JP2010083910A - 架橋ゴム発泡シート - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、柔軟でありながら長期間に亘って優れたシール性を維持することができる架橋ゴム発泡シートを提供する。
【解決手段】 本発明の架橋ゴム発泡シートは、ゴムポリマーを含有する架橋ゴム独立気泡発泡シートにその少なくとも片面から穿孔して上記独立気泡の少なくとも一部を連続気泡化してなり、優れた柔軟性を有し且つ圧縮永久歪みが小さいので、車輛や電子機器を構成している部材(被シール部材)間に形成された隙間を埋めるためのシール材として好適に用いることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の架橋ゴム発泡シートは、ゴムポリマーを含有する架橋ゴム独立気泡発泡シートにその少なくとも片面から穿孔して上記独立気泡の少なくとも一部を連続気泡化してなり、優れた柔軟性を有し且つ圧縮永久歪みが小さいので、車輛や電子機器を構成している部材(被シール部材)間に形成された隙間を埋めるためのシール材として好適に用いることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、架橋ゴム発泡シートに関する。
現在、電気、エレクトロニクス、車輌などに用いられるシール材として、発泡体が広く使用されている。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などからなる熱可塑性樹脂発泡体や、合成ゴム又は天然ゴムからなるゴム発泡体などの発泡体が挙げられる。
車輛や電子機器に用いられるシール材では、間隙を埋めるだけでなく、衝撃を緩和し或いは塵の侵入を防ぐことも求められている。発泡体からなるシール材は圧縮された状態で取り付けられるため、発泡体の柔軟性が低いと、発泡体が圧縮された形状から回復するときの反発力により、被シール部材を変形させ、被シール部分と発泡体との間に隙間が生じるといった問題があった。
そこで、連続気泡構造を持つ圧縮柔軟性に優れたウレタン発泡体が提案されていたが、連続気泡構造を持つ発泡体は、圧縮柔軟性に優れているものの、気泡同士が連通しているので塵の侵入を完全に防ぐことが難しいといった問題点を有していた。
又、特許文献1には、独立気泡と連続気泡との双方を有する発泡シートが提案され、発泡シートに存在する連続気泡が柔軟性を与え、独立気泡が防塵性を与えると記載されている。
しかしながら、シール材として用いた場合、独立気泡と連続気泡との双方を有する発泡シートは、時間の経過に伴って発泡シートの反発応力が弱まりシール性能が低下するといった問題があった。
特開平09−111899号公報
本発明は、柔軟でありながら長期間に亘って優れたシール性を維持することができる架橋ゴム発泡シートを提供する。
本発明の架橋ゴム発泡シートは、ゴムポリマーを含有する架橋ゴム独立気泡発泡シートにその少なくとも片面から穿孔して独立気泡の少なくとも一部を連続気泡化してなることを特徴とする。
架橋ゴム発泡シートを構成しているゴムポリマーとしては、室温でゴム弾性(rubber elasticity)を有するものであれば、特に限定されず、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマーが挙げられる。
上記合成ゴムとしては、例えば、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ウレタンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴムなどが挙げられ、架橋ゴム発泡シートが柔軟性や耐久性に優れているので、ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム及びクロロプレンゴムから選ばれた少なくとも一種の合成ゴムが好ましく、ニトリル−ブタジエンゴムがより好ましい。なお、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)は、ニトリルゴムやアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムと呼ばれている合成ゴムも包含する。スチレン−ブタジエンゴム(SBR)は、ブタジエンとスチレンの共重合ゴムを意味し、スチロールゴムと呼ばれているゴムも包含する。
又、上記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
架橋ゴム独立気泡発泡シートは穿孔前において独立気泡を有していればよく、架橋ゴム独立気泡発泡シートの独立気泡率は、80〜100%が好ましい。なお、架橋ゴム独立気泡発泡シートの独立気泡率及び連続気泡率は下記の要領で測定できる。
なお、架橋ゴム独立気泡発泡シートの独立気泡率の測定方法としては、先ず、架橋ゴム独立気泡発泡シートから一辺5cmの平面正方形状で且つ一定厚みの試験片を切り出す。続いて、上記試験片の重量W1を測定し、更に、試験片の厚みを測定して試験片の見掛け体積V1を算出する。
次に、上記のようにして得られた値を下記式(1)に代入し、気泡の占める見掛け体積V2を算出する。なお、試験片を構成している樹脂の密度はρg/cm3とする。
気泡の占める見掛け体積V2=V1−W1/ρ ・・・(1)
気泡の占める見掛け体積V2=V1−W1/ρ ・・・(1)
続いて、上記試験片を23℃の蒸留水中に、試験片の上面から水面までの距離が100mmになるように沈めて、試験片に15kPaの圧力を3分間に亘って加える。しかる後、試験片を蒸留水中から取り出して、試験片の表面に付着した水分を除去して試験片の重量W2を測定し、下記式(2)に基づいて連続気泡率F1を算出して、この連続気泡率F1から独立気泡率F2を求める。
連続気泡率F1(%)=100×(W2−W1)/V2 ・・・(2)
独立気泡率F2(%)=100−F1 ・・・(3)
連続気泡率F1(%)=100×(W2−W1)/V2 ・・・(2)
独立気泡率F2(%)=100−F1 ・・・(3)
本発明の架橋ゴム発泡シートは、架橋ゴム独立気泡発泡シートにその少なくとも片面から穿孔することによって独立気泡の気泡壁に貫通孔を形成して独立気泡のうちの一部又は全てを連続気泡化してなる。架橋ゴム独立気泡発泡シートに少なくとも片面から穿孔する方法としては、特に限定されず、架橋ゴム独立気泡発泡シートに針状体を突き刺す方法、架橋ゴム独立気泡発泡シートにレーザーを照射する方法などが挙げられ、架橋ゴム独立気泡発泡シートにレーザーを照射する方法が好ましい。
架橋ゴム独立気泡発泡シートに針状体を突き刺す方法としては、例えば、所定間隔を存して配設された二本のロールの少なくとも一方のロール表面に多数の針状体を起立状態に配設し、二本のロール間に架橋ゴム独立気泡発泡シートを供給して、架橋ゴム独立気泡発泡シートに該架橋ゴム独立気泡発泡シートの少なくとも片面から針状体を突き刺す方法が挙げられる。なお、架橋ゴム独立気泡発泡シートは二本のロール間においてはその厚み方向に圧縮されていてもいなくてもよいが、圧縮されていることが好ましい。なお、針状体としては、例えば、円柱状、円錐状などが挙げられる。
又、レーザーを照射して架橋ゴム独立気泡発泡シートを穿孔する方法としては、例えば、YAGレーザー、炭酸ガスレーザーなどの高エネルギーレーザーを架橋ゴム独立気泡発泡シートの表面に照射して架橋ゴム独立気泡発泡シートを穿孔する方法が挙げられる。
レーザーは非接触的に架橋ゴム独立気泡発泡シートを穿孔することができる。また、穿孔により形成された孔(穴)の径、深さ又は間隔などを任意に制御することもできる。穿孔によって形成された孔(穴)は貫通孔でも非貫通孔であってもよい。又、架橋ゴム独立気泡発泡シートの高発泡倍率が高いと、架橋ゴム独立気泡発泡シートが非常に柔軟であるので、架橋ゴム独立気泡発泡シートに針状体を突き刺す方法では穿孔することが困難である。しかし、レーザーを照射すれば、柔軟な架橋ゴム独立気泡発泡シートを容易に穿孔することができる。
そして、架橋ゴム独立気泡発泡シート1への穿孔の要領は、図1、2に示したように、架橋ゴム発泡シート1の両面間に亘って貫通する貫通孔11を形成しても、或いは、図3、4に示したように、架橋ゴム発泡シート1の両面間に亘って貫通させることなく架橋ゴム発泡シート1の片面にのみ開口する穴部12を形成してもよいが、シール性能が優れていることから、図3、4に示したように、架橋ゴム発泡シートの片面にのみ開口する穴部12を形成することが好ましい。
架橋ゴム発泡シート1に形成した穴部12の深さは、架橋ゴム発泡シート全体の厚みの50〜90%が好ましい。穴部12が浅すぎると、架橋ゴム発泡シートの柔軟性が低下して、架橋ゴム発泡シートをシール材として用いた場合にシール性が低下することがある。穴部12が深すぎると、架橋ゴム発泡シートをシール材として用いた場合にシール性能が低下することがある。
又、架橋ゴム発泡シート1への穿孔方向としては、図1、3に示したように、架橋ゴム発泡シート1の厚み方向、即ち、架橋ゴム発泡シートの表面に対して垂直方向であるか、或いは、図2、4に示したように、架橋ゴム発泡シート1の厚み方向に対して一定角度だけ斜行していることが好ましい。
架橋ゴム発泡シート1の厚み方向に対して穿孔方向が一定角度だけ斜行している場合、架橋ゴム発泡シート1への穿孔方向は、架橋ゴム発泡シートの厚み方向に対してなす角度αは45°以下であることが好ましく、0°より大きく且つ30°以下であることがより好ましい。斜行している角度が大きいと、穿孔の開口端から塵などが進入し、シール性能が低下することがある。
架橋ゴム発泡シートに形成した貫通孔11又は穴部12の開口端の大きさは、20〜300μmが好ましい。貫通孔11又は穴部12の開口端の大きさが小さすぎると、架橋ゴム発泡シートをシール材として用いた場合に、架橋ゴム発泡シートを圧縮した時の反発力が大きく、被シール部材を変形させ、被シール部分と発泡体との間に隙間が生じることがある。貫通孔11又は穴部12の開口端の大きさが大きすぎると、架橋ゴム発泡シートをシール材として用いた場合にシール性能が低下することがある。なお、貫通孔11又は孔部12の開口端の大きさとは、貫通孔11又は穴部12の開口端を包囲し得る最小径の真円の直径をいう。
又、架橋ゴム発泡シートに形成する貫通孔11又は孔部12の形成密度は、1000〜5000個/cm2が好ましい。形成密度が低いと、架橋ゴム発泡シートをシール材として用いた場合に、架橋ゴム発泡シートを圧縮した時の反発力が大きく、被シール部材を変形させ、被シール部分と発泡体との間に隙間が生じることがある。形成密度が高いと、架橋ゴム発泡シートをシール材として用いた場合にシール性能が低下することがある。
次に、架橋ゴム発泡シートの製造方法について説明する。架橋ゴム発泡シートの製造方法は、特に限定されず、例えば、(1)ゴムポリマー、発泡剤及び架橋剤を含有する発泡性樹脂組成物をバンバリーミキサーや加圧ニーダなどの混練り機を用いて混練した後、押出機、カレンダ、コンベアベルトキャスティングなどにより連続的に混練して発泡性シートを製造し、得られた発泡性シートに電離性放射線による架橋処理を施した後、この発泡性シートを架橋剤が分解しない温度にて加熱し発泡させた上で架橋剤が分解する温度に加熱して架橋して架橋ゴム独立気泡発泡シートを製造した後に上述の要領で架橋ゴム独立気泡発泡シートに穿孔を施す製造方法、(2)ゴムポリマー及び発泡剤を含有する発泡性樹脂組成物をバンバリーミキサーや加圧ニーダなどの混練り機を用いて混練した後、押出機、カレンダ、コンベアベルトキャスティングなどにより連続的に混練して発泡性シートを製造し、得られた発泡性シートに電離性放射線による架橋処理を施した後、この発泡性シートを加熱し発泡させて架橋ゴム独立気泡発泡シートを製造した後に上述の要領で架橋ゴム独立気泡発泡シートに穿孔を施す製造方法、(3)ゴムポリマー、発泡剤及び架橋剤を添加してなる発泡性樹脂組成物をバンバリーミキサーや加圧ニーダなどの混練り機を用いて混練した後、押出機、カレンダ、コンベアベルトキャスティングなどにより連続的に混練して発泡性シートを製造し、得られた発泡性シートを加熱して架橋しつつ発泡させて独立気泡を有する架橋ゴム独立気泡発泡シートを製造した後に上述の要領で架橋ゴム独立気泡発泡シートに穿孔を施す製造方法などが挙げられる。電離性放射線による架橋は均一に架橋ゴム独立気泡発泡シートを架橋させることができるので、架橋ゴム独立気泡発泡シートの機械強度を均一にできる。その結果、架橋ゴム独立気泡発泡シートに均一に穿孔を施すことができるので、上記(1)(2)の方法が好ましい。
電離性放射線としては、特に限定されず、例えば、α線、β線、γ線、電子線などが挙げられ、電子線が好ましい。そして、電離性放射線の照射量は、ゴムポリマーの特性によって適宜調整すればよいが、0.5〜10Mradが好ましく、0.7〜5.0Mradがより好ましい。
又、架橋剤としては、ゴムポリマーの架橋に用いられている公知の有機過酸化物、硫黄、硫黄化合物などが挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、クミルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルパーオキシクメンなどが挙げられる。
上記硫黄化合物としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、一塩化硫黄、二塩化硫黄が挙げられる。
架橋剤の配合量は、ゴムポリマー100重量部に対して1〜20重量部が好ましい。
そして、発泡剤としては、加熱によって分解してガスを発生させる熱分解型発泡剤が挙げられる。熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などが挙げられる。熱分解型発泡剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。熱分解型発泡剤の配合量は、ゴムポリマー100重量部に対して1〜10重量部が好ましい。
発泡性樹脂組成物には、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、軟化剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、防カビ剤、発泡助剤、安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤などが含有されていてもよい。
上記加硫促進剤としては、例えば、アルデヒドアンモニア化合物、アルデヒドアミン化合物、グアニジン化合物やチアゾール化合物、スルフェンアミド化合物、チューラム化合物、ジチオカルバミン酸化合物、キサントゲン酸化合物、チオウレア化合物が挙げられる。
又、上記加硫遅延剤としては、例えば、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸などの有機酸、N−ニトロソ−ジフェニルアミン、N−ニトロソ−フェニル−β−ナフチルアミンなどのアミン類、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどのアクリル系ポリマー、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
上記軟化剤としては、例えば、塩素化パラフィンなどのパラフィン、ワックス、アマニ油などの天然オイル、石油由来の合成オイル、低分子量ポリマー、フタル酸エステル、リン酸エステル、ステアリン酸及びそのエステル、アルキルスルホン酸エステルが挙げられる。
上記充填材としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、ベントナイト、フュームドシリカ、アルミニウムシリケート、カーボンブラック、アセチレンブラック、アルミニウム粉などが挙げられる。
そして、架橋ゴム発泡シートのゲル分率は、70重量%以上が好ましく、80〜100重量%がより好ましい。ゲル分率が低いと、架橋ゴム発泡シートを圧縮した後の形状回復力が低下することがある。
なお、架橋ゴム発泡シートのゲル分率は、架橋ゴム発泡シート100mgを金属メッシュ製のかごに入れ、70℃のエチルメチルケトン25ミリリットル中に22時間に亘って浸漬した後、金属メッシュ内の残った残留物の乾燥重量(mg)を測定して下記式に基づいて算出できる。
ゲル分率(重量%)=100×残留物の乾燥重量(mg)/100
ゲル分率(重量%)=100×残留物の乾燥重量(mg)/100
又、架橋ゴム発泡シートの連続気泡率は、30〜90%が好ましい。連続気泡率が低いと、架橋ゴム発泡シートの柔軟性が低下し、架橋ゴム発泡シートをシール材として用いた際にシール性能が低下することがある。連続気泡率が高いと、架橋ゴム発泡シートをシール材として用いた際に、架橋ゴム発泡シートに形成した穿孔が、かえってシール性能を低下させることがある。なお、架橋ゴム発泡シートの連続気泡率は、架橋ゴム独立気泡発泡シートの連続気泡率の測定要領と同一であるので説明を省略する。
そして、架橋ゴム発泡シートのJIS K7222に準拠して測定された見掛け密度は、60〜300kg/m3が好ましい。見掛け密度が低いと、架橋ゴム発泡シートが脆くなり機械的強度が低下し、架橋ゴム発泡シートをシール材として用いた際に防塵性が低下することがあるからである。見掛け密度が高いと、架橋ゴム発泡シートが硬くなり圧縮時の柔軟性が低下し、架橋ゴム発泡シートを圧縮した時の反発力が大きくなりすぎることがある。従って、架橋ゴム発泡シートをシール材として用いた際に被シール部材を変形させることがある。その結果、架橋ゴム発泡シートのシール性能が低下することがある。
架橋ゴム発泡シートにおける24時間経過後に測定された圧縮永久歪みは、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下が特に好ましい。圧縮永久歪みが高いと、圧縮された架橋ゴム発泡シートが回復しにくくなり、架橋ゴム発泡シートをシール材として用いた場合に時間の経過と共にシール性能が低下することがある。
架橋ゴム発泡シートにおけるJIS K6767に準拠して測定された50%圧縮応力は、100kPa以下が好ましく、10〜70kPaがより好ましい。50%圧縮応力が高いと、架橋ゴム発泡シートが硬くなり圧縮時の柔軟性が低下し、架橋ゴム発泡シートを圧縮した時の反発力が大きくなりすぎることがある。従って、架橋ゴム発泡シートをシール材として用いた際に被シール部材を変形させることがある。その結果、架橋ゴム発泡シートのシール性能が低下することがある。
架橋ゴム発泡シートの発泡倍率は3倍以上が好ましく、5〜10倍がより好ましい。発泡倍率が低いと、架橋ゴム発泡シートが硬くなり圧縮時の柔軟性が低下し、架橋ゴム発泡シートを圧縮した時の反発力が大きくなりすぎることがある。従って、架橋ゴム発泡シートをシール材として用いた際に被シール部材を変形させることがある。その結果、架橋ゴム発泡シートのシール性能が低下することがある。発泡倍率が高いと、架橋ゴム発泡シートが脆くなり機械的強度が低下し、架橋ゴム発泡シートをシール材として用いた際に防塵性が低下することがある。なお、本明細書における架橋ゴム発泡シートの発泡倍率は、架橋ゴム発泡シートを構成しているゴムポリマーの密度をJIS K7222に準拠して測定された架橋ゴム発泡シートの見掛け密度で除した値である。
本発明の架橋ゴム発泡シートは、電気、エレクトロニクス、車輌などの分野において、各種シール材用として好適に用いることができる。防塵対象となる被シール部材との間に隙間が生じず、長期間に亘って優れた防塵性を維持できるので、本発明の架橋ゴム発泡シートは、特に、パッキンやガスケット材として好適に用いることができる。
本発明の架橋ゴム発泡シートは、ゴムポリマーを含有する架橋ゴム独立気泡発泡シートにその少なくとも片面から穿孔して上記独立気泡の少なくとも一部を連続気泡化してなり、優れた柔軟性を有し且つ圧縮永久歪みが小さいので、車輛や電子機器などを構成している部材(被シール部材)間に形成された隙間を埋めるためのシール材として好適に用いることができる。
そして、架橋ゴム発泡シートは優れた柔軟性を有しているので、複雑な形状の被シール部材に沿って隙間なく密着させることができる。更に、架橋ゴム発泡シートは永久圧縮歪みが小さいので長期間に亘って優れた密着性を持続し、被シール部材間に形成された隙間を確実にシールすることができる。
更に、架橋ゴム発泡シートは、ゴムポリマーを含有しているので気泡壁は弾性を有しており、架橋ゴム独立気泡発泡シートを穿孔して形成された気泡壁の貫通孔は常態において略閉塞された状態となっている一方、架橋ゴム発泡シートが圧縮された場合には気泡壁に形成された貫通孔が空気圧によって自動的に開放し、気泡内の空気を外部に排出することによって架橋ゴム発泡シートは小さな圧縮力で円滑に圧縮される。
よって、架橋ゴム発泡シートをシール部材として用いた場合、被シール部材間に配設するために架橋ゴム発泡シートを圧縮する際には小さな圧縮力で所望形状に簡単に圧縮することができる。更に、被シール部材間に架橋ゴム発泡シートを配設した後は気泡壁に形成された貫通孔を通じて気泡内に空気が流入して、架橋ゴム発泡シートは被シール部材間の隙間形状に合致するまで膨張し、膨張後は気泡壁の貫通孔は自動的に閉塞状態となる。従って、架橋ゴム発泡シートはその膨張状態を確実に維持し長期間に亘って優れたシール性を維持することができる。
(実施例1)
ニトリル−ブタジエンゴム(JSR社製 商品名「N222L」)100重量部、アゾジカルボンアミド(永和化成工業社製 商品名「FE−788」、分解開始温度:140℃)6重量部、及び、架橋剤としてジクミルパーオキサイド(日油社製 商品名「パークミルD−40」、1分半減期温度:175.2℃)8重量部を押出機に供給して90℃にて溶融混練し厚みが1mmの発泡性シートを押出した。
ニトリル−ブタジエンゴム(JSR社製 商品名「N222L」)100重量部、アゾジカルボンアミド(永和化成工業社製 商品名「FE−788」、分解開始温度:140℃)6重量部、及び、架橋剤としてジクミルパーオキサイド(日油社製 商品名「パークミルD−40」、1分半減期温度:175.2℃)8重量部を押出機に供給して90℃にて溶融混練し厚みが1mmの発泡性シートを押出した。
得られた発泡性シートに電子線を加速電圧500keVにて線量0.8Mrad照射して発泡性シートを架橋した。この発泡性シートを発泡炉に供給して150℃に加熱することによってアゾジカルボンアミドを分解させて発泡性シートを発泡させることによって厚みが3mmの独立気泡有する架橋ゴム独立気泡発泡シートを得た。なお、架橋ゴム独立気泡発泡シートの独立気泡率は99%であった。
次に、架橋ゴム独立気泡発泡シートを加熱炉に供給して230℃に加熱することによってジクミルパーオキサイドを分解して架橋ゴム独立気泡発泡シートを更に架橋させた。
所定間隔を存して配設された二本のロールを用意した。一方のロール表面には多数の円錐形状の針状体がロール表面に対して垂直方向に起立状態に配設されていた。そして、架橋ゴム独立気泡発泡シートを上記二本のロール間に供給して、架橋ゴム独立気泡発泡シートにその片面からロール表面の針状体を突き刺し、針状体を架橋ゴム独立気泡発泡シートの両面間に亘って厚み方向に貫通させて、独立気泡の一部を連続気泡化して厚みが2.5mmの架橋ゴム発泡シートを得た。なお、架橋ゴム独立気泡発泡シートに針状体を突き刺す際には架橋ゴム独立気泡発泡シートはその厚み方向に圧縮されていた。又、架橋ゴム発泡シートに形成された貫通孔は、碁盤目状に縦横に等間隔に形成されており、貫通孔の開口端の大きさは100μmで、貫通孔の形成密度は1500個/cm2であった。
(実施例2)
ジクミルパーオキサイドを8重量部の代わりに12重量部としたこと以外は実施例1と同様にして厚みが2.5mmの架橋ゴム発泡シートを得た。なお、架橋ゴム独立気泡発泡シートの独立気泡率は99%であった。
ジクミルパーオキサイドを8重量部の代わりに12重量部としたこと以外は実施例1と同様にして厚みが2.5mmの架橋ゴム発泡シートを得た。なお、架橋ゴム独立気泡発泡シートの独立気泡率は99%であった。
(実施例3)
アゾジカルボンアミドを6重量部の代わりに10重量部としたこと以外は実施例1と同様にして厚みが3.5mmの架橋ゴム発泡シートを得た。なお、架橋ゴム独立気泡発泡シートの独立気泡率は99%であった。
アゾジカルボンアミドを6重量部の代わりに10重量部としたこと以外は実施例1と同様にして厚みが3.5mmの架橋ゴム発泡シートを得た。なお、架橋ゴム独立気泡発泡シートの独立気泡率は99%であった。
(実施例4)
アゾジカルボンアミドを6重量部の代わりに10重量部としたこと、ジクミルパーオキサイドを8重量部の代わりに12重量部としたこと以外は実施例1と同様にして厚みが2.5mmの架橋ゴム発泡シートを得た。なお、架橋ゴム独立気泡発泡シートの独立気泡率は99%であった。
アゾジカルボンアミドを6重量部の代わりに10重量部としたこと、ジクミルパーオキサイドを8重量部の代わりに12重量部としたこと以外は実施例1と同様にして厚みが2.5mmの架橋ゴム発泡シートを得た。なお、架橋ゴム独立気泡発泡シートの独立気泡率は99%であった。
(実施例5)
架橋ゴム独立気泡発泡シートを二本のロール間に供給する代わりに、架橋ゴム独立気泡発泡シートの片面に炭酸ガスレーザーを照射し架橋ゴム独立気泡発泡シートにその厚み方向に穿孔を施して架橋ゴム独立気泡発泡シートの両面間に亘って貫通する貫通孔を形成したこと以外は実施例1と同様にして厚みが2.5mmの架橋ゴム発泡シートを得た。なお、貫通孔の開口端の大きさは50μmであり、貫通孔の形成密度は1600個/cm2であった。
架橋ゴム独立気泡発泡シートを二本のロール間に供給する代わりに、架橋ゴム独立気泡発泡シートの片面に炭酸ガスレーザーを照射し架橋ゴム独立気泡発泡シートにその厚み方向に穿孔を施して架橋ゴム独立気泡発泡シートの両面間に亘って貫通する貫通孔を形成したこと以外は実施例1と同様にして厚みが2.5mmの架橋ゴム発泡シートを得た。なお、貫通孔の開口端の大きさは50μmであり、貫通孔の形成密度は1600個/cm2であった。
(実施例6)
ジクミルパーオキサイドを8重量部の代わりに12重量部としたこと、架橋ゴム独立気泡発泡シートを二本のロール間に供給する代わりに、架橋ゴム独立気泡発泡シートの片面に炭酸ガスレーザーを照射し架橋ゴム独立気泡発泡シートにその厚み方向に穿孔を施して架橋ゴム独立気泡発泡シートの両面間に亘って貫通する貫通孔を形成したこと以外は実施例1と同様にして厚みが2.5mmの架橋ゴム発泡シートを得た。なお、架橋ゴム独立気泡発泡シートの独立気泡率は99%であった。貫通孔の開口端の大きさは50μmであり、貫通孔の形成密度は1600個/cm2であった。
ジクミルパーオキサイドを8重量部の代わりに12重量部としたこと、架橋ゴム独立気泡発泡シートを二本のロール間に供給する代わりに、架橋ゴム独立気泡発泡シートの片面に炭酸ガスレーザーを照射し架橋ゴム独立気泡発泡シートにその厚み方向に穿孔を施して架橋ゴム独立気泡発泡シートの両面間に亘って貫通する貫通孔を形成したこと以外は実施例1と同様にして厚みが2.5mmの架橋ゴム発泡シートを得た。なお、架橋ゴム独立気泡発泡シートの独立気泡率は99%であった。貫通孔の開口端の大きさは50μmであり、貫通孔の形成密度は1600個/cm2であった。
(実施例7)
アゾジカルボンアミドを6重量部の代わりに10重量部としたこと、架橋ゴム独立気泡発泡シートを二本のロール間に供給する代わりに、架橋ゴム独立気泡発泡シートの片面に炭酸ガスレーザーを照射し架橋ゴム独立気泡発泡シートにその厚み方向に穿孔を施して架橋ゴム独立気泡発泡シートの両面間に亘って貫通する貫通孔を形成したこと以外は実施例1と同様にして厚みが2.5mmの架橋ゴム発泡シートを得た。なお、貫通孔の開口端の大きさは50μmであり、貫通孔の形成密度は1600個/cm2であった。
アゾジカルボンアミドを6重量部の代わりに10重量部としたこと、架橋ゴム独立気泡発泡シートを二本のロール間に供給する代わりに、架橋ゴム独立気泡発泡シートの片面に炭酸ガスレーザーを照射し架橋ゴム独立気泡発泡シートにその厚み方向に穿孔を施して架橋ゴム独立気泡発泡シートの両面間に亘って貫通する貫通孔を形成したこと以外は実施例1と同様にして厚みが2.5mmの架橋ゴム発泡シートを得た。なお、貫通孔の開口端の大きさは50μmであり、貫通孔の形成密度は1600個/cm2であった。
(実施例8)
アゾジカルボンアミドを6重量部の代わりに10重量部としたこと、ジクミルパーオキサイドを8重量部の代わりに12重量部としたこと、架橋ゴム独立気泡発泡シートを二本のロール間に供給する代わりに、架橋ゴム独立気泡発泡シートの片面に炭酸ガスレーザーを照射し架橋ゴム独立気泡発泡シートにその厚み方向に穿孔を施して架橋ゴム独立気泡発泡シートの両面間に亘って貫通する貫通孔を形成したこと以外は実施例1と同様にして厚みが2.5mmの架橋ゴム発泡シートを得た。なお、貫通孔の開口端の大きさは50μmであり、貫通孔の形成密度は1600個/cm2であった。
アゾジカルボンアミドを6重量部の代わりに10重量部としたこと、ジクミルパーオキサイドを8重量部の代わりに12重量部としたこと、架橋ゴム独立気泡発泡シートを二本のロール間に供給する代わりに、架橋ゴム独立気泡発泡シートの片面に炭酸ガスレーザーを照射し架橋ゴム独立気泡発泡シートにその厚み方向に穿孔を施して架橋ゴム独立気泡発泡シートの両面間に亘って貫通する貫通孔を形成したこと以外は実施例1と同様にして厚みが2.5mmの架橋ゴム発泡シートを得た。なお、貫通孔の開口端の大きさは50μmであり、貫通孔の形成密度は1600個/cm2であった。
(比較例1)
実施例1と同様の要領で厚みが2.5mmの架橋ゴム独立気泡発泡シートを得た。
実施例1と同様の要領で厚みが2.5mmの架橋ゴム独立気泡発泡シートを得た。
(比較例2)
実施例2と同様の要領で厚みが2.5mmの架橋ゴム独立気泡発泡シートを得た。
実施例2と同様の要領で厚みが2.5mmの架橋ゴム独立気泡発泡シートを得た。
(比較例3)
実施例3と同様の要領で厚みが2.5mmの架橋ゴム独立気泡発泡シートを得た。
実施例3と同様の要領で厚みが2.5mmの架橋ゴム独立気泡発泡シートを得た。
(比較例4)
実施例4と同様の要領で厚みが2.5mmの架橋ゴム独立気泡発泡シートを得た。
実施例4と同様の要領で厚みが2.5mmの架橋ゴム独立気泡発泡シートを得た。
得られた架橋ゴム発泡シート及び架橋ゴム独立気泡発泡シートについて、JIS K7222に準拠した見掛け密度、JIS K6262に準拠して80℃、24時間経過後に測定された圧縮永久歪み、及び、JIS K6767に準拠して測定された50%圧縮応力、ゲル分率、連続気泡率及び発泡倍率を測定し、その結果を表1に示した。
1 架橋ゴム発泡シート
11 貫通孔
12 穴部
11 貫通孔
12 穴部
Claims (8)
- ゴムポリマーを含有する架橋ゴム独立気泡発泡シートにその少なくとも片面から穿孔して独立気泡の少なくとも一部を連続気泡化してなることを特徴とする架橋ゴム発泡シート。
- JIS K7222に準拠して測定された見掛け密度が60〜300kg/m3、JIS K6262に準拠して80℃、24時間経過後に測定された圧縮永久歪みが50%以下、及び、JIS K6767に準拠して測定された50%圧縮応力が100kPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の架橋ゴム発泡シート。
- ゴムポリマーは、ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム及びクロロプレンゴムから選ばれた少なくとも一種の合成ゴムを含有していることを特徴とする請求項1に記載の架橋ゴム発泡シート。
- 架橋ゴム独立気泡発泡シートへの穿孔が、針状体による穿孔又はレーザー照射による穿孔であることを特徴とする請求項1に記載の架橋ゴム発泡シート。
- 架橋ゴム独立気泡発泡シートへの穿孔方向が上記架橋ゴム独立気泡発泡シートの厚み方向或いは厚み方向に対して一定角度だけ斜行していることを特徴とする請求項1に記載の架橋ゴム発泡シート。
- 電離性放射線により物理的に架橋され、又は、有機過酸化物若しくは硫黄化合物によって化学的に架橋されたものであることを特徴とする請求項1に記載の架橋ゴム気泡シート。
- ゲル分率が70重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の架橋ゴム気泡シート。
- 連続気泡率が30〜90%であることを特徴とする請求項1に記載の架橋ゴム発泡シート。
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JP2008251083A JP2010083910A (ja) | 2008-09-29 | 2008-09-29 | 架橋ゴム発泡シート |
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
JP2012025916A (ja) * | 2010-07-27 | 2012-02-09 | Daicel Novafoam Ltd | 発泡体とその製造方法並びにその用途 |
JP5938395B2 (ja) * | 2011-03-28 | 2016-06-22 | 積水化成品工業株式会社 | ポリオレフィン系樹脂発泡体及びそれを用いたポリオレフィン系樹脂発泡防塵材 |
WO2020175730A1 (ko) * | 2019-02-26 | 2020-09-03 | 코스맥스 주식회사 | 통공 채널을 구비한 화장료 함침용 스펀지 |
-
2008
- 2008-09-29 JP JP2008251083A patent/JP2010083910A/ja active Pending
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