JP2007029312A - 浴槽 - Google Patents

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Abstract

【課題】 面倒な配設作業を必要とすることなく、お湯を冷めにくくして、いつでも暖かいお湯に入れるという快適性と省エネルギーを実現することができる。
【解決手段】 蓄熱・保温機能を有する蓄熱材を浴槽本体に担持させてなることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本願発明は、入浴の快適性と省エネルギーを向上させる浴槽に関するものである。
従来より、浴槽の製造は、熱硬化性樹脂と、充填剤、柄材、補強材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合した樹脂組成物を所望の注型用金型に注入し、加熱硬化させることによって成形することが知られている。浴槽を製造するための原料となる熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が一般に用いられている。
また、上記樹脂組成物を各種のガラス繊維やガラスマット、あるいはゲルコートと組み合わせ、ハンドレイアップ法やスプレイアップ法で樹脂型等を用いて成形硬化させることで得ることも知られている。
さらに、上記樹脂組成物と各種のガラス繊維との組み合わせてシート化してシートモールディングコンパウンド法(Sheet Molding Compound、SMC法)、もしくは、バルク化してバルクモールディングコンパウンド法(Bulk Molding Compound、BMC法)により、高温高圧プレス下で成形硬化して得ること等が知られている。
さらにまた、熱可塑性の樹脂板(アクリル板)を、成形型を用いて、真空成形法や圧空成形法、あるいは真空圧空成形法で成形して得ることも知られている。
近年、このような浴槽に各種の機能を付与して一層の快適性を与えるための工夫が図られてきており、たとえば、界面平滑性をより高めて汚れをつきにくくしたり、付着した汚れを落ちやすくして掃除を容易にして快適性を追求したものなどが知られている。また、浴槽の裏面に発泡性樹脂を吹き付けたり、発泡材を貼り付けたりして断熱性を高め、お湯をさめにくくして、いつでも暖かいお湯に入れるようにしたもの、また、浴槽に腰掛け部や枕部を成形一体化して形状的に入浴の快適性を追求したもの等がある。
しかしながら、上記のお湯を冷めにくくして、いつでも暖かいお湯に入れる快適性を追求した従来の方法、すなわち、浴槽裏面に発泡性樹脂を吹き付けたり、また、発泡材料を貼り付けたりする方法は、非常に手間がかかる作業を伴い、コスト高で生産効率が極端に低下するものである。この快適性機能を浴槽成形とともに付与する、すなわち、浴槽自体にその機能を付与するものが切望される状況にある。
現在、世の中が高齢化社会へと移行する中にあって、入浴時の快適性の要求はますます強くなっていく傾向にあり、また、地球温暖化を引き起こす炭酸ガスの排出量を押さえるために叫ばれている省エネルギーの面からもお湯を冷めにくくして、いつでも暖かいお湯に入れるという機能付与と快適性はますます求められる状況にある。
そこで、たとえば、内槽とこの内槽を被嵌する外槽とから構成される浴槽において、内槽と外槽との間に蓄熱材を内装した浴槽が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、この特許文献1のような蓄熱材を内装した浴槽は、浴槽に一体的に配設されたものではないため、別途配設する必要があり、その配設作業が面倒であるという問題があった。
特開昭57−134131号公報
そこで、本願発明は上記のとおりの背景から、従来の問題点を解消し、面倒な配設作業を必要とすることなく、お湯を冷めにくくして、いつでも暖かいお湯に入れるという快適性と省エネルギーを実現することができ、しかも、コストダウンと生産効率をあげることができる、新しい浴槽を提供することを課題としている。
本願発明は、上記の課題を解決するものとして、以下のことを特徴とする浴槽を提供する。
第1:蓄熱・保温機能を有する蓄熱材を浴槽本体に担持させる。
第2:蓄熱材を、浴槽本体を構成する樹脂中に混入させることによって、浴槽本体に担持させる。
第3:蓄熱材を、塗料中に混入させて浴槽本体表面に塗布することによって、浴槽本体に担持させる。
第4:蓄熱材は、マイクロカプセル内に封入されている。
第5:蓄熱材の配合量が、樹脂100重量部に対して5〜20重量部の範囲である。
第6:蓄熱材の配合量が、塗料100重量部に対して5〜20重量部の範囲である。
第7:蓄熱材は、融点が35〜55℃の範囲である相変化物質を含む。
上記のとおりの本願第1の発明によれば、蓄熱材を浴槽本体に担持させることで、面倒な配設作業を必要とすることなく、従来にない蓄熱・保温機能を有した浴槽を得ることができ、お湯をさめにくくして、ほぼいつでも暖かいお湯に入れる機能をもち、また、お湯がさめにくくなるので、沸かし直す手間が削減され、その分省エネルギーにつながることになる。
第2、3の発明によれば、上記第1の発明の効果を、さらに効率よく発揮させることができる。
また、第4、5の発明によれば、上記第2または第3の発明の効果を、さらに効率よく発揮させることができる。
第6の発明によれば、上記第1から5の発明の効果に加え、さらに効率よく発揮させることができ、しかも混合均一性や浴槽の性能均一性、保持をも向上させることができる。
第7の発明によれば、上記第1から6の発明の効果を、さらに確実に発揮させることができる。
本願発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について詳述する。
本願発明の浴槽は、蓄熱材の蓄熱・保温機能を浴槽に活用して、お湯をさめにくくして、いつでも暖かいお湯に入れる快適性を発揮する機能を付与させたものである。また、お湯がさめにくくなるので、沸かし直す手間が削減され、その分省エネルギーにつながることになる機能を付与させたものである。
すなわち、本願発明の浴槽は、蓄熱・保温機能を有する蓄熱材を、浴槽本体に担持させてなることを特徴としている。
具体的には、本願発明の浴槽は、蓄熱材を浴槽本体を構成する樹脂中に混入させてこれを成形してなる浴槽と、蓄熱材をアクリルクラッカー、アクリルウレタン、ウレタン、塩素化ポリオレフィン等の任意の塗料中に混入させて浴槽本体表面に塗布してなる浴槽とがあり、これによって浴槽自身が、蓄熱材が有する各種の効果を発揮することとなる。
なお、塗料中に蓄熱材を混入配合して塗布する方法としては、通常のスプレー法や刷毛塗り法等でよく、特に限定されるものではない。また、塗装する表面を、サンドペーパーやサンドブラスト等の方法で研磨して、下地処理を施してもよい。このような下地処理は、基材(浴槽本体表面)への塗膜の密着性が向上することから好ましい。また、浴槽の表面性を上げるため、下塗り、中塗り、上塗り等多層塗布することも好ましい。
ここで、蓄熱材の配合量(添加量)は、特に限定されるものではなく、製造面や製品の性能面に大きく影響しない範囲であれば、どの配合量でも可能であるが、影響の少ない範囲内で最大の配合量を設定することが好ましい。これは、蓄熱材の配合量の多いほうが、浴槽に付与する蓄熱・保温は大きくなるからである。具体的な配合量としては、たとえば、樹脂中に混入配合する場合は、樹脂100重量部に対して5〜20重量部の範囲で、また、塗料中に混入配合する場合は、塗料100重量部に対して5〜20重量部の範囲とする。
また、本願発明の浴槽における蓄熱材は、相変化物質(phase changematerial)の凝固、融解にともなう潜熱の吸収放出を利用するもので、また、蓄熱材の成分や構成度合いによって、融点や凝固点、潜熱量を適宜設計することができるものであり、蓄熱材の種類や構成を特に限定されるものではない。
しかし、融点の度合いは浴槽としての機能性を保つものとして重要で、本願発明では蓄熱材を構成する相変化物質の融点を35〜55℃とするものである。望ましくは、快適なお湯の温度付近である、40〜45℃で設計する。
また、蓄熱材は、樹脂(具体的には、後述する樹脂組成物)に添加配合されて用いるが、熱硬化性樹脂等の樹脂の硬化反応を阻害しない形で、その樹脂組成物中に存在していることが望ましいことから、本願発明では蓄熱材はマイクロカプセルに封入されている、すなわち、蓄熱材封入マイクロカプセルとする。
蓄熱材封入マイクロカプセルは、たとえば、三木理研工業(株)の「PMCD」(製品名)シリーズの蓄熱用マイクロカプセル等の市販品としても入手することができる。たとえば、この「PMCD」シリーズの蓄熱用マイクロカプセルの場合には、パラフィンを芯物質とし、メラミン樹脂を壁剤として被覆した構造を有している。芯物質としてのパラフィンの融点(凝固点)を変更することで蓄熱温度を調整することができる。
たとえば、「PMCD」シリーズとして例示されるこれらの蓄熱材封入マイクロカプセルは熱硬化性樹脂組成物に添加配合されて用いるが、蓄熱材がマイクロカプセルの中に封入・隔離された形態となっているため、熱硬化性樹脂の硬化反応を阻害しない形でその樹脂組成物中に存在して、蓄熱・保温の効果を発揮することができる。
さらに、混合均一性の観点や、浴槽の性能均一性、保持の観点から、この蓄熱材封入マイクロカプセルの平均粒径が、1〜300μmの範囲とすることがさらに好ましい。塗料に混入配合する場合、蓄熱材の平均粒径を1〜300μmの範囲とすることで、塗布面の均一性、基材(浴槽本体)との密着性を向上させることができる。平均粒径が300μmを超えると、塗布面が不均一になりやすく、基材(浴槽本体)との密着性が低下することがある。また、平均粒径が1μmを下回ると、その取り扱いが困難になることがある。
本願発明の浴槽を構成する樹脂は、たとえば、熱硬化性樹脂であり、さらに添加物として少なくとも充填剤を配合してなることを特徴とし、その他の添加物として、たとえば、柄材、補強材、内部離型剤、硬化剤等を添加することもできる。もしくは、樹脂は、熱可塑性アクリル樹脂を用いてもよい。これらによって、浴槽の強度や成形性を向上させることができる。
ここで、この熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、熱硬化型アクリル樹脂の内の少なくともいずれか単独、または、これら2種類以上の混合物、もしくは、エポキシ樹脂を用いることができる。
不飽和ポリエステル樹脂としては、たとえば、無水マレイン酸のような不飽和二塩基酸および無水フタル酸のような飽和二塩基酸とグリコール類とを縮合反応させて合成され、分子内に不飽和結合とエステル結合を有するものである。通常、これらの樹脂には架橋剤としてスチレンモノマー、アクリルモノマー等が配合されている。もちろん、特にこのような組成に限定されるものではない。
ビニルエステル樹脂としては、たとえば、代表的には、ビスフェノール型ビニルエステル樹脂あるいはノボラック型ビニルエステル樹脂あるいはその両方を混合して用いることができる。ここで、ビスフェノール型ビニルエステル樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂と酸との付加反応物であって、いずれも両末端のみに反応性不飽和基を有するものである。また、ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型、ビスフェノールF型等の各種のものを用いることができる。また通常、このビニルエステル樹脂には架橋剤としてスチレンモノマー、アクリルモノマー等が配合されているものであるが、その組成は、特に限定されるものではない。
熱硬化型アクリル樹脂としては、たとえば、メチルメタアクリレートモノマーあるいは、多官能のアクリルモノマー、あるいはプレポリマー、あるいはポリマーのそれぞれ2種以上の混合物で構成されたアクリルシロップと称されるものを用いることができる。その組成は、特に限定されるものではない。
不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、熱硬化型アクリル樹脂の2種類以上の混合物とする場合は、樹脂それぞれの特性および充填剤との相互作用あるいは、混入配合する蓄熱材との相互作用などにより浴槽としての使用目的に合った最適配合が求められるが、その配合量は特に限定されるものではない。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等、特に限定されることなく、その1種または2種以上のいずれも用いることができる。エポキシ樹脂の硬化剤は、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどのアミン系、無水フタル酸、テトラ及びヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、無水HET酸、ドデセニル無水コハク酸などの酸無水物系、ダイマー酸とポリアミンの縮合体として形成されるポリアミド系などに分類されるが、これらの種類は特に限定されるものではない。
しかし、通常、常温〜中温硬化系ではアミン系硬化剤を、高温系では硬化反応が緩やかで大型の成形品でも硬化歪みの少ない成形品が得られる酸無水物系硬化剤を選定し用いることが好ましい。
以上のような熱硬化性樹脂とともに主成分の一つとして配合される充填剤も、上記同様に従来公知のものをはじめとして各種のものが使用可能であるが、より好ましくは、水酸化アルミニウム、シリカ、ガラスパウダー、炭酸カルシウムの内の少なくともいずれか単独、あるいは2種類以上の混合物として用いることができる。
そしてまた、本願発明では樹脂組成物を構成する充填剤は、その平均粒径が1〜100μmの範囲のものを用いることが好適に考慮される。
充填剤の粒径は、小さいほど浴槽の耐衝撃強度を向上することができるが、浴槽用樹脂組成物の粘度を急激に上昇させて製造が困難となる傾向になるため、本願発明では望ましくは平均粒径の下限を1μmとする。
また一方、充填剤の粒径が大きくなると、浴槽用樹脂組成物の粘度は低下して製造の問題はなくなるが、浴槽の耐衝撃強度が低下してしまう傾向になる。従って、本願発明では、望ましくは平均粒径の上限を100μmとする。また、充填剤の表面にあらかじめシランカップリング処理を施したものを用いると、その充填剤と樹脂との密着性を向上できて浴槽の耐衝撃強度を向上させることができる。
このような浴槽の製造方法としては、まず、樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合には、上記のとおり、熱硬化性樹脂に少なくとも充填剤を配合し、これに蓄熱材を混入配合して樹脂組成物とし、この樹脂組成物を、たとえば、注型成形法、または、シートモールディングコンパウンド法(SMC法)、もしくは、バルクモールディングコンパウンド法(BMC法)によって成形することで、本願発明の浴槽を、効率よく製造することができ、コストダウンと生産効率をあげることができる。
ここで、注型成形法は、常温または中温領域で、かつ、常圧下または低圧下の領域で、上記樹脂組成物を注型金型に注入して成形硬化させる方法である。また、SMC法は、上記樹脂組成物をSMC化してプレス金型に設置して、高温高圧下で成形硬化する方法であり、BMC法は、上記樹脂組成物をBMC化して、SMC法と同様にプレス金型に設置して、高温高圧下で成形硬化する方法である。また、このSMC法とBMC法では、作業性や成形性を優れたものにするために、樹脂中の酸(カルボキシル基)および水酸基を利用して、これと反応する無機または有機の化合物を加えて分子量を増大させる増粘操作が必要である。不飽和ポリエステル樹脂は、分子骨格にあるカルボキシル基を利用して、アルカリ土金属酸化物および水酸化物、すなわち酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カリウム、酸化亜鉛等を適宜に添加配合して増粘操作を行うことができる。
ビニルエステル樹脂とエポキシ樹脂は、ビスフ工ノール型の場合、分子骨格の中の水酸基を利用してイソシアネート基によるウレタン増粘法で増粘操作を行うことができる。
熱硬化型アクリル樹脂および分子骨格中に水酸基を含まないビニルエステル樹脂、あるいは、エポキシ樹脂は、分子骨格中にカルポキシル基や水酸基をペンダントさせる樹脂の改質を行ったものを用いることができる。もちろん、本願発明は、これら増粘の方法等で特に限定するものではない。
また、本願発明の浴槽においては、熱硬化性樹脂を用いる場合として、熱硬化性樹脂に充填剤を加え、さらにガラス繊維やガラスマット、ゲルコート等を配合し、蓄熱材を混入配合して樹脂組成物とし、この樹脂組成物をハンドレイアップ成形法、または、スプレーアップ成形法によって成形することでも、本願発明の浴槽を効率よく製造することができる。
このハンドレイアップ成形法、スプレーアップ成形法は、常温または中温領域で、かつ、常圧下または低圧下で成形硬化する。
さらに、本願発明の浴槽の製造方法において、熱可塑性アクリル樹脂を用いる場合は、この熱可塑性アクリル樹脂に蓄熱材を混入配合して樹脂組成物とし、この樹脂組成物を真空成形法、または、圧空成型法、もしくは、真空圧空成形法によって成形する。具体的には、たとえば、この樹脂組成物を板状(アクリル板)に成形して、浴槽型の金型を用いて、真空成形法、または、圧空成型法、もしくは、真空圧空成形法によって成形することができる。このアクリル板は、キャスト板と押出板とに分けられ、また、耐衝撃性、帯電防止性、耐擦傷性、耐燃焼性、耐熱性等が改良された各種グレードの異なるものがあるが、本願発明の浴槽では、これら板の種類を限定するものではなく、適宜にこれら板のそれぞれの製造過程で、蓄熱材を混入配合して成形してものであれば使用することができる。
また、熱可塑性アクリル樹脂を用いる場合においても、上記のとおりの各種の添加剤を適宜に添加することで、より高い強度と高い耐煮沸性能を有した浴槽を、効率よく製造することができ、コストダウンと生産効率をあげることができる。
そして、本願発明における樹脂組成物には、充填剤以外にも、上記のとおり、各種の添加成分が配合されてよい。具体的には、たとえば、樹脂組成物には硬化剤を使用することができる。前述のエポキシ樹脂以外の樹脂系については、硬化剤として1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサエートやt−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等を用いることができる。この硬化剤の配合割合は、たとえばビニルエステル樹脂の場合は、樹脂100重量部に対して0.5〜5重量部とするのが好ましい。また、樹脂組成物には、その他に柄材、紫外線吸収剤、減粘剤、離型剤、ガラス繊維、着色剤等を配合することもできる。
減粘剤としては、たとえば、BYK製の「W996」を、離型剤としては、たとえば中京油脂製の商品名「セパール」を、ガラス繊維としては例えば日本板硝子製の品番「RES03X−BM」を用いることができる。
また、紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾエート系、サリレート系、シアノアクリレート系、シュウ酸アニリド系、ベンゾフェノン系等のものを用いることができる。
本願発明の浴槽における樹脂組成物は、これらの配合物を所定の割合で配合し、攪拌機等により混合攪拌して配合調整する。この樹脂組成物から本願発明の浴槽を製造するに当たっては、通常は、たとえば以下の手順とすることができる。すなわち、まず、その配合調整された樹脂組成物を、たとえば30〜50Torr程度の減圧下で真空脱泡の処理をする。このようにして脱泡処理された樹脂組成物を、減圧状態から開放し、所定形状の金型へ注入して、この金型を、たとえば50〜110℃の温度で50〜150分間加熱する。加熱することにより樹脂組成物中の上記熱硬化性樹脂中の反応性不飽和基と、同じく樹脂中の重合性モノマーとの共重合反応、あるいはエポキシ樹脂の場合はエポキシ樹脂と硬化剤との付加重合反応を進行させて樹脂組成物の硬化成形を行うことができる。
このようにして得られた成形品(すなわち、本願発明の浴槽)は、面倒な配設作業を必要とすることなく、従来にない蓄熱・保温機能を有した浴槽であり、お湯をさめにくくして、暖かいお湯に入れる機会を増やす機能をもち、また、お湯がさめにくくなるので、沸かし直す手間が削減され、その分省エネルギーにつながる。
そして、浴槽の製造面では従来のような浴槽裏面に発泡性樹脂を吹き付けたり、発泡材を貼り付けたりする作業がなくなり、コストダウンと生産効率をあげることもできる。
なお、本願発明の浴槽を製造する際に添加する充填剤や、ガラス繊維、低収縮剤、内部離型剤、増粘剤、柄剤、着色剤、硬化材等の添加剤は、熱硬化性樹脂を用いる場合と、熱可塑性アクリル樹脂を用いる場合を考慮して、適宜にその種類や配合量を調節して配合することで、高い強度および高い耐煮沸性能を有した浴槽を効率よく製造することができる。
そこで以下、本願発明の浴槽を実施例によって詳述する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。
(実施例1)
浴槽の構成成分である樹脂としてメタクリル酸メチル単量体を用い、これにマイクロカプセル内に蓄熱材を封入してなる蓄熱材封入マイクロカプセル(三木理研工業(株)製 リケンレジン PMCD−47SP、平均粒径=40μm、融点=47℃)を、その単量体100重量部に対して、8重量部添加配合し、重合開始剤として過酸化ベンゾイルを1.0重量部添加配合した樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物を注型板製造用で2枚の強化ガラスと軟質ビニルチューブのガスケットからなるセルと呼ばれる型を用い、型の注入口を上にして設置して、注入ロから型内へ流し込んだ。これを70〜80℃に加熱して、重合反応を進行させて、蓄熱材封入マイクロカプセル含有のアクリル板(板厚=5mm)を得た。
次に得られたこのアクリル板を、浴槽成形用の真空成形金型に設定し、真空成形の一連の操作を経て、蓄熱材封入マイクロカプセル含有の浴槽(FRA浴槽)を得た。
(実施例2)
熱硬化性樹脂として、ビニルエステル樹脂(昭和高分子(株)製 リポキシR−804)と、不飽和ポリエステル樹脂(武田薬品(株) ポリマール5250)を85/15の配合比で混合し、この混合樹脂100重量部に対し、充填剤として、水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製 H−320、平均粒径10μm)を120重量部、同じくシリカ(龍森(株)製 CRYSTALITE M−3K、平均粒径20μm)を10重量部配合した。
更に、蓄熱材封入マイクロカプセル(三木理研工業(株)製 リケンレジン PMCD−47SP、平均粒径=40μm、融点=47℃)を10重量部、硬化剤(日本油脂(株)製 パーキュアHO)を2.0重量部添加して樹脂組成物を得た。
これを20Torrの減圧下で30分間真空脱泡処理し、注型成形用の浴槽金型内に注入して金型温度を80〜100℃に加熱し、重合反応を進行させて硬化させ、蓄熱材封入マイクロカプセル含有の浴槽(注型浴槽)を得た。
(実施例3)
熱硬化性樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂(武田薬品(株)製 プロミネートP−311)を用い、この樹脂100重量部に対し、充填剤として、水酸化アルミニウム(日本軽金属(株)製 B−153、平均粒径15μm)を150重量部、炭酸カルシウム(日東粉化(株)製 NS−100、平均粒径2.12μm)を100重量部、さらに、蓄熱材封入マイクロカプセル(三木理研工業(株)製 リケンレジン PMCD−47SP、平均粒径=40μm、融点=47℃)を、その単量体100重量部に対して12重量部添加配合した。
これに、低収縮剤(日本油脂(株)製 モデイバーSV10B)を20重量部、また、増粘剤としてMgOを0.5重量部、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛を3重量部、硬化剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂(株)製 パーブチルZ)3重量部添加し、補強剤としてガラスロービング(日本電気硝子(株)製 ERS−235)から繊維長13mmにカットしたガラスチョップドストランドを30重量部を散布してSMC基材を作成し、40℃で70時間養生してSMCを得た。
これを、浴槽金型を設置したプレス成形機にセットし、コア型の温度=130℃、キヤビ型の温度=120℃、成形圧力=90kgf/cm、成形時間=5分の成形条件下で成形し、蓄熱材封入マイクロカプセル含有の浴槽(SMC浴槽)を得た。
(実施例4)
熱硬化性樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂(大日本インキ化学工業(株)製 ポリライトPB−301)を用い、この樹脂100重量部に対し、充填剤として、水酸化アルミニウム(日本軽金属(株)製 B−153、平均粒径15μm)を100重量部、炭酸カルシウム(日東粉化(株)製 NS−100、平均粒径2.12μm)を100重量部、蓄熱材封入マイクロカプセル(三木理研工業(株)製 リケンレジン PMCD−47SP、平均粒径=40μm、融点=47℃)を15重量部を添加配合した。
これに、低収縮剤(日本油脂(株)製 モデイパーM202S)を10重量部、また、増粘剤としてMgOを0.5重量部、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛を3重量部、硬化割としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂(株)製 パーブチルZ)3重量部添加し、補強剤としてガラスロービング(日本電気硝子(株)製 ERS−235)から繊維長6mmにカットしたガラスチョップドストランドを18重量部を散布してBMC基材を作成し、40℃で55時間養生してBMCを得た。
これを、浴槽金型を設置したプレス成形機にセットし、コア型の温度=135℃、キヤビ型の温度=125℃、成形圧力=95kgf/cm、成形時間=5分の成形条件下で成形し、蓄熱材封入マイクロカプセル含有の浴槽(BMC浴槽)を得た。
(実施例5)
熱硬化性樹脂として、アクリルシロップ樹脂(日本フエロー(株)製 AC−02)を用い、この樹脂100重量部に対し、充填剤として、シリカ(龍森(株)製 CRYSTALITE M−3K、平均粒径20μm)を100重量部配合し、さらに、蓄熱材封入マイクロカプセル(三木理研工業(株)製 リケンレジン PMCD−47SP、平均粒径=40μm、融点=47℃)を10重量部、硬化剤(化薬アクゾ(株)製 パーカドックス16)を1.5重量部添加して注型用樹脂組成物を得た。
これを20Torrの減圧下で40分間真空脱泡処理し、注型成形用の浴槽金型内に注入して金型温度を50〜100℃に加熱し、重合反応を進行させて成形硬化させ蓄熱材封入マイクロカプセル含有の浴槽(注型浴槽)を得た。
(実施例6)
上記の実施例3の蓄熱材封入マイクロカプセルを添加配合しない配合系を用い、他の条件は同様にして蓄熱材封入マイクロカプセルを含有しないSMC浴槽を得た。
そして、この浴槽の表面にスプレーガンを用いて、ポリウレタン系塗料(ミクニペイント(株)製 ポリデユール)に蓄熱材封入マイクロカプセル(三木理研工業(株)製 リケンレジン PMCD−47SP、平均粒径=40μm、融点=47℃)を、樹脂組成物100重量部に対して7重量部添加配合したものを、塗布量膜厚平均120μmで塗装した。
こうして、蓄熱材封入マイクロカプセル含有の塗装表面を持つ浴槽(塗装SMC浴槽)を得た。
(比較例1〜6)
上記の実施例1〜6について、蓄熱材封入マイクロカプセル成分を添加しない以外は同一の配合組成および成形条件で、比較例1〜6の浴槽成形品を得た。
(評価試験)
以上の各実施例および各比較例にて得られた浴槽成形品(実施例1〜6、比較例1〜6:計12台)について、300×300サイズのサンプル片を切り出し、それを50℃の温水に1時間浸漬保持し、その後、取り出して25℃の室温下で、そのサンプル片の温度低下について、測定した。
結果は、表1のとおりであった。いずれも、蓄熱材封入マイクロカプセル含有のサンプル板の方が、その効果により保温性を維持していることが分かった。
Figure 2007029312

Claims (7)

  1. 蓄熱・保温機能を有する蓄熱材を浴槽本体に担持させてなることを特徴とする浴槽。
  2. 蓄熱材を、浴槽本体を構成する樹脂中に混入させることによって、浴槽本体に担持させてなる請求項1記載の浴槽。
  3. 蓄熱材を、塗料中に混入させて浴槽本体表面に塗布することによって、浴槽本体に担持させてなる請求項1記載の浴槽。
  4. 蓄熱材の配合量が、樹脂100重量部に対して5〜20重量部の範囲である請求項2に記載の浴槽。
  5. 蓄熱材の配合量が、塗料100重量部に対して5〜20重量部の範囲である請求項3に記載の浴槽。
  6. 蓄熱材は、マイクロカプセル内に封入されている請求項1から5いずれかに記載の浴槽。
  7. 蓄熱材は、融点が35〜55℃の範囲である相変化物質を含む請求項1から6いずれかに記載の浴槽。
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