JP2007040817A - 電力用半導体素子の異常検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】センスエミッタ端子を備えると共に半田層の表面にチップの電極が接合されるIGBT等の異常検出装置であって、センスエミッタ端子に流れる電流を検出してIGBTに対する保護動作を行う電力用半導体素子の異常検出装置に関する。IGBTチップ101Cに形成された複数のセンスエミッタ端子101x,101yによる電流検出値の差を求める減算器133と、これらの差を所定の基準値と比較して半田層110の熱疲労によるクラック発生を検出するコンパレータ134,135、オア回路136等を備える。
【選択図】図2
Description
図7において、1は直流電源、2は電動機等の負荷、3は直流電圧を所定の大きさ及び周波数の交流電圧に変換するインバータ部である。なお、図示されていないが、直流電源1は、一般的に、交流電源電圧をダイオード整流器と大容量の電解コンデンサとにより整流、平滑して構成される。
6はIGBT4の駆動・保護回路であり、一般にIGBT4及び駆動・保護回路6を一体化したモジュールをIPM(インテリジェントパワーモジュール)と呼んでいる。なお、20は上記駆動・保護回路6との間で信号を授受して各IGBT4をオンオフ制御する制御回路である。
ここで、駆動・保護回路6は、IGBT4を駆動するだけでなく、IGBT4を過電流や過熱から保護する保護動作も行っている。
なお、アラーム信号が出力された場合には、制御回路20側でも装置の強制停止を行うのが普通である。
図9において、191は銅ベース、192は絶縁材、193,194は銅箔パターン(絶縁材192及び銅箔パターン193,194をまとめて絶縁基板という)であり、IGBTチップ4C及び還流ダイオードチップ5Cは銅箔パターン193,194上にそれぞれ半田付けされている。195,196は半田層を示す。また、197はケースである。
ここでは、駆動・保護回路6の実装構造については図示及び説明を省略してある。
クラック198が入ると、例えばIGBTチップ4Cと絶縁基板との間の熱抵抗が急激に高くなり、IGBTチップ4Cの温度上昇率も急激に高くなる。このため、前述した図8におけるダイオード10、コンパレータ12、オア回路18等による温度検出動作が間に合わず、最終的にIGBTチップ4Cの破壊を招くおそれがあった。また、半田層195,196にクラック198が入った場合、IPMとしてはもはや寿命であり、電力変換装置としては早期にIPMを交換する必要がある。
ここでは半田層195の周辺部にクラック198が入っているため、銅箔パターン193からコレクタ電極41に流れる電流は概ね半田層195の中央部を流れる。コレクタ電極41に流入した電流は拡散しようとするが、コレクタ電極41の中央部に比べてその周囲はコレクタ電極41の水平方向の抵抗分41Rによってインピーダンスが高いため、コレクタ電流の大部分は、図に太線で示すようにIGBTチップ4Cの中央部を通ってエミッタ電極47方向に流れることになる。
また、特許文献2記載の従来技術では、複数のセンストランジスタ部を用いて異なる保護レベルをそれぞれ設定しようとするものであり、半田層の熱疲労に着目した保護動作については特に開示されていない。
更に、特許文献3記載の従来技術では、チップの四隅等に配置した複数のセンストランジスタ部を流れる電流の合計値と主電流との比が一定であることを利用して電流検出精度を向上させているが、複数のセンストランジスタ部を均一に配置する必要があるため、製造上の制約が多く、コスト高になるという問題があった。
すなわち、請求項1に記載した発明は、電流検出用端子を備えると共に導電体の表面に素子チップの電極が接合される電力用半導体素子の異常検出装置であって、前記電流検出用端子に流れる電流を検出して前記半導体素子に対する保護動作を行う電力用半導体素子の異常検出装置において、
前記素子チップに形成された複数の電流検出用端子による電流検出値の差または比率を求める手段と、これらの差または比率を所定の基準値と比較して前記導電体の熱疲労を検出する手段と、を備えたものである。
前記導電体は、銅箔パターンの表面に前記電極を接合するための半田層であり、この半田層の熱疲労を検出する手段は、熱疲労によるクラックを検出するものである。
複数の電流検出用端子による電流検出値の差または比率を求める手段は、前記電流検出値を電圧にそれぞれ変換して差または比率を求める手段であることを特徴とする。
前記電流検出用端子を、前記電極に接合する前記導電層の形状に対応させて複数配置したものである。
前記電流検出用端子による電流検出値が過電流検出レベルを超えたときに前記半導体素子の過電流状態を検出する手段を備えたものである。
前記異常時制御アルゴリズムは、外部へアラーム信号を出力させる制御動作を含むものである。
これにより、熱疲労等に起因した半導体素子や電力変換装置の破壊を未然に防止することができる。
まず、図1は本発明の第1実施形態を示すもので、IPMのうち主としてIGBTチップの実装部分を示した平面図(図1(a))及び回路図(図1(b))である。なお、IPMに内蔵された駆動・保護回路の構成については後述する。
IGBTチップ101C上面の活性領域のほぼ中央部には、電流検出用端子としての第1のセンスエミッタ端子101xが配置されており、四隅のうちの一角には電流検出用端子としての第2のセンスエミッタ端子101yが配置されている。また、図1(b)はIGBTチップ101Cを電気的に示したIGBT101の回路図であり、Gはゲート電極、Cはコレクタ電極、Eはエミッタ電極である。なお、これらの各電極G,C,Eについては、図1(a)における図示を省略してある。
この駆動・保護回路130Aは、前述した図7の制御回路20からの制御信号に基づいてIGBT101を駆動するゲート駆動回路131と、センスエミッタ端子101x,101yにそれぞれ接続された検出用抵抗132x,132yと、これらの検出用抵抗132x,132yの両端電圧が図示の符号で入力される減算器133と、この減算器133の出力が非反転入力端子に入力され、かつ反転入力端子に基準電圧134rが加えられた第1のコンパレータ134と、前記減算器133の出力が反転入力端子に入力され、かつ非反転入力端子に基準電圧135rが加えられた第2のコンパレータ135と、第1,第2のコンパレータ134,135の出力信号が入力されるオア回路136とを備えている。
図1の半田層110が熱疲労しておらず、クラックが発生していない場合には、前述した図11の説明から明らかなように、IGBTチップ101Cの中央部を通って第1のセンスエミッタ端子101xにより検出される電流検出値と、IGBTチップ101Cの端部を通って第2のセンスエミッタ端子101yにより検出される電流検出値との差は余り生じない。このため、図2のコンパレータ134,135の基準電圧134r,135rを適宜な値に設定しておけば、減算器133の出力電圧は基準電圧134rよりも小さく、かつ基準電圧135rより大きくなるため、コンパレータ134,135及びオア回路136からは出力信号が発生しない。
従って、この信号を半田層110の熱疲労検出信号として制御回路20に与え、ゲート駆動回路131の動作を即座に停止させたり、ある設定時間経過後または所定の運転パターン実行後に停止させて保護動作を行うことができる。また、オア回路136の出力信号に基づいてアラームを発生させても良い。
なお、オア回路136の出力信号を図8と同様にゲート駆動回路131に入力し、ゲート駆動回路131の動作を直接停止させても良い。
図3に示す駆動・保護回路130Bは、図2における減算器133の代わりに除算器137を接続すると共に、第2のコンパレータ135の基準電圧135rの極性を図2とは逆にしたものであり、除算器137は第1のセンスエミッタ端子101xの電流による検出用抵抗132xの両端電圧を第2のセンスエミッタ端子101yの電流による検出用抵抗132yの両端電圧によって除算するように構成されている。
また、IGBTチップ101Cの中央部の下方近傍において半田層110にクラックが発生すると、第1のセンスエミッタ端子101xによる電流検出値よりも第2のセンスエミッタ端子101yによる電流検出値の方が大きくなるので、除算器137の出力電圧が小さくなり、この出力電圧が第2のコンパレータ135の基準電圧135rを下回るとコンパレータ135及びオア回路136を介して信号が出力される。
従って、オア回路136の出力信号を熱疲労検出信号として利用することにより、前記同様に所定の保護動作を行わせることができる。
そこで、本発明の第2実施形態では、これらの箇所におけるクラックの発生も検出できるようにした。
なお、半田層110でのクラックの発生により半田層110の抵抗値が大きくなり、半田層110やIGBT102の温度上昇によってセンスエミッタ端子101x,101zによる電流検出値が全体的に変化することが予想されるが、四隅のセンスエミッタ端子101zによる電流検出値の代表値と中央部のセンスエミッタ端子101xによる電流検出値との大小関係は相対的に変わらないため、特に問題にはならない。
図示は省略するが、検出精度を上げるために、図4(a)のセンスエミッタ端子101zの相互間に更に別のセンスエミッタ端子を追加しても良い。
図5に示す駆動・保護回路130Cでは、検出用抵抗132x、132yの両端電圧がセレクタ138に入力され、その出力電圧が過電流検出用のコンパレータ139の非反転入力端子に入力されていると共に、コンパレータ139の出力信号がオア回路140の一方の入力端子に加えられている。
ここで、セレクタ138は入力電圧のうち最大値を選択して出力する機能を持っている。また、139rはコンパレータ139の反転入力端子に加えられている基準電圧であり、過電流検出レベルに相当する。
電力変換装置の運転指令201に対して、前述した各実施形態による熱疲労検出信号205がない場合は、論理ゲート202を介して通常時制御アルゴリズム203を有効とし、このアルゴリズム203をオア回路204を介して実行させる。
一方、熱疲労検出信号205が発生した場合には、論理ゲート206を介して異常時制御アルゴリズム207を有効とし、このアルゴリズム207をオア回路204を介して実行させる。
但し、場合によっては、半田層110にクラック等が発生していても、IGBTチップの温度が絶対最大定格温度以下であれば即破壊に至るおそれは少ないため、ある設定された所定の運転シーケンスの実行後に電力変換装置の運転を停止させても良い。
また、図6では熱疲労検出信号205を利用したアルゴリズムとして説明したが、熱疲労検出信号205の代わりに、図5のオア回路140の出力である過電流検出信号を用いても良い。
2:負荷
3:インバータ部
20:制御回路
101,102:IGBT
101C,102C:IGBTチップ
101x,101y,101z:センスエミッタ端子
110:半田層
120:銅箔パターン
130A,130B,130C:駆動・保護回路
131:ゲート駆動回路
132a,132b:検出用抵抗
133:減算器
134,135,139:コンパレータ
134r,135r,139r:基準電圧
136,140:オア回路
137:除算器
138:セレクタ
Claims (9)
- 電流検出用端子を備えると共に導電体の表面に素子チップの電極が接合される電力用半導体素子の異常検出装置であって、前記電流検出用端子に流れる電流を検出して前記半導体素子に対する保護動作を行う電力用半導体素子の異常検出装置において、
前記素子チップに形成された複数の電流検出用端子による電流検出値の差または比率を求める手段と、これらの差または比率を所定の基準値と比較して前記導電体の熱疲労を検出する手段と、
を備えたことを特徴とする電力用半導体素子の異常検出装置。 - 請求項1に記載した電力用半導体素子の異常検出装置において、
前記導電体は、銅箔パターンの表面に前記電極を接合するための半田層であり、
この半田層の熱疲労を検出する手段は、熱疲労によるクラックを検出することを特徴とする電力用半導体素子の異常検出装置。 - 請求項1または2に記載した電力用半導体素子の異常検出装置において、
複数の電流検出用端子による電流検出値の差または比率を求める手段は、前記電流検出値を電圧にそれぞれ変換して差または比率を求める手段であることを特徴とする電力用半導体素子の異常検出装置。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載した電力用半導体素子の異常検出装置において、
前記電流検出用端子を、前記電極に接合する前記導電層の形状に対応させて複数配置したことを特徴とする電力用半導体素子の異常検出装置。 - 請求項1〜4の何れか1項に記載した電力用半導体素子の異常検出装置において、
前記電流検出用端子による電流検出値が過電流検出レベルを超えたときに前記半導体素子の過電流状態を検出する手段を備えたことを特徴とする電力用半導体素子の異常検出装置。 - 請求項1〜4の何れか1項による熱疲労検出時、または、請求項5による過電流検出時に、前記半導体素子を構成要素とする電力変換装置を異常時制御アルゴリズムに従って制御することを特徴とする電力用半導体素子の異常検出装置。
- 請求項6に記載した電力用半導体素子の異常検出装置において、
前記異常時制御アルゴリズムは、前記半導体素子を直ちに遮断して前記電力変換装置の運転を停止させる制御動作を含むことを特徴とする電力用半導体素子の異常検出装置。 - 請求項6に記載した電力用半導体素子の異常検出装置において、
前記異常時制御アルゴリズムは、所定時間経過後に、または予め設定された運転パターンの実行後に、前記電力変換装置の運転を停止させる制御動作を含むことを特徴とする電力用半導体素子の異常検出装置。 - 請求項6〜8の何れか1項に記載した電力用半導体素子の異常検出装置において、
前記異常時制御アルゴリズムは、外部へアラーム信号を出力させる制御動作を含むことを特徴とする電力用半導体素子の異常検出装置。
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