JP2007015292A - 制振材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、優れた制振性及び軽量性を備えており、種々の曲面に対して密着性に優れた制振材を提供する。
【解決手段】 本発明の制振材は、合成樹脂発泡シートの一面に粘弾性シートが積層一体化されてなることを特徴とするので、制振材に伝達された振動エネルギーは、合成樹脂発泡シートの剛性及び粘弾性シートの粘弾性の相乗効果によって円滑に吸収されて優れた制振性を発揮すると共に、軽量性に優れており自動車用途などのように軽量化が求められる用途においても好適に用いることができ、更に、成形性にも優れており所望形状に成形して種々の形状を有する振動体の表面に貼着させて振動体の制振を図ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の制振材は、合成樹脂発泡シートの一面に粘弾性シートが積層一体化されてなることを特徴とするので、制振材に伝達された振動エネルギーは、合成樹脂発泡シートの剛性及び粘弾性シートの粘弾性の相乗効果によって円滑に吸収されて優れた制振性を発揮すると共に、軽量性に優れており自動車用途などのように軽量化が求められる用途においても好適に用いることができ、更に、成形性にも優れており所望形状に成形して種々の形状を有する振動体の表面に貼着させて振動体の制振を図ることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、特に250Hz以上の周波数帯において優れた制振性を発揮すると共に、柔軟性に優れており、様々な形状を有する曲面に対して良好な密着性を有する制振材に関する。
従来から、電化製品ではモーターなどの駆動装置の振動を低減させるために制振材が用いられており、その他に、建築用途では、折板屋根などにおける雨音の低減のために制振材が、自動車用途では、走行中に発生する振動によって屋根や扉などが微振動することに起因する振動音やエンジンなどの駆動系の振動を低減するために制振材が用いられている。
このような制振材としては、特許文献1に、ゴム又は熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂及び無機粉体からなる制振性シート基材の一面にポリエチレンテレフタレート樹脂層が積層されてなる折板屋根用制振シートが提案されている。
この制振シートは、その内部に無機粉体を含有させることによって振動エネルギーを熱的損失に変換するものであることから、比重が1g/cm3以上であり軽量性に欠けるといった問題点があった。
又、上述の制振シートの他に、比重の大きな制振シートを、振動する対象物(振動体)に貼着させることによって振動体の振動を緩和させることも行なわれているが、制振シートの軽量性に欠けるという点では同様であった。
本発明は、優れた制振性及び軽量性を備えており、種々の曲面に対する密着性に優れた制振材を提供する。
本発明の制振材Aは、図1に示したように、合成樹脂発泡シートBの一面に粘弾性シートCが積層一体化されてなる。
上記合成樹脂発泡シートBを構成する合成樹脂としては、特に限定されないが、熱可塑性樹脂が好ましく、このような熱可塑性樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体などのポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、石油樹脂などが挙げられ、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリプロピレン系樹脂を含有していることがより好ましく、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とを併用することが特に好ましい。なお、熱可塑性樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
なお、プロピレンと共重合されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィン等が挙げられる。
更に、合成樹脂発泡シートBを構成する合成樹脂として、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とを併用する場合には、ポリプロピレン系樹脂として、アイソタクチックホモポリプロピレンとプロピレン−α−オレフィン共重合体とを併用することが好ましく、ポリプロピレン系樹脂として、アイソタクチックホモポリプロピレンとプロピレン−α−オレフィン共重合体とを併用し且つポリエチレン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレンを用いることがより好ましい。
そして、上記合成樹脂発泡シートBの密度は、大きいと、制振材の軽量性が低下することがあるので、0.1g/cm3以下が好ましく、0.02〜0.1g/cm3がより好ましい。
合成樹脂発泡シートBの厚みは、薄いと、制振材の制振性や機械的強度が低下することがある一方、厚いと、制振材の軽量性が低下することがあるので、1〜3mmが好ましく、2〜3mmがより好ましい。
更に、制振材の軽量性を向上させるために、上記合成樹脂発泡シートBには無機充填剤を含有していないことが好ましい。このような無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩(カオリン、タルクなど)、ケイ酸(珪藻土、軽質無水ケイ酸、ホワイトカーボンなど)、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどが挙げられる。
上記合成樹脂発泡シートBの製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、合成樹脂及び熱分解型発泡剤を押出機に供給して溶融混練して発泡性樹脂シートを押出し、必要に応じて、この発泡性樹脂シートに電子線、α線、β線などの電離性放射線を照射することによって発泡性樹脂シートを架橋した後、発泡性樹脂シートを熱分解型発泡剤の分解温度以上の温度に加熱して、発泡性樹脂シートを発泡させて合成樹脂発泡シートBを製造する方法、熱可塑性樹脂及び物理型発泡剤を押出機に供給して溶融、混練して押出発泡により合成樹脂発泡シートBを製造する方法などが挙げられる。
なお、上記熱分解型発泡剤としては、従来から発泡体の製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などが挙げられ、これらは単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
上記物理型発泡剤としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、1,1,2−トリメチルシクロプロパン、メチルシクロプロパン、エチルシクロブタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、モノクロロジフルオロメタン、1,1,1−トリクロロトリフルオロエタン、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン、1,2−ジクロロテトラフルオロエタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素;ジメチルエーテル、2−エトキシエタノールなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類;二酸化炭素、窒素などの不活性ガスなどが挙げられる。
そして、上記合成樹脂発泡シートBの一面には粘弾性シートCが積層一体化されている。この粘弾性シートCとしては非発泡のものが好ましく、又、粘弾性シートCを構成する材料としては、特に限定されず、ブチルゴム、C5〜C9系石油樹脂、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、再生ゴム、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ブローンアスファルトなどが挙げられ、常温における粘弾性特性に優れていることから、ブチルゴムを含有することが好ましく、ブチルゴム及び石油樹脂を含有することがより好ましく、ブチルゴム、石油樹脂及びアスファルトを含有することが特に好ましい。
更に、粘弾性シートCがブチルゴムを含有する場合、ブチルゴムの粘弾性シート中における含有量は、少ないと、制振材の制振性が低下することがあるので、20重量%以上が好ましく、40重量%以上がより好ましい。
又、粘弾性シートCがブチルゴム及び石油樹脂を含有する場合、ブチルゴムの粘弾性シート中における含有量は、少ないと、制振材の制振性が低下することがある一方、多いと、粘弾性シートの製造時に樹脂の流動性が大きくなって粘弾性シートの成形が困難となることがあるので、40〜95重量%が好ましく、60〜80重量%がより好ましい。
更に、粘弾性シートCがブチルゴム及び石油樹脂を含有する場合、石油樹脂の粘弾性シート中における含有量は、少ないと、粘弾性シートの製造時に樹脂の流動性が大きくなって粘弾性シートの成形が困難となることがある一方、多いと、粘弾性シートの製造時に樹脂の流動性が小さくなって粘弾性シートの成形が困難となることがあるので、5〜60重量%が好ましく、20〜40重量%がより好ましい。
そして、粘弾性シートCがブチルゴム、石油樹脂及びアスファルトを含有する場合、ブチルゴムの粘弾性シート中における含有量は、少ないと、制振材の制振性が低下することがある一方、多いと、粘弾性シートの製造時に樹脂の流動性が大きくなって粘弾性シートの成形が困難となることがあるので、20〜90重量%が好ましく、40〜80重量%がより好ましい。
更に、粘弾性シートCがブチルゴム、石油樹脂及びアスファルトを含有する場合、石油樹脂の粘弾性シート中における含有量は、少ないと、粘弾性シートの製造時に樹脂の流動性が大きくなって粘弾性シートの成形が困難となることがある一方、多いと、粘弾性シートの製造時に樹脂の流動性が小さくなって粘弾性シートの成形が困難となることがあるので、5〜40重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。
また、粘弾性シートCがブチルゴム、石油樹脂及びアスファルトを含有する場合、アスファストの粘弾性シート中における含有量は、少ないと、制振材の剛性が低下することがある一方、多いと、粘弾性シートの製造時に樹脂の流動性が小さくなって粘弾性シートの成形が困難となることがあるので、5〜50重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。
又、粘弾性シートCの厚みは、薄いと、制振材の制振性が低下することがある一方、厚いと、制振材の軽量性が低下することがあるので、0.3〜2mmが好ましい。
更に、制振材Aの軽量性を向上させるために、上記粘弾性シートCには無機充填剤を含有していないことが好ましい。このような無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩(カオリン、タルクなど)、ケイ酸(珪藻土、軽質無水ケイ酸、ホワイトカーボンなど)、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどが挙げられる。
上記粘弾性シートCの製造方法としては、特に限定されず、例えば、粘弾性シートを構成する材料を汎用の混練装置に供給して溶融混練し、シート状に成形する方法が挙げられる。なお、上記混練装置としては、例えば、ニーダ、押出機などが挙げられる。
そして、合成樹脂発泡シートBの一面に粘弾性シートCを積層一体化する方法としては、特に限定されず、合成樹脂発泡シートBと粘弾性シートCとを両面テープを介して積層一体化する方法、合成樹脂発泡シートBと粘弾性シートCとを接着剤を介して積層一体化する方法、合成樹脂発泡シートBの一面に粘弾性シートCを該粘弾性シートの粘着力でもって積層一体化する方法などが挙げられる。
そして、上記制振材Aは、その粘弾性シートCが振動体側となるように、粘弾性シートCの粘着力により、或いは、両面粘着テープや粘着剤などを介して振動体に貼着されることによって優れた制振性を発揮する。
本発明の制振材は、上述の如き構成を有していることから、制振材に伝達された振動エネルギーは、合成樹脂発泡シートの剛性及び粘弾性シートの粘弾性の相乗効果によって円滑に吸収されて優れた制振性を発揮する。
しかも、本発明の制振材は、合成樹脂発泡シートとこの合成樹脂発泡シートの一面に積層一体化された粘弾性シートとによって構成されており、無機充填材を含有する必要がないことから、軽量性に優れており自動車用途などのように軽量化が求められる用途においても好適に用いることができると共に、成形性にも優れており所望形状に成形して種々の形状を有する振動体の表面に貼着させて振動体の制振を図ることができ、更に、制振材を廃棄するにあたっても分別処理を容易に行うことができる。
(実施例1)
ブチルゴム(JSR社製 商品名「ブチル268」)50重量部、C9系石油樹脂(東邦化学社製 商品名「PM−900」)25重量部、及び、ブローンアスファルト25重量部を高圧ニーダーに供給して連続混練した。この高圧ニーダーから出てきた粘弾性材料を、片面が離型処理された離型紙の離型処理面上にキャスティングし、厚みが1.5mmで且つ密度が2.0g/cm3の粘弾性シートCを得た。
ブチルゴム(JSR社製 商品名「ブチル268」)50重量部、C9系石油樹脂(東邦化学社製 商品名「PM−900」)25重量部、及び、ブローンアスファルト25重量部を高圧ニーダーに供給して連続混練した。この高圧ニーダーから出てきた粘弾性材料を、片面が離型処理された離型紙の離型処理面上にキャスティングし、厚みが1.5mmで且つ密度が2.0g/cm3の粘弾性シートCを得た。
一方、エチレンープロピレンランダム共重合体(チッソ社製 商品名「XK0235」45重量部及びアイソタクチックホモポリプロピレン(出光社製 商品名「SH152」)15重量部からなるポリプロピレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(出光社製 商品名「0238CN」)40重量部、アゾジカルボンアミド(大塚化学社製 商品名「SO−40」)6.8重量部、架橋剤(共栄化学社製 商品名「TND−23H」)3重量部、酸化防止剤(旭電化社製 商品名「アデカスタブAO−60」)1重量部、酸化防止剤(旭電化社製 商品名「アデカスタブCDA−1」)0.5重量部、並びに、酸化防止剤(大内新興化学社製 商品名「ノクラック400S」)0.5重量部を押出機に供給して溶融混練して押出し、厚みが1.2mmの発泡性樹脂シートを得た。
得られた発泡性樹脂シートの両面に電子線を加速電圧800kVで3.6Mrad照射して発泡性樹脂シートを架橋させた。次に、この発泡性樹脂シートを250℃に加熱して厚みが2.9mmで且つ密度が0.07g/cm3の熱可塑性樹脂発泡シートBを得た。この熱可塑性樹脂発泡シートBの一面に、上記粘弾性シートCを該粘弾性シートCの粘着力によって積層一体化して制振材Aを得た。
(比較例1)
実施例1で得られた粘弾性シートを単独で用いた。
実施例1で得られた粘弾性シートを単独で用いた。
得られた制振材及び粘弾性シートの制振性を下記の要領で測定し、その結果を表1及び図2に示した。
(制振性)
JIS G0602に規定する中央支持定常加振法に準拠して300〜5000Hzにおける損失係数を測定し、測定された損失係数を制振性の指標とした。具体的には、制振材及び粘弾性シートのそれぞれから縦15mm×横250mmの平面長方形状の試験片を切り出し、この試験片をJIS G3141に規定されているSPCC鋼板(平面長方形状(縦15mm、横250mm)、厚さ1.0mm)上に粘弾性シートの粘着力によって貼着して300〜4000Hzにおける損失係数を測定した。
JIS G0602に規定する中央支持定常加振法に準拠して300〜5000Hzにおける損失係数を測定し、測定された損失係数を制振性の指標とした。具体的には、制振材及び粘弾性シートのそれぞれから縦15mm×横250mmの平面長方形状の試験片を切り出し、この試験片をJIS G3141に規定されているSPCC鋼板(平面長方形状(縦15mm、横250mm)、厚さ1.0mm)上に粘弾性シートの粘着力によって貼着して300〜4000Hzにおける損失係数を測定した。
制振材として好適に使用されるには損失係数が0.06以上であることが必要である。実施例1では、全ての周波数領域において損失係数が0.06以上であり、特に、周波数が2000Hz以上において損失係数が0.1以上であり、優れた制振性を有している。一方、比較例1では、周波数が3000Hz以下の領域において損失係数が0.06未満であり、制振性が不充分であった。
A 制振材
B 熱可塑性樹脂発泡シート
C 粘弾性シート
B 熱可塑性樹脂発泡シート
C 粘弾性シート
Claims (6)
- 合成樹脂発泡シートの一面に粘弾性シートが積層一体化されてなることを特徴とする制振材。
- 粘弾性シートが非発泡シートであることを特徴とする請求項1に記載の制振材。
- 粘弾性シートが、ブチルゴムを含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の制振材。
- 粘弾性シートが、ブチルゴム及び石油樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の制振材。
- 粘弾性シートが、ブチルゴム、石油樹脂及びアスファルトを含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の制振材。
- 合成樹脂発泡シートが、熱可塑性樹脂発泡シートであることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の制振材。
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- 2005-07-08 JP JP2005200585A patent/JP2007015292A/ja active Pending
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