JP2010001406A - 発泡ゴムシート - Google Patents

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克典 高橋
Ryosuke Takahashi
良輔 高橋
Nobuhiko Inui
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Abstract

【課題】 本発明は、圧縮柔軟性及び寸法安定性に優れた発泡ゴムシートを提供する。
【解決手段】 本発明の発泡ゴムシートは、ゴム系樹脂を含有し、見掛け密度が100kg/m3以上であると共に、JIS K6767に準拠して測定された100%引張弾性率Xが200〜1200kPaであり、更に、100%引張弾性率X(kPa)と、JIS K6767に準拠して測定された50%圧縮応力Y(kPa)とが所定条件を満たすことを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、発泡ゴムシートに関する。
現在、建築、土木、電気、エレクトロニクス、車輌などの各種分野におけるガスケットとして発泡体が広く使用されている。このようなガスケットに供される発泡体としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などからなる熱可塑性樹脂発泡体や、合成ゴム又は天然ゴムからなるゴム発泡体などが挙げられる。
ガスケットは、各種構造物の間隙を埋めるために使用され、構造物の間隙に塵や湿気が浸入するのを防止するものである。この種のガスケットは、発泡体からなるガスケットを封止したい間隙に圧縮した状態で設置し、その反発応力によって界面との間隙を塞ぎ、塵や湿気の浸入を防止している。このようなガスケットとしては、特許文献1に25%圧縮時の硬さ及び密度が所定範囲の弾性を有する発泡体からなる基体と、該基体の片面に固着されたプラスチックフィルムとからなるガスケットが開示されている。
しかしながら、上記ガスケットは、連続気泡構造を有していることから、連続気泡を通じて塵や湿気の浸入を防ぐことができないといった問題が生じた。
そこで、圧縮柔軟性に優れた独立気泡発泡体からなるガスケットが求められており、そのようなガスケットとして、特許文献2には、ゴム系ポリマーを主成分とする独立気泡発泡ゴムシートが提案されている。上記発泡ゴムシートは、熱可塑性樹脂の発泡ゴムシートと比較して結晶成分を含まないために柔軟性に優れ、圧縮柔軟性も良好である。
しかしながら、独立気泡発泡ゴムシートをガスケットとして使用する場合、所望のガスケット形状に加工した後の寸法安定性が悪く、構造物への組み付けが困難であるという問題が生じていた。
そこで、発泡ゴムシートの寸法安定性を向上させる(引張強度を高める)目的で、発泡ゴムシートの発泡倍率を低く抑えて密度を高めたり、或いは、カーボンブラックやタルクなどの充填剤を多量に添加するなどの手段が提案されているが、何れも発泡ゴムシートの寸法安定性は向上するものの、圧縮柔軟性が低下することによって緩衝機能が損なわれるといった問題点があり、解決策としては十分ではなかった。
特開2001−100216号公報 特開昭60−32613号公報
本発明は、圧縮柔軟性及び寸法安定性に優れた発泡ゴムシートを提供する。
本発明の発泡ゴムシートは、ゴム系樹脂を含有し、見掛け密度が100kg/m3以上であると共に、JIS K6767に準拠して測定された100%引張弾性率Xが200kPaを超え且つ1200kPaであり、更に、100%引張弾性率X(kPa)と、JIS K6767に準拠して測定された50%圧縮応力Y(kPa)とが下記式を満たすことを特徴とする。
(100%引張弾性率X/12)<50%圧縮応力Y<(100%引張弾性率X/5)
発泡ゴムシートを構成するゴム系樹脂としては、室温でゴム弾性(rubber elasticity)を有するものであれば、特に限定されず、天然ゴム、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ウレタンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴムなどが挙げられ、クッション性や耐久性に優れた発泡ゴムシートが得られる点から、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)が好ましく、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)がより好ましい。なお、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)は、ニトリルゴムとも、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムともいい、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)は、スチレンとブタジエンとの共重合ゴムであって、スチロールゴムともいう。
発泡ゴムシートのJIS K6767に準拠して測定された100%引張弾性率X(以下、単に「100%引張弾性率X」という)は、低いと、発泡ゴムシートの寸法安定性が不十分となり、ガスケットとして使用する際の作業性が悪くなることがある一方、高いと、発泡ゴムシートの柔軟性が損なわれ、ガスケットとして用いた際には、構造物などの被シール部材の形状に充分に追随することができず、被シール部材の被シール部位との間に隙間が生じ、シール不良の原因となることがあるので、200〜1200kPaに限定される。
又、発泡ゴムシートのJIS K6767に準拠して測定された50%圧縮応力Y(以下、単に「50%圧縮応力Y」という)は、高いと、発泡ゴムシートの柔軟性が不充分となり、ガスケットとして用いた際には、被シール部材の形状に充分に追随することができず、被シール部位との間に隙間が生じ、シール不良の原因となることがある一方、低いと、発泡ゴムシートが脆く、寸法安定性が保てなくなるため作業性が悪くなったり、ガスケットとして用いた際には、長期シール性が低下したりすることがあるため、15〜250kPaが好ましい。
そして、100%引張弾性率Xと、50%圧縮応力Yとは下記式を満たしている必要がある。
(100%引張弾性率X/12)<50%圧縮応力Y<(100%引張弾性率X/5)
これは、50%圧縮応力Yが(100%引張弾性率X/12)以下となると、発泡ゴムシートをガスケットとして用いた場合、組付け時などの取扱い時に、応力が厚み方向に集中して、発泡ゴムシートの厚み安定性が損なわれてシール性が低下する虞れがある一方、(100%引張弾性率X/5)以上となると、発泡ゴムシートをガスケットとして用いた場合、組付け時などの取扱い時に、応力が発泡ゴムシートの面方向に集中して寸法安定性が損なわれて組付け性が低下する虞れがあるからである。
発泡ゴムシートは、後述するように、発泡性樹脂シートに電離性放射線を照射した後に、発泡性樹脂シートを発泡させつつ或いは発泡させた後に発泡性樹脂シート中の熱分解型架橋剤を分解させることによって架橋させて得られる。
即ち、100%引張弾性率Xと50%圧縮応力Yとが上記式を満たす発泡ゴムシートは、発泡性樹脂シートを電離性放射線の照射によって架橋した後に熱分解型架橋剤によって更に架橋させることによって得ることができる。発泡性樹脂シートの電離性放射線による架橋は過度に行われても或いは不足しても発泡性が低下するので、電離性放射線による発泡性樹脂シートの架橋には制限があり、この電離性放射線による架橋だけでは上記式を満たす発泡ゴムシートは得られず、発泡性樹脂シートをその発泡中又は発泡後に熱分解型架橋剤によって更に架橋することによって、100%引張弾性率Xと50%圧縮応力Yとが上記式を満たす発泡ゴムシートを得ることができる。発泡性樹脂シートをその発泡中又は発泡後に熱分解型架橋剤によって架橋するにあたって、架橋が不足すると、得られる発泡ゴムシートの引張弾性率Xが低くなりすぎる一方、架橋が過度に行われると、得られる発泡ゴムシートの引張弾性率Xが高くなりすぎ、発泡ゴムシートの100%引張弾性率Xと50%圧縮応力Yとが上記式を満たさなくなる。よって、発泡ゴムシートの100%引張弾性率Xと50%圧縮応力Yとが上記式を満たすように、発泡性樹脂シート中に配合する熱分解型架橋剤の添加量を適宜調節することによって、100%引張弾性率Xと50%圧縮応力Yとが上記式を満たす発泡ゴムシートを得ることができる。
又、発泡ゴムシートの見掛け密度は、低いと、発泡ゴムシートが脆く、寸法安定性が保てなくなるため作業性が悪くなったり、ガスケットとして用いた際には、長期シール性が低下したりすることがある一方、高いと、発泡ゴムシートが硬く、圧縮柔軟性が低下し、圧縮時の反発力が大きくなり、ガスケットとして用いた際に、構造物などの被シール部材が変形したり、或いは、被シール部材の変形により被シール部分の隙間が拡大したりすることがあるので、100kg/m3以上に限定され、100〜200kg/m3が好ましい。なお、発泡ゴムシートの見掛け密度は、JIS K7222に基づいて測定されたものをいう。
更に、発泡ゴムシートの独立気泡率は、低いと、発泡ゴムシートの気泡間が連通して塵や湿気が透過しやすくなり、防塵性や防湿性が低下することがあるので、80〜100%が好ましく、85〜100%がより好ましい。
なお、上記発泡ゴムシートの独立気泡率の測定方法としては、先ず、発泡ゴムシートから1辺5cmの平面正方形状で且つ一定厚みの試験片を切り出す。続いて、上記試験片の重量W1を測定し、更に、試験片の厚みを測定して試験片の見掛け体積V1を算出する。
次に、上記のようにして得られた値を下記式(1)に代入し、気泡の占める見掛け体積V2を算出する。なお、試験片を構成している樹脂の密度はρg/cm3とする。
気泡の占める見掛け体積V2=V1−W1/ρ ・・・式(1)
続いて、上記試験片を23℃の蒸留水中に、試験片の上面から水面までの距離が100mmになるように沈めて、試験片に15kPaの圧力を3分間に亘って加える。しかる後、試験片を蒸留水中から取り出して、試験片の表面に付着した水分を除去して試験片の重量W2を測定し、下記式(2)に基づいて連続気泡率F1を算出して、この連続気泡率F1から独立気泡率F2を求める。
連続気泡率F1(%)=100×(W2−W1)/V2 ・・・式(2)
独立気泡率F2(%)=100−F1 ・・・式(3)
又、上記発泡ゴムシートの厚みは、特に限定されないが、ガスケットとして用いられるには、0.1〜2mmが好ましく、0.1〜1mmがより好ましい。
更に、上記発泡ゴムシートは、ゴム系樹脂を含有していることから粘着性を有しており、発泡ゴムシートをロール状に巻回した際に内外方向に互いに隣接する発泡ゴムシート同士がブロッキングを生じることがあるので、発泡ゴムシートの少なくとも一面に、粘着性を有しない合成樹脂層を積層一体化して積層発泡ゴムシートとしてもよい。
上記合成樹脂層を構成する合成樹脂としては、低密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状中密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状高密度ポリエチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリエチレン系樹脂がより好ましく、融点が130℃以下であるポリエチレン系樹脂が特に好ましい。なお、合成樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。合成樹脂の融点とは、JIS K7172に準拠して測定されたものをいう。
なお、プロピレンと共重合されるα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが挙げられる。
又、積層発泡ゴムシートにおける合成樹脂層の厚みは、薄いと、積層発泡ゴムシートにおける合成樹脂層の厚みが薄くなりすぎて、ブロッキング防止効果が低下することがある一方、厚いと、得られる積層発泡ゴムシートの柔軟性が低下することがあるので、5〜50μmが好ましい。
更に、上記発泡ゴムシート及び積層発泡ゴムシートの一面に粘着剤層が積層一体化されていてもよい。粘着剤としては、特に限定されず、例えば、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤などが挙げられ、優れた密着性と再剥離性を有していることから、ウレタン系粘着剤が好ましい。
なお、発泡ゴムシートには、その物性を損なわない範囲において、添加剤が添加されていてもよい。このような添加剤としては、加硫促進剤、加硫遅延剤、発泡助剤、架橋助剤、酸化防止剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤などの従来公知の添加剤を含有してもよい。具体的には、例えば、アルデヒドアンモニア類、アルデヒドアミン類、グアニジン類、チアゾール類、スルフェンアミド類、チューラム類、ジチオカルバミン酸類、キサントゲン酸類、チオウレア類などの加硫促進剤;無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸などの有機酸、N−ニトロソ−ジフェニルアミン、N−ニトロソ−フェニル−β−ナフチルアミンなどのアミン類などの加硫遅延剤;ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどのアクリル系樹脂;塩素化パラフィンなどのパラフィン類、ワックス類、アマニ油などの乾性油類、動植物油類、石油系オイル類や各種の低分子量樹脂類;フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ステアリン酸やそのエステル類、アルキルスルホン酸エステル類、粘着付与剤などの可塑剤;タルク、炭酸カルシウム、ベントナイト、カーボンブラック、フュームドシリカ、アルミニウムシリケート、アセチレンブラック、アルミニウム粉などの充填剤などが挙げられる。
次に、本発明の発泡ゴムシートの製造方法について説明する。先ず、上記ゴム系樹脂、熱分解型発泡剤及び熱分解型架橋剤に必要に応じて上記添加剤を添加してなる発泡性樹脂組成物を、必要に応じてバンバリーミキサーや加圧ニーダなどの混練り機で混練した後、カレンダー、押出機、コンベアベルトキャスティングなどを用いて連続的に熱分解型発泡剤の分解温度未満で且つ熱分解型架橋剤の1分間半減期温度未満の温度にて溶融、混練して発泡性樹脂シートを成形する。
発泡性樹脂シートの成形温度が熱分解型発泡剤の分解温度以上であると、成形時に発泡してしまうため発泡性樹脂シートを得ることができない。又、発泡性樹脂シートの成形温度が熱分解型架橋剤の1分間半減期温度以上であると、混練中に架橋を生じてしまうため発泡性樹脂シートを得ることができない。このような問題を回避するために、発泡性樹脂シートの成形温度は熱分解型発泡剤の分解温度、及び、熱分解型架橋剤の1分間半減期温度のいずれよりも低く設定することが好ましい。
又、上記発泡性樹脂組成物に含有される熱分解型発泡剤としては、加熱によって分解し発泡ガスを発生させるものであり、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などが挙げられ、単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
なお、熱分解型発泡剤の分解温度は、発泡させつつ或いは発泡させた後に熱分解型架橋剤の分解によってゴム系樹脂を架橋することが好ましいことから、熱分解型架橋剤の1分間半減期温度以下であることが好ましい。
そして、上記発泡性樹脂組成物中における熱分解型発泡剤の含有量は、少ないと、発泡性樹脂シートが発泡しないことがある一方、多いと、発泡性樹脂シートを発泡させる際に破泡が発生することがあるので、ゴム系樹脂100重量部に対して、1〜30重量部が好ましく、4〜20重量部がより好ましい。
又、上記発泡性樹脂組成物に含有される熱分解型架橋剤としては、加熱によって分解して架橋構造を形成するものであり、例えば、有機過酸化物、硫黄、硫黄化合物などが挙げられ、発泡ゴムシートに臭気が残りにくいことから、有機過酸化物が好ましい。上記有機過酸化物としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、クミルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、α, α′−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルパーオキシクメンなどが挙げられ、上記硫黄化合物としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、一塩化硫黄、二塩化硫黄などが挙げられる。
そして、上記熱分解型架橋剤としては、その1分間半減期温度が、熱分解型発泡剤の分解温度よりも高いものが好ましい。これは、熱分解型発泡剤の分解温度よりも1分間半減期温度の高い熱分解型架橋剤を用いることで、後述する発泡性樹脂シートを発泡させつつ或いは発泡させた後にシートに架橋を施すことができるからである。
なお、上記熱分解型発泡剤の分解温度は、技術情報協会から発行されている「各種高分子の発泡成形技術」の第98〜99頁に記載された熱分解型発泡剤の分解温度である。又、上記発泡性樹脂組成物中に複数の熱分解型発泡剤が用いられている場合には、それらの熱分解型発泡剤のうちの最も分解温度の高い熱分解型発泡剤の分解温度よりも1分間半減期温度が高い熱分解型架橋剤を用いるのが好ましい。
ゴム系樹脂の発泡を充分に進行させた後に架橋を施すためには、熱分解型発泡剤の分解温度よりも10℃以上高い1分間半減期温度を有する熱分解型架橋剤を用いることが好ましい。なお、上記発泡性樹脂組成物中に複数の熱分解型発泡剤が用いられている場合には、それらの熱分解型発泡剤のうちの最も分解温度の高い熱分解型発泡剤の分解温度よりも10℃以上高い1分間半減期温度を有する熱分解型架橋剤を用いるのが好ましい。
そして、上記発泡性樹脂組成物中における熱分解型架橋剤の含有量は、少ないと、発泡ゴムシートが充分に架橋されず、発泡ゴムシートの寸法安定性が低下することがある一方、多いと、発泡ゴムシートの外観が低下することがあるので、ゴム系樹脂100重量部に対して3〜15重量部が好ましい。
次に、上記のようにして得られた発泡性樹脂シートに電離性放射線を照射することにより発泡性樹脂シートを架橋させる。上記電離性放射線としては、特に限定されず、例えば、電子線、α線、β線、γ線などが挙げられ、電子線が好ましい。
又、発泡性樹脂シートへの電離性放射線の照射量は、少ないと、発泡性樹脂シートの架橋が不充分となり、発泡性樹脂シートを発泡させる際に破泡が発生することがある一方、多いと、発泡性樹脂シートの架橋密度が高くなり過ぎて、発泡性樹脂シートの発泡性が低下し、得られる発泡ゴムシートの柔軟性が不充分となって、発泡ゴムシートをガスケットとして用いた際に、発泡ゴムシートが被シール部材の形状に充分に追随することができず、被シール部位との間に隙間が生じて、シール不良の原因となることがあるので、0.1〜3Mradが好ましい。
続いて、上記発泡性樹脂シートを発泡させつつ或いは発泡させた後に熱分解型架橋剤によって更に架橋させて発泡ゴムシートを製造する。上記発泡性樹脂シートを発泡させつつ熱分解型架橋剤によって架橋させるには、発泡性樹脂シートを熱分解型発泡剤の分解温度以上で且つ熱分解型架橋剤の1分間半減期温度以上の温度に加熱して、熱分解型発泡剤及び熱分解型架橋剤を分解させることにより、発泡性樹脂シートを発泡させるのと並行して架橋させればよい。又、上記発泡性樹脂シートを発泡させた後に熱分解型架橋剤によって架橋させるには、発泡性樹脂シートを熱分解型発泡剤の分解温度以上で且つ熱分解型架橋剤の1分間半減期温度未満の温度に加熱して熱分解型発泡剤を分解させることにより発泡性樹脂シートを発泡させて発泡ゴムシートを作製した後、発泡ゴムシートを熱分解型架橋剤の1分間半減期温度以上の温度まで加熱して熱分解型架橋剤を分解させることにより発泡ゴムシートを架橋させればよい。
このように、上記発泡ゴムシートの製造方法では、発泡性樹脂シートを電離性放射線によって架橋し、発泡に適した溶融粘度を有する発泡性樹脂シートを作製した上で、この発泡性樹脂シートを発泡させており、発泡性樹脂シートを発泡に適した溶融粘度となるように容易に調整できるので、圧縮柔軟性に優れた発泡ゴムシートを得ることができる。
更に、上記発泡ゴムシートの製造方法では、電離性放射線によって架橋された発泡性樹脂シートを発泡させつつ或いは発泡させた後に熱分解型架橋剤によって更に架橋させているので、好ましいゲル分率の範囲まで架橋が進行しており、圧縮柔軟性及び引張強度に優れた発泡ゴムシートを得ることができる。
上記発泡ゴムシートの発泡倍率は、発泡ゴムシートが所望の見掛け密度となるように調整すればよく、5〜30倍が好ましい。
続いて、上記発泡ゴムシートの一面に合成樹脂層が積層一体化されてなる積層発泡ゴムシートの製造方法について説明する。上記積層発泡ゴムシートの製造方法は、上述の発泡ゴムシートの製造方法において、発泡性樹脂シートの一面に合成樹脂層を積層一体化して発泡性積層シートを作製し、この発泡性積層シートに電離性放射線を照射することにより上記発泡性積層シートを架橋させた後、この発泡性積層シートを、合成樹脂層を構成する合成樹脂の軟化点以上の温度に加熱して発泡性積層シートを発泡させつつ或いは発泡させた後に熱分解型架橋剤によって架橋させることにより得られる。
発泡性樹脂シートの一面に合成樹脂層を積層一体化する方法としては、発泡性樹脂シートの一面に、別途用意した合成樹脂層を構成することとなる合成樹脂シートを熱融着一体化する方法、発泡性樹脂シートの一面に、合成樹脂層を構成することとなる合成樹脂シートを押出ラミネートすることによって積層一体化する方法、発泡性樹脂シートの一面に、合成樹脂層を構成することとなる合成樹脂シートを押出ラミネートすることによって積層一体化する方法、共押出によって発泡性樹脂シートの一面に、合成樹脂層を構成することとなる合成樹脂シートを積層一体化する方法などが挙げられ、発泡性樹脂シートの一面に合成樹脂シートを押出ラミネートする方法、共押出による方法が好ましい。なお、合成樹脂シートは、Tダイ法、インフレーション法、カレンダー成形法、溶液流延法などの汎用の方法によって製造することができ、共押出によって発泡性樹脂シートの一面に合成樹脂シートを積層一体化する方法を用いる場合、Tダイ法、インフレーション法が好ましい。
上記発泡性積層シートを発泡させつつ熱分解型架橋剤によって架橋させるには、発泡性積層シートを、合成樹脂層を構成する合成樹脂の軟化点以上、熱分解型発泡剤の分解温度以上で且つ熱分解型架橋剤の1分間半減期温度以上の温度で加熱して、熱分解型発泡剤及び熱分解型架橋剤を分解させることにより、発泡性積層シートを発泡させるのと並行して架橋させればよい。
又、上記発泡性積層シートを発泡させた後に熱分解型架橋剤によって架橋させるには、上記発泡性積層シートを、合成樹脂層を構成する合成樹脂の軟化点以上、熱分解型発泡剤の分解温度以上で且つ熱分解型架橋剤の1分間半減期温度未満の温度に加熱して熱分解型発泡剤を分解させて発泡性積層シートを発泡させることにより積層発泡ゴムシートを作製した後、この積層発泡ゴムシートを熱分解型架橋剤の1分間半減期温度以上の温度まで加熱して熱分解型架橋剤を分解させて、積層発泡ゴムシートを架橋させればよい。
上述のように、発泡性積層シートを、合成樹脂層を構成する合成樹脂の軟化点以上の温度で加熱することにより、発泡性積層シートを構成している合成樹脂層が柔軟となり、発泡性積層シートを構成している発泡性樹脂シートの発泡が阻害されないので、所望の見掛け密度を有する発泡ゴムシートを有してなる圧縮柔軟性及び引張強度に優れた積層発泡ゴムシートを得ることができる。
本発明の発泡ゴムシートは、ゴム系樹脂を含有し、見掛け密度が100kg/m3以上であると共に、JIS K6767に準拠して測定された100%引張弾性率Xが200〜1200kPaであり、更に、100%引張弾性率X(kPa)と、JIS K6767に準拠して測定された50%圧縮応力Y(kPa)とが下記式を満たすことを特徴とするので、圧縮柔軟性及び寸法安定性に優れている。従って、上記発泡ゴムシートは、長期間に亘って優れた反発力を維持するガスケットとして、建築、土木、電気、エレクトロニクス、車輌などの分野において広く使用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
ニトリル−ブタジエンゴム(NBR、密度:0.96g/cm3)100重量部、発泡剤としてアゾジカルボンアミドを主成分とする発泡剤(永和化成社製 商品名「FE788」、分解温度:140℃、メジアン径:8μm)12重量部及び熱分解型架橋剤としてジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド(日本油脂社製 商品名「パークミルD−40」、1分間半減期温度:171℃)4重量部からなる発泡性樹脂組成物を押出機に供給して120℃にて溶融混練し押出して厚み0.5mmの発泡性ゴムシートを得た。
次に、発泡性ゴムシートの両面に電子線を加速電圧500keVにて0.1Mrad照射して、発泡性ゴムシートを架橋させた。そして、発泡性ゴムシートを発泡炉に供給して150℃に加熱することにより発泡剤を分解させて発泡性ゴムシートを発泡させた後に冷却することによって発泡ゴムシートを得た。
そして、発泡ゴムシートを180℃に加熱して熱分解型架橋剤を分解させて架橋させることによって、見掛け密度109kg/m3、100%引張弾性率X268kPa、50%圧縮応力Y46kPa、厚さ0.8mmの長尺状の発泡ゴムシートを得た。
(実施例2)
発泡剤を12重量部の代わりに15重量部とし、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドを4重量部の代わりに8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、見掛け密度123kg/m3、100%引張弾性率X389kPa、50%圧縮応力Y37kPa、厚さ0.8mmの長尺状の発泡ゴムシートを得た。
(実施例3)
発泡剤を12重量部の代わりに10重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、見掛け密度160kg/m3、100%引張弾性率X463kPa、50%圧縮応力Y80kPa、厚さ0.8mmの長尺状の発泡ゴムシートを得た。
(実施例4)
発泡剤を12重量部の代わりに10重量部とし、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドを4重量部の代わりに8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、見掛け密度152kg/m3、100%引張弾性率X554kPa、50%圧縮応力Y61kPa、厚さ0.8mmの長尺状の発泡ゴムシートを得た。
(実施例5)
発泡剤を12重量部の代わりに8重量部とし、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドを4重量部の代わりに5重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、見掛け密度178kg/m3、100%引張弾性率X854kPa、50%圧縮応力Y150kPa、厚さ0.8mmの長尺状の発泡ゴムシートを得た。
(実施例6)
発泡剤を12重量部の代わりに8重量部とし、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドを4重量部の代わりに10重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、見掛け密度163kg/m3、100%引張弾性率X792kPa、50%圧縮応力Y96kPa、厚さ0.8mmの長尺状の発泡ゴムシートを得た。
(実施例7)
発泡剤を12重量部の代わりに5重量部とし、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドを4重量部の代わりに8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、見掛け密度195kg/m3、100%引張弾性率X1113kPa、50%圧縮応力Y200kPa、厚さ0.8mmの長尺状の発泡ゴムシートを得た。
(実施例8)
発泡剤を12重量部の代わりに5重量部とし、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドを4重量部の代わりに12重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、見掛け密度183kg/m3、100%引張弾性率1005kPa、50%圧縮応力103kPa、厚さ0.8mmの長尺状の発泡ゴムシートを得た。
(比較例1)
発泡剤を12重量部の代わりに15重量部とし、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドを用いず、発泡ゴムシートを架橋しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、見掛け密度109kg/m3、100%引張弾性率X91kPa、50%圧縮応力Y42kPa、厚さ0.8mmの長尺状の発泡ゴムシートを得た。
(比較例2)
ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドを用いず、発泡ゴムシートを架橋しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、見掛け密度132kg/m3、100%引張弾性率X190kPa、50%圧縮応力Y64kPa、厚さ0.8mmの長尺状の発泡ゴムシートを得た。
(比較例3)
発泡剤を12重量部の代わりに10重量部とし、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドを用いず、発泡ゴムシートを架橋しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、見掛け密度164kg/m3、100%引張弾性率X413kPa、50%圧縮応力Y105kPa、厚さ0.8mmの長尺状の発泡ゴムシートを得た。
(比較例4)
発泡剤を12重量部の代わりに8重量部とし、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドを用いず、発泡ゴムシートを架橋しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、見掛け密度174kg/m3、100%引張弾性率X601kPa、50%圧縮応力Y170kPa、厚さ0.8mmの長尺状の発泡ゴムシートを得た。
(比較例5)
発泡剤を12重量部の代わりに5重量部とし、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドを用いず、発泡ゴムシートを架橋しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、見掛け密度190kg/m3、100%引張弾性率1140kPa、50%圧縮応力258kPa、厚さ0.8mmの長尺状の発泡ゴムシートを得た。
(比較例6)
実施例1で用いた発泡剤(永和化成社製 商品名「FE788」、分解温度:140℃)の代わりに、アゾジカルボンアミドを主成分とする高温分解型発泡剤(永和化成社製 商品名「ビニホールAC#K3」、分解温度:210℃、メジアン径:25μm)12重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、発泡ゴムシートを製造しようとしたが、発泡性ゴムシートの発泡よりも先に熱分解型架橋剤による架橋が進行してしまい、発泡性ゴムシートを発泡させることができなかった。
上記実施例及び比較例で得られた発泡ゴムシートの独立気泡率を上述の要領で測定し、その結果を表1に示した。
Figure 2010001406

Claims (2)

  1. ゴム系樹脂を含有し、見掛け密度が100kg/m3以上であると共に、JIS K6767に準拠して測定された100%引張弾性率Xが200〜1200kPaであり、更に、100%引張弾性率X(kPa)と、JIS K6767に準拠して測定された50%圧縮応力Y(kPa)とが下記式を満たすことを特徴とする発泡ゴムシート。
    (100%引張弾性率X/12)<50%圧縮応力Y<(100%引張弾性率X/5)
  2. ゴム系樹脂がニトリル−ブタジエンゴムであることを特徴とする請求項1に記載の発泡ゴムシート。
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