JP6361959B2 - 光走査装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
この光走査装置は、例えばレーザ光源から射出されたレーザ光を光偏向器で偏向反射することによって感光体等の被走査面上を走査させ、これと同時に、上記レーザ光を画像信号に応じて強度変調(例えばオン、オフ)させることにより、被走査面に画像を書き込むようになっている。
また、カラー画像形成装置において、光走査装置と感光体の組み合わせを2組以上用いて、2色画像や多色画像、カラー画像等を得るようにした画像形成装置があり、このような画像形成装置は、「タンデム式画像形成装置」と呼ばれている。
このタンデム式画像形成装置として、例えば特許文献1(特開2006−323278号公報)の如く単一の光偏向器によって左右両側に同時に光走査を行う、所謂、対向走査型がよく知られている。
さらに、タンデム式画像形成装置に用いられる光走査装置において、低コスト化をはかる手段として、特許文献2(特開2007−240590号公報)の如く光偏向器の偏向反射面に副走査方向に角度を有して光束を入射させる斜入射光学系が知られている。
斜入射光学系は、複数の光束がそれぞれ偏向反射面で偏向反射された後に、各々対応する被走査面に、折り返しミラーなどで分離され導かれる。このとき、それぞれの光束の、光偏向器に入射する副走査方向の角度(以降、「斜入射角」という)は折り返しミラーで各光束が分離可能な角度に設定される。
これにより、光偏向器を副走査方向に薄肉化し、低コストな光走査装置が実現可能となる。
また、光偏向器にポリゴンミラーを用いた場合、高速回転に大きなエネルギーを必要とすることもなくなり、低消費電力化や、低騒音化も実現できる。
その反面、斜入射光学系には、光路長差が原因となって副走査方向の変移量が異なることにより、被走査面上での走査線が副走査方向に曲がってしまうといった問題(以降、「走査線曲がり」という)がある。
例えば、特許文献2では、走査レンズを光軸に平行な軸の周りに回転させることで走査線傾きを補正し、走査レンズの副走査方向の曲率中心が副走査方向に調整移動するように撓ませることで走査線湾曲を補正している。
サグは、ポリゴンミラーにより偏向される偏向光束の主光線が被走査面に直交になるときの主光線の方向を基準線とすると、この基準線の両側の偏向光束に対して非対称に発生する。
そのため、被走査面を走査する光束の光路長差が非対称に生じ、走査線曲がりに非対称成分が発生する。特に、近年要求されている小型の光走査装置を実現するための広画角光学系では、サグは増大し走査線曲がりの非対称性は顕著に現れる。
また、前記走査線傾き調整および走査線湾曲調整では、三次成分以降の走査線曲がり、すなわち非対称成分は取り切れず、各々の光束で描かれた潜像を各色のトナーにより重ね合わせ可視化した際に、色ずれとなって現れてしまう。
その非対称部分の対応に関して特許文献2には、走査レンズを主走査方向において光軸に対し非対称に構成することで走査線曲がりの非対称成分に対応することが記載されている。
また、特許文献1には、折り返しミラーの枚数を規定することで、非対称形状の走査レンズでも共通に使用できるようにする技術が開示されている。しかしながら、全光学系の折り返しミラーの配置枚数が規定されるため、レイアウトの制約が大きいという課題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところ、レイアウトに依らず、共通のレンズを用いつつ、簡易な構成で、走査線曲がりの非対称部分を補正することのできる光走査装置を提供することにある。
複数の光源装置を有し、各光源装置からの光ビームを共通の光偏向器により偏向した後、光走査光学系により各々異なる被走査面に集光して主走査方向に走査する光走査装置において、
前記複数の光源装置からの全ての光ビームは、主走査断面内において前記被走査面の法線に対し、および副走査断面内において前記光偏向器の偏向反射面の法線に対し、それぞれ斜方向に前記光偏向器に入射し、
前記光走査光学系は、同一の偏向反射面で走査される光ビームで共用される共用レンズと、光ビーム毎に個別に配置され、主走査方向に対称な面形状をもつ個別レンズと、を有し、
前記個別レンズは、前記被走査面上に到達したときの副走査位置が中央像高の副走査位置に対し最も離れる光束を一の光束、前記一の光束が到達する側の端像高に向かう光束を二の光束とし、前記一の光束の当該個別レンズから被走査面までの光路長をLa、前記一の光束の前記個別レンズ通過位置での副走査方向におけるパワーをφa、前記一の光束の主走査断面内における前記個別レンズからの射出角をωa、前記二の光束の前記個別レンズから被走査面までの光路長をLb、前記二の光束の前記個別レンズ通過位置での副走査方向におけるパワーをφb、前記二の光束の主走査断面内における当該個別レンズからの射出角をωb、としたとき、下記の条件式(6):
前記個別レンズは、当該個別レンズを傾けたことによる前記一の光束の像面上の副走査位置移動量をΔVa、当該個別レンズを傾けないときの中央像高と前記一の光束の像面上副走査位置の差をδとしたとき、下記の条件式(7):
本発明は、複数の光源装置を有し、各光源装置からの光ビームを共通の光偏向器により偏向した後、光走査光学系により各々異なる被走査面に集光して主走査方向に走査する光走査装置において、
前記複数の光源装置からの全ての光ビームは、主走査断面内において前記被走査面の法線に対し、および副走査断面内において前記光偏向器の偏向反射面の法線に対し、それぞれ斜方向に前記光偏向器に入射し、
前記光走査光学系は、同一の偏向反射面で走査される光ビームで共用される共用レンズと、光ビーム毎に個別に配置され、主走査方向に対称な面形状をもつ個別レンズと、を有し、
前記個別レンズは、前記被走査面上に到達したときの副走査位置が中央像高の副走査位置に対し最も離れる光束を一の光束、前記一の光束が到達する側の端像高に向かう光束を二の光束とし、前記一の光束の当該個別レンズから被走査面までの光路長をLa、前記一の光束の前記個別レンズ通過位置での副走査方向におけるパワーをφa、前記一の光束の主走査断面内における前記個別レンズからの射出角をωa、前記二の光束の前記個別レンズから被走査面までの光路長をLb、前記二の光束の前記個別レンズ通過位置での副走査方向におけるパワーをφb、前記二の光束の主走査断面内における当該個別レンズからの射出角をωb、としたとき、
下記の条件式(6):
前記個別レンズは、当該個別レンズを傾けたことによる前記一の光束の像面上の副走査位置移動量をΔVa、当該前記個別レンズを傾けないときの中央像高と前記一の光束の像面上副走査位置の差をδとしたとき、
下記の条件式(7):
このような構成とすることにより、レイアウトに依らず共通のレンズを用いつつ、簡易な構成で走査線曲がりの非対称成分(うねり成分)を、特定の条件下で走査レンズを傾けることにより補正することで、走査線曲がりを小さく抑えた、色ずれの少ない光走査装置を提供することができる。
また、本発明に係る光走査装置は、前記個別レンズにおいて、副走査方向のパワーが主走査方向の軸上から軸外に向かうに従って連続的に小さくなるようにすることが好ましい(請求項2に対応する)。
というのは、副走査位置変移量ΔVは、後で説明する図14から明らかなように、軸外に向かうにつれてその微分量(傾き)が小さくなることでΔVのうねりを生じさせている。下記の条件式(1)
ΔV=(LΦ−1)ΔZ ・・・(1)
についてL(前記レンズから被走査面までの光路長)およびΔZ(屈折する副走査位置変移量)は単調増加であるため、ΔVがその微分量に余分な高次成分を含ませずに徐々に小さくなるようにするためには、Φ(副走査方向パワー)が単調減少である必要がある。従って、前記第2走査レンズは、副走査方向のパワーφが主走査方向の軸上から軸外に向かうに従って連続的に小さくなるようにすることが好ましいのである。
光走査光学系が前記光偏向器を挟んで対向配置されており、対応するすべての個別レンズが同形状であることが好ましい。(請求項3に対応する)。
即ち、第2走査レンズ8を主走査方向に非対称な形状にすることが困難である、いわゆる対向走査型光走査装置は、図16のように、光走査光学系をポリゴンミラー5を挟んだ対向側にも上記光学系を配置し光偏向器であるポリゴンミラー5で左右両側に振り分けることにより、単一の光偏向器で複数の感光体を走査する技術である。さらに、本実施の形態である斜入射光学系と組み合わせることにより、図17のように副走査断面における斜入射角を小さく設定することができ、走査線曲がり等の光学性能を向上させることができる。
しかしながら、対向走査型光走査装置では、走査レンズを図16の矢印方向のように反転させて用いることになり、主走査方向に非対称な形状の走査レンズでは、対向側の光学性能を維持できず、例えばレンズ形状の非対称性が主走査方向に逆転した別形状のレンズを用いる必要がある。
また、本発明に係る光走査装置は、
前記光走査光学系が、前記被走査面を主走査方向に走査する走査線の副走査方向の傾きを調整する走査線傾き調整機構を有することが好ましい(請求項4に対応する)。
このような傾き調整機構を設けることにより、光学系によって異なる各々のレンズ傾き量に応じた、精度の良い調整が可能となる。
即ち、光学素子の位置ずれ等により走査線曲がりの非対称成分の大きさは変わるため、それを補正するレンズの傾き量は各々異なる。それに伴い、本発明を実施することによって光走査光学系に生じる曲がりの一次成分を調整する前記傾き調整量も各々異なってくる。従って、調整に用いる光学素子が可動である傾き調整機構を設けることで、各々のレンズの傾き量に応じた、精度の良い調整が可能となる。
前記一の光束が到達する像高に対し、中央像高を軸対称とした逆側の像高に到達する光束を三の光束としたとき、前記三の光束が到達する前記被走査面上の副走査位置と中央像高の副走査位置との差が、前記一の光束の到達する副走査位置と中央像高の副走査位置との差と略等しいことが好ましい(請求項5に対応する)。
このような構成とすることにより、走査線曲がりの残差が四次関数の形となることによって、三次成分を完全に取り去り、走査線曲がりのp−v値を最も小さくすることができる。
即ち、本発明の狙いは、走査線曲がりのうねり成分の中で、特に大きい三次関数の成分を取り除くことにある。従って、本発明を適用した際に残る可能性のある走査線曲がりは、図18にみるように、次点で成分の大きい四次の成分となる。
即ち、走査線曲がりのp−v値が最も小さくなるように本発明を適用すれば、像高aに対し、中央像高を軸対称とした逆側の像高cの走査線曲がりが、像高aの走査線曲がりと、方向および大きさが略一致する。なお、四次以降の高次成分は、一次、二次、三次の成分に比べて極めて小さいため、色ずれに関して無視できるレベルである。
|β|≦1.5
であることが好ましい(請求項6に対応する)。
このような構成とすることにより、副走査倍率が小さな光学系に本発明を適用することで、レンズのチルトによる光学性能への影響を抑えることができる。
というのは、本実施例と比較例、すなわち、レンズを傾ける前後の副走査倍率の変化の様子を示す図19から明らかなように、本発明は、走査レンズを傾けることにより、像高間の副走査倍率偏差を崩すことによって曲がりの非対称性を補正させている。従って、副走査倍率が小さい光学系に本発明を適用することで、倍率偏差を崩すことによる光学性能への影響を抑えることができる。
また、発明に係る光走査装置は、
前記二の光束が前記光偏向器によって偏向された後、主走査断面内において被走査面の法線となす角度が40°以上であることが好ましい(請求項7に対応する)。
本発明に係る画像形成装置は、
電子写真プロセスを実行することによって画像を形成する画像形成装置であって、電子写真プロセスの露光プロセスを実行する手段として以上に記載のいずれかの光走査装置を具備することを特徴とする(請求項8に対応する)。
このような構成とすることにより、具備する光走査装置の持つ利点(効果)を享受する画像形成装置を得ることができる。即ち、走査線曲がりを有効に補正し、色ずれが無く、高品位な画像再現性が確保し得る画像形成装置を提供することができる。
まず、図1および図2を参照しながら本発明の第1の実施の形態に係る光走査装置および第2の実施の形態に係る画像形成装置の構成の概要を説明する。図1は、本発明の一つの実施の形態に係る光走査装置の要部を、光偏向器の回転軸と垂直な平面で一部を切断して模式的に示す平面断面図であり、図2は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の要部を、主走査ビームの軸線により形成される平面と平行な方向から見た副走査断面における構成を模式的に一部を切断して示す正面断面図である。
光源としての半導体レーザ1から放射された発散性の光束(以下、「光ビーム」ともいう)は、カップリングレンズ2により、以後の光学系に適した光束形態に変換される。カップリングレンズ2により変換された光束形態は、平行光束であることも、弱い発散性あるいは弱い集束性の光束であることもできる。カップリングレンズ2からの光束は、アパーチャ3を通過してシリンドリカルレンズ4により副走査方向に集光され、光偏向器5(以下、「ポリゴンミラー」ともいう)の偏向反射面に入射させている。
これにより、偏向光束は、被走査面上に光スポットを形成し、被走査面の光走査を行う。
次に、第1の実施の形態に係る光走査装置におけるポリゴンミラーに対する斜入射方式について説明する。
図3(c)は、第1の実施の形態に係る光走査装置に用いられるポリゴンミラー5周辺の副走査方向断面図であり、光ビームのポリゴンミラー5への入射状態を示している。
斜入射方式では、光源側からの光ビームは、ポリゴンミラー5の回転軸に直交する平面、あるいはポリゴンミラー5の偏向反射面の法線を含む水平面に対して傾いて入射する。従って、偏向反射面により反射された光ビームも、該平面(水平面)に対して傾いている。この、光束の進行方向に対する副走査方向の傾き角を「斜入射角」といい、本文ではβで表す。
このようなポリゴンミラー5の回転軸に直交する平面に対し角度を有する光ビームは、光源装置である半導体レーザ1、カップリングレンズ2、シリンドリカルレンズ4の光軸を水平面に対して傾けて配置してポリゴンミラー5の偏向反射面に所望の角度に入射するようにしても良いし、入射ミラーを用いて角度をつけて入射させるようにしても良い。また、シリンドリカルレンズ4の光軸を光ビームが進行する方向に対して副走査方向に傾けることで、偏向反射面に向かう光ビームに角度をつけても構わない。
次に、斜入射方式がもつ大きな課題である、「走査線曲がり」について説明する。
例えば、副走査方向に強い屈折力を持つ走査レンズ(本実施形態では第2走査レンズ8)の入射面の主走査方向の形状が、ポリゴンミラー5の偏向反射面の光ビームの反射点を中心とする円弧形状でない限り、主走査方向のレンズ高さによりポリゴンミラー5の偏向反射面から前記走査レンズ入射面までの距離は異なるようになる。
図3(a)や(b)のようにポリゴンミラーの偏向反射面に対して通常の水平入射であれば、偏向反射面から走査レンズ入射面までの距離が異なっても、光ビームは、走査レンズに対し水平に進行するため、走査レンズ上での副走査方向の入射位置が異なることはなく、走査線曲がりが生じない。
しかしながら、図3(c)のようにポリゴンミラー5の偏向反射面に副走査方向に角度を持って斜入射することにより、ポリゴンミラー5により偏向反射された光ビームは、像高によりポリゴンミラー5の偏向反射面から走査レンズ入射面までの光路長は異なるようになり、走査レンズへの副走査方向の入射高さが周辺に行くにつれ中央像高に向かう光束に対し高い位置、もしくは低い位置に入射される。
この結果、走査レンズの副走査方向に屈折力を持つ面を通過する際に、副走査方向に受ける屈折力が異なり走査線曲がりが発生することになる。
ところが、ポリゴンミラー5の偏向反射面から走査レンズ入射面までの光路長が像高によって異なってしまう別の要因として、主走査断面内においてポリゴンミラー5に(被走査面の法線に対し)斜め方向に入射すると、偏向反射面の回転に従い偏向反射点の位置が異なってしまう、所謂、「サグ」がある。
図4は、光源側からの光束(入射光)が、ポリゴンミラー5の時計回りの回転に伴って偏向反射面が5a、5b、5cと変化し、各像高に向かって反射される(反射光または走査光)様子を示したものである。一般的には、中央像高に向かって反射される光束が、その後の光走査光学系の光軸に略平行となるように設定される。
この「サグ」によって、中央像高を主走査方向の対称軸とする、光源側と反光源側のいずれかの像高同士において、図4にみるような偏向反射点の位置が異なることによる光路長差が生じ、走査線曲がりに非対称成分が含まれてしまう。
しかしながら、走査レンズに主走査方向に対称な形状を用いている場合、前述した走査線曲がり補正方法では走査線曲がりの非対称成分を補正することができない。例えば、図10の「サグ」をもつ光走査装置の走査線曲がりに、前記走査線傾き調整および、さらに前記走査線湾曲調整を施したときの、曲がりの推移を図11に示す。なお本実施の形態においては、傾き調整は、折り返しミラー9を光軸に対し傾け、湾曲調整は、第2走査レンズ8を副走査方向に撓ませることでそれぞれ行っている。
傾き調整を行うことで曲がりの一次成分の補正を、湾曲調整を行うことで曲がりの二次成分の補正を施しているが、三次以降の高次成分、すなわち、曲がりの非対称成分を取り除くことができない。従って、光束が走査されたときに副走査方向にうねって被走査面上に結像することになり、画質劣化につながる。
図5は、前記第2走査レンズ8の回転によりレンズ面が8aから8bに移動することによる光束の変移を示した副走査方向断面図である。レンズ面8aから8bへの変移ΔXの方向は、主走査方向において回転中心(本例では光軸)に対し光源側の光束か反光源側の光束かによって異なる。図5は、光源側の像高に向かう光束に対し、レンズ面を光源側の一端がポリゴンミラー5に近づくように傾けた場合の様子を示しており、レンズ面が被走査面から遠のく方向である(図6参照)。
斜入射光学系の場合、前記第2走査レンズ8を透過する光束は、その回転中心を通る光束でない限り、レンズ面の移動により屈折する副走査位置が異なり、図5のように屈折角変化が生じる。屈折角変化をΔθ、副走査方向のパワーをφ、屈折する副走査位置変移量をΔZとすると、それらの関係はおよそ
Δθ=φ×ΔZ
で表される。
ΔV=(L・Φ−1)ΔZ (1)
ただし、Lは、前記第2走査レンズ8から被走査面11aまでの光路長である。
ところで、副走査位置変移量ΔZは、レンズの傾き角をα、斜入射角をβ、光束が通過するレンズ高をY、主走査断面内におけるレンズ射出後の光線と光軸とのなす角をωとすると、図6に示す主走査方向断面図よりYsinα=ΔXcosωを用いて、およそ以下の式(2)で表される。
曲がりが最も大きい像高をaとし、その量をδとする。ここで、前記レンズを傾けることにより、端像高bに向かう光束は、副走査方向にΔVbの大きさで変移するとする。と同時に、像高aにおいても、副走査方向にΔVaの大きさで変移する。逆側の端像高においては端像高bと逆方向に曲がりが変移するため、全体的に傾き(一次)成分が生じることとなる。そこで本実施形態では、前記走査線傾き調整を行うことによって、この傾き成分を補正している。端像高bの副走査位置を元の位置に戻すように−ΔVbの分調整している場合、像高aに関しても、−ΔVb×a/bの分副走査位置が調整される。その調整した先が、もともとの曲がり量δより小さくなれば、走査線曲がりのうねりを小さくしたということができる。すなわち条件式は、以下の式(3)で表される。
図1に示した光源1から偏向手段としてのポリゴンミラー5までの仕様は、次の通りである。
光源1から、波長660nmの光束が発射され、焦点距離20.4mmのカップリングレンズ2で略平行光とされる。略平行光とされた光束は、主走査方向2.8mm、副走査方向1.6mmのアパーチャ3を通過した後、副走査方向にのみ焦点距離132.4mmのパワーを有するシリンドリカルレンズ4にて、ポリゴンミラー5の偏向反射面11a上に主走査方向に長い線像として結像される。ここでポリゴンミラー5は、内接円半径が9mm、面数が5面のものを用いている。ポリゴンミラー5への入射角は、主走査断面内において被走査面の法線に対し、70deg、副走査断面内においてポリゴンミラー5の偏向反射面の法線に対し2.3deg、それぞれ傾けて入射させている。
主走査断面内における面形状は、非円弧形状をなしており、光軸における主走査断面内の近軸曲率半径をRm、光軸からの主走査方向の距離をY、円錐定数をK、高次の係数をA4、A6、A8、A10、A12、A14とするとき、光軸方向のデプスをXとして次の多項式である式(8)で表している。
従って、第1走査レンズ7および第2走査レンズ8の各面は、主走査および副走査の形状が光軸に対し主走査方向に対称なものを用いている。
下表1に本実施例における数値データを示す。符号は、ポリゴンミラー5から被走査面11aに光束が進行する方向を正としている。第1走査レンズ7の両面および第2走査レンズ8の第1面の副走査形状は、平面である。
この光学系を用いたときの、レンズを傾けないときの走査線曲がりは、前述したように図11に示しており、像高+100mm辺りで最大曲がりδ=+6μmをとる。像高+100mmに向かう光束について、各値は、およそ以下のとおりである。
La=139.2[mm] φa=0.015[1/mm] ωa=23.6[deg]
また、端像高に向かう光束について、各値は、以下のとおりである。
Lb=150.5[mm] φb=0.012[1/mm] ωb=30.0[deg]
これは、条件式(6)を満足しているため、走査レンズを傾けることにより走査線曲がりのうねり成分を補正することが可能な光学系である。上記の値から条件式(7)を計算すると副走査位置移動量が、
|Va|<55.5[μm]
となる。
ところで、α=1.0deg(1.0°)の場合については、図12をみると+100mm像高についておよそΔVa=60[μm]であり、条件式を満たしていないため、図13より+100mm像高の曲がりが−7.9[μm]となって元の6[μm]を超えてしまい、曲がりを小さくできていないことが見て取れる。
本実施例では、走査線曲がりのp−v値が最も小さくなるように、主走査断面内において第2走査レンズ8の光源側の一端がポリゴンミラー5に近づくように0.35deg(0.35°)傾けている。これによる、各像高に向かう光束の像面上副走査位置の変移ΔVを図14に、図11の走査線曲がりと本実施例における走査線曲がりを比較したものを図15に、それぞれ示す。+100mm像高のΔVは−17.8[μm]であり、これは条件式(7)を満たしている。また、比較例の走査線曲がりのp−v値が10μmであったところ、本発明を実施することで2μm以下に抑えることができている。
この第2の実施の形態は、本発明に係る光走査装置をタンデム型フルカラーレーザプリンタに適用した例である。図21において、装置内の下部側には水平方向に配設された給紙カセット28から給紙される転写紙Sを搬送する搬送ベルト17が設けられている。
この搬送ベルト17上にはイエローY用の感光体11Y,マゼンタM用の感光体11M,シアンC用の感光体11CおよびブラックK用の感光体11Kが、転写紙Sの搬送方向上流側から順に等間隔で配設されている。なお、以下、符号に対する添字Y,M,C,Kを適宜付けて区別するものとする。これらの感光体11Y,11M,11C,11Kは、全て同一径に形成されたもので、その周囲には、電子写真プロセスにしたがって各プロセスを実行するプロセス部材が順に配設されている。
感光体11Yを例に採れば、帯電チャージャ12Y、光走査光学系16Y、現像装置13Y、転写チャージャ14Y、クリーニング装置15Y等が順に配設されている。他の感光体11M,11C,11Kに対しても同様である。即ち、この第2の実施の形態では、感光体11Y,11M,11C,11Kの表面を各色毎に設定された被走査面ないしは被照射面とするものであり、各々の感光体に対して各々の光走査光学系16Y,16M,16C,16Kが1対1の対応関係で設けられている。
このような概略構成において、例えば、フルカラーモード(複数色モード)時であれば、各感光体11Y,11M,11C,11Kに対してY,M,C,K用の各色の画像信号に基づき各々の光走査装置16Y,16M,16C,16Kによる光ビームの光走査で、各感光体11Y,11M,11C,11Kの表面に、各色信号に対応した静電潜像が形成される。これらの静電潜像は、各々の対応する現像装置13Y,13M,13C,13Kで色トナーにより現像されてトナー像となり、搬送ベルト17上に静電的に吸着されて搬送される転写紙S上に順次転写されることにより重ね合わせられ、転写紙S上にフルカラー画像が形成される。このフルカラー像は、定着装置24で定着された後、排紙ローラ25により排紙トレイ26に排紙される。
上記画像形成装置の光走査光学系16Y,16M,16C,16Kを、前述の第1の実施の形態に係る光走査装置とすることで、走査線曲がりを有効に補正し、色ずれが無く、高品位な画像再現性が確保できる画像形成装置を実現することができる。
2 カップリングレンズ
3 アパーチャ
4 シリンドリカルレンズ
5 光偏向器(ポリゴンミラー)
6 防音ガラス
7 共用レンズ(第1走査レンズ)
8 個別レンズ(第2走査レンズ)
9 折り返しミラー
10 防塵ガラス
11、11K、11C、11M、11Y 感光体
11a 被走査面
12K、12C、12M、12Y 帯電チャージャ
13K、13C、13M、13Y 現像装置
14K、14C、14M、14Y 転写チャージャ
15K、15C、15M、15Y クリーニング装置
16K、16C、16M、16Y 光走査光学系
17 搬送ベルト
18、19 搬送ベルトを搬送するローラ
20 ベルト帯電チャージャ
21 ベルト分離チャージャ
24 定着装置
25 排紙ローラ
26 排紙トレイ
27 レジストローラ
28 給紙カセット
29 給紙ローラ
Claims (8)
- 複数の光源装置を有し、各光源装置からの光ビームを共通の光偏向器により偏向した後、光走査光学系により各々異なる被走査面に集光して主走査方向に走査する光走査装置において、
前記複数の光源装置からの全ての光ビームは、主走査断面内において前記被走査面の法線に対し、および副走査断面内において前記光偏向器の偏向反射面の法線に対し、それぞれ斜方向に前記光偏向器に入射し、
前記光走査光学系は、同一の偏向反射面で走査される光ビームで共用される共用レンズと、光ビーム毎に個別に配置され、主走査方向に対称な面形状をもつ個別レンズと、を有し、
前記個別レンズは、前記被走査面上に到達したときの副走査位置が中央像高の副走査位置に対し最も離れる光束を一の光束、前記一の光束が到達する側の端像高に向かう光束を二の光束とし、前記一の光束の当該個別レンズから被走査面までの光路長をLa、前記一の光束の前記個別レンズ通過位置での副走査方向におけるパワーをφa、前記一の光束の主走査断面内における前記個別レンズからの射出角をωa、前記二の光束の前記個別レンズから被走査面までの光路長をLb、前記二の光束の前記個別レンズ通過位置での副走査方向におけるパワーをφb、前記二の光束の主走査断面内における当該個別レンズからの射出角をωb、としたとき、下記の条件式(6):
前記個別レンズは、当該個別レンズを傾けたことによる前記一の光束の像面上の副走査位置移動量をΔVa、当該個別レンズを傾けないときの中央像高と前記一の光束の像面上副走査位置の差をδとしたとき、下記の条件式(7):
- 前記個別レンズにおいて、副走査方向のパワーが主走査方向の軸上から軸外に向かうに従って連続的に小さくなることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
- 前記光走査光学系は、前記光偏向器を挟んで対向配置されており、対応する全ての前記個別レンズは同形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の光走査装置。
- 前記光走査光学系は、前記被走査面を主走査方向に走査する走査線の副走査方向の傾きを調整する走査線傾き調整機構を有することを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
- 前記一の光束が到達する像高に対し、中央像高を軸対称とした逆側の像高に到達する光束を三の光束としたとき、前記三の光束が到達する前記被走査面上の副走査位置と中央像高の副走査位置との差が、前記一の光束の到達する副走査位置と中央像高の副走査位置との差と略等しいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光走査装置。
- 前記光走査光学系の副走査方向の結像倍率βが、
|β|≦1.5
であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光走査装置。 - 前記二の光束が前記光偏向器によって偏向された後、主走査断面内において被走査面の法線となす角度が40°以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光走査装置。
- 電子写真プロセスを実行することによって画像を形成する画像形成装置であって、
電子写真プロセスの露光プロセスを実行する手段として請求項1〜7のいずれか1項に記載の光走査装置を具備したことを特徴とする画像形成装置。
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