JP2007039706A - 低p鋼の製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、電気炉でスクラップを溶解・精錬して低P鋼を確実に製造できる方法を提供することにある。また本発明の他の目的は、低P鋼を製造する際に電気炉から排出されるスラグの再利用性を高めることにある。
【解決手段】 電気炉でスクラップを溶解・精錬して低P鋼を製造するに当たり、CaOとカルシウム・フェライトを含むスラグ造滓材を使用し、且つ、前記スクラップが完全溶解する前に酸素ガスの吹き込みを開始して脱P精錬すれば、低P鋼を製造できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電気炉でスクラップを溶解・精錬して低P鋼を製造する方法に関するものである。
電気炉でスクラップを溶解・精錬して低P鋼を製造するに当たっては、主原料となるスクラップと、造滓材としてCaOを炉内に装入し、アークにより加熱溶解して脱P精錬する。この脱P精錬工程では、下記(1)式で示される反応が進行すると一般にいわれている。
2P+5FeO+nCaO→nCaO・P25+5Fe ・・・(1)
溶鋼中のPはFeOに由来するOと反応してP25を形成し、これが造滓材として装入されるCaOと結合してCaO・P25を形成する。形成されたCaO・P25は安定な化合物としてスラグに固定されるため溶鋼を脱Pできる。従って溶鋼を脱Pして低P鋼を製造するに当たっては、溶鋼中のPを捕捉するためにCaOを供給すると共に、溶鋼中のPを酸化するために酸素を供給する必要がある。
こうした電気炉による低P鋼の製法としては、例えば特許文献1や2の技術が既に提案されている。
特許文献1には、溶解した鋼の温度を上昇させながらCaOとFeOを主成分とするスラグ造滓用副原料を、炉内の溶鋼表面へ上置添加するとともに、FeOを主体としCaO、CaF2、CaCl2を加えた粉末状の脱P反応剤を溶鋼表面下へO2ガスをキャリアガスとしてノズルから吹き込めば、副原料の使用量を抑えつつ短時間で効率良く脱P精錬できることが記載されている。そしてこの文献には、電気炉内に鉄・鋼スクラップと副原料を装入し、溶解が完了した後に酸素ガスを吹き込めば、溶鋼中のPを0.006%まで低下できることが記載されている。
特許文献2には、脱P剤としてCaO、Al23および酸化鉄の混合粉末を炉内に投入し、該脱P剤が完全に溶解してから酸素吹錬すれば、P含有量を0.003%以下に低減できることが記載されている。
しかし本発明者らが上記特許文献1や2に開示されている脱P方法について検討したところ、安定して脱Pできない場合があった。
ところで脱P剤として用いられるCaOは融点が高く、スラグに溶け難いため、溶鋼の脱P反応は進み難い。そこで脱P反応を促進させるための手段として従来は、CaOをスラグに溶解し易くし、またスラグの流動性を高めて脱P反応を進めることを目的として、蛍石(CaF2)を造滓材に添加混合していた。しかし、蛍石は環境上問題の多いフッ素を含むため使用量を低減することが求められている。そこで蛍石に代わる造滓材としてカルシウム・フェライトを使用することが検討されている(例えば、特許文献3)。この特許文献3には蛍石の代わりにカルシウム・フェライトを利用することが提案されており、製鋼用フラックスとしてカルシウム・フェライト層で被覆した酸化カルシウムを使用して電気炉で脱Pを行うことが記載されている。しかしこの文献には、製鋼用フラックスの製法について詳しく記載されているものの、脱P条件については具体的に記載されていない。
また、スラグに未溶解のCaOが多く含まれると、CaOは吸湿性が高くスラグの水浸膨張を大きくするため、路盤材としての形状安定性を著しく阻害する。そのため路盤材の原料として再利用できない。
特開昭62−290818号公報(特許請求の範囲、第3頁左下欄第7〜12行等) 特開平8−120321号公報(特許請求の範囲、段落0011等) 特開平11−209817号公報(請求項12、段落0002〜0005等)
本発明は、この様な状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気炉でスクラップを溶解・精錬して低P鋼を確実に製造できる方法を提供することにある。本発明の他の目的は、低P鋼を製造する際に電気炉から排出されるスラグの再利用性を高めることにある。
本発明者らは、溶鋼を脱Pして低P鋼を確実に製造すると共に、このとき電気炉から排出されるスラグの再利用性を高めることを目指して、検討を重ねてきた。その結果、CaOの他にカルシウム・フェライトを含むスラグ造滓材を使用すると共に、電気炉へ酸素ガスを吹き込むタイミングが重要であることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明に係る低P鋼の製法は、電気炉でスクラップを溶解・精錬して低P鋼を製造するに当たり、CaOとカルシウム・フェライトを含むスラグ造滓材を使用し、且つ、前記スクラップが完全溶解する前に酸素ガスの吹き込みを開始して脱P精錬する点に要旨を有する。また別の観点からすると、本発明に係る低P鋼の製法とは、電気炉でスクラップを溶解・精錬して低P鋼を製造するに当たり、CaOとカルシウム・フェライトを含むスラグ造滓材を使用し、且つ、スクラップ1トン当たりの使用電力量が400KWHに到達するまでに前記酸素ガスの吹き込みを開始して脱P精錬するところに要旨を有している。
吹き込む酸素ガスを無駄にしないためには、前記酸素ガスの吹き込みを、スクラップ1トン当たりの使用電力量が300KWH以上となる時点から開始することが好ましい。前記酸素ガスの吹き込みは、スクラップ1トン当たり0.15〜0.45m3/分とするのが一般的である。
本発明の製法によれば、P含有量が0.008質量%以下の低P鋼を確実に得ることができる。また本発明によれば、電気炉から排出されるスラグに含まれる未溶解のCaO含有量を0.5質量%以下に抑えることができるため、再利用性に優れたスラグを得ることができる。
本発明によれば、CaOの他にカルシウム・フェライトを含むスラグ造滓材を使用することによってCaOをスラグへ溶解し易くできるため、溶鋼の脱Pを効率よく進めることができる。また電気炉へ酸素ガスを吹き込むタイミングを適切に調整することによって、溶鋼を確実に脱Pでき、効率よく低P鋼を製造できる。
また、本発明によれば、スラグ造滓材としてCaOとカルシウム・フェライトを併用することでスラグへのCaOの溶解を促進できるため、電気炉から排出されるスラグに含まれる未溶解のCaO含有量を低減できる。その結果、スラグの再利用性を高めることができる。
本発明は、電気炉でスクラップを溶解・精錬して低P鋼を製造するに当たり、CaOとカルシウム・フェライトを含む造滓材を使用すると共に、前記スクラップが完全溶解する前に酸素ガスの吹き込みを開始することが重要である。
即ち、CaOとカルシウム・フェライトを含む造滓材を用いることで、カルシウム・フェライトがCaOと他のスラグ成分との親和性を高め、CaOをスラグに溶解し易くする。その結果、スラグ中のCaO濃度が高くなり、このスラグが溶鋼と接触することにより、溶鋼の脱P反応が進行し、効率よく低P鋼を製造できる。また、CaOがスラグに容易に溶解するため、精錬の途中で電気炉から排出されるスラグ中に含まれる未溶解のCaO量を低減できる。その結果、スラグの水浸膨張を低減できるため、前記スラグを例えば路盤材の原料として再利用することができる。
ところがCaOとカルシウム・フェライトを含む造滓材を使用した場合でも、溶鋼を充分に脱Pできないことがあった。そこでCaOとカルシウム・フェライトを含む造滓材を用いた場合の脱P条件について検討したところ、酸素ガスの吹き込み開始時期が重要であるとの知見を得た。即ち脱P反応を効率よく進めるには、スクラップが完全溶解する前に酸素ガスの吹き込みを開始することが重要である。
例えば、前記特許文献1や2にも記載されているように、従来例ではスクラップ等の溶解が完了した後に酸素ガスを吹き込んでいた。しかし造滓材としてCaOとカルシウム・フェライトを併用する場合には、スクラップ等が完全に溶解した後に酸素ガスを吹き込んでも酸素供給量が不足し、溶鋼の脱Pが進まないことがあった。こうした場合、脱P反応を進めるために酸素供給量を多くすることも考えられる。しかし酸素供給量を多くすると、溶鋼が過度に酸化され、歩留まりが低下する。また、電気炉の消耗電極を短寿命化したり、電気炉内の温度が一気に上昇して耐火物を損傷することがあるため好ましくない。
まず、本発明の製法においてスクラップを溶解・精錬する際に使用する造滓材について説明する。
上記カルシウム・フェライトとしては、例えば、モノカルシウム・フェライト(CaO・Fe23)とダイカルシウム・フェライト(2CaO・Fe23)のいずれも使用できる。こうしたカルシウム・フェライトは、CaOを20〜45質量%程度とFe23を50〜80質量%程度を含むものがよい。なお、カルシウム・フェライトに、残部成分として例えばAl23などが適量含まれていてもよい。
上記カルシウム・フェライトの使用量は、併用するCaOの量によって変わるが、スクラップ1トン当たり5kg以上とするのがよい。使用量が5kg未満では、CaOのスラグへの溶解促進作用が不足するため、スラグに未溶解のCaOが残り、脱P効率が悪くなる。またスラグの再利用も阻害する。カルシウム・フェライトの好ましい使用量は、スクラップ1トン当たり6kg以上であり、より好ましくは7kg以上である。しかしカルシウム・フェライトの使用量が多すぎると、コスト高になるばかりでなく、スラグが生成し過ぎる。従って使用量はスクラップ1トン当たり例えば20kg以下、好ましくは15kg以下、より好ましくは10kg以下とする。
一方、上記CaOの使用量は、溶鋼を脱Pできる範囲で定めればよく、上記カルシウム・フェライトの使用量によって変化するが、例えばスクラップ1トン当たり5kg以上(特に、10kg以上)である。
上記CaOとカルシウム・フェライトの配合比(CaO/カルシウムフェライト)は、CaOとカルシウム・フェライトの使用量を、溶鋼を脱Pできる範囲で設定すると共に、このときCaOをスラグへ溶解できる範囲でカルシウム・フェライトの配合比を定めればよい。上記配合比は、例えば質量比で1〜3とするのがよい。配合比が1未満では、カルシウム・フェライトが多くなり過ぎる。配合比は、1.3以上とすることが好ましく、より好ましくは1.5以上である。しかし配合比が3を超えると、CaOが多くなり過ぎる。配合比は2.7以下とすることが好ましく、より好ましくは2.5以下である。
上記CaOとカルシウム・フェライトは、個別にスクラップと混合して使用してもよいし、例えば、CaOの表面にカルシウム・フェライト層を形成したものを使用してもよい。なお、上記CaOやカルシウム・フェライトの大きさは特に限定されない。
次に、酸素ガスを吹き込むタイミングについて説明する。本発明では、スクラップが完全溶解する前に酸素ガスの吹き込み(上吹き込み)を開始する。スクラップの一部が固体として残っている間に酸素ガスを吹き込むことにより、脱P反応を進行させる時間を確保できる。従ってスクラップが完全溶解する前とは、スクラップが完全溶解する直前では酸素を吹き込むタイミングが遅すぎ、電気炉に装入したスクラップ全量の80質量%程度が溶解する前に酸素ガスの吹き込みを開始する。
この酸素ガス吹き込み時期を別の観点からみると、スクラップ1トン当たりの使用電力量が400KWHに到達するまでに酸素ガスの吹き込みを開始するのがよい。酸素ガスの吹き込みを開始するタイミングが400KWH以上になると、酸素ガスを吹き込むタイミングが遅く、脱P反応が充分に進行しない。従って酸素ガスの吹き込みは、スクラップ1トン当たりの使用電力量が390KWHを超えるまでに(即ち、使用電力量が390KWH以下の範囲で)開始することが好ましく、より好ましく380KWH以下である。
酸素ガスの吹き込みを開始するタイミングの下限は特に限定されず、例えばスクラップやスラグ造滓材等を電気炉へ装入した直後としてもよいが、スクラップ1トン当たりの使用電力量が300KWH以上となる時点から酸素ガスの吹き込みを開始するのがよい。早い時期から酸素ガスの吹き込みを開始しても、スクラップやスラグ造滓材等が溶解していないため脱P反応が進まず、酸素ガスの無駄となる。また、酸素ガスの吹き込み量が過剰になると、電気炉内の温度が上昇し過ぎて炉内耐火物を損傷したり、黒鉛電極の酸化が加速されて消耗が著しくなり、メンテナンスコストが高くなる。従って酸素ガスの吹き込み開始は、好ましくは通電開始後で使用電力量がスクラップ1トン当たり310KWH以上となる時点とするのがよく、より好ましくは320KWH以上である。
なお、スクラップの溶解は通電開始直後から始まり、スクラップ1トン当たりの使用電力量が400KWHに到達するまでの電気炉内の状態は、スクラップが半溶融している状態であり、電気炉に装入したスクラップ全量の80質量%程度が溶解している。スクラップは、前記使用電力量が約440KWHに到達するとほぼ完全に溶解する。
電気炉への酸素ガス吹き込み速度は特に限定されないが、吹き込み速度が小さ過ぎると溶鋼を脱Pできず、一方吹き込み速度が大き過ぎると電気炉の消耗電極を短寿命化したり、炉内耐火物を損傷するので、吹き込み速度は例えばスクラップ1トン当たり0.15〜0.45m3/分とすればよい。好ましくはスクラップ1トン当たり0.18m3/分以上(特に0.20m3/分以上)、0.40m3/分以下(特に0.35m3/分以下)である。
上記製法を採用すれば、P含有量が0.008質量%以下の低P鋼を得ることができる。また、上記製法を採用すれば、CaOの殆ど全てをスラグに溶解させることができるため、電気炉から排出されるスラグに含まれる未溶解のCaO含有量を0.5質量%以下に抑えることができる。従ってこのスラグを例えば路盤材の素材として再利用しても水浸膨張しない。電気炉からスラグを排出する時期も特に限定されず、電気炉に装入したスラグ造滓材が溶解し、溶鋼表面にスラグを形成した後であればよい。CaOは素早くスラグへ溶解するため、生成直後のスラグを電気炉外へ適宜排出してもスラグに含まれる未溶解のCaO含有量は殆ど変わらない。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例1
電気炉でスクラップを下記実験例1〜4に示す手順で溶解、精錬(脱P)し、低P鋼を製造した。なお、スクラップ100トンを溶解、脱Pするのに要する使用電力量は、スクラップ1トン当たり約500KWHである。
実験例1
電気炉にスクラップを100トン装入した後、CaOと大阪鋼灰社製のカルシウム・フェライトを投入してから通電を開始し、スクラップ1トン当たりの使用電力量が350KWHに達した時点で酸素ガスの吹き込みを開始した。酸素ガスの吹き込み量は、スクラップ1トン当たり0.30m3/分とした。CaOはスクラップ1トン当たり20kg装入し、カルシウム・フェライトはスクラップ1トン当たり10kg装入した。従ってCaOとカルシウム・フェライトを併用する場合の配合比(CaO/カルシウムフェライト)は、質量比で20/10=2である。なお、用いたカルシウム・フェライトは、CaOを31.9質量%と、Fe23を57.9質量%含んでいた。従ってCaOのトータル使用量は、スクラップ1トン当たりおおよそ23kgであった。
通電を開始してからスクラップ1トン当たりの使用電力量が350KWH、400KWH、440KWH、500KWHに達した時点で溶鋼を採取し、鋼中のP含有量を測定した。P含有量は発光分光分析装置を用いて測定した。P含有量の測定結果を使用電力量に対してプロットしたものを図1に示す。鋼中のP含有量は0.008質量%以下の場合を合格とする。なお、図1において使用電力量が0KWH/トンのときのP含有量は、スクラップに含まれるP含有量を意味している。
図1から次のように考察できる。スクラップ1トン当たりの使用電力量が400KWHに到達するまでに酸素ガスを吹き込めば、P含有量が0.005質量%程度の低P鋼を製造できた。
次に、低P鋼を製造した後、電気炉内に設けられた耐火物の劣化度合いを目視観察した。その結果、耐火物は殆ど損傷していなかった。また、低P鋼を製造した後、電気炉内に設けた黒鉛電極の消耗度合いを目視観察した。その結果、黒鉛電極の消耗は抑えられていた。
実験例2
上記実験例1において、酸素ガスの吹込み開始時期を、スクラップ1トン当たりの使用電力量が400KWHに達した時点とする以外は、同じ条件で鋼を製造した。
上記実験例1と同様にしてP含有量を測定し、測定結果を図2に示した。図2から次のように考察できる。スクラップ1トン当たりの使用電力量が400KWHに到達した時点以降に酸素ガスを吹き込むと、脱Pが進行せず、P含有量が0.008質量%以下の低P鋼は得られなかった。
なお、低P鋼を製造した後、電気炉内に設けられた耐火物の劣化度合いを目視で観察したところ、耐火物は殆ど損傷していなかった。また、電気炉内の黒鉛電極の消耗度合いを目視で観察したところ、黒鉛電極の消耗は抑えられていた。
実験例3
上記実験例1において、酸素ガスの吹込み開始時期を、スクラップ1トン当たりの使用電力量が200KWHに達した時点とする以外は、同じ条件で鋼を製造した。
上記実験例1と同様にしてP含有量を測定し、測定結果を図3に示した。図3に示すように、スクラップ1トン当たりの使用電力量が400KWHに到達するまでに酸素ガスを吹き込めば、P含有量が0.005質量%程度の低P鋼を製造できた。しかし、低P鋼を製造した後、電気炉内に設けられた耐火物の劣化の程度を目視で観察したところ、耐火物に損傷が認められた。また、電気炉内に設けられた黒鉛電極の消耗の程度を目視で観察したところ、黒鉛電極はかなり消耗していた。
実験例4
電気炉にスクラップを100トン装入した後、CaOを投入してから通電を開始し、スクラップ1トン当たりの使用電力量が350KWHに達した時点で酸素ガスの吹き込みを開始した。酸素ガスの吹き込み量は、スクラップ1トン当たり0.30m3/分とした。CaOはスクラップ1トン当たり20kg装入した。
P含有量を上記実験例1と同様に測定し、測定結果を図4に示した。図4から次のように考察できる。造滓材としてCaOのみを使用すると、スクラップ1トン当たりの使用電力量が400KWHに到達するまでに酸素ガスを吹き込んでも脱Pが進行せず、P含有量が0.008質量%以下の低P鋼は得られなかった。
次に、上記実験例1と実験例4において、スクラップ1トン当たりの使用電力量が450KWHの時点(この時点では、スクラップは完全に溶解している)で取り出したスラグの成分組成を次の方法で測定した。スラグ成分のうち、CaO、SiO2、Al23、T.Fe、MnOはICP法で、f−CaOはエチレングリコールでf−CaOのみを溶解させた後にICP法で、夫々測定した。測定結果を表1に示す。
スラグ成分組成の測定結果からスラグ中の塩基度(CaO/SiO2)を算出し、算出結果を下記表1に示す。
また、上記スラグを用い、JIS A 5015による水浸膨張試験を行って水浸膨張率を測定し、スラグの水浸膨張性を評価した。経過日数は50日として毎日スラグの水浸膨張率を測定し、水浸膨張率の変化度合いで水浸膨張性を評価した。
Figure 2007039706
表1から明らかなように、実験例1において途中で排出されるスラグには、未溶解のCaO(f−CaO)は殆ど含まれておらず、CaO含有量は0.5質量%以下であった。このスラグは水浸膨張が殆ど認められず、水浸膨張率の変化度合いはほぼ0%であり、路盤材として再利用できた。一方、実験例4において途中で排出されるスラグには、未溶解のCaOが2〜8質量%認められた。このスラグは水浸膨張試験を開始して数日後から水浸膨張が認められ、試験開始から10日目には水浸膨張率が約0.5%を超えており、路盤材として再利用できなかった。
実施例2
電気炉にスクラップを100トン装入した後、CaOのみ、またはCaOとカルシウム・フェライトを入れてから通電を開始し、スクラップ1トン当たりの使用電力量が表2に示した時点で酸素ガスの吹き込みを開始した。スクラップ1トン当たりの酸素ガスの吹き込み量を表2に示した。表2中、No.1〜8はCaOのみを使用した例であり、No.9〜15はCaOとカルシウム・フェライトを使用した例である。CaOはスクラップ1トン当たり20kg装入し、カルシウム・フェライトはスクラップ1トン当たり10kg装入した。従ってCaOとカルシウム・フェライトを併用する場合の配合比(CaO/カルシウムフェライト)は、質量比で20/10=2である。なお、用いたカルシウム・フェライトは、CaOを31.9質量%と、Fe23を57.9質量%含んでいた。従ってCaOのトータル使用量は、スクラップ1トン当たりおおよそ23kgである。
通電を開始してからスクラップ1トン当たりの使用電力量が440KWH、500KWHに達した時点でスラグを取り出し、次の方法でスラグの成分組成を測定した。スラグ成分のうち、CaO、SiO2、Al23、T.Fe、MnO、MgO、Cr23はICP法で、Sは燃焼赤外線吸収法で、P25は吸光光度法で、f−CaOはエチレングリコールでf−CaOのみを溶解させた後にICP法で、夫々測定した。測定結果を表3に示す。
上記スクラップ1トン当たりの使用電力量が440KWHに達した時点は、スクラップが完全に溶解した時点に相当し、下記表3では「MD」と表記した。また、使用電力量が500KWHに達した時点は、脱Pが終了した時点に相当し、下記表3では「OP末」と表記した。また、測定結果からスラグ中の塩基度(CaO/SiO2)を算出した結果も下記表3に示した。
次に、スクラップ1トン当たりの使用電力量が440KWHに達した時点で採取したスラグを用い、上記実施例1と同じ方法で水浸膨張試験を行い、水浸膨張性を評価した。なお、経過日数は120日とした。水浸膨張率を測定した結果を図5に示す。図5中、◇は表2のNo.2、□は表2のNo.5、△は表2のNo.7、+は表2のNo.9、▲は表2のNo.10、○は表2のNo.14の結果を夫々示している。
Figure 2007039706
Figure 2007039706
表2、表3および図5から次のように考察できる。No.1〜8は、本発明で規定する要件を満足しない例であり、スラグ造滓材としてCaOのみを使用しているため、電気炉から排出されるスラグには未溶解のCaOが多く、水浸膨張性は悪かった。一方、No.9〜15は、本発明で規定する要件を満足する例であり、スラグ造滓材としてCaOとカルシウム・フェライトを使用しているため、電気炉から排出されるスラグには未溶解のCaOが殆ど含まれておらず、水浸膨張性は良好であった。
次に、スラグ塩基度に対してスラグに含まれる未溶解のCaO量(f−CaO)をプロットしたものを図6に示す。図6中、◆は表2のNo.1〜8の結果、□は表2のNo.9〜15の結果を夫々示している。
図6から明らかなように、本発明で規定する要件を満足する例では、スラグ塩基度が変動してもスラグに含まれる未溶解のCaO量が0.5質量%以下に抑えられ、再利用性に優れたスラグも得ることができた。
図1は、実験例1において鋼中のP含有量の測定結果を示すグラフである。 図2は、実験例2において鋼中のP含有量の測定結果を示すグラフである。 図3は、実験例3において鋼中のP含有量の測定結果を示すグラフである。 図4は、実験例4において鋼中のP含有量の測定結果を示すグラフである。 図5は、水浸膨張率を測定した結果を示すグラフである。 図6は、スラグに含まれる未溶解のCaO量を測定した結果を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 電気炉でスクラップを溶解・精錬して低P鋼を製造するに当たり、
    CaOとカルシウム・フェライトを含むスラグ造滓材を使用し、且つ、前記スクラップが完全溶解する前に酸素ガスの吹き込みを開始して脱P精錬することを特徴とする低P鋼の製法。
  2. 電気炉でスクラップを溶解・精錬して低P鋼を製造するに当たり、
    CaOとカルシウム・フェライトを含むスラグ造滓材を使用し、且つ、スクラップ1トン当たりの使用電力量が400KWHに到達するまでに前記酸素ガスの吹き込みを開始して脱P精錬することを特徴とする低P鋼の製法。
  3. 前記酸素ガスの吹き込みを、スクラップ1トン当たりの使用電力量が300KWH以上となる時点から開始する請求項1または2に記載の製法。
  4. 前記酸素ガスの吹き込みを、スクラップ1トン当たり0.15〜0.45m3/分とする請求項1〜3のいずれかに記載の製法。
  5. P含有量が0.008質量%以下の低P鋼を得る請求項1〜4のいずれかに記載の製法。
  6. 電気炉から排出されるスラグに含まれる未溶解のCaO含有量を0.5質量%以下に抑える請求項1〜5のいずれかに記載の製法。
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