JP5168864B2 - 光走査装置・画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光走査を行う光走査装置、該光走査装置を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置に関する。
レーザプリンタ等に関連して広く知られた光走査装置は一般に、光源側からの光ビームを光偏向器により偏向させ、fθレンズ等の走査結像光学系により被走査面に向けて集光して被走査面上に光スポットを形成し、この光スポットで被走査面を光走査(主走査)するように構成されている。
被走査面の実体をなすものは光導電性の感光体等である感光媒体の感光面である。
また、フルカラー画像形成装置の一例として、4つの感光体を記録紙の搬送方向に配列し、これらの各感光体に対応した複数の光源装置から放射された光ビームの光束を1つの偏向手段により偏向走査し、各感光体に対応する複数の走査結像光学系により各感光体に同時に露光して潜像を作り、これらの潜像をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの各々異なる色の現像剤を使用する現像器で可視像化したのち、これらの可視像を同一の記録紙に順次重ね合わせて転写し定着することで、カラー画像を得られるように構成されている。
このように、光走査装置と感光体の組み合わせを2組以上用いて、2色画像や多色画像、カラー画像等を得るようにした画像形成装置は「タンデム式画像形成装置」として知られている。
このようなタンデム式画像形成装置として、複数の感光媒体が単一の光偏向器を共用する以下の方式のものが開示されている。
(1)偏向器の両側より光束を入射し、光束を振り分けて走査する対向走査方式(特許文献1、2等)。
(2)略平行でかつ副走査方向に離れた複数の光束を偏向器に入射し、複数の光束に対応する複数の走査光学素子を副走査方向に並べて走査する方式(特許文献3等)。
(3)偏向器の片側より光束を入射し、3枚構成の走査光学系で、L1、L2は異なる被走査面に向かう複数の光束が通過し、L3は各被走査面毎に設けられている方式(特許文献4、5、6等)。
このように、複数の被走査面で光偏向器を共用すると、光偏向器の数を減らすことにより、画像形成装置をコンパクト化・低コスト化することが可能になる。
しかし、近年では走査光学系の光学素子にはプラスチック材料が多く使われている。プラスチックは量産性に優れている一方で成形時の金型内温度の分布や金型から取り出した後の冷却が一律に行われないなどの理由から、形状が理想のものから外れてしまうことも多い。
走査光学系においては、主走査方向に長い形状の光学素子が多く、副走査方向に光学素子が曲がってしまう(沿ってしまう)こともあり、保持方法によっては走査線傾き、走査線曲がりなどの副走査対応方向への走査位置ずれとなる。また、光学素子のハウジングへの取り付け誤差も走査面上での副走査対応方向への走査位置ずれとなり無視できない大きさになる場合が多い。
更に、複数の走査手段を持つ画像形成装置においては、各走査手段毎に走査線曲がりなどの副走査対応方向への走査位置ずれの量が異なってしまい色ずれが発生し、画像品質を著しく低下させる。
説明を加えると、タンデム型のフルカラー複写機においては、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色に対応して4つの感光体ドラムを転写ベルトの搬送面に沿って列設し、ビーム走査装置により各感光体ドラムに対応して設けられたビームを走査して、当該感光体ドラム周面に静電潜像を形成すると共に該当する色のトナーで顕像化し、これを転写ベルトによって搬送されるシート上に順次転写して多色画像を形成するようになっていることから、各色ごとにばらばらの副走査対応方向の走査位置ずれが生じてしまうと画質の低下、色ずれを引き起こす。
特開平11−157128号公報 特開平9−127443号公報 特開平9−54263号公報 特開2001−4948号公報 特開2001−10107号公報 特開2001−33720号公報 特開2001−133718号公報 特開平10−268217号公報
上記問題の解決方法として、特許文献7においては、複数の走査手段を用いる画像形成装置において、各走査手段全体(ハウジング)を感光体に対し位置調整し、各感光体での走査線を一致させる発明がなされている。しかしながら、調整のための機構が複雑になり、調整時間もかかるため、コストアップになってしまう。
本出願人は、走査線曲がりの補正方法として、特許文献8において、レンズの中央付近に突起物を突き当てる際に突出量を変化させて走査線曲がりを補正する方式を提案している。しかし、初期状態での感光体間の走査線は補正可能であるが、経時的な変化が発生し、調整状態を保つことが困難である。
また、一枚構成の走査レンズの場合、被走査面に向け折り返すミラーを撓ませて走査線曲がりを補正する方法も公知であるが、ミラーを湾曲させると主走査方向にパワーを持つため、像面湾曲が劣化し、高品質な画像を得ることが困難となる。
本発明は、走査レンズの湾曲などにより発生する走査線曲がりを良好に補正して色ずれを低減できるとともに、像面湾曲などの諸収差を良好に保って低コストを実現できる光走査装置、該光走査装置を有する画像形成装置の提供を、その主な目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、光源からの光ビームが光偏向器により偏向された後、結像光学系により被走査面に集光される光走査装置において、前記光偏向器と前記被走査面の間に、主走査方向及び副走査方向における屈折力ゼロであり、前記光偏向器の偏向反射面の法線に対する副走査方向の入射角度に対し、射出する角度を変化させる機能を持つ光学素子を配置し、前記光学素子は、副走査方向に曲率を持たない面で構成され、且つ、主走査方向に応じて副走査方向のチルト偏芯角度が異なる特殊チルト偏芯面を一面のみ備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の光走査装置において、前記光学素子は、前記結像光学系と前記被走査面との間に配置されることを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項記載の光走査装置において、前記光学素子は、前記光源から前記被走査面に至る走査光学素子を保持する光学箱の壁面に配置され、前記壁面に形成される光ビームの光路となる壁面開口部を塞ぐことを特徴とする。
請求項4記載の発明では、請求項2又は3記載の光走査装置において、前記光源を複数有し、各々の光源からの光ビームは、各々対応する被走査面に導かれ、対応する複数の前記光学素子の光学面は同一形状であることを特徴とする。
請求項5記載の発明では、請求項又は記載の光走査装置において、前記光源を複数有し、各々の光源装置からの光ビームは、各々対応する被走査面に導かれ、対応する複数の前記光学素子は異形状な光学面を持つものを含むことを特徴とする。
請求項6記載の発明では、請求項1〜5のいずれか1つに記載の光走査装置において、前記光学素子は、主走査方向及び副走査方向の光束通過位置である光学面以外の場所が、異形状となっていることを特徴とする。
請求項7記載の発明では、画像形成装置において、請求項1〜6のいずれか1つに記載の光走査装置を有することを特徴とする。
請求項8記載の発明では、請求項記載の画像形成装置において、被走査面として、少なくとも4つの像担持体を有し、カラー画像形成が可能であることを特徴とする。
本発明によれば、主走査方向及び副走査方向における屈折力ゼロであり、光偏向器の偏向反射面の法線に対する副走査方向の入射角度に対し、射出する角度を変化させる機能を持つ光学素子を用いることにより、走査レンズの湾曲などにより発生する走査線曲がりを良好に補正することが可能となる。
副走査方向に曲率を持たず、主走査方向に副走査方向のチルト偏芯量が異なる特殊チルト偏芯面を主走査方向、副走査方向に屈折力を持たない平行平板の一面に施し、結像レンズより被走査面側に配置させることで、波面収差、像面湾曲などの諸収差を良好に保つ低コストな光走査装置及び画像形成装置の実現が可能となる。
さらに、前記光学素子をカラー対応の光走査装置に配置し、その配置方向、素子形状を最適に選択することで、カラー画像の高画質化に向け、色ずれを低減した光走査装置及びカラー画像形成装置の実現が可能となる。
以下、本発明の第1の実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る光走査装置の構成の概要を説明するための図である。光源としての半導体レーザ1から放射された発散性の光束はカップリングレンズ2により以後の光学系に適した光束形態に変換される。カップリングレンズ2により変換された光束形態は、平行光束であることも、弱い発散性あるいは弱い集束性の光束であることもできる。
カップリングレンズ2からの光束はシリンドリカルレンズ3により副走査方向に集光され、光偏向器としてのポリゴンミラー(一部のみ表示)4の偏向反射面に入射する。
偏向反射面により反射された光束は、ポリゴンミラー4の等速回転とともに等角速度的に偏向し、結像光学系の走査レンズ5を透過して被走査面7上に集光する。これにより、偏向光束は被走査面7上に光スポットを形成し、被走査面7の光走査を行う。
走査レンズ5がプラスチック材料の場合、成形時の金型内温度の分布や金型から取り出した後の冷却が一律に行われないなどの理由から、形状が理想のものから外れることが多い。
具体的には、走査レンズ5が副走査方向に湾曲(反る)し、母線が湾曲することで走査レンズ5に入射する光束があたかも副走査方向に変位して入射するような被走査面7上において走査線の傾きや曲りが発生する。
この問題を解消すべく、本実施形態では、主走査方向及び副走査方向の屈折力が略ゼロであり、光偏向器4の偏向反射面の法線に対する副走査方向の入射角度に対し、射出する角度を変化させる機能を持つ光学素子(以下、「曲り補正用光学素子」ともいう)6を配置している。
曲り補正用光学素子6は、主走査、副走査ともに屈折力を持たず、光ビームの進行方向のみを副走査方向に偏向可能である。この偏向角度を所望の角度となるように主走査方向に変化させることで、走査レンズ5の成形により発生する走査線曲がりを良好に補正することが可能となる。
曲り補正用光学素子6を具体的に説明する。なお、ここでの光学素子はあくまでも一つの実施例であり、同様の効果を得られれば、本説明の形態に限られるものではない。
曲り補正用光学素子6は、主走査方向に応じて副走査方向のチルト偏芯角度が異なる特殊チルト偏芯面を持つ。例えば、肉厚2mm程度の平行平板の一面を前記特殊チルト偏芯面としている。
図2記載のグラフは、主走査方向に副走査方向のチルト偏芯量が変化する状態を示している。
特殊チルト偏芯面の面形状は、以下の形状式による。ただし、この発明の内容は以下の形状式に限定されるものではなく、同一の面形状を別の形状式を用いて特定することも可能である。
光軸を含み、主走査方向に平行な平断面である「主走査断面」内の近軸曲率半径をRY、光軸から主走査方向の距離をY、高次係数をA、B、C、D・・・とし、
走査断面に直交する「副走査断面」内の近軸曲率半径をRZとする。平行平板の場合は、RY、RZともに無限大(つまり屈折力を持たないほど十分大きな曲率半径)となる。また、Aの係数はゼロとなる。
Figure 0005168864
(F0+F1・Y+F2・Y^2+F3・Y^3+F4・Y^4+・・)Zは、チルト量を表す部分であり、F1、F2、...が0で無いとき、チルト量は、主走査方向に変化することになる。
本実施形態に係る曲り補正用光学素子6は、主走査方向、副走査方向共に屈折力を持たない。主走査方向、副走査方向ともに屈折力を持たない平行平板状の光学素子とすることで、光学素子は均肉となり、その材質を樹脂とした場合において成形がしやすく形状精度が向上する。
実際には、特殊チルト偏芯面を用いているため完全なる均肉とはならないが、特殊チルト偏芯面の副走査方向のチルト量は小さく、成形上は平行平板と変わらず均肉であるといえる。
更に、走査レンズ5の成形による走査線曲がりの発生量は設計段階で精度よく想定することは難しい。また、曲り補正用光学素子6を光学設計終了後に配置する場合、結像位置が変化するため好ましくない。
そこで、設計段階においては曲り補正用光学素子6と同じ肉厚の平行平板を入れておき、走査レンズ5の成形で発生する走査線曲がりがわかった時点で、形状精度の出しやすい平行平板に所望の走査線曲がりを補正する特殊チルト偏芯面をもつ光学素子、すなわち曲り補正用光学素子6を配置することで、光学性能の劣化、結像位置の変化を生じさせること無く走査線曲がりの補正が可能となる。
次に、第2の実施形態を説明する。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
曲り補正用光学素子6は、結像光学系(走査レンズ5)と被走査面7との間に配置されることが望ましい。
結像レンズ(走査レンズ5)と被走査面7の間に、例えば特殊チルト偏芯面を持つ光学素子(曲り補正用光学素子6)を配置するのは、光束が被走査面7に近づくほど絞られており、特殊チルト偏芯面の影響を光束内の光ビームに及ぼさないためである。
特に主走査方向に光束の絞られていない場所で走査線曲がり補正用の特殊チルト偏芯面を用いた場合、光束内の光ビームの副走査方向の角度も変化してしまい、光束がねじれ波面収差を劣化させてしまう。そこで、主走査方向に光束が絞られている場所、つまり被走査面7に近い位置に特殊チルト偏芯面を用い、光束のねじれを発生させることなく、走査線曲がりを補正することで、波面収差を劣化させることなく、走査線曲がり補正が可能となる。
また、被走査面7に近い位置では、各像高に向かう光ビームがより分離されており、隣り合う光ビームの重なりが小さい。このため、前記特殊チルト偏芯面の偏芯量を細かく設定可能で、走査線曲がりを良好に補正することが可能となる。
更に、光源1から被走査面7に至る光学素子を保持する光学箱の壁面に曲り補正用光学素子6を配置し、前記壁面に形成される光ビームの光路となる壁面開口部を塞ぐ機能を持たせることで、従来ある光走査装置内にトナーや埃が入り込まないように密閉するために配置される防塵機能を持たせた平行平板の機能を曲り補正用光学素子6に持たせることが可能となる。
従来からある部品を、前記特殊チルト偏芯面をもつ平行平板の光学素子に変更することで、部品点数の増加やコストアップを抑えることができる。
また、曲り補正用光学素子6は、副走査方向にチルト偏芯して配置されていることが望ましい。例えば、被走査面7としての感光体での反射光等により被走査面7に外乱光として再度到達(ゴースト光)しないように、曲り補正用光学素子6を副走査方向にチルト偏芯させることで、良好な出力画像を得ることが可能である。
この時のチルト偏芯の方向は、入射光束に対し、反射光束が走査光学系から離隔する方向が望ましい。
後に説明するカラー対応の光走査装置においては、異なる被走査面に向かう光ビームに対応する曲り補正用光学素子6は、光走査装置内で離れた場所に配置され、光走査装置内の光偏向器や画像形成装置における定着装置など、熱源となる物の近くに配置されたり、離れた位置に配置されたりする可能性が非常に高い。
この場合、異なる被走査面に対応する各光学素子(曲り補正用光学素子)は、その環境の違いが大きい。具体的に言うと、光偏向器や定着装置近傍に配置される曲り補正用光学素子は発熱の影響を受け、光偏向器や定着装置から離れた位置に配置される光学素子に対し高い温度となる。つまり、各曲り補正用光学素子内に温度分布が生じる。
この結果、曲り補正用光学素子の膨張、収縮により、曲り補正用光学素子が主走査方向に屈折力を持つ場合、その屈折力に変化が生じ、主走査方向の書込位置が各色毎に変化し「色ずれ」が発生してしまう。
例えば、書込開始と終了位置で同期を取ることにより、走査線の主走査方向の長さを一致させることは可能だが、書込開始と終了の中間点においては、各色で書込位置を合わせることは難しく、「色ずれ」が生じてしまう。
本発明の如く、主走査方向に屈折力を持たせないことで、前記課題は解決され主走査方向の書込位置変動を小さく抑えることができる。この結果、タンデムカラー機においては課題となる「色ずれ」を低減することができる。
次に、第3の実施形態を説明する。
本実施形態の光学系の特徴について、タンデム型のカラー画像形成装置の光走査装置として、図3に示すような対向走査方式の光走査装置を例に挙げ説明する。
図3に示すような対向走査方式の光走査装置においては、図に示すが如く、各々対応する被走査面としての感光体7Y、7M、7C、7Kに向かう光束を分離に必要な間隔Zを得るために2段化されたポリゴンミラー4を使用している。2段化することなく一段で使用しても良いが、ポリゴンミラー部の副走査方向の厚さが厚くなり、高速化、低コスト化に不向きとなる。
走査レンズ5は、各色に向かう光ビームに対応し光偏向器4を挟み各々副走査方向に2段重ねで配置される。2枚構成の走査レンズ5を用いる場合は、各々の光路中に2枚の走査レンズが配置されるが、ここでは、1枚構成の走査レンズで説明する。
図3において、符号30は、半導体レーザ1とカップリングレンズ2を一体に備えた光源ユニットを、31は入射ミラーを、32は折り返しミラーをそれぞれ示している。
各被走査面に対応する走査レンズ5の成形による湾曲は、走査レンズ5の配置や被走査面に導くための折り返しミラー32の枚数などにより、被走査面上での走査線曲がりの方向を揃えることが可能である。
例えば図4の如く、光偏向器4に対し主走査平面で回転対称に走査レンズ5を配置した場合、走査レンズ5の湾曲方向は揃う(例えば光学箱上面側に湾曲)こととなる。この場合、被走査面に導く折り返しミラー32の枚数が左右で偶数枚、奇数枚と異なる場合は、被走査面上で走査線曲がりの方向は揃うこととなる。
この時は、走査線の曲がりは発生するが、色ずれの発生は小さいこととなる。走査線の湾曲を補正するために、前記説明の走査線曲り補正用の光学素子を同一方向に向けて配置すればよい。
また、走査レンズ5の湾曲、つまり母線湾曲が走査レンズ5の光軸に対し主走査方向に対称、もしくは略対称な場合は前記説明のとおりだが、対称でない場合は走査線曲がりの方向を揃えても、図5に示す如く色ずれは発生してしまう。
この時は、走査線曲がりを補正するための光学素子を走査レンズ5の向きにあわせ主走査方向に反転させることで色ずれを低減可能となる。
更に、走査レンズ5の配置、折り返しミラー32の枚数により被走査面上での走査線曲がりの方向が異なる場合は、色ずれの発生が大きくなる。この時は、前記説明の走査線曲り補正用の光学素子を副走査方向に反転させて配置すればよい。
このような配置とすることで、走査線曲り、更には色ずれの発生を大幅に低減でき高品質な画像、もしくはカラー画像を得ることができる。
このとき、走査レンズ5で発生する湾曲、つまり母線曲り量が安定している場合は、曲り補正用光学素子の形状を同一形状とし、配置方向のみ対応することで容易に走査線曲り、色ずれの低減された高品質な画像を得ることができる。
走査レンズ5は同一の型で成形される場合、比較的湾曲、つまり母線曲がりのばらつきは小さく、曲り補正用光学素子を同一形状とし、量産時の生産性を向上させることが可能となる。
一方で、異なる型で成形される走査レンズ5をカラー対応の光走査装置に用いる場合、各走査レンズ5で発生する湾曲量は異なることがある。
この場合には、同じ形状の曲り補正用光学素子を用いた場合、補正効果はあるが、良好な補正が困難となる。つまり、例えば2次曲線状に発生する走査線曲りの係数が異なるもの(つまり湾曲量が異なる)に対し一方の走査線曲がりを補正するための、例えば特殊チルト偏芯面をもつ曲り補正用光学素子を用いても、他方では補正効果が小さくなり、走査線曲がりが残存してしまう。
そこで、より良好に走査線曲り、色ずれを補正するために、曲り補正用光学素子は異形状とし、各走査レンズ5の湾曲に合ったものを配置することで、容易に走査線曲り、色ずれの低減された高品質な画像を得ることができる。
ここでは、走査レンズの湾曲を2次曲線としたが、2次的な成分を補正しても、高次係数を含む走査線の曲がりが残存する。高次成分の走査線曲がりまで、例えば特殊チルト偏芯面をもつ光学素子で補正してもよいし、2次的な曲がりはミラーの撓み、走査レンズの撓み等で補正し、残存する高次成分を曲り補正用光学素子で補正しても構わない。また、光走査装置は対向走査方式に限るものではない。
次に、第4の実施形態を説明する。
曲り補正用光学素子は、主走査方向及び副走査方向の光束通過位置(光学面)以外の場所が、異形状となっていることが望ましい。
例えば、走査線曲がりを補正するために平行平板の片面に施す特殊チルト偏芯面の偏芯量は極めて小さく、平面側との区別がつきにくい。量産時の組み付けにおいて、取り付け方向を間違えた場合、走査線曲がりは補正されず増大してしまう。
そこで、曲り補正用光学素子の主走査方向及び副走査方向の光束通過位置(光学面)以外の場所を異形状とすることで、特殊チルト偏芯面のついている面を容易に判別可能となる。
例えば、主走査方向の光学面以外の形状を異形状にする場合は、主走査方向の片側に、樹脂を型に流し込む際のゲートを残しても良いし、例えば副走査方向はリブにテーパーをつけても良い。
このようにすることで、量産時の組み付け効率を大幅に向上することができ、走査線曲りや色ずれが増大してしまうことを防ぐことができる。
以上、走査線曲がりを良好に補正することで高品質な画像が提供可能となる。
異なる被走査面を持つタンデム型カラー機の光走査装置においては、各被走査面毎に異なる量の走査線曲がりが発生してしまい、各色の走査線を重ねて画像形成するカラー機において、前記画像品質の他に「色ずれ」という課題が生じ、画像品質の低下はより目立って現れてしまう。
このため、走査線曲がりに対する要求仕様はより高く、本発明の曲り補正用光学素子における特殊チルト偏芯面によれば、色ずれを大幅に低減可能となり、高品質な画像を得ることができる光走査装置の提供が可能となる。
次に、第5の実施形態(本発明に係る光走査装置を用いた画像形成装置の一実施形態)を図6に基づいて説明する。
本実施形態は、本発明に係る光走査装置をタンデム型フルカラーレーザプリンタに適用した例である。図6において、装置内の下部側には水平方向に配設された給紙カセット13から給紙される転写紙(図示せず)を搬送する搬送ベルト17が設けられている。この搬送ベルト17上にはイエローY用の感光体7Y、マゼンタM用の感光体7M、シアンC用の感光体7C及びブラックK用の感光体7Kが、転写紙の搬送方向上流側から順に等間隔で配設されている。なお、以下、符号に対する添字Y、M、C、Kを適宜付けて区別するものとする。
これらの感光体7Y、7M、7C、7Kは全て同一径に形成されたもので、その周囲には、電子写真プロセスにしたがって各プロセスを実行するプロセス部材が順に配設されている。
感光体7Yを例に採れば、帯電チャージャ8Y、光走査光学系(光走査装置)9Y、現像装置10Y、転写チャージャ11Y、クリーニング装置12Y等が順に配設されている。他の感光体7M、7C、7Kに対しても同様である。
即ち、本実施形態では、感光体7Y、7M、7C、7Kの表面を各色毎に設定された被走査面ないしは被照射面とするものであり、各々の感光体に対して光走査光学系9Y、9M、9C、9Kが1対1の対応関係で設けられている。
但し、走査レンズ5は、1枚構成の場合には、M、Y、K、Cで共通使用となる(図面上は2枚構成としている)。
搬送ベルト17の周囲には、感光体7Yよりも上流側に位置させてレジストローラ16と、ベルト帯電チャージャ20が設けられ、感光体7Kよりもベルト17の回転方向下流側に位置させてベルト分離チャージャ21、除電チャージャ22、クリーニング装置23等が順に設けられている。
ベルト分離チャージャ21よりも転写紙搬送方向下流側には、定着ローラ24aと加圧ローラ24bを有する定着装置24が設けられ、排紙トレイ26に向けて排紙ローラ対25で結ばれている。
このような概略構成において、例えば、フルカラーモード(複数色モード)時であれば、各感光体7Y、7M、7C、7Kに対してY、M、C、K用の各色の画像信号に基づき各々の光走査装置9Y、9M、9C、9Kによる光ビームの光走査で、各感光体表面に、各色信号に対応した静電潜像が形成される。
これらの静電潜像は各々の対応する現像装置で色トナーにより現像されてトナー像となり、搬送ベルト17上に静電的に吸着されて搬送される転写紙上に順次転写されることにより重ね合わせられ、転写紙上にフルカラー画像が形成される。
このフルカラー像は定着装置24で定着された後、排紙ローラ対25により排紙トレイ26に排紙される。
上記画像形成装置の光走査光学系9Y、9M、9C、9Kを、前述の実施形態に係る光走査装置とすることで、走査線曲がりと波面収差の劣化を有効に補正し、色ずれが無く、高品位な画像再現性が確保できる画像形成装置を実現することができる。
本発明の第1の実施形態に係る光走査装置の主走査平面での概要構成図である。 副走査方向のチルト偏芯量が主走査方向に変化する状態を示すグラフである。 第3の実施形態に係る光走査装置を示す図で、(a)は光偏向器の周辺の斜視図、(b)は副走査平面での概要構成図である。 光偏向器に対して主走査平面で走査レンズを回転対称に配置した状態を示す図である。 走査線の曲がりに対する補正を示す図で、(a)は2つの被走査面で曲がりの方向を合わせた場合の図、(b)はその一方を補正した場合の図である。 第5の実施形態に係る画像形成装置の概要構成図である。
符号の説明
1 光源としての半導体レーザ
4 光偏向器としてのポリゴンミラー
5 結像光学系で且つ走査光学素子としての走査レンズ
6 光学素子としての曲り補正用光学素子
7 被走査面としての感光体

Claims (8)

  1. 光源からの光ビームが光偏向器により偏向された後、結像光学系により被走査面に集光される光走査装置において、
    前記光偏向器と前記被走査面の間に、主走査方向及び副走査方向における屈折力ゼロであり、前記光偏向器の偏向反射面の法線に対する副走査方向の入射角度に対し、射出する角度を変化させる機能を持つ光学素子を配置し、
    前記光学素子は、副走査方向に曲率を持たない面で構成され、且つ、主走査方向に応じて副走査方向のチルト偏芯角度が異なる特殊チルト偏芯面を一面のみ備えることを特徴とする光走査装置。
  2. 請求項1記載の光走査装置において、
    前記光学素子は、前記結像光学系と前記被走査面との間に配置されることを特徴とする光走査装置。
  3. 請求項2記載の光走査装置において、
    前記光学素子は、前記光源から前記被走査面に至る走査光学素子を保持する光学箱の壁面に配置され、前記壁面に形成される光ビームの光路となる壁面開口部を塞ぐことを特徴とする光走査装置。
  4. 請求項2又は3記載の光走査装置において、
    前記光源を複数有し、各々の光源からの光ビームは、各々対応する被走査面に導かれ、対応する複数の前記光学素子の光学面は同一形状であることを特徴とする光走査装置。
  5. 請求項2又は3記載の光走査装置において、
    前記光源を複数有し、各々の光源装置からの光ビームは、各々対応する被走査面に導かれ、対応する複数の前記光学素子は異形状な光学面を持つものを含むことを特徴とする光走査装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の光走査装置において、
    前記光学素子は、主走査方向及び副走査方向の光束通過位置である光学面以外の場所が、異形状となっていることを特徴とする光走査装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の光走査装置を有する画像形成装置。
  8. 請求項7記載の画像形成装置において、
    被走査面として、少なくとも4つの像担持体を有し、カラー画像形成が可能であることを特徴とする画像形成装置。
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