光学系である。
【0064】
即ち、図1に示す「シングルビーム方式の光走査装置」は、光源からの光束をカップリングレンズ2により以後の光学系にカップリングし、カップリングされた光束を線像結像光学系4により光偏向器5の偏向反射面位置近傍に主走査方向に長い線像として結像させ、光偏向器5により等角速度的に偏向させ、偏向光束を走査光学系6により、被走査面8上に光スポットとして集光し、被走査面8を光走査する光走査装置であって、走査光学系6として、請求項9記載の走査光学系を用いることができる。
【0065】
図2に実施の形態を示す光走査装置は「マルチビーム方式」のものである。煩雑を避けるため、混同の虞がないと思われるものについては、図1におけると同一の符号を付した。
【0066】
光源1は半導体レーザアレイであって、4つの発光源ch1〜ch4を等間隔で1列に配列したものである。ここでは、副走査方向に配列した実施例を示している。もちろん、半導体レーザアレイの発光源配列方向を「副走査方向に対して傾け」て用いてもよい。
【0067】
4つの発光源ch1〜ch4から放射された4光束は「楕円形のファーフィールドパタン」の長軸方向が主走査方向に向いた発散性の光束であるが、4光束に共通のカップリングレンズ2により、以後の光学系にカップリングされる。カップリングされた各光束の形態は、以後の光学系の光学特性に応じ、弱い発散性の光束や弱い集束性の光束となることも、平行光束となることもできる。
【0068】
カップリングレンズ2を透過した4光束は、アパーチャ3で「ビーム整形」され、「共通の線像結像光学系」であるシリンドリカルレンズ4の作用により、それぞれ副走査方向に集束され、「光偏向器」であるポリゴンミラー5の偏向反射面位置近傍に、それぞれが主走査方向に長い線像として、互いに副走査方向に分離して結像する。
【0069】
偏向反射面により等角速度的に偏向された4光束は「走査光学系」をなす1枚のレンズ6を透過し、折り曲げミラー7により光路を折曲げられ、「被走査面」の実体をなす感光体8上に、副走査方向に分離した4つの光スポットとして集光し、被走査面の4走査線を同時に光走査する。
【0070】
偏向光束の1つは、光走査に先立ってミラー9により反射され、レンズ10により受光素子11に集光される。受光素子11の出力に基づき、4光束各々の光走査の書込開始タイミングが決定される。
【0071】
「走査光学系」は、光偏向器5により同時に偏向される4光束を、被走査面8上に4つの光スポットとして集光させる光学系であって、1枚のレンズ6により構成される。このレンズ6は、図1に即して説明したものと同様のもので、両面の曲率半径::Rm1、Rs1、Rm2、Rs2が条件(1)、(2)、(3)を満足するものが用いられる。
【0072】
レンズ6はまた、上記条件(4)、(5)の1以上を満足するものであることが好ましい。
【0073】
この実施の形態においても、レンズ6は、偏向反射面位置近傍と被走査面である感光体8とを副走査方向に関して、幾何光学的に共役関係とする機能を有するアナモフィックな光学系である。
【0074】
即ち、図2に実施の形態を示すマルチビーム方式の光走査装置は、複数の発光源ch1〜ch4からの複数の光束を、共通のカップリングレンズ2により以後の光学系にカップリングし、カップリングされた複数光束を、共通の線像結像光学系4により、光偏向器5の偏向反射面位置近傍に主走査方向に長く、副走査方向に分離した複数の線像として結像させ、光偏向器5により同時に等角速度的に偏向させ、偏向光束を共通の走査光学系6により、被走査面8上に、副走査方向に分離した複数の光スポットとして集光し、これら複数の光スポットにより複数走査線を同時光走査するマルチビーム方式の光走査装置であって、共通の走査光学系6として、請求項8記載の走査光学系を用いたものであり(請求項10)、光源として、複数の発光源ch1〜ch4が1列に配列したモノリシックな半導体レーザアレイ1を用いている(請求項11)。
【0075】
図3に実施の形態を示す光走査装置もマルチビーム方式のものである。この光走査装置では、光源としてビーム合成方式のものが用いられている。この図においても、繁雑を避けるため、混同の虞が無いと思われるものについては、図1におけると同一の符号を付した。
【0076】
光源1−1、1−2は半導体レーザで、それぞれ単一の発光源を持つ。光源1−1、1−2から放射された各光束は、カップリングレンズ2−1、2−2によりカップリングされる。カップリングされた各光束の形態は、以後の光学系の光学特性に応じ、弱い発散性の光束や弱い集束性の光束となることも、平行光束となることもできる。
【0077】
カップリングレンズ2−1、2−2を透過した各光束は、アパーチャ3−1、3−2により「ビーム整形」され、ビーム合成プリズム20に入射する。ビーム合成プリズム20は、反射面と、偏光分離膜と1/2波長板とを有する。光源1−2からの光束は、ビーム合成プリズム20の反射面と、偏光分離膜とに反射されてビーム合成プリズム20を射出する。
【0078】
光源1−1からの光束は1/2波長板により偏光面を90度旋回され、偏光分離膜を透過してビーム合成プリズム20から射出する。このようにして、2光束が合成される。カップリングレンズ2−1、2−2の光軸に対する光源1−1、1−2の発光部の「位置関係の調整」により、ビーム合成された2光束は互いに副走査方向に微小角をなしている。
【0079】
ビーム合成された2光束は、「共通の線像結像光学系」であるシリンドリカルレンズ4の作用により、「光偏向器」であるポリゴンミラー5の偏向反射面位置近傍に、それぞれが主走査方向に長い線像として、互いに副走査方向に分離して結像する。
【0080】
偏向反射面により等角速度的に偏向された2光束は、「走査光学系」をなす1枚のレンズ6を透過し、折り曲げミラー7により光路を折り曲げられ、「被走査面」の実体をなす感光体8上に、副走査方向に分離した2つの光スポットとして集光し、被走査面の2走査線を同時に光走査する。
【0081】
光束の1つは、光走査に先立って受光素子11に集光され、受光素子11の出力に基づき、2光束の光走査の書込開始タイミングが決定される。このようにする代わりに、2つの光束の各々を、光走査に先立って受光素子11に集光させるようにし、受光素子11の出力に基づき、2光束の光走査の書込開始タイミングを各々個別に決定するようにしてもよい。
【0082】
「走査光学系」は、光偏向器5により同時に偏向される2光束を、被走査面8上に2つの光スポットとして集光させる光学系であって、1枚のレンズ6により構成される。このレンズ6は、図1、図2に即して説明したものと同様のもので、両面の曲率半径::Rm1、Rs1、Rm2、Rs2が条件(1)、(2)を満足するものが用いられる。レンズ6は、上記条件(3)〜(5)の1以上を満足するものであることが好ましい。
【0083】
この実施の形態においても、レンズ6は、偏向反射面位置近傍と被走査面である感光体8とを副走査方向に関して、幾何光学的に共役関係とする機能を有するアナモフィックな光学系である。
【0084】
即ち、図3に実施の形態を示すマルチビーム方式の光走査装置は、複数の発光源1−1、1−2からの光束を、カップリングレンズ2−1、2−2により以後の光学系にカップリングし、カップリングされた複数光束を、共通の線像結像光学系4により、光偏向器5の偏向反射面位置近傍に主走査方向に長く、副走査方向に分離した複数の線像として結像させ、光偏向器5により同時に等角速度的に偏向させ、偏向光束を共通の走査光学系6により、被走査面8上に、副走査方向に分離した複数の光スポットとして集光し、これら複数の光スポットにより複数走査線を同時光走査するマルチビーム方式の光走査装置であって、共通の走査光学系6として、請求項8記載の走査光学系を用いたものである。
【0085】
なお、この明細書中に言う「光スポットのスポット径」は、被走査面上の光スポットにおける光強度分布のラインスプレッド関数における1/e強度で定義される。
【0086】
「ラインスプレッド関数」は、被走査面上に形成された光スポットの中心座標を基準として主走査方向及び副走査方向の座標:Y、Zにより光スポットの光強度分布:f(Y、Z)を定めたとき、Z方向のラインスプレッド関数:LSZは
LSZ(Z)=∫f(Y、Z)dY (積分はY方向における光スポットの全幅について行う)で定義され、Y方向のラインスプレッド関数:LSYは、
LSY(Y)=∫f(Y、Z)dZ (積分はZ方向における光スポットの全幅について行う)で定義される。
【0087】
これらラインスプレッド関数:LSZ(Z)、LSY(Y)は、通常、略ガウス分布型の形状であり、Y方向及びZ方向のスポット径は、これらラインスプレッド関数:LSZ(Z)、LSY(Y)が、その最大値の1/e以上となる領域のY、Z方向幅で与えられる。
【0088】
ラインスプレッド関数により上記の如く定義されるスポット径は、光スポットをスリットで等速光走査し、スリットを通った光を光検出器で受光し、受光量を積分することにより容易に測定可能であり、このような測定を行う装置も市販されている。
【0089】
【実施例】
以下、走査光学系に関する具体的な実施例を2例挙げる。光走査装置としての光学配置は図4の如くである。
【0090】
レンズ面の形状等は、以下の式による。
「主走査断面内における非円弧形状」
主走査断面内の近軸曲率半径:R、光軸からの主走査方向の距離:Y、円錐定数:K、高次の係数:A、A、A、A、A、A、・・、光軸方向のデプス:Xを用いて周知の多項式(6)で表す。
X=(Y/R)/[1+√{1−(1+K)(Y/R)}]+AY+A+A+A+A+A+・・(6)
(6)式において、奇数次の係数:A、A、A、・・の1以上が0でないとき、主走査方向に非対称形状となる。
【0091】
「副走査断面内における曲率」
副走査断面内の曲率(曲率半径の逆数)が主走査方向(光軸位置を原点とする座標:Yで示す)において変化する場合、副走査断面内の曲率:C(Y)を次の(7)式で表す。R(0)は、副走査断面内における「光軸上の曲率半径」を表し、B、B・・等は高次の係数を表す。
【0092】
(Y)={1/R(0)}+BY+B+B+B+B+B+・・ (7)
(7)式において、Yの奇数次係数:B、B、B、・・の1以上が0でないとき、副走査断面内の曲率半径の変化は「主走査方向に非対称」となる。
【0093】
特殊面の解析表現は上に挙げたものに限らず種々のものが可能であり、この発明における面形状が上記式による表現に限定されるものではない。
【0094】
実施例1
「光源」
波長:655nm
「カップリングレンズ」
焦点距離:15mm
カップリング作用:収束作用
自然集光点(カップリングレンズから射出した収束性の光束が、他の光学素子の屈折作用を受けないとした場合に、自然に集光する位置)は、偏向反射面から被走査面側へ向って464.73mmの位置にある。
【0095】
「シリンドリカルレンズ」
副走査方向の焦点距離:72mm
「ポリゴンミラー」
偏向反射面数:6
内接円半径:18mm
光源側からの光束の入射角と走査光学系の光軸とがなす角:60度
「ポリゴンミラーと被走査面との間にある光学系のデータ」
曲率半径を、主走査方向につき「R」、副走査方向につき「R」、屈折率を「n」で表す。尚、以下のデータにおける「R、R」は、「近軸曲率半径」である。
【0096】
Figure 0004298213
上記において、X、Yは、面番号:i〜i+1における頂点間の光軸方向および主走査方向の距離を表す。例えば、面番号:0(偏向反射面)におけるX=50.00、Y=―0.15は、偏向反射点位置(像高:0を与える反射位置)に対してレンズ6の入射面(面番号:1)の頂点が、光軸方向(X方向)に50.00mm、主走査方向(Y方向)のマイナス方向(光走査の開始側)に―0.15mm、それぞれ離れていることを意味する。面番号:1におけるX=17.03はレンズ6の光軸上の肉厚を与える。
【0097】
入射側面(面番号:i=1)は「副走査断面内の曲率が主走査方向において、光軸に対して非対称的に変化する特殊面(上記(7)式により表される)」である。主走査断面内の形状は上記(6)式で表される非円弧形状で、光軸に関して対称的である。
この面の主走査・副走査方向の各係数を表1に挙げる。
【0098】
【表1】
Figure 0004298213
【0099】
射出側面(面番号:i=2)は「特殊面」で、主走査断面内の形状は「光軸に関して対称的な非円弧形状」であり、副走査断面内の曲率は、主走査方向において光軸に関して対称的((7)式右辺のYの奇数次係数:B、B、B、・・が何れも0である)に変化する。
この面の主走査方向と副走査方向の係数を表2に挙げる。
【0100】
【表2】
Figure 0004298213
【0101】
実施例1の走査光学系の中心像高における副走査方向の横倍率:|β|は、|β|=1.86である。
【0102】
図5に、実施例1の像面湾曲(左図 実線は副走査像面湾曲、破線は主走査像面湾曲)と等速度特性(右図 実線はリニアリティ、破線はfθ特性)を示す。
【0103】
主走査方向:1.27mm/216mm
副走査方向:0.210mm/216mm
リニアリティ:0.47%/216mm
と、像面湾曲・等速度特性ともに極めて良好に補正されている。特に、副走査像面湾曲は条件(5)を満足する。即ち、
(5) 0.210/216=0.00097<0.001
図6には、中心像高の副走査方向横倍率:|β|に対する、任意像高の副走査方向横倍率:|β|の変化を示す。倍率変化:|β/β|は、
0.987≦|β|≦1.010
と、条件(4)を満足し、極めて良好に補正されている。
【0104】
図7は、実施例1における光スポットの各像高ごとの「スポット径の深度曲線(光スポットのデフォーカスに対するスポット形の変動)」を示す。(a)は主走査方向、(b)は副走査方向に関するものである。実施例1では、ラインスプレッド関数の1/e強度で定義されるスポット径として50μm程度を意図している。図に示されているように、主走査・副走査方向とも良好な深度を有しており、被走査面の位置精度に対する許容度が高い。
【0105】
実施例2
「光源」
波長:655nm
「カップリングレンズ」
焦点距離:15mm
カップリング作用:収束作用
自然集光点は、偏向反射面から被走査面側へ向って686.76mmの位置にある。
【0106】
「シリンドリカルレンズ」
副走査方向の焦点距離:72mm
「ポリゴンミラー」
偏向反射面数:6
内接円半径:16mm
光源側からの光束の入射角と走査光学系の光軸とがなす角:60度
「ポリゴンミラーと被走査面との間にある光学系のデータ」
Figure 0004298213
入射側面(面番号:i=1)は「副走査断面内の曲率が、主走査方向において光軸に対して非対称に変化する特殊面」である。主走査断面内の形状は、(6)式で表される非円弧形状であり、光軸に関して対称である。この面の主走査・副走査方向の各係数を表3に挙げる。
【0107】
【表3】
Figure 0004298213
【0108】
射出側面(面番号:i=2)は「特殊面」で、主走査断面内の形状は光軸に対称な非円弧形状で、副走査断面内の曲率は主走査方向において、光軸に関して対称的に変化する。
この面の主走査方向と副走査方向の係数を表4に挙げる。
【0109】
【表4】
Figure 0004298213
【0110】
実施例2の走査光学系の中心像高における副走査方向の横倍率:|β|は、|β|=2.23である。
【0111】
図8に、実施例2の像面湾曲と等速度特性を図5に倣って示す。
【0112】
主走査方向:1.666mm/220mm
副走査方向:0.152mm/220mm
リニアリティ:0.555%/220mm
と、像面湾曲・等速度特性ともに極めて良好に補正されている。特に、副走査像面湾曲は条件(5)を満足する。即ち、
(5) 0.152/220=0.00074<0.001
図9には、中心像高の副走査方向横倍率:|β|に対する、任意像高の副走査方向横倍率:|β|の変化を示す。倍率変化:|β|は、
1.000≦|β|≦1.020
と、条件(4)を満足し、極めて良好に補正されている。
【0113】
図10は、実施例2における光スポットの各像高ごとの「スポット径の深度曲線」を示す。(a)は主走査方向、(b)は副走査方向に関するものである。実施例2では、ラインスプレッド関数の1/e強度で定義されるスポット径として50μm程度を意図している。図に示されているように、主走査・副走査方向とも良好な深度を有しており、被走査面の位置精度に対する許容度が高い。
【0114】
実施例1、2では、走査光学系をなすレンズ6をプラスチック材料で構成しているが、勿論、ガラス材料を使ってもよい。また、更なるビームスポット径の小径化を狙うために、副走査断面内の形状を非円弧形状としてもよい。また、走査光学系を偏心させることで、より好ましく収差補正を行うことが可能であることも付記しておく。
【0115】
【発明の実施の形態】
図11に画像形成装置の実施の1形態を示す。
この画像形成装置はレーザプリンタである。
【0116】
レーザプリンタ1000は感光性の像担持体1110として「円筒状に形成された光導電性の感光体」を有している。像担持体1110の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ1121、現像装置1131、転写ローラ1141、クリーニング装置1151が配備されている。帯電手段としては「コロナチャージャ」を用いることもできる。
【0117】
レーザ光束LBにより光走査を行う光走査装置1171が設けられ、帯電ローラ1121と現像装置1131との間で「光書込による露光」を行うようになっている。
【0118】
図11において、符号1161は定着装置、符号1181はカセット、符号1191はレジストローラ対、符号1201は給紙コロ、符号1211は搬送路、符号1221は排紙ローラ対、符号1231はトレイ、符号Pはシート状記録媒体としての転写紙を示している。
【0119】
画像形成を行うときは、光導電性の感光体である像担持体1110が時計回りに等速回転され、その表面が帯電ローラ1121により均一帯電され、光走査装置1171のレーザ光束LBの光書込による露光を受けて静電潜像が形成される。形成された静電潜像は所謂「ネガ潜像」であって画像部が露光されている。
【0120】
この静電潜像は現像装置1131により反転現像され、像担持体1110上にトナー画像が形成される。転写紙Pを収納したカセット1181は、画像形成装置1000本体に脱着可能であり、図のごとく装着された状態において、収納された転写紙Pの最上位の1枚が給紙コロ1201により給紙され、給紙された転写紙Pは、その先端部をレジストローラ対1191に銜えられる。レジストローラ対1191は、像担持体1110上のトナー画像が転写位置へ移動するのにタイミングを合わせて、転写紙Pを転写部へ送り込む。
【0121】
送り込まれた転写紙Pは、転写部においてトナー画像と重ね合わせられ転写ローラ1141の作用によりトナー画像を静電転写される。トナー画像を転写された転写紙Pは定着装置1161へ送られ、定着装置1161においてトナー画像を定着され、搬送路1211を通り、排紙ローラ対1221によりトレイ1231上に排出される。
【0122】
トナー画像が転写された後の像担持体1110の表面は、クリーニング装置1151によりクリーニングされ、残留トナーや紙粉等が除去される。
【0123】
光走査装置1171として「図1、2、3のごとき光走査装置」を用い、走査光学系として実施例1や2のものを用いることにより、極めて良好な画像形成を実行することができる。
【0124】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、新規な、走査光学系および光走査装置および画像形成装置を実現できる。
【0125】
この発明の走査光学系は、上記の如く、レンズ1枚構成で安価に作製でき、光走査装置をコンパクト化でき、なおかつ、幾何光学的な収差のみならず波動光学的な収差も良好に補正可能であり、光スポットの小径化に適している。このような走査光学系を用いる走査光学系は、小径化した光スポットによる良好な光走査が可能となり、従って、かかる光走査装置を用いる画像形成装置は、精細な画像の形成が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】シングルビーム方式の光走査装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図2】マルチビーム方式の光走査装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図3】マルチビーム方式の光走査装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図4】実施例の走査光学系を用いる光走査装置の光学配置を示す図である。
【図5】実施例1の収差図(左図:像面湾曲と右図:等速度特性)である。
【図6】実施例1における倍率変化:|β|を示す図である。
【図7】実施例1における光スポットの各像高ごとの「スポット径の深度曲線」を示す図である。
【図8】実施例2の収差図(左図:像面湾曲と右図:等速度特性)である。
【図9】実施例2における倍率変化:|β|を示す図である。
【図10】実施例2における光スポットの各像高ごとの「スポット径の深度曲線」を示す図である。
【図11】画像形成装置の実施の1形態を説明するための図である。
【符号の説明】
5 光偏向器(ポリゴンミラー)
6 走査光学系

Claims (12)

  1. 光偏向器により偏向される光束を、被走査面上に光スポットとして集光させる走査光学系であって、
    主走査断面内の形状が両凸形状、副走査断面内の形状が両凸形状で、両面共にアナモフィック面である1枚のレンズにより構成され、
    両面とも、副走査断面内の曲率が主走査方向に沿って連続的に変化する特殊面で、少なくとも一方の特殊面は、副走査断面内の曲率の変化が、光軸に対して非対称であり、
    主走査断面内における、入射側面の曲率半径:Rm1、射出側面の曲率半径:Rm2が、条件:
    (1) |Rm1|>|Rm2
    を満足し、且つ、副走査断面内における、入射側面の曲率半径:Rs1、射出側面の曲率半径:Rs2が、条件:
    (2) |Rs1|>|Rs2
    を満足し、且つ、中心像高における副走査方向の横倍率:β が、条件:
    (3) 0.5≦|β |≦3.0
    を満足することを特徴とする走査光学系。
  2. 請求項1記載の走査光学系において、
    少なくとも1面は、主走査断面内の形状が非円弧形状であることを特徴とする走査光学系。
  3. 請求項1または2記載の走査光学系において、
    中心像高における副走査方向の横倍率:β 、任意像高における副走査方向の横倍率:β が、条件:
    (4) 0.9≦|β |≦1.1
    を満足することを特徴とする走査光学系。
  4. 請求項1〜3の任意の1に記載の走査光学系において、
    有効書込幅:W、有効書込幅内における副走査像面湾曲の幅:F が条件:
    (5) F /W<0.001
    を満足することを特徴とする走査光学系。
  5. 請求項1〜4の任意の1に記載の走査光学系において、
    光偏向器により偏向され、主走査方向に収束性の光束を入射されることを特徴とする走査光学系。
  6. 請求項1〜5の任意の1に記載の走査光学系において、
    主走査方向において、被走査面上の光スポットの光走査を等速化する機能を有し、
    副走査方向において、光偏向器の面倒れを補正する機能を有することを特徴とする走査光学系。
  7. 請求項1〜6の任意の1に記載の走査光学系において、
    樹脂製のレンズとして成形されたことを特徴とする走査光学系。
  8. 請求項1〜7の任意の1に記載の走査光学系において、
    同時に偏向される複数光束を、被走査面上に、副走査方向に分離した複数の光スポットとして集光することを特徴とする走査光学系。
  9. 光源からの光束をカップリングレンズにより以後の光学系にカップリングし、カップリングされた光束を、線像結像光学系により、光偏向器の偏向反射面位置近傍に主走査方向に長い線像として結像させ、上記光偏向器により偏向させ、偏向光束を走査光学系により被走査面上に光スポットとして集光させ、上記被走査面を光走査するシングルビーム方式の光走査装置において、
    走査光学系として、請求項1〜7の任意の1に記載の走査光学系を用いたことを特徴とする光走査装置。
  10. 複数の発光源からの光束をカップリングレンズにより以後の光学系にカップリングし、カップリングされた複数光束を、共通の線像結像光学系により、光偏向器の偏向反射面位置近傍に、主走査方向に長く、副走査方向に分離した複数の線像として結像させ、上記光偏向器により同時に偏向させた複数の偏向光束を、共通の走査光学系により、被走査面上に、副走査方向に分離した複数の光スポットとして集光し、これら複数の光スポットにより複数走査線を同時に光走査するマルチビーム方式の光走査装置において、
    共通の走査光学系として請求項8記載の走査光学系を用いたことを特徴とする光走査装置。
  11. 請求項10記載の光走査装置において、
    複数の発光源が1列に配列されたモノリシックな半導体レーザアレイを、光源として用いたことを特徴とするマルチビーム方式の光走査装置。
  12. 感光性の像担持体に対して光走査装置による光走査を行って、画像を形成する画像形成装置において、
    像担持体の光走査を行う光走査装置として請求項9〜11の任意の1に記載の光走査装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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