JP5168753B2 - 光走査装置および画像形成装置、並びにレンズ - Google Patents

光走査装置および画像形成装置、並びにレンズ

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本発明は、デジタル複写機、レーザプリンタ、レーザファクシミリ等に用いられる光走査装置、および、これを用いた上記デジタル複写機などの画像形成装置、並びに光走査装置を構成するレンズに関するものである。
レーザプリンタ等に関連して広く知られている光走査装置は、一般に、光源側からの光ビームを光偏向器により偏向させ、この偏向光をfθレンズなどからなる走査結像光学系により被走査面に向けて集光して被走査面上に光スポットを形成し、この光スポットを被走査面上で光走査するように構成されている。この光走査を主走査という。被走査面の実体をなすものは光導電性の感光媒体の感光面で、感光体ドラム、感光体ベルトなどからなる。
また、フルカラー画像形成装置の一例として、色成分ごとの画像を形成するための4つの感光体を記録紙の搬送方向に配列してなる画像形成装置が知られている。この画像形成方式では、上記各感光体に対応して設けられた複数の光源装置を有し、複数の光源装置から色成分ごとの画像信号で変調されて放射された光ビームの光束を1つの偏向手段により偏向走査し、各感光体に対応する複数の走査結像光学系により各感光体に同時に露光することによって潜像を形成するように構成されている。これらの潜像をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの各々異なる色の現像剤を使用する現像器で可視像化したのち、これらの可視像を同一の記録紙に順次重ね合わせて転写し定着することで、カラー画像を得るように構成されている。
このように、光走査装置と感光体の組み合わせを2組以上用いて、2色画像や多色画像、カラー画像等を得るようにした画像形成装置は「タンデム式画像形成装置」として知られている。
このようなタンデム式画像形成装置として、複数の感光媒体が単一の光偏向器を共用する方式のものが知られているが、単一の光偏向器を共用する方式にも、以下のような各種のものが知られている。
(1)偏向器の両側より光束を入射し、光束を振り分けて走査する対向走査方式(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
(2)略平行でかつ副走査方向に離れた複数の光束を光偏向器に入射し、複数の光束に対応する複数の走査光学素子を副走査方向に並べて走査する方式(例えば、特許文献3参照)。
(3)光偏向器の片側より光束を入射し、走査光学系を3枚の光学素子で構成し、第1光学素子L1、第2光学素子L2を、異なる被走査面に向かう複数の光束が通過し、第3の光学素子L3は各被走査面に向かう光束毎に設けられている方式(例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6参照)。
このように、複数の被走査面に至る複数の光束に対して偏向器を共用すると、光偏向器の数を減らすことができるため、光走査装置およびこの光走査装置を用いた画像形成装置をコンパクト化・低コスト化することができる。
さらに最近では、カラー画像形成装置の光走査装置において、単一の光偏向器として低コスト化を図る手段として、光偏向器の偏向反射面に対して、副走査方向に角度をもって光ビームを入射させる斜め入射光学系を用いたものが知られている(例えば、特許文献7参照)。上記斜め入射光学系は、複数の光ビームがそれぞれ偏向反射面で偏向反射された後に、各光ビームが対応する感光体表面である被走査面に、折返しミラーなどで個々の光ビームに分離され導かれる。このとき、それぞれの光ビームの副走査方向の角度、より具体的には光偏向器に斜入射する角度は、前記ミラーで各光束を分離可能な角度に設定されている。この斜入射光学系を用いることで、光偏光器の大型化、すなわち、副走査方向へのポリゴンミラーの多段化、厚肉化を回避しながら、前記ミラーで各光束を分離可能な副走査方向に隣接する光ビームの間隔を確保することができる。
さらに、上に説明したような斜め入射光学系によれば、光偏向器として、ポリゴンミラー(回転多面鏡)を用いる場合を考えてみると、通常の入射方式では、光源側からの光束をポリゴンミラーの回転軸に向けて入射させることが難しい。光束をポリゴンミラーの回転軸に向けて入射させることは不可能ではないが、回転軸に向けて入射させた場合、必要な偏向角を確保しようとすると、個々の偏向反射面が極端に大きくなる。そのため、通常の入射方式では、ポリゴンミラーを小型化することができない。また、所謂「サグ」の発生も大きく、発生するサグは像高:0に対して非対称である。さらに、ポリゴンミラーが大きくなると、その高速回転に大きなエネルギーを必要とし、高速回転させたときの「風切り音」も大きく、防音手段も大型化せざるを得ない。
これに対し、前述の斜め入射方式では、光源側からの光束をポリゴンミラーの回転軸に向けて入射させることが可能であり、ポリゴンミラーを小径化でき、高速回転させたときの「風切り音」も小さく、従って高速化に適している。ポリゴンミラーを小径化できるのでサグの発生も小さく、発生するサグを像高:0に対して対称化できるので、補正も容易である。
しかし、反面、斜め入射方式には「走査線曲がり」が大きいという問題がある。この走査線曲がりの発生量は、各光ビームの副走査方向の斜入射角によって異なり、各感光体に各光ビームで描かれた潜像を、対応する各色のトナーにより現像してこれを重ね合わせ可視化した際に、色ずれとなって現れ、画像品質を劣化させる。また、斜め入射することにより、光束が走査レンズにねじれて入射することになり、波面収差も増大し、特に周辺の像高で光学性能が著しく劣化し、ビームスポット径が太ってしまい、高画質化を妨げる要因となる。さらに、斜め入射方式では、光源側からの光束をポリゴンミラーの回転軸に向けて入射させることから、主走査方向で走査レンズの光軸と重なる位置に光源を配置した場合、走査レンズとの干渉を避けるために斜入射角は増大してしまう。
斜め入射方式に固有の「大きな走査線曲がり」を補正する方法として、走査結像光学系に、「副走査断面内におけるレンズ面の固有傾きを、走査線曲がりを補正するように主走査方向へ変化させたレンズ面を有してなるレンズ」を含める方法(例えば、特許文献8参照)や、走査結像光学系に、「副走査断面内における反射面の固有傾きを、走査線曲がりを補正するように主走査方向へ変化させた反射面を有する補正反射面」を含める方法(例えば、特許文献9)などが提案されている。
斜め入射方式における今1つの問題は、光線スキューにより周辺像高すなわち走査線の両端部近傍で波面収差の大きな劣化が発生し易いことである。このような波面収差が生じると、周辺像高で光スポットのスポット径が大径化してしまう。この問題を解決できないと、近来強く要請されている「高密度の光走査」を実現することができない。上記特許文献8,9に記載の光走査装置では、斜め入射方式に特有の大きな走査線曲がりが極めて良好に補正されているが、上記のような波面収差の補正は十分といえない。
斜め入射方式の問題点といえる上記「走査線曲がりと波面収差の劣化」を良好に補正できる光走査装置として、走査結像光学系に複数の回転非対称レンズを含め、これら回転非対称レンズのレンズ面の子線頂点を結ぶ母線形状を副走査方向に湾曲させたものが提案されている(例えば、特許文献10参照)。
しかし、特許文献10に記載の発明に用いられているような「子線頂点を結ぶ母線形状を副走査方向に湾曲させたレンズ面」を有するレンズは、母線が湾曲しているため、副走査方向のレンズ幅を大きくする必要がある。特に、曲率の大きいレンズ面では、走査線曲がりを補正するための母線の湾曲量が大きくなり、レンズ幅を相当に大きくしなければならない。また、上記レンズは副走査方向に曲率がついているために、同レンズが光軸中心に回転した場合、波面収差の劣化が大きくなるという問題がある。また、主走査方向に異なる副走査方向の曲率を持つトーリック面の場合に前記母線を湾曲させると、副走査方向の高さ毎に主走査方向の形状が大きく変化し、温度変動や光学素子の組み付け誤差により副走査方向に光ビームの入射位置がずれた場合に倍率誤差変動が大きく発生し、カラー画像形成装置においては、各色間でのビームスポット位置がずれ、色ずれが発生するという難点がある。
同一のレンズに異なる被走査面に向かう複数の光束を入射させた場合、母線形状を湾曲させることにより一方の光束に対しては諸問題の解決がなされるが、他方の光束については走査線曲がりや波面収差を低減させることは難しい。
つまり、母線形状を湾曲させる場合は、入射光束に対応した個別の走査レンズが必要となる。このため、タンデム型の走査光学系に適用する場合、走査レンズの枚数が増大してしまう。
また、副走査方向に曲率を持つため、組み付け誤差、加工誤差、環境変動等の影響により、同レンズに入射する光束が副走査方向にシフトした場合、副走査方向のレンズの屈折力の影響を受け、走査線曲がりの形状が変化し、カラー画像における初期の(または設計時の)色ずれ抑制の効果は得られず、色ずれが発生してしまう課題がある。
さらに、波面収差補正においても、曲率を持つ面においては入射光束のぶれにより光束のスキュー状態の変化が大きく、良好なビームスポット径を安定して得ることは難しい。
特許文献7記載の発明においても、特許文献10と同様の面を用いており、同様の課題が発生する。
次に、高画質化のための色ずれ低減について触れておく。これまで説明したような問題を解消し、前記走査特性の向上を目的として、光走査装置の光学素子に、非球面に代表される特殊な面の採用が一般化している。このような特殊な面を容易に形成でき、なおかつコストも安価な光学素子として「樹脂製の光学素子」が多用される傾向にある。
しかし、光走査装置に樹脂製の光学素子を用いると、樹脂はガラスに比べ熱膨張係数が大きいため、温度変化による形状変化が大きく発生し、樹脂製光学素子の光学特性が変化する。光走査装置は発熱が大きいポリゴンミラー等の偏向手段を具備しているため、偏光手段によって光学箱内の温度が上昇するとき、ポリゴンミラーが回転して作る気流、光学箱内の形状の違いなどにより、熱は一律に伝達していくことはなく、光学箱内の温度は温度分布を持つことになる。また、走査レンズにおいても、熱の伝わり方の違い、レンズ形状の違い、光学箱への設置面積の違いなどにより、一律な温度変化とはならず、走査レンズの場所による温度差が発生する。
前記タンデム方式画像形成装置では、各感光体に向かう光束は異なる走査レンズを通過し、走査レンズを保持する光学箱内の温度分布により、各走査レンズ間で異なる温度分布が生じることより、走査レンズの形状変化、屈折率の変化などは不均一になる。そのため、各感光体での走査線長さの変化量や等速性の変化が異なることになり、このような光走査によって各感光体に形成されている潜像を、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの各々異なる色の現像剤を使用する現像器で可視像化したのち、これらの可視像を同一の記録紙に順次重ね合わせて転写し定着することによって得たカラー画像に、所謂「色ずれ」が生じてしまう。特に光学箱内で発熱が大きいポリゴンミラー等の偏向手段に最も近い走査レンズを樹脂製レンズとした場合には、光学特性の変化は大きくなる。
さらに、画像を連続してプリント出力する場合、特に連続出力枚数が多い場合には、偏向手段の発熱により、機内温度(光学箱内温度)が上昇していく。このため、各走査レンズの温度分布が変化していき、上に説明したように出力画像に色ずれが発生し、この色ずれの量も変化していく。この結果、最初に出力された画像と、最後に出力された画像で、色ずれにより色味が変化してしまうという課題がある。
上記「走査長さの変化」の問題に対処する方法として、主走査方向における書込開始側と書込終了側とに各々受光手段を配し、各受光手段の受光時間差に基づき、各光ビームの画周波数を調整する方法がある(例えば、特許文献11参照)。この方式を上記「複数の被走査面で光偏向器を共用」するタンデム式画像形成装置に採用しようとすると、書込終端側に受光手段配置用のスペースを必要とするため、有効書込幅の確保がより困難になる。また、前記書込開始側と書込終了側とに各々受光手段を配し、各受光手段の受光時間差に基づき、各光ビームの画周波数を調整する方法では、各感光体での走査線の長さは補正可能であるが、各走査レンズの持つ温度分布による等速性の変化は補正することができない。このため、例えば書込開始位置と書込終了位置での主走査方向のドット位置を各感光体で補正しても、中間での主走査方向のドット位置は一致せず、色ずれが発生してしまう。
特開平11−157128号公報 特開平9−127443号公報 特開平9−54263号公報 特開2001−4948公報 特開2001−10107公報 特開2001−33720公報 特開2003−5114公報 特開平11−14932号公報 特開平11−38348号公報 特開平10−73778号公報 特開平9−58053号公報
以上説明した従来技術に鑑みて、本発明が解決しようとする課題は、以下のとおりである。
(1)低コスト、低消費電力、小型化に適した、斜め入射方式の光走査装置における走査線曲がりと波面収差の劣化を有効に補正できる新規な光走査装置の実現を課題とする。
(2)温度変動時においても色ずれが小さく、新規な光走査装置の実現を課題とする。
(3)斜め入射方式の光走査装置における走査線曲がりと波面収差の劣化を有効に補正し、温度変動時においても色ずれが小さく、新規な画像形成装置の実現を課題とする。
本発明の目的は上記の課題を解決することであって、具体的には以下のとおりである。
光源装置から射出された光ビームをカップリングするカップリング光学系と、カップリング光学系からの光ビームを主走査方向に長く略線上に集光する第1光学系と、第1光学系からの光ビームを偏向走査する偏向手段としてのポリゴンミラー(回転多面鏡)と、光源からの光ビームを被走査面に集光する走査光学系とを持つ光走査装置において、光源装置からの光ビームは、ポリゴンミラーの偏向反射面の法線に対し副走査方向に角度を持ち、走査光学系の少なくとも一面に、副走査方向に曲率を持たず、かつ、同レンズの光軸に対しチルト偏芯させた面形状とし、もしくは、像高に応じて(主走査方向への光走査の位置に応じて)偏芯角度が異なる面形状とすることで、斜め入射方式の光走査装置における走査線曲がりと波面収差の劣化を有効に補正することができる光走査装置および画像形成装置の実現を第1の目的とする。
さらに、カラー画像の高画質化に向け、色ずれの小さい光走査装置および画像形成装置の実現を第2の目的とする。
また、小型化や、マルチビームによる光偏向器である回転多面鏡の回転数低下による消費電力の低下など、環境を考慮した光走査装置および画像形成装置の実現を、その他の目的とする。
本発明は、光源装置から射出された光ビームをカップリングするカップリング光学系と、カップリング光学系からの光ビームを主走査方向に長い線状に集光する第1光学系と、第1光学系からの光ビームを偏向走査する光偏向器と、光源から射出され光偏向器で偏向された光ビームを被走査面に集光する走査光学系と、を具備する光走査装置において、光源装置からの光ビームは、光偏向器の偏向反射面の法線に対し副走査方向に角度を持ち、走査光学系の少なくとも一面は副走査方向に曲率を持たない面で構成されかつ副走査方向にチルト偏芯していることを最も主要な特徴とする。
本発明にかかる光走査装置によれば、上記のような構成上の特徴を有することで、斜め入射方式の光走査装置における走査線曲がりと波面収差の劣化を有効に補正することができる光走査装置を実現することができる。
光源装置を複数持ち、走査光学系の光偏向器に最も近い走査レンズを複数の光源装置からの光ビームで共有することで、これをカラー画像形成装置に適用したとき、色ずれの小さい、高画質のカラー画像を得ることができる光走査装置を得ることができる。
複数の光源装置より射出された光ビームは、副走査方向に所定の間隔を持ち、光偏向器の偏向反射面の法線に水平な光ビームと、この光ビームに偏向反射面上で近接させ光偏向器の偏向反射面の法線に対し副走査方向に角度を持つ光ビームを用いることで、光走査装置の小型化を図ることができる。
マルチビームにすることにより、光偏向器である光偏向器の回転数を低下させることができ、光偏向器の低速化による消費電力の低下など、環境を考慮した光走査装置、及び、これらの効果を達成した画像形成装置を実現することができる。
以下,本発明にかかる光走査装置および画像形成装置の実施形態について説明する。
図1は、光走査装置の一実施例を説明するための図で、(a)は主走査対応方向から見た平面図、(b)は副走査対応方向から見た正面図である。図1(a)において、光源としての半導体レーザ10から放射された発散性の光束はカップリングレンズ11により以後の光学系に適した光束形態に変換される。カップリングレンズ11により変換された光束形態は、平行光束であってもよいし、弱い発散性あるいは弱い集束性の光束であってもよい。カップリングレンズ11からの光束は、絞り12を通過した後シリンドリカルレンズ13により副走査方向に集光され、光偏向器の偏向反射面に入射するように構成されている。この実施の形態では、光偏向器として、高速で等速度回転駆動されるポリゴンミラー(回転多面鏡)14が用いられ、ポリゴンミラー14の偏向反射面に上記光束が入射するように構成されている。ここでは、シリンドリカルレンズ13を第1光学系とし、後で説明する走査光学系16を第2光学系とする。上記ポリゴンミラー14は光偏向器を構成している。光源10側からの光束は、ポリゴンミラー14の偏向反射面15の法線を含む平面Aに対して傾いて入射する。すなわち、上記偏向反射面15に対し副走査方向に斜めに入射する。従って、偏向反射面により反射された光束も、平面Aに対して傾いている。図1に示す例では、(b)に示すように光源から複数の光束が放射され、各光束が共通の偏向反射面15で偏向されるようになっている。ポリゴンミラー14の偏向反射面の法線に対し光ビームに角度をつけるには(副走査方向に斜入射させるには)、光源、カップリング光学系、第1光学系の全てを所望の通り傾けても良いし、折返しミラーを傾けて偏向反射面に向かう光ビームに副走査方向に角度をつけても良い。また、上記第1光学系の光軸を副走査方向にシフトすることで、偏向反射面に向かう光ビームに角度をつけても構わない。
偏向反射面15により反射された各光束は、ポリゴンミラー14の等速回転とともに等角速度的に偏向し、レンズL1、L2を透過して、それぞれ異なる被走査面17上に到達する。レンズL1、L2は走査結像光学系16を構成し、偏向光束を被走査面17に向けて集光する。これにより、各偏向光束は異なる被走査面17上に光スポットを形成し、被走査面17を光走査する。図1(b)は、ポリゴンミラー14の偏向反射面15からレンズL1、L2と被走査面17との位置関係を示している。
偏向反射面に対し光ビームを直角に入射する方式を水平入射方式とすると、この水平入射方式に対し、上記のように副走査方向に斜めに入射させる従来の方式では、前述のように「走査線曲がり」が大きいという問題がある。この走査線曲がり発生量は、前記各光ビームの副走査方向の斜入射角により異なり、各々の光ビームで被走査面17である感光体表面に描かれた潜像を各色のトナーにより現像して可視化しこれを重ね合わせた際に、色ずれとなって現れてしまう。また、斜め入射することにより、光束が走査結像光学系16にねじれて入射することで、波面収差も増大し、特に周辺の像高で光学性能が著しく劣化し、ビームスポット径が太ってしまい、高画質化を妨げる要因となる。
本発明においては、走査光学系の少なくとも一面にチルト偏芯面を採用し、波面収差及び走査線曲がりを補正している。走査線曲がりや波面収差の補正は、走査レンズ面を副走査方向にチルト偏芯させることで補正可能である。像高間での副走査方向の走査位置、及び、劣化した波面収差量のバランスを取ることにより、各像高での走査位置や波面収差を補正し、被走査面上での走査線曲がりや波面収差の劣化によるビームスポット径の太りを良好に補正している。
しかし、レンズ面に入射する光束のねじれ量(スキュー量)による波面収差の劣化量や、ポリゴンミラーに斜め入射することによる像高間での物点の副走査方向の変化量、偏向反射面から走査光学系を構成するレンズ面までの距離は、像高間で異なるため、波面収差の補正や走査線曲がりの補正を完全に行うことはできない。そこで本発明は、走査光学系の少なくとも一面に特殊なチルト偏芯面を採用することで、さらに良好に波面収差及び走査線曲がりを補正することを可能にしている。
特殊なチルト偏芯面とは、副走査方向に曲率を持たない面で構成され、かつ、主走査方向への光走査の位置に応じて副走査方向のチルト偏芯角度が異なる、すなわち、レンズ長手方向(主走査方向)のレンズ高さに応じてレンズ短手方向(副走査方向)の偏芯角度(チルト量)が異なる面である。また、特殊なチルト偏芯面のチルト量(偏芯角度)とは、レンズの光軸(中心軸)に直行する面に対する短手方向の傾き角をいう。つまりチルト量が0であるときには光軸に対し直交する面となる。このチルト偏芯面は、被走査面上における「走査線曲がりと波面収差」を補正するように形成される。
レンズ面の面形状は、以下の形状式による。ただし、この発明の内容は以下の形状式に限定されるものではなく、同一の面形状を別の形状式を用いて特定することも可能である。後に説明する数値実施例で使用している「特殊なチルト偏芯面」の形状式を以下に「数1」で示す。光軸を含み、主走査方向に平行な平断面である「主走査断面」内の近軸曲率半径をRY、光軸から主走査方向の距離をY、高次係数をA、B、C、D、…とし、主走査断面に直交する「副走査断面」内の近軸曲率半径をRZとする。
Figure 0005168753

但し、Cm=1/RY、 Cs(Y)=1/RZとする。
(F0+F1・Y+F2・Y^2+F3・Y^3+F4・Y^4+・・)Zは、チルト量を表す部分であり、チルト量を持たないとき、F0、F1、F2、・・は全て0である。F1、F2、・・が0で無いとき、チルト量は、主走査方向に変化することになる。
なお、後で説明する複数の光源からの光ビームで共用される走査レンズにおいては、偏向反射面の法線に対して角度を持つ光ビームの通過位置は、レンズの短手方向(副走査方向)中心より副走査方向に距離を隔てた位置を通過する。この時の面形状は、像高0に向かう光ビームが特殊なチルト偏芯面を通過する位置を含み、偏向反射面の法線に水平な線を、前記「数1」の説明で用いた光軸とする。
図2は、上記の式で表される特殊なチルト面において「副走査断面形状のチルト量が主走査方向に変化する状態」の1例を示している。図2において、Y方向は主走査方向すなわちレンズ面長手方向、Z方向は副走査方向すなわちレンズ面短手方向を示している。単位はmmである。また、特殊なチルト面の形状をわかりやすくするため、主走査方向の形状は平面、チルト量も実際より大きくしている。主走査方向の位置により、副走査方向の面の傾きが変化し、全体として捩れた形になっている。光軸上では副走査方向のチルト偏芯はない。
このような面を、ポリゴンミラーに近い走査レンズと、被走査面に近い走査レンズに用いることで、波面収差の劣化によるビームスポット径の劣化、特に、周辺像高におけるビームスポット径の太りと、走査線曲がりの補正をともに良好に補正可能となる。光束径の太いポリゴンミラー側のレンズの特殊な偏芯面により主に波面収差を補正し、被走査面側の走査レンズの特殊な偏芯面にて主に走査線曲がりを補正することができ、両方の光学性能の補正を両立することが可能である。
このようにポリゴンミラーに近い走査レンズと、被走査面に近い走査レンズそれぞれに特殊なチルト偏芯面を採用し、波面収差補正と走査線曲がり補正の機能を分離することで、ビームスポット径の更なる小径化と走査線曲がりの低減による良好な色ずれ補正の両立を図ることができる。
また、チルト偏芯面、特殊なチルト偏芯面の副走査方向の面形状は、曲率を持たない平面形状とすることで、曲率を持つ場合に比べ、同レンズが光軸中心に回転した場合、波面収差の劣化を小さく抑えることが可能となる。
また、特に主走査方向に異なる副走査方向の曲率を持つトーリック面の場合に前記母線を湾曲させると、副走査方向の高さ毎に主走査方向の形状が大きく変化し、温度変動、光学素子の組み付け誤差により副走査方向に光ビームの入射位置がずれた場合に倍率誤差変動が大きく発生し、カラー機においては、各色間でのビームスポット位置がずれ色ずれが発生してしまう。しかし、本発明の上記実施形態のように、特殊なチルト偏芯面の副走査方向の面形状を、曲率を持たない平面形状とすることで、副走査方向の高さ毎に主走査方向の形状誤差を小さくすることができ、副走査方向に光ビームの入射位置がずれた場合の倍率誤差変動を小さくすることができ、色ずれの発生を抑えることができる。
さらに、特殊な面の副走査方向の形状を曲率を持たない平面形状としている理由について説明する。
副走査方向に曲率を付けた場合、副走査方向の高さ毎に主走査方向の形状が大きく変化し、温度変動、光学素子の組み付け誤差により副走査方向に光ビームの入射位置がずれた場合に倍率誤差変動が大きく発生し、カラー機においては、各色間でのビームスポット位置がずれ色ずれが発生してしまう。そこで、本発明の如く特殊な面の副走査方向の面形状は、曲率を持たない平面形状とすることで、副走査方向の高さ毎に主走査方向の形状誤差は小さくでき、副走査方向に光ビームの入射位置がずれた場合の倍率誤差変動を小さくすることができ、色ずれの発生を抑えることができる。
実際には、特殊な面を用いることで主走査形状は副走査方向の高さにより変化するが、その量は僅かであり、副走査方向に曲率を付けた場合に比べ主走査形状の変化を小さくできる。この結果、温度分布発生による光ビーム間での倍率変動の差は小さくでき、同期を取ることで書き出し位置と書き終わり位置を各光ビームで一致させたときの中間像高での色ずれを低減できる。
また、図22(b)に示すが如く入射光線が副走査方向にシフトした場合、特殊な面は屈折力を持たないため光線の進行方向もシフトするのみで、その方向の変化は小さい。副走査方向に曲率を持つ、つまり屈折力を持つ面では、図22(a)の如く入射光線が副走査方向にシフトした場合、屈折力が変わることにより光線の進行方向が変わる。各像高でこの進行方向の変化量が異なると、走査線曲がりが大きく発生してしまう。また、光束のスキューが発生し波面収差の劣化、ビームスポット径の劣化が生じる。以上の理由から、特殊な面における副走査方向の形状は、曲率を持たない平面形状とする必要がある。
さらに、図1(a)に示すように、ポリゴンミラー14の偏向反射面15に入射する光ビームを走査レンズL1に干渉させないように主走査方向に角度を持って入射させることで、副走査方向の入射角度を小さく設定することができる。副走査方向に斜めに入射させる角度が大きいと、前記光学性能の劣化が大きくなるため、良好な補正は困難になってしまう。このため、上記のように、ポリゴンミラー14の偏向反射面15に入射する光ビームを主走査方向に角度を持って入射させることが望ましい。
図1に示す例において、走査光学系を構成するレンズの中で、偏向手段としてのポリゴンミラー14に最も近い走査レンズL1は、異なる被走査面に向かう複数の光ビームが通過する構成となっている。このため、異なる被走査面間での色ずれや色味による画像劣化を抑制することができる。偏向手段に最も近い走査レンズL1は、主走査方向に強い正の屈折力を持ち、等速性を補正している。本レンズに、異なる被走査面に向かう複数の光束を通過させることで、走査レンズの加工ばらつきによる主走査方向のビームスポット位置ずれが、異なる被走査面でほぼ同一となり、色ずれの発生を抑制することができる。
さらに、偏向手段としてのポリゴンミラー14は、これを高速回転駆動するモーター部、およびその回路基盤による発熱が大きい。基盤に関しては、これを光学箱の外に出すなどして、光学箱内の温度変動を低減することができるが、モーター部の発熱を外部に放出することは難しく、モーター部の発熱による光学箱内の温度上昇を避けることはできない。このモーター部などで発生した熱が光学箱内を伝搬することによって、走査光学系を構成するレンズ、特に、ポリゴンミラー14に最も近い走査レンズL1に温度分布を生じさせる。この温度分布は、特にポリゴンミラー14による光学箱内の気流、走査レンズの形状等により、走査レンズ内で一様な温度変化が生じないために発生する。この結果、各被走査面に向かうビームがそれぞれ異なる走査光学素子を通過する対向走査方式のタンデム方式カラー画像形成装置などにおいては、連続プリント時に各被走査面での相対的な主走査方向のビームスポット位置が変動し、色味が変化してしまう。この温度分布の発生は、ポリゴンミラーを密閉し、ポリゴンミラーへの光束の入出射は平行平板ガラスを通して行うようにすることで改善される。しかしながら、対向走査方式においては、ポリゴンミラーを挟んで左右の走査レンズ間で完全に温度及び前記温度分布を一致させることは難しく、色ずれ、色味の変化の原因となる。
そこで、本発明にかかる別の実施例の光走査装置においては、偏向手段に最も近い走査レンズを、異なる被走査面に向かう全ての光束が通過するように構成している。これを、ここでは片側走査方式という。片側走査方式では、走査レンズが主走査方向に温度分布をもった場合においても、異なる被走査面に向かう光ビーム間で主走査方向の形状が同一であるため、温度分布により発生する主走査方向の屈折力変化(面形状変化)は同一となる。そのため、主走査方向のビームスポット位置ずれは、異なる被走査面でほぼ同一となり、連続プリント時の色味の変化、色ずれの発生を抑制することができる。
さらに、図3(a)に示すように、偏向手段としてのポリゴンミラー14の偏向反射面で反射される、複数の光源装置からの光ビームは、これをポリゴンミラー14の偏向反射面の法線に水平な面(図中ポリゴンミラーの回転軸に直交する面)に対し平行な(水平な)光ビームと、角度を持つ光ビームすなわち副走査方向に角度を持つ光ビームとし、かつ、全ての光ビームがすべての光ビームで共有する走査レンズに入射されるように構成してもよい。ポリゴンミラー14の偏向反射面の法線に水平な面に平行な光ビームと、角度を持った光ビーム相互のなす角度を、図3(a)ではβs1,βs2で示している。このように構成することによって、全ての光ビームがポリゴンミラー14の偏向反射面の法線に対し水平(平行)であった従来の光走査装置の偏向手段と比較すると、その高さhすなわち副走査方向の高さを大幅に低減することが可能となる。
この実施例に係る光走査装置では、図1(b)に示すように、複数の光源装置からの各光ビームを、各光ビームに対応する異なる被走査面に導くために、全ての光ビームで共有する走査レンズを光ビームが通過した後に、光ビームを副走査方向に曲げて分離する必要がある。このとき、図3(b)に示すような、全ての光ビームがポリゴンミラー14の偏向反射面の法線に対し水平であった従来の光走査装置においては、良好な光学性能が得られる反面、各光源装置からの光ビーム、つまり互いに異なる被走査面に導かれる光ビーム間の間隔は、光ビームごとに分離するのに必要な間隔、通常3mmから5mmの間隔を持つことが必要である。そのため、偏向手段(ポリゴンミラー)の高さ(副走査方向の高さ)hが高くなり、空気との接触面積が増大して、風損の影響による消費電力アップ、騒音の増大、コストアップなどの問題が生じていた。特に、光走査装置の構成部品で偏向手段の占めるコスト比率は高く、コスト面での課題も大きい。
その点、前述の本発明にかかる光走査装置の実施例によれば、偏向手段としてのポリゴンミラー14の偏向反射面15で反射される、複数の光源装置からの光ビームは、ポリゴンミラー14の偏向反射面の法線に対し、角度を持つ(副走査方向に角度を持つ)光ビームとして、全ての光ビームで共有する走査レンズに入射させることで、図3(a)(c)に示すように、ポリゴンミラー14の高さhを大幅に低減することが可能となり、前述の課題を解決することができる。
図3(a)に示す例では、ポリゴンミラー14の偏向反射面の法線に対し水平な光ビームと、角度を持つ(斜め入射する)光ビームを有するものにおいて、全ての光ビームで共用する走査レンズの入射面で、副走査方向周辺側(外側)の二つの光ビームは互いに広がり、副走査方向中間部の二つの光ビームは互いに平行かつポリゴンミラー14の偏向反射面の法線に対し水平な光ビームとしている。この例によれば、図3(c)に示す例のような全ての光ビームを斜入射させる方式に比べて、斜め入射する光ビームの副走査方向の角度を小さく設定することが可能となる。
従来の、水平入射に対し副走査方向に斜め入射させる方式では、全ての光ビームで共用するレンズに角度を持って入射することにより、諸収差量が増大し光学性能が劣化することは公知である。
本発明では、実施例1の説明のように、偏芯面、もしくは特殊な偏芯面を用い、前記光学性能の劣化を補正しているが、ポリゴンミラーの偏向反射面の法線に対する角度(副走査方向に斜入射する角度)を小さくすることで、光学性能の劣化を小さく抑えることが可能となり、良好な光学性能を実現することができる。この結果、安定したビームスポット径を得ることが可能となり、ビームスポット径の小径化による画質向上にも有利となる。
なお、図3(a)は、4本の光束が偏光反射面に入射する例を示しているが、本発明において、偏光反射面に入射させる光束の本数は4本に限定するものではない。また、同図は、斜入射する光束と水平入射する光束とがそれぞれ2本ずつで同数の例を示しているが、斜入射する光束と水平入射する光束の本数は同数に限定するものではない。さらに、同図は、偏光反射面に入射する4本の光束が、副走査方向に「斜入射する光束」−「水平入射する光束」−「水平入射する光束」−「斜入射する光束」の順で並んだ例を示しているが、本発明において偏光反射面に入射させる「斜入射する光束」と「水平入射する光束」の副走査方向の順序はこれに限定するものではない。
また、ポリゴンミラーの偏向反射面を形成する多面体は所定のレーザビームを偏向するのに十分な軸方向長さ(副走査方向の厚み)を有しておればよく、副走査方向に所定の間隔を持つ光ビームは、異なる反射面であることが望ましい。
図4(a)に示す例の如く、偏向反射面を形成する多面体を副走査方向に分割し、2段化(2階層化)することで、偏向反射面の軸方向の長さ(副走査方向の厚み)を小さくでき、回転体としてのイナーシャを小さくでき起動時間を短くできる。
なお、図4(a)には、ポリゴンミラーの偏光反射面を2段化した例を示しているが、本発明においてポリゴンミラーの段数は2段に限らず、1段または3段以上としてもよい。
また、偏向手段に最も近い走査レンズの副走査方向の屈折力がゼロもしくはほぼゼロ(ゼロに近い)であるため、被走査面側に最も近い走査レンズは、正の強い屈折率を持つ。この結果、走査結像光学系の副走査倍率は縮小系となり、部品の組み付け誤差、部品の形状誤差などによる性能劣化を抑制することができる。また、副走査方向は、偏向手段の基点と被走査面とが共役関係にあり、偏向手段の面倒れ補正機能を有していることは言うまでもない。
さらに、例えば、偏向手段に最も近い走査レンズの主走査方向の面形状を非円弧形状とし、あるいは、その他の走査レンズの面形状を主走査方向に非円弧形状とし、かつ、副走査断面内の曲率中心を主走査方向に連ねた曲率中心線が、主走査断面内で上記主走査方向の非円弧形状とは異なる曲線となるように、副走査断面内の曲率半径を主走査方向に変化させた面を用いることで、主走査方向、副走査方向共に像面湾曲を良好に補正することが可能である。
走査光学系の少なくともポリゴンミラーに最も近い走査レンズ(複数の光ビームで共用する走査レンズ)において、前記説明と同様の効果を得るために、ポリゴンミラーの偏向反射面の法線に対し角度を持つ光ビームの通過位置は、同レンズの光軸に対しチルト偏芯した面、もしくは、像高に応じてチルト偏芯の角度が異なる特殊なチルト偏芯面とする。チルト偏芯面、特殊なチルト偏芯面の効果については、前述した効果と同じである。
複数の光ビームは、ポリゴンミラーから副走査方向に離隔するように、共用する走査レンズに入射するため、前記特殊なチルト偏芯面は、図4(a)に示すように、ポリゴンミラー14に最も近い走査レンズL1の射出面側にあることが望ましい。これは、互いに異なる被走査面に向かいかつ副走査方向に隣接する光ビームの間隔がなるべく離れていることが、そのレンズ面の加工上必要であるためである。ポリゴンミラーの偏向反射面の法線に対する角度を小さくし、かつ副走査方向に隣接する光ビームが分離されていることが、光学性能上の課題と加工上の課題を両立するために必要である。
副走査方向に隣接しかつ異なる被走査面に向かう複数の光ビームの間隔を広げるためには、ポリゴンミラーの偏向反射面における各光ビームの反射点を副走査方向に大きく離すか、ポリゴンミラーの偏向反射面の法線に対する角度を大きくする必要がある。しかし、前者の場合はポリゴンミラーが大型化しコストが高くなり、また、風損の影響により高速化に不向きになる。一方、後者の場合は、前に説明したように波面収差の劣化や走査線曲がりの量が大きくなり、良好な結像性能が得られなくなる。このため、前記のように、ポリゴンミラー14に最も近い走査レンズL1の射出面側を偏芯面とすることが望ましい。
また、本実施例のように、偏向反射面に水平な光ビームと副走査方向に角度を持つ光ビームを、最も光偏向器に近い走査レンズで共用した場合において、偏向反射面に対し副走査方向に角度を持つ光ビームの通過位置を特殊なチルト偏芯面としているが、特殊なチルト偏芯面の副走査方向の中心(前記「数1」の光軸)での主走査形状は、偏向反射面に水平な光ビームと同一(つまり特殊なチルト偏芯面のチルト偏心量を0とした場合、偏向反射面に水平な光ビームと角度を持つ光ビームの通過位置の副走査断面は平面となる)である。よって、光偏向器等の発熱の影響により、走査レンズの主走査方向に温度分布を持った場合においても、屈折力変化はほぼ同一である。そのため、すべての被走査面での主走査方向のビームスポット位置ずれ量は同一になり、連続プリント時の色味の変化、色ずれの発生を抑制することができる。なお、厳密には、共用レンズを斜めに通過する光ビームと水平に通過する光ビームでレンズ内の光路長は異なるが、非常に小さな差であるから、被走査面での主走査ビームスポット位置ずれへの影響は極めて小さい。
前記説明では、特殊なチルト偏芯面の式の中心を、像高0に向かう斜入射される光ビームの通過位置としており、水平入射部の面と主走査方向の形状が一致している。しかし、これに限定するものではなく、例えば水平入射部の面と特殊なチルト偏芯面のつなぎ目に式の原点をおくことで、水平入射部の面(副に平面)と特殊なチルト偏芯面で副走査方向に光軸方向の段差が無くなり成形に有利となる。このように、特殊なチルト面の効果が変わらずに得られれば、式の原点の位置は限定されるものではない。
ただし、この時水平入射面と特殊なチルト偏芯面で主走査形状が若干異なるが、走査レンズL2を個別に設けることで、光学性能の変化は吸収可能となる。
また、上記複数の光ビームで共用される走査レンズを一体的に成形することで、低コストで、かつ、ポリゴンミラーの偏向反射面の法線に対する光ビームの入射角度を小さくした走査光学系を実現することができる。上記走査レンズを副走査方向に分割し、重ね合わせても、偏芯面とすることによって同様の効果は得られるが、走査レンズの枚数が増大することによってコストアップの要因となる。
また前記走査レンズを共有しない場合、異なる光源装置からの光ビーム毎、つまり異なる感光体に向かう光ビーム毎に対応する走査レンズを副走査方向に並べて配置する必要がある。対向走査方式では少なくとも2段重ね、片側走査方式においては4段重ねが必要となる。この時、各走査レンズは、各光束に対応するレンズ面の有効範囲外にリブが必要となり、副走査方向に隣り合う光ビーム間の距離が離れ斜入射角が増大し、光学性能の劣化が大きくなってしまう。斜入射角を変えずに隣り合う光ビームの間隔を広げるためには、走査レンズを光偏向器から遠ざける必要があり、特に主走査方向に置いては屈折力をあげる必要があるためレンズの肉厚が厚くなり、走査レンズが大型化しコストアップとなってしまう。
さらに、重ねるレンズの固定のための接着工程、精度良い位置決めなど、組み付けにおける課題も生じてしまう。
さらに、前記チルト偏芯面もしくは特殊なチルト偏芯面を用いた面の副走査方向の形状は、ポリゴンミラーの反射面の法線に水平で、ポリゴンミラーにより反射偏向された複数の光ビームの副走査方向中心を含む面に対し、鏡面対称であることが望ましい。
図4(b)は、図4(a)の走査レンズ部分の拡大図である。図中平面部L1aは特殊なチルト偏芯面を含まない形状式で与えられる面で、図中L1bとL1cは特殊なチルト偏芯面を含む形状式で与えられる面で構成される。さらに、斜入射角の絶対値が同じで符号が異なる光ビームが通過する。L1bとL1cの面は、特殊なチルト偏芯面、つまり数式のF項の符号が反転した面となる。すなわち、同レンズは、副走査方向に鏡面対象となる基準面(A)を持つ。
ポリゴンミラーの反射面の法線に水平で、ポリゴンミラーにより反射偏向された複数の光ビームの副走査方向中心を含む面に対し、対称に入射させることで、前記チルト偏芯面や特殊なチルト偏芯面の形状は鏡面対称にすればよく、設計時の効率を上げることができる。また、主走査方向に対称な形状であれば、同一のレンズを反転して使用することも可能である。
ここでいう鏡面対象とは、ポリゴンミラーにて偏向反射された以降の折返しミラーを全て省略した状態で、ポリゴンミラーの反射面の法線に水平で、ポリゴンミラーにより反射偏向された複数の光ビームの副走査方向中心を含む面(鏡面対象となる基準面)に対するものである。
図9、図10は、本発明にかかる光走査装置の別の実施例を示す。この実施例は、図1、図4に示す実施例に対応しており、光源からの光束が走査光学系の光軸と平行な方向に射出され、シリンドリカルレンズ13の後ろに配置されたミラー18によって、光源装置からの光束が、光偏向器であるポリゴンミラー14の偏向反射面の法線に対し副走査方向に角度を持って入射するように構成されている点が図1、図4に示す実施例と異なっている。また、前記実施例における第1走査レンズL1への斜め入射角度が2.0°であったのに対し、この実施例における第1走査レンズL1への斜め入射角度が2.4°である点が異なっている。その他の構成は前記実施例の構成と同じで、走査光学系の面に特殊なチルト偏芯面を採用し、波面収差および走査線曲がりを良好に補正することを可能にしている。
上記「特殊なチルト偏芯面」の定義は前述のとおりであり、レンズ面の面形状は前述の「数1」に示す形状式によって表すことができる。この式によって表される特殊なチルト面における「副走査断面形状のチルト量が主走査方向に変化する状態」の一例は、図2に示すとおりである。
特殊なチルト偏芯面の副走査方向の面形状は、曲率を持たない平面形状とすることで、色ずれを低減することができる。
さらに、副走査方向の像面湾曲を良好に補正するために、像高に応じて副走査方向の曲率が変化する面を、走査光学系に少なくとも1面含むことが望ましい。
上記特殊なチルト偏芯面は曲率を持たない面であり、副走査方向に集光する作用を持たない。そこで、像高に応じて副走査方向の曲率が変化する面(以下特殊なトロイダル面)を用いることで、特殊なチルト偏芯面を、波面収差補正、走査線曲がり補正のために複数面用いた場合においても、レンズ枚数を増加させることなく、効率的に各像高における像面湾曲を補正可能となる。
従来の水平入射方式に対し、副走査方向に斜入射させる本発明の方式では、光束が走査レンズにねじれて入射することで、波面収差も増大する。特に周辺の像高で光学性能が著しく劣化し、ビームスポット径が太ってしまい、高画質化を妨げる要因となる。走査レンズ入射面の主走査方向の形状が、偏向反射面の光ビーム反射点を中心とする円弧形状でない限り、像高により光偏向器の偏向反射面から走査レンズ入射面までの距離は異なる。通常、走査レンズを前述の形状にすることは、光学性能を維持する上で困難である。つまり、通常の光ビームは、光偏向器により偏向走査され、各像高にて主走査断面において、レンズ面に対し垂直入射することはなく、ある入射角を持って入射する。
光偏向器により偏向反射された光ビームの光束は、主走査方向にある幅を持っており、光束内で主走査方向の両端の光ビームは、光偏向器の偏向反射面から走査レンズ入射面までの距離が異なり、副走査方向に角度を持って斜入射されているため、走査レンズにねじれた状態で入射することになる。この結果、波面収差が著しく劣化し、ビームスポット径が太る。図9に示すように、主走査方向の入射角は、周辺像高に行くほどきつくなって、光束のねじれは大きくなり、図12に示すように、周辺に行くほど波面収差の劣化によるビームスポット径の太りは大きくなる。
そこで、本発明では、特殊なチルト面において、光軸から主走査方向に離れるに従い、偏心量が増加する面形状とすることが望ましい。光軸近傍、つまり中央像高付近における光ビームは、レンズ面にほぼ垂直に入射するため、光ビームが副走査方向に角度を持つことによる波面収差の劣化は小さい。図12に示す波面収差補正前のビームスポット径においても明らかである。そこで、光軸から主走査方向に離れるに従い偏心量を増加させ、光束のねじれによる波面収差劣化を補正させることで、良好な光学性能、ビームスポット径を得ることができる。
また、波面収差の劣化は、特に副走査方向に強い屈折力を持つ走査レンズへの入射時に、光束がねじれることにより大きく発生する。
図18は、特殊なチルト偏芯面を用いずに、従来の走査光学系に斜入射させたときの副走査断面での光線の光路図を示す。図に示す光線は、カップリングレンズ通過後に配置されているアパーチャの副走査方向中心、主走査方向両端の2本の光線である。また、レンズL2は副走査方向に強い屈折力を持ち、レンズL1は副走査方向にほぼ屈折力を持たない。
さらに、図中仮想面とは、実際には存在しない面であり、図中においてL2をL1と水平に配置させるための仮想ミラー面である。
図18から明らかなように、光偏向器としてのポリゴンミラーで反射された各光ビームは、走査レンズに副走査方向に高さを異ならせて入射する。中心像高においては、走査レンズにほぼ垂直に入射するため、各光ビームは副走査方向に高さを異ならせることなく走査レンズに入射している。このため、波面は劣化せず、良好なビームスポット径を保つことができる。一方、周辺像高(ここでは、被走査面上の+150mmの位置に到達する光束)では、ポリゴンミラーから走査レンズまでの光路長の違いにより、副走査方向に入射高さが異なっている。このため、被走査面上では各光ビームは一点に集まらず、つまり波面収差が劣化している状態になり、ビームスポット径が劣化している。
また、被走査面上で像高0に向かう光束と、像高+150mmに向かう光束が副走査方向で一致していない。これは走査線曲がりを意味し、副走査方向に強い屈折力を持つL2までの光路長の差により、周辺像高に向かう光束が中心像高に向かう光束に対し、副走査方向に強い屈折力を持つL2の光軸上より副走査方向に高さを持って入射していることにより発生している。また、ポリゴンミラーのサグにより、反射点が副走査方向にずれていることも影響している。
波面収差を補正するには、前記副走査方向に強い屈折力を持つ走査レンズへの入射高さを補正し、被走査面上で一点に集光させる必要がある。そこで、波面収差の補正を行うために用いる特殊なチルト偏芯面は、最も副走査方向に強い屈折力を持つ走査レンズ、つまり走査光学系を構成する走査レンズの中で副走査方向の屈折力が最も強い走査レンズより、光偏向器側の走査レンズに設けることが望ましい。
図19に、特殊なチルト偏芯面による波面収差、走査線曲がり補正後の光路図を示す。L1の第2面に特殊なチルト偏芯面を採用し波面収差の補正を行っている。L2への入射高さを高くし、光束内の主走査方向両端の光ビームについても、周辺に行くほど副走査方向に強い屈折力を持つL2への副走査方向の入射高さを高くしている。
通常、ポリゴンミラーの偏向反射点を中心として主走査方向で同心円上になるように、走査レンズのレンズ面を形成することは、所望の光学性能を確保するためには難しい。このため、光偏向器としてのポリゴンミラーにて偏向反射された光ビームは、周辺に行くほど、光偏向器の偏向反射面の法線に対し副走査方向に角度を持つ方向に高く、走査レンズに入射する。つまり、図18の光路図に示すように、偏向反射面にて光ビームが跳ね上げられた場合、走査レンズの入射面では、周辺像高に行くほど走査レンズの上部(L2で像高0の光ビーム通過位置を光軸としたとき、+150mm像高では副走査方向の高さでプラス側)を光ビームが通過する。
特殊なチルト偏芯面で波面収差を補正する場合、L2への入射高さを高くし、光束内の主走査方向両端の光ビームについても、周辺に行くほど副走査方向に強い屈折力を持つL2への副走査方向の入射高さを高くすることで補正可能となる。つまり、最も副走査方向に強い屈折力を持つ走査レンズより光偏向器側の走査レンズに、光偏向器の偏向反射面の法線に対し副走査方向に角度を持つ光ビームに対し、周辺に向かいより前記法線に対する角度を大きくするように特殊なチルト面を形成し、副走査方向に強い屈折力を持つ走査レンズへの副走査方向の入射位置を調整することで、波面収差の劣化を補正可能となる。
従来の水平入射方式に対し、副走査方向に斜入射させる本方式では、走査線曲がりが発生する。また、斜入射角によりその発生量は異なり、斜入射角が大きくなれば、走査線曲がり量も増大する。各光ビームで感光体に描かれた潜像を各色トナーにより可視化した場合、色ずれとなり、画像品質を著しく低下させる。前述の実施例6で説明した特殊なチルト偏芯面による補正前の光路図(図18)においても、周辺像高と中心像高で被走査面上の副走査の位置が異なっていることがわかる。
光偏向器としてポリゴンスキャナを用い、偏向反射面に対し副走査方向に角度を持ち光ビームを入射させた場合、「サグ」の影響により、角像高に向かう光ビームの光偏向器の変更反射面上の反射位置は、副走査方向に変化する(主走査方向、光ビームの進行方向にもずれる)。そのため、走査レンズ、特に副走査方向に強い屈折力を持つ走査レンズへの副走査方向の入射高さが変化し、被走査面上の結像位置も像高により副走査方向に変化することとなり、走査線曲がりが発生する。
サグにより発生する走査レンズ、特に副走査方向に強い屈折力を持つ走査レンズへの入射高さの変化は、光偏向器から走査レンズ入射面までの光路長が長くなる周辺像高に行くほど大きくなり、被走査面上での副走査方向のずれ量も中心像高から周辺像高に向かうほど大きくなる。
本発明によれば、特殊なチルト偏芯面の使用により、主走査方向、つまり各像高における像点位置を副走査方向に補正し、走査線曲がりの補正を可能としている。走査線曲がりおよび波面収差の発生を小さくするために、斜入射角を小さくする場合、既に説明したとおり、光偏向器としてのポリゴンミラーの偏向反射面に入射する光ビームは、走査レンズに干渉させないように主走査方向に角度を持って入射させる。この結果、ポリゴンミラーにより発生する「光学的サグ」は、中心すなわち走査レンズの光軸に対して左右対称とはならない。つまり、走査線曲がりの発生も左右非対称に発生することとなる。
そこで、光軸を中心として主走査方向に非対称に偏心量が変化する特殊なチルト偏芯面を用いることで、上記走査線曲がりを良好に補正することが可能となる。特に、走査線曲がりを主に補正する上記特殊なチルト偏芯面は、最も被走査面に近い走査レンズに用いることが望ましい。被走査面に近い走査レンズでは、各像高に向かう光ビームがより分離されており、隣り合う光ビームの重なりが小さい。このため、特殊なチルト偏芯面の偏心量を細かく設定可能で、走査線曲がりの補正を良好に補正することが可能となる。
なお、特殊なチルト偏芯面は、最も被走査面側の走査レンズに使用することが望ましい。実施例6で説明したように、波面収差補正される光ビームの走査位置を最終レンズで補正することができる。このときの特殊なチルト偏芯面の像高方向のチルト量の変化は、比較的なだらかであり波面収差への影響は小さいため、補正後の光束を大きくスキューさせて波面を乱すことはない。
以上、説明してきたように、光偏向器に近い走査レンズ(少なくとも副走査方向に強い屈折力を持つ走査レンズより光偏向器側の走査レンズ)の特殊なチルト偏芯面で波面収差補正を行い、被走査面に近い走査レンズ(副走査方向に強い屈折力を持つ走査レンズ)の特殊なチルト偏芯面で走査線曲がり補正を行うように、それぞれの補正機能を分離することで、ビームスポット径の更なる小径化と走査線曲がりの低減を達成可能となる。
もちろん、完全に機能分離させなけばならないわけではなく、それぞれの特殊なチルト偏芯面で、波面収差補正の一部、走査線曲がり補正の一部を受け持っても良いことは言うまでもない。
以上説明してきたように、本発明によれば、斜入射による波面収差と走査線曲がりの補正を少なくとも2枚の走査レンズで達成できる。
以上の説明から明らかなように、光束を、偏向反射面に対し副走査方向に角度を持って入射させることによる波面収差の劣化は、光軸近傍ではほとんど発生せず、発生しても非常に小さい。このため、本発明で用いる特殊なチルト偏芯面において、光軸上における偏心量はゼロ(つまり偏芯していない)とすることができる。従来、レンズもしくはレンズ面をチルト偏芯させ、波面収差の補正や走査線曲がりを補正する場合、中央像高近傍においては、その性能を劣化させ、周辺像高とのバランスを取っていた。しかし、本発明によれば、レンズもしくはレンズ面を偏芯させる必要が無く、良好な光学性能の補正が可能となる。
図1、図9に示す例において、走査光学系を構成するレンズの中で、偏向手段としてのポリゴンミラー14に最も近い走査レンズL1は、異なる被走査面に向かう複数の光ビームが通過する構成となっている。すなわち、各光ビームによって走査レンズL1を共用している。このため、異なる被走査面間での色ずれや色味による画像劣化を抑制することができる。偏向手段に最も近い走査レンズL1は、主走査方向に強い正の屈折力を持ち、等速性を補正している。本レンズに、異なる被走査面に向かう複数の光束を通過させることで、走査レンズの加工ばらつきによる主走査方向のビームスポット位置ずれが、異なる被走査面でほぼ同一となり、色ずれの発生を抑制することができる。
次に、本発明に係る光走査装置を用いた画像形成装置の一実施の形態を、図16を参照しながら説明する。本実施の形態は、本発明に係る光走査装置をタンデム型フルカラーレーザプリンタに適用した例である。図16において、装置内の下部側には水平方向に配設された給紙カセット21から給紙される転写紙(図示せず)を搬送する搬送ベルト22が設けられている。この搬送ベルト22上にはイエローY用の感光体3Y,マゼンタM用の感光体3M,シアンC用の感光体3C及びブラックK用の感光体3Kが、転写紙の搬送方向上流側から順に等間隔で配設されている。なお、以下、符号に対する添字Y,M,C,Kを適宜付けて区別するものとする。これらの感光体3Y,3M,3C,3Kは全て同一径に形成されたもので、その周囲には、電子写真プロセスにしたがって各プロセスを実行するプロセス部材が順に配設されている。感光体3Yを例に採れば、帯電チャージャ4Y、光走査光学系5Y、現像装置6Y、転写チャージャ7Y、クリーニング装置8Y等が順に配設されている。他の感光体3M,3C,3Kに対しても同様である。即ち、本実施の形態では、感光体3Y,3M,3C,3Kの表面を各色毎に設定された被走査面ないしは被照射面とするものであり、各々の感光体に対して光走査光学系5Y,5M,5C,5Kが1対1の対応関係で設けられている。但し、走査レンズL1は、M,Yで共通使用し、また、K,Cで共通使用している。また、搬送ベルト22の周囲には、感光体3Yよりも上流側に位置させてレジストローラ39と、ベルト帯電チャージャ40が設けられ、感光体3Kよりもベルト22の回転方向下流側に位置させてベルト分離チャージャ31、除電チャージャ32、クリーニング装置33等が順に設けられている。また、ベルト分離チャージャ31よりも転写紙搬送方向下流側には定着装置34が設けられ、排紙トレイ35に向けて排紙ローラ36で結ばれている。
このような概略構成において、例えば、フルカラーモード(複数色モード)時であれば、各感光体3Y,3M,3C,3Kに対してY,M,C,K用の各色の画像信号に基づき各々の光走査装置5Y,5M,5C,5Kによる光ビームの光走査で、各感光体表面に、各色信号に対応した静電潜像が形成される。これらの静電潜像は各々の対応する現像装置で色トナーにより現像されてトナー像となり、搬送ベルト22上に静電的に吸着されて搬送される転写紙上に順次転写されることにより重ね合わせられ、転写紙上にフルカラー画像が形成される。このフルカラー像は定着装置34で定着された後、排紙ローラ36により排紙トレイ35に排紙される。
上記画像形成装置の光走査光学系5Y,5M,5C,5Kを、前述の実施形態に係る光走査装置とすることで、走査線曲がりと波面収差の劣化を有効に補正し、色ずれが無く、高品位な画像再現性が確保できる画像形成装置を実現することができる。
ここまで、片側走査方式の光走査装置の実施例を上げ説明してきたが、例えば、図17に示すような対向走査方式の光走査装置においては、ポリゴンミラー14の偏向反射面において、複数の光ビームを副走査方向に所定の間隔を持たせる必要がない。つまり、左右共に2つずつの被走査面(感光体)に向かう光ビームをそれぞれポリゴンミラー14の偏向反射面の法線に対し副走査方向に角度を持たせ斜入射させることで、ポリゴンミラーの偏向反射面を形成する多面体を一段で、かつ、副走査方向の厚みを低減でき、回転体としてのイナーシャを小さくでき起動時間を短くできる。図17において、符号100は半導体レーザなどからなる光源を含む光源装置を、L1は結像光学系を構成する第1のレンズ系を、110は上記感光体を示す。また、従来の対向走査方式における2段化されたポリゴンミラーに対し、コストダウンが可能である。このとき、ポリゴンミラーの偏向反射面の法線に対する光ビームの副走査方向の角度は、図8に示すように、斜入射を用いる光学系としては最も小さく設定することができる。
図8(a)は、斜入射させない従来方式のレイアウトであり、分離に必要な間隔Zを得るために2段化されたポリゴンミラー14を使用している。(b)は、斜入射を用いて1段のポリゴンミラー14とした例で、前述した片側走査方式での光線レイアウトを波線、斜入射角をβs2とすると、対向走査方式では、実線で示す如く斜入射角をβs1と小さく設定可能となる。
この結果、前述した本発明のチルト偏芯面、特殊なチルト偏芯面を用いることで良好な光学性能を低コストで得ることができる。チルト偏芯面、特殊なチルト偏芯面の使用方法(採用場所)、効果については、前述した通りである。
本発明に係る光走査装置において、光源を、例えば、複数の発光点を有する半導体レーザアレイや、単数の発光点もしくは複数の発光点を有する光源を複数用いたマルチビーム光源装置とし、複数の光ビームを感光体表面に同時に走査するように構成するとよい。こうすることにより、高速化、高密度化を図った光走査装置および画像形成装置を構成することができ、かかる光走査装置および画像形成装置を構成した場合も、これまで説明してきた効果と同様の効果を得ることができる。図14はマルチビーム光源装置を構成する光源ユニットの例を示す。
図14(a)において、半導体レーザ403、404は各々ベース部材405の裏側に形成した図示しない嵌合孔405−1、405−2に個別に嵌合されている。上記嵌合孔405−1、405−2は主走査方向に所定角度、実施例では約1.5°の微小角度で傾斜していて、この嵌合孔に嵌合された半導体レーザ403、404も主走査方向に約1.5°傾斜している。半導体レーザ403、404は、その円筒状ヒートシンク部403−1、404−1に切り欠きが形成されていて、押え部材406、407の中心丸孔に形成された突起406−1、407−1を上記ヒートシンク部の切り欠き部に合わせることによって発光源の配列方向が合わせられている。押え部材406、407はベース部材405にその背面側からネジ412で固定されることにより、半導体レーザ403、404がベース部材405に固定されている。また、コリメートレンズ408、409は各々その外周をベース部材405の半円状の取り付けガイド面405−4,405−5に沿わせて光軸方向の調整を行い、発光点から射出した発散ビームが平行光束となるよう位置決めされ接着されている。
なお、上記実施例では、各々の半導体レーザからの光線が主走査面内で交差するように設定するため、光線方向に沿って嵌合孔405−1、405−2および半円状の取り付けガイド面405−4,405−5を傾けて形成している。ベース部材405の円筒状係合部405−3をホルダ部材410に係合し、ネジ413を貫通孔410−2に通してネジ孔405−6、405−7に螺合することによって、ベース部材405がホルダ部材410に固定され、光源ユニットを構成している。
上記光源ユニットのホルダ部材410は、その円筒部410−1が光学ハウジングの取り付け壁411に設けた基準孔411−1に嵌合され、取り付け壁411の表側よりスプリング611を挿入してストッパ部材612を円筒部突起410−3に係合することで、取り付け壁411の裏側に密着して保持され、これによって上記光源ユニットが保持されている。スプリング611の一端を取り付け壁411の突起411−2に引っ掛け、スプリング611の他端を光源ユニットに引っ掛けることで、光源ユニットに円筒部中心を回転軸とした回転力を発生している。この光源ユニットの回転力を係止するように設けた調節ネジ613を具備していて、この調節ネジ613により、光軸の周りであるθ方向にユニット全体を回転しピッチを調節することができるように構成されている。光源ユニットの前方にはアパーチャ415が配置され、アパーチャ415には半導体レーザ毎に対応したスリットが設けられ、光学ハウジングに取り付けられて光ビームの射出径を規定するように構成されている。
図14(b)は、光源ユニットの第2の実施形態を示す。図14(b)において、4個の発光源を持つ半導体レーザ703からの各光ビームは、ビーム合成手段を用いて合成するように構成されている。符号706は押え部材、705はベース部材、708はコリメートレンズ、710はホルダ部材をそれぞれ示している。この実施の形態では光源としての半導体レーザ703は1個であり、これに応じて押え部材706が1個である点が図14(a)に示す実施の形態と異なっており、他の構成は基本的に同じである。
図14(c)は、図14(b)に示す例に準じる構成のものであって、4個の発光源を持つ半導体レーザアレイ801からの光ビームを、ビーム合成手段を用いて合成する例を示している。基本的な構成要素は図14(a)(b)と同様であるから、ここでは説明を省略する。
さらに、図15に示すように、半導体レーザから射出される全ての光ビームをポリゴンミラー1403の偏向反射面近傍で主走査方向において交差させるのが望ましい。符号D1は、半導体レーザ101から射出した光ビームが被走査面1407においてある像高に到達する際のポリゴンミラー1403の反射面を表しており、D2は半導体レーザ102から射出した光ビームが被走査面1407において同像高に到達する際のポリゴンミラー1403の反射面を表している。各々の光ビームはポリゴンミラー1403に入射するときに、相対的なある角度差Δα分だけ分離されている。従って、同像高に到達するための反射面に上記角度差分だけ時間的な遅れ、すなわち、D1とD2の角度差に見合った時間的な遅れが生じる。
図15(a)の場合は、2つの光ビームはかなり異なった光路を通って偏向反射面の互いに異なる位置で偏向反射され、図15(b)の場合は、偏向反射面の同一位置で交叉して、偏向反射されて後は全く同じ光路を通っている。光ビームが各光学素子の異なる位置を通過してくると、当然異なる光学作用を受けるから、被走査面上で主走査方向の同じ像高に達する2つの光ビームの収差等の光学特性は違ったものとなり、特に走査線ピッチの像高間変動に対する影響は非常に大きい。
そこで、図15(b)のように、ポリゴンミラー1403の反射面近傍で2つの光ビームを交差させることにより、被走査面上の主走査方向の同一像高に達するときに、光学素子の主走査方向のほぼ同じ光路を通るようになり、走査線曲がりを効果的に低減することができる。また、ポリゴンミラーより像面側の各部品ばらつきによる各光ビーム間の主走査方向書込位置変動は、全ての光ビームでほぼ同量となり、各ビーム間での主走査方向書込位置ずれは抑えられる。さらに、同じ像高へ結像する全ての光ビームを、走査光学系の主走査方向のほぼ同じ位置を通過させることにより、走査光学系を構成するレンズの収差の影響を小さく抑え、かつ、主走査方向の結像位置は各ビームとも精度良く合致させることができ、同期検知後全ての光ビームに共通に遅延時間を設定しても、書き込み始めの像高での主走査方向の位置ずれを抑えることが可能となる。また、図15(b)のように構成することにより、ポリゴンミラー1403の内接円半径を最小にすることができる。半導体レーザアレイを一つ使うマルチビーム光源装置については、本説明の範疇ではない。
以上、マルチビームについて例を挙げ説明した。異なる被走査面に向かう光ビームをポリゴンミラーの同一の反射面で偏向する場合、各光ビームをポリゴンミラー1403の偏向反射面近傍で主走査方向において交差させるように構成してもよい。こうすることで、前述の効果と同様の効果が得られる。
次に、本発明の光走査装置に関する具体的な数値実施例を挙げる。
(数値実施例1)
光源として用いられる半導体レーザは発光波長:655nmのもので、放射される発散性の光束はカップリングレンズ(焦点距離:15mm)により「実質的な平行光束」に変換され、シリンドリカルレンズ(焦点距離:96mm)の作用により、ポリゴンミラーの偏向反射面の位置に「主走査方向に長い線像」として結像する。ポリゴンミラーは、偏向反射面数:6で内接円半径:18mmのものである。また、ポリゴンミラーへは、副走査方向に2°で斜めに入射され、主走査方向においては像高0に向かう光束に対し約60°で入射されている。カップリングレンズから射出された光束を規制するアパーチャは、主走査方向に6.4mm、副走査方向に0.9mmの矩形アパーチャを用いる。「表1」はこの光走査装置における走査結像光学系のデータを示す。面番号1、2で示されるレンズL1は、偏向反射面に平行に配置され(レンズに光束は2°で斜め入射される)、面番号3、4で示されるレンズL2は、レンズの光軸と入射光束を一致させて配置(レンズに光束が斜め入射されないように2°傾けて配置されている)している。
数値実施例において、水平入射の走査レンズにおいては、特殊なチルト偏芯面をチルト偏芯させない副走査方向に曲率を持たない平面とし、主走査形状は数値実施例同一とすることで所望の光学特性を満足することができる。また、数値実施例の走査レンズL1の特殊なチルト偏芯面の式の原点は、像高0に向かう光ビームの同面通過位置で、かつ、偏向反射面の法線に水平な位置とする。走査レンズL2においては、同じく像高0に向かう光ビームの同面通過位置とする。以下、数値実施例も同様とする。
表1は、走査結像光学系のデータを示す。表1において「X」は、各面がポリゴンミラーの回転軸に垂直な面に投影したときの光軸方向(レンズL1の光軸方向になる)の距離を示す。
Figure 0005168753

*の各面は、主走査方向の形状が非円弧形状であり、副走査方向は平面となっている。
レンズ面形状は、次の「数2」式で与えられる。さらに、2面、3面は、特殊なチルト偏芯面である。

Figure 0005168753

但し、 Cm= 1 / RY 、 Cs(Y) = 1 / RZ とする。
**の各面は、主走査方向の形状が非円弧形状であり、副走査方向の曲率半径は、レンズ高さにより連続的に変化する。各面形状は、上記式にて与えられる。但し、Cs(Y)は、下の「数3」式による。

Figure 0005168753
本実施例の非球面係数は以下に示す「表2」の通りである。

Figure 0005168753
なお、本光学系において、厚さ1.9mmの防音ガラス(屈折率1.5143)を挿入し、防音ガラスは8degだけ偏向面内で傾けて配置している。
本実施の形態では、特殊なチルト偏芯面の採用により、走査線曲がりが174μmから1μmに補正されている。
上記数値実施例における特殊なチルト偏芯面のチルト量の、像高間での変化を図5に示す。図5(a)はポリゴンミラーに最も近い走査レンズの第2面の傾きを、図5(b)は被走査面側の走査レンズの第1面の傾きを示す。傾きの符号は、偏向反射面に斜め入射する角度の方向により反転する。
図6は、チルト偏芯面、特殊な偏芯チルト面を用いる前と後の被走査面上でのビームスポット径を示す。波面収差が良好に補正され、ビームスポット径が良好に絞られていることがわかる。
図7は、本発明にかかる光走査装置の実施例における光学特性を示すもので、(a)に主走査方向と副走査方向の像面湾曲を、(b)にfθ特性、リニアリティの収差図を示す。図7から明らかなように、光学性能は良好に補正されている。
(数値実施例2)
表3は、走査結像光学系のデータを示す。表3において「X」は、各面がポリゴンミラーの回転軸に垂直な面に投影したときの光軸方向(レンズL1の光軸方向になる)の距離を示す。前記数値実施例1と異なって、この数値実施例では、ポリゴンミラーの偏向反射面に対し光束が2.4°で斜めに入射される点が異なり、その他の光学部品のデータは数値実施例1の場合と同じである。
Figure 0005168753
*の各面は、主走査方向の形状が非円弧形状であり、副走査方向は平面となっている。
レンズ面形状は、前述の数2の式で与えられる。2面、3面は、特殊なチルト偏芯面である。
本実施例における非球面係数を、表4に示す。

Figure 0005168753
本数値実施例の光学系においては、厚さ1.9mmの防音ガラス(屈折率1.5143)を挿入し、防音ガラスは8degだけ偏向面内で傾けて配置している。本実施例では、特殊なチルト偏芯面の採用により、走査線曲がりが174μmから1μmに補正されている。
上記数値実施例における特殊なチルト偏芯面のチルト量の、像高間での変化を図11に示す。図11(a)はポリゴンミラーに最も近い走査レンズの第2面の傾きを、図11(b)は被走査面側の走査レンズの第1面の傾きを示す。傾きの符号は、偏向反射面に斜め入射する角度の方向により反転する。
図12は、数値実施例2において、特殊な偏芯チルト面を用いる前と後の被走査面上でのビームスポット径を示す。波面収差が良好に補正され、ビームスポット径が良好に絞られていることがわかる。
図13は、本発明にかかる光走査装置の実施例における光学特性を示すもので、(a)に主走査方向と副走査方向の像面湾曲を、(b)にfθ特性、リニアリティの収差図を示す。図13から明らかなように、光学性能は良好に補正されている。
(数値実施例3)
表5は、走査結像光学系のデータを示す。表5において「X」は、各面がポリゴンミラーの回転軸に垂直な面に投影したときの光軸方向(レンズL1の光軸方向になる)の距離を示す。
Figure 0005168753
*の各面は、主走査方向の形状が非円弧形状であり、副走査方向は平面となっている。
レンズ面形状は、前述の数2の式で与えられる。2面、3面は、特殊なチルト偏芯面である。
本実施例における非球面係数を、表6に示す。
Figure 0005168753
本数値実施例の光学系においては、厚さ1.9mmの防音ガラス(屈折率1.5143)を挿入し、防音ガラスは8degだけ偏向面内で傾けて配置している。本実施例では、特殊なチルト偏芯面の採用により、走査線曲がりが174μmから1μmに補正されている。
図20は、数値実施例3において、特殊な偏芯チルト面を用いる前と後の被走査面上でのビームスポット径を示す。波面収差が良好に補正され、ビームスポット径が良好に絞られていることがわかる。
図21は、本発明にかかる光走査装置の実施例における光学特性を示すもので、(a)に主走査方向と副走査方向の像面湾曲を、(b)にfθ特性、リニアリティの収差図を示す。図21から明らかなように、光学性能は良好に補正されている。
本発明では、回転多面鏡の偏向反射面の法線に対し副走査方向に角度を持つ光ビームを斜め入射として扱っている。実施例の図においては、偏向反射面とポリゴンミラーの回転軸は平行な場合で説明しているが、例えば、回転多面鏡の偏向反射面が回転軸に直交する面に対し傾いている場合も同様に偏向後の光ビームは副走査方向に角度を持つ。したがって、偏向反射面の法線に対し角度を持ち入射される光ビームについては、本発明と同様の効果が得られるので、本発明の範疇である。
本発明に係る光走査装置は、デジタル複写機、レーザプリンタ、レーザファクシミリなどの画像形成装置においてその露光装置として用いることができる。また、かかる光走査装置を用いたデジタル複写機、レーザプリンタ、レーザファクシミリなどの画像形成装置として提供することができる。
本発明にかかる光走査装置の実施の1形態を説明するための図で、(a)は主走査対応方向から見た平面図、(b)は副走査対応方向から見た正面図である。 本発明に用いられる特殊なチルト面において副走査断面形状のチルト量が主走査方向に変化する状態の1例を示すグラフである。 光偏向手段への光ビームの各種入射形態を副走査対応方向から示す概略図である。 (a)は複数の光ビームで共用される走査レンズに特殊なチルト偏芯面を形成した例を副走査対応方向から示す概略図、(b)は走査レンズ部分の拡大図である。 特殊なチルト偏芯面におけるチルト量の像高間での変化の例を示すもので、(a)はポリゴンミラーに最も近い走査レンズの第2面の傾きを、(b)は被走査面側の走査レンズの第1面の傾きを示す線図である。 上記実施の1形態において、走査レンズにチルト偏芯面、特殊なチルト偏芯面を用いる前と後の被走査面上でのビームスポット径を示す線図である。 本発明にかかる光走査装置の実施例における光学特性を示すもので、(a)は主走査方向と副走査方向の像面湾曲を、(b)はfθ特性、リニアリティを示す収差図である。 ポリゴンミラーの偏向反射面の法線に対する光ビームの副走査方向の角度の例を示すもので、(a)は従来例を、(b)は本発明に適用される例を、副走査対応方向から見た正面図である。 本発明にかかる光走査装置の別の実施形態を示すもので、(a)は主走査対応方向から見た平面図、(b)は光偏向器より後ろ側を副走査対応方向から見た正面図である。 同じく4ビーム構成の上記実施形態を副走査対応方向から見た正面図である。 上記別の実施形態において、特殊なチルト偏芯面におけるチルト量の像高間での変化の例を示すもので、(a)はポリゴンミラーに最も近い走査レンズの第2面の傾きを、(b)は被走査面側の走査レンズの第1面の傾きを示す線図である。 上記別の実施形態において、走査レンズにチルト偏芯面、特殊な偏芯チルト面を用いる前と後の被走査面上でのビームスポット径を示す線図である。 上記実施形態における光学特性を示すもので、(a)は主走査方向と副走査方向の像面湾曲を、(b)はfθ特性、リニアリティを示す収差図である。 マルチビーム光源装置を構成する光源ユニットの例を示すもので、(a)はその一例を、(b)は別の例を、(c)は光源部の例を示す斜視図である。 半導体レーザから光偏向器に向かって射出され、光偏向器によって偏向反射される光ビーム方向の各種の例を主走査対応方向から示す光路図である。 本発明に係る光走査装置を用いた画像形成装置の一実施の形態を概略的に示す正面図である。 本発明を適用することができる対向走査方式の光走査装置の二つの例を示す斜視図である。 特殊なチルト偏芯面を用いない従来の走査光学系に斜入射させたときの副走査断面での光線の光路図である。 特殊なチルト偏芯面を用いた本発明の光走査装置にかかる走査光学系による波面収差と走査線曲がりを補正した後の光路図である。 数値実施例3において、走査レンズにチルト偏芯面、特殊なチルト偏芯面を用いる前と後の被走査面上でのビームスポット径を示す線図である。 数値実施例3における光学特性を示すもので、(a)は主走査方向と副走査方向の像面湾曲を、(b)はfθ特性、リニアリティを示す収差図である。 特殊な面への入射光線が副走査方向にシフトした場合の射出光線の進路について示す図であり、(a)は特殊な面が副走査方向に屈折力を持つ場合、(b)は特殊な面が副走査方向に屈折力を持たない場合である。
符号の説明
10 光源としての半導体レーザ
11 カップリングレンズ
13 シリンドリカルレンズ
14 光偏向器としてのポリゴンミラー
15 偏向反射面
16 走査結像光学系
17 被走査面
L1 走査レンズ
L2 走査レンズ

Claims (24)

  1. 光源装置と、前記光源装置からの光ビームを偏向走査する光偏向器と、前記光偏向器で偏向された光ビームを被走査面に集光する走査光学系とを具備する光走査装置において、
    前記光源装置からの光ビームは、前記光偏向器の偏向反射面の法線に対し副走査方向に角度を持ち、
    前記走査光学系の少なくとも一面は、副走査方向に曲率を持たない面で構成され、かつ、光軸に直交する面に対するレンズ短手方向の傾き角であるチルト偏芯角度が主走査方向への光走査の位置に応じて異なるチルト偏芯面であり、
    前記チルト偏芯面より前記被走査面側に副走査方向にパワーを有する一面を備え、
    前記チルト偏芯面のチルト偏芯角度により前記副走査方向にパワーを有する一面への入射位置が変化することを特徴とする光走査装置。
  2. 請求項1記載の光走査装置において、チルト偏芯面は、光軸上におけるチルト偏芯角度はゼロであることを特徴とする光走査装置。
  3. 請求項1または2記載の光走査装置において、チルト偏芯面は、光軸から主走査方向に離れるに従いチルト偏芯角度が増加する面を少なくとも1面含むことを特徴とする光走査装置。
  4. 請求項3記載の光走査装置において、光軸から主走査方向に離れるに従いチルト偏芯角度が増加するチルト偏芯面は、最も副走査方向に強い屈折力を持つ走査レンズより光偏向器側の走査レンズに配置されることを特徴とする光走査装置。
  5. 請求項1または2記載の光走査装置において、チルト偏芯面は、光軸を中心として主走査方向に非対称にチルト偏芯角度が変化する面を少なくとも1面含むことを特徴とする光走査装置。
  6. 請求項記載の光走査装置において、光軸を中心として主走査方向に非対称にチルト偏芯角度が変化するチルト偏芯面を有するレンズは、最も被走査面に近いレンズであることを特徴とする光走査装置。
  7. 請求項1乃至のいずれかに記載の光走査装置において、走査光学系は、主走査方向への光走査の位置に応じて副走査方向の曲率が変化する面を少なくとも1面含むことを特徴とする光走査装置。
  8. 光源装置を複数持ち、
    前記各光源装置からの光ビームは、共通の光偏向器により偏向された後、
    走査光学系により各々対応する被走査面に集光される光走査装置において、
    前記複数の光源装置からの光ビームは、前記光偏向器の偏向反射面の法線に対し副走査方向に角度を持つ光ビームと、前記光偏向器の偏向反射面の法線に対し副走査方向に水平な光ビームを含み、
    前記走査光学系の少なくとも一面は、副走査方向に曲率を持たない面で構成され、かつ、光軸に直交する面に対するレンズ短手方向の傾き角であるチルト偏芯角度が主走査方向への光走査の位置に応じて異なるチルト偏芯面を備え
    前記チルト偏芯面より前記被走査面側に副走査方向にパワーを有する一面を備え、
    前記チルト偏芯面のチルト偏芯角度により前記副走査方向にパワーを有する一面への入射位置が変化し、
    前記チルト偏芯面を備える前記走査光学系の少なくとも一面は、前記各光源装置からの各々の光ビームに対応する複数の面を備え、前記複数の面うちの一部の面が前記チルト偏芯面であることを特徴とする光走査装置。
  9. 請求項記載の光走査装置において、走査光学系の光偏向器に最も近い走査レンズは、複数の光源装置からの光ビームで共有されることを特徴とする光走査装置。
  10. 請求項記載の光走査装置において、複数の光源装置からの光ビームで共有されるレンズは、一体的に形成されていることを特徴とする光走査装置。
  11. 請求項乃至10のいずれかに記載の光走査装置において、複数の光源装置より射出された、光偏向器の偏向反射面の法線に対し副走査方向に水平な光ビームと、光偏向器の偏向反射面の法線に対し副走査方向に角度を持つ光ビームの対は、光偏向器の偏向反射面上で副走査方向に近接することを特徴とする光走査装置。
  12. 請求項乃至11のいずれかに記載の光走査装置において、光偏向器に最も近い走査レンズは、副走査方向の屈折力がゼロもしくはゼロに近いことを特徴とする光走査装置。
  13. 請求項記載の光走査装置において、チルト偏芯面は、光軸上におけるチルト偏芯角度はゼロであることを特徴とする光走査装置。
  14. 請求項または13記載の光走査装置において、チルト偏芯面は、光軸から主走査方向に離れるに従いチルト偏芯角度が増加する面を少なくとも1面含むことを特徴とする光走査装置。
  15. 請求項14記載の光走査装置において、光軸から主走査方向に離れるに従いチルト偏芯角度が増加するチルト偏芯面は、最も副走査方向に強い屈折力を持つ走査レンズより光偏向器側の走査レンズに配置されることを特徴とする光走査装置。
  16. 請求項12乃至1のいずれかに記載の光走査装置において、チルト偏芯面は、最も光偏向器に近い走査レンズの射出側の面で、光偏向器の偏向反射面の法線に対し角度を持つ光ビームの通過位置であることを特徴とする光走査装置。
  17. 請求項12または13記載の光走査装置において、チルト偏芯面は、光軸を中心として主走査方向に非対称にチルト偏芯角度が変化する面を少なくとも1面含むことを特徴とする光走査装置。
  18. 請求項17記載の光走査装置において、光軸を中心として主走査方向に非対称にチルト偏芯角度が変化するチルト偏芯面を有するレンズは、最も被走査面に近い走査レンズであることを特徴とする光走査装置。
  19. 請求項11乃至18のいずれかに記載の光走査装置において、チルト偏芯面を用いた面の副走査方向の形状は、光偏向器の偏向反射面の法線に水平で、光偏向器の偏向反射面により、同一方向に走査するように反射偏向される複数の光ビームの副走査方向の中心を含む面に対し鏡面対称であることを特徴とする光走査装置。
  20. 請求項乃至19のいずれかに記載の光走査装置において、走査光学系は、主走査方向への光走査の位置に応じて副走査方向の曲率が変化する面を少なくとも1面含むことを特徴とする光走査装置。
  21. 請求項乃至20のいずれかに記載の光走査装置において、光偏向器の偏向反射面を形成する多面体は、副走査方向に2階層になっていることを特徴とする光走査装置。
  22. 請求項1乃至21のいずれかに記載の光走査装置において、光偏向器に入射する光ビームは、主走査方向において走査レンズの光軸に対し角度を持っていることを特徴とする光走査装置。
  23. 電子写真プロセスを実行することによって画像を形成する画像形成装置であって、電子写真プロセスの露光プロセスを実行する手段として請求項1から22のいずれかに記載の光走査装置を具備した画像形成装置。
  24. 請求項23記載の画像形成装置において、光走査装置の光源装置として複数の光ビームを射出するマルチビーム光源装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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